JP2000119957A - 消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛およびその製造方法 - Google Patents

消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛およびその製造方法

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JP2000119957A
JP2000119957A JP29394898A JP29394898A JP2000119957A JP 2000119957 A JP2000119957 A JP 2000119957A JP 29394898 A JP29394898 A JP 29394898A JP 29394898 A JP29394898 A JP 29394898A JP 2000119957 A JP2000119957 A JP 2000119957A
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apatite
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Yasunao Shimano
泰尚 嶋野
Nobumasa Kanenori
順正 金法
Shunsaku Rokutanzono
俊作 六反園
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化チタン光触媒を固定化した有機質繊維を
含む繊維布帛において、優れた消臭機能に加え、抗菌お
よび防止機能を有する繊維布帛を提供する。 【解決手段】 有機質繊維上にアパタイト被覆酸化チタ
ン光触媒がメラミン樹脂で固定された有機質繊維を含む
繊維布帛および有機質繊維を含む繊維布帛にアパタイト
被覆酸化チタン光触媒およびメラミン樹脂を含む処理液
を付与することを含む繊維布帛の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消臭、抗菌および
防汚機能を有する繊維布帛に関する。本発明は、特に、
衣料、カーテンなどのインテリア用材料、衛生材料など
に広く用いることのできる、消臭、抗菌および防汚機能
を有する、有機質繊維を含む繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン光触媒を有機高分子材料の表
面に固定すると、酸化チタン光触媒がバインダー樹脂を
酸化分解により劣化させるため酸化チタン光触媒が脱落
しやすくなる。また、有機高分子材料と酸化チタン光触
媒が接触した場合、有機高分子材料自体を酸化分解する
問題があることは一般的に知られているが、さらに酸化
分解による低分子量の生成物が悪臭を発生させる問題が
あることを我々は見いだした。
【0003】このため、有機質繊維の表面に酸化チタン
光触媒をコート処理する場合、酸化珪素ゾルからなる溶
液を用い、無機質のアンダーコートを行った後、酸化珪
素バインダーと酸化チタン光触媒の混合溶液をコートす
る2段コート法が提案されている。また、アンダーコー
ト剤としてシロキサン系ポリマーを用いてアンダーコー
トを行い、その上にシロキサン系ポリマーと酸化チタン
光触媒をコートする方法も提案されている。
【0004】しかしながら、本発明者らは、このような
2段処理法においても、前述の悪臭が発生する問題は解
決されておらず、コートした有機質繊維をガラス容器内
に入れ、密閉状態で紫外線ランプを照射すると、かなり
刺激性のある悪臭が発生する問題があることを確認し
た。アンダーコート剤や酸化チタン光触媒のバインダー
としては、酸化チタン光触媒による酸化分解の影響を受
けないようにするため、酸化珪素などの無機質樹脂やシ
ロキサン系樹脂、フッ素樹脂などの耐熱劣化し難い材料
が一般に使用されているが、これらの材料においても上
記の問題に関しては必ずしも満足できるものではない。
【0005】酸化チタン光触媒を繊維に固定すれば、そ
の酸化分解能力により消臭や抗菌、防汚などの機能を有
する布帛が得られることが期待される。しかしながら、
この場合の問題点は、先に述べたように、汎用的な有機
のバインダー樹脂で酸化チタン光触媒を固定すると、バ
インダー樹脂の劣化や繊維基材の劣化による脱落が起こ
ることである。また、酸化分解により、繊維そのものや
バインダー樹脂、染料や界面活性剤などの染色助剤から
低分子量の生成物が発生し、悪臭を発生することが多
く、消臭性の繊維を製造する場合などにおいて目的に反
して、悪臭が発生する繊維になってしまう。また、繊維
材料は、人間の生活空間で使用する場合が多いため、悪
臭の発生は不快な環境を作ることになり、全く実用性が
ないことになる。したがって、繊維基材に酸化珪素樹脂
などのアンダーコートを施した後、同じく酸化珪素樹脂
バインダーを含む酸化チタン光触媒を付着させるなどの
2段処理法が常識的には望ましいが、この方法において
も上記の問題点は残ったままである。また、2段処理法
は製造工程が煩雑であるため、1段処理法で上記の悪臭
発生などの問題を解決することが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化チタン
光触媒を固定化した有機質繊維を含む繊維布帛におい
て、上記の悪臭の問題点を一掃することのできる極めて
優れた消臭機能に加え、抗菌および防止機能を有する繊
維布帛を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機質繊維上
にアパタイト被覆酸化チタン光触媒がメラミン樹脂で固
定された有機質繊維を含む繊維布帛を提供する。本発明
は、また、有機質繊維を含む繊維布帛にアパタイト被覆
酸化チタン光触媒およびメラミン樹脂を含む処理液を付
与することを含む繊維布帛の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用する有機質繊維とし
ては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊
維などの合成繊維、レーヨン、トリアセテートなどの再
生もしくは半合成繊維、綿、羊毛、絹などの天然繊維な
どが挙げられる。また、有機質繊維を含む布帛とは、上
記のごとき有機質繊維単独または同種もしくは異種の2
種類以上の繊維、または有機質繊維以外の無機質繊維と
組み合わせた織物、編物、不織布などが挙げられる。さ
らに、有機質繊維を含む布帛は、通常の染色加工やプリ
ントが施されたものであってもよい。
【0009】また、本発明においては、酸化チタン光触
媒としてアパタイト被覆酸化チタン光触媒を用いる。ア
パタイト被覆酸化チタン光触媒は、酸化チタン光触媒の
表面がリン酸カルシウムアパタイトにより被覆された複
合材料である。特に、多孔質リン酸カルシウムにより被
覆されたものが好ましい。有機質繊維やプラスチックを
基材とするものに酸化チタンを練り込むと基材そのもの
が分解されるが、アパタイトで被覆したものは基材を分
解しない。
【0010】また、アパタイトで被覆された酸化チタン
光触媒は、光照射、特に紫外線照射により励起して、酸
化還元能力を発揮し、有機物を分解することができる酸
化チタンであり、二酸化チタンあるいは、より低次の酸
化状態にあるものが好ましく、アナターゼ型、ルチル
型、フルッカイト型の結晶型のものが使用できる。アナ
ターゼ型のものが特に好ましい。その粒子径としては、
500nm以下、特に50nm以下のものが、光触媒活
性の高さから好ましい。
【0011】また、このアパタイト被覆酸化チタン光触
媒を繊維に固定するためのバインダー樹脂を、不快臭の
発生が少ないものという基準で評価したところ、メラミ
ン樹脂が最適であることを見いだした。すなわち、バイ
ンダー樹脂として酸化珪素ゾル、シリコーン系樹脂、フ
ッ素樹脂などを比較したところ、メラミン樹脂以外は悪
臭が発生し易く、バインダー樹脂として不適であること
が分かった。
【0012】メラミン樹脂による固定は、具体的には、
メラミンにホルムアルデヒドがアルカリ性条件下で付加
されて生成したメチロールメラミンを用い、このメチロ
ールメラミンとアパタイト被覆酸化チタン光触媒を有機
質繊維に付着させてから、縮合反応により架橋させて、
緻密な三次元網目状のメラミン樹脂皮膜を有機質繊維上
に形成させることにより行うことができる。
【0013】より具体的には、このメチロールメラミン
としては、トリメチロールメラミン、テトラメチロール
メラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロー
ルメラミンおよびそれらの混合物や、さらにこれらを縮
合させたものが用いられる。これらのメラミン樹脂は、
70〜80%の水溶液として市販されている。有機質繊
維に付着させるメラミン樹脂の量は、有機質繊維重量に
対して0.1重量%以上、特に1〜5重量%の範囲であ
るのが好ましい。
【0014】メラミン樹脂の架橋反応は、触媒の存在下
に行われるのがよく、メチロールメラミンを含む溶液に
触媒を添加して行ってもよい。かかる触媒としては、ギ
酸、酢酸などの脂肪族カルボン酸、アクリル酸などの飽
和ジカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸などのオキシカルボ
ン酸、グルタミン酸などのアミノカルボン酸、マレイン
酸などの不飽和ジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジ
カルボン酸およびそれらのアンモニウム、ナトリウム、
カリウムなどの有機酸塩またはアミノ塩酸塩などの酸性
有機塩があげられる。また、有機塩以外には、硫酸、過
硫酸、塩酸、りん酸、硝酸のアンモニウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、アルミニウムなどの無機塩およびそ
れらの複塩があげられる。
【0015】これらの触媒は、メチロールメラミンを含
む溶液中に0.01〜10重量%の濃度で用いられるの
がよい。また、有機質繊維に対する酸化チタン光触媒の
付着量は、0.01〜10g/m2 の範囲が好ましく、
0.05〜2g/m2 の範囲がさらに好ましい。酸化チ
タン光触媒の有機質繊維に対する付着量が少なすぎる
と、悪臭の分解速度が遅くなり、実用性に欠ける場合が
ある。量が多すぎる場合には、布帛の風合いが硬化して
しまうことがある。
【0016】さらに、酸化チタン光触媒とメラミン樹脂
との接着性を高めるために、シランカップリング剤を使
用してもよい。これにはエポキシ基を持つ3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランが特に有効である。次
に、本発明の消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布
帛の製造方法を以下に記す。
【0017】まず、メラミン樹脂およびアパタイト被覆
酸化チタン光触媒を水中に分散させる。この際、先に述
べたように、触媒を添加するとよい。また、アパタイト
被覆酸化チタン光触媒の沈降を防ぐために、スメクタイ
ト系などの無機系増粘剤を併用するのもよい。この分散
液を、グラビアコーター、スプレー法、パディング法な
どの手段により、有機質繊維を含む繊維布帛に付与する
ことができる。
【0018】次に、150℃程度の温度での乾熱処理、
飽和蒸気中での湿熱処理等の公知の方法で縮合反応させ
て、メラミン樹脂皮膜を形成する。特に好ましい縮合反
応方法としては、布帛内で偏りなく均一に繊維を被覆で
きる方法として、100℃の飽和水蒸気中での湿熱処
理、マイクロウェーブによる誘電加熱処理などの手法が
好ましい。
【0019】乾熱処理により架橋させた場合、メラミン
樹脂が熱によるマイグレーションを起こし、繊維の被覆
が不均一になったり、布帛内で樹脂が偏ってしまうこと
で、風合いの硬くなる傾向がある。このように、メラミ
ン樹脂を反応させた後、残留ホルマリンの減少のために
ハイドロサルファイトとソーダ灰などを添加した温水中
で還元洗浄し、その後乾燥処理し、さらに100〜18
0℃程度の温度で熱処理し、メラミン樹脂の縮合を促進
させることが望ましい。このような洗浄工程を行うこと
は、残留ホルマリンを減少させるのみならず、風合いを
柔軟化する効果がある。
【0020】上記の方法によれば、従来のアンダーコー
トなどを行った2段処理法と比べ、2段処理法で得られ
たもの以上に悪臭の発生等を抑えることができるだけで
なく、それと同等の消臭、抗菌および防汚性を持った布
帛を提供することができ、かつ、製造工程の簡略化がで
きることから、生産性も著しく向上する。また、好まし
い製造方法としては上記の製造方法があるが、生産性等
を考慮する必要がない場合は、上記の方法以外に、例え
ば、アンダーコート等を行った有機質繊維を含む布帛
に、アパタイト被覆酸化チタン光触媒をメラミン樹脂で
固定し、本発明の消臭、抗菌および防汚性を有する布帛
を得てもよい。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づきさらに説明す
る。なお、実施例中の紫外線強度の測定は、便宜的に、
ミノルタ製UV RADIOMETER UM−1(最
大吸収波長367nm)を用いて行った。なお、本発明
の効果を得るために使用される紫外線の波長は特に限定
されるものではない。
【0022】また、光触媒を付着させる処理液の組成を
全て重量%で示した。 実施例1 ポリエステルフィラメントからなるカーテン用のサテン
織物であって目付180g/m2 のものを高圧型染色機
を使用し、分散染料を用いて130℃でベージュ色に染
色し、有機質繊維を含む繊維布帛として使用した。
【0023】以下のメラミン樹脂バンダーを含むアパタ
イト被覆酸化チタン光触媒の水分散液を以下の割合で配
合した後、ホモミキサーで10分間攪拌した。 配合液 Sumitex Resin MC 1.0% (住友化学工業社製、ヘキサメチロールメラミン縮合物、固形分80%) リンゴ酸 0.5% アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 1.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) スメクタイトSWN 0.8% (コープケミカル社製、スメクタイト系増粘剤) 水 96.7% 上記布帛に上記の配合液を含浸させ、マングルロールで
ピックアップ60%に絞った後、100℃の飽和水蒸気
中で10分間処理した。これをハイドロサルファイトお
よびソーダ灰で還元洗浄した後、水洗し、120℃で乾
燥し、次いで170℃で30秒間加熱処理し、アパタイ
ト被覆酸化チタン光触媒がメラミン樹脂で固定された布
帛を得た。得られた布帛のメラミン樹脂の付着量は0.
5重量%であり、光触媒の付着量は0.6重量%であっ
た。
【0024】比較例1 実施例1で用いたのと同じ染色された布帛を用い、以下
のように2段処理法で酸化チタン光触媒を付着させた。 1段目配合液 コルコートN−103X 100.0% (コルコート社製、アルコール系酸化けい素ゾル溶液、 酸化けい素固形分10重量%) 上記布帛に上記の配合液を含浸させた後、マングルロー
ルでピックアップ60%に絞り、120℃で3分間乾燥
し、次いで170℃で30秒間熱処理した。
【0025】次に、2段目の処理液を次の配合で準備し
た。 2段目配合液 ST−K03 20% (石原産業社製、酸化チタン光触媒5%+酸化ケイ素5%水分散液) イソプロピルアルコール 30% 水 50% 1段目の処理が終わった布帛に上記の配合液を含浸させ
た後、マングルロールでピックアップ60%に絞り、1
20℃で3分間乾燥し、次いで170℃で30秒間熱処
理した。得られた布帛の光触媒の付着量は0.6重量%
であった。
【0026】 比較例2 配合液 TSL 1122 3.0% (東芝シリコーン社製、ポリシロキサン樹脂) アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 1.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) トルエン 96.0% 実施例1で用いたのと同じ染色された布帛を上記の配合
液に浸した後、マングルロールでピックアップ60%に
絞り、120℃で3分間乾燥し、次いで170℃で30
秒間熱処理した。得られた布帛の光触媒の付着量は0.
6重量%であった。
【0027】 比較例3 配合液 THV200P 1.0% (住友スリーエム社製、フッ素樹脂パウダー) アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 1.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) メチルエチルケトン 98.0% 実施例1と同じ染色された布帛を上記の配合液に浸した
後、マングルロールでピックアップ60%に絞り、12
0℃で3分間乾燥し、次いで170℃で30秒間熱処理
した。得られた布帛の光触媒の付着量は0.6重量%で
あった。
【0028】実施例1、比較例1、比較例2および比較
例3の酸化チタン光触媒を固定した各布帛を用いて、紫
外線照射した場合の臭気の発生程度について次のように
評価を行った。各布帛(10cm×10cm)をそれぞ
れ別の300mLの三角フラスコに入れ、密栓して、2
0Wの紫外線ランプの下30cmの距離で紫外線照射し
た。この時の布帛上の紫外線強度は、0.8mW/cm
2 であった。5時間照射した後、栓を開け、フラスコ内
の臭気を嗅覚により評価した結果を表1に示す。6段階
臭気強度表示法にて判定した。
【0029】
【表1】
【0030】6段階臭気強度表示法 0:無臭 1:やっと感知できるにおい 2:何のにおいであるかがわかる弱いにおい 3:楽に感知できるにおい 4:強いにおい 5:強烈なにおい 実施例1では気にならない程度の臭気しかないのに対し
て、比較例1では有機質繊維の酸化分解によると考えら
れる酸系の刺激臭が強く、また比較例2および比較例3
においてもそれぞれバンダー樹脂の分解によると思われ
る、楽に感知できる程の臭気が発生していた。
【0031】次に、タバコ臭気に対する消臭効果を調べ
るために、以下の実験を行った。実施例1で得られたア
パタイト被覆酸化チタン光触媒を固定した布帛を用い、
幅3.0m×丈1.8mのカーテンを作成して、8畳部
屋(幅3.6m×奥行3.6m×高さ2.7m)の南向
きの窓に吊した。対照布帛として、アパタイト被覆酸化
チタン光触媒を固定していない布帛を用いて同じ様にカ
ーテンを作成し、同じ条件の別の部屋に吊した。それぞ
れの部屋の中央で同時に10本のタバコを燃焼させた
後、小型扇風機で部屋内の空気を循環させながら、日
中、閉め切った状態にしておいた。5時間後、20人
(男10人、女10人)にそれぞれの室内の臭気の嗅覚
評価を行ってもらった結果を表2に示す。
【0032】このときの日光に当たっているカーテン面
上の紫外線強度は、0.5〜0.8mW/cm2 であっ
た。
【0033】
【表2】
【0034】実施例1で得られたアパタイト被覆酸化チ
タン光触媒を固定された繊維布帛からなるカーテンに
は、明らかなタバコ臭気に対する消臭効果が現れている
ことが分かる。 実施例2 ポリエステルスパンからなる平織物であって目付110
g/m2 のものを高圧型染色機を使用し、分散染料を用
いて130℃で蛍光ホワイト色に染色したものを有機質
繊維を含む布帛として使用した。
【0035】メラミン樹脂バインダーとアパタイト被覆
酸化チタン光触媒を含む下記の配合液を調製した。 配合液 Sumitex Resin MC 1.0% (住友化学工業社製、ヘキサメチロールメラミン縮合物、固形分80%) リンゴ酸 0.5% アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 2.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) スメクタイトSWN 0.8% (コープケミカル社製、スメクタイト系増粘剤) TSL8350 0.3% (東芝シリコーン製、エポキシ系シランカップリング剤) 水 95.4% 上記布帛を上記配合液に浸し、マングルロールでピック
アップ50%に絞った後、100℃の飽和蒸気中で10
分間スチーミングした。さらに、170℃で1分間キュ
アし、これをハイドロサルファイトおよびソーダ灰で還
元洗浄した後、水洗し、120℃で乾燥し、次いで17
0℃で30秒間加熱処理した。これにより、アパタイト
被覆酸化チタン光触媒がメラミン樹脂で固定された布帛
を得た。得られた布帛のメラミン樹脂の付着量は0.4
重量%であり、アパタイト被覆酸化チタン光触媒の付着
量は1.0重量%であった。得られた布帛のアセトアル
デヒドの分解効果を下記のようにして未加工の布帛と比
較した。
【0036】得られた布帛のアセトアルデヒド分解性を
下記の手順で評価した。10cm×10cmの大きさの
布帛を300mLの三角フラスコ中に入れ、アセトアル
デヒドをフラスコ内の濃度が70ppmになるように添
加し、密封した後、ブラックライトを用いて布帛上の紫
外線強度0.8mW/cm2 の紫外線を5時間照射し
た。比較のため、同じ試験を未加工布帛についても行っ
た。
【0037】その結果、表3に示すように本発明に従う
布帛は優れたアセトアルデヒド分解性を示した。
【0038】
【表3】
【0039】実施例3 ポリエステル100%からなるカノコであって目付15
0g/m2 のものを高圧型染色機を使用し、分散染料を
用いて130℃でグリーン色に染色し、試験のための有
機質繊維を含む布帛として使用した。メラミン樹脂バイ
ンダーとアパタイト被覆酸化チタン光触媒を含む配合液
を下記の割合で得た。
【0040】 配合液 ベッカミンPMN 1.0% (大日本インキ社製、トリメチロールメラミン縮合物、固形分80%) リンゴ酸 0.5% アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 3.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) スメクタイトSWN 1.0% (コープケミカル社製、スメクタイト系増粘剤) TSL8350 0.5% (東芝シリコーン社製、エポキシ系シランカップリング剤) 水 94.0% この配合液を40メッシュのグラビヤロールを使用し
て、付着量30g/m2で塗布した。120℃で3分間
乾燥した後、170℃で30秒間熱処理してメラミン樹
脂を反応させた。
【0041】この布帛をハイドロサルファイト2g/L
およびソーダ灰2g/Lの水溶液を用いて80℃で5分
間還元洗浄した。次いで、160℃でピンテンターを用
いて乾燥した。得られた布帛に対して、汗の不快臭の原
因物質の1つであるイソ吉草酸の消臭効果を調べるため
に、次の試験を行った。
【0042】実施例3で得られた布帛(10cm×10
cm)を300mLの三角フラスコに入れ、イソ吉草酸
を注入し、密栓して、20Wの紫外線ランプの下30c
mの距離で、酸化チタン光触媒を塗布した面に紫外線照
射した。対照布帛として、酸化チタン光触媒を固定して
いない布帛を用いて同じようにして照射した。この時の
布帛上の紫外線強度は、0.8mW/cm2 であった。
【0043】3時間照射後に、ガス検知管にてイソ吉草
酸の残留濃度を測定した結果を表4に示す。実施例3で
は、ガス検知管の検知限界以下となり、三角フラスコ内
の臭気の嗅覚評価でも対照布帛の激しい悪臭に対し、ほ
とんど臭気が感じられなかった。
【0044】
【表4】
【0045】また、実施例3で得られた布帛に対して、
抗菌性の試験を行った。繊維製品衛生加工協議会で定め
られた菌数測定法により、抗菌性の評価を行った。菌種
には黄色ブドウ球菌を使用し、培養時に20W蛍光灯の
30cm下で光をあてた状態で実施した。対照布帛とし
て、酸化チタン光触媒を固定していない布帛を用いて同
様に実施した。その結果を表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】実施例3で得られた布帛は、蛍光灯照射下
で優れた抗菌性を示すことが分かる。 実施例4 ポリエステル100%からなる目付200g/m2 のカ
ーテン用のサテン織物の表面に分散染料を使用してブル
ー色にプリントし、有機質繊維を含む布帛として用い
た。
【0048】メラミン樹脂のバインダーとアパタイト被
覆酸化チタン光触媒を含む下記の配合液を調製した。 配合液 Sumitex Resin MC 2.0% (住友化学工業社製、ヘキサメチロールメラミン縮合物、固形分80%) リンゴ酸 0.5% アパタイト被覆酸化チタン光触媒粉末 4.0% (昭和電工社製、粒子径35〜40nm) スメクタイトSWN 0.8% (コープケミカル社製、スメクタイト系増粘剤) TSL8350 0.5% (東芝シリコーン製、エポキシ系シランカップリング剤) 水 92.2% この配合液を上記布帛の裏側に、100メッシュのグラ
ビアロールを使用し、20g/m2 の量で塗布し、12
0℃で乾燥した。さらに、170℃で30秒間キュアリ
ングしてメラミン樹脂を反応させた。
【0049】この布帛をハイドロサルファイト2g/L
およびソーダ灰2g/Lの水溶液を用いて80℃で5分
間還元洗浄した。次いで、160℃でピンテンターを用
いて乾燥し、アパタイト被覆酸化チタン光触媒がメラミ
ン樹脂で固定化された布帛を得た。次に、実施例4で得
られた布帛に対して、タバコのヤニ汚れの分解除去試験
を行った。実施例4で得られた布帛と対照布帛として酸
化チタン光触媒を固定していない繊維布帛を容積2Lの
デシケーター中の側壁に対向して貼り付け、フタをした
状態で、デシケーターの中心でタバコを2本燃焼させ
て、ヤニをそれぞれに付着させた。1時間後に取り出
し、南向きの窓ガラスの内側に吊して、日光にあてた。
【0050】布帛上の紫外線強度0.5〜0.8mW/
cm2 の日射で、延べ1週間放置したところ、実施例4
の酸化チタン光触媒を固定した繊維布帛では、光触媒を
加工した面のヤニの汚染がなくなり、元のブルーに近い
状態まで回復し、不快な臭気もなくなっていた。これに
対して、酸化チタン光触媒を固定していない対照布帛で
は、黄ばみが残ったままで、不快な臭気もまだ残ってい
た。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、酸化チタン光触媒を有
機質繊維に固定するにあたり、従来の問題点であった有
機質繊維やバインダー樹脂の酸化チタン光触媒の酸化分
解力による劣化からの悪臭の発生を抑える方法を見いだ
したことにより、室内や人体の近くでの使用において、
不快な思いをせずに、かつ、酸化チタン光触媒の優れた
消臭、抗菌および防汚機能を有し、さらに酸化チタン光
触媒を付与する有機質繊維およびバインダーが酸化チタ
ン光触媒により劣化しないので、洗濯を含めた各種耐久
性を示す特性を有機質繊維を含む繊維布帛に付与するこ
とができ、これらの布帛はカーテンなどのインテリア、
衛生材料、衣料などに広く利用することができる。さら
に、従来消臭が困難であったタバコ臭、汗臭、腋臭など
の消臭が可能となり、布帛に付着したタバコのヤニなど
の着色物質を分解して防汚効果を与え、また大腸菌、黄
色ブドウ球菌などに対して殺菌能力があり、菌が人体代
謝物などを分解する時に発生する悪臭を抑制する効果を
持つ、有機質繊維を含む繊維布帛が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 六反園 俊作 石川県能美郡根上町浜町ヌ167番地 小松 精練株式会社内 Fターム(参考) 4J037 AA22 CB19 CB23 CC01 CC15 CC16 CC22 CC24 CC27 DD02 EE03 FF26 FF28 4L031 AA12 AB01 AB31 BA09 BA24 CA07 DA12 DA13 4L033 AA04 AB01 AB04 AC04 AC10 BA16 BA18 BA99 CA36 DA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機質繊維上にアパタイト被覆酸化チタ
    ン光触媒がメラミン樹脂で固定された有機質繊維を含む
    繊維布帛。
  2. 【請求項2】 アパタイト被覆酸化チタン光触媒の有機
    質繊維に対する付着量が0.01〜10g/m2 であ
    る、請求項1に記載の布帛。
  3. 【請求項3】 有機質繊維を含む繊維布帛にアパタイト
    被覆酸化チタン光触媒およびメラミン樹脂を含む処理液
    を付与することを含む繊維布帛の製造方法。
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