JP2641551B2 - 内燃機関の燃焼方式及びその燃焼装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼方式及びその燃焼装置

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JP2641551B2 JP50167588A JP50167588A JP2641551B2 JP 2641551 B2 JP2641551 B2 JP 2641551B2 JP 50167588 A JP50167588 A JP 50167588A JP 50167588 A JP50167588 A JP 50167588A JP 2641551 B2 JP2641551 B2 JP 2641551B2
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忠 長岡
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、内燃機関の燃焼方式及び燃焼装置に関する
ものである。
背景技術 内燃機関は一般に火花点火機関、圧縮点火機関及び流
動型内燃機関に大別される。火花点火機関の代表的一例
を第10図に示す。
火花点火機関における燃焼は、外部からシリンダ内に
供給された混合気を、ピストンの上昇運動により燃焼室
内にて圧縮し、混合気のスパークプラグに近い一局部に
このスパークプラグで点火すると、点火箇所から波紋が
広がるように火炎帯が燃焼室内を伝わり広がって燃焼室
内の混合気がすべて燃焼する。
このように、未燃焼ガスと既燃焼ガスの2主要相が火
炎帯によってはっきりと隔てられ、火炎帯が一局部から
波のように伝播していくこと、すなわち火炎伝播が火花
点火機関の燃焼の特徴である。
火花点火機関には、このほか、第11図に示すような燃
焼室内燃料噴射式のものや、第12図に示すようなCVCC方
式があるが、前者は燃料噴射弁で燃焼室内に直接燃料を
噴射供給することにより燃焼室内で混合気の生成を行な
う点で、また後者は、燃焼室及び、シリンダヘッドに設
けた副燃焼室にそれぞれ、ほぼ均質な希薄混合気及び過
濃混合気を供給し、スパークプラグで副燃焼室内の過濃
混合気に点火し、副燃焼室から燃焼室に火炎及び燃焼ガ
スを噴出させることにより、燃焼室内の希薄混合気を燃
焼させる点で相違するが、いずれも火炎帯が一局部から
伝播して燃焼室内全部の混合気を順次燃焼させる点では
最初の例と同様である。
次に、圧縮点火機関については、直接噴射式、予燃焼
室式、渦流室式の3例があり、それぞれ第13図乃至第15
図を参照して以下説明する。
直接噴射式のものは、燃焼室内に噴射弁で直接燃料を
噴射供給し、ピストンの上昇運動によって高温、高圧と
なった燃焼室内の空気によって燃料を自己着火せしめ、
燃焼させる。
予燃焼室式のものは、主燃焼室と小径の連絡孔を介し
て練通する小容積の予燃焼室を有し、噴射弁で予燃焼室
内に燃料を噴射して、まずその一部を燃焼させ、予燃焼
室の圧力上昇により、連絡孔から主燃焼室に向けて燃焼
ガスと共に燃料を噴射させて全燃料を燃焼させるもので
ある。
渦流室式のものは、シリンダヘッド側にほぼ球形の渦
流室を設け、噴射弁から渦流室内に供給された燃料は渦
流によって空気と急速に混合してその大部分が燃焼し、
高温ガスを連絡孔から主燃料室内に噴出させて燃焼を完
了する。
近年、内燃機関は、出力増加と、有害排気ガス成分、
燃料消費量及び騒音の減少を最も重要な課題としてお
り、これらはすべて燃焼方式に関係している。
しかしながら、前述の燃焼方式では次のような問題点
が生じていた。
まず、火花点火機関における燃焼形態は既述のとおり
火炎伝播によるものであるため、混合気中の燃料濃度が
低いと混合気に点火されなかったり、点火されても立ち
消えしたり、また未燃焼部分が残存することがあり、一
方、燃料濃度が高いと、排気ガス中の有害成分すなわ
ち、HC、CO濃度が増加するとともに、燃焼温度の上昇に
よりNox濃度が増加し、更に燃料消費量も増大する。こ
れを解決する方法として前述の燃焼室内燃料噴射式のも
のが試みられたが、燃焼室内における燃料と空気の混合
に問題があり、ほとんど実用化されていないのが現状で
ある。
更に、火炎伝播による燃焼方式の他の問題点は、燃焼
速度が遅いことで、これを速くするためにはシリンダ内
に渦流を与えればよいが、そうするとシリンダ壁面への
熱損失が多くなり、機関の熱効率が低下するという問題
が生じる。また、熱効率を高めるには、圧縮比を増加さ
せてサイクル効率を向上させ、上死点後なるべく短時間
に燃焼を完了して等容度を高めることが必要であるが、
圧縮比を上げるとノッキングが発生する。
また、火花点火機関における必須の構成部分であるス
パークプラグは、一般に第16図に示すような構成である
が、現状における問題点は、希薄混合気に対する点火困
難、燃焼速度向上のための乱流による点火困難、電極に
よる消炎作用、カーホン付着や汚損による絶縁不良及び
電極の消耗等であり、これらが、火花点火機関における
燃焼方式の改良において重量な点である。そのため、ス
パークプラグには種々の改良が提案されており例えば、
米国特許第1,929,748号明細書、同第3,056,899号明細
書、同第3,515,925号明細書に記載されたものがあげら
れる。
米国特許第1,929,748号明細書に記載されたものは、
第17図に示す構成である。このスパークプラグ(A)に
おいては、燃焼火炎を主に軸線方向に燃焼室内に噴出さ
せるとともに残りの燃焼火炎を小孔から螺旋状に噴出さ
せて渦流を生じさせることにより、混合気の即時、か
つ、完全な燃焼を助けるとともにスパークプラグ自体の
自己クリーニング作用の向上を図るものである。
次に米国特許第3,056,899号明細書に記載されたスパ
ークプラグ(B)は、第18図に示す構成である。混合気
の点火は中心電極(14)とアダプターとの間にスパーク
を発生させることによって行ない、このスパークによっ
て生じる燃焼火炎をテーパー状開口部から燃焼室に向け
て噴射して混合気の速やかな燃焼を図るとともに、この
噴射によって生じる負圧により貫通孔からスパークプラ
グ(B)内部に未燃混合気を導いて中心電極周辺の過熱
防止及び汚染防止を図ったものである。
次に米国特許第3,515,925号明細書に記載されたスパ
ークプラグ(C)は、第19図に示す構成である。このス
パークプラグ(C)においては、スパークを中心電極先
端と外側電極の開口部近傍で発生させ、燃焼火炎を通過
に対する抵抗の少ない外方に向けて主に噴射させ、ま
た、残りの燃焼火炎でスパークプラグ(C)内の混合気
を燃焼させてこの燃焼ガスを貫通孔から水平に噴射さ
せ、上記両燃焼火炎の噴出により燃焼室内の混合気を速
やかに燃焼させることを図ったものである。
上記のスパークプラグはいずれも、主にスパークプラ
グの軸線方向に沿う方向の燃焼火炎の噴出によって燃焼
の促進を図るものであり、燃焼形態はスパークプラグに
よる着火位置を中心とする一般の火炎伝播と大差なく、
燃焼時間の短縮並びに燃焼の均一性、混合気の完全な全
量燃焼という点についてはあまり改善されていない。
次に、圧縮点火機関の問題を説明する。
まず、直線噴射式のものは、着火遅れが大きく、燃焼
最高圧力が高くなるため、燃焼騒音が大きく、従って機
関自体を強固な構造とする必要があり、また排気ガス中
のNox排出量と黒煙が多く、ディーゼルノックが起こり
やすい。またこうした問題を解決するために燃焼室内に
渦流を形成させると、今度は熱損失が増加するという新
たな問題が生じる。
予燃焼室式のものは、主燃焼室と予燃焼室とを具備す
るための燃焼室の表面積が大きく、また高温ガスが小径
の連絡孔を通過するので熱損失が大きく、連絡孔による
絞り損失も大きいため、低速回転ではアイドルノックを
生じやすく、高速回転では摩擦損失が増加する。また、
2つの燃焼室、すなわち主燃焼室及び予燃焼室を有する
ため、機関の構造が複雑で高価となる。
渦流室式のものは、渦流室の表面積が大きいため渦流
による渦流室での熱損失が多く、渦流に混合気形成の効
果を期待しているので回転数が下がるとトルクが得にく
い。また、燃焼室と渦流室とを形成する必要があるた
め、機構が複雑になり、高価である。
現状では火花点火機関、圧縮点火機関によらず、燃焼
が一層速やかに、かつ、燃料を完全に燃焼させ、機関効
率の向上と有害ガスの減少とコストの低減を図った内燃
機関が要望されている。また、流動型内燃機関において
安定にして完全な燃焼と排気ガス中の有害成分の減少及
び燃焼効率の向上が要望されている。
発明の開示 本発明の目的は、火花点火機関と圧縮点火機関に於い
て、燃焼を制御することによって、最高の爆発と燃焼を
自動的におこし、出力増加と安定な運転を保証するとと
もに、有害排気ガス成分、燃料消費量及び騒音を減少せ
しめる効果を得ることである。
本発明の他の目的は、スパークプラグに本発明を適用
することによって、既に製造された火花点火機構に於い
て、機関自体を改造することなく前記の効果を容易に得
ることにある。
本発明の一つの態様によれば、火花点火機関または圧
縮点火機関の圧縮工程における混合気または空気の流動
により、燃焼室内の一部においてその圧力を局部的に高
めて着火し、火炎を未燃焼の混合気または空気を包囲す
るように放射する手段が提供される。
本発明のいま一つの態様によれば、内燃機関の燃焼装
置は燃焼室内に気体の流動を案内する漏斗状の案内部材
(以下、コーンまたは調節板と称する。)を有し、その
小開口は点火領域に面して居り、前記案内部材に包囲さ
れる第一の通路と、前記案内部材と前記燃焼室内壁との
間を通って前記領域に達する第二の通路を形成し、前記
室内の気体は圧縮サイクル中に前記第一の通路と前記第
二の通路を通って前記領域に移送可能であり、燃焼サイ
クル中には前記領域における点火燃焼による燃焼生成物
が前記第二の通路を通って流動を起こすようにする。
本発明の他の態様によれば、スパークプラグの先端に
漏斗状のコーンを大開口をピストンに対向させて所定の
間隔をおいて配設し、前記コーンの小開口近傍に点火位
置を設定し、上記コーンの外側の接線が上死点近傍にお
けるピストン上面の少なくとも一部と交差するように設
定する。
本発明のさらに他の態様によれば、スパークプラグの
先端に頂部を切除したコーン形の部材を配設し、その小
開口を中心電極の先端方向に向け、前記中心電極の先端
部と小開口近傍の間に火花間隙を設け、前記小開口を含
む前記部材の端部と碍子の端面との間に前記中心電極の
先端部を包囲する内部空間を形成するように配置する。
本発明のさらに他の態様によれば、燃焼室内の壁に漏
斗状の調節板が、その小開口が固定されている壁に隣接
するように設けられ、燃焼生成物の流れを前記開口付近
より大開口方向に前記漏斗状の外面を導くようにした。
要約すれば、本発明は内燃機関の燃焼室内に新規の漏
斗状コーンもしくは調節板を導入することによって、従
来技術では燃焼室内面の形状の変更によって僅かしか変
化させることが出来なかった混合気の流動と燃焼の状態
を、自由に最適状態に制御することを可能とし、新規の
改良された内燃機関を提供せんとするものである。
図面の簡単な説明 第1図は本発明を火花点火機関に適用した一実施例に
ついて、燃焼過程を説明するためにの燃焼室部分の拡大
断面図; 第2A図〜第2C図は、本発明方法を実施するに当たって
用いられるコーンの一例を示す正面図、平面図、及び縦
断面図; 第3図乃至第6図はそれぞれ、本発明のスパークプラ
グの一実施例を示す正面図、側面図、縦断面図、及び点
火位置に向かって見た底面図; 第6A図は第3図に示すスパークプラグの端子側より見
た図; 第7図はコーン出口の変形例を示す第6図と同様の底
面図; 第8図は本発明を適用した圧縮点火機関の燃焼室部分
の拡大断面図; 第9図は本発明を適用した第8図と異なる形式の圧縮
点火機関の燃焼室部分の拡大断面図; 第10図は従来の一般的な火花点火機関の燃焼室部分の
断面図; 第11図は燃焼室内燃料噴射式火花点火機関の燃焼室部
分の断面図; 第12図はCVCC式火花点火機関の燃焼室部分の断面図; 第13図は従来の直接噴射式圧縮点火機関の燃焼室部分
の断面図; 第14図は従来の予燃焼室式圧縮点火機関の燃焼室部分
の断面図; 第15図は従来の渦流室式圧縮点火機関の燃焼室部分の
断面図; 第16図は従来の一般的スパークプラグの縦断面図; 第17図は米国特許第1,929,748号明細書に開示された
スパークプラグの断面図; 第18図は米国特許第3,056,899号明細書に開示された
スパークプラグの部分断面図;および 第19図は米国特許第3,515,925号明細書に開示された
スパークプラグの一部を破断し、かつ先端部の拡大断面
図を付した正面図である。
発明を実施するための最良の形態 まず、本発明を火花点火機関に適用した場合について
の動作原理を第1図を参照しながら説明する。
同図において、(1)はシリンダ(2)内にピストン
リング(3)によって気密に保たれた状態で、上下往復
動自在に配設されたピストン、(4)はシリンダ(2)
の上方に気密に取り付けられたシリンダヘッド、(5)
はピストン(1)、シリンダ(2)、シリンダヘッド
(4)によって形成される燃焼室を示す。(6)はシリ
ンダヘッド(4)に取り付けられたスパークプラグ、
(7)、(8)はシリンダヘッド(4)に取り付けられ
た吸気弁と排気弁を示す。
燃焼室(5)内には本発明の特徴である漏斗状のコー
ン(9)が配設されている。コーン(9)は、燃焼室
(5)の軸線上に、小径の開口部であるコーン出口(1
3)をスパークプラグ(6)の中心電極(14)に対向さ
せた状態でスパークプラグ(6)に対して所定間隔を隔
てて下方に配設され、スパークプラグ(6)との間に着
火領域(16)を形成している。コーン(9)の開口度
は、外側面下縁における接線(77)が上死点位置のピス
トン(1)の上面の少なくとも一部と交わるように設定
されている。
上記構成の火花点火機関において、吸気行程では吸気
弁(7)が開き、この吸気弁(7)からピストン(1)
の下降運動によって混合気がシリンダ(2)内に吸入さ
れる。そして下死点において吸気弁(7)が閉じた後、
ピストン(1)は圧縮工程の上昇運動を開始し、シリン
ダ(2)内の混合気は、ピストン(1)の上昇運動によ
って上方に向けて流動しながら圧縮される。このとき、
コーン(9)の外方にある混合気はコーン(9)の放射
面(22)とシリンダーヘッドの間の第二の通路を通って
矢印(92)のようにスパークプラグ(6)の内部空間に
流入し、コーン(9)の下方に位置する混合気は矢印
(12)にて示すように、前記第二の通路よりも実質的気
体通過面積が小さいコーン(9)の内部の第二の通路を
通過することによりコーン(9)のコーン出口(13)側
の端部および中心電極(14)と碍子(66)の燃焼室側先
端部で形成される着火領域(16)に集められることによ
り圧縮され、周囲より高圧の混合気となる。そしてこの
混合気は、通常ピストン(1)が上死点に到達する以前
にスパークプラグ(6)の中心電極(14)と外側電極
(15)との間の火花放電によって点火されて燃焼を開始
し、火炎核となる。上記のように中心電極と外側電極の
最も接近した位置はコーン出口付近にある。
上記火炎核は、引き続き圧縮流入する混合気(12)に
よって、着火領域(16)に広く伝ぱし、また矢印(92)
で示す空気流によっても移動し、スパークプラグ(6)
の内部にある混合気も燃焼を開始する。そしてこれらの
燃焼火炎(17)は、前記第二の通路から放射状に噴出
し、高温の燃焼ガス噴流と共に、ピストン(1)上部の
未燃焼混合気を包囲する。燃焼火炎(17)が噴出した後
の着火領域(16)は周囲に対して負圧となり、しかも混
合気(12)は噴出した燃焼火炎(17)によって側方及び
下方により包囲された状態で圧迫されることにより加熱
圧縮され、大きな圧力を受けて前述の如くコーン(9)
を経て着火領域(16)に流入し、C2、CH等の残留ラジカ
ルによって点火され、燃焼火炎(17)は上述の如く、コ
ーン(9)の放射面とシリンダーヘッドの間から放射状
に再噴出する。
上記燃焼サイクルは、燃焼室(5)と着火領域(16)
の混合気すべてが燃焼するまで行なわれ、極く短時間で
終了しピストンに押圧力を与える。
前記実施例の燃焼室形状は半球形とペンタルーフ形燃
焼室及びその類型と呼ばれるものを例としたが、本発明
は前記燃焼室形状以外のウェッジ形燃焼室及びその類
型、バスタブ形燃焼室及びその類型、BIP形燃焼室等に
適用しても同様に有効である。そして、ピストン上面の
形状も第1図のような平面だけでなく、混合気の流動を
より有効に行わせるため、コーンに対向する部分を凹ま
せるなどの各種形状とすることによって良い結果を得る
ことができる。
第2A図〜第2C図は、コーン(9)の一例の詳細を示
し、このコーン(9)は側面に2本の脚(19)(19)を
有する形式のもので、この脚(19)(19)を介して内燃
機関の燃焼室の所定位置に配置される。例えば、コーン
(9)と脚(19)(19)をシリンダーヘッドと一体に作
製することにより燃焼室内に固定するか、あるいは、脚
(19)(19)にネジ孔(20)(20)を形成してこのネジ
孔(20)(20)を利用してコーン(9)を燃焼室内に配
置させること等が可能である。以下ではコーン(9)の
内周面を入射面(21)、外周面を放射面(22)としてコ
ーン(9)の詳細な形状について説明する。入射面(2
1)は混合気を集束しながら通過させ、放射面(22)は
混合気を燃焼火炎としてシリンダーヘッドとの間から上
死点近傍のピストン(1)上面外周に向けて噴出させる
ものであり、従って入射面(21)の形状としては最も有
効に集束作用が行なわれるように、例えばエクスポネン
シャルホーン状のものが選択され、放射面(22)の形状
としては、燃焼火炎が最も有効に噴射されるように、例
えば対向するシリンダーヘッドとの間でエクスポネンシ
ャルホーンが形成されるような形状が選択される。な
お、放射面(22)は、少なくとも一部の燃焼火炎の噴射
が、上死点近傍のピストン(1)上面の外周部分に向け
て行われるように設定しておくことが、混合気を有効に
包囲するために望ましい。また、放射面(22)または対
向する壁面に螺旋状の溝を形成して噴出する燃焼火炎に
旋回を与えることにより、燃焼を更に促進することもで
きる。
更に、コーン(9)は第2A図〜第2C図においては平面
形状略円形のものを示しているが、これは、燃焼室
(5)の形状に応じて適宣の形状、例えば楕円形等に変
更してもよく、また、吸気弁(7)、排気弁(8)の動
作と干渉しないように外周部分に切欠きを形成してもよ
い。更に、燃焼室(5)におけるスパークプラグ(6)
の位置に対応させて、コーン(9)を傾けてもよい。ま
たコーン出口(13)の形状も円形に限るものではなく、
大径の開口部に対して偏心して形成してもよい。
コーン(9)は燃焼火炎にさらされて高温となるた
め、材質としては耐熱性の高いセラミックや金属が望ま
しい。セラミックとしては放熱、冷却の点で有利な熱伝
導度の良いアルミナ、炭化珪素、窒化アルミニウム等が
好適である。金属としては耐熱合金が考えられる。しか
し、これらは充分放熱が行なわれないと機関の高速回転
時に、コーン(9)自体の熱により、スパークプラグ
(6)による点火よりも早く混合気が着火して異常を生
じるので、これを防止するためと金属を高熱から守るた
め、熱絶縁コーティングを施す必要がある。例えば、第
2C図に示すように、快削鋼等の安価で加工容易な材料で
円錐状の基材(23)を作製し、入射面(21)となる内側
面に、上記のような熱伝導性の良いセラミック材又は耐
熱合金を薄くプラズマ溶射して被膜を形成し、基材(2
3)の酸化防止と入射混合気による冷却が行なわれるよ
うにし、放射面(22)となる外側面には、TBC〔サーマ
ル・バリヤ・コーティング/熱障壁被膜〕を形成して酸
化防止と耐熱及び基材(23)への熱の伝導を少なくして
温度上昇を抑制する方法がある。TBCとしては基材(2
3)の表面に例えば、Ni−Co−Cr−Al合金及びサーメッ
トをボンド層としてコーティングし、次に、例えばZrO2
・8Y2.O3等をセラミック層としてこの順にプラズマ溶射
してコーティングしたものが有効に使用できる。また、
T.B.C.のボンド層用合金は耐熱材であるのでコーン内面
にコーティングして酸化防止耐熱膜とすることもでき
る。T.B.C.はコーン外面のほか炎にさらされる部分に施
すことによって、断熱と酸化防止を図ることができる。
SUS 310S等の耐熱合金を基材に使用した場合には放射面
(22)のみにT.B.C.を行うだけで良い場合もある。
更に、入射面(21)の放熱性を向上させる方法とし
て、この面に凹凸を形成して表面積を拡大させることに
より放熱面積を増大させてもよく、また入射面(21)か
ら放射面(22)に通じる細孔、あるいはスリット等を設
けてもよい。
以上のように、燃焼室(5)にコーン(9)を設ける
ことにより、圧縮工程における混合気の流動によって周
囲よりも圧力を高めた混合気に点火することができるた
め、希薄混合気においても確実な点火が可能であり、更
に燃焼によって生じる火炎を放射状に燃焼室壁面に沿っ
て噴射させ、火炎伝播を抵抗少なく高速に行なわせると
ともにピストン上方の未燃焼混合気を包囲し、完全な燃
焼を行なわせることができる。これはまた末端ガスに早
く火をつけることによってノッキングを起こさないよう
にする作用がある。
なお、第1図において、コーン(9)に導電性材料を
使用し、中心電極(14)とコーン出口(13)の距離を放
電に適切な値とすることにより、スパークプラグ(6)
の外側電極(15)は省略することができる。
排気ガスの有害成分の減少作用について更に詳細に述
べると、HCは、混合気が前述の火炎の噴出作用によって
壁面からはぎとられ包囲され、かつ循環して、残留する
ことなく燃焼することにより減少する。またCOは、前述
のように混合気が全体に良く混合されて酸素が十分に供
給されることにより減少する。またNoxは、燃焼が火炎
の包囲・循環によって速く行われ、燃焼全体が滞留によ
る局部高温なく流動によって完全にそして急速に低温化
することによって、減少するのである。
第3図乃至第6図は、本発明の既存の火花点火機関に
適用する場合の具体的な実施例を示すものである。
本発明を既存の火花点火機関に適用する場合、スパー
クプラグ(6)の軸線上にコーン(24)を配設する必要
があり、そのためこの実施例においては、スパークプラ
グ(6)の先端にコーン(24)を配設してある。コーン
(24)は、前述のコーン(9)と同様の構成でスパーク
プラグ(6)の主体金具(67)と脚(19)(19)を介し
て一体に形成あるいは、それぞれ別体に作製したものを
溶接等により一体に組み立てたものとしてある。
コーン(24)は、導電性材料、例えば金属から作製さ
れており、スパークプラグ(6)の主体金具(67)と一
体に形成あるいは溶接固定されることにより、外側電極
として機能するもので、この場合スパークは、ほぼ円錐
状に形成した中心電極(25)の先端とコーン出口(13)
との間に飛ぶ。中心電極(25)の先端をほぼ円錐状に形
成したのは、一般のスパークプラグの中心電極のように
先端が平面状であると、コーン出口(13)付近の混合気
の円滑な流れを妨害して不完全燃焼を誘発し、この中心
電極の先端平面にカーボンが堆積するので、そのような
不都合を解消するためである。そして、中心電極(25)
の先端はコーン出口(13)に近接する位置に設定され、
コーン出口(13)の内周縁と中心電極(25)の先端との
間には適宣の放電ギャップ、例えば1〜2mm程度が設定
されている。なお、上記放電ギャップを維持した状態で
コーン出口(13)の開口面積を増加させる場合には、第
7図に示すようにコーン出口(13)の周縁に適宣の形状
の切欠き(27)を形成すればよい。この際、スパークが
コーン放射口開角の中心において起こるように切欠き位
置を設定するのが良い。
コーン(24)の外径D1はシリンダーの直径および燃焼
室の形状により最適値を求めて決定されるが、その最大
径はシリンダーヘッド(4)のスパークプラグ取付用ね
じ孔に挿入し得る寸法に設定されており、コーン(24)
の燃焼室(5)内への突出高さHは、ピストン(1)、
吸気弁(7)及び排気弁(8)と干渉しない高さに設定
されている。コーン出口(13)の内径D2は、中心電極
(25)に対するスパークギャップを前述のように1〜2m
mとした場合、3〜5mm程度に設定される。スパークプラ
グ(6)の外側電極として機能するコーン(24)の中心
電極(25)との対向面であるコーン出口(13)の内周縁
は、第2C図及び第5図に示すように断面を尖ったウエッ
ジ状に形成して、中心電極(25)との間の所定位置にス
パークを確実に生じさせることができるようにし、しか
も、混合気及び燃焼ガスに対して一方向に良く通過させ
る逆流防止弁としての機能を持たせるのが最良である。
なお、コーン出口(13)の周縁に、混合気の流れ方向す
なわちスパークプラグの軸方向に対して巾を持たせる必
要がある場合でも、その巾は、中心電極(25)とコーン
出口(13)の周縁との間の距離より短く設定する方が好
ましい。これは、コーン出口(13)の周縁における巾が
広いと、比較的低気圧のコーン内奥と中心電極の間で生
じるスパークにより点火させた燃焼火炎が着火領域内に
移動せず、燃焼室(5)側に拡がるため、本発明の特徴
であるコーン(24)が所定の機能をせず、通常のスパー
クプラグと同様の作用しかしないからである。
コーン出口(13)から着火領域(16)を経由して、主
体金具(67)の下端とコーン(24)の外周縁とで形成さ
れる通気間隙すなわち噴射口(29)に至る間の通路及び
噴射口の実効気体通過面積は、コーン出口(13)の実効
気体通過面積よりも狭い部分がないようにしておく必要
がある。それは、その間に狭い部分があると、着火領域
(16)内の燃焼火炎が噴射口(29)に向かって移動する
のを妨げるとともに、コーン出口(13)から燃焼室
(5)内に逆噴射して本発明の目的とする作用が行なわ
れなかったり、着火領域(16)やスパークプラグ内でく
すぶり等の不完全燃焼を生じさせることにより燃焼室
(5)内における混合気の着火不良を引き起こすからで
ある。
コーン(24)の放射面(22)は、この放射面(22)に
沿って噴出される燃焼火炎が、前述のように、上死点近
傍におけるピストン(1)の上面周縁内に向けて噴出さ
れ得る角度θに設定されており、本実施例ではコーン
(24)の軸線に対して約45゜に設定してある。
更に、コーン(24)の噴射口(29)の開口幅W、すな
わち、スパークプラグ(6)の主体金具(67)の下端と
コーン(24)の外側上縁との間隔は、小さ過ぎると燃焼
火炎の噴出抵抗が増加し、大き過ぎるとコーン(24)の
高さHが増加してコーン(24)がピストン(1)上面や
吸、排気弁(7)(8)と衝突するので、これらを解決
し得る寸法範囲内で適宣の値に設定する必要がある。本
実施例においては2mm以上が必要であり、約3mm以上で良
好な結果が得られた。
噴射口(29)の形状は、円形であると混合気の渦流に
よって噴射口(29)から噴出する燃焼火炎が吹きちぎら
やすいので、円形以外の、渦流方向に長い矩形あるいは
楕円形等が好ましい。
噴射口(29)の実質的な開口面積は脚(19)によって
制限される。すなわち、脚(19)を細くすれば開口面積
は増大するが放熱が悪くなり、脚(19)を太くすれば放
熱の問題は解消するが、開口面積が減少して噴射抵抗が
増加するため、噴射口(29)が設けられる部分の面積、
すなわち、第5図に示すようにコーン(24)の外径D1
直径とし、コーン(24)の高さHを有する仮想円筒の表
面積の33%以上が好ましい。本実施例においては約65%
が最適であった。コーン出口(13)の実効気体通過面積
に対する噴射口の実効気体通過面積は4倍以上がよく、
また、第5図に示すようにスパークプラグ内部の混合気
が着火し、噴出しやすいように主体金具の内面開口部を
(79)に示すようにテーパーに面取りすると良い。
以上のように、本実施例によればスパークプラグの先
端にコーンを設け、このスパークプラグを在来のスパー
クプラグと交換して機関に装着するのみで、機関自体に
は全く手を加えることなく、安価に既存の火花点火機関
で前述実施例と同様の効果を得ることができ、更に、本
発明のスパークプラグは、放電部分がコーンによって大
部分覆われているため、始動時や急加速時のガソリンミ
スト〔生ガス〕による電極漏れがなく、点火不良を生じ
ないという優れた特徴も有する。
また、本実施例においても、混合気および燃焼火炎流
が循環することにより、スパークプラグ内部は極めて清
潔に保たれる。
前記のテーパー面取りした部分(79)から始まるスパ
ークプラグ主体金具(67)の碍子(66)に対応する内面
に、前記セラミック層を設けると、さらに燃焼残滓の付
着を減少させることができる。
本発明者の実験によれば、本スパークプラグの火炎放
射方向、すなわち開口方向(横断面で見た通気間隙また
は噴射口(29)の向き)には最適方向がある。その方向
は混合気または空気の吸入口に関係していて、前記開口
に前記吸入口から流入した新鮮な混合気または空気によ
ってコーンが冷却され、しかもそれらが着火領域に充分
供給され、強力な燃焼を開始するようにすることによっ
て良い結果が得られた。これを実際に着脱交換可能なス
パークプラグで行うため、次のような方法を本発明者は
提案する。
まず、スパークプラグのネジ(69)のスパーグプラグ
の基台端(78)と交わる位置と前記開口方向を一定の関
係に定め、エンジン側はスパークプラグ取り付けネジの
スパークプラグをねじ込み始める側のネジの切り始め位
置を、スパークプラグを取り付けた時に前記開口方向が
前記最適の方向に向くようにする。また、既製のエンジ
ンであってエンジン側のネジが既に作られており、開口
方向が最適方向を向かない時は、ガスケット(68)の厚
さを選択したり、ガスケット(68)とスパークプラグ基
台端の間に適当な厚さのワッシャを入れることによって
方向を調節する。もっとも、いったんスパークプラグを
エンジンにねじ込んでしまうと開口方向を見ることがで
きない。そこで本発明者は、第6A図に示すように、端子
上面など、取付後も見えるスパークプラグの外部に、
(86)または(87)に示すような印を設けることにより
容易に開口方向を知ることができるようにした。
本発明はロータリー・エンジンにも有効である。ロー
タリー・エンジンにおいては、前記開口方向を新鮮混合
気のもたらされるローターの回転方向に向かって開くよ
うにするのが良い。
前述のようにコーン(24)の放射面とスパークプラグ
主体金具の間から噴出した火炎がシリンダーヘッドに直
接当たるとその部分を高温にし変形させることがあるの
で、スパークプラグ主体金具の先端は第5図に示すよう
にシリンダーヘッド内面より突出していると良い。また
別の方法では、シリンダーヘッド内面のスパークプラグ
取付孔の周辺等の、火炎に接する部分にT.B.C.を施した
り、耐熱合金を使用して高温による悪影響を除去するこ
とができる。
上記説明はスパークプラグを1ケ月使用する場合につ
いて行ったが、本発明を複数スパークプラグ方式にも適
用できることは勿論である。
本発明のコーン付きスパークプラグを使用しそのコー
ン外径D1を取り付けネジの内径より大きくしたことがあ
る。このような場合には、シリンダーヘッド内にあらか
じめ、コーン外径に丁度適合する内径をもつ環状のコー
ン外輪を設けておき前記スパークプラグのコーンと整合
せしめることにより、実質的にコーン外径を必要な大き
さに拡大することができるものである。
次に、本発明を一般的な圧縮点火機関に適用した場合
についての燃焼形式を第8図を参照しながら説明する。
同図において、(33)は上面に燃焼室(34)を形成し
たピストンで、ピストンリング(3)によって気密を保
った状態でシリンダ(2)内を上下移動する。(35)は
シリンダヘッドで、シリンダ(2)上に気密に固定され
ており、このシリンダヘッド(35)と上死点位置のピス
トン(33)との間は微小間隔となるように設定されてい
る。シリンダヘッド(35)には燃焼室(34)内に燃料を
噴射するための燃料噴射弁(36)が配設されており、こ
の燃料噴射弁(36)をはさんで左右に吸気弁(7)と排
気弁(8)が設けられている。シリンダヘッド(35)に
は、燃料噴射弁(36)の軸線上に、本発明の特徴である
コーン(9)が配設されている。このコーン(9)は、
第2B図に示すように脚(19)に形成したネジ穴(20)を
用いてシリンダヘッド(35)に固定されたもの、あるい
はシリンダヘッド(35)と一体に形成されたものであ
る。このコーン(9)と燃焼室(34)との幾何学的な関
係は、燃焼火炎(17)が着火領域(16)から噴射してコ
ーン(9)を離れる位置の燃焼火炎(17)の通路すなわ
ち通気間隙の断面積より、コーン(9)を離れた後の通
路の断面積がピストンの上死点において小さくならない
ように設定される。
上記構成の圧縮点火機関において、吸気工程でシリン
ダ(2)内に吸入された空気は、圧縮工程で、ピストン
(33)の上昇運動によって上方へ向かって圧縮されなが
ら流動し、コーン(9)の下方における空気流(38)
は、図示するようにコーン(9)の内側を通過すること
により集合し、コーン出口(13)と燃焼噴射弁(36)の
燃焼室側先端部とによって形成される着火領域(16)に
おいて、高圧、高温の状態となり高い空気密度を生じ
る。
また、ピストン(33)が上死点に近づくにつれ、ピス
トン(33)の上面周縁とシリンダヘッド(35)との間の
空気はスキッシュ空気流(39)となって着火領域(16)
周辺に流入し、着火領域の高温、高圧の空気に対して、
燃料噴射弁(36)から燃料が噴射されると、噴射された
燃料は分裂、微粒化、蒸発しつつ前述の高温、高圧の空
気によって加熱され、上死点前で着火する。着火までに
要する時間、すなわち発火遅れは、雰囲気の温度と圧力
が主な支配因子であるから、上記圧縮点火機関において
は、コーン(9)によって着火領域の温度と圧力か高め
られているため発火遅れを短縮でき、しかも着火領域
(16)が燃焼室(34)内の空気の渦流、その他の流動の
影響を受けにくいので安定して着火が行なわれる。な
お、このときの燃料の噴射(40)は、図示するように、
着火領域(16)内へ直接噴射される場合、コーン(9)
の放射面(22)に当たって加熱される場合、コーン出口
(13)の方向に向かって噴射され、コーン出口(13)に
向かって流れて来る空気とあらかじめ混合する場合等に
分けられ、これらを適切に切み合わせて空気との混合と
着火燃焼条件を機関の目的に応じて設定することができ
る。
なお、第8図において、説明の便宣のために、空気流
と噴射された燃料(40)を図面中心より左側に、燃焼火
炎(17)を右側に示す。
上述のようにして着火された燃焼火炎(17)は、図示
するようにコーン(9)の放射面(22)とシリンダーヘ
ッド(35)およびピストン(33)の内壁の間から放射状
に燃焼室(34)内に噴出する。また、この時、未燃焼燃
料粒子が共に噴出して燃焼室(34)内の空気と急速に混
合されて燃焼する。
燃焼火炎が噴出した後の着火領域(16)は負圧となっ
て空気流(38)を吸引するとともに、この空気流(38)
には燃焼火炎(17)に前記燃料が加わって側方と下方と
から圧迫、加熱され、大きな圧力を受けるため、空気流
(38)は急速に着火領域(16)内に流入する。そして、
この空気流(38)は、燃料噴射弁(36)から噴射された
燃料と混合してC2、CH等の残留ラジカルによって着火さ
れ、その燃焼火炎(17)は前述のように図示する方向に
再噴射する。そしてこの時、コーン(9)の放射面(2
2)の熱は上記着火・燃焼を更に促進するため、上記一
連の燃焼過程は高速で進行し、燃焼室(34)内の燃料が
すべて燃焼するまで循環継続する。また、コーン放射面
(22)は燃料の蒸発により冷却することができる。ま
た、この放射面に触媒を設けることによって、アルコー
ルをH2とCOに分解したり、重質油を形質油に改質したり
することもできる。また、燃料とは別に水噴射を前記放
射面に行うことによって、急速なガス化が可能である。
以上のように本発明によれば、圧縮点火機関における
発火遅れが短く、各サイクル毎に安定させることがで
き、燃料の霧化及び空気との混合が完全に行われて、上
記のように一連の安定した燃焼過程となるため、局部的
高温燃焼や爆発的急激燃焼がなく、従って騒音が少な
く、排ガス中の有害成分の少ない機関となる。
また、燃焼室、着火領域、コーン等の形状・寸法、機
関の燃料噴射特性、圧縮圧力等を適宣に選択することに
より、オットーサイクルからディーゼルサイクルまで適
宣の燃焼の燃焼サイクルを自由に設定でき、燃焼を制御
することが可能で低速回転機関から高速回転機関まで広
範囲に充分対応し得るものであり、しかも従来例の予燃
焼室式や渦流室式に比し燃焼室の全表面積が小さく熱損
失が少ないため、熱効率を高めることができる。
次に、本発明を第9図に示すような圧縮点火機関に適
用した一実施例についての燃焼過程を説明する。第8図
に示す圧縮点火機関との主要な相違点は、燃焼室(41)
が、ピストン(44)ではなくシリンダヘッド(42)側に
形成されていることで、この形式のものは、燃焼室の冷
却がシリンダヘッドを介して容易に行える。また、スキ
ッシュ空気流(43)はピストン(44)上面の中央部の突
起(45)によってコーン(9)の方向に偏向され、着火
領域(16)附近には渦流用窪み(46)が設けられてお
り、流入した空気はこの窪み(46)内で渦流(47)とな
り、噴射された燃料と強力に混合される。
また、着火領域(16)附近には、低温時の始動性を高
めるためのグロープラグ(48)が設けられており、前述
の圧縮点火機関よりも低圧縮比の機関とすることができ
る。
本発明によれば、着火後も渦流状の空気流と噴射燃料
との混合が行われるのが大きな特徴であり、また、従来
の副燃焼室式機関のように副燃焼室内に燃焼ガスが残留
せず、排気ガスとして着火領域から容易に排出される。
本実施例において、コーン(9)の脚(19)を2本と
してシリンダヘッドに対して電気的に絶縁状態に取り付
け、この脚(19)からコーン(9)に電流を供給してコ
ーン(9)自体を発熱させるようにすれば、グロープラ
グとして機能させることができるので、上記グロープラ
グ(48)を省略した、より簡単な構造の機関が提供でき
る。また、このようにコーン(9)自体を通電により発
熱させるようにしておけば、燃料のセタン価によってコ
ーン(9)の温度を適宣に変更することにより、多種の
燃料を使用できる機関が得られる。
またグロープラグをスパークプラグにおきかえれば燃
焼室内燃料噴射式火花点火機関が容易に形成される。
また、前記例において、空気の代わりに希薄混合気を
吸入し、燃料弁から燃料又は濃い混合気を着火位置に供
給するならば、層状給気希薄燃焼をさせることができ
る。
以上の説明はすべて4サイクル基幹に適用した場合に
関するものであるが、2サイクル機関においても同様
に、かつ、容易に適用し得ることは言うまでもない。
以上説明したように、本発明によれば燃焼を制御する
ことが可能であるから、火花点火機関においては、確実
な点火及び迅速、完全な燃焼が希薄混合気についても可
能であり、圧縮点火機関においては発火遅れの短縮、安
定した着火燃焼、噴射燃料のガス化並びに空気との良好
な混合、均質な燃焼が行われるから燃料を有効に燃焼さ
せることができて、熱効率の向上による機関出力の増
大、燃料消費量の低減及び排気ガス中の有害成分の低減
が達成されるとともに、燃焼室内のカーボン堆積の減
少、スパークプラグの燃料による漏れや汚染、損耗等の
防止により常に燃焼室内が清浄に保たれて、機関の始動
性及び運転時の安定性の高い内燃機関を提供することが
できる。また、ノッキングが起こりにくいから圧縮比を
大にして高出力や、希薄混合気による運転が可能とな
る。更に本発明によれば、上述の効果を有するため、火
花点火機関においては、燃焼室内燃料噴射式機関を容易
かつ安価にして実現でき、圧縮点火機関においては、多
種燃料機関又は低騒音機関を容易、且つ、安価に実現で
きる。
更に、本発明によれば、在来の火花点火機関の一般的
なスパークプラグに代えて本発明装置を装着することに
より、機関自体に何ら変更を加えることなく、上述の効
果を安定かつ、簡単に発揮させることができる。

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の燃焼室において調節板が前記室
    内の壁に固定されていて、前記調節板は漏斗状をしてお
    り、小径開口が固定されている壁に隣接していて大径開
    口が実質的に前記小径開口の反対に位置するように構成
    されており、燃焼室内に導入された燃料を小径開口付近
    で点火し、前記調節板は燃焼生成物の流れを前記小径開
    口付近より前記漏斗状の外面を前記大径開口の方向にむ
    かって導くように前記室内に配置し前記壁に一定の関係
    をもって固定されていることを特徴とする内燃機関にお
    ける調節板。
  2. 【請求項2】調節板の小径開口の面積は大径開口と燃焼
    室壁の間に形成される通気間隙より小である請求項1の
    調節板。
  3. 【請求項3】調節板の小径開口の面積は大径開口と燃焼
    室壁の間に形成される通気間隙の4分の1に等しいか小
    である請求項2の調節板。
  4. 【請求項4】調節板の大径開口と燃焼室壁の間に形成さ
    れる通気間隙は調節板の最大外径と前記調節板の高さを
    有する円筒面積の33%ないし65%である請求項1の調節
    板。
  5. 【請求項5】調節板の材質は耐熱材である請求項1の調
    節板。
  6. 【請求項6】表面に耐熱膜を有する請求項1の調節板。
  7. 【請求項7】表面に触媒を有する請求項1の調節板。
  8. 【請求項8】燃焼を支持する気体によって冷却される請
    求項1の調節板。
  9. 【請求項9】燃料によって冷却される請求項1の調節
    板。
  10. 【請求項10】前記燃焼室内の壁の調節板周辺部分が他
    の部分より融点の高い材質を有する請求項1の調節板。
  11. 【請求項11】前記燃焼室はシリンダー、シリンダーヘ
    ッド、ピストンからなり、前記調節板の漏斗状の外面の
    接線の延長線は上死点のピストン上面に交差する請求項
    1の調節板。
  12. 【請求項12】主体金具、一端が電源に接続される中心
    電極、中心電極を取り巻き主体金具の内側にある碍子、
    中心電極の他端は碍子より露出し火花放電の電極をな
    し、漏斗状調節板が主体金具に間隔を持ってとりつけら
    れ、少なくとも一つの通気間隙が調節板と主体金具の間
    に形成され、前記調節板は前記中心電極の端部付近より
    主体金具の外方にのび、前記調節板の寸法は前記主体金
    具より離間すると増大し、前記調節板の小径開口は前記
    中心電極の端部付近に位置することによりなる内燃機関
    用点火装置であって、点火のための火花間隙が前記中心
    電極と、前記小径開口と前記主体金具間または小径開口
    の辺縁区域にあることを特徴とする内燃機関用点火装
    置。
  13. 【請求項13】調節板の小径開口の面積は大径開口と主
    体金具の間に形成される通気間隙より小である請求項12
    の内燃機関用点火装置。
  14. 【請求項14】調節板の小径開口の面積は大径開口と主
    体金具の間に形成される通気間隙の4分の1に等しいか
    小である請求項13の内燃機関用点火装置。
  15. 【請求項15】調節板の大径開口と主体金具の間に形成
    される通気間隙は調節板の最大外径と前記調節板の高さ
    を有する円筒面積の33%ないし65%である請求項12の内
    燃機関用点火装置。
  16. 【請求項16】調節板の材質は耐熱材である請求項12の
    内燃機関用点火装置。
  17. 【請求項17】調節板の表面に耐熱膜を有する請求項12
    の内燃機関用点火装置。
  18. 【請求項18】調節板の表面に触媒を有する請求項12の
    内燃機関用点火装置。
  19. 【請求項19】前記火花間隙は前記通気間隙と一定の角
    度関係にある請求項12の内燃機関用点火装置。
  20. 【請求項20】通気間隙または火花間隙の方向を示す手
    段を前記点火装置の外部に有する請求項12の内燃機関用
    点火装置。
  21. 【請求項21】火花間隙は前記中心電極と外側電極間に
    ある請求項12の内燃機関用点火装置。
  22. 【請求項22】調節板が燃焼室内の壁に固定され、前記
    調節板は漏斗状で小径開口が固定されている壁に隣接し
    ており大径開口が実質的に前記小径開口の反対に位置す
    るように構成され少なくとも一つの通気間隙が調節板と
    燃焼室壁の間に形成され、燃焼室内に導入された燃料を
    小径開口付近に設けた火花間隙で点火し、前記調節板は
    燃焼生成物の流れを前記小径開口付近より前記漏斗状の
    外面を前記大径開口の方向にむかって導くように前記室
    内に配置し前記壁に一定の関係をもって固定されている
    ことを特徴とする火花点火内燃機関。
  23. 【請求項23】通気間隙は空気または混合気の流入方向
    を向いている請求項22の火花点火内燃機関。
  24. 【請求項24】通気間隙または火花間隙の方向を示す手
    段を前記火花点火内燃機関の外部に有する請求項22の火
    花点火内燃機関。
  25. 【請求項25】調節板が燃焼室内の壁に固定され、前記
    調節板は漏斗状で小径開口が固定されている壁に隣接し
    ており大径開口が実質的に前記小径開口の反対に位置す
    るように構成され、少なくとも一つの通気間隙が調節板
    と燃焼室壁の間に形成され、燃焼室内に導入された燃料
    を小径開口付近において圧縮点火し、前記調節板は燃焼
    生成物の流れを前記小径開口付近より前記漏斗状の外面
    を前記大径開口の方向にむかって導くように前記室内に
    配置し前記壁に一定の関係をもって固定されていること
    を特徴とする圧縮点火内燃機関。
  26. 【請求項26】通気間隙は空気の流入方向を向いている
    請求項25の圧縮点火内燃機関。
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