JP4100832B2 - 機能性繊維布帛 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性繊維布帛に関する。本発明は、特に、衣料用、カーテンなどのインテリア用、衛生材料用などに広く応用できる、消臭、抗菌機能を有する、有機質繊維を含む機能性繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン光触媒を有機高分子材料の表面に固定する場合に酸化チタン光触媒がバインダー樹脂を劣化させ、脱落しやすくなる問題があり、また有機高分子材料と接触した場合に材料自体を分解する問題があることは一般的に知られているが、さらに光触媒の酸化分解力により、有機高分子材料自体あるいはバインダー樹脂から生成する低分子量物質が悪臭の原因物質となってしまう問題があることを我々は見出した。光触媒を用いて消臭性能を持たせた繊維材料を製造する場合に、繊維自体あるいは光触媒を固定するバインダー樹脂が分解して悪臭を発生すると、消臭繊維としての価値が完全になくなってしまう。とりわけ、繊維材料は生活空間で使用されるため、光触媒加工繊維がタバコ臭気やホルマリンなどの有害物質を分解する作用があったとしても別の悪臭を発生する問題があれば実用性は全く無いことになる。
【0003】
酸化チタン光触媒を有機高分子材料の表面に固定する場合、一般的に次のような手法が用いられており、その目的はバインダー樹脂の分解による光触媒の脱落を防止することである。
例えば、ポリエステルフィルムの表面に酸化チタン光触媒をコート処理する場合、酸化珪素ゾルからなる無機質のアンダーコートを行った後、酸化珪素バインダーと酸化チタン光触媒とをコートする2段コート法が提案されている。また、アンダーコート剤にシロキサン系ポリマーを使用し、その上にシロキサン系ポリマーと酸化チタン光触媒とをコートする方法も提案されている。このような2段コート法に使用される薬品は、日本曹達(株)や石原産業(株)から市販されている。
【0004】
しかしながら、本発明者らは、このような2段処理されたフィルムにおいても、紫外線照射すると悪臭が発生する問題は解決されていないことを見出した。
すなわち、光触媒をコートしたポリエステルフィルムをガラス容器内に入れ、密閉状態で紫外線ランプを数時間照射すると、かなり刺激性のある悪臭が発生する問題があることを確認した。アンダーコートや酸化チタン光触媒のバインダーには酸化珪素などの無機質樹脂やシロキサン系樹脂、フッ素樹脂などの耐熱劣化し難い材料が一般に使用されているが、上記の問題については必ずしも満足できるものではない。
【0005】
このような光触媒の基材表面への固定化法について、工業材料、vol.45,No.10,62〜66頁に解説されている。
もちろん、上記の2段処理法で光触媒加工した繊維を密閉された室内で使用すると、悪臭が発生して実用性がない。
酸化チタン光触媒を繊維に固定すれば、その酸化分解能により消臭や抗菌、防汚などの機能を有する布帛が得られることは期待される。しかしながら、特許文献や一般文献等に記載されたバインダー樹脂や2段処理法などの手法を使用しても、悪臭発生の問題の解決は容易ではない。繊維に適用する場合、酸化チタン光触媒を固定すると紫外線照射により繊維基材およびバインダー樹脂、染料や界面活性剤などの染色助剤から低分子量の生成物が発生し、悪臭を発生することが多く、消臭性の繊維を製造する場合などにおいて、目的に反して、悪臭が発生する繊維材料になってしまう。また、繊維材料は人間の生活空間で使用する場合が多いため、悪臭の発生は不快な環境を作ることになり、全く実用性がないことになる。
【0006】
また、繊維の表面を保護コートした後、光触媒を付着させる2段処理法が常識的には望ましいが、これとて上記の問題点は残っている。さらに、2段処理法は製造工程が煩雑であるため、1段処理法で上記の悪臭発生などの問題を解決することが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光触媒加工布帛において、上記のバインダー樹脂や繊維自体の分解による悪臭の発生を防止した、優れた消臭性、抗菌性などの機能を有する機能性繊維布帛を、望ましくは1段加工方法により提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維布帛に酸化チタン光触媒がセルロース系バインダーおよび/または多糖類バインダーで固着されてなる機能性繊維布帛を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般に、後加工により酸化チタン光触媒を付着させる繊維布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、レーヨンなどの再生セルロース繊維、綿や羊毛などの天然繊維などが考えられる。ポリエステルなどの合成繊維に酸化チタン光触媒を樹脂バインダーを使用して固定した場合に、繊維自体およびバインダー樹脂の分解により臭気が発生して実用上問題になる場合があるが、セルロース系バインダーまたは多糖類からなるバインダーを使用して光触媒を固着させると、上記の問題が大幅に解消され、消臭、抗菌などの機能に優れた布帛が得られることが見出された。
【0010】
また、レーヨン、綿、木材パルプなどのセルロース系繊維もしくは紙にセルロース系バインダーまたは多糖類からなるバインダーを使用して酸化チタン光触媒を付着させた場合、同じ加工を合成繊維に適用した場合よりも、さらに分解による臭気が軽減されて、より優れた消臭、抗菌などの機能を有する繊維布帛が得られることが見出された。
【0011】
本発明においては、上記繊維布帛として、防炎性ポリエステル繊維からなる布帛を用いてもよく、これにより防炎性と消臭性、抗菌性などの光触媒機能を併せ持つ繊維布帛を提供することができる。ここで防炎性ポリエステル繊維とは、リン酸エステル化合物を共重合したポリエステルすなわちリン酸エステル化合物単位を含むポリエステルからなる繊維およびリン酸エステル系防炎剤を原料混練によりまたは後加工により適用したポリエステル繊維を言う。リン酸エステル化合物共重合ポリエステルの具体的な商品名としては東洋紡(株)製造のハイムやヘキスト社製造のトレビラCSがある。かかる共重合に用いられるリン酸エステル化合物の例としては、既存化学物質整理番号5−3777を挙げることができる。
【0012】
また、リン酸エステル系の後加工防炎剤としては、既存化学物質整理番号2−1961の環状脂肪族ホスホネートオリゴマーがあり、明成化学工業(株)製造の商品名K−19Aが知られている。この防炎剤は、数%以下の水溶液として被処理繊維布帛にパッドし、乾燥した後、190〜200℃で熱セットすることにより、繊維に固定される。固着しない過剰の剤はアルカリ条件下で洗浄して除去するのがよい。また、防炎性のポリエステルを得る別の方法としては、たとえば、ヘキサブロモシクロドデカンの水分散液を使用し、液流染色機やサーモゾル法で防炎加工することも考えられるが、光触媒とセルロース系バインダーもしくは多糖類バインダーを付着させると燃焼しやすく、この目的には適さない。
【0013】
このように、酸化チタン光触媒を繊維布帛に付着させる際のバインダーとしてセルロース系バインダーまたは多糖類からなるバインダーを使用した場合、分解による悪臭発生の問題が大幅に軽減される理由は明確ではないが、セルロース系繊維そのものの酸化チタン光触媒による分解に起因する臭気が少ないことが見出された。さらに、セルロース系バインダーも分解による臭気が少ないのではないかと考え、確認したところ、悪臭発生の問題が少ないことが認められた。酸化チタン光触媒を有機高分子材料に付着させる場合、アンダーコート剤もしくはバインダー樹脂として酸化珪素ゾル、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが使用されるが、これらに比較してセルロース系バインダー樹脂の方が分解による臭気が少ないということが見出された。
【0014】
本発明に有用な繊維布帛は、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、綿、麻、木材パルプなどのセルロース繊維、レーヨンなどの再生セルロース繊維、トリアセテートなどの酢酸セルロース繊維、羊毛、絹などのタンパク繊維もしくはこれらを混紡、混織した有機質繊維を含むものであり、さらにこれらの有機質繊維に無機繊維等を含むものであってもよい。好ましくは、セルロース繊維、再生セルロース繊維、酢酸セルロース繊維などのセルロース系繊維からなるものであるのがよい。また、それらの布帛は、織物、編物、不織布などのいずれの形態にあってもよい。また、必要に応じて、これらの布帛は、分散染料、酸性染料、直接染料、反応染料、顔料などにより着色されていてもよい。
【0015】
本発明に有用な酸化チタン光触媒は、一般に、1ミクロン以下の粒子径を有するものであり、酸性、アルカリ性の水分散液、粉体などの形態にある。また、酸化チタンの表面処理としてアパタイト表面処理、シリカ表面処理などの有機物質と接触した時に材料を分解しないための処理をしたものも使用できる。
酸化チタン光触媒の繊維布帛に対する付着量としては、0.4g/m2 以上が好ましい。
【0016】
本発明においては、この酸化チタン光触媒がセルロース系バインダーおよび/または多糖類バインダーで繊維布帛に固定されている。本発明に有用なセルロース系バインダーとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
また、多糖類からなるバインダーとしては、例えば、アルギン酸ソーダ、ローカスビーンガム、グアーガム、デンプンなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
これらのセルロース系バインダーや多糖類バインダーの酸化チタン光触媒に対する割合としては重量で100%以下であるのが望ましく、より少ない方が酸化チタン光触媒の機能を発揮できる。すなわち、バインダーの量が酸化チタン光触媒の量を上回ると、光触媒がバインダーに埋もれてしまい、紫外線に当たる確率が低下して機能が低下する。
【0018】
布帛の用途からみて洗濯することがなく、水に接触することのない場合はセルロース系バインダーや多糖類バインダーのみで酸化チタン光触媒を固定してもよいが、洗濯される場合にはこれらのバインダーのみでは溶解脱落するため、架橋処理が行われるのがよい。架橋剤としては、水酸基と反応する水可溶性もしくは水分散性のイソシアネート類、またカルボキシル基と反応するエポキシ化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物が挙げられる。これらの架橋剤の割合は、セルロース系バインダーもしくは多糖類バインダーに対して重量で50%以下である。これ以上使用しても架橋に寄与することはない。
【0019】
布帛を加工する工程の一例は、下記の手順で行われる。
繊維布帛を酸化チタン光触媒、セルロース系バインダーおよび/または多糖類バインダーおよび必要に応じて架橋剤を含む水系の処理液に浸した後、必要によりたとえばマングルロールで絞り、70〜150℃で乾燥し、場合によっては150〜200℃で数分以内の熱処理を行って反応を完結させる(パッド−キュアー法)。
【0020】
または、グラビヤコーター等を用いてコーティング処理する方法、さらにはスプレーする手法も使用できる。
また、酸化チタン光触媒、バインダー、架橋剤を含む繊維布帛の処理液に抗菌や消臭などの機能を増強する目的で銀ゼオライト微粒子あるいは酸化亜鉛微粒子などを併用してもよい。さらに、未架橋のバインダーを除去するためや繊維布帛の風合いが硬くなりすぎることを改良する目的で、水、温湯、酢酸などの水溶液を使用して、繊維布帛の洗浄を行い、乾燥してもよい。
【0021】
また、生産性の観点からは1段処理法によるのが好ましいが、保護層を設けた後、酸化チタン光触媒をセルロース系および/または多糖類バインダーで固着してもよい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに説明する。以下の例において、「%」は重量%を示す。
実施例1
綿100%からなる平織物(目付100g/m2 )を反応染料を使用して、薄いブルーに染色したものを試験に用いた。
【0023】
光触媒を含む下記の処理液を調製した。
アパタイト被覆酸化チタン光触媒水分散液 3.5%
(昭和電工製、固形分25%)
セロゲンPR 1.0%
(第一工業製薬製、カルボキシメチルセルロース)
WS−500 0.2%
(日本触媒製、オキサゾリン系架橋剤)
水を加えて100%とする。
【0024】
次いで、この処理液に織物を浸した後、マングルロールでピックアップ80%に絞り、130℃の乾燥機で3分間乾燥した。次いで、ピンテンターを使用して170℃で1分間ヒートセットした。
得られた機能性繊維布帛の分解による臭気を判定するため、10cm平方のサンプルを300mlの三角フラスコの中に入れて密栓し、20Wのブラックライトの下30cmに置き4時間放置した。
【0025】
次いで、栓を取り、三角フラスコ中の臭気を判定したところ、臭気強度は2であった。また、さらにサンプルを取り出し、機能性繊維布帛の臭気を判定したところ、臭気強度2であり、いずれも問題ない臭気であった。
この機能性繊維布帛の汗臭気の分解性を下記の手順で評価した。
イソ吉草酸の0.005%イソプロピルアルコール溶液を準備した。
【0026】
機能性繊維布帛を5×10cmの大きさにサンプリングし、上記の溶液25μlを布帛の全面に滴下した。次いで、蛍光灯の下に2時間放置した後、臭気を嗅覚で判定した。比較のため、未加工の布帛についても同じ評価を行った。
結果を表1に示す。
未加工の布帛の場合には汗臭が強いのに対して、光触媒加工布帛では殆ど臭気が無かった。
【0027】
【表1】
Figure 0004100832
【0028】
なお、臭気の判定は6段階臭気強度表示法により行った。各臭気強度は、以下の通りである。
6段階臭気強度表示法
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるかがわかる弱いにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
比較例1
実施例1と同じ綿布を試験に使用した。ただし、バインダー樹脂としては酸化珪素ゾルを使用した。
【0029】
アパタイト被覆酸化チタン水分散液 3.5%
(昭和電工製、固形分25%)
コルコートN−103X 10.0%
(コルコート製、酸化珪素ゾル、固形分10%)
水を加えて100%とする。
【0030】
この処理液を、実施例1と同一の手順により織物に付与し、機能性繊維布帛を得た。
さらに、この布帛の分解臭気を実施例1と同じ方法で評価したところ、フラスコ内の臭気強度は4であり、取り出した布帛のそれは3.5であって臭気が強く、実用上問題になるレベルであった。
【0031】
実施例2
レーヨン100%からなるスパンレース不織布(目付50g/m2 )を試験布に用いた。酸化チタン光触媒を含む下記の処理液を準備した。
STS−21 10%
(石原産業製、酸化チタン光触媒分散液、固形分40%)
セロゲンPR 1%
(第一工業製薬製、カルボキシメチルセルロース)
CR−5L 0.2%
(大日本インキ製、エポキシ架橋剤)
水を加えて100%とする。
【0032】
上記の処理液を40メッシュのグラビアコーターを使用し、塗布量1.5g/m2 (固形分)で片面から付与し、150℃で2分間乾燥した。
得られた機能性繊維系布帛の分解による臭気を判定するため、10cm平方のサンプルを300mlの三角フラスコの中に入れて密栓し、20Wのブラックライトの下30cmに置き4時間放置した。
【0033】
次いで、栓を取り、三角フラスコ中の臭気を判定したところ、臭気強度は2であった。また、さらにサンプルを取り出し、機能性繊維布帛の臭気を判定したところ、臭気強度1.5であり、いずれも問題ない臭気であった。
次いで、機能性繊維布帛のアセトアルデヒド分解性を以下の手順で評価した。10cm平方のサンプルを300mlの三角フラスコの中に入れ、アセトアルデヒド濃度が300ppmになるように添加し、密栓した。次いで、20Wのブラックライトの下30cmに置き、1時間後および3時間後のフラスコ内の濃度を検知管法で測定した。
【0034】
比較のため、光触媒を加工しないサンプルについても判定した。
結果を表2に示す。
得られた機能性繊維布帛は、優れたアセトアルデヒド分解性能を有することがわかる。
【0035】
【表2】
Figure 0004100832
【0036】
実施例3
セルロースろ紙を試験に用いた。
光触媒を含む下記の処理液を調製した。
アパタイト被覆酸化チタン光触媒水分散液 15%
(昭和電工製、固形分25%)
メトローズSE 1%
(信越化学製、ヒドロキシエチルメチルセルロース)
水を加えて100%とする。
【0037】
次いで、この処理液にセルロースろ紙を浸した後、130℃の乾燥機で3分間乾燥し、機能性繊維布帛(加工ろ紙)を得た。
得られたサンプルの黄色ブドウ状球菌に対する抗菌性の評価を行った。培養時に20W蛍光灯の30cm下で光を当てた状態で実施した。
結果を表3に示す。
【0038】
未処理ろ紙には抗菌性が認められないのに対して、得られた機能性繊維布帛(加工ろ紙)には優れた抗菌性が認められた。
【0039】
【表3】
Figure 0004100832
【0040】
実施例4
ポリエステル100%からなるスパン平織物(目付100g/m2 )を分散染料を使用してベージュ色に染色した。
また、光触媒を含む下記の処理液を調製した。
キミツアルギンBL−2 0.5%
(君津化学工業製、アルギン酸ソーダ)
アパタイト被覆酸化チタン光触媒水分散液 4.0%
(昭和電工製、固形分25%)
カルボジライトV−02 0.1%
(日清紡製、ポリカルボジイミド樹脂)
水を加えて100%とする。
【0041】
次いで、この処理液に織物を浸した後、マングルロールでピックアップ80%に絞り、130℃の乾燥機で3分間乾燥した。さらに、ピンテンターを使用して170℃で30秒間ヒートセットした。
得られた機能性繊維布帛のタバコ臭気に対する消臭効果を調べるために、以下の実証試験を行った。
【0042】
試験のため、隣り合った部屋(幅3.6m×奥行3.6m×高さ2.7m)を用いた。晴天で、強度0.5〜0.8mW/cm2 の紫外線(ミノルタ製UV RADIOMETE RUM−1(最大吸収波長367nm)にて測定)が窓から差し込む時間を選んだ。
それぞれの部屋に、機能性繊維布帛および未加工布帛からなる幅3.0m×丈1.8mのカーテンを吊した。
【0043】
さらに、それぞれの部屋の中央で同時に10本のタバコを燃焼させた後、小型扇風機で部屋内の空気を循環させながら、日中、閉め切った状態にしておいた。5時間後、20人(男10人、女10人)の成人によりそれぞれの室内の臭気の嗅覚評価を行った。
結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
Figure 0004100832
【0045】
実施例4で得られた、酸化チタン光触媒が固定された機能性繊維布帛からなるカーテンに、明らかなタバコ臭気に対する消臭効果が現れた。
実施例5
ポリエステル繊維100%からなるカーテン用のサテン織物を試験に用いた。防炎加工のため、明成化学製のリン酸エステル系防炎剤K−19Aの4%水溶液を作成した。
【0046】
織物を溶液に浸した後、マングルロールでピックアップ80%に絞り、120℃で3分間乾燥した。次いで、ピンテンターを使用し、195℃で2分間熱処理して固着した。未固着の防炎剤を、液流染色機を用い、ソーダ灰の1%溶液を用いて50℃で10分間洗浄したのち、水洗いして除去した。次いで、120℃で3分間乾燥して防炎加工布帛を得た。
【0047】
光触媒加工を行うため、下記の溶液を調製した。
アパタイト被覆酸化チタン水分散液 4.5%
(昭和電工製、固形分25%)
セロゲンPR 0.5%
(第一工業製薬製、カルボキシメチルセルロース)
CR−5L 0.2%
(大日本インキ製、エポキシ架橋剤)
織物をこの溶液に浸した後、マングルロールでピックアップ80%に絞り、120℃で3分間乾燥した。次いで、ピンテンターを使用して170℃で2分間熱処理した。未架橋のバインダー樹脂を、液流染色機を用い、酢酸の0.5%溶液を用いて50℃で10分間洗浄したのち、水洗いして除去した。次いで、120℃で3分間乾燥して機能性繊維布帛を得た。
【0048】
得られた機能性繊維布帛の防炎性を測定した結果を表5に示す。この布帛の防炎性は、(財)日本防炎協会のカーテン用の洗濯後(水洗い洗濯、ドライクリーニング)再処理の必要がないものの分類に適合していた。
【0049】
【表5】
Figure 0004100832
【0050】
次に、アセトアルデヒドの分解性を実施例2と同じ方法で評価した。ただし、初期のアセトアルデヒド濃度を70ppmとした。
評価結果を表6に示す。得られた布帛はアセトアルデヒドの分解作用を有する。
【0051】
【表6】
Figure 0004100832
【0052】
【発明の効果】
本発明においては、酸化チタン光触媒を繊維布帛に固定するにあたり、従来の問題点であった繊維布帛やバインダー樹脂の酸化チタン光触媒の酸化分解力による悪臭の発生の問題を抑える方法を見出したことにより、室内や人体の近くでの使用において、不快な思いをせずに、かつ、酸化チタン光触媒の優れた消臭、抗菌の機能を持ち、またさらに防炎性を備える繊維布帛を提供することができる。また、この繊維布帛は、カーテンなどのインテリア、衛生材料、衣料などに広く応用することができる。

Claims (4)

  1. 繊維布帛に酸化チタン光触媒がセルロース系バインダーおよび/または多糖類バインダーで固着されてなる機能性繊維布帛。
  2. セルロース系バインダーおよび/または多糖類バインダーが架橋剤を用いて架橋されている、請求項1記載の機能性繊維布帛。
  3. 繊維布帛がセルロース系繊維からなる、請求項1または2記載の機能性繊維布帛。
  4. 繊維布帛がリン酸エステル化合物単位を含むかまたはリン酸エステル系防炎剤が適用された防炎性ポリエステル繊維からなる、請求項1または2記載の機能性繊維布帛。
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