JP4067177B2 - 消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛およびその製造方法 - Google Patents

消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛およびその製造方法に関する。特に、本発明は、衣料、カーテンなどのインテリア用、衛生材料などに広く応用できる、消臭、抗菌および防汚機能を有する有機質繊維を含む布帛およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン光触媒を繊維に固定すればその酸化分解能力により消臭や抗菌、防汚などの機能を有する布帛が得られることは以前から予想され、ガラスやセラミックに酸化チタン光触媒を焼き付けにより固定化したものや紡糸前に樹脂の中に酸化チタン光触媒を練り込み、合成繊維に酸化チタン光触媒を固定化したものが知られている。
【0003】
しかし、酸化チタン光触媒の酸化による分解の生じないセラミックやガラスの表面など無機物の表面に光触媒を固定化した場合は問題はないけれども、インテリアや衣料などに使用されている有機質繊維に酸化チタン光触媒を固定すると酸化チタン光触媒の強い酸化分解力により繊維や染料、界面活性剤などの繊維処理剤が分解され、低分子量の分解物の生成により悪臭が発生するといった、本来酸化チタン光触媒を固定化した製品が有すべき機能に反する問題が発生し、実用化の最大の障害となっていた。
【0004】
また、有機質繊維に酸化チタン光触媒を固定化するための方法は種々検討されてはいる。例えば、酸化チタン光触媒により酸化分解を受けにくい樹脂をバインダーとして酸化チタン光触媒の固定化に用いることなどである。しかし、酸化分解を受けにくいバインダーについても、樹脂中に炭化水素などの有機質を含む場合、程度の差はあるものの酸化チタン光触媒の強い酸化力により分解されて悪臭が発生し、また繊維に保護層を形成したものであっても有機質繊維布帛の劣化による布帛の強度低下や酸化チタンの脱落は改善されてはいるものの悪臭の発生を抑える効果は十分ではなく、さらに改善が望まれているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸化チタン光触媒を固定化した有機質繊維を含む繊維布帛において、上記の悪臭の問題点を一掃した極めて優れた消臭機能に加え、抗菌および防汚機能を有する布帛を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、メラミン樹脂で被覆された有機質繊維上に酸化チタン光触媒を酸化けい素により固定化した有機質繊維を含む繊維布帛を提供する。
本発明は、また、有機質繊維を含む布帛にメラミン樹脂を付与した後、酸化チタン光触媒を含む酸化けい素含有ゾル溶液を付与することを含む繊維布帛の製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する有機質繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維などの合成繊維、レーヨン、トリアセテートなどの再生・半合成繊維、綿、羊毛、絹などの天然繊維などが挙げられる。また、有機質繊維を含む布帛としては、上記のごとき有機質繊維単独または同種、異種の2種類以上の繊維または有機質繊維以外の無機質繊維との組み合わせからなる織物、編物、不織布などが挙げられる。さらに、有機質繊維を含む布帛は通常の染色加工やプリントが施されたものであってもよい。
【0008】
また、本発明に使用する酸化チタン光触媒は、光照射、特に紫外線照射により励起して、酸化還元能力を発揮して、有機物を分解することができる酸化チタンであり、二酸化チタンあるいはより低次の酸化状態にあるものが好ましく、アナターゼ型、ルチル型、フルッカイト型の結晶型のものが使用できる。その粒子径としては、500nm以下、特に50nm以下のものが、光触媒活性の高さの点から好ましい。
【0009】
本発明では、まず、上記の有機質繊維を酸化チタン光触媒による酸化分解から保護し、不快臭の発生を抑えることを考え、その方法および材料を探究したところ、耐熱性に優れ、化学的安定性にも優れたメラミン樹脂で繊維を被覆することが極めて有効であることを見出した。メラミン樹脂としては、好ましくは、メラミンにホルムアルデヒドがアルカリ性条件下で付加されて生成したメチロールメラミンを用い、このメチロールメラミンを有機質繊維に付着させてから、縮合反応により架橋させて、緻密な三次元網目状のメラミン樹脂皮膜を有機質繊維状に形成させる。
【0010】
より具体的には、このメチロールメラミンは、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンおよびそれらの混合物あるいはさらにこれらを縮合させたものであるのが好ましい。
また、有機質繊維を被覆するメラミン樹脂の付着量は、有機質繊維重量に対し0.1重量%以上、好ましくは1〜5重量%であるのが好ましい。
【0011】
次に、メラミン樹脂で被覆した有機質繊維に酸化チタン光触媒を固定化するにあたり、その酸化分解に耐えうるバインダーを探究したところ、酸化けい素をバインダーとして用いることが好ましいことを見出した。
この酸化けい素をバインダーとして用いる例は、特開平10−1879に記載されている。しかしながら、本発明は、メラミン樹脂で被覆した有機質繊維上に、酸化けい素のゾル溶液からなるバインダーで光触媒を固定することに意義があり、メラミン樹脂皮膜なしには本発明の目的が達成することはできない。
【0012】
好ましくは、酸化けい素はゾル溶液として用いられ、例えば、テトラエトキシシランをはじめとする炭素数1〜4の低級アルコキシシランもしくはそのオリゴマーおよび一部のアルコキシ基がハロゲンで置き換えられたものを低級アルコール/水の混合溶剤中で硝酸や塩酸で加水分解することにより得られる。この酸化けい素のゾル溶液からは、一般の有機質繊維の処理で行われる200℃以下の熱処理でほとんど無機質の皮膜が得られる。酸化チタン光触媒と酸化けい素の配合比率としては、重量比で20〜95:80〜5の範囲が好ましい。酸化チタン光触媒の比率が低すぎると、酸化チタン光触媒が酸化けい素の皮膜に覆われる割合が大きくなり、酸化チタン光触媒と外気との接触が妨げられて効果が発揮されにくくなり、この比率が高すぎると、酸化チタン光触媒の固着が十分にできず、脱落しやすくなるので好ましくない。
【0013】
また、酸化チタン光触媒の有機質繊維に対する付着量が少なすぎると、悪臭の分解速度が遅くなり、実用性に欠ける場合がある。付着量が多すぎる場合には布帛の風合いが硬くなるので好ましくない。有機質繊維に対する酸化チタン光触媒の付着量は0.01〜10g/m2 の範囲が好ましく、0.05〜2g/m2 の範囲がさらに好ましい。
【0014】
次に、本発明の消臭、抗菌及び防汚機能を有する繊維布帛の製造方法を説明する。
まず、メラミン樹脂で有機質繊維を被覆する。その方法として、ナイフコーター、グラビアコーター、スプレーなどによりメチロールメラミンを含む溶液を有機質繊維を含む布帛に付与することができるが、布帛全体に均一に付着させるためにはメチロールメラミンを含む溶液を有機質繊維を含む布帛に含浸させた後、マングルロールで絞る方法が好ましい。
【0015】
次に、乾熱処理、湿熱処理等の公知の方法を用い、縮合反応によりメラミン樹脂皮膜を形成する。特に好ましい縮合反応の方法としては、布帛内で偏りなく均一に繊維を被覆できる方法として100℃の飽和水蒸気中での湿熱処理、マイクロウエーブの誘電加熱処理、あるいは室温で湿潤状態でのコールドバッチ処理などの方法により架橋させて、繊維を均一なメラミン樹脂で被覆させる方法がある。乾熱処理により架橋させた場合、メラミン樹脂が熱によるマイグレーションを起こし、繊維への被覆が不均一になったり、布帛内で樹脂が偏ってしまうことで、風合いの硬化や白化を起こしてしまうことがあり、得られる布帛の品位を低下させ、さらに有機質繊維を酸化チタン光触媒の酸化分解から保護する効果が低くなったりすることがある。
【0016】
また、上記の架橋反応は、触媒の存在下に行われるのがよく、メチロールメラミンを含む溶液に触媒を添加してもよい。かかる触媒としては、ギ酸、酢酸などの脂肪族カルボン酸、アクリル酸などの飽和ジカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸などのオキシカルボン酸、グルタミン酸などのアミノカルボン酸、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびそれらのアンモニウム、ナトリウム、カリウムなどの有機酸塩あるいはアミノ塩酸塩などの酸性有機塩があげられる。また、有機塩以外には、硫酸、過硫酸、塩酸、りん酸、硝酸のアンモニウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムなどの無機塩及びそれらの複塩があげられる。
【0017】
これらの触媒は、メチロールメラミンを含む溶液中に0.01〜10重量%の濃度で用いられるのがよい。
さらには、浸透性、溶液安定性向上のためメチロールメラミンを含む溶液中に界面活性剤を併用することが好ましい。
次に、上記のメラミン樹脂で被覆された有機質繊維を含む布帛に、酸化チタン光触媒を含む酸化けい素のゾル溶液を付与する。その方法としては、ゾル溶液に布帛を含浸させた後、マングルロールで絞る方法、適当な粘度に調整してナイフコーターやグラビアコーター、スプレーなどで塗布する方法が使用できる。塗布後は50〜150℃程度の温度での乾燥により皮膜化させ、酸化チタン光触媒を固定化する。さらには、皮膜強度や接着強度の向上のために200℃以下の熱処理を施してもよい。
【0018】
酸化チタン光触媒を含む酸化けい素のゾル溶液には、艶消し用の微粒子や着色のための顔料、さらに消臭機能、抗菌機能の効率化のためにシリカゲル、酸性白土、活性炭などの公知の消臭剤、公知の抗菌剤、その他特定の機能付与のための添加剤、例えば紫外線遮蔽効果を得るための酸化亜鉛が含まれていてもよい。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づきさらに説明する。
なお、実施例中の紫外線強度の測定は、ミノルタ製UV RADIOMETERUM−1(最大吸収波長367nm)を便宜的に用いて行った。
なお、本発明の効果を得るために使用される紫外線の波長は特に限定されるものではない。
実施例1
ポリエステルフィラメントからなる目付180g/m2 のサテン織物を、高圧型染色機により、分散染料を用いて130℃でベージュ色に染色したものを繊維布帛として使用した。有機質繊維の保護のための処理として、メラミン樹脂による被覆の処理を以下のように行った。
【0020】
配合液1
Sumitex Resin MC 10.00重量%
(住友化学工業株式会社製 ヘキサメチロールメラミン縮合物 固形分80重量%)
リンゴ酸 0.50重量%
エマルゲン909 0.15重量%
(花王株式会社製 非イオン系界面活性剤 固形分100重量%)
水 89.35重量%
上記の配合液1を調製し、これに繊維布帛を浸し、マングルロールでピックアップ60%に絞った後、100℃の飽和水蒸気中で10分間処理した。次いで、ハイドロサルファイトおよびソーダ灰で還元洗浄した後、水洗し、120℃で乾燥し、170℃で30秒間加熱処理することにより、メラミン樹脂で被覆された有機質繊維布帛を得た。メラミン樹脂の付着量は4.8重量%であった。
【0021】
次に、下記の配合液2を調製し、これを得られた有機質繊維布帛の片面に125メッシュのグラビアロールを使用し、8g/m2 の量で塗布し、120℃で乾燥した。さらに、170℃で30秒間キュアリングして、酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
配合液2
ST−K03 50.0重量%
(石原テクノ株式会社製 酸化チタン光触媒 酸化ケイ素ゾル配合溶液)
(酸化チタン光触媒 粒子径 7nm 固形分 5重量%)
(酸化ケイ素 固形分 5重量%)
イソプロピルアルコール 20.0重量%
水 30.0重量%
酸化チタン光触媒の付着量は繊維布帛に対して0.2g/m2 であった。
比較例1
実施例1で用いたと同じ染色繊維布帛を用い、メラミン樹脂による保護処理を施さずに、配合液2を実施例1と同様にして塗布して、酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
比較例2
実施例1で用いたと同じ染色繊維布帛を用い、繊維保護のための処理液として、配合液1にかえて下記の配合液3を用い、これに有機質繊維布帛を浸し、マングルロールでピックアップ60%に絞った後、120℃で5分間乾燥し、170℃で3分間キュアリングして得た布帛に、配合液2を実施例1と同様にして塗布して、酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
【0022】
配合液3
コルコートN−103X 100.0重量%
(コルコート株式会社製 アルコール系酸化けい素ゾル溶液)
(酸化けい素 固形分 10重量%)
実施例1、比較例1および比較例2の酸化チタン光触媒を固定した各繊維布帛を用いて、紫外線照射した場合の臭気の発生程度について次のように評価を行った。
【0023】
各繊維布帛(10cm×10cm)をそれぞれ別の300mLの三角フラスコに入れ、密栓して、20Wの紫外線ランプの下30cmの距離で、酸化チタン光触媒を塗布してある面に紫外線照射した。このときの布帛上の紫外線強度は、0.8mW/cm2 であった。5時間照射した後、栓を開け、フラスコ内の臭気を嗅覚により評価した。6段階臭気強度表示法にて判定した結果を下記に示す。
【0024】
繊維布帛 臭気強度
実施例1 1
比較例1 4〜5
比較例2 3
6段階臭気強度表示法
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるかがわかる程度の弱いにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
実施例1では気にならない程度の臭気しかないのに対して、メラミン樹脂保護のない比較例1では有機質繊維の酸化分解によると考えられる酸系の悪臭が強く、また比較例2でも有機繊維の保護材としては不十分で、楽に感知できる程の臭気が発生していた。
【0025】
また、タバコ臭気に対する消臭効果を調べるために以下の実験を行った。
実施例1の酸化チタン光触媒を固定した布帛を用いて、幅3.0m×丈1.8mのカーテンを作成して、8畳部屋(幅3.6m×奥行3.6m×高さ2.7m)の南向きの窓に、酸化チタン光触媒を塗布した面を日光のあたる側にして吊した。対照布帛として、酸化チタン光触媒を固定していない布帛を用いて同じ様にカーテンを作成し、同じ条件の別の部屋に吊した。それぞれの部屋の中央で同時に10本のタバコを燃焼させた後、小型扇風機で部屋内の空気を循環させながら、日中、閉め切った状態にしておいた。5時間後、20人(男10人、女10人)にそれぞれの室内の臭気の嗅覚評価を行ってもらった結果を下記に示す。このときの日光に当たっているカーテン面上の紫外線強度は、0.5〜0.8mW/cm2 であった。
【0026】
臭気強度 5 4 3 2 1
実施例1 0人 0人 6人 13人 1人
対照布帛 1人 10人 9人 0人 0人
実施例1の酸化チタン光触媒を固定された繊維布帛からなるカーテンには、明らかなタバコ臭気に対する消臭効果が認められた。
実施例2
ポリエステルスパン糸からなる目付110g/m2 の平織物を、高圧型染色機により、分散染料を用いて130℃で蛍光ホワイト色に染色したものを繊維布帛として使用した。
【0027】
実施例1と同様にして、配合液1を用い、メラミン樹脂により保護された繊維布帛を得た。
次に、酸化けい素のゾル溶液として下記の配合液4を調製し、これを用いて、酸化チタン光触媒を含む配合液5を調製した。これに得られた繊維布帛を浸し、マングルロールでピックアップ50%に絞った後、120℃で3分間乾燥した。さらに、170℃で1分間キュアリングして、酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
【0028】
配合液4
テトラエトキシシラン 20.0重量%
エチルアルコール 40.0重量%
水 39.8重量%
濃硝酸 0.2重量%
24時間放置して加水分解を完結させた。
【0029】
配合液5
配合液4 8.0重量%
STS−01 1.0重量%
(石原テクノ株式会社製 酸化チタン光触媒溶液)
(酸化チタン光触媒 粒子径 7nm 固形分 30重量%)
水 91.0重量%
比較例3
実施例2と同じメラミン樹脂により保護された繊維布帛を用いて、配合液5ではなく酸化チタン光触媒を含む配合液として配合液6を調製し、同様の方法で酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
【0030】
配合液6
BY22−826 4.0重量%
(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製
シリコーン水性エマルジョン 固形分 45重量%)
STS−01 1.0重量%
(石原テクノ株式会社製 酸化チタン光触媒溶液)
水 95.0重量%
実施例2および比較例3の酸化チタン光触媒を固定した各繊維布帛を用いて、紫外線照射した場合の臭気の発生程度について、実施例1の場合と同様に評価を行った結果を下記に示す。
【0031】
繊維布帛 臭気強度
実施例2 1
比較例3 3〜4
実施例2では、気にならない程度の臭気しかないのに対して、比較例3では、シリコーン樹脂中の有機成分の酸化分解によると考えられる酸系の悪臭が強く発生していた。
【0032】
次に、実施例2の酸化チタン光触媒を固定した有機質繊維布帛に対して、汗の不快臭の原因物質の1つであるイソ吉草酸の消臭効果を調べるために、次の試験を行った。
実施例2で得られた有機質繊維布帛(10cm×10cm)を300mLの三角フラスコに入れ、イソ吉草酸を注入し、密栓して、20Wの紫外線ランプの下30cmの距離で、酸化チタン光触媒を塗布してある面に紫外線照射した。対照布帛として、酸化チタン光触媒を固定していない布帛を用いて同じ様にして照射した。このときの布帛上の紫外線強度は、0.8mW/cm2 であった。
【0033】
1時間照射後に、ガス検知管にてイソ吉草酸の残留濃度を測定した結果を下記に示す。
イソ吉草酸 初期濃度 1時間後 臭気強度
実施例2 2.0ppm <0.05ppm 1
対照布帛 2.0ppm 1.8ppm 5
実施例2では、ガス検知管の検知限界以下となり、三角フラスコ内の臭気の嗅覚評価でも、対照布帛の激しい悪臭に対し、ほとんど臭気が感じられなかった。
【0034】
また、実施例2の酸化チタン光触媒を固定した繊維布帛に対して、次のようにして、抗菌性の試験を行った。
繊維製品衛生加工協議会で定められた菌数測定法により、抗菌性の評価を行った。菌種には黄色ブドウ球菌を使用し、培養時に20W蛍光灯の30cm下で光をあてた状態で実施した。対照布帛として、酸化チタン光触媒を固定していない布帛を用いて同様に実施した。その結果を下記に示す。菌数増減値差は1.6以上を合格とする。
【0035】
繊維布帛 菌数増減値差 合否の判定
実施例2 4.32 合格
対照布帛 0.63 不合格
実施例2の酸化チタン光触媒を固定した有機質繊維布帛は、蛍光灯照射下で優れた抗菌性があることがわかった。
【0036】
さらに、実施例2で得られた酸化チタン光触媒を固定した有機質繊維布帛に対して、次のようにして、タバコのヤニ汚れの分解除去試験を行った。
実施例2で得られた有機質繊維布帛と対照布帛として酸化チタン光触媒を固定していない繊維布帛を容積2Lのデシケーター中の側壁に対向して貼り付け、フタをした状態で、デシケーターの中心でタバコを3本燃焼させて、ヤニをそれぞれに付着させた。1時間後に取り出し、南向きの窓ガラスの内側に吊して、日光にあてた。
【0037】
布帛上の紫外線強度0.5〜0.8mW/cm2 の日射で、延べ1週間放置したところ、実施例2の酸化チタン光触媒を固定した繊維布帛は、ほとんど元の白さに回復し、不快な臭気もなくなっていた。それに対して、酸化チタン光触媒を固定していない対照布帛は、黄ばみが残ったままで、不快な臭気もまだ残っていた。実施例3
ポリエステル100%からなる目付200g/m2 のカーテン用のサテン織物の表面に分散染料を使用してブルー色にプリントした。
【0038】
有機質繊維の保護層形成のため、下記のメラミン樹脂処理を行った。
ベッカミンPMN 10.0重量%
(大日本インキ製、トリメチロールメラミン樹脂 固形分80重量%)
ユニカキャタリストA−35 1.0重量%
(ユニオン化成製、硬化触媒 固形分35重量%)
水 89.0重量%
この処理液を織物に含浸させた後、ピックアップ60%に絞った。
【0039】
次に、飽和水蒸気中で、マイクロウエーブ照射を出力6kWで5分間行った。次いで織物を、熱水で5分間洗浄した後、120℃の熱風で乾燥し、さらに170℃で30秒間セットした。メラミン樹脂の付着量は4.8g/m2 であった。
実施例1で用いたと同じ酸化チタン光触媒を含む配合液2を調製し、繊維布帛の裏側に125メッシュのグラビアロールを使用し、8g/m2 塗布し、120℃で乾燥した。さらに、170℃で30秒間キュアリングして、酸化チタン光触媒を固定した布帛を得た。
【0040】
得られた布帛のアセトアルデヒド分解性を下記の手順で評価した。10cm×10cmの大きさの布帛を300mLの三角フラスコの中に入れた後、アセトアルデヒドをフラスコ内の濃度が70ppm になるように、添加して、密封した後、ブラックライトを用い、布帛上の紫外線強度0.8mWの紫外線を3時間照射した。比較のため、同じ試験を未加工布帛についても行った。
【0041】
その結果を、下記に示すように本発明の布帛は優れたアセトアルデヒド分解性を示した。
Figure 0004067177
【0042】
【発明の効果】
本発明の繊維布帛は、室内や人体の近くでの使用において、不快な思いをすることがなく、かつ、優れた消臭、抗菌および防汚機能を有し、さらに、洗濯を含めた各種の処理に対する耐久性を有し、カーテンなどのインテリア、衛生材料、衣料などに、広く応用することができる。
【0043】
また、本発明によれば、従来、消臭が困難であったタバコ臭、汗臭、腋臭などの消臭が可能で、また、布帛に付着したタバコのヤニなどの着色物質を分解し防汚効果を発揮し、さらに、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに対して殺菌能力があり、菌が人体代謝物などを分解する時に発生する悪臭を抑制する効果を持つ有機質繊維を含む布帛が得られる。

Claims (2)

  1. メラミン樹脂で被覆された有機質繊維上に酸化チタン光触媒を含む酸化けい素含有ゾル溶液を用いて、酸化チタン光触媒の付着量が有機質繊維に対して0.01〜10g/m になるように、酸化チタン光触媒を固定化した有機質繊維を含む繊維布帛。
  2. 有機質繊維を含む布帛にメラミン樹脂を付与した後、酸化チタン光触媒を含む酸化けい素含有ゾル溶液を、酸化チタン光触媒の量が有機質繊維に対して0.01〜10g/mになるように、付与することを含む、酸化チタン光触媒を固定化した繊維布帛の製造方法。
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