JPH07201450A

JPH07201450A - 内燃機関用スパークプラグ

Info

Publication number: JPH07201450A
Application number: JP34935193A
Authority: JP
Inventors: Wataru Matsutani; 渉松谷; Kozo Amano; 孝三天野
Original assignee: NGK Spark Plug Co Ltd
Current assignee: Niterra Co Ltd
Priority date: 1993-12-28
Filing date: 1993-12-28
Publication date: 1995-08-04

Abstract

(57)【要約】【目的】多極スパークプラグにおいて、接地電極の端
面との間で火花放電を行う中心電極の側面部における溶
融合金部の火花放電に伴う消耗を抑制しようとするもの
である。【構成】貴金属線と共に中心電極の側面部に貴金属合
金部を溶融形成する中心電極母材を９０ｗｔ％以上のＮ
ｉを含有するＮｉ合金とすることにより、中心電極自体
の熱伝導率を高めて熱放散性を向上させることで温度上
昇を抑制すると共に、上記貴金属合金部の温度上昇をも
抑えることが可能となり、火花放電に伴う貴金属合金部
の消耗を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関用スパーク
プラグ、特に中心電極の側面部と接地電極との間で複数
の火花間隙部を形成してなる多極スパークプラグの中心
電極に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関用スパークプラグにおい
ては、中心電極先端と接地電極との間で火花間隙部を形
成する平行電極が一般的であったが、耐久性の確保や、
近年特に接地電極の折損に対する対策及び両極性点火装
置における正、負極性での放電電圧差の縮小といった要
求から、中心電極の側面部と接地電極の端面との間で複
数の火花間隙部を形成してなる多極スパークプラグが増
加してきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の、中心電極の側面部と接地電極の端面との間で複
数の火花間隙部を形成してなる多極スパークプラグの場
合、内燃機関用スパークプラグにおける火花放電は、中
心電極の側面部と接地電極の端面において行われるた
め、長期間の使用に対して中心電極の側面部において火
花放電による消耗が発生し易く、内燃機関用スパークプ
ラグとしての耐久性が低下してしまう欠点がある。

【０００４】これを改良して、火花放電に伴う消耗を防
止するために、接地電極の端面との間に火花放電を行う
中心電極の側面部において、レーザービームにより中心
電極母材を成分として含む貴金属合金部を形成させてな
るもの（特開平５−２３４６６２号）が提案されてい
る。中心電極の母材には、一般的に白金プラグと呼ばれ
る対消耗性を向上させるべく白金チップを中心電極に電
気抵抗溶接により接合固定してなる場合において、この
電気抵抗溶接をされた白金チップと中心電極との間に発
生する熱応力によって生じるクラックと、このクラック
に対する中心電極の酸化腐食に伴うクラックの伸展を抑
制するためにＮｉを約７０ｗ％含有するインコネル６０
０が使用されていることから、同様に上記提案のレーザ
ー溶接により貴金属合金部を形成したものもインコネル
６００を使用するものであるが、このように内燃機関用
スパークプラグの中心電極にインコネル６００を使用し
た内燃機関用スパークプラグに対して、実機に装着し、
耐久試験を実施したところ、約５〜６万ｋｍ相当で中心
電極の側面部に溶融形成される貴金属合金部が中心電極
の温度上昇に伴って高温となるので、この貴金属合金部
が消耗し、消失してしまう欠点が見いだされた。また、
約５〜６万ｋｍで貴金属合金部が消失しないようにする
為には新品時での貴金属合金部を増加させてやらなけれ
ばならないが、大きなコスト増となってしまう。

【０００５】一方、中心電極の側面部に形成される貴金
属合金部は、レーザービームにより貴金属チップと中心
電極母材との間で溶融形成されることから、上記貴金属
合金部と中心電極母材との境界面において必然的に拡散
層が形成されることとなり熱応力自体の発生も少なく、
更に境界面においてクラックが生じてもその進行は確実
に抑制され、従来の白金プラグのように中心電極母材に
インコネル６００を使用する必要がないことが明らかと
なった。

【０００６】そこで、この発明は上記従来のものの持つ
欠点を解消するものであり、中心電極における熱伝導性
を高めることにより、接地電極の端面との火花放電に伴
う中心電極の側面に溶融形成される貴金属合金部の温度
上昇を抑制し、貴金属合金部の対消耗性を向上させよう
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そのために、中心電極の
側面部に中心電極母材とＰｔ等の貴金属線からなる貴金
属合金部をレーザービームによって溶融形成すると共
に、上記中心電極母材を９０ｗｔ％以上のＮｉを含む耐
食耐熱合金とするものである。

【０００８】

【作用】上記の構成を具えるので、中心電極母材を９０
ｗｔ％以上のＮｉを含む耐食耐熱合金からなるものとす
ることにより、中心電極自体の熱伝導率が高められるも
のとなるので、燃焼室内において多量に発生する熱をス
パークプラグが受熱しても、内燃機関用スパークプラグ
を構成する中心電極の温度上昇は、この中心電極母材の
有する高い熱伝導率により効率よく熱の放散が行われる
ので抑制されると共に、この中心電極の側面部にレーザ
ー溶接により中心電極母材と貴金属線とによって溶融形
成される貴金属合金部の温度上昇をも抑制されるものと
なるので、接地電極の端面との火花放電による貴金属合
金部の消耗及び消失を抑制することができる。

【０００９】

【実施例】この発明を図に示す実施例により更に説明す
る。（１）は、この発明の実施例である内燃機関用スパ
ークプラグであり、この内燃機関用スパークプラグ
（１）は、軸孔（３）の先端に中心電極（４）を、その
後端に端子電極（５）を保持すると共に、上記軸孔
（３）内において導電性ガラスシール（６）（６）によ
って挟持される抵抗体（７）を封入してなる絶縁体
（２）と、環状の先端面（９）において複数の接地電極
（１０）を接合すると共に、その下部において内燃機関
に装着する際にプラグホールに対して螺合してなるネジ
部（１１）を有する主体金具（８）から構成されるもの
である。

【００１０】そして、中心電極（４）の軸方向の側面部
（１２）と、接地電極（１０）（１０）の端面（１３）
（１３）において絶縁体（２）の先端面（１６）に沿う
複数のセミ沿面の火花間隙部（１４）（１４）を形成す
ると共に、当該中心電極（４）の側面部（１２）には、
中心電極母材とＰｔ等の貴金属からなる貴金属合金部
（１５）を側面部（１２）の全周に亘ってレーザービー
ムによって溶融形成すると共に、上記貴金属合金部（１
５）を形成する中心電極母材を９０ｗｔ％以上のＮｉを
含む耐食耐熱合金としてなるものである。

【００１１】この発明は以上の構成を具えるので、内燃
機関用スパークプラグ（１）を構成する中心電極（４）
の中心電極母材を９０ｗｔ％以上のＮｉを含む耐食耐熱
合金からなるものとすることにより、中心電極（４）自
体の熱伝導率が高められるものとなるので、燃焼室内に
おいて混合気の爆発により多量に発生する熱を内燃機関
用スパークプラグ（１）、特に燃焼室内に突出する中心
電極（４）が受熱しても、内燃機関用スパークプラグ
（１）を構成する中心電極（４）の上記多量の熱を受熱
することに起因する温度上昇は、この中心電極（４）の
母材の有する高い熱伝導率により、絶縁体（２）及び主
体金具（８）のネジ部（１１）を介して効率よく内燃機
関を構成するシリンダーヘッド等に伝達されることとな
るので抑制されると共に、この中心電極（４）の側面部
（１２）にレーザー溶接により中心電極母材とＰｔ等の
貴金属線とによって溶融形成される貴金属合金部（１
５）の温度上昇をも抑制されるものとなるので、接地電
極（１０）（１０）の端面（１３）（１３）との火花放
電による貴金属合金部（１５）の消耗を防止することが
でき、この結果内燃機関用スパークプラグ（１）自体の
耐久性を著しく向上させることができる。

【００１２】そこで、この発明の実施例である内燃機関
用スパークプラグ（１）と、中心電極（４）の母材とし
て１５ｗｔ％のＣｒ及び８ｗｔ％のＦｅを含有してなる
Ｎｉ合金（インコネル６００）を使用し、直径０．３ｍ
ｍの純Ｐｔ線により貴金属合金部（１５）をレーザービ
ームにより中心電極（４）の側面部（１２）に溶融形成
してなる従来例とを（図４参照）、２０００ｃｃＤＯＨ
Ｃエンジンに装着して、５０００ｒｐｍ×Ｗ．Ｏ．Ｔ．
×３７５Ｈｒ（実走行６万ｋｍに相当）の条件の下で、
中心電極（４）の側面部（１２）の貴金属合金部（１
５）の消耗量を測定した。

【００１３】なお、この実機テストにおいて使用するこ
の発明の実施例である内燃機関用スパークプラグ（１）
には、従来例とは中心電極（４）の母材成分のみを異に
したものを使用することとし、実施例１である内燃機関
用スパークプラグ（１）の中心電極（４）の母材には、
２ｗｔ％のＭｎ、１．５ｗｔ％のＳｉ及び１．５ｗｔ％
のＣｒを含有するＮｉ合金を、実施例２である内燃機関
用スパークプラグ（１）の中心電極（４）の母材には、
３．７ｗｔ％のＭｎ、２．２ｗｔ％のＳｉ及び２．２ｗ
ｔ％のＣｒを含有するＮｉ合金を、更に実施例３である
内燃機関用スパークプラグ（１）の中心電極（４）の母
材には、４．８ｗｔ％のＭｎ、３．８ｗｔ％のＳｉ及び
３．８ｗｔ％のＣｒを含有するＮｉ合金とするものとし
た（図６参照）。

【００１４】この実機テストの結果より、従来例及び実
施例３においては、実機テスト時間である３７５時間を
経過する前に、中心電極（４）の側面部（１２）に形成
される貴金属合金部（１５）の消耗量は、上記貴金属合
金部（１５）の厚さ０．２ｍｍに達してしまうが、この
発明の実施例１及び実施例２の内燃機関用スパークプラ
グ（１）においては、実機テストの時間である３７５時
間経過時においては、ほぼその貴金属合金部（１５）の
消耗量は０．２ｍｍ以下であり、従来例及び実施例３の
ものと比較して明かに抑制されるものとなり、この発明
の効果が顕著に認められるものである（図５）。

【００１５】なお、貴金属合金部（１５）を形成する貴
金属材としては、上記実施例のＰｔの他にＰｔ−Ｉｒ合
金、Ｐｔ−Ｎｉ合金、Ｉｒ、Ｉｒ−酸化イットリウム合
金、Ｉｒ−酸化ランタン合金、Ｉｒ−酸化ジルコニウム
合金及びＩｒ−Ｎｉ合金等が用いることができる。

【００１６】図７は、この発明の第二の実施例の内燃機
関用スパークプラグ（１）を示したものであり、上述の
実施例と相違するところは、中心電極（４）の側面部
（１２）に形成した貴金属合金部（１５）と接地電極
（１０）（１０）との端面（１３）（１３）との間に気
中ギャップの火花間隙部（１７）（１７）を形成したス
パークプラグにも、この発明の中心電極母材が有効に適
用することができる。なお接地電極（１０）は２極だけ
に限らず３極であってもよい。また、貴金属合金部は中
心電極（４）の側面部（１２）の全周にだけでなく、接
地電極（１０）が対設する中心電極（４）の側面部（１
２）の部分にのみ設けてもよく、これにより貴金属材の
使用量を少量とすることができる。

【００１７】

【発明の効果】以上のとおり、中心電極の側面部にＰｔ
等の貴金属線と共にレーザービームによって貴金属合金
部を溶融形成してなる上記中心電極の母材を９０ｗｔ％
以上のＮｉを含む耐食耐熱合金からなるものとすること
により、燃焼室内において多量の熱を受熱する中心電極
の熱伝導率を高めることで主体金具等を介しての熱の放
散性を高め、中心電極の温度上昇を抑制し、それに伴っ
てこの中心電極の側面部に溶融形成される貴金属合金部
の温度上昇をも抑えることができるので、火花放電に伴
って発生する貴金属合金部の消耗を著しく低減させ、ス
パークプラグ自体の耐久性を大巾に向上させることがで
きる優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の内燃機関用スパークプラグ
の拡大断面図である。

【図２】この発明の実施例である内燃機関用スパークプ
ラグの先端部の拡大斜視図である。

【図３】その要部拡大断面図である。

【図４】実機テストに使用する従来例及びこの発明の実
施例における内燃機関用スパークプラグの先端部の寸法
を示した図である。

【図５】実機テストの結果を示したものである。

【図６】実機テストに使用した従来例及び実施例の内燃
機関用スパークプラグを構成する中心電極の母材の成分
を示したものである。

【図７】この発明の第二の実施例である内燃機関用スパ
ークプラグの先端部の拡大正面図である。

【符号の説明】

１内燃機関用スパークプラグ２絶縁体３軸孔４中心電極５端子電極６導電性ガラスシール７抵抗体８主体金具９先端面１０接地電極１１ネジ部１２（中心電極の）側面部１３（接地電極の）端面１４火花間隙部（セミ沿面ギャップ）１５貴金属合金部１６（絶縁体の）先端面１７火花間隙部（気中ギャップ）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】中心電極側面部に中心電極母材と貴金属
からなる貴金属合金部をレーザービームによって溶融形
成すると共に、上記中心電極母材を９０ｗｔ％以上のＮ
ｉを含む耐食耐熱合金としてなる内燃機関用スパークプ
ラグ。