JP7018601B2 - 点火プラグ - Google Patents

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本発明は、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)や超高排気再循環(超高EGR)燃焼を実現するための技術に関し、特に超希薄燃焼や超高EGR燃焼に好適な点火プラグに関する。
自動車が排出する地球温暖化の原因となる二酸化炭素を低減するために、ガソリンエンジンの熱効率の向上が重要である。近年、ガソリンエンジンの熱効率を向上する手段として、超希薄燃焼や超高EGR燃焼を実現する技術の開発が進められている。超希薄燃焼や超高EGR燃焼を安定して実現するためには、着火及び火炎伝播を促進する技術が必要である。
従来の点火プラグとして、接地電極の近傍の気流を剥離させて下流側に後流渦を発生させる渦発生部を形成し、中心電極及び接地電極を、両電極の間を流れる気流によって変形した火花又は火炎が後流渦内に進入するように配置することにより、着火の安定化を図る方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された点火プラグでは、中心電極及び接地電極の間で生じる放電経路を、積極的に点火プラグの中心軸に平行な方向に伸長させることは考慮されていない。このため、特許文献1に記載された点火プラグを超希薄燃焼や超高EGR燃焼に適用した場合に、着火及び火炎伝播の促進を図ることは困難である。
特開2017-147087号公報
上記課題に鑑み、本発明は、超希薄燃焼や超高EGR燃焼においても着火及び火炎伝播を促進することができ、超希薄燃焼や超高EGR燃焼を安定して実現するのに好適な点火プラグを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、上記目的を達成するために、本発明の好適な一態様は、燃焼室内の空気過剰率が1.5以上の混合気、又は空気過剰率が1.5未満で且つEGR率が20%以上の混合気に点火する点火プラグであって、(a)燃焼室内に下端が突出するハウジングと、(b)ハウジングの中心軸に沿ってハウジングの内側に配置された絶縁碍子と、(c)中心軸に沿って絶縁碍子の内側に配置され、絶縁碍子の下端から一部が燃焼室内に突出する中心電極と、(d)ハウジングに一端が接続され、ハウジングから下方に延在し、中心軸側に屈曲した腕部と、腕部の他端に接続され、中心軸と頂部が対向し、頂部から下方向になるに従い中心軸に垂直方向の面積が次第に広くなる形状の火花伸長部とを含む接地電極とを備える点火プラグであることを要旨とする。ここで、当該点火プラグは、燃焼室内の空気過剰率が1.5以上、又は空気過剰率が1.5未満で且つEGR率が20%以上の範囲以外の混合気に点火する場合にも適用可能である。
本発明によれば、超希薄燃焼や超高EGR燃焼においても着火及び火炎伝播を促進することができ、超希薄燃焼や超高EGR燃焼を安定して実現するのに好適な点火プラグを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関の一例を示す概略図である。 図2(a)は本発明の実施形態に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図2(b)は図2(a)の側面図であり、図2(c)は図2(a)の接地電極部分の平面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る点火装置の一例を示す概略図である。 図4(a)~図4(c)は、本発明の実施形態に係る点火プラグの点火時の要部正面図である。 図5は、乱流燃焼ダイアグラム上の燃焼軌跡を示す概略図である。 図6は、比較例に係る点火プラグの要部正面図である。 図7(a)及び図7(b)は、比較例に係る点火プラグを用いて、通常点火で空気過剰率を変化させて放電した場合の積算熱発生量の時間的変化を示すグラフである。 図8(a)~図8(c)は、比較例に係る点火プラグを用いて、強力点火で空気過剰率を変化させて放電した場合の積算熱発生量の時間的変化を示すグラフである。 図9(a)~図9(d)は、比較例に係る点火プラグを用いて、強力点火且つ強タンブル流で、空気過剰率を変化させて放電した場合の積算熱発生量の時間的変化を示すグラフである。 図10(a)~図10(c)は、実施例に係る点火プラグを用いて、強力点火且つ強タンブル流で、空気過剰率を変化させて放電した場合の積算熱発生量の時間的変化を示すグラフである。 図11(a)は、図10(a)及び図10(b)に示した放電時の放電パターンを表すグラフであり、図11(b)は、図10(c)に示した放電時の放電パターンを表すグラフである。 図12(a)~図12(d)は、強タンブル流とした場合の点火プラグ近傍のタンブル流の向きを示すグラフである。 図13(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図13(b)は図13(a)の側面図であり、図13(c)は図13(a)の接地電極部分の平面図である。 図14(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図14(b)は図14(a)の側面図であり、図14(c)は図14(a)の接地電極部分の平面図である。 図15(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図15(b)は図15(a)の側面図であり、図15(c)は図15(a)の接地電極部分の平面図である。 図16(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図16(b)は図16(a)の側面図である。 図17(a)及び図17(b)は、本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図である。 図18は、本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部側面図である。 図19は、本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部側面図である。 図20(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図20(b)は図20(a)の側面図であり、図20(c)は図20(a)の接地電極部分の平面図である。 図21(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図21(b)は図21(a)の側面図であり、図21(c)は図21(a)の接地電極部分の平面図である。 図22(a)~図22(c)は、図21(a)~図21(c)に示した点火プラグの点火時の要部正面図である。 図23(a)は本発明の実施形態の変形例に係る点火プラグの一例を示す要部正面図であり、図23(b)は図23(a)の側面図であり、図23(c)は図23(a)の接地電極部分の平面図である。 図24(a)~図24(c)は、接地電極部分の一例を示す断面図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を貼付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
<点火プラグ>
本発明の実施形態に係る点火プラグは、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)及び超高EGR燃焼に適用可能である。超希薄燃焼は、理論混合気(ストイキ)よりも超希薄な混合気を燃焼させることをいう。本明細書においては、説明の便宜上、超希薄燃焼の領域を例えば空気過剰率λ=1.5程度以上であり、例えば空気過剰率λ=1.5~3.0程度の範囲とする。なお、超希薄燃焼の領域は、空気過剰率λ=1.5未満の範囲を含んでいてもよく、空気過剰率λ=3.0より高い範囲を含んでいてもよい。空気過剰率λは、実際に供給された空気の質量を理論上必要な最少空気質量で除した値である。超希薄燃焼では、従来の理論混合気(ストイキ)の温度(2600K程度)よりも低温(2000K程度)での燃焼により冷却損失を低減することができ、熱効率を大幅に向上させることができる。一方、超希薄燃焼では混合気の希薄化に伴い燃焼の安定性が低下するため、着火及び火炎伝播を促進する技術が求められる。
また、排気再循環(EGR)は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)低減や燃費向上を目的として、内燃機関において燃焼後の排気ガスの一部を再度吸気させる技術である。超高EGR燃焼の領域は、例えばEGR率が20%程度以上、例えばEGR率が20%~70%程度の範囲とする。なお、超高EGR燃焼の領域は、EGR率が20%程度未満の範囲を含んでいてもよく、EGR率が70%程度より高い範囲を含んでいても良い。EGR率は、吸気系に還流させる排出ガス(還流ガス)量を吸入空気(吸気ガス)量で除した数値である。空気過剰率λが1以上、1.5未満であっても、EGR率が20%以上の多量のEGRガスが導入された混合気を用いた超高EGR燃焼では、超希薄燃焼と同様に、低温燃焼のため熱効率を大幅に向上させることができる一方で、混合気の希薄化に伴い燃焼の安定性が低下する。本発明の実施形態に係る点火プラグは、燃焼室内の空気過剰率λが1.5以上の混合気、又は空気過剰率λが1.5未満で且つEGR率が20%以上の混合気に点火する場合に好適である。なお、本発明の実施形態に係る点火プラグは、空気過剰率λが1.5未満で且つEGR率が20%未満の混合気に点火する場合にも使用可能である。
本発明の実施形態に係る内燃機関として、ガソリンエンジンを例示的に説明する。本発明の実施形態に係る内燃機関は、図1に示すように、シリンダ3と、シリンダ3内に配置されたピストン4と、シリンダ3上に配置されたシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2に取り付けた点火プラグ1とを備える。ピストン4はシリンダ3内に上下方向に運動可能に配置されている。シリンダヘッド2の内壁とシリンダ3の内壁で囲まれる空間により燃焼室5が形成されている。シリンダヘッド2には、燃焼室5に連通する吸気ポート8と、吸気ポート8を開閉する吸気弁6が配置されている。更に、シリンダヘッド2には、燃焼室5に連通する排気ポート9と、排気ポート9を開閉する排気弁7が配置されている。点火プラグ1は、例えばシリンダヘッド2の略中央付近に取り付けられ、点火プラグ1の一部が燃焼室5に突出する。なお、本発明の実施形態に係る内燃機関は、超高EGR燃焼を実現するための外部EGRシステムとして、吸気ポート8と排気ポート9とを接続する通路と、通路に設けられ、還流ガス量を調節するEGR弁を備えていてもよい。或いは、本発明の実施形態に係る内燃機関は、超高EGR燃焼を実現するための内部EGRシステムを備えていてもよい。
本発明の実施形態に係る内燃機関の動作(サイクル)の概要としては、吸気行程においてピストン4が下降し、シリンダヘッド2の吸気ポート8から燃料と空気との混合気が燃焼室5内に導入される。次に、圧縮行程において、ピストン4が上昇し、燃焼室5内に導入された混合気が圧縮される。次に、燃焼行程において、圧縮された混合気が点火プラグ1の火花により点火されて燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストン4が押し下げられる。その後、排気行程において、慣性によりピストン4が上昇し、燃焼室5内の燃焼ガスがシリンダヘッド2の排気ポート9へ排出される。
吸気行程において燃焼室5に導入された混合気は、燃焼室5内でタンブル流を形成する。タンブル流は、シリンダ3の中心軸回りを旋回する横渦(スワール流)に対して垂直方向に旋回する流れを主な流れとする縦渦である。超希薄燃焼では、混合気の希薄化に伴い燃焼の安定性が低下するが、タンブル流(ガス流動)を強化することにより燃焼の安定性を向上させることができる。本発明の実施形態においては、点火プラグ1近傍のタンブル流を、15m/秒~50m/秒程度の流速の強タンブル流に制御する。タンブル流の流速や向きは、吸気ポート8に取り付けるノズル(アダプタ)の形状や吸気ポート8の形状等により調整可能である。タンブル流の流速や向きはマイクロ粒子画像流速計(μPIV)等により計測可能である。
本発明の実施形態に係る点火プラグ1の下部の燃焼室5に突出する部分を、図2(a)~図2(c)に示す。図2(a)~図2(c)において、説明の便宜上、本発明の実施形態に係る点火プラグ1の中心軸Oに平行な方向をZ方向とし、Z方向に直交する方向をX方向とし、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向と定義する。X方向は、図1の左右方向に対応し、シリンダヘッド2の吸気ポート8と排気ポート9が並ぶ方向とする。なお、本発明の実施形態に係る点火プラグ1の向きは適宜設定可能である。本発明の実施形態に係る点火プラグ1にアクチュエータを取り付け、点火プラグ1を中心軸O周りに回転することで、点火プラグ1の向きを調整可能としてもよい。
本発明の実施形態に係る点火プラグ1は、図2(a)~図2(c)に示すように、円筒状のハウジング31と、ハウジング31の内側に配置された円筒状の絶縁碍子32と、絶縁碍子32の内側に配置され、燃焼室5に一部が突出した中心電極(11,12)と、中心電極(11,12)と対向して配置された接地電極(21,22,23)とを備える。
ハウジング31は導電材料からなり、図1に示したシリンダヘッド2に固定されている。ハウジング31の下端は燃焼室5内に突出する。絶縁碍子32は、ハウジング31の中心軸O(点火プラグ1の中心軸Oともいう。)に沿って配置されている。絶縁碍子32の下端はハウジング31の下端よりも下方の燃焼室5内に突出する。
中心電極(11,12)は、ハウジング31の中心軸Oに沿っては位置されている。中心電極(11,12)は、絶縁碍子32の下端から燃焼室5内に突出する本体部12と、本体部12の下端に接続された針状の先端部11を有する。本体部12の材料としては、ニッケル(Ni)やNi合金等が使用可能である。先端部11の材料としては、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等の貴金属やその合金等が使用可能である。先端部11は、本体部12にレーザ溶接や抵抗溶接等により接合されている。
図2(a)~図2(c)に示すように、接地電極(21,22,23)は、ハウジング31の下端に一端が接続された腕部21と、腕部21の他端に接続された火花伸長部22と、火花伸長部22上に配置された針状の突起部23とを備える。腕部21の材料としてはNiやNi合金等が使用可能である。腕部21は、例えば四角柱の棒状体からなり、図2(b)に示すようにハウジング31の下端から下方に延在し、中心軸O側にL字型に近い形状に屈曲(湾曲)している。図2(a)から見た腕部21の幅W1は例えば2mm~3mm程度であり、図2(b)から見た腕部21の幅W2は例えば1mm~2mm程度である。
火花伸長部22の材料としてはNiやNi合金等が使用可能である。火花伸長部22の材料は、腕部21と同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。火花伸長部22は、腕部21にレーザ溶接や抵抗溶接等により接合されていてもよく、予め一体的に形成されていてもよい。ここでは、火花伸長部22の側面222の上部が腕部21と接合された場合を例示するが、火花伸長部22と腕部21との接合位置は特に限定されない。火花伸長部22と腕部21との接合位置は、タンブル流の流れと、中心電極(11,12)と接地電極(21,22,23)の間で生じる放電経路の伸長を阻害しない位置とすることが好ましい。
火花伸長部22は、中心軸Oと頂部221が対向し、頂部221から下方向になるに従い中心軸Oに垂直方向の面積が次第に広くなる形状を有する。火花伸長部22は、略円錐形状(頂部221を上底とする円錐台形状)をなし、火花伸長部22の側面が円錐面(傾斜面)222となる。図2(b)に示すように、火花伸長部22の底面223は、火花伸長部22に接続する位置の腕部21の下端よりも下方に位置する。傾斜面222を延長した場合の円錐の頂角θ1は、例えば60°~100°程度である。即ち、傾斜面222は、点火プラグ1の中心軸Oに対して例えば30°~50°程度の傾斜角(θ1/2)で傾斜している。火花伸長部22の底面223の直径D1は例えば4mm~10mm程度であり、シリンダヘッド2に設けられたプラグ穴を通る範囲で適宜設定可能である。点火プラグ1の中心軸Oに平行な方向(軸方向)における火花伸長部22の高さH1は例えば3mm~6mm程度である。
突起部23は、火花伸長部22の頂部221よりも小径の円柱形状等からなる。なお、突起部23の直径は、火花伸長部22の頂部221の直径と同一であってもよい。突起部23の高さH2は0.5mm~1mm程度である。突起部23は、火花伸長部22にレーザ溶接や抵抗溶接等により接合されている。突起部23の材料としては、PtやIr等の貴金属又はその合金等が使用可能である。突起部23と先端部11の放電ギャップG1は、例えば0.5mm~1.5mm程度であり、イグニションコイルの出力等に応じて適宜選択可能である。放電ギャップG1が大きいほど、突起部23と先端部11の間に生じる火花(放電経路)が長くなるため火炎伝播がし易くなる一方、放電ギャップG1間に印加する電圧が高くなる。
本発明の実施形態に係る点火プラグ1を用いた点火装置は、図3に示すように、点火プラグ1にディストリビュータ43を介して接続された複数個(10個)のイグニションコイル51,52,53,54,55,56,57,58,59,60と、イグニションコイル51~60に接続された制御回路41及び定電圧源42を備える。イグニションコイル51~60のそれぞれは、定電圧源42に接続された一次コイルと、点火プラグ1に接続された二次コイルとで構成される。定電圧源42は定電圧(例えば12V)をイグニションコイル51~60に供給する。制御回路41は、イグニションコイル51~60の動作を制御する。
本発明の実施形態に係る点火プラグ1を含む点火装置によれば、複数のイグニションコイル51~60を用いて点火エネルギーを強化することで、超希薄燃焼において強タンブル流とした場合でも、着火及び火炎伝播を促進することができる。更に、複数のイグニションコイル51~60を順次用いて、1サイクル内で所定の間隔で複数回の放電を行ってもよい。例えば、複数のイグニションコイル51~60を2個1組として、1サイクル内で5回放電を行う。1サイクル内で複数回の放電を行うことにより、着火及び火炎伝播の安定化を図ることができ、サイクル毎の着火及び火炎伝播の変動を抑制することができる。
次に、本発明の実施形態に係る点火プラグ1による混合気の点火方法を説明する。圧縮行程における上死点の位置をクランク角度θ=0°として、例えばクランク角度θ=-40°程度で放電を開始する。図4(a)に示すように、放電により、中心電極(11,12)の先端部11と、接地電極(21,22,23)の突起部23の間の放電ギャップG1で火花を発生させると、最短距離で略直線状に放電経路Sが形成される。本発明の実施形態に係る点火プラグ1の向きや、吸気ポート8に取り付けるノズルの形状等を調整することで、放電ギャップG1におけるタンブル流Fの向きを、点火プラグ1の中心軸Oに直交する方向に制御する。なお、放電ギャップG1におけるタンブル流Fの向きはこれに限定されず、タンブル流Fの流れが阻害されないように異なる向きに制御してもよい。例えば、タンブル流Fの向きが点火プラグ1の中心軸Oに直交する方向に対して傾いていてもよく、図2(a)に示した向きと逆向きであってもよい。
その後、放電を継続させ、図4(b)に示すように、タンブル流Fにより放電経路Sを変形させて、タンブル流Fの下流側に放電経路Sを伸長させる。放電経路Sが伸長する際、火花は電気抵抗値が小さい経路を選ぶため、放電経路Sの火花伸長部22側の付け根の放電点Pが、突起部23から火花伸長部22の頂部221に移動し、頂部221から傾斜面(円錐面)222へ移動する。更に放電を継続させると、放電経路Sの火花伸長部22側の放電点Pが、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222に沿って、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端側(火花伸長部22の底面223側)に向かって移動していく。ここで、理論混合気(ストイキ)近傍(例えば空気過剰率λ=1.3程度)の場合には絶縁破壊と略同時に初期火炎核が形成し伝播するため、放電経路を僅かしか伸長できない。これに対して、本発明者らは実験により、超希薄燃焼時には理論混合気(ストイキ)近傍とは燃焼メカニズムが異なり、放電経路Sを取り囲むように初期火炎帯が形成され、初期火炎帯が直ちに伝播しないことを見出した。そこで、この現象を利用して、初期火炎帯が伝播する前に放電経路Sを大きく伸長させるものである。また、これにより燃焼室5内の予混合気内に初期火炎帯を分散させる効果が得られる。
その後、図4(c)に示すように、放電経路Sの火花伸長部22側の放電点Pが、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端(火花伸長部22の底面223の外周部)に到達すると、この位置で放電経路Sが安定的に維持される。この時点で放電経路Sの周囲に初期火炎帯が形成されて伝播し、着火する。このように、点火プラグ1の中心軸Oに平行な方向(軸方向)における実質的な放電ギャップG2を、先端部11と突起部23の間の放電ギャップG1よりも大きくすることができる。
図5は、乱流燃焼ダイアグラム上の空気過剰率λ=2.0の燃焼軌跡(細線で図示)と、空気過剰率λ=1.0の場合の燃焼軌跡(太線で図示)を示す。図5の縦軸は乱れ強さu’/層流燃焼速度Sを示し、横軸は積分長さスケールl/火炎帯厚さδを示す。図5中の「Ka」は乱流カルロビッツ数であり、以下の式(1)で表される。

Ka=(l/δ)-1/2(u’/S3/2 …(1)
Kaが大きいほど、反応(燃焼)に対する乱れの影響が大きくなる。図5において、Ka<1の皺状層流火炎片(corrugated flamelets)領域と定義される領域では、火炎の内部構造は変化しないと考えられる。100≧Ka≧1の薄層反応帯(Thin reaction zones)領域と定義される領域では、乱流運動によって火炎構造の一部が変化すると考えられる。Ka>100の分散反応帯(Broken reaction zones)領域と定義される領域では、熱発生に関連する化学反応にまで乱流運動の影響が現れ、火炎を実現するのが困難と考えられる。
空気過剰率λ=2.0の超希薄燃焼の場合、圧縮行程における上死点の位置をクランク角度θ=0°として、クランク角度θ=-40°に火花放電が開始され、放電経路を取り囲むように形成された火炎帯はストレッチ効果で伝播阻害を受け、火炎帯の数及び分散領域が増す。その後、クランク角度θ=-10°付近でKa=10となり火炎伝播が開始され、クランク角度θ=-5°で燃焼割合が10%となるクランク角度(CA10)に到達する。一方、空気過剰率λ=1.0の理論混合気の燃焼の場合、放電開始直後に火炎伝播が開始されて熱発生が始まり、クランク角度θ=-5°にはCA10に到達する。このように、空気過剰率λ=2.0の超希薄燃焼の場合と、空気過剰率λ=1.0の理論混合気の燃焼の場合では火花放電メカニズムが大きく異なる。
本発明の実施形態に係る点火プラグ1によれば、火花伸長部22が、中心軸Oと頂部221が対向し、頂部221から下方向になるに従い中心軸Oに垂直方向の面積が次第に広くなる形状を有する。このため、超希薄、超高EGR、高乱流での燃焼において、タンブル流Fにより放電経路Sがタンブル流Fの下流側に伸長する際に、放電経路Sの放電点Pを、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222に沿って下方に移動させることができる。即ち、本発明の実施形態では放電経路Sの放電点Pを積極的に、点火プラグ1の中心軸Oと平行な方向(軸方向)に伸長させる。この際、圧縮行程でタンブル流が潰れることにより、点火プラグ1近傍には1mm程度の微細な渦が多数形成されている。放電経路Sの火花伸長部22側の放電点Pを点火プラグ1の中心軸Oと平行な方向に伸長させると、この微細な渦間を跨いで伸長することができ、点火プラグ1の中心軸Oに対して直交する方向に伸長させる場合と比べて安定的に伸長することができる。このため、放電経路Sの放電点Pを積極的に、点火プラグ1の中心軸Oと平行な方向(軸方向)に伸長させることにより、放電経路Sを安定的に伸長させることができ、実質的な放電ギャップG2を大きくすることができる。したがって、放電開始のための電圧を高くすることなく、着火及び火炎伝播を促進することができる。
更に、点火プラグ1近傍のタンブル流を、15m/秒~50m/秒程度の流速の強タンブル流に制御する場合、点火プラグ1近傍でのタンブル流の向きは、サイクル毎に360°の範囲で大きく変動し易く、更には1サイクル内でもクランク角度毎に360°の範囲で大きく変動し易いことを見出した。そこで、発明の実施形態に係る点火プラグ1によれば、火花伸長部22を略円錐形状(円錐台形状)とすることにより、タンブル流Fの向きが360°の範囲で大きく変動した場合でも、タンブル流Fの向きに係わらず、放電経路Sを火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222に沿って安定して下方に伸長させることができる。したがって、サイクル毎及びクランク角度毎の着火及び燃焼の変動を減少し、サイクル毎及びクランク角度毎の着火及び燃焼の安定性を向上させることができる。
<第1の実施例>
本発明の実施形態に係る点火プラグ1の実施例を作製すると共に、実施例と比較するための比較例を作製した。比較例に係る点火プラグは、図6に示すように、中心電極101と接地電極(102,103)とを備える。接地電極(102,103)は、火花伸長部を有さず、L字型の腕部102と、腕部102上の突起部103を有する。比較例に係る点火プラグでは、図6に示すように、タンブル流Fにより放電経路Sがタンブル流Fの下流側に伸長するが、放電経路Sの突起部103側の放電点は突起部103に留まる。作製した実施例及び比較例に係る点火プラグを用いて放電試験を行い、サイクル毎の積算熱発生量の時間的変化を測定した。
図7(a)及び図7(b)は、比較例に係る点火プラグを用いて、エンジンの出力を600kPa、通常点火(1個のコイル)を共通とし、空気過剰率λをλ=1、λ=1.6と変化させた場合の積算熱発生量の時間的変化をそれぞれ示す。図7(a)では、クランク角度θ=-12°で放電を開始し、クランク角度θ=20°程度で燃焼が完了している。図7(b)では、燃焼が不完全なサイクルがあり、図7(a)の場合よりも比較して燃焼が不安定であることが分かる。
図8(a)~図8(c)は、比較例に係る点火プラグを用いて、エンジンの出力を600kPa、強力点火(10個のコイル)且つ通常のタンブル流を共通とし、空気過剰率λをλ=1.01、λ=1.68、λ=1.87と変化させた場合の積算熱発生量の時間的変化をそれぞれ示す。図8(a)~図8(c)に示すように、強力点火とすることで、図7(a)及び図7(b)の場合よりも燃焼が安定化するが、空気過剰率λ=1.87となると燃焼が不安定となることが分かる。
図9(a)~図9(d)は、比較例に係る点火プラグを用いて、エンジンの出力を600kPa、強力点火(10個のコイル)且つアダプタによる強タンブル流(30m/秒)を共通とし、空気過剰率λをλ=1、λ=1.60、λ=1.89、λ=1.99と変化させた場合の積算熱発生量の時間的変化をそれぞれ示す。図9(d)~図9(d)に示すように、強力点火且つ強タンブル流とすることで、図8(a)~図8(c)の場合よりも燃焼が安定化するが、空気過剰率λ=1.99となると燃焼が不安定となることが分かる。
図10(a)及び図10(b)は、実施例に係る点火プラグを用いて、エンジンの出力を800kPa、強力点火(10個のコイル)且つアダプタによる強タンブル流(30m/秒)を共通とし、空気過剰率λをλ=1.95、λ=2.07と変化させた場合の積算熱発生量の時間的変化をそれぞれ示す。図10(a)及び図10(b)に示す放電では、図11(a)に示すように、10個のコイルを一括して用いて、1サイクル内で1回放電した。図10(a)及び図10(b)に示すように、実施例に係る点火プラグによれば、空気過剰率λ=1.95、λ=2.07でも安定した燃焼を実現できたことが分かる。
図10(c)は、本発明の実施形態に係る点火プラグを用いて、エンジンの出力を600kPa、強力点火(10個のコイル)且つアダプタによる強タンブル流(30m/秒)とし、空気過剰率λ=2.06とした場合の積算熱発生量の時間的変化を示す。図10(c)に示す放電では、図11(b)に示すように、10個のコイルを用いて2個ずつ5組用いて、1サイクル内で放電間隔を0.2ミリ秒として5回放電を繰り返した。図10(c)に示すように、空気過剰率λ=2.06でも安定した燃焼を実現でき、更には図10(b)に示した1サイクル内で1回放電した場合よりもサイクル毎の変動を低減できたことが分かる。
<第2の実施例>
上死点の位置をクランク角度θ=0°として、クランク角度θ=-40°~-10°における点火プラグ近傍のタンブル流を15m/秒程度の強タンブル流に制御した場合の、点火プラグ近傍のタンブル流の向きを、μPIVを用いて計測した。計測結果を図12(a)~図12(d)に示す。図12(a)~図12(d)中の円周に沿った数字は、点火プラグの位置から見た方位(単位は[°])を示し、排気ポート側へ向かう方位を0°とし、吸気ポート側へ向かう方位を180°とする。また、図12(a)~図12(d)中の矢印の方向がタンブル流の向きを示し、矢印の長さがタンブル流の向きの頻度を示している。
図12(a)に示すように、クランク角度θ=-40°におけるタンブル流の向きは、0°付近に集中する。図12(b)に示すように、クランク角度θ=-30°におけるタンブル流の向きは、0°~120°程度で広く分散する。図12(c)に示すように、クランク角度θ=-20°におけるタンブル流の向きは、120°~150°程度の頻度が高まり、より広範囲に分散する。図12(d)に示すように、クランク角度θ=-10°におけるタンブル流の向きは、120°~180°程度の頻度が高まり、0°~360°の全範囲に分散する。このように、1サイクル内でも、クランク角度θ=-40°~-10°でタンブル流の向きは360°の範囲で大きく変動する。
<変形例>
本発明の実施形態では、図2(a)~図2(c)に示した略円錐形状の接地電極(21,22,23)を例示したが、接地電極の形状はこれに限定されない。例えば、図13(a)~図13(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22の側面が、2つの傾斜面222a,222bを有していてもよい。2つの傾斜面222a,222bは、X方向に互いに対向して設けられている。例えば、火花伸長部22のX方向の長さL1は5mm~10mm程度であり、Y方向の幅W3は2mm~3mm程度であり、2つの傾斜面222a,222bの曲率半径Rは1mm~1.5mm程度である。図13(a)~図13(c)に示した接地電極(21,22,23)を有する場合でも、先端部11と突起部23との間の放電ギャップで発生した放電経路がタンブル流の下流側に伸長する際に、放電経路の突起部23側の放電点を、2つの傾斜面222a,222bのいずれかに沿って下方に移動させることができる。
また、図14(a)~図14(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、1つの傾斜面222bを有していてもよい。図14(a)~図14(c)に示した接地電極(21,22,23)を有する場合、先端部11と突起部23との間の放電ギャップで発生した放電経路がタンブル流の下流側に伸長する際に、放電経路の突起部23側の放電点を、傾斜面222bに沿って下方に移動させることができる。
また、図15(a)~図15(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、略角錐形状(角錐台形状)であってもよい。火花伸長部22は、4つの傾斜面222e,222f,222g,222hを有する。図15(a)~図15(c)に示した接地電極(21,22,23)を有する場合には、先端部11と突起部23の間の放電ギャップで発生した放電経路をタンブル流の下流に伸長する際に、火花伸長部22の4つの傾斜面222e,222f,222g,222hのうちの2つの境界(尾根)に沿って下方に移動させることができる。なお、図15(a)~図15(c)では四角錐形状を例示するがこれに限定されず、三角錐形状(三角錐台形状)や、五角錐以上の多角錐形状(多角錐台形状)であってもよい。
また、図16(a)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、外側に凸形状(椀状)の傾斜面222を有していてもよい。また、図16(b)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、内側に凸形状の傾斜面222を有していてもよい。図16(a)又は図16(b)に示した接地電極(21,22,23)を有する場合でも、先端部11と突起部23との間の放電ギャップで発生した放電経路がタンブル流の下流側に伸長する際に、放電経路の突起部23側の放電点を、火花伸長部22の傾斜面222に沿って下方に移動させることができる。
また、図17(a)~図17(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端(火花伸長部22の底面223の外周部)が、R加工(面取り)されて曲率を有していてもよい。火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222と底面223が鋭角をなす場合、高速・高負荷運転条件において傾斜面(円錐面)222の下端が局所的に高温になり易い。これに対して、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端が曲率を有することにより、高速・高負荷運転条件においても、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端が局所的に高温になることを抑制でき、熱面点火を抑制できる。また、接地電極(21,22,23)の腕部21の径を太くすることでも、火花伸長部22で発生した熱が腕部21を介して逃げ易くなり、火花伸長部22の高温化を抑制することができる。なお、図13(a)~図13(c)に示した傾斜面222a,222b、図14(a)~図14(c)に示した傾斜面222b、図15(a)~図15(c)に示した傾斜面222e,222f,222g,222h、図16(a)及び図16(b)に示した傾斜面222のそれぞれの下端も曲率を有していてもよい。
また、図18に示すように、接地電極(21a,21b,22,23)が、火花伸長部22に接続された複数(2本)の腕部21a,21bを有していてもよい。複数の腕部21a,21bは、例えばX方向に互いに対向するように配置されている。これにより、火花伸長部22で発生した熱を複数の腕部21a,21bを介して逃がすことができる。したがって、高速・高負荷運転条件においても、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端が局所的に高温になることを抑制でき、熱面点火を抑制できる。なお、図18では2本の腕部21a,21bを有する場合を例示したが、火花伸長部22に接続された3本以上の腕部を有していてもよい。例えば、3本の腕部を点火プラグ1の中心軸O周りに120°離間するように等間隔で配置してもよい。また、4本の腕部を点火プラグ1の中心軸O周りに90°離間するように等間隔で配置してもよい。
また、図19に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22と腕部21との接合位置を、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端部としてもよい。これにより、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端で発生した熱を、腕部21を介して逃がし易くすることができる。したがって、高速・高負荷運転条件においても、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端が局所的に高温になることを抑制でき、熱面点火を抑制できる。
また、図20(a)~図20(c)に示すように、接地電極(21,22)が突出部を有していなくてもよい。接地電極(21,22)の火花伸長部22は円錐形状を有する。この場合、先端部11と火花伸長部22の頂部(頂点)221との間の放電ギャップで発生した放電経路をタンブル流の下流に伸長する際に、放電経路の頂部(頂点)221側の放電点は、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222に沿って下方に移動し、火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222の下端で安定する。なお、接地電極(21,22)が突出部を有しない場合の火花伸長部22の形状はこれに限定されない。例えば、接地電極(21,22)の火花伸長部22は、図2(a)~図2(c)に示した円錐台形状であってもよく、或いは角錐形状であってもよい。
また、図21(a)~図21(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、腕部21の端部の下側に配置されていてもよい。火花伸長部22は略円錐形状(円錐台形状)をなし、点火プラグ1の中心軸Oに対して傾斜した傾斜面(円錐面)222を有する。火花伸長部22の頂部221が腕部21の端部の下面にレーザ溶接や抵抗溶接等により接合されている。
この場合、図22(a)に示すように、先端部11と突起部23の放電ギャップG1で放電が開始し、放電経路Sが略直線状に形成される。その後、タンブル流Fにより放電経路Sがタンブル流Fの下流側に伸長する際に、放電経路Sの放電点Pが腕部21の側面に移動した後、図22(b)に示すように、放電経路Sが更に伸長して、放電経路Sの放電点Pが火花伸長部22の傾斜面(円錐面)222に移動する。その後、放電経路Sの放電点Pが傾斜面(円錐面)222に沿って下方に移動し、図22(c)に示すように、放電経路Sが火花伸長部22の底面223の外周部まで到達して安定する。図21(a)~図21(c)に示した接地電極(21,22,23)によれば、火花伸長部22が、腕部21の端部の下側に配置されているので、腕部21の端部の下端よりも下方まで実質的な放電ギャップG2を大きくすることができる。
なお、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、腕部21の下に配置されている場合にも、種々の形状の火花伸長部22を採用することができる。例えば、図23(a)~図23(c)に示すように、接地電極(21,22,23)の火花伸長部22が、2つの傾斜面222g,222hを有していてもよい。2つの傾斜面222g,222hは、X軸方向に互いに対向して設けられている。図23(a)~図23(c)に示した接地電極(21,22,23)を有する場合でも、先端部11と突起部23との間の放電ギャップで発生した放電経路がタンブル流の下流側に伸長する際に、放電経路の突起部23側の放電点を、突起部23から腕部21の側面を介して、2つの傾斜面222g,222hのいずれかに移動させて、2つの傾斜面222g,222hのいずれかに沿って下方に移動させることができる。なお、火花伸長部22が腕部21の下に配置されている場合に、火花伸長部22の形状を図14(a)~図14(c)に示した形状、図15(a)~図15(c)に示した形状、図16(a)に示した形状、図16(b)に示した形状、図17(a)及び図17(b)に示した形状等とすることができる。
また、図24(a)は、図2(a)~図2(c)に示した接地電極(21,22,23)の火花伸長部22及び突起部23をX方向で切った断面形状を示す。図24(a)に示すように、火花伸長部22は例えば台形の断面形状を有する。図24(b)に示すように、火花伸長部22の底面側に凹部224を設けて、円錐内部を空洞化した形状であってもよい。高希薄燃焼や高EGR燃焼では点火プラグの冷却損失の影響が大きいが、火花伸長部22の円錐内部を空洞化することにより、接地電極(21,22,23)の熱容量を小さくし、冷却損失を低減することができる。
また、図21(a)~図2(c)に示した接地電極(21,22,23)の火花伸長部22も同様に、図24(c)に示す断面形状のように、火花伸長部22の底面側に凹部224を設け、円錐内部を空洞化した形状であってもよい。なお、火花伸長部22が、図13(a)~図13(c)に示した形状、図14(a)~図14(c)に示した形状、図15(a)~図15(c)に示した形状、図16(a)及び図16(b)に示した形状、図17(a)及び図17(b)に示した形状、図20(a)~図20(c)に示した形状、図23(a)~図23(c)に示した形状等の場合でも、火花伸長部22の底面に凹部を設けて、火花伸長部22の内側に空洞を設けた形状としてもよい。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…点火プラグ
2…シリンダヘッド
3…シリンダ
4…ピストン
5…燃焼室
6…吸気弁
7…排気弁
8…吸気ポート
9…排気ポート
11…先端部
12…本体部
21,21a,21b…腕部
22…火花伸長部
23…突起部
31…ハウジング
32…絶縁碍子
41…制御回路
42…定電圧源
43…ディストリビュータ
51,52,53,54,55,56,57,58,59,60…イグニションコイル
221…頂部
222,222a,222b,222e,222f,222g,222h…傾斜面
223…底面

Claims (10)

  1. 燃焼室内の空気過剰率が1.5以上の混合気、又は前記空気過剰率が1.5未満で且つ排気再循環率が20%以上の混合気に点火する点火プラグであって、
    前記燃焼室内に下端が突出するハウジングと、
    前記ハウジングの中心軸に沿って前記ハウジングの内側に配置された絶縁碍子と、
    前記中心軸に沿って前記絶縁碍子の内側に配置され、前記絶縁碍子の下端から一部が前記燃焼室内に突出する中心電極と、
    前記ハウジングに一端が接続され、前記ハウジングから下方に延在し、前記中心軸側に屈曲した腕部と、前記腕部の他端に接続され、前記中心軸と頂部が対向し、前記頂部から下方向になるに従い前記中心軸に垂直方向の面積が次第に広くなる形状の火花伸長部とを含む接地電極と、
    を備え
    前記火花伸長部が、前記腕部の前記他端の下側に配置されていることを特徴とする点火プラグ。
  2. 燃焼室内の空気過剰率が1.5以上の混合気、又は前記空気過剰率が1.5未満で且つ排気再循環率が20%以上の混合気に点火する点火プラグであって、
    前記燃焼室内に下端が突出するハウジングと、
    前記ハウジングの中心軸に沿って前記ハウジングの内側に配置された絶縁碍子と、
    前記中心軸に沿って前記絶縁碍子の内側に配置され、前記絶縁碍子の下端から一部が前記燃焼室内に突出する中心電極と、
    前記ハウジングに一端が接続され、前記ハウジングから下方に延在し、前記中心軸側に屈曲した腕部と、前記腕部の他端に接続され、前記中心軸と頂部が対向し、前記頂部から下方向になるに従い前記中心軸に垂直方向の面積が次第に広くなる形状の火花伸長部とを含む接地電極と、
    を備え、
    前記火花伸長部の底面が、前記腕部の下端よりも下方に位置することを特徴とする点火プラグ。
  3. 燃焼室内の空気過剰率が1.5以上の混合気、又は前記空気過剰率が1.5未満で且つ排気再循環率が20%以上の混合気に点火する点火プラグであって、
    前記燃焼室内に下端が突出するハウジングと、
    前記ハウジングの中心軸に沿って前記ハウジングの内側に配置された絶縁碍子と、
    前記中心軸に沿って前記絶縁碍子の内側に配置され、前記絶縁碍子の下端から一部が前記燃焼室内に突出する中心電極と、
    前記ハウジングに一端が接続され、前記ハウジングから下方に延在し、前記中心軸側に屈曲した腕部と、前記腕部の他端に接続され、前記中心軸と頂部が対向し、前記頂部から下方向になるに従い前記中心軸に垂直方向の面積が次第に広くなる形状の火花伸長部とを含む接地電極と、
    を備え、
    前記火花伸長部の底面の外周部が曲率を有することを特徴とする点火プラグ。
  4. 前記中心電極と前記接地電極の間の放電ギャップに生じた放電経路を、前記放電ギャップにおけるタンブル流により当該タンブル流の下流に伸長する際に、前記放電経路の前記接地電極側の放電点を、前記火花伸長部により下方に移動させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  5. 前記タンブル流の流速が15m/秒~50m/秒であることを特徴とする請求項に記載の点火プラグ。
  6. 前記火花伸長部が、円錐形状又は角錐形状の錐面を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の点火プラグ。
  7. 前記火花伸長部が、円錐台形状又は角錐台形状を有し、
    前記接地電極が、前記火花伸長部上に配置され、前記中心電極と対向する突起部を更に含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の点火プラグ。
  8. 前記火花伸長部の内側に空洞が設けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  9. 前記接地電極が、前記火花伸長部に接続された前記腕部を複数備えることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  10. 複数のイグニションコイルにより、1サイクル内で繰り返し放電することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の点火プラグ。
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