JP3887010B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

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    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/39Selection of materials for electrodes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用スパークプラグ、特に、絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電を含む火花放電が発生する内燃機関用スパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジン性能の改良に伴い、内燃機関用スパークプラグには更なる長寿命化や耐汚損性向上等が求められている。例えば、耐汚損性を改善した内燃機関用スパークプラグとして、セミ沿面放電型スパークプラグと呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これは、発生する火花が、接地電極と絶縁体との間では気中放電し、絶縁体と中心電極との間では絶縁体の先端部表面を経由した沿面放電形態で伝播するように構成した内燃機関用スパークプラグである。一般に、内燃機関用スパークプラグは、低温環境下で長時間使用されると、いわゆる「燻り」や「かぶり」の状態となり、絶縁体の先端部表面がカーボンなどの導電性汚損物質で覆われて作動不良が生じやすくなる。これに対し、上記セミ沿面放電型スパークプラグでは、絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電によってカーボンなどの汚損物質が焼き切られるので、耐汚損性に優れている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−68252号公報(第5−9頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−164146号公報(第7−11頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セミ沿面放電型スパークプラグでは、絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電が頻繁に発生した場合、絶縁体の先端部表面が溝状に削られる、いわゆるチャンネリングが生じ易くなることが知られている。このチャンネリングが進行すると、スパークプラグの耐熱性が損なわれたり、信頼性が低下するなどの不具合が発生する虞がある。このチャンネリングを抑制するために、中心電極の電極材としてFe,Crを副成分として含むNi合金を用いた内燃機関用スパークプラグが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、Fe,Crの酸化物が半導体を形成することを利用したもので、火花放電による中心電極の火花消耗によって飛散したFe,Crが絶縁体の先端部表面に付着して酸化物半導体の被膜を形成し、この被膜によって絶縁体を保護すると共に放電電圧を低下させることで、チャンネリングが抑制されるものである。
【0005】
しかし、Fe,Crを添加するほど中心電極の熱伝導率が低下するために、中心電極の消耗が著しくなる問題があった。なお、中心電極の消耗には、火花消耗と酸化消耗の2つの要因が含まれると考えられる。これに対し、Fe,Crの含有率を調整することで、チャンネリングを抑制すると共に、中心電極の消耗を抑制することを可能とした内燃機関用スパークプラグが知られている(例えば、特許文献2参照)。この内燃機関用スパークプラグでは、Feを1.0wt%以上、Crを1.5wt%以上、且つFeとCrとを合わせて2.5wt%以上9.0wt%以下とし、さらに、Niを80wt%以上とすることで、チャンネリングを抑制しつつ、中心電極の消耗を抑制するものである。この内燃機関用スパークプラグは、Ni合金の副成分として酸化物半導体を形成する元素を用いることが特徴であり、最適な副成分元素としてFe,Crを用いている。しかし、Fe,Crの含有率を調整しても、中心電極の消耗を抑制するには不十分であった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、チャンネリングの抑制と中心電極の消耗の抑制とを両立することができる内燃機関用スパークプラグを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、上記軸孔に挿設された中心電極であって、上記絶縁体の先端から突出する先端部を有する中心電極と、上記中心電極の径方向外側に位置する接地電極であって、自身と上記中心電極の上記先端部との間に生じさせる火花放電のうち少なくとも一部が上記絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電を含むように、上記絶縁体の先端部及び上記中心電極の上記先端部に対する位置関係が決められた1または複数の接地電極と、を備え、上記中心電極のうち少なくとも上記先端部は、少なくともその表面が主成分としてNiを80wt%以上、副成分としてFe及びCrを合わせて2.5wt%以上10.0wt%以下含有するNi合金からなる内燃機関用スパークプラグであって、上記Ni合金は、副成分として、さらにAlを0.2wt%以上0.8wt%以下含有してなり、上記副成分のFeを1.5wt%以上5.0wt%以下含有してなる内燃機関用スパークプラグである。
【0008】
従来の内燃機関用スパークプラグでは、中心電極を構成するNi合金の副成分として、Fe,Crなどの酸化物半導体を形成する元素を添加することで、火花消耗によって絶縁体の先端部表面に酸化物半導体の被膜を形成させ、この被膜によって絶縁体を保護すると共に放電電圧を低下させることで、チャンネリングを抑制していた。従って、Alのように、酸化物が絶縁体を形成するものをNi合金の副成分して添加することは好ましくなく、このような元素を副成分して添加することは考えられていなかった。
【0009】
これに対し、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、中心電極の少なくとも先端部は、少なくともその表面を形成するNi合金の副成分として、Fe,Crに加えて、Alを0.2wt%以上0.8wt%以下含有している。熱伝導率の高いAlを0.2wt%以上添加することで、Fe,Crを添加することによるNi合金の熱伝導率の低下を防ぎ、中心電極の消耗の抑制を可能としている。さらに、0.8wt%以下とすることで、絶縁体の先端部表面に形成される被膜に含まれる絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)の量を抑制し、被膜の導電性を維持することでチャンネリングを抑制することができる。
前述したように、Ni合金の副成分であるAlは、絶縁性の高い酸化物(Al 2 3 )を形成する。従って、絶縁体の先端部表面に形成される被膜にAl 2 3 が含まれることにより、被膜の導電性が低下してしまう。これに対し、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、Ni合金の副成分であるFeの含有率を1.5wt%以上5.0wt%以下としている。Feの含有率を1.5wt%以上とすることで、絶縁性の高いAlの酸化物(Al 2 3 )が含まれることに伴う被膜の導電性低下を抑制し、絶縁体の先端部表面にチャンネリング抑制効果を発揮できる被膜を形成することができる。5.0wt%以下とすることで、Ni合金の熱伝導率の低下を抑制し、中心電極の消耗を抑制することができる。
【0010】
なお、本発明の内燃機関用スパークプラグとしては、例えば、接地電極と絶縁体との間では気中放電し、絶縁体と中心電極との間では絶縁体の先端部表面に沿って沿面放電する火花放電が発生するセミ沿面放電型スパークプラグが挙げられる。また、セミ沿面放電型スパークプラグに中心電極の先端面と対向する平行電極を組合わせたスパークプラグや、絶縁体の周囲を取り囲む環状の接地電極から気中放電することなく中心電極まで沿面放電するフル沿面放電型スパークプラグとしても良い。本発明の内燃機関用スパークプラグは、少なくとも絶縁体の先端部表面を経由した沿面放電をする全ての内燃機関用スパークプラグを含む。
【0011】
このうち、セミ沿面放電型スパークプラグに中心電極の先端面と対向する平行電極を組合わせたスパークプラグでは、着火性と耐久性を向上するため、中心電極の先端部の先端(中心電極の先端面)に、別途、金属チップを設けるようにしても良い。なお、この金属チップは、中心電極の先端部には含まないものとする。この金属チップとしては、例えば、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金や、Wなどの高融点金属を主成分とする合金などが挙げられる。
【0012】
さらに、上記内燃機関用スパークプラグであって、前記1または複数の接地電極のうち少なくとも1つは、その先端面が前記絶縁体の前記先端部の少なくとも一部を挟んで、前記中心電極の先端部側面の周方向一部と対向するように配置されてなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0013】
本発明の内燃機関用スパークプラグとしては、例えば、セミ沿面放電型スパークプラグが挙げられる。このセミ沿面放電型スパークプラグでは、接地電極の先端面が絶縁体の先端部の少なくとも一部を挟んで中心電極の先端部側面の周方向一部と対向しているため、絶縁体の先端部表面の周方向一部を経由して中心電極の先端部側面の周方向一部に火花放電が集中する。このため、従来のセミ沿面放電型スパークプラグは、沿面放電をする内燃機関用スパークプラグの中でも、特に、チャンネリング及び中心電極の消耗が生じやすくなっていた。これに対し、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、前述したように、中心電極の少なくとも先端部を形成するNi合金の副成分として、Fe,Crに加えてAlを0.2wt%以上0.8wt%以下含有しているので、チャンネリングを抑制すると共に中心電極の消耗をも抑制することができる。
【0014】
なお、本発明の内燃機関用スパークプラグは、セミ沿面放電型スパークプラグに限らず、セミ沿面放電型スパークプラグに中心電極の先端面と対向する平行電極を組合わせたスパークプラグも含む。このスパークプラグでは、前述のように、中心電極の先端部の先端(中心電極の先端面)に、別途、金属チップを設けるようにしても良い。
【0015】
【0016】
【0017】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記Ni合金は、前記副成分のCrを1.5wt%以上5.0wt%以下含有してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0018】
本発明の内燃機関用スパークプラグでは、Ni合金の副成分のCrの含有率を1.5wt%以上5.0wt%以下としている。Crの含有率を1.5wt%以上とすることで、絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)が含まれることに伴う被膜の導電性低下を抑制し、絶縁体の先端部表面にチャンネリング抑制効果を発揮できる被膜を形成することができる。5.0wt%以下とすることで、Ni合金の熱伝導率の低下を抑制し、中心電極の消耗を抑制することができる。
【0019】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記Ni合金は、副成分としてMn、Cu、及びCoの少なくともいずれかを含有してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0020】
一般に、成分中にAlの酸化物とMn、Cu、またはCoの酸化物とを含む複合酸化物は、半導体を形成することが知られている。そこで、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、Ni合金の副成分として、Alに加えてMn、Cu、及びCoの少なくともいずれかを添加することにした。このようにすることで、絶縁体の先端部表面に形成される被膜に含まれる絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)に代えて、Alの酸化物を1成分とする複合酸化物半導体(例えば、酸化アルミニウムと酸化マンガンとの複合酸化物半導体)を構成することができる。このため、被膜の導電性が向上することで放電電圧が低下し、より一層チャンネリングを抑制することができる。
【0021】
さらに、上記内燃機関用スパークプラグであって、前記Ni合金は、前記副成分のうちAlの含有率をb(wt%)、Mn、Cu、及びCoの合計含有率をc(wt%)としたとき、0.3b≦c≦6.0bの関係を満たす内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0022】
本発明の内燃機関用スパークプラグでは、Ni合金について、Alの含有率をb(wt%)、Mn、Cu、及びCoの合計含有率をc(wt%)としたときに、0.3b≦c≦6.0bの関係を満たすようにしている。Alに対しMn、Cu、及びCoを重量で0.3倍以上添加することで、チャンネリングの抑制に有効な、Alの酸化物を1成分とする複合酸化物半導体(例えば、酸化アルミニウムと酸化マンガンとの複合酸化物半導体)を絶縁体の先端部表面に形成することができる。6.0倍以下とすることで、中心電極の耐消耗性、耐熱強度性を確保することができる。
【0023】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記中心電極は、CuまたはCu合金からなる軸芯と、前記Ni合金からなり、上記軸芯の先端を上記中心電極の先端面より基端側に位置させて、少なくとも上記軸芯の先端部側を被覆する被覆部材と、を有し、上記Ni合金は、副成分としてCを0.003wt%以上0.05wt%以下含有してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0024】
内燃機関用スパークプラグの中心電極として、CuまたはCu合金からなる軸芯と、N合金からなり軸芯の先端部を被覆する被覆部材とが一体に成形されたものを用いることがある。
ところで、CuまたはCu合金からなる軸芯の熱膨張率は、これを被覆するNi合金からなる被覆部材の熱膨張率に比して大きい。従って、上記のような構成の中心電極を有するスパークプラグを使用に供した場合、軸芯の径方向外側への熱膨張の影響で、被覆部材のうち軸芯の周囲に位置する部分(以下、被覆周囲部とも言う)がNi合金本来の熱膨張より大きく径方向外側へ膨張してしまう虞がある。一方、被覆部材のうち軸芯より先端側に位置する部分(以下、被覆先端側部ともいう)は、軸芯の径方向外側への熱膨張に影響されることなく、径方向外側へはNi合金本来の割合で熱膨張をする。このため、被覆部材において、被覆周囲部が被覆先端側部に比して径方向外側へ大きく膨張して変形あるいは破断すると共に、中心電極の先端部が基端側へ引っ込み変形してしまう虞がある。
【0025】
これに対し、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、中心電極の被覆部材を構成するNi合金が、副成分としてCを0.003wt%以上0.05wt%以下含有している。Cの含有率を0,003wt%以上とすることで、Ni合金の熱間強度が向上するので、軸芯の周囲に位置する被覆周囲部が、軸芯の熱膨張の影響で径方向外側へ大きく膨張して変形するのを抑制することができる。このため、中心電極の先端部が基端側へ引っ込み変形するのを抑制することができる。さらに、0.05wt%以下とすることで、Ni合金の硬度が高くなりすぎて、中心電極の成形性が低下するのを抑制することができる。なお、軸芯は、その先端が絶縁体の先端より基端側の位置に配置されて中心電極の先端部に含まれない場合と、その先端が絶縁体の先端から突出する位置に配置され、軸芯の一部分が中心電極の先端部に含まれる場合とがある。
【0026】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記絶縁体の周囲を取り囲み、自身の先端側端面から上記絶縁体の前記先端部が突出するように配置された主体金具を有し、上記主体金具の先端外径は10.1mm以下である内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0027】
近年、内燃機関の高出力化に伴って燃焼室内における吸気及び排気バルブの大型化や4バルブ化が検討され、また、エンジンが小型化される傾向から、内燃機関用スパークプラグは小型化を望まれている。しかし、セミ沿面放電型スパークプラグ等の沿面放電するスパークプラグでは、小型化(細径化)するほど沿面放電が顕著となり、また、小型化(細径化)するほど絶縁体の肉厚は薄くなる傾向にある。このため、チャンネリングの問題は、特に、主体金具のネジ径をM12以下とした場合に深刻となる。
【0028】
これに対し、本発明のセミ沿面放電型スパークプラグは、前述したような成分のNi合金で中心電極を形成しているため、主体金具の先端外径を10.1mm以下(ネジ径がM12以下の主体金具の先端外径に相当する)としても、チャンネリングを抑制することができる。
なお、主体金具の先端外径とは、主体金具の先端角部に形成された面取り部を除いた先端の外径をいう。従って、本発明は、主体金具の外側面に取付ネジ部が形成されていない、いわゆるネジなしプラグについても適用できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100について、図面を参照しつつ説明する。内燃機関用スパークプラグ100は、図1に示すように、接地電極110、中心電極120、主体金具130、及び絶縁体140を備えており、主体金具130の外側面に形成されているネジ部130bを利用して図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、使用に供される。
【0030】
ここで、内燃機関用スパークプラグ100のうち、本発明の要部である先端部100b(図1のB部)の断面図を図2、上面図を図3に示す。このうち、絶縁体140はアルミナからなり、軸線C方向に貫通する軸孔140bを有する筒状体である。中心電極120は、軸孔140bに挿設され、その先端部120bが絶縁体140の先端面140dより先端側に突出するように固設された軸状金属体である。なお、中心電極120の先端部120bの外径は2.2mmとなっている。主体金具130は、外側面に呼びがM14のネジ部130bが形成されており、絶縁体140の周囲を隙間を形成して取り囲んでいる。なお、本実施形態では、主体金具130の先端外径Dは、12.05mmとなっている。接地電極110は金属体であり、中心電極120を間に挟んで対向する位置に2つ設けられている。詳細には、接地電極110の基端部110cが溶接によって主体金具130に固設され(図2参照)、図3に示すように、先端面110bが中心電極120の先端部側面120cの周方向一部である対向部120hと対向するように配置されている。
【0031】
さらに、内燃機関用スパークプラグ100では、図2に示すように、絶縁体140の先端部140cは、中心電極120の先端部側面120cと接地電極110の先端面110bとの間に挟まれる位置に配置されている。詳細には、絶縁体140の先端面140dは、軸線C方向に見たとき、接地電極110の先端面110bの基端側縁部110fと先端側縁部110eとの間に位置している。なお、中心電極120の先端部側面120cと接地電極110の先端面110bとの間隙を第1ギャップg1、絶縁体140の先端部側面140eと接地電極110の先端面110bとの間隙を第2ギャップg2とする。
【0032】
さらに、内燃機関用スパークプラグ100では、中心電極120は、自身の熱引きを良好とするために、軸線Cを中心とする位置に配置されたCuからなる軸芯122と、この軸芯122の先端部122bを被覆するNi合金からなる被覆部材121とを有し、軸芯122と被覆部材121が一体に形成されている。被覆部材121を構成するNi合金は、Niを主成分とし、副成分としてFe,Cr,Al等を含有するNi合金である。なお、詳細な成分については後述することにする。また、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、軸芯122は、その先端が絶縁体140の先端面140dより基端側の位置に配置されており、中心電極120の先端部120bに含まれない。このため、中心電極120の先端部120b全体が、Ni合金によって形成されている。なお、本実施形態では、接地電極110についても、中心電極120の被覆部材121と同様のNi合金によって形成されている。
【0033】
次に、このような内燃機関用スパークプラグ100を使用に供したときの様子について説明する。内燃機関用スパークプラグ100は、主体金具130に形成されたネジ部130bを利用して図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火源として使用される。この内燃機関用スパークプラグ100は、例えば、中心電極120側が負、接地電極110側が正となるように放電用高電圧が印加される。これにより、図4(a)に示すように、第1ギャップg1を隔てた接地電極110の先端面110bと中心電極120の先端部側面120cとの間で気中放電する火花放電S1が発生し、図示しない燃焼室内の混合気に着火を行う。あるいは、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに沿った沿面放電、及び第2ギャップg2を隔てた接地電極110の先端面110bと絶縁体140の先端部側面140eとの間の気中放電が組合わされた火花放電S2が発生し、図示しない燃焼室内の混合気に着火を行う。
【0034】
このように、内燃機関用スパークプラグ100は、接地電極110の先端面110bと絶縁体140の先端部140cとの間では気中放電し、絶縁体140の先端部140cと中心電極120の先端部側面120cとの間では絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに沿った沿面放電をする、いわゆるセミ沿面放電型スパークプラグとして機能する。
なお、内燃機関用スパークプラグ100では、絶縁体140の先端部140cの表面の汚損が比較的進行していない場合は、第1ギャップg1で火花放電する頻度が高く、汚損が進行した場合には、第2ギャップg2で火花放電する頻度が高くなる。このため、汚損が進行した場合には、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに沿った沿面放電によってカーボンなどの汚損物質を焼き切ることができるので、耐汚損性に優れている。
【0035】
ところで、前述したように、内燃機関用スパークプラグ100では、接地電極110の先端面110bが中心電極120の先端部側面120cの周方向一部である対向部120hと対向するように配置されている(図3参照)。このため、火花放電S1,S2は、中心電極120の先端部側面120cのうち対向部120hに集中するので、この対向部120hに消耗が集中してしまう。さらに、火花放電S2の沿面放電は、図3に示すように、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eのうち接地電極110の先端面110bと中心電極120の対向部120hと間に介在する先端介在部140h(図3の斜線部分)及び側面介在部140iに集中する。このため、絶縁体140の先端介在部140h及び側面介在部140iにチャンネリングが集中してしまう。従って、特に、内燃機関用スパークプラグ100のようなセミ沿面放電型スパークプラグにおいて、中心電極の消耗及び絶縁体のチャンネリングが問題となる。
【0036】
このような内燃機関用スパークプラグ100について、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金の成分を調整した16種類のサンプル1〜16のスパークプラグを用意し、中心電極120の耐消耗性、絶縁体140の耐チャンネリング性を評価する試験を行った。具体的には、4気筒のガソリンエンジン(排気量1800cc)に9種類のサンプル1〜9のスパークプラグのうちいずれかを取付け、無鉛ハイオクガソリンを燃料として使用し、スロットル全開状態、エンジン回転数6000rpmで200時間の運転を行った。その後、3次元レーザ測定器を用いて中心電極120の消耗体積を測定し、中心電極120の耐消耗性を評価した。さらに、3次元レーザ測定器を用いて絶縁体140のチャンネリング深さを測定し、耐チャンネリング性を評価した。この試験結果を図5の表に示す。なお、内燃機関用スパークプラグ100の中心電極120側が負、接地電極110側が正となるように放電用高電圧を印加した。
【0037】
まず、サンプル3のスパークプラグの試験結果について検討する。サンプル3のスパークプラグは、Ni合金の副成分としてCrを5.0wt%、Fe3.0wt%含有するが、Alを含有してない。このサンプル3のスパークプラグでは、絶縁体140のチャンネリング深さが0.23mmと良好な結果となっている。
【0038】
この結果の要因は次のように考えられる。まず、図4(a)に示すように、火花放電S1あるいはS2の発生により、接地電極110の先端面110bと中心電極120の先端部側面120cとの間の気体分子がイオン化する。そして、接地電極110と中心電極120との間に形成される電界勾配により、上記イオンが中心電極120の先端部側面120cに衝突することで、中心電極120の先端部側面120c(Ni合金)の金属成分(Fe,Cr等)が飛散する。通常、燃焼室内は燃焼ガスにより高温の酸化雰囲気になっているので、飛散したFe,Cr等の金属成分は直ちに酸化物となって絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに付着して、被膜160を形成する。Fe,Crの酸化物は半導体を形成するため、この被膜160は導電性を有することになる。その結果、図4(b)に示すように、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに沿った沿面放電時においても、被膜160によって絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eが保護されると共に、放電電圧を低下させることができるので、チャンネリングを抑制することできると考えられる。
【0039】
この現象は、中心電極120の先端部側面120c(Ni合金)をターゲットとした反応性スパッタリングと類似した機構であるといえる。なお、高速あるいは高負荷運転時のように、発火面となる中心電極120の先端部側面120c及び接地電極110の先端面110bの温度が上昇し易い環境下では、中心電極120の先端部側面120cのスパッタリング的な蒸発が起こりやすくなるので、被膜160の形成が促進される。すなわち、チャンネリングの起こりやすい条件となるほど、被膜160の形成が促進されるので、優れたチャンネリング抑制効果を得ることが期待できる。このことについては、前述した特許文献2にも記載されている。
【0040】
しかし、サンプル3のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積が0.46mm3と大きかった。これは、中心電極120の先端部120bに熱伝導率の低いFe,Crを添加したNi合金を用いたために、中心電極120の先端部120bの熱伝導率が低下し、中心電極120の消耗が促進されたと考えられる。
【0041】
そこで、中心電極120の消耗を抑制するために、熱伝導率の高いAlを添加したサンプル4,5,10,11のスパークプラグについて試験を行った。
サンプル4のスパークプラグでは、サンプル3のスパークプラグと同様にCrを5.0wt%、Feを3.0wt%含有し、さらにAlを1.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル4のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積が0.19mm3と極めて良好な結果となり、Alを含有するNi合金を中心電極120の先端部120bに使用することで中心電極120の消耗を抑制できることが確認できた。しかし、絶縁体140のチャンネリング深さが0.56mmと大きな値になってしまった。これは、絶縁体140に形成される被膜160に絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)が含まれることで、被膜160の導電性が低下したためと考えられる。
【0042】
一方、サンプル5のスパークプラグは、サンプル3のスパークプラグと同様にCrを5.0wt%、Feを3.0wt%含有するが、さらにAlを0.5wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル5のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積が0.31mm3と良好な結果となり、絶縁体140のチャンネリング深さも0.27mmと良好な結果となった。これは、Ni合金の副成分としてAlを0.5wt%添加したことで、Fe,Crを添加したことによる中心電極120の先端部120bの熱伝導率の低下を抑制しつつ、被膜160に含まれる絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)の量を抑制して被膜160の導電性を維持することができたためと考えられる。
【0043】
さらに、サンプル10,11のスパークプラグは、サンプル3のスパークプラグと同様にCrを5.0wt%、Feを3.0wt%含有するが、さらにAlをそれぞれ0.2wt%,0.8wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このようなサンプル10,11のスパークプラグにおいても、中心電極120の消耗体積が0.37mm3,0.26mm3と良好な結果となり、絶縁体140のチャンネリング深さも0.26mm,0.39mmと良好な結果となった。
【0044】
上述したサンプル3,4,5,10,11のスパークプラグの試験結果を検討すると、中心電極120の消耗を抑制するためには、Ni合金のAlの含有率を0.2wt%以上にすることが好ましいといえる。Ni合金の副成分として熱伝導率の高いAlを0.2wt%以上添加することで、Fe,Crを添加することによるNi合金の熱伝導率の低下を抑制できるからである。一方、絶縁体140のチャンネリングを抑制するためには、Ni合金のAlの含有率を0.8wt%以下にすることが好ましいといえる。0.8wt%以下とすることで、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに形成される被膜160に含まれる絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)の量を抑制し、被膜160の導電性を維持できるからである。従って、Ni合金のAlの含有率は、0.2wt%以上0.8wt%以下とすることが好ましいといえる。
【0045】
次に、サンプル5〜8,12,13のスパークプラグの試験結果について比較検討する。サンプル5〜8,12,13のスパークプラグでは、いずれもCrを5.0wt%、Feを3.0wt%、さらにAlを0.5wt%含有するが、Mnについては含有率が異なるNi合金を中心電極120の先端部120bに用いた。
サンプル6のスパークプラグでは、副成分としてMnを0.2wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル6のスパークプラグは、中心電極120の消耗体積が0.24mm3と良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さが0.17mmと極めて良好な結果となっている。このように、サンプル6のスパークプラグは、Mnを含有しないサンプル5のスパークプラグに比して、中心電極120の耐消耗性及び絶縁体140の耐チャンネリング性がいずれも向上している。
【0046】
これは、文献「感温半導体の実際」(著者:二木久夫、出版社:産報)の20ページに記載されているように、Alの酸化物がMnの酸化物と結合して複合酸化物半導体を形成したためと考えられる。具体的には、Ni合金の副成分としてMnを添加することで、被膜160に含まれる絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)に代えて、Alの酸化物とMnの酸化物とが結合した複合酸化物半導体を構成することができ、被膜160の導電性が向上して放電電圧が低下したためと考えられる。なお、サンプル6のスパークプラグでは、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金のうち、Mnの含有率(wt%)がAlの含有率(wt%)の0.4倍となっている。
【0047】
サンプル7のスパークプラグでは、副成分としてMnを2.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに用いている。このサンプル7のスパークプラグは、中心電極120の消耗体積が0.26mm3と良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さが0.18mmと極めて良好な結果となっている。このサンプル7のスパークプラグは、上記サンプル6のスパークプラグとほぼ同等の中心電極120の耐消耗性耐及び絶縁体140の耐チャンネリング性を有しているといえる。なお、サンプル7のスパークプラグでは、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金のうち、Mnの含有率(wt%)はAlの含有率(wt%)の4.0倍となっている。
【0048】
サンプル12,13のスパークプラグでは、副成分としてMnをそれぞれ0.15wt%,3.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに用いている。このサンプル12,13のスパークプラグは、中心電極120の消耗体積がそれぞれ0.22mm3,0.29mm3と良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さが共に0.19mmと極めて良好な結果となっている。このサンプル12,13のスパークプラグについても、上記サンプル6のスパークプラグとほぼ同等の中心電極120の耐消耗性耐及び絶縁体140の耐チャンネリング性を有しているといえる。なお、サンプル12,13のスパークプラグでは、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金のうち、Mnの含有率(wt%)はそれぞれAlの含有率(wt%)の0.3倍、6.0倍となっている。
【0049】
サンプル8のスパークプラグでは、副成分としてMnを4.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに用いている。このサンプル8のスパークプラグは、絶縁体140のチャンネリング深さが0.24mmと良好であるが、中心電極120の火花消耗体積が0.39mm3と大きくなってしまった。これは、Ni合金の副成分としてMnの含有率が高くなることで、中心電極120の先端部120bの熱伝導率が低下し、耐消耗性が確保できなくなったためと考えられる。なお、サンプル8のスパークプラグでは、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金のうち、Mnの含有率(wt%)はAlの含有率(wt%)の8.0倍となっている。
【0050】
上述したサンプル5,6,7,8,12,13のスパークプラグの試験結果を検討すると、絶縁体140のチャンネリングをより効果的に抑制するためには、Ni合金のAlの含有率(wt%)に対しMnの含有率(wt%)を0.3倍以上とすることが好ましいといえる。チャンネリングの抑制に有効なAlの酸化物とMnの酸化物が結合した複合酸化物半導体を、絶縁体140の先端面140d,先端部側面140eに形成することができるためと考えられる。さらに、中心電極120の消耗を抑制するためには、Ni合金のAlの含有率(wt%)に対しMnの含有率(wt%)を6.0倍以下とすることが好ましいといえる。6.0倍以下とすることで、中心電極120の耐消耗性を確保することができるためと考えられる。従って、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金のうち、Mnの含有率(wt%)は、Alの含有率(wt%)の0.3倍以上6.0倍以下とすることが好ましいといえる。
【0051】
なお、本実施形態では、Alの酸化物と複合酸化物半導体を形成するための金属元素としてMnを選択したが、Mnに代えてCoまたはCuを用いても良い。前記した文献「感温半導体の実際」(著者:二木久夫、出版社:産報)の20ページにおいて、Co,Cuの酸化物についてもAlの酸化物と複合酸化物半導体を形成することが記載されている。さらに、Alに対する重量比を等しくした場合の複合酸化物半導体の抵抗率についてもほぼ同等であることが示されている。このため、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金について、Mnと同様に、CoまたはCuの含有率(wt%)をAlの含有率(wt%)の0.3倍以上6.0倍以下とすることで、絶縁体140のチャンネリングを効果的に抑制しつつ、中心電極120の耐消耗性、耐熱強度性を確保することができると考えられる。なお、Mn,Co,Cuのうち1種類だけを含有するのではなく、2種類以上を含有するようにしても良い。この場合、これらの合計含有率(wt%)をAlの含有率(wt%)の0.3倍以上6.0倍以下とするのが好ましい。
【0052】
次に、サンプル1,2,7,9,14,15,16のスパークプラグの試験結果について比較検討する。サンプル1,2,7,9,14,15,16のスパークプラグでは、副成分としていずれもAlを0.5wt%、Mnを2.0wt%含有するが、CrとFeの含有率がそれぞれ異なるNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。
サンプル1のスパークプラグでは、Crを1.0wt%、Feを1.0wt%、Cr及びFeを合わせて2.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル1のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積が0.14mm3と極めて良好であるが、絶縁体140のチャンネリング深さが0.71mmと極めて大きな値となった。これは、Ni合金の副成分のうちCr及びFeの含有率が低いために、中心電極120の先端部120bの熱伝導率が低下しないので耐消耗性は確保できるが、被膜160に含まれる酸化物半導体が減少するので耐チャンネリング性が低下してしまうためと考えられる。
【0053】
一方、サンプル2のスパークプラグでは、副成分としてCrを6.0wt%、Feを6.0wt%、Cr及びFeを合わせて12.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル2のスパークプラグでは、絶縁体140のチャンネリング深さが0.12mmと極めて良好になったが、中心電極120の消耗体積が0.93mm3と極めて大きくなった。これは、サンプル1のスパークプラグとは反対に、Ni合金の副成分のうちCr及びFeの含有率が高いために、被膜160に含まれる酸化物半導体が増加することで耐チャンネリング性は向上するが、中心電極120の先端部120bの熱伝導率が低下することで耐消耗性が低下してしまうためと考えられる。
【0054】
これに対し、サンプル7のスパークプラグは、副成分としてCrを5.0wt%、Feを3.0wt%、Cr及びFeを合わせて8.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル7のスパークプラグでは、前述したように、中心電極120の消耗体積が0.26mm3と良好で、且つ、絶縁体140のチャンネリング深さが0.18mmと極めて良好な結果となっている。これは、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金が、副成分としてCrを5.0wt%、Feを3.0wt%、Cr及びFeを合わせて8.0wt%含有することで、被膜160に含まれる酸化物半導体によって耐チャンネリング性を向上させつつ、中心電極120の先端部120bにおける熱伝導率の低下を抑制して耐消耗性を確保することができたためと考えられる。
【0055】
さらに、サンプル9のスパークプラグは、副成分としてCrを3.0wt%、Feを3.0wt%、Cr及びFeを合わせて6.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル9のスパークプラグでも、中心電極120の消耗体積が0.21mm3と良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さが0.19mmと極めて良好な結果となっている。このサンプル9のスパークプラグは、上記サンプル7とほぼ同等の中心電極120の耐消耗性耐及び絶縁体140の耐チャンネリング性を有しているといえる。
【0056】
さらに、サンプル14,15のスパークプラグは、副成分としてCrをそれぞれ1.5wt%,1.0wt%、Feをそれぞれ1.0wt%,1.5wt%、Cr及びFeを合わせて共に2.5wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このようなサンプル14,15のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積がそれぞれ0.18mm3,0.17mm3と極めて良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さがそれぞれ0.38mm,0.39mmと良好な結果となった。
【0057】
さらに、サンプル16のスパークプラグは、副成分としてCrを5.0wt%、Feも5.0wt%、Cr及びFeを合わせて10.0wt%含有したNi合金を中心電極120の先端部120bに使用している。このサンプル16のスパークプラグでは、中心電極120の消耗体積が0.38mm3と良好で、且つ絶縁体140のチャンネリング深さが0.17mmと極めて良好な結果となった。
【0058】
上述したサンプル1,2,7,9,14,15,16のスパークプラグの試験結果を検討すると、絶縁体140のチャンネリングを抑制するためには、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金が、副成分としてCr,Feを含有し、Cr,Feのうち少なくともいずれかを1.5wt%以上、且つCr及びFeを合計で2.5wt%以上含有することが好ましいといえる。このようにすることで、特に、絶縁性の高いAlの酸化物(Al23)が含まれることに伴う被膜160の導電性低下を抑制し、耐チャンネリング性を向上することができるためと考えられる。さらに、中心電極120の消耗を抑制するためには、中心電極120の先端部120bを構成するNi合金が、副成分としてCrを5.0wt%以下、Feを5.0wt%以下、Cr及びFeを合計で10.0wt%以下含有することが好ましいといえる。このようにすることで、中心電極120の先端部120bにおける熱伝導率の低下を抑制して耐消耗性を確保することができるためと考えられる。
【0059】
ところで、前述したように、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、中心電極120がCuからなる軸芯122を有しており、この軸芯122の先端部122bがNi合金からなる被覆部材121によって被覆されている(図2参照)。ところが、Cuからなる軸芯122の熱膨張率は、これを被覆するNi合金からなる被覆部材121の熱膨張率に比して大きい。このため、内燃機関用スパークプラグ100を使用に供した場合、軸芯122の径方向外側への熱膨張の影響で、被覆部材121のうち軸芯122の周囲に位置する被覆周囲部121dがNi合金本来の熱膨張より大きく径方向外側へ膨張してしまう虞がある。一方、被覆部材121のうち軸芯122の先端より先端側に位置する被覆先端側部121bは、軸芯122の径方向外側への熱膨張に影響されることなく、径方向外側へはNi合金本来の熱膨張をする。このため、被覆部材121において、被覆周囲部121dが被覆先端側部121bに比して径方向外側へ大きく膨張して変形すると共に、中心電極120の先端部120bが基端側(図2中下方)へ引っ込み変形してしまう虞がある。
【0060】
そこで、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金にCを添加することでNi合金の熱間強度を向上させ、軸芯122の径方向外側への熱膨張の影響による先端部120bの引っ込みを抑制することを企図して以下の調査を行った。即ち、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金の副成分について、C成分を調整して添加した以外は前述したサンプル9と同様の構成とした4種類のサンプル17〜20のスパークプラグを用意し、中心電極120の引っ込み量を評価する試験を行った。具体的には、バーナーを用いて、サンプル17〜20のスパークプラグを850℃まで加熱した状態を3分間継続し、その後1分間空冷することを1サイクルとしたヒートサイクル試験を、2500サイクル行った。その後、中心電極120の引っ込み量を測定し、耐引っ込み性を評価した。この試験結果を図6の表に示す。
【0061】
サンプル17〜20のスパークプラグでは、副成分のうちCの含有率のみが異なるNi合金を中心電極120の被覆部材121に使用している。このうち、サンプル17のスパークプラグでは、副成分としてCを0.001wt%含有したNi合金を中心電極120の被覆部材121に使用している。このサンプル17のスパークプラグでは、中心電極120の引っ込み量が0.10mmと大きな値を示した。これは、Cの含有率が0.001wt%では、Ni合金の熱間強度を十分に確保することができず、軸芯122の熱膨張の影響で中心電極120の被覆部材121の被覆周囲部121dが径方向外側へ変形するのを抑制できなかったためと考えられる。
【0062】
これに対し、サンプル18のスパークプラグでは、副成分としてCを0.003wt%含有したNi合金を中心電極120の被覆部材121に使用している。このサンプル18のスパークプラグでは、中心電極120の引っ込み量を0.07mmに抑制することができた。これは、Cの含有率を0.003wt%とすることで、Ni合金の熱間強度を向上させることができ、軸芯122の熱膨張の影響で中心電極120の被覆部材121の被覆周囲部121dが径方向外側へ変形するのを抑制できたためと考えられる。
【0063】
さらに、サンプル19のスパークプラグでは、副成分としてCを0.05wt%含有したNi合金を中心電極120の被覆部材121に使用している。このサンプル19のスパークプラグでは、中心電極120の引っ込み量が0.02mmと極めて小さくなった。さらに、サンプル20のスパークプラグでは、副成分としてCを0.1wt%含有したNi合金を中心電極120の被覆部材121に使用している。このサンプル20のスパークプラグでは、中心電極120の引っ込み量が0.00mm、つまり引っ込みが観測されなかった。
【0064】
上述したサンプル17〜20のスパークプラグの試験結果を検討すると、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金の副成分として、Cを0.003wt%以上含有するようにすれば、中心電極120の引っ込みを抑制することができるといえる。ところが、Cの含有率を0.1wt%としたサンプル20のスパークプラグでは、Ni合金の硬度が高くなりすぎたため、中心電極120の成形が困難となっていた。従って、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金について、Cの含有率を0.003wt%以上0.05wt%以下とすることがより好ましいといえる。
【0065】
(変形形態1)
次に、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100の第1の変形形態である内燃機関用スパークプラグ200について、図面を参照しつつ説明する。本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ200は、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と比較して、プラグの先端部の構造が異なり、その他の部分についてはほぼ同様である。従って、実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様な部分については、説明を省略または簡略化する。
【0066】
本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ200の先端部の断面図を図7に示す。図7(a)は正面視断面図、図7(b)は側面視断面図である。内燃機関用スパークプラグ200は、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100における2つの接地電極110に加えて、さらに平行電極250を有している。 さらに、着火性と耐久性を向上するため、中心電極120の先端部120bの先端に、別途、金属チップ225が設けられている(この金属チップ225は、中心電極120の先端部120bには含まれない)。具体的には、中心電極120の先端面120fに円盤状の金属チップ225がレーザ溶接によって固設されている。この金属チップ225は、例えば、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金や、Wなどの高融点金属を主成分とする合金によって形成されている。
【0067】
平行電極250は、図7(b)に示すように、先端部250cが金属チップ225の先端面225bと対向するように形成されている。さらに、平行電極250の先端部250cのうち金属チップ225の先端面225bと対向する対向面250bが、金属チップ225の先端面225bに対し平行に配置されている。すなわち、内燃機関用スパークプラグ200は、セミ沿面放電型スパークプラグに平行電極250を組合わせたスパークプラグである。なお、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ200においても、軸芯122は、その先端が絶縁体140の先端面140dより基端側の位置に配置されており、中心電極120の先端部120bに含まれない。このため、中心電極120の先端部120b全体が、Ni合金によって形成されている。
【0068】
この内燃機関用スパークプラグ200では、平行電極250の対向面250bと金属チップ225の先端面225bとの間隙をギャップg3、接地電極110の先端面110bと絶縁体140の先端部側面140eとの間隙をギャップg4とする。そして、ギャップg3,g4を介して火花放電が行われるが、絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eが汚損した場合には、ギャップg4を隔てた接地電極110の先端面110bと絶縁体140の先端部側面140eとの間で火花放電し易くなる。このため、絶縁体140の絶縁体140の先端面140d及び先端部側面140eに沿った沿面放電が頻繁に発生する虞があるので、絶縁体140のチャンネリング及び中心電極120の消耗が懸念される。
【0069】
従って、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ200においても、実施形態と同様に、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金の成分を調整することによって、中心電極120の消耗を抑制しつつ、絶縁体140のチャンネリングを抑制することができる。具体的には、Ni合金の副成分として、Cr,Feを含有し、Cr,Feのうち少なくともいずれかを1.5wt%以上、且つCr及びFeを合計で2.5wt%以上10.0wt%以下とし、さらにAlを0.2wt%以上0.8wt%以下含有すると好ましい。さらに、Ni合金の副成分について、Mn,Co,Cuの少なくともいずれかを含有し、これらの合計含有率をAlの含有率の0.3倍以上6.0倍以下とすることによって、耐チャンネリング性をさらに良好とすることができる。さらに、Ni合金の副成分としてCを0.003wt%以上0.05wt%以下含有することで、中心電極120の成形性を良好としつつ、中心電極120の引き下がりを抑制することができる。
【0070】
ところで、内燃機関用スパークプラグ200では、前述のように、中心電極120の先端面120fに、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金あるいはWなどの高融点金属を主成分とする合金からなる金属チップ225をレーザ溶接によって固設している。ところが、一般に、中心電極120の先端部120bのように、Niを80wt%以上、Fe,Crを合わせて2.5wt%以上10.0wt%以下含有するNi合金と、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金あるいはWなどの高融点金属を主成分とする合金とは溶接性が好ましくない。このため、このようなスパークプラグでは、金属チップ225が剥離してしまう虞がある。
これに対し、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ200では、金属チップ225の直径を0.8mm以下とすることにより、溶接不良等が軽減され、金属チップ225が剥離しにくくなる。
【0071】
(変形形態2)
次に、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100の第2の変形形態である内燃機関用スパークプラグ300について、図面を参照しつつ説明する。本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300は、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と比較して、プラグの先端部の構造が異なり、その他の部分についてはほぼ同様である。従って、実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様な部分については、説明を省略または簡略化する。
【0072】
本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300の先端部の断面図を図8(a)に示す。内燃機関用スパークプラグ300は、環状の接地電極310を有し、この接地電極310の先端面310bと絶縁体340の先端面340dとを接するように配置している。このような内燃機関用スパークプラグ300は、接地電極310の先端面310bと中心電極120の先端部側面120cとの間の放電経路のほぼ全長にわたって絶縁体340の先端面340dに沿った沿面放電S3(図8(b)参照)をする、いわゆるフル沿面放電型スパークプラグである。このため、このような内燃機関用スパークプラグ300においても、絶縁体340のチャンネリング及び中心電極120の消耗が懸念される。なお、本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300においても、軸芯122は、その先端が絶縁体340の先端面340dより基端側の位置に配置されており、中心電極120の先端部120bに含まれない。このため、中心電極120の先端部120b全体が、Ni合金によって形成されている。
【0073】
従って、本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300においても、実施形態と同様に、中心電極120の被覆部材121を構成するNi合金の成分を調整することによって、中心電極120の消耗を抑制しつつ、絶縁体340のチャンネリングを抑制することができる。具体的には、Ni合金の副成分として、Cr,Feを含有し、Cr,Feのうち少なくともいずれかを1.5wt%以上、且つCr及びFeを合計で2.5wt%以上10.0wt%以下とし、さらにAlを0.2wt%以上0.8wt%以下含有すると好ましい。このようにすることで、図8(b)に拡大して示すように、絶縁体340の先端面340dに耐チャンネリング性を有する被膜340dを形成することができる。さらに、Ni合金の副成分について、Mn,Co,Cuの少なくともいずれかを含有し、これらの合計含有率をAlの含有率の0.3倍以上6.0倍以下とすることによって、耐チャンネリング性をさらに良好とすることができる。さらに、Ni合金の副成分としてCを0.003wt%以上0.05wt%以下含有することで、中心電極120の成形性を良好としつつ、中心電極120の引き下がりを抑制することができる。
【0074】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態等では、主体金具130のネジ部130bの呼び径がM14のスパークプラグを用いた。しかし、本発明はM14のスパークプラグに限定されるものではない。さらに言えば、M12以下のもの、例えば、M12,M10の主体金具を有する内燃機関用スパークプラグに対して特に有効となる。すなわち、セミ沿面放電型スパークプラグのように沿面放電可能なスパークプラグでは、小型化(細径化)するほど沿面放電が顕著となる一方、絶縁体の肉厚は薄くなると共に中心電極が細くなる傾向にある。このため、主体金具のネジ径をM12以下とした小型化(細径化)プラグでは、M14以上のスパークプラグに比してチャンネリング及び中心電極の消耗の影響が大きく、スパークプラグの性能が早期に著しく低下してしまう虞がある。このような、M12以下のいずれの小径プラグについても、本発明はチャンネリングの抑制と中心電極の消耗の抑制とを両立することが可能である。
従って、ネジの呼び径がM12以下、すなわち、主体金具の先端外径が10.1mm以下となる細径のスパークプラグに本発明を適用することで、特に、チャンネリングの抑制と中心電極の消耗の抑制との両立が有効となり、スパークプラグの長寿命化を図ることができる。
また、本発明は、主体金具の外側面に取付ネジ部が形成さていない、いわゆるネジなしプラグについても、同様の効果が得られる。
【0075】
また、実施形態では、内燃機関用スパークプラグ100について、接地電極110を2つ設けたセミ沿面放電型スパークプラグとしたが、接地電極は1または複数であれば良く、例えば、接地電極を3つあるいは4つ設けたセミ沿面放電型スパークプラグとしても良い。
また、実施形態等では、軸芯122は、その先端が絶縁体140,340の先端面140d,340dより基端側の位置に配置されており、中心電極120の先端部120bに含まれていなかった。すなわち、中心電極120の先端部120b全体が、Ni合金によって形成されていた。しかし、軸芯122は、その先端が絶縁体140,340の先端面140d,340dより先端側の位置に配置され、中心電極120の先端部120bに含まれても良い。すなわち、中心電極120の先端部120b全体が、Ni合金によって形成されていなくても良く、少なくとも先端部120bの表面がNi合金によって形成されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の側面図である。
【図2】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の要部構造を示す断面図である。
【図3】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の要部構造を示す上面図である。
【図4】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の作用を説明する説明図である。
【図5】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の中心電極120の耐消耗性、絶縁体140の耐チャンネリング性についての評価試験結果を示す表である。
【図6】 実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の中心電極120の耐引っ込み性についての評価試験結果を示す表である。
【図7】 変形形態1にかかる内燃機関用スパークプラグ200の要部構造を示す図であり、(a)はその正面視断面図、(b)はその側面視断面図である。
【図8】 変形形態2にかかる内燃機関用スパークプラグ300の要部構造を示す図であり、(a)はその側面視断面図、(b)はその拡大図である。
【符号の説明】
100,200,300 内燃機関用スパークプラグ
110,310 接地電極
120 中心電極
120b 中心電極の先端部
120c 中心電極の先端部側面
121 被覆部材
122 軸芯
122b 軸芯の先端部
130,330 主体金具
140,340 絶縁体
140d 絶縁体の先端面(絶縁体の先端部表面)
140e 絶縁体の先端部側面(絶縁体の先端部表面)
D 主体金具の先端外径

Claims (7)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    上記軸孔に挿設された中心電極であって、上記絶縁体の先端から突出する先端部を有する中心電極と、
    上記中心電極の径方向外側に位置する接地電極であって、自身と上記中心電極の上記先端部との間に生じさせる火花放電のうち少なくとも一部が上記絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電を含むように、上記絶縁体の先端部及び上記中心電極の上記先端部に対する位置関係が決められた1または複数の接地電極と、を備え、
    上記中心電極のうち少なくとも上記先端部は、少なくともその表面が主成分としてNiを80wt%以上、副成分としてFe及びCrを合わせて2.5wt%以上10.0wt%以下含有するNi合金からなる
    内燃機関用スパークプラグであって、
    上記Ni合金は、
    副成分として、さらにAlを0.2wt%以上0.8wt%以下含有してなり、
    上記副成分のFeを1.5wt%以上5.0wt%以下含有してなる
    内燃機関用スパークプラグ。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記1または複数の接地電極のうち少なくとも1つは、その先端面が前記絶縁体の前記先端部の少なくとも一部を挟んで、前記中心電極の先端部側面の周方向一部と対向するように配置されてなる
    内燃機関用スパークプラグ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記Ni合金は、前記副成分のCrを1.5wt%以上5.0wt%以下含有してなる内燃機関用スパークプラグ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記Ni合金は、副成分としてMn、Cu、及びCoの少なくともいずれかを含有してなる
    内燃機関用スパークプラグ。
  5. 請求項4に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記Ni合金は、前記副成分のうちAlの含有率をb(wt%)、Mn、Cu、及びCoの合計含有率をc(wt%)としたとき、
    0.3b≦c≦6.0bの関係を満たす
    内燃機関用スパークプラグ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記中心電極は、
    CuまたはCu合金からなる軸芯と、
    前記Ni合金からなり、上記軸芯の先端を上記中心電極の先端面より基端側に位置させて、少なくとも上記軸芯の先端部側を被覆する被覆部材と、を有し、
    上記Ni合金は、副成分としてCを0.003wt%以上0.05wt%以下含有してなる
    内燃機関用スパークプラグ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記絶縁体の周囲を取り囲み、自身の先端側端面から上記絶縁体の前記先端部が突出するように配置された主体金具を有し、
    上記主体金具の先端外径は10.1mm以下である
    内燃機関用スパークプラグ。
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