JP2006049206A - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心貫通孔21を有する絶縁碍子2と、中心貫通孔21に保持された中心電極3と、絶縁碍子2を保持する取付金具4と、中心電極3の先端部との間に第1ギャップAを形成する第1接地電極51と、中心電極3の側面と第2ギャップGを形成する第2接地電極52とからなる内燃機関用スパークプラグ1。第1ギャップをA、第2接地電極52と絶縁碍子2との最短距離をB、第2接地電極52の角部522と絶縁碍子2の先端面との軸方向距離をC、絶縁碍子2の先端肉厚をTとし、軸方向距離Cについては、第2接地電極52の角部522が絶縁碍子2の先端面22よりも先端側へ突出した場合を+としたとき、0.4mm≦A≦1.0mm、0.3mm≦T≦0.8mm、0.2mm≦B≦0.9mm、−1.0mm≦C≦0.5mmである。
【選択図】図1
Description
上記第2接地電極952を備えることにより、絶縁碍子92表面にカーボンが堆積した場合、そのカーボンを第2ギャップ放電により焼き切り、絶縁碍子92表面を清浄させる。第2ギャップ放電とは、上記第2接地電極952と上記中心電極93との間の第2ギャップGにおける放電をいう。
上記第1ギャップをA、上記第2接地電極と上記絶縁碍子との最短距離をB、上記第2接地電極の先端部における上記取付金具側の角部と上記絶縁碍子の先端面との軸方向距離をC、上記絶縁碍子の先端肉厚をTとし、上記軸方向距離Cについては、上記第2接地電極の上記角部が上記絶縁碍子の先端面よりも先端側へ突出した場合を+としたとき、
0.4mm≦A≦1.0mm、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグにある(請求項1)。
上記内燃機関用スパークプラグにおいては、上記第1ギャップAが1.0mm以下であるため、くすぶりの生じていない正常時における第2ギャップでの放電を防止することができる。これにより、チャネリングや中心電極の側周面の消耗を抑制することができる。
また、上記第1ギャップAが0.4mm以上であるため、第1ギャップにおける火炎核の成長が妨げられることを防ぎ、燃焼変動(内燃機関内での混合気の燃焼の様子(火炎伝播)がサイクルごとに変化すること)を抑制し、着火性を確保することができる。
また、上記絶縁碍子の先端肉厚Tが0.3mm以上であるため、絶縁碍子の強度を確保して、成形時における割れや亀裂等の発生を防止することができる。
また、上記最短距離Bが0.9mm以下であるため、中心電極の側周面から絶縁碍子の側周面に沿って基端側へ放電するいわゆる奥飛び放電を防止することができ、失火を防止することができる。
上記第2接地電極と上記絶縁碍子との最短距離をB、上記第2接地電極の先端部における上記取付金具側の角部と上記絶縁碍子の先端面との軸方向距離をC、上記絶縁碍子の先端肉厚をT、上記取付金具の先端面における上記第2接地電極の上記中心電極側の側面と上記中心電極の中心軸との径方向距離をLとし、上記軸方向距離Cについては、上記第2接地電極の上記角部が上記絶縁碍子の先端面よりも先端側へ突出した場合を+としたとき、
L≦3.5mm、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグにある(請求項3)。
上記内燃機関用スパークプラグにおいては、上記取付金具の先端面における上記第2接地電極の上記中心電極側の側面と上記中心電極の中心軸との径方向距離Lが、3.5mm以下である。これにより、第1ギャップにおける放電電圧を小さくすることができる。そのため、くすぶりの発生していない正常時における第2ギャップでの放電を防ぐことができる。その結果、チャネリングや中心電極の側周面の消耗を防ぐことができる。
また、上記絶縁碍子の先端肉厚Tが0.3mm以上であるため、絶縁碍子の強度を確保して、成形時における割れや亀裂等の発生を防止することができる。
また、上記最短距離Bが0.9mm以下であるため、上述のごとく、奥飛び放電を防止することができる。
上記第1の発明(請求項1)において、上記第1ギャップAが1.0mmを超える場合、くすぶりの生じていない正常時における第2ギャップでの放電の割合が増加して、チャネリングや中心電極の側周面の消耗を抑制することが困難となるおそれがある。
また、上記第1ギャップAが0.4mm未満の場合には、第1ギャップにおける火炎核の成長が妨げられることにより、燃焼変動が大きくなり、着火性が低下するおそれがある。
また、上記絶縁碍子の先端肉厚Tが0.3mm未満の場合には、絶縁碍子の強度を確保することが困難となり、成形時における割れや亀裂等の発生を招くおそれがある。
また、上記最短距離Bが0.9mmを超える場合には、奥飛び放電が生じ、内燃機関の失火を招くおそれがある。
0.2mm≦B≦A−0.05mm
であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、耐くすぶり性を向上させることができる。
上記最短距離BがA−0.05mmを超える場合には、くすぶり時に、第2ギャップにおいて放電しにくくなり、火花清浄効果が低減するおそれがある。
また、上記径方向距離Lは、L≧E/2+Dを満たすことが好ましい。上記径方向距離LがE/2+Dよりも小さいと第2接地電極と上記取付金具との接合面積が小さくなり、接合強度が低下するおそれがある。その結果、第2接地電極が脱落してしまうおそれがある。ここで、Eは上記絶縁碍子の先端径であり、Dは上記取付金具の先端面における上記絶縁碍子と上記取付金具との距離である。
0.4mm≦A≦1.1mm
であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、正常時における第2ギャップでの放電をより確実に防止することができ、チャネリングや中心電極の側周面の消耗を一層抑制することができる。また、燃焼変動を抑制し、着火性を確保することができる。
0.6mm≦D≦1.6mm
であることが好ましい(請求項5)。
この場合には、中心電極と取付金具との間の絶縁抵抗を確保して、耐くすぶり性を向上させることができると共に、着火性を確保することができる。
上記距離Dが1.6mmを超える場合には、取付金具の先端面よりも基端側における絶縁碍子の側面にカーボンが付着しやすくなり、くすぶりが生じやすくなるおそれがある。一方、上記距離Dが0.6mm未満の場合には、取付金具の先端面における絶縁碍子側の角部の電界強度が高くなり、くすぶり時にその角部へ放電し、着火性を低下させるおそれがある。
2.1mm≦E≦3.9mm
であることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記絶縁碍子の先端部の熱容量を充分に小さくして温度上昇しやすくすることができる。これにより、温度清浄効果が充分に発揮され、耐くすぶり性を向上させることができる。また、内燃機関用スパークプラグの熱価を確保して、プレイグニッションを防止することができる。
上記先端径Eが3.9mmを超える場合には、絶縁碍子の温度清浄効果を充分に発揮することが困難となり、耐くすぶり性が低下するおそれがある。一方、上記先端径Eが2.1mm未満の場合には、中心電極の直径が例えば1.5mm未満と小さくなるため、内燃機関用スパークプラグの熱価を確保することが困難となるおそれがある。
この場合には、上記放電部材の消耗を抑制することができ、長寿命の内燃機関用スパークプラグを得ることができる。
この場合には、一層長寿命、高信頼性の内燃機関用スパークプラグを得ることができる。
この場合にも、一層長寿命、高信頼性の内燃機関用スパークプラグを得ることができる。
0.1mm2≦S1≦0.8mm2、
0.3mm≦F1≦1.5mm
であることが好ましい(請求項10)。
この場合には、着火性を向上することができる。
また、上記突き出し量F1が0.3mm未満の場合には、着火性向上効果が小さくなってしまうおそれがある。上記突き出し量F1が1.5mmを超える場合には、該放電部材がヒートスポットとなり、消耗が大幅に増加し、寿命が短縮するおそれがある。
0.1mm2≦S2≦0.8mm2、
0.3mm≦F2≦1.5mm
であることが好ましい(請求項11)。
この場合には、より着火性に優れた内燃機関用スパークプラグを得ることができる。
上記軸直交断面積S2が0.1mm2未満の場合には、上記放電部材がヒートスポットとなり、消耗が大幅に増加し、寿命が短縮するおそれがある。上記軸直交断面積S2が0.8mm2を超える場合には、着火性向上効果が小さくなってしまうおそれがある。
また、上記突き出し量F2が0.3mm未満の場合には、着火性向上効果が小さくなってしまうおそれがある。上記突き出し量F2が1.5mmを超える場合には、上記放電部材がヒートスポットとなり、消耗が大幅に増加し、寿命が短縮するおそれがある。
この場合には、内燃機関用スパークプラグの小型化を図ることができる。
この場合には、内燃機関用スパークプラグの更なる小型化が可能となる。
本発明の実施例にかかる内燃機関用スパークプラグにつき、図1〜図5を用いて説明する。
本例の内燃機関用スパークプラグ1は、図1〜図3に示すごとく、絶縁碍子2と、中心電極3と、取付金具4と、第1接地電極51と、第2接地電極52とを有する。
上記絶縁碍子2は中心貫通孔21を有し、上記中心電極3は、上記絶縁碍子2の先端面22から突出する状態で上記中心貫通孔21に保持されている。上記取付金具4は、上記絶縁碍子2の先端面22を突出させた状態で該絶縁碍子2を保持している。
上記第2接地電極52は、基端部が取付金具4に固定されると共に先端部521が上記中心電極3の側面と第2ギャップGを形成する。
0.4mm≦A≦1.0mm、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm。
0.2mm≦B≦A−0.05mm
を満たす。
また、図1に示すごとく、取付金具4の先端面41における絶縁碍子2と取付金具4との距離をD、絶縁碍子2の先端径をEとしたとき、
0.6mm≦D≦1.6mm、
2.1mm≦E≦3.9mm
を満たす。
なお、本構成は一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
A:第1ギャップ(第1接地電極51と中心電極3の先端面との最短距離)。
B:絶縁碍子ギャップ(第2接地電極52と絶縁碍子2との最短距離)。
C:第2接地電極52の軸方向位置(第2接地電極52の先端面における取付金具側の角部522と絶縁碍子2の先端面22との軸方向距離、図4に示すごとく角部522が先端面22より先端側に配される場合をプラスとし、図5に示すごとく角部522が先端面22より基端側に配される場合をマイナスとする。)。
D:ポケット隙間(取付金具4の先端面41における絶縁碍子2と取付金具4との距離)。
E:絶縁碍子2の先端径(絶縁碍子2の先端部における外径)。
G:第2ギャップ(第2接地電極52と中心電極3の側面との最短距離)。
L:第2接地電極52の径方向位置(中心電極3の中心軸Zと第2接地電極52のうち取付金具4の先端面41における中心電極3側の側面との距離)。
T:絶縁碍子2の先端肉厚(絶縁碍子2の先端径Eと中心貫通孔21の直径との差の2分の1)。
上記内燃機関用スパークプラグ1においては、上記第1ギャップAが1.0mm以下であるため、くすぶりの生じていない正常時における第2ギャップGでの放電を防止することができる。これにより、チャネリング(図26、図27参照)や中心電極3の側周面の消耗(図24参照)を抑制することができる。
また、上記第1ギャップAが0.4mm以上であるため、第1ギャップAにおける火炎核の成長が妨げられることを防ぎ、燃焼変動を抑制し、着火性を確保することができる。
また、上記絶縁碍子2の先端肉厚Tが0.3mm以上であるため、絶縁碍子2の強度を確保して、成形時における割れや亀裂等の発生を防止することができる。
また、上記最短距離Bが0.9mm以下であるため、中心電極3の側周面から絶縁碍子2の側周面に沿って基端側へ放電するいわゆる奥飛び放電(図15参照)を防止することができ、失火を防止することができる。
本例は、図6〜図19に示すごとく、実施例1に示した内燃機関用スパークプラグ1における各部の寸法の変化による、各種特性の変化を確認した例である。
まず、図6に、第1ギャップAを変化させた時の第2ギャップ放電割合に及ぼす影響を調べた結果を示す。
なお、先端肉厚T=1.0mmは、本発明(請求項1の発明)の範囲外であるが、この試験においては、先端肉厚Tが特に影響することはなく、0.3mm≦T≦0.8mmであっても、同様の結果が得られる。
第2ギャップ放電割合は、連続200サイクルの放電波形より判定した。即ち、エンジンを連続して200サイクル運転した際に、放電波形が、図7に示すような第1ギャップ放電61となる場合と、図8に示すような第2ギャップ放電62となる場合とがある。そして、200サイクルのうち、図8に示す第2ギャップ放電62となる割合を上記第2ギャップ放電割合とする。
図6から分かるように、高流速エンジン(□)では、第1ギャップAが1.1以上である場合に、第2ギャップ放電が発生する。即ち、一般的な第1ギャップ(A=1.1〜1.3mm)において、正常時(くすぶっていない状態)に第2ギャップGでの放電が発生してしまう。これは、高流速により火花が流されること、圧力が高いため沿面放電(絶縁碍子表面を這う放電)し易いことによる。
結果的に「チャネリング」、「中心電極側周面の消耗」が増加してしまい、スパークプラグの信頼性が低下し、寿命が大幅に短縮すると言える。
これは、第1ギャップAの縮小により第1放電電圧を低減できるため、第1ギャップAで放電し易くなるからである。結果として、正常時に第2ギャップGで放電しないため、「チャネリング」や「中心電極側周面の消耗」を大幅に低減できる。
なお、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
よって、着火性を確保するには第1ギャップAが0.4mm≦Aとすればよい。
以上より、第1ギャップAが0.4mm≦A≦1.0mmであれば「チャネリング」及び「中心電極側周面の消耗」を大幅に低減できるだけでなく、着火性に優れたスパークプラグを提供することができる。
なお、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
なお、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
また図には示さないが、絶縁碍子2の先端肉厚Tは0.3mm≦Tであることが好ましい。これは、絶縁碍子2の先端肉厚Tが0.3mmよりも小さいと成形時に割れや亀裂が発生し易くなるためである。
以上より、絶縁碍子2の先端肉厚Tが0.3mm≦T≦0.8mmであれば、耐くすぶり性を向上させ、更に製造性に優れた内燃機関用スパークプラグ1を提供することができることが分かる。
始動までの繰り返し回数が少ない程、低温始動性に優れていると言える。なお、判定基準としては始動した回数が3回以内であれば低温始動性を満足するものとした。
また、第1ギャップAは0.7mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
一方、絶縁碍子ギャップBが0.2mm≦Bであれば、3回以内で始動可能であり、低温始動性を満足することが分かった。
以上より、低温時に燃料ブリッジの形成を防止でき、スムーズな始動を実現するためには、絶縁碍子ギャップBが0.2mm≦Bであればよいことが分かる。
ここで、「奥飛び放電」とは、例えば内燃機関用スパークプラグ1がくすぶった時に、第2ギャップGでの放電(中心電極3の側周面から絶縁碍子2の先端面を経て第2接地電極52へ放電)ではなく、図15の符号63に示すごとく、中心電極3の側周面から絶縁碍子2の先端面22を経て絶縁碍子2の付根部に放電することである。この奥飛び放電63が発生すると失火する可能性が極めて高い。
なお、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
以上より、絶縁碍子ギャップBが0.2mm≦B≦0.9mmであれば低温始動性を満足するだけでなく、奥飛び放電による失火を防止できる内燃機関用スパークプラグ1を提供することができることが分かる。
図16から分かるように、第2接地電極52の軸方向位置Cが−1.0mmよりも小さいと着火性が悪化してしまう。これは、絶縁碍子2の側面と第2接地電極52の先端面との重なり部が大きくなり、火炎成長時の消炎作用が大きくなってしまうためである。
以上より、第2接地電極の軸方向位置Cが−1.0mm≦C≦0.5mmであれば第2ギャップ放電時の着火性に優れたスパークプラグを提供することができることが分かる。
なお、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mm、絶縁碍子2の先端肉厚Tは0.6mmとした。
図17において、○は従来品(A=1.1mm、T=1.0mm)と同等、◎は従来品よりも優れる、×は従来品よりも劣ることを示している。
なお、第1ギャップAは0.7mm、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mm、絶縁碍子2の先端肉厚Tは0.6mmとした。
また、ここでは図に示さないが、ポケット隙間Dは0.6mm≦Dであることが好ましい。これはDが0.6mmよりも小さいと、取付金具4の先端面41における絶縁碍子2側の角部411の電界強度が高くなり、くすぶり時にその角部411へ放電してしまい、着火性を低下させてしまうからである。
以上より、ポケット隙間Dが0.6mm≦D≦1.6mmであれば、くすぶり時の着火性を満足するだけでなく、更に耐くすぶり性に優れる内燃機関用スパークプラグ1を提供することができる。
なお、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mmとした。
図19において、白抜きの棒グラフは従来品(A=1.1mm、T=1.0mm、E=4.3mm)、ハッチングを付した棒グラフは本発明品(A=0.7mm、T=0.6mm)の絶縁抵抗を示す。
また、従来品と同等以上の耐くすぶり性を確保させるためには、絶縁碍子2の先端径EがE≦3.9mmであることが好ましい。
以上より、絶縁碍子2の先端径Eが2.1mm≦E≦3.9mmであれば、熱価を確保できるだけでなく、更に耐くすぶり性に優れる内燃機関用スパークプラグ1を提供することができることが分かる。
本例は、図20に示すごとく、取付金具4の先端面41における第2接地電極52の中心電極3側の側面と中心電極3の中心軸Zとの径方向距離Lを、L≦3.5mmとした内燃機関用スパークプラグ1の例である。
また、第2接地電極52と絶縁碍子2との最短距離である絶縁碍子ギャップB、第2接地電極52の先端部における取付金具4側の角部522と絶縁碍子2の先端面22との軸方向距離C、上記絶縁碍子の先端肉厚Tは、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm
を満たしている。
また、第1ギャップAは、0.4mm≦A≦1.1mmである。
その他は、実施例1と同様である。
本例の内燃機関用スパークプラグ1においては、上記取付金具4の先端面41における第2接地電極52の中心電極3側の側面と中心電極3の中心軸Zとの径方向距離Lが、3.5mm以下である。これにより、第1ギャップAにおける放電電圧を小さくすることができる。そのため、くすぶりの発生していない正常時における第2ギャップGでの放電を防ぐことができる。その結果、チャネリング(図26、図27参照)や中心電極3の側周面の消耗(図24参照)を防ぐことができる。
また、上記絶縁碍子2の先端肉厚Tが0.3mm以上であるため、絶縁碍子2の強度を確保して、成形時における割れや亀裂等の発生を防止することができる。
また、上記最短距離Bが0.9mm以下であるため、奥飛び放電(図15参照)を防止することができる。
以上のごとく、本例の場合にも、耐くすぶり性、耐久性に優れた内燃機関用スパークプラグを提供することができる。
本例は、図21、図22に示すごとく、実施例2に示した内燃機関用スパークプラグ1における、第2接地電極52と中心電極3の中心軸Zとの径方向距離Lの変化による、各種特性の変化を確認した例である。
まず、図21に、第2接地電極52の径方向位置Lが第1放電電圧に及ぼす影響を調べた結果を示す。評価は、放電電圧測定ベンチ(常温、大気中、0.6MPa)にて実施し、連続200サイクルの放電波形から第1放電電圧の最大値(□)、最小値(◇)を測定した。
なお、第1ギャップAは1.1mm、絶縁碍子ギャップBは0.5mm、第2接地電極52の軸方向位置Cは−0.2mm、ポケット隙間Dは0.6mm、絶縁碍子2の先端径Eは4.3mm、先端肉厚Tは1.0mmとした。
ここで、この特徴を利用して、第2ギャップGにおける放電割合を減少させることを狙い、以下の評価を実施した。
即ち、第2接地電極52の径方向位置Lを変化させた際の第2ギャップ放電割合に及ぼす影響を調べた。その結果を図22に示す。なお、評価方法は実験例1における図6に示すものと同様である。
この第2ギャップGでの放電を抑制するためには、第2接地電極52の径方向位置Lを小さくすれば良く、正常時の第2ギャップでの放電を完全に防止(第2ギャップ放電割合が0%)するには、第2接地電極52の径方向位置LをL≦3.5mmとすればよい。
本例は、図23〜図27に示すごとく、実施例1、実施例2、及び従来例の内燃機関用スパークプラグについて、「中心電極側周面の消耗」及び「チャネリング」の評価を実施した例である。
各内燃機関用スパークプラグの各部の寸法は、表1に示す代表的な寸法を採用した。
次に、図25に、表1のスパークプラグを用いて「チャネリング」の評価を実施した結果を示す。評価は、上記の高流速エンジンを用い、図26、図27に示すチャネリング29の発生し易い条件(スロットル開度80%、3600rpm)で実施し、400時間後の最大チャネリング深さd2を測定した。
図25から、本発明品については、実施例1、実施例2ともに最大チャネリング深さd2を大幅に低減できることが分かる。
以上のごとく、本発明によれば、「中心電極側周面の消耗」、「チャネリング」の生じにくい、耐久性に優れた内燃機関用スパークプラグを提供することができることが確認された。
本例は、図28に示すごとく、中心電極3及び第1接地電極51として、貴金属もしくはその合金よりなる放電部材11を、電極母材30、510に、溶接により固定した内燃機関用スパークプラグ1の例である。
上記放電部材11として、例えば、Ptを主成分(50重量%以上)とし、Ir、Rh、Ni、W、Pd、Ru、Os、Y、Y2O3の少なくとも1種が添加された合金を用いることができる。
或いは、上記放電部材11として、例えば、Irを主成分(50重量%以上)とし、Pt、Rh、Ni、W、Pd、Ru、Os、Y、Y2O3の少なくとも1種が添加された合金を用いることもできる。
その他は、実施例1と同様である。
また、放電部材11の軸直交断面積S1を0.1mm2≦S1≦0.8mm2、突き出し量F1を0.3mm≦F1≦1.5mmとすることにより、着火性を向上することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図29に示すように、第1接地電極51における貴金属もしくはその合金からなる放電部材11が、電極母材510の一面から中心電極3の方向に突き出している内燃機関用スパークプラグ1の例である。
そして、軸直交断面積S2を0.1mm2≦S2≦0.8mm2、電極母材510の一面からの突き出し量F2を0.3mm≦F2≦1.5mmとしている。
その他は、実施例3と同様である。
その他、実施例3と同様の作用効果を有する。
本例は、図30に示すように、第2接地電極52における貴金属もしくはその合金からなる放電部材11が、電極母材520から中心電極3の方向に突き出している内燃機関用スパークプラグ1の例である。
そして、放電部材11の軸直交断面積S2を0.1mm2≦S2≦0.8mm2、電極母材520からの突き出し量F2を0.3mm≦F2≦1.5mmとしている。
本例の場合にも、更に着火性を向上することができる。
本例は、図31、図32に示すごとく、取付金具2のネジ径を、M12(12mm)或いはM10(10mm)とした例である。
本発明を用いれば、絶縁碍子2の先端肉厚T、第2接地電極52の径方向位置L、ポケット隙間D、絶縁碍子2の先端径E等を小さくできる。そのため、取付金具4のネジ径を、例えば図31に示すごとくM12、或いは図32に示すごとくM10と小さくすることができ、内燃機関用スパークプラグ1の小型化が図れる。
その他は、実施例1と同様である。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図33〜図35に示すごとく、第1接地電極51又は第2接地電極52についての変形例である。
図33に示す内燃機関用スパークプラグ1は、第1接地電極51の先端部511をテーパ形状としている。
図34に示す内燃機関用スパークプラグ1は、第2接地電極52の先端部521をフラット形状としている。
図35に示す内燃機関用スパークプラグ1は、第2接地電極52の先端部521をテーパ形状としている。
その他は、実施例1、2と同様であり、本例の場合にも、実施例1、2と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施例では、主に高流速エンジンにおける効果について述べたが、様々な内燃機関(エンジン)で効果を発揮するものであり、高流速エンジンに限定するものではない。
また、上述した複数の実施例を組み合わせても本発明の効果は発揮される。
11 放電部材
2 絶縁碍子
21 中心貫通孔
22 先端面
3 中心電極
4 取付金具
41 先端面
51 第1接地電極
52 第2接地電極
Claims (13)
- 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端面から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子の先端面を突出させた状態で該絶縁碍子を保持する取付金具と、基端部が該取付金具に固定されると共に先端部が上記中心電極の先端部との間に第1ギャップを形成する第1接地電極と、基端部が上記取付金具に固定されると共に先端部が上記中心電極の側面と第2ギャップを形成する第2接地電極とからなる内燃機関用スパークプラグにおいて、
上記第1ギャップをA、上記第2接地電極と上記絶縁碍子との最短距離をB、上記第2接地電極の先端部における上記取付金具側の角部と上記絶縁碍子の先端面との軸方向距離をC、上記絶縁碍子の先端肉厚をTとし、上記軸方向距離Cについては、上記第2接地電極の上記角部が上記絶縁碍子の先端面よりも先端側へ突出した場合を+としたとき、
0.4mm≦A≦1.0mm、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項1において、上記第2接地電極と上記絶縁碍子との最短距離Bは、
0.2mm≦B≦A−0.05mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端面から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子の先端面を突出させた状態で該絶縁碍子を保持する取付金具と、基端部が該取付金具に固定されると共に先端部が上記中心電極の先端部との間に第1ギャップを形成する第1接地電極と、基端部が上記取付金具に固定されると共に先端部が上記中心電極の側面と第2ギャップを形成する第2接地電極とからなる内燃機関用スパークプラグにおいて、
上記第2接地電極と上記絶縁碍子との最短距離をB、上記第2接地電極の先端部における上記取付金具側の角部と上記絶縁碍子の先端面との軸方向距離をC、上記絶縁碍子の先端肉厚をT、上記取付金具の先端面における上記第2接地電極の上記中心電極側の側面と上記中心電極の中心軸との径方向距離をLとし、上記軸方向距離Cについては、上記第2接地電極の上記角部が上記絶縁碍子の先端面よりも先端側へ突出した場合を+としたとき、
L≦3.5mm、
0.3mm≦T≦0.8mm、
0.2mm≦B≦0.9mm、
−1.0mm≦C≦0.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項3において、上記第1ギャップをAとしたとき、
0.4mm≦A≦1.1mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項1〜4のいずれか一項において、上記取付金具の先端面における上記絶縁碍子と上記取付金具との距離をDとしたとき、
0.6mm≦D≦1.6mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項1〜5のいずれか一項において、上記絶縁碍子の先端径をEとしたとき、
2.1mm≦E≦3.9mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項1〜6のいずれか一項において、上記中心電極及び上記接地電極のうち少なくとも一方は、貴金属もしくはその合金よりなる放電部材を電極母材に接合してなることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
- 請求項7において、上記放電部材は、Ptを主成分として50重量%以上含有し、Ir、Rh、Ni、W、Pd、Ru、Os、Y、Y2O3の少なくとも1種が添加された合金であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
- 請求項7において、上記放電部材は、Irを主成分として50重量%以上含有し、Pt、Rh、Ni、W、Pd、Ru、Os、Y、Y2O3の少なくとも1種が添加された合金であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
- 請求項7〜9のいずれか一項において、上記中心電極は、電極母材に上記放電部材を接合してなり、該放電部材の軸直交断面積をS1、上記電極母材からの突き出し量をF1としたとき、
0.1mm2≦S1≦0.8mm2、
0.3mm≦F1≦1.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項7〜10のいずれか一項において、上記接地電極は、電極母材に上記放電部材を接合してなり、該放電部材の軸直交断面積をS2、上記電極母材からの突き出し量をF2としたとき、
0.1mm2≦S2≦0.8mm2、
0.3mm≦F2≦1.5mm
であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 請求項1〜11のいずれか一項において、上記取付金具のネジ径は、M12以下であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
- 請求項1〜12のいずれか一項において、上記取付金具のネジ径は、M10以下であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
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