JP2000119958A - 機能性繊維構造物 - Google Patents

機能性繊維構造物

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JP2000119958A
JP2000119958A JP10293965A JP29396598A JP2000119958A JP 2000119958 A JP2000119958 A JP 2000119958A JP 10293965 A JP10293965 A JP 10293965A JP 29396598 A JP29396598 A JP 29396598A JP 2000119958 A JP2000119958 A JP 2000119958A
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fiber
layer
titanium
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photocatalytic semiconductor
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Atsushi Shinozaki
篤史 篠崎
Hidenobu Honda
秀信 本田
Koichi Saito
公一 齋藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性のある消臭、抗菌、防カビおよび防汚性
機能と優れた撥水機能を有し、特に消臭性において今ま
でにはなかった、繊維布帛物への着臭防止効果がある繊
維布帛物を提供する。 【解決手段】繊維の表面上に、非結晶質過酸化チタン粒
子層、ゼオライト層およびアルキルシリケート層からな
る群から選ばれる少なくとも1種の層を有し、さらに該
層の表面に光触媒半導体を有するとともに、撥水剤が付
与されていることを特徴とする繊維構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来なかった耐久
性のある消臭、抗菌、防カビおよび防汚機能と優れた撥
水機能を有する繊維構造物に関するものである。特に消
臭性においては、今までになかった繊維布帛物の着臭防
止効果がある繊維布帛物である。さらに詳しく述べるな
らば、本発明は衣料やシート材、傘地および靴などの用
途に広く応用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、国民の生活水準の向上に伴い健康
および衛生に関する意識も高まっており、衣食住の各分
野において、消臭、抗菌、防カビ、防汚、撥水加工を施
した製品や技術が実用化されている。特に、衣料の分野
では、身につけることから、様々な消臭、抗菌、防汚、
撥水加工技術が開発されている。また、インテリアを含
めた他用途への展開が進められている。
【0003】例えば、繊維に対して消臭、抗菌、防カビ
および防汚加工を施す場合は、原糸への練り込み、紡績
工程における処理、染色時および染色後の処理が行われ
ている。しかし、この方法では、繊維全体に対して消
臭、抗菌、防カビ、防汚性を満足する加工を施すために
は、加工剤を多く付与する必要があり生産性が悪くなる
場合があった。また、付着量が増えるために風合いが硬
くなったり、加工剤によっては色味が白くなって見栄え
が悪くなることがあった。
【0004】また、これらに使用されている消臭剤は、
ごく一部を除き中和作用などによるものが主体であり、
持続性のある消臭機能を発揮し得るものではない。例え
ば酸性の酸化チタン、硫酸アルミニウムなどは、塩基性
のアンモニアなどの消臭には効果を発揮しても、中性の
悪臭に対しては無力である。消臭剤自体が塩基性である
酸化亜鉛は、酸性の悪臭であるメチルメルカプタン、硫
化水素などを中和して無臭物質に変えるけれども、中性
の悪臭に対しては無力である。また、これらの酸や塩基
を用いた中和作用による消臭方法では、消臭剤自体が飽
和されると効果を発揮できず、洗濯などの処理を行って
初めて機能が回復する。
【0005】一方、活性炭やシリカなどの物理的な吸着
を利用した消臭剤も知られている。これらは、悪臭成分
を消臭剤に集め、周囲の濃度を低下させるが、消臭剤に
悪臭成分が集まるだけで、分解はされないため、トータ
ルで悪臭成分の量が減少することはない。よって、物理
的な吸着を利用した消臭剤は、本質的な解決にはならな
い。理想的には悪臭成分を完全に無臭の成分にまで分解
させることが必要であり、このような作用を行う化学物
質はごくわずかにしか知られていない。例えば、鉄/フ
タロシアニンがあり、酵素的に酸化分解作用を行うこの
物質はレーヨン繊維に練り込まれて用いられており、例
えば、ふとん綿に使用され、これによってアンモニアが
消臭されることが確認されている。また、硫化水素は硫
黄に、メルカプタンはジスルフィドに、アルデヒドはカ
ルボン酸に、アミンはケトンとアンモニアにそれぞれ酸
化されることが知られている。しかしながら、これらの
分解物の中には臭気を持つものもあり、またこれらの化
学物質はすべての悪臭に有効とは言えない。すなわち、
タバコ臭や汗の臭気の除去には有効ではない。
【0006】また、複合された悪臭、例えば、タバコの
燃焼ガスは数千の成分を含んでいると言われ、これらを
全て消臭することは困難であった。さらに、人の主成分
であるイソ吉草酸に対しては効果ある消臭剤がなく、ま
た腋臭の臭気成分は数種類の低級脂肪酸が混ざったもの
であり、これらを完全に無臭化するのは困難であった。
【0007】このような消臭加工は空気中の臭い成分を
分解または吸着により除去や、減少させることはできる
が、消臭加工した繊維布帛物はむしろ臭い成分を吸着し
たり、分解により他の成分に変化し、かえって変な臭い
成分が発生する場合がある、ゆえに現時点では完全に臭
い成分を除去することが出来ない。むしろ、消臭加工し
ていない繊維布帛物の方が着臭防止効果があることが多
く見受けられる。
【0008】酸化チタン光触媒半導体を繊維に固定すれ
ば、消臭、抗菌、防カビおよび防汚などの機能が得られ
ることは予想できるが、酸化チタン光触媒半導体を繊維
に固着させるためには何らかのバインダー樹脂が必要で
あり、従来使用していたアクリル系樹脂やウレタン系樹
脂のバインダー樹脂は有機質の炭化水素を含む樹脂であ
るため、酸化チタン光触媒半導体の強い酸化分解力によ
りバインダー樹脂が分解して、着色したり、悪臭がする
などの問題が生じていた。
【0009】さらに、酸化チタン光触媒半導体を付与さ
れた繊維自体が劣化し、着色、強度低下、低分子量の分
解物生成により悪臭の発生などの問題が生じることもあ
り、繊維材料に対して酸化チタン光触媒半導体を用いて
消臭等の機能を付与する技術は、未だ実用化されてはい
ない。従来において、酸化チタン光触媒半導体が利用さ
れた例としては、セラミックやガラスなどの無機物の表
面に固定されたものであっても、有機物の表面に固定さ
れたものは存在しなかった。無機物では、酸化により分
解されることはないのがその理由である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の問題点を解決し、使用に際して変色や劣化がな
く、持続性のある、優れた消臭、抗菌、防カビおよび防
汚機能と優れた撥水機能を有する繊維構造物を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維構造物の一
態様は、繊維の表面上に、非結晶質過酸化チタン粒子
層、ゼオライト層およびアルキルシリケート層からなる
群から選ばれる少なくとも1種の層を有し、該層の表面
に光触媒半導体を有するとともに、撥水剤が付与されて
いる繊維構造物である。
【0012】また、本発明の繊維構造物の他の態様は、
繊維の表面上にマイクロカプセル化した光触媒半導体を
有するとともに、撥水剤が付与されている繊維構造物で
ある。
【0013】本発明のさらに他の態様は、上記いずれか
の繊維構造物を用いてなる衣料、シート材、傘地または
靴である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、繊維の表面上と
は、繊維を構成する単繊維1本1本の表面、または繊維
束の表面、または繊維構造物の一面の表面が含まれ、い
ずれかに限定するものではない。
【0015】かかる撥水剤は、特に限定されずに用いる
ことができる。たとえばフッ素系化合物、シリコーン系
化合物、パラフィン系化合物、エチレン尿素系化合物、
ジルコニウム系化合物およびメチロールアミド系化合物
を使用することができるが、なかでも撥水性のほかに撥
油性など多様な機能を備えているフッ素系化合物を用い
るのが好ましい。
【0016】撥水剤の付着量は、撥水性とその他の機能
の効果上、繊維構造物に対して、0.1%owf以上が
好ましく、風合いの粗硬化を防ぐ観点から30%owf
以下が好ましい。2〜20%owfがより好ましい。
【0017】かかる撥水剤は、それ単独での加工では、
劣化して耐久性が低下することがあり、ついには撥水性
もその他の機能も低下する傾向が出てくることがあるの
で、撥水剤に架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤
としては、メラミン系樹脂、ブロックイソシアネート系
化合物(重合)およびイミン系樹脂などの少なくとも1
種使用することができる。架橋剤の配合量は、繊維構造
物に対して、好ましくは0.01〜20%owf、さら
に好ましくは0.01〜20%owfである。かかる撥
水剤には、さらにバインダー樹脂を含んでいてもよく、
アクリル系樹脂、ウレタン樹脂およびシリコーン樹脂等
を使用することができる。
【0018】かかる撥水剤を含む処理液を用いて繊維構
造物を処理する際の付与方法としては、パッディング、
浸漬法、スプレー法、コーティング方式などの後加工を
採用することができ、またこれらの付与方法には熱処理
も含むことになる。ここでいう熱処理とは、乾熱処理ま
たは湿熱処理のことをいう。湿熱処理にはスチーム処理
が含まれる。スチーム処理には、常圧飽和スチーム処
理、加熱スチーム処理、高圧スチーム処理などを採用す
ることができる。乾熱処理または湿熱処理の温度は10
0〜200℃位が好ましい。熱処理温度が100℃未満
であると撥水性能の耐久性の面で不十分となる傾向にあ
り、一方、200℃を越えると繊維構造物の黄化を生じ
る傾向にある。なお、かかる処理液の中には、柔軟剤、
吸水剤、帯電防止剤、硬仕上げ剤等の他の加工剤を添加
してもよい。
【0019】本発明でいう繊維構造物とは、織物、編
物、または不織布などの布帛はもちろん、帯状物、紐状
物、糸状物などの繊維を含むものであれば、その構造、
形状を問わず、合成繊維、木綿、羊毛、絹等の天然繊維
またはレーヨン、テンセルなどの半合成繊維を用いたも
のが含まれる。
【0020】本発明の繊維構造物は、機能性の観点から
主としてポリエステル系繊維からなるものが好ましく、
重量比で50重量%以上から構成されていることが好ま
しく、70重量%以上がより好ましく、100重量%が
さらに好ましい。
【0021】また、ポリエステル系繊維は不活性酸化チ
タンを含んでいることが好ましい。ここで用いられる不
活性酸化チタンとは、ポリエステル系合成繊維の製造に
おいて艶消し剤として用いられる酸化チタンを示し、特
定波長の光に対して、特に紫外線において励起されるこ
となく、不活性である酸化チタンのことである。この不
活性酸化チタンをポリエステル系繊維に添加することに
より、有機性100%のポリエステル系繊維中に無機性
の酸化チタンが添加したことで無機性が高められ、上層
部に用いられた光触媒半導体の酸化還元作用がポリエス
テル系繊維におよぼす影響を減少化させる働きがある。
この不活性酸化チタンはポリエステル系繊維の重合時添
加されるもので、製糸性や糸物性からして、粒子径が
1.0μm以下が好ましい。不活性酸化チタンの添加量
は、製糸性や糸物性の点から0.3〜5重量%含有する
ことが好ましい。より好ましくは0.5〜4重量%の範
囲である。
【0022】本発明においては、異形断面を有するもの
であって異形断面係数が1.2〜2のポリエステル系繊
維が好ましく用いられる。より好ましくは1.3〜1.
8の範囲である。ここでいう異形断面係数とは、異形断
面糸の外周をそれと同じ断面積をもつ真円断面糸の外周
で割った値である。数値が大きくなるほど糸重量当たり
の表面積が多くなり、それに伴い光触媒半導体が存在し
得る面積も多くなるので、本発明の効果が増加されるも
のである。
【0023】ポリエステル系繊維としてポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキ
サメチレンテレフタレートなどが一般的である。また第
3成分として、イソフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、メトオキシポリオキシエチレングリコールなどを共
重合させてもよい。
【0024】本発明の繊維構造物は、撥水剤が付与され
ている繊維の表面上に非結晶質過酸化チタン粒子層、ゼ
オライト層およびアルキルシリケート層からなる群から
選ばれる少なくとも1種の層を有する。この層は光触媒
半導体の酸化分解から繊維構造物を保護する中間層であ
る。ここで繊維の表面上とは繊維を構成する単繊維1本
1本の表面、または繊維束の表面、または繊維構造物の
一面の表面が含まれ、いずれかに限定するものではな
い。
【0025】具体的には、過酸化チタン若しくはペルオ
キソチタン酸、またはこれらにチタン以外の金属酸化物
を含む非結晶質(アモルファス型)過酸化チタン粒子
層、ゼオライト層、アルキルシリケート層を中間層とす
る。
【0026】上述の非結晶質過酸化チタン粒子は、常温
では非結晶質の状態にあるので、アナターゼ型酸化チタ
ンにまでは結晶化しておらず、光触媒半導体としての機
能を持たない状態のものである。この非結晶の状態にあ
る過酸化チタン粒子は成膜性が高いため、均一な薄膜が
容易に作成できる特性をもっている。また非結晶質過酸
化チタンは、四塩化チタンTiCl4のようなチタン塩
水溶液に、水酸化アルカリを加え、水酸化チタンTi
(OH)4を得た後、この水酸化チタンを洗浄、分離後
過酸化水素水で処理すると得られる。
【0027】次にゼオライト層の形成は、単独でも可能
であるが、より好ましくはゼオライトの固定用バインダ
ーとしてシリコーン系もしくはフッ素系樹脂を用いるこ
とにより、より耐久性のある中間層が形成できる。
【0028】かかるシリコーン樹脂としては、シリコー
ンレジンもしくはシリコーンワニスという分類に属する
縮合架橋型樹脂であり、テトラエトキシシラン、メチル
トリメトキシシランなどの縮合架橋型樹脂を単独または
数種の配合物を縮合して得られる。これらは3次元構造
の樹脂を形成し、シリコーン樹脂の中でも最も耐熱性や
耐薬品性に優れたものである。また、テトライソプロポ
キシシランやテトラエトキシシランをアルコール/水混
合溶剤中で強酸による加水分解で得られる酸化ケイ素の
ゾルを乾燥すると、ガラス質の被膜ができる。このよう
なゾル/ゲル法で得られる被膜は無機質に近いもので、
本発明にはより好ましいものである。
【0029】また、フッ素系樹脂としては、ビニールエ
ーテルおよび/またはビニルエステルとフルオロオレフ
ィン重合性化合物が非常に優れた特性を持っているので
好ましく用いられる。ポリフッ化ビニルやポリ四フッ化
エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビ
ニルエステルやビニルエステル−フルオロオレフィン等
が分解、劣化が少なく好ましい。 かかるシリコーン系
樹脂及びフッ素系樹脂は、通常バインダー樹脂としてよ
く使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂など異なり、熱や薬品の作用で分解されやすい炭化水
素基をほとんど含まない。シリコーン系樹脂はSi−O
結合、フッ素系樹脂はF−C結合を主体に構成されてお
り、末端基や側鎖に少量のメチル基やフェニル基が炭化
水素として含まれる程度である。
【0030】次に本発明に用いられるアルキルシリケー
トは、下記一般式に示されるものである。
【0031】[(R1O)3−Si−O]n−R2−OH 式中、R1,R2は、炭素1〜4の直鎖または分岐のある
飽和アルキル基であり、nは1以上の整数を意味する。
かかるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル等直鎖または分岐のある飽和アルキルである。
【0032】アルキルシリケートは、1種、2種の混合
物でもよいが、無機性を高めるためにメチル基を有する
ものが好ましい。これらの化合物は、熱の存在下で容易
に脱水反応を起こしてポリシロキサン皮膜を形成する。
アルキルシリケートは一般に市販されているものでよ
く、CLG−520、550、590(共栄社化学
(株)製)、MKCシリケートMS−51、56(三菱
化学(株)製)等を使用できる。これらアルキルシリケ
ートは水溶性であり、繊維構造物をこれらの水溶液に含
浸させた後、マングルロールで絞り、200℃以下で処
理すると、繊維表面上に薄い皮膜を形成する。
【0033】かかるアルキルシリケートは、直接繊維構
造物の表面上に付着させることも可能であるが、シリコ
ーン系樹脂やフッ素系樹脂のバインダーによって付着さ
せてもよい。これらのバインダーは、上記したように、
耐熱性、耐光性、耐薬品性に優れており、光触媒半導体
による酸化力に対しても、優れた耐久性を有する。
【0034】本発明の繊維構造物は上述の中間層の表面
に光触媒半導体を有するものである。
【0035】光触媒半導体とは、紫外線により励起され
強い酸化力によって有機物を酸化分解する特性を有する
ものであり、具体的にはアナターゼ型、ルチル型と呼ば
れる結晶型の構造をもつものをいう。この光触媒半導体
の特性を生かした1つの例としては、消臭性が挙げられ
る。消臭性機能を持つ加工技術はこれまでに数多く紹介
されてきたが、「従来の技術」の欄で示したように、あ
る特定の臭気のみ消臭し、臭気が残ったり、持続性、耐
久性に乏しいという問題があった。しかし光触媒半導体
はこれまで困難とされてきたタバコ臭や汗臭などをバラ
ンス良く消臭し、しかも臭気を酸化分解するため、着臭
防止というこれまでにない非常に優れた効果も得られ
る。またタバコのヤニなどの着色物を分解除去する防汚
効果もあることが確認されている。さらに光触媒半導体
はその酸化力により、MRSA菌、大腸菌、黄色ブドウ
状球菌などに対する殺菌力がある。また光触媒半導体の
粒子径は大きすぎたり、比表面積が小さいと、有機物特
に細菌に対する分解速度が低下するので、粒子径は1〜
20nmで比表面積が100〜300m2/gであるのが
好ましい。
【0036】光触媒半導体は、光を照射すると光触媒半
導体が励起され、酸化、還元作用で有害物質を分解し、
消臭、抗菌、防カビおよび防汚の効果を発揮する。本発
明で用いる光触媒半導体としては、チタンとケイ素の複
合酸化物、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、C
dO、CaP、InP、In23,CaAs、BaTi
3、K2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、SbO
2、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、M
oS2、MoS3、InPb、RuO2、CeO2などを挙
げることができ、これらの光触媒半導体の単一または2
種以上を組み合わせて用いることができる。特に、高い
光触媒作用を有し、化学的に安定であり、かつ、無害で
ある酸化チタンがより好ましい。酸化チタンには、含水
酸化チタン水和酸化チタン、水酸化チタン、メタチタン
酸、オルトチタン酸をも包含する。なかでもアナターゼ
型結晶形を有する酸化チタンが優れた光触媒活性を有
し、さらに、その好ましい粒子径は1〜20nmであ
る。酸化チタンなどの光触媒半導体な粒子径は、粉末X
線解析で得られるピークの反値幅より下記のシェラーの
式を用いて算出する。
【0037】Lc=0.9λ/(W・cosθ) (Lcは粒子径(nm)であり、λはX線の波長(n
m)であり、Wはピークの半値幅(rad)であり、θ
はピーク位置の角度である。) また、酸化チタンなどの光触媒半導体に、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラ
ジウム、銀、金、白金などの他金属あるいは他金属の化
合物を含有させても良く、特に酸化亜鉛および/または
水酸化亜鉛を坦持した酸化チタンは、有害物質の吸着能
力と光触媒作用により分解能力を併せもったものであ
り、より好ましいものである。
【0038】光触媒半導体の繊維布帛物に対する付着量
は、機能性と風合いとの兼ね合いから0.03〜15重
量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.05〜10
重量%である。
【0039】次に、本発明の繊維構造物の製造方法につ
いて説明する。
【0040】前述のとおり、撥水剤が付与された繊維を
布帛などの繊維構造物とし、これに中間層を形成し、次
に、光触媒半導体を付与する。
【0041】中間層の形成は、過酸化チタン粒子層を用
いる場合は、ゾル状態からゲル状態に状態を変化させて
いる途中の性状を示す過酸化チタンを含む処理液を、繊
維構造物に含浸させた後、マングルロールで絞り、20
0℃以下の温度で固定する。あるいはこの処理液を適当
な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコ
ーターなどで、塗布した後200℃以下の温度で固定す
ることによって、過酸化チタン層を形成できる。
【0042】ゼオライト層の場合は、ゼオライト微粒子
をPVA法によって繊維構造物に気相皮膜を作り融着さ
せることによって形成できる。
【0043】また、シリコーン系若しくはフッ素系樹脂
で固定されたゼオライト微粒子層の場合は、ゼオライト
微粒子と水分散性のシリコーン系樹脂もしくはフッ素系
樹脂を含む処理液中に繊維構造物を含浸させた後、マン
グルロールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あ
るいはこの水溶液を適当な粘度に調整して、ナイフコー
ターやグラビアロールコーターなどで、塗布した後20
0℃以下の温度で固定することによって、形成できる。
【0044】また、アルキルシリケート層の場合は、ま
ずアルキルシリケートの水溶液に、反応をより安定的な
ものにするために、アルコールと塩酸、硫酸、硝酸等を
加え、pHを2〜4にし、この溶液をよく攪拌する。次
いで、繊維構造物をこの溶液に含浸させた後、マングル
ロールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あるい
はこの水溶液を適当な粘度に調整して、ナイフコーター
やグラビアロールコーターなどで塗布した後200℃以
下の温度で固定することにより、形成できる。
【0045】また、本発明の繊維構造物の他の態様は、
上述の中間層を用いることなく、マイクロカプセル化し
た光触媒半導体を繊維の表面上に有するものである。
【0046】ここでいうマイクロカプセル化した光触媒
半導体とは、光触媒作用のない、または少ない無機系物
質が殻で光触媒半導体が核となった球状物質の物を示
す。さらに殻が微細孔を有していることがより好まし
い。また、光触媒半導体の微粒子とそれよりも混合割合
が多く光触媒作用のない、または少ない無機系物質の微
粒子が混在し、光触媒を内包した状態の球状物質の物を
示す。マイクロカプセルの粒径は0.1〜10μmが好
ましい。マイクロカプセル化した光触媒半導体を用いる
ことにより、光触媒半導体とバインダーが直接接触して
いないので、光触媒半導体の強力な酸化力によりバイン
ダー樹脂を劣化させることを防止することができる。
【0047】光触媒半導体が直接有機性の強いポリウレ
タン樹脂などとの接着(混合)すれば前述の通り酸化分
解される問題が発生する。マイクロカプセル化した光触
媒半導体を用いると、この問題は生じない。
【0048】本発明の繊維構造物は、消臭、抗菌、防カ
ビおよび防汚機能と優れた撥水機能を有することから、
この繊維構造物を用いて常法により、消臭、抗菌、防カ
ビおよび防汚機能と優れる、衣料、シート材、傘地、靴
とすることができる。
【0049】
【実施例】次に本発明を実施例をあげてさらに具体的に
説明する。
【0050】実施例中での品質評価は次の方法を用い、
結果を表1にまとめて示した。
【0051】なお、洗濯は、自動反転渦巻き式電気洗濯
機VH−3410(東芝(株)製)を用い、市販洗剤
0.2%、温度40±2℃、浴比1:50で5分間強反
転で洗濯し、その後、排水、オーバーフローさせながら
すすぎを2分間行う操作を2回繰り返しこれを洗濯1回
とした。
【0052】(1)消臭率(検知管法による消臭性評
価) 試料を10g入れた500mlの容器に初期濃度が20
0ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、
1時間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定
した。
【0053】同様な方法でアセトアルデヒド200pp
m−1時間後、およびメチルメルカプタン60ppm−
3時間後の残留ガス濃度を測定した。
【0054】(2)タバコ消臭性(タバコ臭に対する消
臭性の臭覚評価) 500mlのガラス製三角フラスコを入り口を下にし
て、入り口の直下に発煙している紙巻きタバコを5秒間
置いた後、すばやく三角フラスコを横にして試料3gを
投入し、ガラス栓で密閉した。1時間放置後、ガラス栓
を開け、10人の人に残臭を嗅いで官能評価した。その
時の臭気を下記評価点数で評価し、平均値を出した。
【0055】5:強烈な臭い、4:強い臭い、3:楽に
感知できる、2:何の臭いかわかる弱い臭い、 1:や
っと感知できる、0:無臭 (3)制菌性 評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ブド
ウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布
に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測
し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準にしたがっ
た。
【0056】log(B/A)>1.5の条件下、lo
g(B/C)を菌数増減値差とし、2.2以上を合格と
した。
【0057】ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収
した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した
菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を
表す。
【0058】(4)防汚性 手順1:ポリエチレン袋(20リットル)に100℃×
2時間乾燥させた表1に示す組成の汚染物0.2gとタ
テ10cm、ヨコ16cmのサンプルとICIピリング
用ゴム管を1本入れる。20℃×65%RHの空気で袋
を膨らませ(約10リットルにする)輪ゴムで止める。
【0059】
【表1】 手順2:手順1のポリエチレン袋をICI試験器の箱の
中に入れ、1時間回転させる。その後サンプルを取り出
す。
【0060】手順3:処理サンプルを標準洗濯条件で1
回洗濯する。手順1〜3をさらに2回繰り返す。
【0061】手順4:上記の通り汚染剤付着・洗濯を1
0回繰り返したサンプルと未処理のサンプルのL値を測
色計で測定し、L値を計算する。
【0062】(5)撥水性 JIS L 1092(スプレー法)に準じて測定し
た。
【0063】実施例1 女性用のブラウス用に、経糸に不活性酸化チタン3.0
重量%含有で、異形断面係数1.4のY型断面糸75デ
ニール96フィラメントのポリエステル糸と、緯糸に不
活性酸化チタン3.0重量%含有で、異形断面係数1.
4のY型断面糸100デニール48フィラメントのポリ
エステル糸を用い、織物組織が2/3綾、経糸密度が1
70本/インチ、緯糸密度が98本/インチの生機を作
成し、通常条件で、精練、乾燥、中間セット、染色をお
こなった。
【0064】次に、四塩化チタンTiCl4の30%溶
液に水酸化ナトリウムNaOHの5%溶液を加えしばら
く放置したのち水酸化チタンTi(OH)4を得た。こ
れに25%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チ
タンゾルを得た。この過酸化チタンゾルを0.5重量%
に調整した。この液に布を浸漬しマングルで絞液した、
このときの絞り率は布帛に対して90%であった。その
後120℃にて乾燥をおこない重量測定し過酸化チタン
ゾルの付着量を計算した結果、繊維布帛物に対して0.
45重量%であった。
【0065】つぎに、光触媒機能性のあるチタンとケイ
素の複合酸化物(SX−T1:日本触媒(株)製)を、
0.5重量%およびシリコーン系樹脂BY22−826
(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)の固形
分4.0重量%の濃度になるように純水に懸濁してスラ
リーを調整した。この調整液に布を浸漬しマングルで絞
液した、このときの絞り率は布帛に対して90%であっ
た。その後120℃にて乾燥をおこない重量測定しチタ
ンとケイ素の複合酸化物の付着量を計算した結果、繊維
布帛物に対して0.5重量%であった。
【0066】次に、下記組成の処理液をパディング法で
付与した。このときの絞り率は90%で、130℃×2
0分で乾熱処理後、170℃×3分乾熱処理を行った。
【0067】 撥水剤:アサヒガードAG−930(旭硝子株式会社製) 10% 架橋剤:スミテックスレジンM−3(住友化学工業株式会社製) 3% 触媒 :スミテックスアクセレータACX(住友化学工業株式会社製) 1% 上記%は、乾燥後の%owfを意味する。架橋剤は、メ
ラミン樹脂である。
【0068】実施例2 女性用のブラウス用に、経糸に不活性酸化チタン3.0
重量%含有で、断面形状が丸の75デニール96フィラ
メントのポリエステル糸と、緯糸に不活性酸化チタン
3.0重量%含有で、断面形状が丸の100デニール4
8フィラメントのポリエステル糸を用い、実施例1と同
じ織組織で織物を作成した、その時の織り密度は実施例
1とほぼ同じ密度であった。次に実施例1と同じ条件で
精練、乾燥、中間セット、染色をおこなった。次に実施
例1と同じ加工剤、加工条件にて中間層として過酸化チ
タン粒子層を、さらにその上層部に光触媒機能性のある
チタンとケイ素の複合酸化物の層を有する繊維布帛物を
作成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付
着量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに実
施例1と同じ条件で撥水加工を行った。 実施例3 実施例1で用いた染色上がり織物を用い、ゼオライト微
粒子をPVD法によって繊維布帛に気相皮膜し融着させ
た。次に実施例1と同じ光触媒機能性のあるチタンとケ
イ素の複合酸化物の層を有する繊維布帛物を作成した。
このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着量は実施
例1と同じ0.5重量%であった。さらに実施例1と同
じ条件で撥水加工を行った。 実施例4 実施例2で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例3と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに実施
例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0069】実施例5 実施例1で用いた染色上がり織物を用い、ゼオライト微
粒子をシリコーン系樹脂で固定した中間層の形成として BY22−826(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)20重量% ゼオライト微粒子 20重量% 水 60重量% の処理液を作成後、繊維布帛物を処理液に含浸し、マン
グルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195
℃で30秒の加熱処理をした。次に実施例1と同じ光触
媒機能性のあるチタンとケイ素の複合酸化物の層を有す
る繊維布帛物を作成した。このときのチタンとケイ素の
複合酸化物の付着量は実施例1と同じ0.5重量%であ
った。さらに実施例1と同じ条件で撥水加工を行った。 実施例6 実施例1で用いた染色上がり織物を用い、ゼオライト微
粒子をフッ素系樹脂で固定した中間層の形成として ルミフロンLF200C(旭硝子(株)製) 20重量% イソシアネート系硬化剤 4重量% ゼオライト微粒子 20重量% トルエン 56重量% の処理液を作成後、繊維布帛物を処理液に含浸し、マン
グルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195
℃で30秒の加熱処理をした。次に実施例1と同じ光触
媒機能性のあるチタンとケイ素の複合酸化物の層を有す
る繊維布帛物を作成した。このときのチタンとケイ素の
複合酸化物の付着量は実施例1と同じ0.5重量%であ
った。さらに実施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0070】実施例7 実施例1で用いた染色上がり織物を用い、アルキルシリ
ケートの中間層の形成として メチルシリケートCLG−520(共栄社化学(株)製)20.5重量% メタノール 8.5重量% 純水 70.0重量% 硫酸(20%) 1.0重量% の処理液を作成後、繊維布帛物を処理液に含浸し、マン
グルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195
℃で30秒の加熱処理をした。次に実施例1と同じ光触
媒機能性のあるチタンとケイ素の複合酸化物の層を有す
る繊維布帛物を作成した。このときのチタンとケイ素の
複合酸化物の付着量は実施例1と同じ0.5重量%であ
った。さらに実施例1と同じ条件で撥水加工を行った。 実施例8 実施例2で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例7と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに実施
例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0071】実施例9 女性用のブラウス用に、経糸に不活性酸化チタンを含有
せず異形断面係数1.4のY型断面糸75デニール96
フィラメントのポリエステル糸と、緯糸に不活性酸化チ
タンを含有せず異形断面係数1.4のY型断面糸100
デニール48フィラメントのポリエステル糸を用い、織
物組織が2/3綾、経糸密度が170本/インチ、緯糸
密度が98本/インチの生機を作成し、通常条件で、精
練、乾燥、中間セット、染色をおこなった。次に中間層
と上層部を実施例1と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛
物を作成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物
の付着量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さら
に、実施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0072】実施例10 実施例9で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例3と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに、実
施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0073】実施例11 実施例9で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例5と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに、実
施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0074】実施例12 実施例9で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例6と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに、実
施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0075】実施例13 実施例9で用いた染色上がり織物を用い、中間層と上層
部を実施例7と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作
成した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着
量は実施例1と同じ0.5重量%であった。さらに、実
施例1と同じ条件で撥水加工を行った。
【0076】実施例14 実施例1で用いた染色上がり織物を用い、中間層に実施
例5と同じ加工剤、加工方法で繊維布帛物を作成した。
さらに、上層部として、鈴木油脂工業(株)製の、多孔
質SiO2がTiO2を内包(含有)した形態の直径約5
μmのマイクロカプセル2重量%と、フッ素系樹脂ルミ
フロンLF200C(旭硝子(株)製)20重量%、イ
ソシアネート系架橋剤4重量%からなるトルエン溶液を
調整し、試料を得た。この時の該光触媒の付着量は0.
5重量%であった。さらに、実施例1と同じ条件で撥水
加工を行った。
【0077】比較例1 実施例1で用いた、染色上がり繊維布帛物を評価に供し
た。
【0078】比較例2 実施例2で用いた、染色上がり繊維布帛物を評価に供し
た。
【0079】比較例3 実施例9で用いた、染色上がり繊維布帛物を評価に供し
た。
【0080】比較例4 実施例1で用いた、染色上がり繊維布帛物に、実施例1
と同じ加工剤、加工条件にて中間層として過酸化チタン
粒子層を、さらにその上層部に光触媒機能性のあるチタ
ンとケイ素の複合酸化物の層を有する繊維布帛物を作成
した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着量
は実施例1と同じ0.5重量%であった。
【0081】比較例5 実施例2で用いた、染色上がり繊維布帛物に、実施例1
と同じ加工剤、加工条件にて中間層として過酸化チタン
粒子層を、さらにその上層部に光触媒機能性のあるチタ
ンとケイ素の複合酸化物の層を有する繊維布帛物を作成
した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着量
は実施例1と同じ0.5重量%であった。
【0082】比較例6 実施例9で用いた、染色上がり繊維布帛物に、実施例1
と同じ加工剤、加工条件にて中間層として過酸化チタン
粒子層を、さらにその上層部に光触媒機能性のあるチタ
ンとケイ素の複合酸化物の層を有する繊維布帛物を作成
した。このときのチタンとケイ素の複合酸化物の付着量
は実施例1と同じ0.5重量%であった。
【0083】比較例7 実施例1で用いた、染色上がり繊維布帛物に撥水加工を
したものを評価に供した。
【0084】比較例8 実施例2で用いた、染色上がり繊維布帛物に撥水加工を
したものを評価に供した。
【0085】比較例9 実施例9で用いた、染色上がり繊維布帛物に撥水加工を
したものを評価に供した。
【0086】
【表2】
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、撥水加工を行って撥水
機能を持たせ、かつ繊維表面上に光触媒から劣化を受け
にくい特定の中間層を用い、さらにその上に光触媒機能
がある光触媒半導体を有するポリエステル系繊維布帛物
である。その繊維布帛物は従来なかった耐久性のある消
臭、抗菌、防カビおよび防汚性機能と優れた撥水機能を
有するものである。特に消臭性においては、今までには
なかった繊維布帛物の着臭防止効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/08 B01J 23/08 M 23/10 23/10 M 23/14 23/14 M 23/16 23/16 M 23/18 23/18 M 23/20 23/20 M 23/30 23/30 M 23/31 23/31 M 23/46 301 23/46 301M 23/72 23/72 M 23/745 27/04 M 23/75 27/14 M 27/04 27/224 M 27/14 35/02 J 27/224 D06M 13/51 35/02 15/643 D06M 13/51 11/06 15/643 B01J 23/74 301M 311M Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA09 BA02A BA02B BA04A BA04B BA07A BA07B BA21A BA21B BA22A BA22B BA22C BA48A BB01A BB02A BB04A BB06A BB06B BB09A BB13A BC03A BC09A BC12A BC13A BC18A BC21A BC25A BC26A BC27A BC31A BC35A BC36A BC43A BC50A BC50B BC55A BC56A BC59A BC60A BC66A BC68A BC70A BD04A BD05A BE09A BE32A BE32C BE34C CA01 CA11 CA17 EA03X EA03Y EA09 EA27 EB14X ED01 ED10 EE01 FA03 FB02 FC04 FC05 FC08 4H011 AA02 AA03 BA01 BB18 BC19 DG03 DG16 DH04 4L031 AA18 AB01 BA09 BA11 CA01 DA12 DA13 DA19 4L033 AA07 AB01 AB09 AC04 AC10 BA94 BA96 BA99 CA59 DA06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維の表面上に、非結晶質過酸化チタン粒
    子層、ゼオライト層およびアルキルシリケート層からな
    る群から選ばれる少なくとも1種の層を有し、該層の表
    面に光触媒半導体を有するとともに、撥水剤が付与され
    ていることを特徴とする繊維構造物。
  2. 【請求項2】繊維の表面上にマイクロカプセル化した光
    触媒半導体を有するとともに、撥水剤が付与されている
    ことを特徴とする繊維構造物。
  3. 【請求項3】該繊維が主としてポリエステル系繊維から
    なる請求項1または2に記載の繊維構造物。
  4. 【請求項4】該ポリエステル系繊維が不活性酸化チタン
    を0.3〜5重量%含有し、異形断面係数が1.2〜2
    の範囲からなる請求項3記載の繊維構造物。
  5. 【請求項5】該光触媒半導体が、チタンとケイ素の複合
    酸化物、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、Cd
    O、CaP、InP、In23,CaAs、BaTiO
    3、K2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、Sb
    2、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2
    MoS2、MoS3、InPb、RuO2およびCeO2
    らなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜
    4いずれかに記載の繊維構造物。
  6. 【請求項6】該光触媒半導体が、シリコーン系もしくは
    フッ素系樹脂で固定されてなる請求項1〜5いずれかに
    記載の繊維構造物。
  7. 【請求項7】該光触媒半導体の繊維構造物に対する付着
    量が0.03〜15重量%である請求項1〜6いずれか
    に記載の繊維構造物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7いずれかに記載の繊維構造物
    を用いてなることを特徴とする衣料。
  9. 【請求項9】請求項1〜7いずれかに記載の繊維構造物
    を用いてなることを特徴とするシート材。
  10. 【請求項10】請求項1〜7いずれかに記載の繊維構造
    物を用いてなることを特徴とする傘地。
  11. 【請求項11】請求項1〜7いずれかに記載の繊維構造
    物を用いてなることを特徴とする靴。
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