JP4115730B2 - 1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるイエロー色素形成カプラーもしくはその合成中間体、並びに色素、医薬、農薬または電子材料等の合成中間体等として有用な1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2位が置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基で3位が置換もしくは無置換のアルキル基である1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物は米国特許第3,841,880号に記載のようにハロゲン化銀写真感光材料のイエロー色素形成カプラーおよびその中間体、あるいは色素、医薬、農薬、電子材料等の合成中間体として有用である。
これらの化合物の合成法としてはこれまで米国特許第3,841,880号に2−アミノベンゼンスルホンアミドとβ,β−ジエトキシアクリル酸エチルとを反応させて、3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドを合成する方法が記載されているが、1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の2位に置換基を有する化合物の合成において、閉環反応を完結させるには高い反応温度と長い反応時間が必要であることが問題であった。さらに、該特許には、酢酸を添加することにより反応が促進されることが記載されているがその効果は充分ではなかった。
またJ.Chin.Chem.Soc.,45,805(1998)記載のように2位(もしくは4位)が水素の1,2,4−チアジアジン−1,1−ジオキシド化合物をアルキル化する方法も知られているが、この方法では2位アルキル体と4位アルキル体の混合物となる欠点があった。さらに、J.Med.Chem.,6,122(1963)、J.Org.Chem.,51,1967(1986)、Tetrahedron,39,2073(1983)に記載のように2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物とオルトエステル化合物を反応させる方法があった。しかしながらこの反応ではいずれも高い反応温度を必要とするという問題があった。J.Org.Chem.,16,815(1951)にも2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物とオルトエステル化合物を反応させる方法が記載されているが、収率が低いという問題があった。またHuaxue Shiji,21,235(1999)に記載のように2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物をアシル化剤でアシル化した後オキシ塩化リンで環化させる方法もあったが、工程数が長く、またアシル部分に官能基を有する場合には環化工程の収率が低いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、入手の容易な原料から短工程で、温和な反応条件で、収率良く1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物を製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下に示す安価な原料から導かれる一般式(III)で表される2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物を経て、以下に示す一般式(II)で表されるイミノエーテル化合物を中間体として合成し、これを塩基の存在下に閉環反応させることにより、以下に示す一般式(I)で表される1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物が合成できることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
【0005】
すなわち本発明は、
(1)下記一般式(III)で表される2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物と下記一般式(IV)で表される1,1−ジアルコキシアルケン化合物または下記一般式(V)で表されるオルトエステル化合物とを酸の存在下に反応させて、下記一般式(II)で表されるイミノエーテル化合物を合成した後、該イミノエーテル化合物を単離することなく塩基の存在下に閉環反応させることを特徴とする下記一般式(I)で表される1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の製造方法。
【0006】
【化8】
【0007】
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。R2は置換基を表す。nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R3は水素原子または置換基を表す。)
【0008】
【化9】
【0009】
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。R2は置換基を表す。nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R3は水素原子または置換基を表す。R4は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)
【0010】
【化10】
【0011】
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。R2は置換基を表す。nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)
【0012】
【化11】
【0013】
(式中、R3は水素原子または置換基を表す。R4は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)
【0014】
【化12】
【0015】
(式中、R3は水素原子または置換基を表す。R4は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)
(2)前記塩基が、有機塩基、金属水素化物または金属アルコキサイドであることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)前記塩基が、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンまたは金属アルコキサイドであることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(4)前記塩基が、金属アルコキサイドであることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(5)トルエンまたはキシレンから選択される溶媒を使用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)前記塩基存在下の反応が、トルエンまたはキシレン還流下に行われることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法。
(7)前記酸が、p−トルエンスルホン酸であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
式中、R2は置換基を表す。nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R2の基の例としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0021】
なお、上述の基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられる。
【0022】
以下にR2の基の例を更に説明する。
これらの基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が得に好ましい。)、
【0023】
アルケニル基[直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、やトリシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が得に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0024】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0025】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0026】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0027】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0028】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0029】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0030】
アルキルまたはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0031】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールまたはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0032】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0033】
上記の基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0034】
一般式(I)において、R1は、置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基を表す。R1が有しても良い置換基の例としては前記R2の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0035】
好ましくはR1は、置換もしくは無置換のアルキル基である。R1の総炭素数はアルキル基の場合1以上60以下が好ましく、1以上50以下がより好ましく、1以上40以下がさらに好ましい。またアリール基の場合6以上60以下が好ましく、6以上50以下がより好ましく、6以上40以下がさらに好ましい。
【0036】
一般式(I)で表される化合物において、R3は水素原子または置換基を表す。この置換基の例としては前述のR2の基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR3は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基である。より好ましくはR3は水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基である。
【0037】
次に本発明の一般式(II)で表される化合物を詳細に説明する。
一般式(II)において、R1、R2、R3、nは一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)において、R4は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。好ましくはR4は無置換のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、最も好ましくはエチル基である。
なお一般式(II)で表される化合物の−N=C(OR4)−CH2−結合のメチレン基上の水素原子が1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド環上の4位の窒素原子上に移動して−NH−C(OR4)=CH−結合となった互変異性体も本発明に含まれる。本明細書に記載された化学構造式は便宜上これらの互変異性体の1つを記載したものであり、いずれの互変異性体も本発明に包含される。
【0038】
次に本発明の一般式(III)で表される化合物を詳細に説明する。
一般式(III)において、 R1、R2、nは一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0039】
一般式(IV)または(V)で表される化合物を詳細に説明する。
一般式(IV)及び(V)中、R3は一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。R4は一般式(II)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。上記各式において、R4は複数存在するが、これらの複数のR4は互いに同一であっても異なってもよい。本発明においては、同一分子中のR4はいずれも同じものが好ましい。
【0040】
一般式(I)で表される化合物には、置換基の種類に応じて1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、これらの不斉炭素に基づく任意の光学異性体またはジアステレオ異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。また純粋な形態の異性体のほか、それらの任意の混合物、ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。本発明の上記化合物が1個または2個以上の二重結合を含む場合には、これらに二重結合に基づく任意の幾何異性体も本発明の範囲に包含される。
【0041】
本発明において一般式(I)で表される化合物のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお活性メチレン部の水素原子(R3が置換した炭素原子上の水素原子)が、1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオン環中のC=N部の窒素原子(該環の4位の窒素原子)上に移動した互変異性体も本発明に含まれることとする。本明細書に記載された化学構造式は便宜上これらの互変異性体の1つを記載したものであり、いずれの互変異性体も本発明に包含される。
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
【化17】
【0045】
【化18】
【0046】
【化19】
【0047】
【化20】
【0048】
以下に一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】
【化26】
【0055】
一般式(III)で表される化合物の具体例は、上記一般式(II)で表される化合物の具体例で示した化合物から特定される。すなわち、上記各化合物の−N=C(OR4)CH2R3部分が−NH2である化合物である。本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0056】
以下に一般式(IV)または(V)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
【化27】
【0058】
【化28】
【0059】
【化29】
【0060】
【化30】
【0061】
【化31】
【0062】
なお、以降の説明において、以上に示された例示化合物を引用する場合、それぞれの例示化合物に付された括弧書きの番号(x)を用いて、「例示化合物(x)」と表示することとする。
【0063】
本発明は一旦できる一般式(II)で表される中間体を単離せずに、すなわちより具体的には、1ポットで引き続き反応を行うことにより、一般式(I)で表される化合物を合成するものであるが、一般式(II)で表される中間体を一旦単離あるいは抽出、濃縮等の操作により反応混合物を得てから、さらに、この中間体あるいは反応混合物を別の条件で反応させて一般式(I)で表される化合物を合成することもできる。
【0064】
本発明の方法で使用される一般式(III)で表される化合物、一般式(IV)または(V)で表される化合物は、既知の種々の方法によって合成できる。
一般式(III)で表される化合物は、最も一般的にはオルトニトロベンゼンスルホニルクロライド類とアミン類を反応させた後、ニトロ基を還元することにより、容易に合成できる。
一般式(IV)または(V)で表される化合物は最も一般的にはニトリル類を、アルコール存在下、エーテル等の溶媒中で酸の存在下に反応させることにより、容易に合成できる。
【0065】
一般式(I)で表される化合物の製造方法においては、一般式(III)で表される化合物の合成段階から一般式(I)で表される化合物自身を合成する工程を、途中の中間体を単離することなく、または/及び単に反応液を抽出、濃縮等の操作で得た反応混合物を使用して、製造することもできる。
具体的には、一般式(III)で表される化合物を合成するための出発原料のオルトニトロベンゼンスルホニルクロライド類とアミン類を反応させた後、単離せずにニトロ基を還元し、生成した一般式(III)で表されるアニリン化合物を単離することなく引き続き一般式(IV)または(V)で表される化合物と反応させ、一旦できる一般式(II)で表される中間体を単離せずに、1ポット(同一反応釜)で引き続き反応を行って一般式(I)で表される化合物を合成しても良いし、一般式(II)で表される中間体を一旦単離あるいは抽出、濃縮等の操作により反応混合物を得てから、さらに、この中間体あるいは反応混合物を別の条件で反応させて一般式(I)で表される化合物を合成してもよい。
生産性向上および製造コスト低減のためには、これらの反応工程を全て1ポットで行うのが好ましい。
【0066】
ここで用いる一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物とは一般に10:1〜1:100のモル比で使用され、好ましくは10:1〜1:10のモル比で使用され、さらに好ましくは5:1〜1:5のモル比で使用され、特に好ましくは1:1〜1:3のモル比で使用される。
【0067】
本発明の反応においては、無溶媒で反応を行ってもよいが、好ましくは適当な溶媒に溶解または分散して行ってもよい。本発明の反応に用いることのできる溶媒としては、例えば水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、イソプロパノール)、塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン)、アミド系溶媒(例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、 N、N−ジメチルアセトアミド)、ウレイド系溶媒(例えば1、3―ジメチル−2―イミダゾリジノン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)、リン酸アミド系溶媒(例えば、ヘキサメチルホスホリックトリアミド)、炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)が挙げられる。
【0068】
これら溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量としては、一般式(III)で表される化合物の1質量部当たり、もしくは一般式(II)で表される中間体1質量部当たり、好ましくは0.1 〜1000質量部、より好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜50質量部の割合で使用される。
【0069】
好ましくは一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物との反応においては芳香族系溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレンがより好ましい。また一般式(II)で表される中間体から一般式(I)で表される化合物を合成する段階においても、芳香族系溶媒が好ましく、トルエン、キシレンがより好ましい。
【0070】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物との反応において用いることができる酸としては、塩化水素、臭化水素、沃化水素、硫酸、炭酸等の無機酸類、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸等の有機カルボン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸類等が挙げられる。より好ましいのは硫酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、 p−トルエンスルホン酸であり基質によって選択される。
【0071】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物との反応において、一般式(III)で表される化合物と酸とのモル比は一般に1:0.001〜1:100のモル比で使用され、好ましくは1:0.001〜1:50のモル比で使用され、さらに好ましくは1:0.001〜1:10のモル比で使用され、特に好ましくは1:0.001〜1:3のモル比で使用される。
【0072】
一般式(II)で表される中間体から一般式(I)で表される化合物を合成する反応において用いることができる塩基としては、有機塩基(トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等)、金属水素化物(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、金属アルコキサイド(ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサンド、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウム等)、金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等)、炭酸塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム)、カルボン酸塩基(酢酸ナトリウム)等を挙げることができる。より好ましいのは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサンド、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウムが挙げられ、基質により選択される。
【0073】
一般式(II)で表される化合物を塩基の存在下で閉環する反応において、一般式(II)で表される化合物と使用する塩基とのモル比は一般に1:0.001〜1:100のモル比で使用され、好ましくは1:0.01〜1:50のモル比で使用され、さらに好ましくは1:0.01〜1:10のモル比で使用され、特に好ましくは1:0.01〜1:3のモル比で使用される。
【0074】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物との反応において、反応温度としては特に制限はないが、0℃から300℃の範囲で実施可能であり、好ましくは10℃から250℃の範囲で実施でき、さらに好ましくは20℃から200℃の範囲で実施できる。また一般式(II)で表される中間体から一般式(I)で表される化合物を合成する段階において、反応温度は特に制限はないが、0℃から300℃の範囲で実施可能であり、好ましくは10℃から250℃の範囲で実施でき、さらに好ましくは20℃から200℃の範囲で実施でき、基質により選択される。
【0075】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)または(V)で表される化合物との反応において、反応時間としては、1分から50時間の範囲で実施可能であり、好ましくは1分から20時間の範囲で実施でき、さらに好ましくは1分から5時間の範囲で実施できる。また一般式(II)で表される中間体から一般式(I)で表される化合物を合成する反応において、反応時間としては、10分から50時間の範囲で実施可能であり、好ましくは10分から20時間の範囲で実施でき、さらに好ましくは10分から10時間の範囲で実施でき、基質により選択される。
【0076】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
<実施例1> 例示化合物(8)の合成
例示化合物(8)は、以下に示すとおり合成した。
【0078】
【化32】
【0079】
化合物(A−1)10.0g(23.6ミリモル)、3,3−ジエトキシアクリル酸エチル(A−0)5.32g(28.3ミリモル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.045g(0.24ミリモル)にトルエン20mlを加え、加熱還流を30分行なった。t−ブトキシナトリウム0.226g(2.4ミリモル)を添加した後、加熱還流を5時間行なった。反応液を冷却して室温とした後、希塩酸を加えて中和し、酢酸エチルを30ml加えた。有機溶媒層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。メタノールにて晶析して目的の例示化合物(8)11.2gを得た。。収率91.1%。 m.p.80〜81℃。1H−NMR(300MHz、CDCl3)11.72(s、1H)、7.78(d、1H)、7.58(t、1H)、7.19(t、1H)、7.10(d、1H)、4.61(s、1H)、4.20(q、2H)、2.27(s、3H)、1.32(t、3H)、(エナミンフォーム)。
【0080】
<実施例2> 例示化合物(8)の合成
化合物(A−1)8.49g(20ミリモル)、3,3−ジエトキシアクリル酸エチル(A−0)4.54g(24ミリモル)、酢酸0.60g(6.52ミリモル)にキシレン20mlを加え加熱還流を30分行った。DBU3.04g(20ミリモル)を添加し、7時間過熱還流を行った。冷却して室温とした後、希塩酸を加えて中和し、酢酸エチルを30ml加えた。水洗を行った後、硫酸ナトリウムで有機溶媒層を乾燥した。溶媒を減圧留去した後、メタノールで晶析して目的の例示化合物(8)を8.78g得た。収率84.0%。
【0081】
<実施例3> 例示化合物(8)の合成
例示化合物(8)は、以下に示すとおり合成した。
【0082】
【化33】
【0083】
オクタデシルアミン30g(0.111モル)、トリエチルアミン15.8ml(0.113モル)にキシレン150mlを加え、30℃に加熱した。この溶液にオルトニトロベンゼンスルホニルクロライド(S−1)24.7g(0.111モル)を分割添加すると発熱により50℃まで達した。60℃で2時間攪拌した後、温水で2回洗浄して化合物(S−2)を含むトルエン溶液を得た。この溶液を500mlオートクレーブに移し、エタノール30ml、Ra−Ni5gを加えた。水素ガスを50kg/cm2充填し80℃で2時間攪拌を行なった。理論量の水素圧が消費されたのを確認し、触媒を減圧濾過により除去した。この溶液にに含まれるエタノールを減圧下で留去した。この残渣に、3,3−ジエトキシアクリル酸エチル(A−0)25.1g(0.133モル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.212g(1.11ミリモル)を加え、加熱還流を30分行なった。t−ブトキシナトリウム1.07g(11.1ミリモル)を添加した後、加熱還流を5時間行なった。反応液を冷却して室温とした後、希塩酸を加えて中和し、酢酸エチルを150ml加えた。有機溶媒層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。メタノール180mlにて晶析して目的の例示化合物(8)51.0gを得た。。収率87.9%。
<実施例4> 例示化合物(10)の合成
例示化合物(10)は、以下に示すとおり合成した。
【0084】
【化34】
【0085】
化合物(B−1)10.0g(22.4ミリモル)、3,3−ジエトキシアクリル酸エチル(A−0)5.06g(26.9ミリモル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.043g(0.224ミリモル)にトルエン20mlを加え、加熱還流を30分行なった。t−ブトキシナトリウム0.215g(2.24ミリモル)を添加した後、加熱還流を5時間行なった。反応液を冷却して室温とした後、希塩酸を加えて中和し、酢酸エチルを20ml加えた。有機溶媒層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。メタノールにて晶析して目的の例示化合物(10)10.1gを得た。収率83.1%。 m.p.76〜77℃。1H−NMR(300MHz、CDCl3)11.82(s、1H)、7.77(d、1H)、7.56(t、1H)、7.22〜7.05(m、4H)、6.73(d、1H)、4.80(s、1H)、4.20(q、2H)、4.10〜3.98(m、4H)、2.38〜2.26(m、2H)、1.87(q、2H)、1.60(q、2H)、1.39(s、6H)、1.30(t、3H)、1.26(s、6H)、0.65(q、6H)、(エナミンフォーム)。
【0086】
<実施例5> 例示化合物(6)の合成
例示化合物(6)は、下記に示すとおり合成した。
【0087】
【化35】
【0088】
化合物(C−1)4.25g(10.0ミリモル)、オルト酢酸エチル(C−0)1.44g(12.0ミリモル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.019g(0.1ミリモル)にトルエン10mlを加え、加熱還流を1時間行なった。t−ブトキシナトリウム0.096g(1.0ミリモル)を添加した後、加熱還流を3時間行なった。反応液を冷却して室温とした後、希塩酸を加えて中和し、酢酸エチルを10ml加えた。有機溶媒層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。メタノールにて晶析して目的の例示化合物(6)3.6gを得た。収率80.2%。m.p. 47〜48℃。1H−NMR(300MHz、CDCl3)、7.85(d、1H)、7.60〜7.70(m、1H)、7.38〜7.52(m、2H)、3.81〜3.95(m、2H)、2.51(s、3H)、1.69〜1.81(m、2H)、1.13〜1.50(m、30H)、0.89(t、3H)。
【0089】
<実施例6> 例示化合物(7)、(9)、(12)及び(14)の合成
なお、例示化合物(7)、(9)及び(14)も、対応する原料を変更することによって、実施例1に記載の方法で、また例示化合物(12)も対応する原料を変更することによって、実施例5に記載の方法で、同様に収率よく得ることができた。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、入手の容易な原料から短工程で、温和な反応条件で、収率良く1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物を製造する方法を提供できる。
Claims (7)
- 下記一般式(III)で表される2−アミノベンゼンスルホンアミド化合物と下記一般式(IV)で表される1,1−ジアルコキシアルケン化合物または下記一般式(V)で表されるオルトエステル化合物とを酸の存在下に反応させて、下記一般式(II)で表されるイミノエーテル化合物を合成した後、該イミノエーテル化合物を単離することなく塩基の存在下に閉環反応させることを特徴とする下記一般式(I)で表される1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の製造方法。
R4は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)
- 前記塩基が、有機塩基、金属水素化物または金属アルコキサイドであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記塩基が、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンまたは金属アルコキサイドであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記塩基が、金属アルコキサイドであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- トルエンまたはキシレンから選択される溶媒を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記塩基存在下の反応が、トルエンまたはキシレン還流下に行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記酸が、p−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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