JP2010070527A - エチニル基を有する無水フタル酸化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I)で表されXRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とする化合物:
(一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基又はアルキル基、アリール基置換シリル残基を表す)。
【選択図】なし
Description
一方、非特許文献3には、萩原−園頭らの方法を用い、下記反応ルートにより下記化合物(5)を合成することが記載されている。
<1> 下記一般式(I)で表され、XRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とする化合物:
<2> 有機ハロゲンイオン含有量が400ppm以下であることを特徴とする<1>に記載の化合物。
<3> 前記一般式(1)において、R2が水素原子であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の化合物。
<4> 最終物を取り出す工程にて、種結晶を投入し、結晶化させることを特徴とする一般式(I)で表され、XRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とする化合物の製造方法:
1)エチニル基を有する無水フタル酸化合物
本発明のエチニル基を有する無水フタル酸化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であり、XRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とするものである。
本発明のエチニル基を有する無水フタル酸化合物の結晶構造は、X線回折を測定し、その回折パターンから決定することができる。X線回折法による結晶構造解析の手法は、既に一般に良く知られている。本発明では、通常、良く知られている手法を利用することができる。
従来、この結晶形の特定の形に制御することを意図されたことがなく、その制御が化合物の保存安定性に大きく関係していることは全く予想外であった。例えば、特許文献2に記載の製造法では、特定の形状の粒子が制御されて得られるとは限らず、更に、多くの要因によって、種々の粒子形状のものが得られ、その結果、XRD回折パターン分析において2θが26°〜28°におけるピーク強度が4500cps程度であり、6000cpsに達することがない。本発明では、最終物を取り出す工程にて、種結晶を投入し、結晶化させることによって、形状が揃い、その結果としてXRD回折パターン分析において2θが26°〜28°のピーク強度が6000cps以上であるエチニル基を有する無水フタル酸化合物を得ることができる。種結晶を用いて結晶を取り出すことは、一般に知られている手段であるが、本発明の一般式(1)で表されるエチニル基を有する無水フタル酸化合物に該手段を用いて、形状が揃い、その結果としてXRD回折パターン分析において2θが26°〜28°のピーク強度が6000cps以上である粒子が得られ、それによって高い保存安定性が達成されることは全く予想外のことである。
一般式(I)において、R1は置換基を表し、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル部位(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
n1が2または3のとき、複数のR1は互いに同一でも異なってもよい。さらに、n1が2または3のときには、複数のR1は互いに結合し、環構造となっていてもよい(具体例としては、下記に示すA−15等)。
一般式(III)において、R6は置換基を表すが、該置換基はR1にて述べたのと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、n2は一般式(I)におけるn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明においては、単離精製工程で、2種以上(好ましくは2〜4種、更に好ましくは2〜3種、最も好ましくは2種)の混合溶媒から析出させるのが好ましい。
該溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン)または芳香族炭化水素系溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン)が挙げられ、好ましくはエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒であり、より好ましくは炭素数4〜6のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2〜4のニトリル系溶媒、炭素数1〜7のハロゲン化炭化水素系溶媒、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒であり、更に好ましくは炭素数4〜5のエーテル系溶媒、炭素数3〜6のケトン系溶媒、炭素数4〜6のエステル系溶媒、炭素数2のニトリル系溶媒、炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素系溶媒または炭素数6〜8の芳香族炭化水素系溶媒の1種以上と炭素数6または7の脂肪族炭化水素系溶媒を組み合わせて用いる場合である。
(1)抽出溶媒に溶解された溶液に種結晶を添加して、温度を徐々に下げて析出させる方法
(2)抽出溶媒に溶解された溶液に種結晶を添加して、別途調整した貧溶媒を徐々に滴下し、析出させる方法
実施例1
1)反応合成
下記式に基づき、化合物(A−1)の合成を行なった。
3ツ口フラスコにメタノール500mlを入れ、加熱還流下にて攪拌しながらここへ化合物(11)23.2gを5分かけて添加した。そのまま30分攪拌を続けた後、ここへ硫酸12mlを10分かけて滴下し、その後5時間そのまま攪拌した後、内温25℃まで冷却した。ビーカーに重曹84g、氷700gを入れ攪拌しながら先の反応混合物を添加し、酢酸エチル700mlを加えて抽出した。得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水400mlの混合溶液で4回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物を蒸留し、沸点125〜128℃/0.5mmHgの成分を集めて、目的の化合物(12)26.1gを得た(収率94%)。
3ツ口フラスコに化合物(12)37.0g、化合物(13)13.8g、トリフェニルホスフィン0.09g、PdCl2(PPh3)227mg、塩化銅(I)270mgとトリエチルアミン90mlを入れ、加熱還流下にて4時間攪拌した。このものを内温30℃まで冷却し、濾過して得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物に酢酸エチル200mlと水200mlを加えて抽出し、得られた酢酸エチル層を飽和食塩水20mlと水180mlの混合溶液で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。このものをロータリエバポレーターで濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的の化合物(14)34.3gを得た(収率92%)。
3ツ口フラスコに水2.5l、水酸化ナトリウム106gを入れて攪拌して溶解した。ここへ化合物(14)336gを加えて加熱還流下にて18時間攪拌した後、室温まで冷却し、氷5kgに注ぎ、ここへ濃塩酸273mlを添加した。得られた溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、アセトン2lを添加して攪拌した。このものを濾過して、得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物(15)231gを得た(収率〜100%)。
3ツ口フラスコに化合物(15)20.8g、オルトキシレン208ml、活性炭2.1gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。
・本発明例1
上記で得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物に攪拌しながら酢酸エチル10mlとジイソプロピルエーテル40mlの混合溶液を30分かけて滴下し、完全に溶解した後、種晶として化合物A−1を0.4g添加し、そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の化合物(A−1)の結晶16.6gを得た(収率89%)。その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99%との結果を得た。融点が124.4〜125.3℃、イオンクロマトグラフィーによる測定結果から計算した有機ハロゲン含量は、Clイオン濃度は、18.7ppm、Brイオン濃度は208.1ppmであった。
特開2004−123573に記載の方法である。
上記で得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物に攪拌しながら酢酸エチル10mlとn−ヘキサン40mlの混合溶液を30分かけて滴下し、そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の化合物(A−1)15.9gを得た(収率85%)。その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、98%との結果を得た。イオンクロマトグラフィーによる測定結果から計算した有機ハロゲン含量は、Clイオン濃度は、46.2ppm、Brイオン濃度は474.1ppmであった。
J.Org.Chem.,48,5135(1983)に記載の方法である。
上記で得られた濾液をロータリーエバポレーターにて残量60gになるまで濃縮した。そのまま12時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の化合物(A−1)15.4gを得た(収率82%)。その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、92%との結果を得た。イオンクロマトグラフィーによる測定結果から計算した有機ハロゲン含量は、Clイオン濃度は、85.9ppm、Brイオン濃度は1911.5ppmであった。
(1)XRD回折パターン分析
得られた粒子について、XRD回折パターン分析を行い、ブラッグの式より求められるブラッグ角(2θ)が26°〜28°のピーク強度を抽出した。
(2)保存安定性
得られた粒子をそれぞれ、相対湿度50%RH、23℃下に10日間保存した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて、化合物A−1の残存量を定量し、分解率を算出した。
分解率(%)=((初期化合物A−1量)−(化合物A−1の残存量))/(初期化合物A−1量)×100
表1の結果より、本発明例1で得られた結晶は、XRD回折パターン分析を行い、2θが26°〜28°のピーク強度が6000cps以上であり、一方、比較例1A及び比較例1Bは、XRD回折パターン分析を行い、2θが26°〜28°のピーク強度が6000cpsを下回っていた。本発明例1で得られた結晶は、比較例に比べて、極めて保存安定性に優れていた。
1)反応合成
下記式に基づき、例示化合物(A−16)の合成を行なった。
3ツ口フラスコに化合物(14)55.2g、メタノール500mlを入れ、室温にて攪拌しながらここへ水酸化ナトリウム48gを100mlの水に溶かした溶液を3分かけて添加した。そのまま1時間攪拌を続けた後、氷浴に浸し、内温7〜11℃にて濃塩酸123.6mlを滴下した。このものをロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物をそのまま次工程に供した。
3ツ口フラスコに先の工程で得られた化合物(16)を半分に分け、この半分をオルトキシレン300ml、活性炭3gを入れ、Dienstark−Condenserにて水を除去しながら加熱還流下にて攪拌した後、そのまま濾過した。
・本発明例11
上記で得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物にクロロベンゼン10mlとシクロヘキサン30mlの混合溶液を20分かけて滴下し、完全に溶解した後、種晶として化合物A−20を0.5g添加し、そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−16)22.5gを得た(化合物(14)からの収率95%)。融点が130〜131℃、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99%との結果を得た。イオンクロマトグラフィーによる測定結果から計算した有機ハロゲン含量は、Clイオン濃度は、9.6ppm、Brイオン濃度は11.5ppmであった。
特開2004−123573に記載の方法である。
上記で得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた残留物にクロロベンゼン10mlとシクロヘキサン30mlの混合溶液を20分かけて滴下し、そのまま10時間放置した後、濾過して、得られた結晶を減圧乾燥して目的の例示化合物(A−16)20.6gを得た(化合物(14)からの収率90%)。融点が130〜131℃、その純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定したところ、99%との結果を得た。イオンクロマトグラフィーによる測定結果から計算した有機ハロゲン含量は、Clイオン濃度は、421.6ppm、Brイオン濃度は89.1ppmであった。
実施例1と同様に、得られた粒子の結晶形状及び保存安定性を調べた。その結果、表2に示すように本発明で得られた結晶は、高い保存安定性を有していた。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で表され、XRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とする化合物:
(一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。);
(一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。)。 - 有機ハロゲン含有量が400ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 前記一般式(1)において、R2が水素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化合物。
- 最終物を取り出す工程にて、種結晶を投入し、結晶化させることを特徴とする一般式(I)で表され、形状がXRD回折パターン分析によるブラッグ角(2θ)が26°〜28°におけるピーク強度が6000cps以上であることを特徴とする化合物の製造方法:
(一般式(I)において、R1は置換基を表し、n1は0から3の整数を表す。n1が2から3のとき、複数のR1は互いに同じでも異なってもよい。R2は水素原子、α位にヒドロキシ基を有するアルキル基または下記一般式(II)で表される基を表す。);
(一般式(II)において、R3、R4およびR5は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。)。
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