JP2022030604A - 点火システム - Google Patents

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篤 岩見
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Abstract

【課題】上死点後点火制御において、火炎を速やかに主室内に伝播させる【解決手段】点火システムは、隔壁34と点火プラグ40とを有する。隔壁34は、エンジンの燃焼室30を主室31と副室38とに区分けしている。その隔壁34には、主室31から副室38にまで連通する噴孔35が一又は複数設けられている。そして、点火システムは、エンジンが所定の運転状況の時には、圧縮上死点よりも後に点火プラグ40により点火を行う上死点後点火制御を実行する。その上死点後点火制御では、点火開始タイミングから20クランクアングル以内において、噴孔近傍領域R内、噴孔35内又は主室38内に、自己成長可能な大きさの火炎核としての着火源を配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、燃焼室内の燃料に点火する点火システムに関する。
点火システムの中には、隔壁と点火プラグとを有するものがある。隔壁は、エンジンの燃焼室を主室と副室とに区分けしている。その隔壁には、主室から副室にまで連通する複数の噴孔が設けられている。点火プラグは、副室内において所定の放電ギャップに電圧を印加することにより、放電火花を発生させて燃料に点火する。そして、このような技術を示す文献としては、次の特許文献1がある。
特許第5122367号公報
このような点火システムは、通常時等には、圧縮上死点よりも前に、すなわち圧縮行程内に点火を行う制御としての上死点前点火制御を実行する。その上死点前点火制御においては、副室に発生させた放電火花が、燃焼室内に発生しているタンブルやスワールにより伸長する。その伸長した放電火花により着火した炎が噴孔を通じて主室内に勢いよく噴出することにより、燃焼室内における燃焼の進行が促進される。
しかしながら、点火システムは、所定の状況下では、圧縮上死点よりも前にではなく後に、すなわち膨張行程内に点火を行う制御としての上死点後点火制御を実行する。具体的には、例えば、触媒暖機のためのファーストアイドリング時には、燃焼で発生した熱を排気通路にある触媒に効率よく伝えるために、極力遅く点火を行う。そのため、圧縮上死点よりも後に点火を行うことになる。
しかしながら、圧縮上死点よりも後においては、ピストンが圧縮上死点を通過する際にタンブルやスワールが崩壊してしまうため、副室内における気流が弱くなってしまう。そのため、放電火花が伸長し難くなってしまい、着火性が低下してしまう。そのため、副室内で着火して、火炎が副室内に伝播して噴孔から主室内に噴出するまでの時間が長くなってしまう。そのため、火炎を速やかに主室内に伝播させることができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上死点後点火制御において、火炎を速やかに主室内に伝播させることを主たる目的とする。
本発明の点火システムは、隔壁と点火プラグとを有する。前記隔壁は、エンジンの燃焼室を主室と副室とに区分けしている。前記隔壁には、前記主室から前記副室にまで連通する噴孔が一又は複数設けられている。前記点火プラグは、第1電極と第2電極との間の放電ギャップに電圧を印加することにより、放電火花を発生させて燃料に点火する。前記第1電極は、前記副室内に設けられている。前記第2電極は、前記隔壁に又は前記隔壁と電気的に導通した部位に設けられている。
以下では、前記放電ギャップに電圧を印加し始めるタイミングを点火開始タイミングとし、前記噴孔の前記副室側の開口の中心を噴孔中心とし、前記副室内における前記噴孔中心から3mm以内の領域を噴孔近傍領域とする。
前記点火システムは、前記エンジンが所定の運転状況の時には、圧縮上死点よりも後に前記点火を行う制御としての上死点後点火制御を実行する。前記上死点後点火制御では、前記点火開始タイミングから20クランクアングル以内において、前記噴孔近傍領域内、前記噴孔内又は前記主室内に、自己成長可能な大きさの火炎核としての着火源を配置する。
本発明によれば、次の効果が得られる。上死点後点火制御では、点火開始タイミングから20クランクアングル以内といった早期に、噴孔近傍領域内、噴孔内又は主室内に着火源を配置する。そして、噴孔近傍領域内や噴孔内に着火源を配置した場合には、その着火源から成長した炎が速やかに主室内に噴出し易い。また、主室内に着火源を配置した場合には、その着火源から成長した炎がそのまま主室内に伝播することになる。そのため、上死点後点火制御において、火炎を速やかに主室内に伝播させることができる。
第1実施形態の点火システムを示す断面図 副室及びその周辺を示す断面図 着火源の噴孔中心からの距離と燃焼安定指数との関係を示すグラフ 火炎核の成長を示すグラフ 燃焼室内の圧力の推移を示すグラフ 点火システムの製造方法のフローを示す図 噴孔距離及び噴孔比とギャップ気流との関係を示すグラフ 比較例及び本実施形態の点火プラグ及びその周辺を示す断面図 比較例及び本実施形態における燃焼の進行を示すタイムチャート 図9に示す各タイムチャートの点火開始タイミングを揃えて示す図 比較例及び本実施形態における燃焼割合の推移を示すグラフ 図9の一部を拡大したグラフ 比較例及び本実施形態におけるギャップ流速の推移を示すグラフ
次に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の点火システム70が搭載されたエンジン90を示す断面図である。エンジン90は、一燃焼サイクルが吸気行程→圧縮行程→膨張行程→排気行程の4行程(720クランクアングル)からなる4ストロークエンジンである。以下では、それらのうちの圧縮行程と膨張行程との間の上死点を、「圧縮上死点Td」という。エンジン90は、シリンダ10と、その上部に取り付けられているヘッド20とを有する。
以下では、図に合わせて、シリンダ10の中心線Xの長さ方向を上下方向として説明する。ただし、例えば、当該中心線Xを上下方向に対して斜めにしてエンジン90及び点火システム70を設置したり、当該中心線Xを水平方向にしてエンジン90及び点火システム70を設置したりする等、エンジン90及び点火システム70は、任意の方向に設置できる。
シリンダ10内には、ピストン18が設置されている。ピストン18は、リンク12を介してクランクシャフト11に連結されており、クランクシャフト11の回転に従い上下動する。そのピストン18の上面とシリンダ10の内周面とヘッド20の下面とに囲まれた空間が、燃焼室30を構成している。
ヘッド20には、燃焼室30内に気体を吸入するための吸気通路21と、燃焼室30内の気体を排出するための排気通路29とが設けられている。そして、吸気通路21には吸気弁24が設置され、排気通路29には排気弁26が設置されている。吸気弁24は吸気カム23により駆動され、排気弁26は排気カム27により駆動される。そして、ヘッド20には、吸気通路21に燃料を噴射するための燃料噴射装置22が設置されている。
点火システム70は、隔壁34と点火プラグ40と点火制御部50を有する。点火制御部50は、ECU(電子制御ユニット)等の一部であって、エンジン90が有する所定のセンサ等からの情報に基づいて点火プラグ40を制御する。その所定のセンサとしては、例えば、クランク角センサや、ノックセンサや、吸気圧センサや、排気圧センサや、内圧センサや、触媒温度センサ等が挙げられる。
図2は、副室38及びその周辺を示す断面図である。点火プラグ40は、第1電極44とその外周側に設けられている絶縁碍子41とを有する。絶縁碍子41の下端部に、隔壁34が取り付けられている。その隔壁34よりも内側が副室38を構成し、隔壁34よりも外側が主室31を構成している。すなわち、隔壁34は、エンジン90の燃焼室30を主室31と副室38とに区分けしている。その隔壁34には、主室31から副室38にまで連通する噴孔35が複数設けられている。隔壁34は、導電体製であり、点火プラグ40の第2電極46を兼ねている。そして、点火プラグ40は、第1電極44と第2電極46との間の放電ギャップ45に電圧を印加することにより、放電火花fを発生させて燃料に点火する。
より具体的には、点火プラグ40は、一次コイルと二次コイルとを有する。そして、一次コイルに電流を流すことにより、一次コイルに磁気エネルギーが蓄積される。次に、その電流を止めると、一次コイルに蓄積されている磁気エネルギーにより、二次コイルに起電圧が発生する。その起電圧により、放電ギャップ45に電圧が印加されて放電火花fが形成される。そのため、一次コイルに流している電流を止めるタイミングが、放電ギャップ45に電圧を印加し始めて点火を開始するタイミングとしての点火開始タイミングTsとなる。
以下では、複数の噴孔35のうちの1つを「中央噴孔35c」とする。中央噴孔35cは、シリンダ10の中心線X上に設けられており、隔壁34を上下方向に貫通している。その中央噴孔35cのすぐ上方に第1電極44の下端部が位置している。すなわち、第1電極44の下部は、絶縁碍子41の下端から下方に長く突出しており、複数の噴孔35のうち中央噴孔35cに最も近接している。その第1電極44の下端部と、隔壁34における中央噴孔35cの上端周辺部との間の隙間が、放電ギャップ45を構成している。そして、隔壁34における中央噴孔35cの周囲等に、他の噴孔35が設けられている。中央噴孔35cと他の噴孔35との断面積や形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
点火システム70は、通常時等には、圧縮上死点Tdよりも前に点火を行う制御としての上死点前点火制御を実行する。他方、触媒暖機のためのファーストアイドリング時等の、エンジン90が所定の運転状況の時には、圧縮上死点Tdよりも後に点火を行う制御としての上死点後点火制御を実行する。
以下では、放電ギャップ45に流れる気流を「ギャップ気流」とする。また以下では、第1電極44から中央噴孔35cに向かう方向を「噴孔方向d1」とし、その反対方向を「反噴孔方向d2」とする。本実施形態では、噴孔方向d1は下方向であり、反噴孔方向d2は上方向である。そして、噴孔方向d1を成分に含む方向を「噴孔方向d1側」とし、反噴孔方向d2を成分に含む方向を「反噴孔方向d2側」とする。
点火システム70は、上死点後点火制御の実行時には、点火開始タイミングTsまでに、ギャップ気流の方向が、反噴孔方向d2側から噴孔方向d1側に転じる。そのため、点火開始タイミングTsには、ギャップ気流の方向が噴孔方向d1側になり、放電火花fが噴孔方向d1側に伸長する。
以下では、中央噴孔35cの副室38側の開口の中心を「噴孔中心」とし、副室38内における噴孔中心から3mm以内の領域を「噴孔近傍領域R」とする。
点火システム70は、上死点後点火制御の実行時には、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内といった早期に、噴孔近傍領域R内、中央噴孔35c内又は主室31内に、自己成長可能な大きさの火炎核としての着火源を配置する。以下では、噴孔近傍領域R内、中央噴孔35c内又は主室31内を、「噴孔近傍領域R内等」という。
なお、ここでの自己成長可能な大きさとは、たとえ仮に放電ギャップ45に対する電圧印加を止めても、冷損や希薄混合気等により消炎することなく炎が燃え広がる火炎核の大きさをいう。より具体的には、その自己成長可能な大きさ火炎核とは、直径が概ね0.5~1mm以上の火炎核である。
このような早期に噴孔近傍領域R内等に着火源を配置する構成は、第1電極44から中央噴孔35cまでの距離である噴孔距離Dや、副室38の体積である副室体積Vや、隔壁34に設けられている全ての噴孔35の断面積の和である総噴孔面積Sや、放電ギャップ45に印加する電圧である放電電圧等の設定により実現される。以下に、その詳細について説明する。なお、噴孔35が括れている場合等の、噴孔35の断面積が一様でない場合には、最も断面積が狭い部分の断面積を当該噴孔35の断面積とする。
まず、噴孔距離Dについて説明する。噴孔距離Dについては、小さいほど、中央噴孔35cを通過する気流の影響を受け易くなる。それにより、火炎核が成長し易くなるのに加え、その成長が噴孔近傍領域R内等やその近辺において行われ易くなる。そのため、噴孔距離Dについては、小さいほど、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。
次に、副室体積V及び総噴孔面積Sについて説明する。副室体積Vについては、大きいほど、上死点後点火制御において中央噴孔35cを通過する気流が速くなる。なぜなら、副室38から主室31へ流出する気体の流量が同じなら、副室体積Vが大きいほど、副室38の圧力低下が主室31の圧力低下に追従し難くなる。それにより、副室38と主室31との差圧が大きくなり、中央噴孔35cを通過する気流が速くなるからである。
他方、総噴孔面積Sついては、小さいほど、上死点後点火制御において中央噴孔35cを通過する気流が速くなる。なぜなら、副室体積Vが同じなら、総噴孔面積Sが小さいほど、副室38から主室31へ流出する気体の流量が小さくなり、副室38の圧力低下が主室31の圧力低下に追従し難くなる。それにより、副室38と主室31との差圧が大きくなり、中央噴孔35cを通過する気流が速くなるからである。
そして、中央噴孔35cを通過する気流が速くなるほど、放電火花fが噴孔方向d1側に伸長し易くなる。それにより、火炎核が早期に成長し易くなるのに加え、その成長が噴孔近傍領域R内等やその近辺において行われ易くなる。よって、副室体積V及び総噴孔面積Sについては、副室体積Vに対する総噴孔面積Sの割合である噴孔比(S/V)が小さいほど、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。
次に、放電電圧について説明する。放電電圧については、大きいほど、火炎核が成長し易くなる。さらに、放電電圧については、大きいほど、吹き消え難くなるので、気流により放電火花fを噴孔近傍領域R内等やその近辺にまで伸長させ易くなる。そのため、放電電圧については、大きいほど、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。
以上のとおり、噴孔距離D及び噴孔比(S/V)については小さく、且つ、放電電圧については大きいほど、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。しかしながら、噴孔距離Dや噴孔比(S/V)を小さくし過ぎたり、放電電圧を大きくし過ぎたりした場合には、他の面において弊害が生じ得る。そこで、それらの弊害を抑えられる範囲内で、噴孔距離D及び噴孔比(S/V)を小さくし、且つ、放電電圧を大きくすることにより、上記の早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置する構成を実現している。
そして、噴孔近傍領域R内や噴孔35内に着火源を配置した場合には、着火源から成長した火炎が速やかに主室31内に噴出する。また、主室31内に着火源を配置した場合には、着火源から成長した炎がそのまま主室31内に伝播する。そのため、これらの場合には、火炎を速やかに主室31内に伝播させることができる。
図3は、着火源の噴孔中心からの距離と燃焼安定指数(Coefficient of Variation)との関係を示すグラフである。燃焼安定指数は、最も安定性の悪い失火から最も安定性の良い完全燃焼までの度合を示す指数であり、その値が大きいほど燃焼が不安定であることを示す。このグラフに示すように、着火源の噴孔中心からの距離が大きくなると、燃焼安定指数は大きくなるが、特に噴孔中心からの距離が3mm以上のあたりから急に燃焼安定指数は大きくなる。そのため、本実施形態では、上記のとおり、噴孔中心から3mm以内を噴孔近傍領域Rとして、その噴孔近傍領域R内等に着火源を配置するようにしている。
図4は、火炎核の成長を示すグラフである。本実施形態の場合の方が、比較形態i,iiの場合よりも火炎核の成長が早く、また火炎の伝播も早い。本実施形態や比較形態iの場合のように、火炎核が所定の着火閾値まで成長した場合には、自己成長可能になり、そのまま燃え広がる。他方、比較形態iiの場合のように、火炎核が所定の着火閾値まで成長しなかった場合は、自己成長不能になり、消炎してしまう。
図5は、燃焼室内の圧力の推移を示すグラフである。本実施形態及び比較形態i,iiのそれぞれにおいて、圧縮上死点Tdよりも前ではクランク角が進む従い圧力が上昇し、圧縮上死点Tdからはクランク角が進むに従い圧力が低下する。そして、本実施形態及び比較形態iでは、点火が行われると圧力が再び上昇する。ただし、本実施形態の方が比較形態iの場合よりも、火炎核の成長が早く、また火炎の伝播も早いので、速やかに圧力が上昇する。他方、比較形態iiのように消炎した場合には、圧力は上昇しない。
図6は、点火システム70を製造する製造方法のフローを示す図である。この製造方法は、設定工程p1と製造工程p2とを有する。
設定工程p1では、噴孔比(S/V)を算出すると共に、その噴孔比(S/V)及び噴孔距離Dに基づいて副室38及び噴孔35の寸法を設定する。その設定工程p1の詳細について、図7を参照しつつ後述する。そして、製造工程p2では、設定工程p1で設定した当該寸法になるように点火システム70を製造する。
図7は、噴孔距離及び噴孔比とギャップ気流との関係を示すグラフであり、横軸に噴孔距離Dを示し、縦軸に噴孔比(S/V)を示している。そして、曲線αは、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/sになる噴孔比(S/V)と噴孔距離Dとの関係を示している。この曲線αを数式で近似すると、次の数式Aとなる。
S/V = -0.025D^3 + 0.34D^2 - 1.4D + 2.1 (数式A)
この数式Aにおいて、「V」は副室体積V[cc]を示し、「S」は総噴孔面積S[mm^2]を示し、「D」は噴孔距離D[mm]を示している。そして「^」は累乗を示している。すなわち「^3」は3乗を示し、「^2」は2乗を示している。
そのため、曲線αよりも上側であれば、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/sよりも小さくなる。他方、曲線αよりも下側であれば、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/sよりも大きくなる。
本実施形態では、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流を、噴孔方向d1側に5m/s以上にしたいので、曲線αとそれよりも下側とを含む領域β内で、噴孔比(S/V)を選択する。すなわち、数式Aの「=」を「≦」に代えた次の数式Bを満たすように、噴孔比(S/V)を選択する。
S/V ≦ -0.025D^3 + 0.34D^2 - 1.4D + 2.1 (数式B)
これにより、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/s以上になるように設定される。
なお、この曲線αは、環境が変化した場合にはシフトする。具体的には、例えば、エンジン90の回転速度が高くなった場合や、吸気量が多くなった場合や、圧縮比がより大きいエンジン90を採用した場合等には、曲線αは右上側にシフトする。他方、エンジン90の回転速度が低くなった場合や、吸気量が少なくなった場合や、圧縮比がより小さいエンジン90を採用した場合等には、曲線αが左下側にシフトする。そのため、それらの場合には、数式Bを適宜補正するとよい。
ただし、そのような補正を行わない場合であっても、大よそ一般的な回転速度や吸気量や圧縮比等で、ファーストアイドル時等における上死点後点火制御が実行される場合には、点火開始タイミングTsにおいて、大よそ良好なギャップ気流が得られることが期待できる。
ただし、噴孔比(S/V)が0.3未満である場合には、噴孔35を通過する気流が強くなり過ぎて吹き消えが生じるといった弊害等が発生し易くなる。そのため、開孔比(S/V)は0.3以上であることが好ましい。また、数式Bにおいて、噴孔距離Dが0である時、右辺は2.1になるので、この数式Bを満たすには、噴孔比(S/V)を2.1以下にする必要がある。そのため、上記数式Bに加え、さらに、次の数式Cを満たすように、噴孔比(S/V)を選択する。
0.3 ≦ S/V ≦ 2.1 (数式B)
より詳細には、各噴孔35の直径は、噴孔35を通過する火炎が冷損により消炎するのを抑制できるように、0.3mm以上であることが好ましい。また、副室体積Vについては、主室31内での火炎伝播を充分に促進できるだけの噴出量(熱量)を確保できるように、0.2cc以上であることが好ましい。
また、噴孔距離Dは、放電ギャップ45の大きさにも影響を及ぼすので、その放電ギャップ45の大きさでの電力の消耗や放電火花fの吹き消え等を考慮して設定するとよい。そして、中央噴孔35cの断面積は、放電ギャップ45に及ぼす各影響を考慮して設定するとよい。そして、中央噴孔35c以外の噴孔35の断面積の設定により、噴孔比(S/V)を調整するとよい。
図6に示す設定工程p1では、以上のとおり、噴孔比(S/V)を設定する。なお、噴孔比(S/V)に関する部分以外の設定については、従来通りの公知の手法により設定するとよい。そして、製造工程p2では、そのように設定工程p1で設定した当該寸法の通りに点火システム70を製造することにより、点火システム70を製造する。
次に、本実施形態の点火システム70の機能について説明する。
図8(a)は、比較例1の点火システム70を示す断面図である。比較例1は、隔壁34を有しておらず、第2電極46(接地電極)が隔壁34とは別に設けられている点で本実施形態と相違している。図8(b)は、比較例2の点火システム70を示す断面図である。比較例2は、比較例1とは違い、隔壁34は有しているが、中央噴孔35cを有していない。そして、第1電極44が本実施形態の場合ほど下方に突出しておらず、代わりに、第2電極46(接地電極)が隔壁34から第1電極44(中心電極)に向けて大きく突出している点で相違している。そして、この比較例2では、上記の数式Bを満たしていない。なお、この比較例2には、上記のとおり中央噴孔35cはないが、最も近接する複数の噴孔35の重心は放電ギャップ45の下方にあるので、この比較例2においても、本実施形態に合わせて、下方向を噴孔方向d1といい、上方向を反噴孔方向d2という。
図8(c)は、本実施形態の態様1の点火システム70を示す断面図であり、図8(d)は、本実施形態の態様2の点火システム70を示す断面図である。態様1よりも態様2の方が、噴孔比(S/V)が小さいか、噴孔距離Dが小さい。なお、図では、噴孔距離Dが小さい。そのため、態様1よりも態様2の方が、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおける噴孔方向d1側へのギャップ気流が大きくなる。その関係上、態様1では、初期の着火源が、副室38内や中央噴孔35c内に形成されるのに対して、態様2では、初期の着火源が、副室38内や中央噴孔35c内に加え、主室31内にも形成される。
図9は、それら比較例1,2及び態様1,2での上死点後点火制御における燃焼の進行を示すタイムチャートである。比較例1では、燃焼は、火花段階s1→主室着火段階s2´→主室伝播段階s5の順に進行する。火花段階s1の最初は、点火開始タイミングTsであり、火花段階s1は、放電ギャップ45に対する電圧の印加を開始したが、燃焼室30内において未だに火炎核が形成されていない段階である。
主室着火段階s2´は、主室内において火炎核が自己成長可能な着火源にまで成長しつつある段階である。その主室着火段階s2´の終わりは、主室31内に着火源が形成されたタイミングとしての主室着火タイミングTjを示している。主室伝播段階s5は、着火源が主室31内に伝播しつつある段階である。そして、主室伝播段階s5の終わりは、燃料の100%が燃え切ったとみなされる燃え切りタイミングTeを示している。
他方、比較例2及び態様1では、燃焼は、火花段階s1→副室着火段階s2→副室伝播段階s3→噴出段階s4→主室伝播段階s5の順に進行する。副室着火段階s2は、副室内において火炎核が自己成長可能な着火源にまで成長しつつある段階である。その副室着火段階s2の終わりは、副室38内に着火源が形成されたタイミングとしての副室着火タイミングTiを示している。
副室伝播段階s3は、着火源が副室38内に伝播しつつある段階である。噴出段階s4は、副室38内の火炎、すなわち着火源が噴孔35から主室31内に噴出している段階である。その噴出段階s4の最初は、主室31内に着火源が配置されたタイミングとしての主室着火タイミングTjを示している。
態様2では、放電火花fが副室38内から中央噴孔35cを経て主室31内にまで伸長する。そのため、放電火花fにより副室38内や中央噴孔35c内に着火源が形成されるのに加え、主室31内にも着火源が形成される。そのため、態様2では、態様1の場合と同様に、火花段階s1→副室着火段階s2→副室伝播段階s3→噴出段階s4→主室伝播段階s5の順に進行するのに並行して、火花段階s1→主室着火段階s2´→主室伝播段階s5の順にも進行する。それにより、主室着火タイミングTjが、態様1の場合よりもさらに早くなる。
比較例1,2及び態様1,2のいずれの態様においても、燃え切りタイミングTeは、排気弁26が開き始めるタイミングとしての排気開始タイミングToよりも前になることが要求される。未燃の燃料が排出されるのを防ぐためである。よって、いずれの態様においても、まず、排気開始タイミングToよりも前に燃え切りタイミングTeがくるように設定されてから、その燃え切りタイミングTeに実際に燃料が燃え切るように点火開始タイミングTsが設定される。すなわち、燃え切りタイミングTeから逆算して点火開始タイミングTsが設定される。そのため、比較例1,2及び態様1,2の各態様では、燃え切りタイミングTeは大よそ揃っているが、点火開始タイミングTsは互いにずれている。
図10は、図9に示す比較例1,2及び態様1,2のタイムチャートを、便宜的に点火開始タイミングTsを揃えて示したグラフである。比較例2の場合、放電ギャップ45が噴孔35から離れているので、着火源が噴孔近傍領域R内に配置されるのは、副室伝播段階s3の終わり付近となる。その比較例2における副室伝播段階s3の終わり付近は、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以降である。そのため、この比較例2では、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以降に、噴孔近傍領域R内に着火源が配置される。それにより、主室着火タイミングTjが遅くなり、副室38がない比較例1よりも燃焼の進行が遅くなる。
他方、本実施形態の態様1の場合、放電ギャップ45が中央噴孔35cに近いので、噴孔近傍領域R内に着火源が配置されるタイミングは、副室伝播段階s3の前半等となる。その態様1における副室伝播段階s3の前半等は、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内である。そのため、この態様1では、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内に、噴孔近傍領域R内に着火源が配置される。それにより、比較例1に比べて、主室着火タイミングTjの遅れが小さくなり、最終的には、副室38がない比較例1よりも燃焼の進行が早くなる。
また、本実施形態の態様2の場合、主室31内において、放電火花fにより着火源が形成されるタイミングが、主室着火段階s2´の終わりの主室着火タイミングTjとなる。その態様2における主室着火タイミングTjは、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内である。そのため、この態様2では、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内に、主室31内に着火源が配置される。それにより、態様1よりも燃焼の進行がさらに早くなる。
図11は、比較例1,2及び態様1の各態様における燃焼割合の推移を示すグラフである。上記の通り、比較例2では、副室38がない比較例1よりも燃焼割合の進行が却って遅くなるのに対して、態様1では、比較例1よりも燃焼割合の進行が速くなる。
図12は、図9の一部を拡大したグラフである。図13は、図12に示す期間での、比較例2及び態様1,2におけるギャップ気流の推移を示すグラフである。比較例2では、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおいては、ギャップ気流の方向は未だ反噴孔方向d2側である。副室38の奥では、圧縮上死点Tdを経過してもしばらくは、慣性等でギャップ気流が反噴孔方向d2側に向くからである。その後に、一旦ギャップ気流の強度が零になってから、ギャップ気流の方向が噴孔方向d1側に転じる。そのため、この時期の気流は極めて弱く、放電火花fが効率的に伸長しないので、効率的に着火することができない。
その点、本実施形態の態様1,2では、上述のとおり、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsよりも前に、既にギャップ気流の方向が反噴孔方向d2側から噴孔方向d1側に転じている。それにより、点火開始タイミングTsには、ある程度強い、具体的には5m/s以上の気流が噴孔方向d1側に向けて発生している。そのため、放電火花fが噴孔方向d1に伸長し易い。そのため、火炎核が成長し易いのに加えて、その成長が噴孔近傍領域R内等やその近辺において行われ易い。そのため、この点でも、本実施形態の態様1,2では、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易い。
再び、図9を参照しつつ説明する。上記の通り、燃え切りタイミングTeは、排気開始タイミングToよりも早いタイミングであることが要求される。そのため、この制約から、点火開始タイミングTsから燃え切りタイミングTeまでの時間である燃焼時間が長い比較例1,2では、燃焼のタイミングを極力遅くしたいファーストアイドリング時においても、点火開始タイミングTsをさほど遅角側に設定することができない。そのため、燃料の50%が燃え切るタイミングとしての燃焼重心Tcもさほど遅角側に設定することができず、ファーストアイドリングにおいて、触媒暖機をさほど効率的に行うことができない。
その点、態様1,2では、比較例1,2に比べて、点火開始タイミングTsから燃え切りタイミングTeまでの時間である燃焼時間を短く抑えられるので、点火開始タイミングTsをより遅角側に設定できる。そのため、燃焼重心Tcをより遅角側に設定でき、ファーストアイドリングにおいて、触媒暖機を効率的に行うことができる。そのため、ファーストアイドリング時間の短縮につながり、引いては、燃費向上やエミッションの低下に繋がる。
本実施形態によれば、次の効果が得られる。上死点後点火制御では、点火開始タイミングTsから20クランクアングル以内といった早期に、図2に示す噴孔近傍領域R内、中央噴孔35c内又は主室31内に着火源を配置する。そして、噴孔近傍領域R内や中央噴孔35c内に着火源を配置した場合には、その着火源から成長した炎が速やかに中央噴孔35cから主室31内に噴出し易い。また、主室31内に着火源を配置した場合には、その着火源から成長した炎がそのまま主室31内に伝播することになる。そのため、上死点後点火制御において、火炎を速やかに主室31内に伝播させることができる。
さらに、上記の態様2によれば、次の効果も得られる。態様2における上死点後点火制御では、放電火花fを主室31内にまで伸長させる。それにより、点火開始タイミングから20クランクアングル以内の早期に、主室31内に着火源を配置する。その着火源から成長した炎がそのまま主室31内に伝播することになる。そのため、上記の態様2によれば、より速やかに主室31内に火炎を伝播させることができる。
また、次の効果も得られる。噴孔比(S/V)が図7に示す領域βに収まるように、すなわち、上記の数式Bを満たすように、副室38と噴孔35との寸法を設定する。この領域βは、上記の通り、上死点後点火制御での点火開始タイミングTsにおけるギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/s以上になる領域である。そして、ギャップ気流が、噴孔方向d1側に5m/s以上になれば、上記のとおり、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。
そして、この領域βは、環境等により若干変化するものの、大よそ一般的な回転速度や吸気量や圧縮比等で上死点後点火制御が実行される場合には、点火開始タイミングTsにおいて、大よそ良好なギャップ気流が得られることが期待できる。そのため、このように噴孔比(S/V)を領域βに収まるように設定することにより、早期に着火源を噴孔近傍領域R内等に配置する構成を実現し易くなる。
また、次の効果も得られる。上記の通り、噴孔比(S/V)が0.3未満である場合には、噴孔35を通過する気流が強くなり過ぎて吹き消えが生じるといった弊害等が発生し易い。その点、本実施形態では、開孔比(S/V)が0.3以上であるので、そのような心配はない。
また、次の効果が得られる。本実施形態では、図13に示すように、上死点後点火制御における点火開始タイミングTsまでに、ギャップ気流の方向が、反噴孔方向d2側から噴孔方向d1側に転じる。そのため、上死点後点火制御における点火開始タイミングTsには、ギャップ気流の方向が噴孔方向d1側になる。そのため、効率的に、放電火花fを噴孔方向d1側に伸長させることができる。そのため、この点でも、着火源を早期に噴孔近傍領域R内等に配置し易くなる。
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、次のように変更して実施してもよい。例えば、第1実施形態では、隔壁34に複数の噴孔35が設けられているが、噴孔35は中央噴孔35cの1つのみであってもよい。また例えば、第1実施形態では、第1電極44が中央噴孔35cに最も近接しているが、他の噴孔35に最も近接しており、放電火花fが当該他の噴孔35に向けて伸長するようにしてもよい。また例えば、第1実施形態では、隔壁34が第2電極46を兼ねており隔壁34はヘッド20に取り付けられることでヘッド20と電気的に導通しているが、隔壁34に設けられた突起等の、隔壁34と電気的に導通した部位が第2電極46を構成していてもよい。また隔壁34とは別部材で、ヘッド20と電気的に導通する第2電極46を構成していてもよい。
また例えば、第1実施形態では、隔壁34は、点火プラグ40の絶縁碍子41に取り付けられている。これに代えて、隔壁34は、ヘッド20に設けられており、そのヘッド20の隔壁34に絶縁碍子41を係合させるように、点火プラグ40を取り付けるようにしてもよい。
30…燃焼室、31…主室、34…隔壁、35…噴孔、38…副室、40…点火プラグ、44…第1電極、45…放電ギャップ、46…第2電極、70…点火システム、90…エンジン、f…放電火花、R…噴孔近傍領域、Td…圧縮上死点、Ts…点火開始タイミング。

Claims (6)

  1. エンジン(90)の燃焼室(30)を主室(31)と副室(38)とに区分けしており、前記主室から前記副室にまで連通する噴孔(35)が一又は複数設けられている隔壁(34)と、
    第1電極(44)と第2電極(46)との間の放電ギャップ(45)に電圧を印加することにより、放電火花(f)を発生させて燃料に点火する点火プラグ(40)と、を有し、
    前記第1電極は、前記副室内に設けられており、前記第2電極は、前記隔壁に又は前記隔壁と電気的に導通した部位に設けられており、
    前記放電ギャップに電圧を印加し始めるタイミングを点火開始タイミング(Ts)とし、前記噴孔の前記副室側の開口の中心を噴孔中心とし、前記副室内における前記噴孔中心から3mm以内の領域を噴孔近傍領域(R)として、
    前記エンジンが所定の運転状況の時には、圧縮上死点(Td)よりも後に前記点火を行う制御としての上死点後点火制御を実行し、
    前記上死点後点火制御では、前記点火開始タイミングから20クランクアングル以内において、前記噴孔近傍領域内、前記噴孔内又は前記主室内に、自己成長可能な大きさの火炎核としての着火源を配置する、点火システム。
  2. 前記上死点後点火制御では、前記放電火花を前記主室内にまで伸長させて、前記点火開始タイミングから20クランクアングル以内において、前記主室内に前記着火源を配置する、請求項1に記載の点火システム。
  3. 前記上死点後点火制御における前記放電火花の発生期間に、前記放電ギャップに流速5m/s以上の気流が流れるように構成されている、請求項1又は2に記載の点火システム。
  4. 前記副室の体積を「V」ccとし、前記隔壁に設けられている全ての前記噴孔の断面積の和を「S」mm^2とし、
    一又は複数の前記噴孔のうち前記放電ギャップに最も近接する噴孔を近接噴孔(35c)とし、前記第1電極から前記近接噴孔までの距離を「D」mmとして、
    S/V ≦ -0.025D^3 + 0.34D^2 - 1.4D + 2.1
    を満たすように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の点火システム。
  5. 前記副室の体積を「V」ccとし、前記隔壁に設けられている全ての前記噴孔の断面積の和を「S」mm^2として、
    0.3 ≦ S/V ≦ 2.1
    を満たすように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の点火システム。
  6. 一又は複数の前記噴孔のうち前記第1電極に最も近い前記噴孔を近接噴孔(35s)とし、前記第1電極から前記近接噴孔に向かう方向を噴孔方向(d1)とし、その反対方向を反噴孔方向(d2)とし、前記噴孔方向を成分に含む方向を噴孔方向側とし、前記反噴孔方向を成分に含む方向を反噴孔方向側とし、前記放電ギャップに流れる気流をギャップ気流として、
    前記上死点後点火制御における前記点火開始タイミングまでに、前記ギャップ気流の方向が、前記反噴孔方向側から前記噴孔方向側に転じることにより、前記点火開始タイミングには、前記ギャップ気流の方向が前記噴孔方向側になるように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の点火システム。
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