JP2000068032A - スパ―クプラグ - Google Patents
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Abstract
に優れたスパークプラグを実現する。 【構成】 平行接地電極11と中心電極2の先端面との
間に主気中ギャップ(A)が形成されており、セミ沿面
接地電極12の端面12Cと中心電極2の側周面2Aと
の間にセミ沿面ギャップ(B)が形成されており、端面
12Cと絶縁碍子1の側周面1Eとの間にセミ沿面碍子
ギャップ(C)が形成されている。そして、絶縁碍子1
の下端面1Dの高さ位置と、セミ沿面接地電極12の端
面12Cの上端縁12Bの高さ位置との段差Eが、E≦
+0.7mmであり、セミ沿面ギャップ(B)の距離B
が主気中ギャップ(A)の距離Aより大であり、セミ沿
面碍子ギャップ(C)の距離Cが主気中ギャップ(A)
の距離Aより小となるように構成されている。
Description
置として用いられるスパークプラグに関する。
端面から下方に突出するようにされた中心電極と、この
中心電極に対向して配設され一端が主体金具に接合され
た平行接地電極とを備え、中心電極と平行接地電極との
間の気中ギャップに火花放電させて燃料混合ガスに着火
するものが一般的である。また、気中ギャップでの着火
性を向上させるため、特開平5−326107号公報及
び特開平7−130454号公報には、中心電極の端面
に対向する平行接地電極の他に、中心電極の側周面に対
向した補助接地電極を設けたものが提案されている。こ
れらの補助接地電極は補助接地電極と中心電極との間の
ギャップに飛火させることが目的ではなく、補助接地電
極の存在により平行接地電極と中心電極の間の電界分布
を改善し、より低い放電電圧で平行接地電極と中心電極
の間のギャップに飛火させ着火性を向上させようとする
ものである。このため、これらのスパークプラグは構造
的に見て、補助接地電極の端面の端縁が必ずしも絶縁碍
子の下端面の近傍に位置するものではなかった。さら
に、特開平9−199260号公報には、中心電極の端
面に対向する平行接地電極の他に、絶縁碍子の下端面の
近傍に補助接地電極を設けたものが提案されている。
開平5−326107号公報及び特開平7−13045
4号公報に記載の従来のスパークプラグはいずれも、い
わゆる「くすぶり」に弱いという問題点があった。内燃
機関が所定温度で所定回転数以上で回っている定常運転
時は、スパークプラグの絶縁碍子の下方部分である脚長
部は適度に焼け、燃焼室内部の絶縁碍子の下端面近傍の
表面温度は500゜C程度に上昇する。このため、絶縁
碍子の表面に付着したカーボンは焼き浄められて絶縁碍
子の表面は清浄に保たれる。このため「くすぶり」は生
じない。しかしながら、内燃機関の温度が極端に低く、
回転数も低い低負荷の場合は、絶縁碍子の表面の温度が
上がらず絶縁碍子の表面に燃焼によるカーボンが付着蓄
積して、いわゆる「くすぶり」の状態になる。これがさ
らに進むと、中心電極と接地電極との絶縁が低下して火
花放電が不能になり、エンジンストールにいたる。ま
た、上記特開平9−199260号公報記載の従来のス
パークプラグは、平行接地電極若しくは補助接地電極か
ら中心電極までの距離(主気中ギャップ若しくはセミ沿
面ギャップ)、及び補助接地電極の端面から絶縁碍子の
側周面までの距離(セミ沿面碍子ギャップ)の関係は明
らかにされていない。
は絶縁碍子の側周面に対向して接地電極を配設したセミ
沿面プラグが開示されている。このプラグでは、火花が
絶縁碍子の表面に沿って走るため絶縁碍子の表面に付着
したカーボンは焼き切られ、「くすぶり」の問題はあま
り生じない。しかし、火花が絶えず絶縁碍子の表面に沿
って走るため絶縁碍子表面が火花による損傷を受ける、
いわゆる「チャネリング」の問題が生じる。このため、
スパークプラグの寿命が短いという問題点があった。
かつ、長寿命で着火性にも優れたスパークプラグを提供
することを目的とする。
め、本発明のうち請求項1記載の発明は、中心貫通孔を
有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持され前記絶縁
碍子の下端面から下方に突出するようにされた中心電極
と、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、その主体金具
に一端が接合され他端が前記中心電極の先端面に対向す
るように配設された平行接地電極とを備え、前記平行接
地電極と前記中心電極の先端面とにより主気中ギャップ
(A)を形成したスパークプラグにおいて、前記主体金
具に一端が接合され他端が前記中心電極の側周面若しく
は前記絶縁碍子の側周面に対向するように配設された単
数若しくは複数のセミ沿面接地電極を備え、前記セミ沿
面接地電極の他端の端面と、この端面と対向する前記中
心電極の側周面との間にセミ沿面ギャップ(B)が形成
されており、かつ、前記セミ沿面接地電極の端面と、こ
の端面と対向する前記絶縁碍子の側周面との間にセミ沿
面碍子ギャップ(C)が形成されており、前記絶縁碍子
の下端面の高さ位置と、前記セミ沿面接地電極の端面の
上端縁の高さ位置との段差Eは、E≦+0.7(単位は
mm、また、+はセミ沿面接地電極の端面の上端縁が絶
縁碍子の下端面から下に離れる方向を意味する)であ
り、前記セミ沿面ギャップ(B)の距離Bが前記主気中
ギャップ(A)の距離Aより大であり、前記セミ沿面接
地電極の端面及び前記絶縁碍子を前記絶縁碍子の中心軸
に沿って切断した場合に、前記絶縁碍子の前記下端面を
示す線を外方へ延長した第1の延長線と、前記絶縁碍子
のセミ沿面ギャップ(B)部近傍の側周面を示す線を前
記下端面の方向へ延長した第2の延長線と、前記セミ沿
面接地電極の端面を示す線を下方へ延長した第3の延長
線とを描いた場合に、前記第1および第2の延長線の交
点から前記第1および第3の延長線の交点までの距離
(以下、セミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cと称す
る)が前記主気中ギャップ(A)の距離Aより小である
ことを特徴とする。ここで、スパークプラグの上下位置
関係は中心電極の先端面が下となるようにして記載し
た。
(B)の距離Bより主気中ギャップ(A)の距離Aの方
が小さい(A<B)から、「くすぶり」の状態ではない
正常時には、平行接地電極との間の主気中ギャップ
(A)で火花放電が生じる。ここで、主気中ギャップ
(A)の距離Aよりセミ沿面碍子ギャップ(C)の距離
Cは小さく(C<A)、かつ、絶縁碍子の下端面の高さ
位置と、セミ沿面接地電極の端面の上端縁の高さ位置と
の段差Eは、E≦+0.7(単位はmm)である。従っ
て、絶縁碍子の下端面が燃焼により生じたカーボンによ
り汚損された「くすぶり」の状態になると、セミ沿面接
地電極の端縁と中心電極の側周面の間に、絶縁碍子の下
端面の沿面を経由して火花放電が生じる(以下、セミ沿
面放電と称する)。セミ沿面放電の火花はセミ沿面碍子
ギャップ(C)を飛んだ後、絶縁碍子の表面に沿って走
る。何回かセミ沿面放電を繰り返すと絶縁碍子の下端面
に堆積したカーボンが焼き切られて絶縁碍子の表面は清
浄な状態に戻り、再び絶縁碍子表面の絶縁が回復して
「くすぶり」が解消され、火花放電はセミ沿面ギャップ
(B)から主気中ギャップ(A)に戻る。
の発明のスパークプラグでは、殆どの時間において平行
接地電極との間の主気中ギャップ(A)で火花放電が生
じ、絶縁碍子の表面がカーボンにより汚損された「くす
ぶり」の状態の時にのみセミ沿面接地電極との間のセミ
沿面ギャップ(B)でセミ沿面放電が生じて燃焼室の混
合ガスに着火する。殆どの時間を主気中ギャップ(A)
での火花放電で混合ガスに着火するから着火性に優れ
る。また、セミ沿面放電は絶縁碍子の表面に堆積したカ
ーボンを焼き切る自己清浄作用を備えるから、このスパ
ークプラグは「くすぶり」に極めて強い。さらに、セミ
沿面放電が生じる頻度は低くその放電時間が極く短時間
で終了するから火花による「チャネリング」の作用は弱
くなり、チャネリングは殆ど発生しない。このため、こ
のスパークプラグの寿命は十分に長い。
記主気中ギャップ(A)の距離A、前記セミ沿面ギャッ
プ(B)の距離B及び前記セミ沿面碍子ギャップ(C)
の距離Cは、A≦(0.8(B−C)+C)(単位はm
m)であることを特徴とすることができる。このように
形成すると、スパークプラグが「くすぶり」の状態では
ない正常時において、主気中ギャップ(A)での飛火率
が50%以上となる。従って、正常時には主気中ギャッ
プ(A)で飛火することとなり、着火性やチャネリング
の面で有利になる。
記セミ沿面ギャップ(B)の距離BがB≦2.2であり
(単位はmm、以下同じ)、前記セミ沿面碍子ギャップ
(C)の距離Cが0.4≦C≦(A−0.1)であるこ
と(Aは主気中ギャップ(A)の距離)を特徴とするこ
とができる。このように形成すると、絶縁碍子の表面が
「くすぶり」の状態になった時にセミ沿面接地電極と中
心電極の間で、より確実に、セミ沿面放電を生じさせる
ことができる。セミ沿面ギャップ(B)の距離Bが2.
2mmより大きいと、セミ沿面接地電極と中心電極の間
で放電が生ぜず中心電極と主体金具の絶縁碍子取り付け
部付近との間で絶縁碍子の脚長部表面に沿って放電す
る、いわゆるフラッシュオーバーが発生する確率が高く
なる。また、セミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cが
0.4mmより小さいとセミ沿面接地電極と絶縁碍子の
間にカーボンによるブリッジが生じ放電不能になる確率
が高くなる。一方、前記セミ沿面碍子ギャップ(C)の
距離Cが主気中ギャップ(A)の距離Aの0.1mmよ
り大きくなると、「くすぶり」時においても、セミ沿面
接地電極との間のセミ沿面碍子ギャップ(C)で放電す
るより、平行電極との間の主気中ギャップ(A)で放電
してしまう確率が高くなる。
記絶縁碍子の下端面の高さ位置と、前記セミ沿面接地電
極の端面の上端縁の高さ位置との段差Eは、E≦+0.
5であること(単位はmm、また、+はセミ沿面接地電
極の端面の上端縁が絶縁碍子の下端面から下に離れる方
向を意味する)を特徴とすることができる。このように
形成すると、セミ沿面放電の火花による絶縁碍子表面の
火花清浄作用を効果的に維持することができる。絶縁碍
子の下端面の高さ位置とセミ沿面接地電極の端面の端縁
の高さ位置との段差Eが+0.5mmより大きいと、セ
ミ沿面放電の火花が絶縁碍子の下端面に密着せず、絶縁
碍子表面の火花清浄作用の効果が低下する。なお、この
段差Eが、−方向(即ち、セミ沿面接地電極の端面の上
端縁が絶縁碍子の下端面から上に離れる方向)に拡大し
ていった場合には、平行接地電極を持たないスパークプ
ラグでは放電電圧の増大をきたす場合がある。しかし、
本発明のように平行接地電極を併せ持つプラグでは、こ
の平行接地電極により正常時における放電電圧が決定さ
れるため上述のような放電電圧の増大はない。また、こ
の場合にはセミ沿面接地電極の断面積を3mm2 以下に
すると良い。このように形成することによって、セミ沿
面碍子ギャップ(C)において、低温始動時のブリッジ
の発生を抑制することができる。
記段差Eは、E≦−0.7であること(単位はmm)を
特徴とすることができる。このように形成すると、セミ
沿面放電の火花による絶縁碍子表面の火花清浄作用をさ
らに効果的に維持することができる。
記中心電極の前記絶縁碍子の下端面からの突き出し量H
は、1.0≦H≦4.0であること(単位はmm、以下
同じ)を特徴とすることができる。このように形成する
と、セミ沿面放電による中心電極の電極消耗を小さく抑
制することができる。また、平行接地電極との間の主気
中ギャップ(A)での火花放電による着火性と、セミ沿
面接地電極のセミ沿面放電による着火性との乖離を小さ
くすることができ、放電電極の変化に伴う着火性の変化
による内燃機関のトルク変動を極力抑制することができ
る。中心電極の突き出し量Hが1.0mmより小さいと
中心電極側周の電極消耗が大きくなる。一方、中心電極
の突き出し量Hが4.0mmより大きいとセミ沿面放電
による着火性が主気中ギャップ(A)での着火性に比べ
て低下し、両者の着火性が乖離して好ましくない。ま
た、中心電極の温度が高くなり過ぎ、プレイグニッショ
ンを生ずる確率が高くなる。なお、着火性の乖離を更に
少なくし、また、中心電極の温度上昇を更に抑えるため
には、H≦2.0であることが望ましい。
記中心電極の先端径は前記絶縁碍子の下端面から突き出
した根本部分に比べて縮径されており、先端部分の中心
電極先端径D1は0.4≦D1≦1.6であり(単位は
mm、以下同じ)、絶縁碍子の下端面から突き出した根
本部分の中心電極元径D2は、(D1+0.3)≦D2
であることを特徴とすることができる。このように中心
電極の先端径D1を小径にすると、中心電極と平行接地
電極との放電電圧が低くなり主気中ギャップ(A)での
着火性が向上する。中心電極先端径D1が0.4mmよ
り小さくなると、中心電極の先端部に貴金属を用いても
火花による消耗が大きくなり実用的でない。また、中心
電極先端径D1が1.2mmより大きくなると放電電圧
低下の作用が顕著でなくなる。また、根本部分の中心電
極元径D2を中心電極先端径D1より太くしておくと
「くすぶり」時にセミ沿面ギャップ(B)で飛火し易く
なり、正常時には主気中ギャップ(A)で飛火し易くな
る。さらに、中心電極元径D2がある程度太いと熱引き
の作用が良くなり、中心電極の先端部の過熱を防止す
る。中心電極元径D2が(D1+0.3)mm以上にな
ると上記の効果があると考えられる。
記中心電極元径D2は、2.0≦D2であること(単位
はmm、以下同じ)を特徴とすることができる。このよ
うに中心電極元径を太く形成することによって、中心電
極の先端部の過熱を更に効果的に防止することができる
と共に、セミ沿面ギャップ(B)において放電した場合
における中心電極の消耗を抑制することができる。ま
た、中心電極元径D2を太くすることで電界の集中が緩
和されることから、正常時におけるセミ沿面ギャップ
(B)への火花発生割合を低減することができる。な
お、中心電極に使用する材料として、ニッケルを主成分
とするものが望ましく、この含有量は85重量%以上か
らなる良熱伝導性合金であることが更に望ましい。この
ようにニッケル含有量を多くすることによって熱引きが
更に良くなるとともに、セミ沿面ギャップ(B)におい
て放電した場合における中心電極の消耗を更に抑制する
ことができる。また、セミ沿面ギャップ(B)を一定に
した場合に、主気中ギャップ(A)を広くしていくと、
セミ沿面ギャップ(B)における放電が多くなる。中心
電極の消耗を考えると太くするほど望ましいが、主気中
ギャップ(A)の大きさにも関係するものと考えられ
る。現状においてこの両者の関係は明確ではないが、中
心電極元径D2は主気中ギャップ(A)の距離Aの2倍
程度以上に設定することが望ましい。
記中心電極の先端部が、白金合金、イリジウム合金等の
融点が1600℃以上の貴金属により構成されているこ
とを特徴とすることができる。このように形成すると、
中心電極の火花放電に対する耐摩耗性が向上し、スパー
クプラグの寿命が長くなる。この場合には特に上述した
ニッケル含有量を85重量%以上の中心電極材料を用い
ることが望ましい。これによって中心電極先端部の熱引
きを確保し、特に高温における酸化消耗が多いイリジウ
ム合金の温度を下げることができるため、貴金属の消耗
に非常に有利になる。
前記セミ沿面接地電極は、直棒状であって、前記主体金
具の下端面にこのセミ沿面接地電極の側面が接合されて
いることを特徴とすることができる。セミ沿面接地電極
は、絶縁碍子の下端面近傍に位置するため、絶縁碍子の
主体金具下端面からの出寸法が少ない場合には、以下の
ような問題を生ずる場合がある。即ち、主体金具下端面
のセミ沿面接地電極を溶接等によって接合しているが、
その接合部の極く近傍において中心電極側に向けて略L
字状に折り曲げる必要がある。このため、曲げる部分の
曲率を小さくせざるを得ず、折れや割れ等の製造上の不
具合を生ずる場合がある。従って、本発明のように形成
することで、このような問題点を解消することができ
る。
て図面を参照し説明する。図1は第1の実施の形態に係
るスパークプラグの部分断面図である。周知のように、
アルミナ等からなる絶縁碍子1は、その上部に沿面距離
を稼ぐためのコルゲーション1Aを、下部に内燃機関の
燃焼室に曝される脚長部1Bを備え、その軸中心には中
心貫通孔1Cを備えている。中心貫通孔1Cの下端に
は、インコネル等のニッケル合金からなる中心電極2が
保持され、中心電極2は絶縁碍子1の下端面から下方に
突出するようにされている。中心電極2は中心貫通孔1
Cの内部に設けられたセラミック抵抗3を経由して上方
の端子ナット4に電気的に接続されている。端子ナット
4には図示しない高圧ケーブルが接続され高電圧が印加
される。上記絶縁碍子1は主体金具5に囲まれ支持され
ている。主体金具5は低炭素鋼材で形成され、スパーク
プラグレンチと嵌合する6角形部5Aと、ねじ部5Bと
を備えている。主体金具5はそのかしめ部5Cにより絶
縁碍子1にかしめられ、主体金具5と絶縁碍子1が一体
にされる。かしめによる密閉を完全なものとするため、
主体金具5と絶縁碍子1との間に板状のパッキング部材
6とワイヤ状のシール部材7、8が介在され、シール部
材7、8の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されて
いる。また、ねじ部5Bの上端にはガスケット10が嵌
挿されている。
平行接地電極11が溶接により接合されている。平行接
地電極11は中心電極2の先端面と軸方向に対向し、中
心電極2と平行接地電極11とで主気中ギャップ(A)
を形成している。ここまでは従来のスパークプラグと同
じである。この実施の形態に係るスパークプラグでは平
行接地電極11とは別に、2本のセミ沿面接地電極1
2、12を備えている。セミ沿面接地電極12はニッケ
ル合金からなり、その一端が主体金具5の下端に溶接に
より接合され、他端の端面12Cが中心電極2の側周面
2A若しくは脚長部1Bの側周面1Eに対向するように
配設されている。2本のセミ沿面接地電極12はそれぞ
れ平行接地電極11から90゜ずれた位置に配設され、
セミ沿面接地電極12どうしは180゜ずれた位置に配
設されている。各セミ沿面接地電極12の端面12Cと
中心電極12の側周面2Aとの間でセミ沿面ギャップ
(B)をそれぞれ形成しており、各セミ沿面接地電極1
2の端面12Cと脚長部1Bの側周面1Eとの間でセミ
沿面碍子ギャップ(C)をそれぞれ形成している。
2、平行接地電極11、セミ沿面接地電極12の近傍を
拡大して示す部分断面図であり、図2(b)はセミ沿面
接地電極12を拡大して示す説明図である。中心電極2
の先端面と平行接地電極11との間の主気中ギャップ
(A)の距離をA、中心電極2の側周面2Aとセミ沿面
接地電極12の端面12Cとの間のセミ沿面ギャップ
(B)の距離をB、セミ沿面接地電極12と絶縁碍子1
を中心軸30に沿って切断した場合に、絶縁碍子1の下
端面1Dを示す線を外方へ延長した第1の延長線31
と、絶縁碍子1のセミ沿面ギャップ(B)部近傍の側周
面1Eを示す線を下端面1Dの方向へ延長した第2の延
長線32と、セミ沿面接地電極12の端面12Cを示す
線を下方へ延長した第3の延長線33とを描き、第1の
延長線31および第2の延長線32の交点P1から、第
1の延長線31および第3の延長線33の交点P2まで
の距離をセミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cとする
と、A<B、C<Aの関係がある。このように設定する
ことにより、絶縁碍子1の表面の絶縁が高い正常時には
平行接地電極11との間の主気中ギャップ(A)で放電
させ、絶縁碍子1の表面の絶縁が低下した「くすぶり」
時にはセミ沿面接地電極12との間のセミ沿面ギャップ
(B)で放電させることができる。絶縁碍子1の下端面
1Dとセミ沿面接地電極12の端面12Cの上端縁12
Bとの段差をE、絶縁碍子1の主体金具5の下端面5D
からの突き出し量をF、中心電極2の絶縁碍子1の下端
面1Dからの突き出し量をHとする。また、本実施の形
態では絶縁碍子1の突き出し量Fは3.0mmとし、中
心電極2の元径D2を2.0mmとした。なお、セミ沿
面接地電極12には、幅が2.2mmで厚さが1.3mmの
ものを用いており、平行接地電極11には、幅が1.5
mmで厚さが2.8mmのものを用いている。また、平行接
地電極11は、その先端部の温度を低減させ、火花消耗
を抑えるために銅芯入りのものを用いても良い。
ミ沿面接地電極12の端面12Cの上端縁12Bの高さ
位置との段差Eには、セミ沿面接地電極12の高さ位置
により、図2(a)に示すようにセミ沿面接地電極12
の上端縁12Bおよび下端縁12A(図2(b))が絶
縁碍子1の下端面1Dよりも上方にある場合と、図3に
示すようにセミ沿面接地電極12の上端縁12Bのみが
絶縁碍子1の下端面1Dよりも上方にある場合と、図4
に示すようにセミ沿面接地電極12の上端縁12Bが絶
縁碍子1の下端面1Dよりも下方にある場合との3つの
場合がある。いずれにしても、セミ沿面接地電極12の
端面12Cの上端縁12Bおよび下端縁12Aの一方
が、絶縁碍子1の下端面1Dの近傍の高さ位置にあるこ
とが好ましい。すなわち、段差Eは小さい方が好まし
い。セミ沿面放電は鋭角で電界の集中するセミ沿面接地
電極12の上端縁12Bおよび下端縁12Aから火花が
飛ぶと考えられるから、上端縁12Bおよび下端縁12
Aから飛ぶ火花を絶縁碍子1の下端面1Dに近づけ、絶
縁碍子1の表面に堆積したカーボンを焼き切る自己清浄
作用を強めるためである。
図5はセミ沿面ギャップ(B)の距離Bと放電電圧との
関係を示すグラフ図である。セミ沿面ギャップ(B)の
距離Bと放電電圧との関係を評価するために、エンジン
を使用してアイドリングからスロットルを全開してレー
シングを行って、放電電圧を観察するアイドル→レーシ
ング試験を行った。なお、スパークプラグは、平行接地
電極11を主体金具5の溶接部から切断したものを使用
した。また、使用エンジンは直列4気筒1.6リッター
である。セミ沿面ギャップ(B)の距離Bが2.2mm
を超えると放電電圧が25KVを超え、セミ沿面接地電
極12と中心電極2との間で放電が発生する前に、中心
電極2から主体金具5の絶縁碍子1の脚長部1Bの根本
近傍に飛火する、いわゆるフラッシュオーバーが発生す
る可能性が出てくる。このため、セミ沿面ギャップ
(B)の距離Bは2.2mm以下であることが必要であ
る。
≦C≦(A−0.1)、(単位はmm)とする根拠)図
6は縦軸に主気中ギャップ(A)の距離A、横軸にセミ
沿面碍子ギャップ(C)の距離Cをとり、主気中ギャッ
プ(A)及びセミ沿面碍子ギャップ(C)での飛火率が
それぞれ50%となる点をプロットした飛火率50%の
グラフ図である。飛火率の評価は、主気中ギャップ
(A)及びセミ沿面ギャップ(B)を観察できる窓を設
けたチャンバー内にスパークプラグを装着して、飛火の
方向を観察する机上試験によって行った。なお、「くす
ぶり」の状態のスパークプラグは、予め汎用エンジン等
を用いて5〜10MΩに絶縁抵抗値を低下させた試料を
用意した。図中で直線101はセミ沿面ギャップ(B)
における絶縁碍子1の下端面1Dの部分、即ち、セミ沿
面ギャップ(B)の距離Bとセミ沿面碍子ギャップ
(C)の距離Cとの差(B−C)が1.0mmの場合、
直線101’は同じく(B―C)が1.2mmの場合、
101”は同じく(B―C)が0.8mmの場合におい
て、スパークプラグが「くすぶり」の状態ではない正常
時に測定した飛火率50%の直線である。また、直線1
02はスパークプラグが「くすぶり」の状態での飛火率
50%の直線である。なお、「くすぶり」の状態におい
てはセミ沿面ギャップ(B)の距離Bの大小にかかわら
ず、同じ直線で表される。従って、例えば、前述した
(B−C)が1.0mmの場合には、直線101より左
側の領域AAは正常時にもセミ沿面碍子ギャップ(C)
で飛火する領域であり、直線101より右側の領域BB
及びCCは正常時に主気中ギャップ(A)で飛火する領
域である。一方、直線102より左側の領域AA及びB
Bは「くすぶり」時にセミ沿面碍子ギャップ(C)で飛
火する領域であり、直線102より右側の領域CCは
「くすぶり」時にも主気中ギャップ(A)で飛火する領
域である。それ故、正常時に主気中ギャップ(A)で飛
火し、「くすぶり」時にセミ沿面碍子ギャップ(C)で
飛火する領域は2つの直線101、102に挟まれた領
域BBである。
mm、以下同じ)で表され、直線102は、C=A−
0.1、で表されるから直線101、102に挟まれた
領域BBは次の式(1)で表される。 A−0.8≦C≦A−0.1 ・・・(1) また、前述した(B―C)を1.2mmとした場合のデ
ータを直線回帰した直線101’は、C=A−0.96
で表され、(B―C)を0.8mmとした場合のデータ
を直線回帰した直線101”はC=A−0.64で表さ
れる。従って、この3種類の直線101、101’、1
01”を比較すると、セミ沿面ギャップ(B)を考慮し
た正常時の主気中ギャップ(A)での飛火率が50%以
上となるためには、次の式(2)の条件が必要であるこ
とが分かる。 A≦0.8(B−C)+C ・・・(2)
Cが余りに小さいと、いわゆる、プレデリバリ汚損に弱
いことが判明した。プレデリバリ汚損(Pre delivery f
ouling)とは車の組立工場からディーラまでの間、新車
を搬送する際に、極く短い距離ずつ何回も運転されるの
でスパークプラグの温度が上昇せず「くすぶり」の状態
になり、スパークプラグの絶縁抵抗が低下する汚損をい
う。プレデリバリ汚損を評価するため、JIS D 16
06 の低負荷適合性試験で規定されているように、−
10゜Cの低温試験室に自動車を置き、低速で数回寸動
させる所定の運転パターンを1サイクルとして10サイ
クルの運転を行い、各サイクルの中程と終わりのスパー
クプラグの絶縁抵抗値を測定する方法が取られる。図7
は、セミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cの異なるスパ
ークプラグでのプレデリバリ汚損テストのテスト例を示
す。図中で、□はC=0.4mm、○はC=0.6m
m、△はC=0.8mmの2極セミ沿面スパークプラグ
での絶縁抵抗測定値である。エンジンは直列6気筒2.
5リッターを用いた。C=0.4mmでは6サイクルで
カーボンブリッジが発生し、放電不能となってエンジン
ストールに至っている。
何度か行い、カーボンブリッジが発生しエンジンストー
ルに至りN/Gとなる大略の確率を、セミ沿面碍子ギャ
ップ(C)の距離Cを横軸に示したものである。図から
明らかなようにセミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cが
0.4mmより小さくなるとN/Gとなる確率が急速に
増加している。従って、セミ沿面碍子ギャップ(C)の
距離Cは単位をmmとして次の式(3)を満たすことが
必要になる。 0.4≦C ・・・(3) 式(1)及び式(3)の条件から、セミ沿面碍子ギャッ
プ(C)の距離Cは少なくとも次の式(4)を満たすこ
とが好ましい。 0.4≦C≦A−0.1 ・・・(4)
5、(単位はmm)とする根拠)絶縁碍子1の下端面1
Dとセミ沿面接地電極12の上端縁12Bとの段差Eは
+0.7mm以下、好ましくは+0.5mm以下である
と良い。ここで、+はセミ沿面接地電極12の端面12
Cの上端縁12Bが絶縁碍子1の下端面1Dから下に離
れる方向を意味する。これをテストするため、図2
(a)に示すような段差Eが−(マイナス)寸法のもの
と、図4に示すような段差Eが+(プラス)寸法のもの
とについて、前記のプレデリバリ汚損テストを実施し
た。使用エンジンは直列4気筒1.8リッターである。
その結果、次の表1に示すテスト結果を得た。表中にお
いて、◎は12サイクルの運転後もスパークプラグが1
0MΩ以上の絶縁抵抗値を維持したものを示し、○は1
0サイクルの運転後もスパークプラグが10MΩ以上の
絶縁抵抗値を維持したものを示し、△は絶縁抵抗値は1
0MΩ以下に低下したが、なお、10サイクルの運転が
可能であったものを示し、×は8サイクルにてエンジン
の始動が不能になったものを示す。
には、上記の表1から明らかなように、段差Eは+0.
7mm以下(E≦+0.7)であれば良く、+0.5m
m以下(E≦+0.5)が好ましい。段差Eが+0.7
mmより大きくなるとプレデリバリ耐汚損性が低下する
のは、段差Eが大きくなるとセミ沿面接地電極12から
の火花が絶縁碍子1の下端面1Dから離れ、セミ沿面放
電によりカーボンを焼き切る自浄作用が低下するためで
あると考えられる。
する根拠)第1に、中心電極2の絶縁碍子1の下端面1
Dからの突き出し量Hは1.0mm以上であること
(1.0≦H)が好ましい。中心電極2の突き出し量H
が小さいスパークプラグでセミ沿面接地電極12からの
セミ沿面放電が生ずると、その火花は中心電極2の側周
面2Aのうち絶縁碍子1の下端面1Dの近傍に集中し、
この近傍が消耗する。中心電極2の絶縁碍子1の下端面
1Dからの突き出し量Hが1.0mm以上である場合に
は、図9(a)に示すように、中心電極2の側周面2A
がくびれるように消耗する。しかし、中心電極2の絶縁
碍子1の下端面1Dからの突き出し量Hが1.0mm未
満であると、図9(b)に示すように、中心電極2の端
面に向かって徐々に細くなるように消耗する。
の最大値をΔdとする。1スパーク当たりに消耗する電
極の体積はほぼ一定であると考えられているため、図9
(b)に示すように消耗した場合の最大消耗量Δdは図
9(a)に示すように消耗した場合の最大消耗量Δdよ
り大きくなる。最大消耗量Δdと突き出し量Hとの関係
を調べるため、突き出し量Hの異なるスパークプラグを
用意し、それぞれにセミ沿面接地電極12からのセミ沿
面放電を4×107 回(4千万回)行って火花耐久性を
調べた。その結果を図10に示す。図10から明らかな
ように、突き出し量Hが0.5mmでは最大消耗量Δd
は0.37mm、突き出し量Hが0.7mmでは最大消
耗量Δdは0.33mm、突き出し量Hが1.0mmで
は最大消耗量Δdは0.30mmであり、これ以上突き
出し量Hを大きくしても最大消耗量Δdはほぼ一定とな
った。従って、最大消耗量Δdを小さくするため中心電
極2の突き出し量Hは1.0mm以上であること(1.
0≦H)が好ましい。なお、本試験に使用したスパーク
プラグは、平行接地電極11を主体金具5との溶接面に
て切断した試料を用いた。これによって、常にセミ沿面
ギャップ(B)で飛火させて、消耗量を調べた。また、
本試験は、主気中ギャップ(A)及びセミ沿面ギャップ
(B)を観察できる窓を設けたチャンバー内に前述した
スパークプラグを装着して机上試験によって行った。試
験を行った点火装置には、火花放電エネルギ約70mJ
の一般的なフルトランジスタ式点火装置を用いた。
Dからの突き出し量Hは4.0mm以下であること(H
≦4.0)が好ましい。この理由は2つある。第1の理
由は主気中ギャップ(A)での放電とセミ沿面ギャップ
(B)での放電とによる着火性に余り大きな乖離を出さ
ないためである。図11は中心電極2の主体金具5の端
面5Dからの出寸法を一定にした場合における、中心電
極2の突き出し量Hと着火限界となる空燃比(A/F)
との関係を示すグラフ図である。着火限界となる空燃比
(A/F)は失火率が1%となる空燃比(A/F)で示
した。曲線103は主気中ギャップ(A)でのスパーク
による着火限界空燃比を示し、曲線104はセミ沿面ギ
ャップ(B)でのスパークによる着火限界空燃比を示
す。使用したエンジンは直列6気筒2リッターのもので
あり、700rpmのアイドル運転で測定した。また、
スパークプラグの中心電極2の主体金具5の端面5Dか
らの出寸法(F+H)は6.0mmであり、セミ沿面ギ
ャップ(B)の距離Bは1.7mmとした。主気中ギャ
ップ(A)での主放電では本質的に中心電極2の突き出
し量Hの影響を受けないため、曲線103は平坦な直線
を示す。これに対してセミ沿面放電での放電では突き出
し量Hの増加に伴い火花位置が燃焼室の壁面に近づいて
くるから着火性が低下し、曲線104は右肩下がりの曲
線を示す。主放電での着火性とセミ沿面放電での着火性
とに大きな乖離があると、主気中ギャップ(A)での放
電からセミ沿面ギャップ(B)での放電に切り替わった
際にエンジンのトルクに変動を生じ好ましくない。着火
性の乖離を許容範囲に止めるため、中心電極2の突き出
し量Hは4.0mm以下であること(H≦4.0)が好
ましい。
イグニッションを防ぐためである。図12は中心電極2
の突き出し量Hと中心電極2の温度との関係を示すグラ
フ図である。絶縁碍子1の突き出し量Fは3.0mmで
あり、熱価5番のスパークプラグを用いた。中心電極2
の突き出し量Hが大きくなると絶縁碍子1による熱引き
が悪くなり中心電極2の先端の温度が高くなる。突き出
し量Hが5.0mmになると中心電極2の先端の温度は
850゜Cを超え、プレイグニッションの可能性が出て
くる。従って、中心電極2の突き出し量Hは4.0mm
以下であること(H≦4.0)が好ましい。以上述べた
理由により、中心電極2の絶縁碍子1の下端面1Dから
の突き出し量Hは、1.0≦H≦4.0、(単位はm
m)であることが好ましい。
面を参照して説明する。本実施の形態では、上記第1の
実施の形態に比して中心電極2の先端部の形状以外は変
更ないので説明を省略し、異なる部分のみ説明する。図
13はスパークプラグの中心電極2’、平行接地電極1
1、セミ沿面接地電極12の近傍を拡大して示す部分断
面図である。中心電極2’の先端径は絶縁碍子1の下端
面1Dから突出した根本部分に比べて縮径されている。
中心電極2’の先端径をD1、元径をD2とする。縮径
された中心電極2’の先端部は白金合金からなるチップ
21がレーザー溶接により接合されて構成されている。
なお、本実施の形態では中心電極2’の絶縁碍子1の下
端面1Dからの突き出し量Hを2.0mmとし、中心電
極2’が縮径を始める始点22の絶縁碍子1の下端面1
Dからの突き出し量Jを0.6mmとした。
とする根拠)中心電極2’の先端径D1は0.4mm以
上であり1.6mm以下であることが好ましい。先端径
D1は0.4mmより小さいと、中心電極2’の先端部
分に白金合金やイリジウム合金を用いても火花による電
極消耗が大きくなり実用的でなくなる。
ップ(A)でのスパーク確率との関係を示すグラフ図で
ある。曲線105は「くすぶり」時ではない正常時の主
気中ギャップ(A)でのスパーク確率を示している。ス
パークプラグには中心電極の元径D2が2.6mm、主
気中ギャップ(A)の距離Aが1.1mm、セミ沿面ギ
ャップ(B)の距離Bが1.4mmのものを用いた。中
心電極2’の径が大きくなるに従って放電電圧が増加す
るため、正常時には中心電極先端径D1が1.6mmを
超すと主気中ギャップ(A)でのスパーク確率が100
%から下がり、放電するギャップの場所が主気中ギャッ
プ(A)かセミ沿面ギャップ(B)か不安定になる。以
上の理由により中心電極2’の先端径D1は0.4mm
以上1.6mm以下であること(0.4≦D1≦1.
6)が好ましい。
m)とする根拠)「くすぶり」時にはセミ沿面ギャップ
(B)で飛火し、正常時には主気中ギャップ(A)で安
定して飛火するためには、中心電極2’の根本部分の中
心電極元径D2は先端径D1より太い方が良い。また、
中心電極元径D2が太い方が中心電極先端部からの熱引
きが良くなり中心電極先端部の過熱を防ぐ。このため、
中心電極元径D2は(中心電極先端径D1+0.3m
m)より大であることが好ましいと判断した。中心電極
元径D2の上限は絶縁碍子1の下端付近で絶縁のため必
要とされる絶縁碍子1の厚さにより必然的に決められ
る。
拠)中心電極の先端部の過熱を更に効果的に防止すると
共に、セミ沿面ギャップ(B)において放電した場合に
おける中心電極の消耗を抑制するためには、中心電極元
径D2を太くすることが望ましい。また、中心電極元径
D2を太くすることで電界の集中が緩和されることか
ら、正常時におけるセミ沿面ギャップ(B)への火花発
生割合を低減することができる。これをテストするた
め、主気中ギャップ(A)の距離Aを1.0mm、セミ
沿面放電ギャップ(B)の距離Bを1.5mm、セミ沿
面碍子ギャップ(C)の距離Cを0.5mmとし、中心
電極元径D2を種々変化させた試料を用いて、エンジン
に装着し、6000rpm×WOT(全開)耐久試験を
行った後の中心電極側面の消耗量の最大値Δdによって
評価を行った。なお、使用したエンジンは直列6気筒2
リッターであり、試験条件は6000rpm×WOT
(スロットル全開)400時間である。また、試験を行
った点火装置には、火花放電エネルギ約70mJの一般
的なフルトランジスタ式点火装置を用いた。その結果、
次の表2に示すテスト結果を得た。表中において、◎は
最大消耗量Δdが0.35mm未満のものを示し、○は
最大消耗量Δdが0.35mm以上0.5mm以下のも
のを示し、△は最大消耗量Δdが0.5mmを超えるも
のを示す。
2.0mm以上(2.0≦D2)であることが好まし
い。中心電極元径D2が太くなると中心電極消耗量の最
大値Δdが減少するのは、1スパーク当たりに消耗する
電極の体積はほぼ一定であると考えられていることと、
中心電極元径D2を太くすることで電界の集中が緩和さ
れることから、セミ沿面ギャップ(B)への火花発生割
合を低減することができるためであると考えられる。
について図面を参照して説明する。本実施の形態では、
上記第1及び第2の実施の形態に比してセミ沿面接地電
極12の形状以外は変更ないので説明を省略し、異なる
部分のみ説明する。図15はスパークプラグの中心電極
2、平行接地電極11、セミ沿面接地電極12’及び主
体金具5下端の近傍を拡大して示す第3実施形態の部分
断面図である。セミ沿面接地電極12’は直棒状に形成
されており、その側面が主体金具5の下端面5Dに抵抗
溶接されている。また、図16はスパークプラグの中心
電極2、平行接地電極11、セミ沿面接地電極12’及
び主体金具5下端の近傍を拡大して示す第4実施形態の
部分断面図である。主体金具5の下端部に内径側に膨出
した膨出部5Eが形成されることにより、下端面5Dが
幅広状に形成されており、絶縁碍子1との間で補助ギャ
ップ(K)が設けられている。そして、その幅広状に形
成された下端面5Dに直棒状のセミ沿面接地電極12’
が抵抗溶接されている。このように形成することによっ
て、セミ沿面接地電極12’を主体金具端面の接合部の
極く近傍において中心電極2側に向けて略L字状に折り
曲げる必要がないため、折れや割れ等の製造上の不具合
を生じない。
グの効果をテストするため、一般のスパークプラグ(形
式PFR6G−11)と、セミ沿面スパークプラグ(形
式BKR6EKUC)と、本発明に係る第1及び第2の
実施の形態のスパークプラグを用いて「くすぶり」試験
と「チャネリング」試験とを行った。「くすぶり」試験
では、4サイクル汎用エンジンで単気筒440ccのも
のを用い、チョーク半開でアイドリング運転を行うとい
う過酷な運転を行った。その結果、一般のスパークプラ
グでは5分間の運転で「くすぶり」のためエンジンスト
ールに至った。セミ沿面スパークプラグでは一般のスパ
ークプラグより長時間の運転に耐えたが、それでも15
分間の運転で「くすぶり」のためエンジンストールに至
った。これに対して本発明に係る第1及び第2の実施の
形態のスパークプラグでは20分間運転しても問題なく
運転を続けた。セミ沿面スパークプラグよりも本発明に
係るスパークプラグの方が良い理由は、本発明に係るス
パークプラグでは正常時には主気中ギャップ(A)で飛
火するため燃焼状態が良く、「くすぶり」の原因となる
不完全燃焼を生ずる量が少ないからと考えられる。
Pa(メガパスカル)の環境下でフルトランジスタ電源
にて100Hzで100時間の連続スパーク耐久テスト
を行った。通常の燃焼室の点火直前の圧力は0.4MP
a程度であるから、圧力は加重している。この結果、セ
ミ沿面スパークプラグでは絶縁碍子の表面に大きなチャ
ネリング痕が残り、その深さは最大0.4mmに達し
た。これに対して、一般のスパークプラグと本発明に係
る第1及び第2の実施の形態のスパークプラグでは何ら
チャネリング痕が検出できなかった。
施の形態ではセミ沿面接地電極12を2極としたが、セ
ミ沿面接地電極は単極であっても良いし3極以上の多極
としても良い。しかしながら、単極では絶縁碍子の端面
の全周に渡って火花でカーボンを焼き切るのが難しく、
火花清浄性が悪くなるので、セミ沿面接地電極は2極か
ら3極が好ましいと考える。また、絶縁碍子の先端内部
において中心電極の縮径(いわゆるサーモ)されていな
いスパークプラグについて説明したが、1段または2段
以上に縮径されているスパークプラグであっても良い。
放電を行う平行接地電極の他に、絶縁碍子の下端面の近
傍にセミ沿面接地電極を備えるものであるから、絶縁碍
子の表面がカーボンで汚損された「くすぶり」時にはセ
ミ沿面接地電極からのセミ沿面放電によりカーボンを焼
き切る自己清浄作用を有し、なおかつ、主たる放電は平
行接地電極で行われるから、「くすぶり」に極めて強
く、高着火性を有し、「チャネリング」が殆ど発生せず
長寿命であるという優れた効果がある。
断面図である。
極近傍を拡大して示す部分断面図であり、図2(b)は
セミ沿面接地電極12を拡大して示す説明図である。
して示す部分断面図である。
して示す部分断面図である。
の関係を示すグラフ図である。
セミ沿面碍子ギャップ(C)の距離Cをとり、主気中ギ
ャップ(A)及びセミ沿面碍子ギャップ(C)での飛火
率がそれぞれ50%となる点をプロットした飛火率50
%のグラフ図である。
図である。
リバリ汚損テストN/Gとの関係を示すグラフ図であ
る。
耗状態を示す説明図である。
の関係を示すグラフ図である。
燃費(A/F)との関係を示すグラフ図である。
温度とを示すグラフ図である。
極近傍を拡大して示す部分断面図である。
でのスパーク確率との関係を示すグラフ図である。
極近傍を拡大して示す部分断面図である。
極近傍を拡大して示す部分断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中
心貫通孔に保持され前記絶縁碍子の下端面から下方に突
出するようにされた中心電極と、前記絶縁碍子を保持す
る主体金具と、その主体金具に一端が接合され他端が前
記中心電極の先端面に対向するように配設された平行接
地電極とを備え、前記平行接地電極と前記中心電極の先
端面とにより主気中ギャップ(A)を形成したスパーク
プラグにおいて、前記主体金具に一端が接合され他端が
前記中心電極の側周面若しくは前記絶縁碍子の側周面に
対向するように配設された単数若しくは複数のセミ沿面
接地電極を備え、前記セミ沿面接地電極の他端の端面
と、この端面と対向する前記中心電極の側周面との間に
セミ沿面ギャップ(B)が形成されており、かつ、前記
セミ沿面接地電極の端面と、この端面と対向する前記絶
縁碍子の側周面との間にセミ沿面碍子ギャップ(C)が
形成されており、前記絶縁碍子の下端面の高さ位置と、
前記セミ沿面接地電極の端面の上端縁の高さ位置との段
差Eは、E≦+0.7(単位はmm、また、+はセミ沿
面接地電極の端面の上端縁が絶縁碍子の下端面から下に
離れる方向を意味する)であり、前記セミ沿面ギャップ
(B)の距離Bが前記主気中ギャップ(A)の距離Aよ
り大であり、前記セミ沿面接地電極の端面及び前記絶縁
碍子を前記絶縁碍子の中心軸に沿って切断した場合に、
前記絶縁碍子の前記下端面を示す線を外方へ延長した第
1の延長線と、前記絶縁碍子のセミ沿面ギャップ(B)
部近傍の側周面を示す線を前記下端面の方向へ延長した
第2の延長線と、前記セミ沿面接地電極の端面を示す線
を下方へ延長した第3の延長線とを描いた場合に、前記
第1および第2の延長線の交点から前記第1および第3
の延長線の交点までの距離(以下、セミ沿面碍子ギャッ
プ(C)の距離Cと称する)が前記主気中ギャップ
(A)の距離Aより小であること、を特徴とするスパー
クプラグ。 - 【請求項2】 前記主気中ギャップ(A)の距離A、前
記セミ沿面ギャップ(B)の距離B及び前記セミ沿面碍
子ギャップ(C)の距離Cは、A≦(0.8(B−C)
+C)(単位はmm)であることを特徴とする請求項1
記載のスパークプラグ。 - 【請求項3】 前記セミ沿面ギャップ(B)の距離Bが
B≦2.2であり(単位はmm、以下同じ)、前記セミ
沿面碍子ギャップ(C)の距離Cが0.4≦C≦(A−
0.1)であること(Aは主気中ギャップ(A)の距
離)を特徴とする請求項1または2記載のスパークプラ
グ。 - 【請求項4】 前記絶縁碍子の下端面の高さ位置と、前
記セミ沿面接地電極の端面の上端縁の高さ位置との段差
Eは、E≦+0.5であること(単位はmm、また、+
はセミ沿面接地電極の先端面の上端縁が絶縁碍子の下端
面から下に離れる方向を意味する)を特徴とする請求項
1ないし3のいずれかに記載のスパークプラグ。 - 【請求項5】 前記段差Eは、E≦−0.7であること
(単位はmm)を特徴とする請求項4記載のスパークプ
ラグ。 - 【請求項6】 前記中心電極の前記絶縁碍子の下端面か
らの突き出し量Hは、1.0≦H≦4.0であること
(単位はmm、以下同じ)を特徴とする請求項1ないし
5のいずれかに記載のスパークプラグ。 - 【請求項7】 前記中心電極の先端径は前記絶縁碍子の
下端面から突き出した根本部分に比べて縮径されてお
り、先端部分の中心電極先端径D1は0.4≦D1≦
1.6であり(単位はmm、以下同じ)、絶縁碍子の下
端面における中心電極元径D2は、(D1+0.3)≦
D2であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
かに記載のスパークプラグ。 - 【請求項8】 前記中心電極元径D2は、2.0≦D2
であること(単位はmm、以下同じ)を特徴とする請求
項7記載のスパークプラグ。 - 【請求項9】 前記中心電極の先端部が、白金合金、イ
リジウム合金等の融点が1600℃以上の貴金属により
構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のい
ずれかに記載のスパークプラグ。 - 【請求項10】 前記セミ沿面接地電極は、直棒状であ
って、前記主体金具の下端面にこのセミ沿面接地電極の
側面が接合されていることを特徴とする請求項1ないし
9のいずれかに記載のスパークプラグ。
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JP11124504A JP3140006B2 (ja) | 1998-06-11 | 1999-04-30 | スパークプラグ |
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JP17962598 | 1998-06-11 | ||
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