JP2004123573A - エチニル基を有する無水フタル酸化合物の精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物(エチニル基を有する無水フタル酸化合物)の製造における精製方法を提供することである。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物を2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(I)の化合物の精製法。
【化1】
一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。
【化2】
一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物を2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(I)の化合物の精製法。
【化1】
一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。
【化2】
一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物(エチニル基を有する無水フタル酸化合物)の製造における精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族アセチレン化合物の合成は、近年、パラジウム触媒を用いる芳香族ハロゲン化合物とアセチレン化合物とのカップリング反応が開発され、特に銅塩を共存させる萩原−園頭らの方法が反応の収率が良く、多用されるようになってきている(例えば非特許文献1、非特許文献2、特許文献1等)。
一方、非特許文献3には、萩原−園頭らの方法を用い、下記反応ルートにより下記化合物(5)を合成することが記載されている。
【0003】
【化4】
【0004】
ここでは、最終生成物の化合物(5)を単離するのに、反応溶媒のオルトキシレンを濃縮して濾過しているが、純度が低く、着色が激しいため、高純度で単離する方法が望まれた。しかも、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤においては、極めて高い純度が要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−114691号明細書
【非特許文献1】
Tetrahedron Lett.,1975、4467、J.Org.Chem.,59、5818(1994)
【非特許文献2】
J.Org.Chem.,59、5818(1994)
【非特許文献3】
J.Org.Chem.,48、5135(1983)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物を高収率、高純度で得るための精製法、特に単離精製方法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、下記の方法により上記目的が達成されることを見出した。すなわち、
(1)下記一般式(I)で表される化合物を2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(I)の化合物の精製法。
【0008】
【化5】
【0009】
一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。
【0010】
【化6】
【0011】
一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。
(2)前記混合溶媒が、少なくとも一種の、炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒を含むことを特徴とする、(1)の精製法。
(3)下記一般式(III)で表される化合物を、少なくとも一種の、炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒を含む2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(III)の化合物の精製法。
【0012】
【化7】
一般式(III)において、R6は置換基を表し、n2は0から3の整数を表す。n2が2から3のとき、複数のR6は互いに同じでも異なってもよい。
【0013】
(4) 前記混合溶媒が、
炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒および炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
炭素数が6または7である前記脂肪族炭化水素系溶媒の少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
(5) 前記混合溶媒が、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
(6)前記混合溶媒が、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレンからなる群より選ばれる一種の溶媒と、
n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ヘプタンからなる群より選ばれる一種の溶媒とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の精製方法を詳細に説明する。
最初に、本発明で使用する前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
一般式(I)において、R1は置換基を表し、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル部位(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
【0015】
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
【0016】
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0017】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0018】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0019】
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0020】
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
【0021】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0022】
R1として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ホスフィノ基またはシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ホスフィノ基またはシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはシリル基であり、特に好ましくはハロゲン原子またはアルキル基である。
【0023】
n1は0から3の整数を表し、好ましくは0、1または2であり、更に好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。
n1が2または3のとき、複数のR1は互いに同一でも異なってもよい。さらに、n1が2または3のときには、複数のR1は互いに結合し、環構造となっていてもよい(具体例としては、下記に示すA−15等)。
【0024】
R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基(例えば、1−メチル−1−ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、1−フェニル−1−ヒドロキシエチル)または一般式(II)で表される基を表す。一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基(例えばメチル、エチル、ブチル。直鎖でも枝鎖でもよい。)またはアリール基(例えばフェニル)を表す。R3、R4およびR5がともにアルキル基である場合が好ましく、R3、R4およびR5がともにメチル基である場合が更に好ましい。
【0025】
R2は好ましくは水素原子、1−メチル−1−ヒドロキシエチルまたはトリメチルシリル基であり、更に好ましくは水素原子または1−メチル−1−ヒドロキシエチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0026】
一般式(I)で表される化合物のうち、好ましいものは前記一般式(III)で表される化合物である。以下に一般式(III)で表される化合物を説明する。
【0027】
一般式(III)において、R6は置換基を表すが、該置換基はR1にて述べたのと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、n2は一般式(I)におけるn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0028】
以下に本発明で使用する一般式(I)および一般式(III)で示される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
次に、以下に本発明の精製方法を説明する。
【0037】
本発明で使用する一般式(I)または一般式(III)で表される化合物はJ.Org.Chem.,48、5135(1983)、Tetrahedron Lett.,4467(1975)、J.Org.Chem.,59、5818(1994)および特開平10−114691号に記載の方法に準じて合成することができる。
【0038】
本発明においては、これらの合成において、得られた反応混合物から、目的とする一般式(I)、好ましくは一般式(III)で表される化合物を単離精製するものである。
本発明においては、反応によって得られた反応液を一般的な操作として、抽出、水中和、水洗等の操作を行い、抽出溶媒を取り出す濃縮工程を経た濃縮物に好ましく適用される。
一般式(I)で表される化合物の単離精製において、本発明では2種以上(好ましくは2〜4種、更に好ましくは2〜3種、最も好ましくは2種)の混合溶媒から析出させるものである。
該溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン)または芳香族炭化水素系溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン)が挙げられ、好ましくはエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、、脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒であり、より好ましくは炭素数4〜6のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2〜4のニトリル系溶媒、炭素数1〜7のハロゲン化炭化水素系溶媒、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒であり、更に好ましくは炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒の1種以上と炭素数6または7の脂肪族炭化水素系溶媒を組み合わせて用いる場合である。
【0039】
本発明において、使用する精製溶媒の少なくとも一種が、脂肪族炭化水素系溶媒である場合が好ましく、更に好ましくは少なくとも一種の炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒である。このような脂肪族炭化水素系溶媒は、飽和もしくは不飽和であっても、また鎖状、分岐若しくは環状の化合物のいずれでも構わない。好ましくは炭素数が4〜20であるものが好ましく、5〜14のものが更に好ましく、6〜8のものが最も好ましい。
【0040】
具体的に好ましい溶媒の組合せは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンから選ばれる1種以上とn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンから選ばれる1種以上とを組み合わせて用いる場合である。
【0041】
具体的な溶媒の組合せのうち最も好ましいものは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンから選ばれる1種の溶媒と、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンから選ばれる1種の溶媒とを組み合わせ、合計2種類の溶媒を用いる場合である。
【0042】
これらの溶媒を用いて、一般式(I)または一般式(III)で表される目的化合物を析出させる方法としては、次の方法が好ましい。
(1)合成により得られた反応混合物を加熱により最初に溶かしておき、冷却により目的化合物を析出させる方法。
(2)溶解性の高い溶媒(高溶解性溶媒)で前記反応混合物を溶解後、溶解性の低い溶媒(低溶解性溶媒)を添加することにより目的化合物を析出させる方法。
(3)高溶解性溶媒の含有比率が高い混合溶媒で前記反応混合物を溶解後、低溶解性溶媒の含有比率が高い混合溶媒を添加することにより目的化合物を析出させる方法。
これらの析出方法を単独または組み合わせて行うのが好ましい。より好ましくは、冷却により析出させる方法である。
【0043】
【実施例】
次に実施例に基づき、さらに本発明を詳細に説明する。
【0044】
実施例1.
下記式に基づき、例示化合物(A−1)を合成及び精製を行なった。
【0045】
【化15】
【0046】
・中間体の化合物(12)の合成
3ツ口フラスコにメタノール500mlを入れ、加熱還流下にて攪拌しながらここへ化合物(11)23.2gを5分かけて添加した。そのまま30分攪拌を続けた後、ここへ硫酸12mlを10分かけて滴下し、その後5時間そのまま攪拌した後、内温25℃まで冷却した。ビーカーに重曹84g、氷700gを入れ攪拌しながら先の反応混合物を添加し、酢酸エチル700mlを加えて抽出した。得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水400mlの混合溶液で4回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物を蒸留し、沸点125〜128℃/0.5mmHgの成分を集めて、目的の化合物(12)25.3gを得た(収率91%)。
【0047】
・中間体の化合物(14)の合成
3ツ口フラスコに化合物(12)37.0g、化合物(13)13.8g、トリフェニルホスフィン0.09g、PdCl2(PPh3)227mg、塩化銅(I)270mgとトリエチルアミン90mlを入れ、加熱還流下にて4時間攪拌した。このものを内温30℃まで冷却し、濾過して得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物に酢酸エチル200mlと水200mlを加えて抽出し、得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水180mlの混合溶液で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。このものをロータリエバポレーターで濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的の化合物(14)33.6gを得た(収率90%)。
【0048】
中間体の化合物(15)の合成
3ツ口フラスコに水2.5l、水酸化ナトリウム106gを入れて攪拌して溶解した。ここへ化合物(14)336gを加えて加熱還流下にて18時間攪拌した後、室温まで冷却し、氷5kgに注ぎ、ここへ濃塩酸273mlを添加した。得られた溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、アセトン2lを添加して攪拌した。このものを濾過して、得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物(15)231gを得た(収率〜100%)。
【0049】
・例示化合物(A−1)の合成及び本発明の精製
3ツ口フラスコに化合物(15)20.8g、オルトキシレン208ml、活性炭2.1gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物に攪拌しながら酢酸エチル10mlとn−ヘキサン40mlの混合溶液を30分かけて滴下し、そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−1)15.9gを得た(収率85%)。
【0050】
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流し、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99.9%以上との結果を得た。
【0051】
比較例1.(J.Org.Chem.,48,5135(1983)に記載の方法)
実施例1.で得られた中間体の化合物(15)を用いて、以下の実験を行った。
3ツ口フラスコに化合物(15)20.8g、オルトキシレン208ml、活性炭2.1gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて残量60gになるまで濃縮した。そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−1)15.4gを得た(収率82%)。
融点:119.5〜121.4℃
Cl―イオン濃度:202ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流して、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、92%との結果を得た。
【0052】
実施例2.例示化合物(A−20)の合成と精製
下記式に基づき、例示化合物(A−20)を合成及び精製を行なった。
【0053】
【化16】
【0054】
・中間体の化合物(16)の合成
3ツ口フラスコに化合物(14)55.2g、メタノール500mlを入れ、室温にて攪拌しながらここへ水酸化ナトリウム48gを100mlの水に溶かした溶液を3分かけて添加した。そのまま1時間攪拌を続けた後、氷浴に浸し、内温7〜11℃にて濃塩酸123.6mlを滴下した。このものをロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物をそのまま次工程に供した。
【0055】
・例示化合物(A−20)の合成及び本発明の精製
3ツ口フラスコに先の工程で得られた化合物(16)を半分に分け、この半分をオルトキシレン300ml、活性炭3gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物にクロロベンゼン10mlとシクロヘキサン30mlの混合溶液を20分かけて滴下し、そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−20)20.9gを得た(化合物(14)からの収率91%)。
融点:130〜131℃
Cl―イオン濃度:7.8ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流し、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99.9%以上との結果を得た。
【0056】
比較例2.
実施例2.で得られた化合物(16)を用いて、以下の実験を行った。
3ツ口フラスコに化合物(16)を半分に分けた残りの半分をオルトキシレン300ml、活性炭3gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて残量80gになるまで濃縮した。そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−20)18.0gを得た(化合物(14)からの収率78%)。
融点:126〜127℃
Cl―イオン濃度:127.8ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流して、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、91.2%との結果を得た。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物を高収率、高純度で得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物(エチニル基を有する無水フタル酸化合物)の製造における精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族アセチレン化合物の合成は、近年、パラジウム触媒を用いる芳香族ハロゲン化合物とアセチレン化合物とのカップリング反応が開発され、特に銅塩を共存させる萩原−園頭らの方法が反応の収率が良く、多用されるようになってきている(例えば非特許文献1、非特許文献2、特許文献1等)。
一方、非特許文献3には、萩原−園頭らの方法を用い、下記反応ルートにより下記化合物(5)を合成することが記載されている。
【0003】
【化4】
【0004】
ここでは、最終生成物の化合物(5)を単離するのに、反応溶媒のオルトキシレンを濃縮して濾過しているが、純度が低く、着色が激しいため、高純度で単離する方法が望まれた。しかも、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤においては、極めて高い純度が要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−114691号明細書
【非特許文献1】
Tetrahedron Lett.,1975、4467、J.Org.Chem.,59、5818(1994)
【非特許文献2】
J.Org.Chem.,59、5818(1994)
【非特許文献3】
J.Org.Chem.,48、5135(1983)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物を高収率、高純度で得るための精製法、特に単離精製方法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、下記の方法により上記目的が達成されることを見出した。すなわち、
(1)下記一般式(I)で表される化合物を2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(I)の化合物の精製法。
【0008】
【化5】
【0009】
一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。
【0010】
【化6】
【0011】
一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。
(2)前記混合溶媒が、少なくとも一種の、炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒を含むことを特徴とする、(1)の精製法。
(3)下記一般式(III)で表される化合物を、少なくとも一種の、炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒を含む2種以上の混合溶媒から析出させることを特徴とする、下記一般式(III)の化合物の精製法。
【0012】
【化7】
一般式(III)において、R6は置換基を表し、n2は0から3の整数を表す。n2が2から3のとき、複数のR6は互いに同じでも異なってもよい。
【0013】
(4) 前記混合溶媒が、
炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒および炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
炭素数が6または7である前記脂肪族炭化水素系溶媒の少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
(5) 前記混合溶媒が、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
(6)前記混合溶媒が、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレンからなる群より選ばれる一種の溶媒と、
n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ヘプタンからなる群より選ばれる一種の溶媒とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の精製方法を詳細に説明する。
最初に、本発明で使用する前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
一般式(I)において、R1は置換基を表し、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル部位(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
【0015】
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
【0016】
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0017】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0018】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0019】
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0020】
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
【0021】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0022】
R1として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ホスフィノ基またはシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ホスフィノ基またはシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはシリル基であり、特に好ましくはハロゲン原子またはアルキル基である。
【0023】
n1は0から3の整数を表し、好ましくは0、1または2であり、更に好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。
n1が2または3のとき、複数のR1は互いに同一でも異なってもよい。さらに、n1が2または3のときには、複数のR1は互いに結合し、環構造となっていてもよい(具体例としては、下記に示すA−15等)。
【0024】
R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基(例えば、1−メチル−1−ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、1−フェニル−1−ヒドロキシエチル)または一般式(II)で表される基を表す。一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基(例えばメチル、エチル、ブチル。直鎖でも枝鎖でもよい。)またはアリール基(例えばフェニル)を表す。R3、R4およびR5がともにアルキル基である場合が好ましく、R3、R4およびR5がともにメチル基である場合が更に好ましい。
【0025】
R2は好ましくは水素原子、1−メチル−1−ヒドロキシエチルまたはトリメチルシリル基であり、更に好ましくは水素原子または1−メチル−1−ヒドロキシエチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0026】
一般式(I)で表される化合物のうち、好ましいものは前記一般式(III)で表される化合物である。以下に一般式(III)で表される化合物を説明する。
【0027】
一般式(III)において、R6は置換基を表すが、該置換基はR1にて述べたのと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、n2は一般式(I)におけるn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0028】
以下に本発明で使用する一般式(I)および一般式(III)で示される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
次に、以下に本発明の精製方法を説明する。
【0037】
本発明で使用する一般式(I)または一般式(III)で表される化合物はJ.Org.Chem.,48、5135(1983)、Tetrahedron Lett.,4467(1975)、J.Org.Chem.,59、5818(1994)および特開平10−114691号に記載の方法に準じて合成することができる。
【0038】
本発明においては、これらの合成において、得られた反応混合物から、目的とする一般式(I)、好ましくは一般式(III)で表される化合物を単離精製するものである。
本発明においては、反応によって得られた反応液を一般的な操作として、抽出、水中和、水洗等の操作を行い、抽出溶媒を取り出す濃縮工程を経た濃縮物に好ましく適用される。
一般式(I)で表される化合物の単離精製において、本発明では2種以上(好ましくは2〜4種、更に好ましくは2〜3種、最も好ましくは2種)の混合溶媒から析出させるものである。
該溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン)または芳香族炭化水素系溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン)が挙げられ、好ましくはエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、、脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒であり、より好ましくは炭素数4〜6のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2〜4のニトリル系溶媒、炭素数1〜7のハロゲン化炭化水素系溶媒、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒であり、更に好ましくは炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒の1種以上と炭素数6または7の脂肪族炭化水素系溶媒を組み合わせて用いる場合である。
【0039】
本発明において、使用する精製溶媒の少なくとも一種が、脂肪族炭化水素系溶媒である場合が好ましく、更に好ましくは少なくとも一種の炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒である。このような脂肪族炭化水素系溶媒は、飽和もしくは不飽和であっても、また鎖状、分岐若しくは環状の化合物のいずれでも構わない。好ましくは炭素数が4〜20であるものが好ましく、5〜14のものが更に好ましく、6〜8のものが最も好ましい。
【0040】
具体的に好ましい溶媒の組合せは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンから選ばれる1種以上とn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンから選ばれる1種以上とを組み合わせて用いる場合である。
【0041】
具体的な溶媒の組合せのうち最も好ましいものは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンから選ばれる1種の溶媒と、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンから選ばれる1種の溶媒とを組み合わせ、合計2種類の溶媒を用いる場合である。
【0042】
これらの溶媒を用いて、一般式(I)または一般式(III)で表される目的化合物を析出させる方法としては、次の方法が好ましい。
(1)合成により得られた反応混合物を加熱により最初に溶かしておき、冷却により目的化合物を析出させる方法。
(2)溶解性の高い溶媒(高溶解性溶媒)で前記反応混合物を溶解後、溶解性の低い溶媒(低溶解性溶媒)を添加することにより目的化合物を析出させる方法。
(3)高溶解性溶媒の含有比率が高い混合溶媒で前記反応混合物を溶解後、低溶解性溶媒の含有比率が高い混合溶媒を添加することにより目的化合物を析出させる方法。
これらの析出方法を単独または組み合わせて行うのが好ましい。より好ましくは、冷却により析出させる方法である。
【0043】
【実施例】
次に実施例に基づき、さらに本発明を詳細に説明する。
【0044】
実施例1.
下記式に基づき、例示化合物(A−1)を合成及び精製を行なった。
【0045】
【化15】
【0046】
・中間体の化合物(12)の合成
3ツ口フラスコにメタノール500mlを入れ、加熱還流下にて攪拌しながらここへ化合物(11)23.2gを5分かけて添加した。そのまま30分攪拌を続けた後、ここへ硫酸12mlを10分かけて滴下し、その後5時間そのまま攪拌した後、内温25℃まで冷却した。ビーカーに重曹84g、氷700gを入れ攪拌しながら先の反応混合物を添加し、酢酸エチル700mlを加えて抽出した。得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水400mlの混合溶液で4回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物を蒸留し、沸点125〜128℃/0.5mmHgの成分を集めて、目的の化合物(12)25.3gを得た(収率91%)。
【0047】
・中間体の化合物(14)の合成
3ツ口フラスコに化合物(12)37.0g、化合物(13)13.8g、トリフェニルホスフィン0.09g、PdCl2(PPh3)227mg、塩化銅(I)270mgとトリエチルアミン90mlを入れ、加熱還流下にて4時間攪拌した。このものを内温30℃まで冷却し、濾過して得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物に酢酸エチル200mlと水200mlを加えて抽出し、得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水180mlの混合溶液で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。このものをロータリエバポレーターで濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的の化合物(14)33.6gを得た(収率90%)。
【0048】
中間体の化合物(15)の合成
3ツ口フラスコに水2.5l、水酸化ナトリウム106gを入れて攪拌して溶解した。ここへ化合物(14)336gを加えて加熱還流下にて18時間攪拌した後、室温まで冷却し、氷5kgに注ぎ、ここへ濃塩酸273mlを添加した。得られた溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、アセトン2lを添加して攪拌した。このものを濾過して、得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物(15)231gを得た(収率〜100%)。
【0049】
・例示化合物(A−1)の合成及び本発明の精製
3ツ口フラスコに化合物(15)20.8g、オルトキシレン208ml、活性炭2.1gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物に攪拌しながら酢酸エチル10mlとn−ヘキサン40mlの混合溶液を30分かけて滴下し、そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−1)15.9gを得た(収率85%)。
【0050】
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流し、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99.9%以上との結果を得た。
【0051】
比較例1.(J.Org.Chem.,48,5135(1983)に記載の方法)
実施例1.で得られた中間体の化合物(15)を用いて、以下の実験を行った。
3ツ口フラスコに化合物(15)20.8g、オルトキシレン208ml、活性炭2.1gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて残量60gになるまで濃縮した。そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−1)15.4gを得た(収率82%)。
融点:119.5〜121.4℃
Cl―イオン濃度:202ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流して、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、92%との結果を得た。
【0052】
実施例2.例示化合物(A−20)の合成と精製
下記式に基づき、例示化合物(A−20)を合成及び精製を行なった。
【0053】
【化16】
【0054】
・中間体の化合物(16)の合成
3ツ口フラスコに化合物(14)55.2g、メタノール500mlを入れ、室温にて攪拌しながらここへ水酸化ナトリウム48gを100mlの水に溶かした溶液を3分かけて添加した。そのまま1時間攪拌を続けた後、氷浴に浸し、内温7〜11℃にて濃塩酸123.6mlを滴下した。このものをロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物をそのまま次工程に供した。
【0055】
・例示化合物(A−20)の合成及び本発明の精製
3ツ口フラスコに先の工程で得られた化合物(16)を半分に分け、この半分をオルトキシレン300ml、活性炭3gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物にクロロベンゼン10mlとシクロヘキサン30mlの混合溶液を20分かけて滴下し、そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−20)20.9gを得た(化合物(14)からの収率91%)。
融点:130〜131℃
Cl―イオン濃度:7.8ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流し、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99.9%以上との結果を得た。
【0056】
比較例2.
実施例2.で得られた化合物(16)を用いて、以下の実験を行った。
3ツ口フラスコに化合物(16)を半分に分けた残りの半分をオルトキシレン300ml、活性炭3gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて残量80gになるまで濃縮した。そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−20)18.0gを得た(化合物(14)からの収率78%)。
融点:126〜127℃
Cl―イオン濃度:127.8ppm
また、このもの1gにメタノール20mlを添加して60分加熱還流して、メチルエステル体(2成分の混合物)として、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、91.2%との結果を得た。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、熱硬化性樹脂、液晶材料、非線形光学材料、写真用添加剤またはそれらの合成中間体として有用な芳香族アセチレン化合物を高収率、高純度で得ることができる。
Claims (5)
- 前記混合溶媒が、少なくとも一種の炭素原子及び水素原子のみから構成される脂肪族炭化水素系溶媒を含むことを特徴とする請求項1の精製方法。
- 前記混合溶媒が、
炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒および炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
炭素数が6または7である前記脂肪族炭化水素系溶媒の少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。 - 前記混合溶媒が、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒と、
n−ヘキサン、シクロヘキサンおよびn−ヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
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