JP2000110063A - 消臭性繊維構造物 - Google Patents

消臭性繊維構造物

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JP2000110063A
JP2000110063A JP10283962A JP28396298A JP2000110063A JP 2000110063 A JP2000110063 A JP 2000110063A JP 10283962 A JP10283962 A JP 10283962A JP 28396298 A JP28396298 A JP 28396298A JP 2000110063 A JP2000110063 A JP 2000110063A
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fibrous structure
acidic group
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Katsuya Okajima
克也 岡嶋
Masaki Ishii
正樹 石井
Hidenobu Honda
秀信 本田
Koichi Saito
公一 齋藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】即効性かつ持続性のある消臭性能と着臭防止性
能を併せ持った消臭性繊維構造物を提供する。 【解決手段】酸性基を有するポリアミド系繊維および/
またはポリエステル系繊維を含んでなり、該繊維の表面
上に非結晶質過酸化チタン微粒子層、ゼオライト層およ
びアルキルシリケート層からなる群から選ばれる少なく
とも1種の層を有し、さらに該層の表面に光触媒半導体
を有する繊維構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消臭性繊維構造物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から衣料分野では、靴下や下着類の
臭いが問題視されており、抗菌や防カビという点から銅
化合物(特開昭61−231202号公報)や有機シリ
コーンの第4級アンモニウム塩化合物(特開昭61−2
82474号公報)、各種抗菌剤(特開昭61−258
076号公報)を用いて脱臭しようとする試みが、さら
には硫酸第一鉄とL−アスコビルビン酸の混合物(特開
昭61−29611号公報)や金属フタロシアニン化合
物(特開昭62−6953号公報、特開昭62−697
8号公報、特開昭62−6986号公報)を用いて悪臭
を消臭する試み、また、天然のツバキ科植物からの抽出
物(特公昭61−22978号公報)や天然の針葉樹か
ら抽出した物質(特開昭59−225062号公報)等
により消臭する試みもなされている。
【0003】しかし、これらの消臭、脱臭技術は必ずし
も十分なものではなく、消臭効果や効果の持続性、洗濯
耐久性等に問題があり、実用性に乏しかった。
【0004】こうした問題を解決すべく、グラフト重合
により酸性基を導入したポリアミド系繊維および/また
はポリエステル系繊維を用いた消臭素材やその酸性基が
Zn2+、Cu2+、Ni+、Mn2+、Ag+、Fe2+等の金
属イオンで置換された消臭素材(特開平5−7617号
公報)が提案されている。
【0005】しかしながら、こららの素材はアンモニ
ア、アルキルアミン、ピリジン、硫化水素、メチルメル
カプタン等の悪臭成分を中和、脱硫などの化学反応によ
り、化学的に吸着することで消臭効果を得ているもので
あり、消臭効果の即効性はあるものの、酸性基部分が飽
和されてしまうと効果が無くなるなど、効果の持続性に
は問題があった。また、素材そのものに吸着した悪臭成
分は分解されずに残っているため、素材への着臭防止効
果という点でも問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる背景
に鑑み、即効性かつ持続性のある消臭性能と着臭防止性
能を併せ持った消臭性繊維構造物を提供せんとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するため、次の構成を有する。
【0008】すなわち、本発明の繊維構造物の一態様
は、酸性基を有するポリアミド系繊維および/またはポ
リエステル系繊維を含んでなり、該繊維の表面上に非結
晶質過酸化チタン微粒子層、ゼオライト層およびアルキ
ルシリケート層からなる群から選ばれる少なくとも1種
の層を有し、さらに該層の表面に光触媒半導体を有する
繊維構造物である。
【0009】また、本発明の繊維構造物の他の態様は、
酸性基を有するポリアミド系繊維および/またはポリエ
ステル系繊維を含んでなり、該繊維の表面上にマイクロ
カプセル化した光触媒半導体を有する繊維構造物であ
る。
【0010】さらにまた、本発明の他の態様は、前記い
ずれかの繊維構造物を用いてなる衣類、靴、鞄、寝装
材、インテリア材、車両内装材、壁装材またはフィルタ
ーである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の繊維構造物を構成する繊
維は、酸性基を有するポリアミド系繊維および/または
ポリエステル系繊維を含むものである。これ以外に、通
常のポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレ
タン系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、
アセテート、レーヨン、綿、麻、絹、羊毛、等とが混
紡、混繊、交織、交編、等で混用されていてもよい。
【0012】ここでいうポリアミド系繊維とは、主鎖に
アミド結合を有する繊維のことであり、具体的にはナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン7、
ナイロン11,ナイロン12等があげられる。また、ポ
リエステル系繊維とは、主鎖にエステル結合を有する繊
維のことであり、具体的にはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、さら
にはこれらとイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
メトオキシポリオキシエチレングリコール等の第3成分
とを共重合させたもの等があげられる。
【0013】本発明の繊維構造物の形態としては、フィ
ラメント、ステープルなどの短繊維、フィラメント糸若
しくは紡績糸などの糸、さらには織物、編物若しくは不
織布などの布帛、これらを用いた繊維製品など、その構
造、形状を問わない。なかでも、衣服、靴、鞄、寝装
材、インテリア材、車両内装材、壁装材、フィルターな
どへの用途に容易に適用できる形態であることが好まし
い。
【0014】次に、本発明でいう酸性基には、カルボキ
シル基、スルホン酸基が含まれる。酸性基を有するポリ
アミド系繊維またはポリエステル系繊維は、とりわけア
ンモニア、アルキルアミン、ピリジン等の塩基性悪臭に
対し、即効性のある消臭性能が得られる。
【0015】かかる酸性基はZn2+、Cu2+、Ni+
Mn2+、Ag+、Fe2+等の金属イオンで置換されてい
てもよい。酸性基の一部または全部がこれらの金属イオ
ンで置換されている場合、硫化水素、メチルメルカプタ
ン等に対しても即効性のある消臭性能が得られる。
【0016】ポリアミド系繊維および/またはポリエス
テル系繊繊中における酸性基の含有量は、1.16×1
-5〜1.16×10-2グラム当量/グラムであること
が好ましい。含有量が1.16×10-5グラム当量/グ
ラムに満たない場合、消臭性能の即効性が低下する傾向
にあり、また、含有量が1.16×10-2グラム当量/
グラムを超えると該繊維の強力などの物性が著しく低下
する傾向にある。
【0017】本発明において酸性基を有するポリアミド
系繊維またはポリエステル系繊繊は、例えば酸性基を有
するビニルモノマーをポリアミド系繊維および/または
ポリエステル系繊繊にグラフト重合する方法により製造
することができる。ポリアミド系繊維、ポリエステル系
繊繊にビニル系モノマーをグラフト重合する技術は比較
的容易であり、また経済的にも優れているため、酸性基
を繊維内部に導入する手段としては最適である。
【0018】かかる酸性基を有するビニルモノマーの具
体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸等のビニルカル
ボン酸系化合物、アリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−
アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等の
ビニルスルホン酸系化合物があげられる。
【0019】これらの酸性基を有するビニルモノマーを
ポリエステル系繊維にグラフト重合する方法の一例とし
ては、予め過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を、モ
ノクロルベンゼンなどの潤滑剤を用いてポリエステル系
繊維内部へ導入しておき、次いで、前述のアクリル酸や
メタクリル酸などの酸性基を有するビニルモノマーを単
独あるいは混合して水溶液中で加熱処理してグラフト重
合する方法や、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物触
媒とモノクロルベンゼンなどの潤滑剤、ならびに前述の
酸性基を有するビニルモノマーの存在する溶液中で加熱
処理してグラフト重合する方法があげられる。
【0020】また、これらの酸性基を有するビニルモノ
マーをポリアミド系繊維にグラフト重合する方法の一例
としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム
等の触媒と、前述のアクリル酸やメタクリル酸などの酸
性基を有するビニルモノマーを単独あるいは混合して液
中で加熱処理してグラフト重合する方法等があげられ
る。
【0021】本発明の繊維構造物の繊維表面には、非結
晶質過酸化チタン粒子層、ゼオライト層およびアルキル
シリケート層からなる群から選ばれる少なくとも一層を
有し、さらにその層の表面に光触媒半導体を有する。
【0022】ここで繊維表面とは、繊維構造物を構成す
る単繊維1本の表面、または糸の表面、または繊維構造
物の一面の表面が含まれ、いずれかに限定されるもので
はない。
【0023】次に、本発明において、光触媒半導体と
は、紫外線により励起され強い酸化力によって有機物を
酸化分解する特性を有するものである。また、本発明の
光触媒半導体は、その強い酸化力により、とりわけ有機
性の臭気を分解する機能を有するので、着臭防止という
これまでにない非常に優れた効果も達成するものであ
る。
【0024】かかる性質を有する光触媒半導体として
は、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、CdO、
CaP、InP、In23、CaAs、BaTiO3
2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、SbO2、B
23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、Mo
2、MoS3、InPb、RuO2、CeO2などを挙げ
ることができ、これらの光触媒半導体を単一または2種
以上組み合わせて用いることができる。中でも実用上の
面からは、高い光触媒作用を有し、化学的に安定であ
り、かつ無害であることから、チタンとケイ素の複合酸
化物が好ましく用いられる。
【0025】かかる光触媒半導体の粒子径は、大きすぎ
たり、比表面積が小さすぎたりすると有機物に対する分
解能力が低下する傾向があるので、粒子径は1〜20n
m、比表面積は100〜300m 2 /gであるものが好
ましく使用される。かかる光触媒半導体の粒子径は、粉
末X線回折で得られるピークの半値幅より下記のシェラ
ーの式を用いて求められるものである。
【0026】Lc=0.9λ/(W・cosθ) ここで、 Lc:粒子径(nm)、 λ:X線の波長(nm)、 W:ピークの半値幅(rad)、 θ:ピーク位置の角度。
【0027】光触媒半導体の繊維構造物に対する付着量
は、少なすぎると悪臭成分などの有機物の分解能力が低
下し十分な性能が得られないし、また多すぎると繊維構
造物自身が光触媒半導体により劣化したり、風合いが硬
化なものになったりし、実用的なものでなくなるため、
繊維構造物に対する光触媒半導体の付着量は0.1〜3
0wt%が好ましい。
【0028】本発明においては、かかる光触媒半導体を
繊維表面上に固定するために、予め特定の中間層を形成
しておくか、あるいは光触媒半導体をマイクロカプセル
化しておく必要がある。すなわち、本発明の光触媒半導
体は強烈な酸化力を有しており、紫外線の照射で有機物
の分解がおこり、繊維構造物自身やバインダー等の樹脂
が分解着色を起こすことがある。例えば、ウレタン樹
脂、アクリル樹脂などは光触媒半導体と共存させ、紫外
線照射を行うと、有機物の分解による着色や臭気が発生
する。それゆえに光触媒半導体を繊維構造物に付着させ
るためには、有機系樹脂特有の光触媒半導体の酸化によ
る分解、着色、臭気の発生を防止するための処置をして
おく必要がある。
【0029】本発明ではその中間層として、過酸化チタ
ン若しくはペルオキソチタン酸、またはこれにチタン以
外の金属酸化物を含む非結晶質(アモルファス型)過酸
化チタン粒子層、ゼオライト層、またはアルキルシリケ
ート層を用いる。かかる中間層をいわば保護層とするこ
とにより、光触媒半導体による分解を防ぐことができ
る。
【0030】上述の非結晶質過酸化チタン粒子は、常温
では非結晶質の状態にあるので、アナターゼ型酸化チタ
ンにまでには結晶化しておらず、光触媒半導体としての
機能を持たないものである。この非結晶の状態にある過
酸化チタン粒子は、成膜性が高いので、均一な薄膜を容
易に作成することができるという利点をもっているもの
である。なお、かかる非結晶質過酸化チタンは、四塩化
チタンTiCl4 のようなチタン塩水溶液に、水酸化ア
ルカリを加えて、水酸化チタンTi(OH)4を得た
後、この水酸化チタンを洗浄し、分離した後、過酸化水
素水で処理すると得られる。
【0031】次に、ゼオライト層の形成は、単独でも可
能であるが、より好ましくはゼオライトの固定用バイン
ダーとしてシリコーン系もしくはフッ素系樹脂を用いる
ことにより、より耐久性のある中間層を形成することが
できる。
【0032】かかるシリコーン樹脂として、シリコーン
レジンもしくはシリコーンワニスという分類に属する縮
合架橋型樹脂を使用することができ、かかる樹脂は、テ
トラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの
縮合架橋型樹脂を単独または数種の配合物を縮合して得
ることができる。これらは3次元構造の樹脂を形成し、
シリコーン樹脂の中でも最も耐熱性や耐薬品性に優れた
ものである。また、テトライソプロポキシシランやテト
ラエトキシシランをアルコール/水混合溶剤中で強酸に
よる加水分解で得られる酸化ケイ素のゾルを乾燥する
と、ガラス質の被膜ができる。このようなゾル/ゲル法
で得られる被膜は無機質に近いもので、本発明にはより
好ましいものである。
【0033】また、フッ素系樹脂としては、ビニルエー
テルおよび/またはビニルエステルとフルオロオレフィ
ン重合性化合物が非常に優れた特性を持っていて好まし
く使用される。例えば、ポリフッ化ビニルやポリ四フッ
化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエステルやビニルエステル−フルオロオレフィン
などが分解、劣化が少なないので好ましく使用される。
【0034】かかるシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂
と通常よく使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂などとの違いは、熱や薬品の作用で分解され
やすい炭化水素基をほとんど含まず、シリコーン系樹脂
はSi−O結合、フッ素系樹脂はF−C結合を主体に構
成されており、末端基や側鎖に少量のメチル基やフェニ
ル期が炭化水素として含まれる程度であるところにあ
る。
【0035】本発明に用いられるアルキルシリケート
は、下記一般式に示されるものである。
【0036】 [(R1 O)3 −Si−O]n −R2 −OH 式中、R1 、R2 は、炭素1〜4の直鎖または分岐のあ
る飽和アルキル基であり、nは1以上の整数を意味す
る。かかるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル等直鎖または分岐のある飽和アルキルであ
る。
【0037】アルキルシリケートは、1種、2種の混合
物でもよいが、無機性を高めるためには、メチル基を有
するものが好ましく用いられる。これらの化合物は、熱
の存在下で容易に脱水反応を起こして、ポリシロキサン
被膜を形成する。アルキルシリケートは、市販されてい
るものを使用してもよく、たとえばCLG−520、5
50、590(共栄社化学(株)製)、MKCシリケー
トMS−51、56(三菱化学(株)製)等を使用する
ことができる。これらアルキルシリケートは、水溶性で
あり、繊維構造物をこれらの水溶液に含浸させた後、マ
ングルロールで絞り、200℃以下で処理すると、繊維
表面上に薄い被膜を形成する。
【0038】かかるアルキルシリケートは、直接繊維構
造物の表面上に付着させることも可能であるが、シリコ
ーン系樹脂やフッ素系樹脂のバインダーによって付着さ
せてもよい。これらのバインダーは、上記したように、
耐熱性、耐光性、耐薬品性に優れており、光触媒半導体
による酸化力に対しても、優れた耐久性を有する。
【0039】次に、本発明の繊維構造物の製造方法の一
例について説明する。
【0040】前述のとおりグラフト重合により酸性基を
内部に導入したポリアミド系繊維および/またはポリエ
ステル系繊維を用いて繊維構造物とし、これに中間層を
形成し、次に光触媒半導体を付与する。
【0041】中間層の形成は、過酸化チタン粒子層を用
いる場合、ゾル状態からゲル状態に状態を変化させてい
る途中の性状を示す過酸化チタンを含む処理液を、繊維
構造物に含浸させた後、マングルロールで絞り、200
℃以下の温度で固定する。あるいはこの処理液を適当な
粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコー
ターなどで繊維構造物に塗布した後200℃以下の温度
で固定することによって、過酸化チタン層を形成でき
る。
【0042】ゼオライト層の場合、ゼオライト微粒子を
PVA法によって繊維構造物に気相皮膜を作り融着させ
ることにより形成できる。
【0043】シリコーン系もしくはフッ素系樹脂で固定
されたゼオライト微粒子層の場合は、ゼオライト微粒子
と水溶解性のシリコーン系樹脂もしくはフッ素系樹脂を
含む処理液中に繊維構造物を含浸させた後、マングルロ
ールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あるいは
この水溶液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターや
グラビアロールコーターなどで繊維構造物に塗布した後
200℃以下の温度で固定することにより形成できる。
【0044】アルキルシリケートの場合は、アルキルシ
リケートの水溶液に、反応をより安定的なものにするた
めに、アルコールと塩酸、硫酸、硝酸等を加え、pHを
2〜4にし、この溶液をよく攪拌する。次いで、繊維構
造物をこの溶液に含浸させた後、マングルロールで絞
り、200℃以下の温度で固定する。あるいはこの水溶
液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビア
ロールコーターなどで繊維構造物に塗布した後200℃
以下の温度で固定することのよって、アルキルシリケー
ト層を形成できる。
【0045】上記の方法により得られた中間層を有する
繊維構造物を光触媒半導体の水分散液に含浸させ、乾燥
・熱処理することで、光触媒半導体を繊維に付着させる
ことができる。また、光触媒半導体の水分散液にシリコ
ーン系もしくはフッ素系樹脂を混合させることも好まし
く行われる。
【0046】次に、本発明でいうマイクロカプセル化さ
れた光触媒半導体とは、光触媒作用のないまたは少ない
無機系物質が殻で光触媒半導体が核となった球状物質の
ものであり、消臭効果の面から殻が微細孔を有している
ことが好ましい。また、これには、光触媒半導体の微粒
子とそれよりも混合割合が多く光触媒作用のないまたは
少ない無機系物質の微粒子が混在し光触媒半導体を内包
した状態の球状物質のものも含まれる。マイクロカプセ
ルの粒径は0.1〜10μmであることが好ましい。マ
イクロカプセル化された光触媒半導体を用いることによ
り、光触媒半導体と繊維構造物やバインダーが直接接触
していないので、光触媒半導体の強力な酸化力によるこ
れらの劣化を防止することができる。
【0047】かかるマイクロカプセル化された光触媒半
導体は、それ自身単独でも繊維構造物に付与可能である
が、バインダーとしてシリコーン系もしくはフッ素系樹
脂を用いることも好ましく行われる。これらのバインダ
ーは、前述したように、耐熱性、耐光性、耐薬品性に優
れており、光触媒半導体による酸化力に対しても、優れ
た耐久性を有する。
【0048】かかる消臭性繊維構造物は、即効性かつ持
続性のある消臭性能と着臭防止性能を有しており、ドレ
スシャツ、ユニフォーム、スポーツウェア、下着、靴下
等の衣類、カーテン、カーペット、壁紙、マット、シー
ツ、毛布、布団等の寝装材またはインテリア材、自動
車、列車等の車両内装材、壁装材、靴、鞄、フィルター
などの用途に好適である。
【0049】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0050】実施例中の評価は以下の方法で行った。
【0051】(洗濯)自動反転渦巻き式電気洗濯機VH
−3410(東芝(株)製)を用い、市販洗剤0.2
%、温度40±2℃、浴比1:50で5分間強反転で洗
濯し、その後、排水、オーバーフローさせながらすすぎ
を2分間行う操作を2回繰り返しこれを洗濯1回とし
た。
【0052】(検知管法による消臭率評価)試料を10
g入れた500mlの容器に初期濃度が200ppmに
なるようにアンモニアガスをいれて密閉し、10分間放
置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。な
お、消臭率は下記式で算出される。
【0053】消臭率(%)=100×([初期濃度]−
[10分後の残留濃度])/[初期濃度] 同様の方法で、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメ
ルカプタン、アセトアルデヒド、酢酸についても消臭率
を測定した。
【0054】(タバコ臭に対する消臭性の臭覚評価)5
00mlのガラス製三角フラスコを入り口を下にして、
入り口の直下に発煙している紙巻きタバコを5秒間置い
た後、すばやく三角フラスコを横にして試料3gを投入
し、ガラス栓で密閉した。2時間放置後、ガラス栓を開
け試料を取り出し、フラスコ内の残臭を嗅いでもらい、
消臭性を官能評価した。次に、取り出した試料の臭いを
嗅いでもらい、試料への着臭防止効果についても官能評
価した。なお、官能評価は以下の基準に基づいて5段階
で評価し、10人の平均値を記載した。
【0055】5:強烈な臭い、4:強い臭い、3:楽に
感知できる臭い、2:何の臭いかわかる弱い臭い、1:
ほとんど臭わない 実施例1 経糸に75デニール96フィラメントのポリエチレンテ
レフタレートフィラメント糸、緯糸に75デニール36
フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメン
ト糸を用い、織物組織が2/2綾、経糸密度が172本
/インチ、緯糸密度が105本/インチの生機を作製し
た。
【0056】これを通常の条件で精練、乾燥、中間セッ
トした後、メタクリル酸10wt%、過酸化ベンゾイル
1wt%、界面活性剤15wt%の組成からなる処理液
に浸漬、マングルロールでピックアップ70wt%で絞
り、常圧スチーマーで105℃×60分スチーミング処
理を行い、グラフト重合を完了した。得られた織物には
3.52×10-3グラム当量/グラムのカルボキシル基
が導入されていることを中和滴定法により確認した。
【0057】次に、四塩化チタンTiCl4 の30wt
%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5wt%溶液を
加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(O
H)4を得た。これを25wt%の過酸化水素水で処理
し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。これに上記グラ
フト重合による加工方法で得られたポリエチレンテレフ
タレート織物を浸漬し、マングルロールでピックアップ
80wt%で絞り、120℃×2分乾燥した後、190
℃×1分熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒
子の中間層を有する織物を得た。
【0058】この繊維布帛を、チタン、ケイ素複合酸化
物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2
g、日本触媒株式会社製)に浸漬し、マングルロールで
絞り、100℃×1分乾燥した後、195℃×30秒の
加熱処理をして、光触媒を有する織物を得た。これの光
触媒の付着量は、繊維布帛に対して、1.8wt%であ
った。この織物についての評価結果を表1に示す。
【0059】実施例2 グラフト重合により加工したポリエチレンテレフタレー
ト織物をさらに硫酸亜鉛水溶液で処理し、カルボキシ末
端の約半数をZn2+置換したこと以外は実施例1と同様
にして、光触媒を有する織物を得た。この織物について
の評価結果を併せて表1に示す。
【0060】実施例3 実施例1と同様の方法でグラフト重合による加工をした
ポリエチレンテレフタレート織物を得た。
【0061】次に、鈴木油脂工業(株)製の、多孔質S
iO2 約70%と超微粒子光触媒半導体であるアナター
ゼ型TiO2約30%の割合からなり多孔質のSiO2
TiO2を内包(含有)した形態の直径約5μmのマイ
クロカプセル2wt%と、フッ素系樹脂ルミフロンLF
200C(旭硝子(株)製)20wt%、イソシアネー
ト系架橋剤4wt%からなるトルエン溶液を調製し、こ
の液をグラビアロールコーターを用いて上記織物にコー
ティング、乾燥し、試料を得た。これの光触媒の付着量
は0.5wt%であった。この織物についての評価結果
を併せて表1に示す。
【0062】実施例4 3デニール51mmの6ナイロンステープルからなるナ
イロン綿をオーバーマイヤー型パッケージ染色機に詰め
込み、通常条件で精練した後、アクリル酸28%ow
f、過硫酸アンモニウム1%owf、亜硫酸ナトリウム
ホルマリン縮合物3%owfの組成の処理液を調製し、
処理液をイン→アウト方向に動かして、70℃×60分
液中加熱処理を施し、グラフト重合を完了した。得られ
たナイロン綿には2.33×10-3グラム当量/グラム
のカルボキシル基が導入されていることを中和滴定法に
より確認した。このグラフト化が完了したナイロン綿
に、実施例1と同様の方法で中間層および光触媒を付与
し、試料を得た。評価結果を併せて表1に示す。
【0063】比較例1 経糸に75デニール96フィラメントのポリエチレンテ
レフタレートフィラメント糸、緯糸に75デニール36
フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメン
ト糸を用い、織物組織が2/2綾、経糸密度が172本
/インチ、緯糸密度が105本/インチの生機を作製し
た。これを通常条件で精練、乾燥、中間セットし、試料
とした。評価結果を併せて表1に示す。
【0064】比較例2 比較例1で得た試料を実施例1と同様の方法でグラフト
化処理し、試料とした。評価結果を併せて表1に示す。
【0065】比較例3 グラフト化処理を行わなかった以外は実施例1と同様の
方法で試料を作製した。評価結果を併せて表1に示す。
【0066】比較例4 グラフト化処理を行わなかった以外は実施例3と同様の
方法で試料を作製した。評価結果を併せて表1に示す。
【0067】比較例5 3デニール51mmの6ナイロンステープルからなるナ
イロン綿をオーバーマイヤー型パッケージ染色機に詰め
込み、通常条件で精練、乾燥し試料とした。評価結果を
併せて表1に示す。
【0068】比較例6 比較例5で得た試料を実施例4と同様の方法でグラフト
化処理し、試料とした。評価結果を併せて表1に示す。
【0069】比較例7 グラフト化処理を行わなかった以外は実施例4と同様の
方法で試料を作製した。評価結果を併せて表1に示す。
【0070】
【表1】 実施例1〜4より、本発明により即効性かつ持続性のあ
る消臭性能と着臭防止性能を併せ持った消臭性繊維構造
物が得られることがわかる。
【0071】比較例1および5より、通常のポリエステ
ル系およびポリアミド系繊維構造物では消臭性能が得ら
れないことがわかる。
【0072】比較例2および6より、グラフト処理のみ
を行ったポリエステル系およびポリアミド系繊維構造物
ではタバコ臭の着臭防止効果が得られないことがわか
る。また、一部の臭気に対しては消臭能力がないことが
わかる。
【0073】比較例3、4および7より、グラフト処理
を行っていないポリエステル系およびポリアミド系繊維
構造物では、光触媒の効果により着臭防止性能は得られ
るものの、消臭性能の即効性が劣っている。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、即効性かつ持続性のあ
る消臭性能と着臭防止性能を併せ持った消臭性繊維構造
物を安定して供給することができる。
フロントページの続き (72)発明者 齋藤 公一 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3B154 AA07 AA08 AB02 AB03 AB20 AB21 AB22 BB03 BB12 BB32 BB39 BD17 BD18 BD20 BE05 BF06 BF09 BF12 BF23 BF25 DA15 4L031 AA18 AA20 AB01 BA09 BA11 BA20 CA06 CA07 DA13

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸性基を有するポリアミド系繊維および/
    またはポリエステル系繊維を含んでなり、該繊維の表面
    上に非結晶質過酸化チタン微粒子層、ゼオライト層およ
    びアルキルシリケート層からなる群から選ばれる少なく
    とも1種の層を有し、さらに該層の表面に光触媒半導体
    を有することを特徴とする繊維構造物。
  2. 【請求項2】酸性基を有するポリアミド系繊維および/
    またはポリエステル系繊維を含んでなり、該繊維の表面
    上にマイクロカプセル化した光触媒半導体を有すること
    を特徴とする繊維構造物。
  3. 【請求項3】該光触媒半導体が、シリコーン系もしくは
    フッ素系樹脂で固定されていることを特徴とする請求項
    2に記載の繊維構造物。
  4. 【請求項4】該繊維中の酸性基含有量が1.16×10
    -5〜1.16×10-2グラム当量/グラムであることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造
    物。
  5. 【請求項5】該酸性基がZn2+、Cu2+、Ni+、Mn
    2+、Ag+およびFe2+からなる群より選ばれる少なく
    とも1種の金属イオンで置換されたものであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
  6. 【請求項6】該光触媒半導体の該繊維に対する付着量が
    0.1〜30wt%であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の繊維構造物。
  7. 【請求項7】該光触媒半導体がチタンとケイ素からなる
    複合酸化物からなるものであることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の繊維構造物。
  8. 【請求項8】該複合酸化物の微粒子の比表面積が100
    〜300m2/gであることを特徴とする請求項7に記
    載の繊維構造物。
  9. 【請求項9】該複合酸化物の微粒子の粒子径が1〜20
    nmであることを特徴とする請求項7または8に記載の
    繊維構造物。
  10. 【請求項10】該酸性基がグラフト重合によりポリアミ
    ド系繊維および/またはポリエステル系繊維に導入され
    てなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    の繊維構造物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする衣類。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする靴。
  13. 【請求項13】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする鞄。
  14. 【請求項14】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする寝装材。
  15. 【請求項15】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とするインテリア材。
  16. 【請求項16】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする車両内装材。
  17. 【請求項17】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とする壁装材。
  18. 【請求項18】請求項1〜10のいずれかに記載の繊維
    構造物を用いてなることを特徴とするフィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7592048B2 (en) 2005-12-21 2009-09-22 Milliken & Company Photocatalytic substrate and process for producing the same
CN113463398A (zh) * 2021-07-06 2021-10-01 聚治(苏州)纳米科技有限公司 一种黑洞外型复合功能粉末及纺织品后整理液的制备方法

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