JP2002317379A - ウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

ウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物及びその製造方法

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JP2002317379A
JP2002317379A JP2001120868A JP2001120868A JP2002317379A JP 2002317379 A JP2002317379 A JP 2002317379A JP 2001120868 A JP2001120868 A JP 2001120868A JP 2001120868 A JP2001120868 A JP 2001120868A JP 2002317379 A JP2002317379 A JP 2002317379A
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Tomoki Nakamura
知基 中村
Shigeru Takahashi
茂 高橋
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な風合いを持ち、かつ繊維構造物を劣化
させることなく、悪臭物質を分解可能な消臭耐久性に優
れた消臭繊維構造物を提供すること。 【解決手段】 光触媒がバインダー樹脂により固着され
た繊維構造物において、該光触媒は、光触媒能を有する
物質の表面の一部が、光触媒能を有さない有機物及び/
又は無機物の針状物質で被覆されているウニ状複合光触
媒である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウニ状複合光触媒
を含んだ消臭繊維構造物及びその製造方法に関する。本
発明は、特に、衣料、カーテン、カーペット等のインテ
リア用途、及び衛生材料用途等として使用されるのに適
した、風合いが良好で、光触媒によって繊維構造物等を
劣化させることなく、悪臭物質を分解消臭可能で、消臭
効果が衰えない消臭耐久性に優れた光触媒を含んだ消臭
繊維構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】快適生活を目指した生活環境の多様化に
伴い、ニオイに対する人間の関心が非常に高まってい
る。従来、悪臭を繊維構造物で取り除くという目的の
下、特開平2−157040号公報の繊維状脱臭剤で
は、繊維形成能を有する熱可塑性高分子化合物と臭気を
吸着するための吸着剤とを主成分とする繊維原料を溶融
紡糸して繊維状に形成した繊維状脱臭剤が提案されてい
る。また、特開平2−269875号公報の脱臭布帛で
は、後加工において脱臭剤をポリウレタン系樹脂組成物
を介して付与するものが提案されている。さらに、特開
平7−216751号公報の消臭性を有するポリエステ
ル系繊維構造物及びその製造法では、水不溶性消臭剤が
ポリエステル系共重合樹脂を介してポリエステル系繊維
布帛の表面に付与せしめられるものが提案されている。
しかしながら、これらの消臭はいずれも、中和、又は吸
着作用によるものであり、限られた悪臭物質に対してし
か、その効力を現さない。また、これらの消臭素材は、
消臭剤自体が飽和に達すると、もはや消臭効果を示さな
い。
【0003】これに対して、光分解触媒能を有する酸化
チタン(以下、光触媒酸化チタンという。)を消臭剤と
して用いた場合には、悪臭物質を光エネルギーにより積
極的に分解するため、その消臭剤としての効力は半永久
的に衰えることはない。しかしながら、光触媒の活性の
高さゆえに、被担持物である繊維素材そのものを光触媒
の作用により劣化させてしまうという欠点がある。
【0004】特開平11−269760号公報の消臭性
繊維構造物では、光触媒表面をバインダー樹脂以外の有
機物及び/又は無機物で被覆する方法が提案され、繊維
素材の劣化は抑制される。しかし、この方法では、光触
媒が被覆されるので、光触媒としての性能が充分でなく
なる。また、光触媒に硬質な球状微粒子を使用している
ので、加工によって風合いが良好ではなくなるという問
題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決し、光触媒能を有する物質の表面に、光
触媒能を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒
を、バインダー樹脂を介して、繊維構造物に結合させる
ことによって、悪臭物質を分解可能で、消臭効果が衰え
ず、消臭耐久性に優れ、繊維構造物及びバインダー樹脂
を光触媒の作用によって劣化させることなく、良好な風
合いを有する、消臭繊維構造物及びその製造方法を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1)光触媒能を有する
物質の表面に光触媒能を有さない針状物質を有するウニ
状複合光触媒が、繊維構造物に結合している、ウニ状複
合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0007】(2)光触媒能を有する物質の表面に光触
媒能を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒が、
バインダーを介して、繊維構造物に結合している、ウニ
状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0008】(3)前記繊維構造物の0.001重量%
以上、10重量%以下の前記ウニ状複合光触媒が含まれ
ていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のウニ
状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0009】(4)前記ウニ状複合光触媒の、光触媒能
を有さない前記針状物質の扁平率は、2以上、40以下
であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記
載のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0010】(5)前記ウニ状複合光触媒は1個あた
り、光触媒能を有さない前記針状物質を4本以上有して
いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載
のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0011】(6)前記ウニ状複合光触媒の10%以
上、90%以下の表面が前記針状物質で覆われていない
ことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のウ
ニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0012】(7)前記ウニ状複合光触媒中の光触媒能
を有する前記物質は、酸化チタン及び/又はチタン酸ス
トロンチウムを含むことを特徴とする(1)〜(6)の
いずれかに記載のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構
造物。
【0013】(8)前記バインダーは、アクリル酸エス
テル樹脂及び/又はアクリル酸エステル樹脂のプレポリ
マーを含むことを特徴とする(2)〜(7)のいずれか
に記載のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
【0014】(9)光触媒能を有する物質の表面に光触
媒能を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒を、
バインダーを介して、浸漬法、パッドドライ法、スプレ
−法、コ−ティング法、及びラミネ−ト法の、いずれか
の方法で繊維構造物に結合させた、ウニ状複合光触媒を
含んだ消臭繊維構造物の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、風合いの悪化防止
には、ウニ状複合光触媒の微粒子、ウニ状複合光触媒と
繊維とを結合させるバインダー及び繊維とを最小限の面
積で接触させることが有効であることを発見した。ま
た、光触媒能を有する物質の周囲に光触媒能を有さない
物質を隙間を有して配置させることで、繊維構造物全体
の光触媒能の維持と繊維構造物等の劣化防止とを両立で
きることも知見した。これらの発見に基づき、光触媒能
を有する物質の周りに、針状の光触媒能を有さない物質
を隙間を空けて有させ、あたかもウニのような形状の複
合光触媒を得て、これを繊維構造物に結合させることに
より、風合が良好で、繊維構造物全体としての光触媒能
の維持と繊維構造物等の劣化防止が可能な、本発明に到
達した。
【0016】本発明は、光触媒が固着された繊維構造物
において、該光触媒が、光触媒能を有する物質の周囲
に、光触媒能を有さない針状物質を有するウニ状複合光
触媒であることを特徴とする、風合いの良好な消臭耐久
性の改善された繊維構造物である。
【0017】繊維構造物の繊維としては、例えば、木
綿、絹、麻、羊毛等の天然繊維、レーヨン、ベンベル
グ、アセテート等の半合成繊維及びポリエステル、ナイ
ロン、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレン等の合成
繊維並びにこれらの混用繊維等があり、特にポリエステ
ル繊維が好ましい。なお、繊維構造物とは、織物、不織
布、編物、レース、組物、フェルト、糸、綿等の繊維で
構成されるすべての物をいう。
【0018】ポリエステル繊維は、テレフタル酸を主た
るジカルボン酸成分とし、少なくとも1種のグリコ−
ル、好ましくは、エチレングリコ−ル、トリメチレング
リコ−ル、テトラメチレングリコ−ル等から選ばれた少
なくとも1種のアルキレングリコ−ルを主たるグリコ−
ル成分とするポリエステルからなる繊維である。ポリエ
ステル繊維を構成するポリエステルは、必要に応じて第
三成分が共重合及び/又はブレンドによって変性されて
いてもよい。
【0019】ポリエステル繊維には、必要に応じて、任
意の添加剤,例えば触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃
剤、酸化防止剤、無機微粒子等が含まれていてもよい。
【0020】ポリエステル繊維は、必要に応じて、綿、
羊毛等の天然繊維、レーヨン、アセテ─ト等の再生繊維
及びポリエステル以外の合成繊維との混紡品、交編品、
交織品等にして、使用されても構わない。
【0021】ポリエステル繊維は、アルカリ減量したポ
リエステル繊維であっても使用することができる。
【0022】ウニ状複合光触媒は、光触媒能を有さない
針状の物質が、光触媒能を有する物質の表面に隙間を持
って有された、あたかもウニのような形状の光触媒であ
る。ウニ状複合光触媒は、光触媒能を有する物質が、ほ
ぼ球状であり、その球の表面に光触媒能を有さない針状
物質を、針の先端が外側に向くように、放射状に有する
ものである。ウニ状複合光触媒は、光触媒能を有する物
質の表面での、針状物質で覆われていない、むき出しに
なって表面が覗いている部分で、悪臭物質と光触媒が反
応して、悪臭物質を分解する。
【0023】消臭繊維構造物中、繊維構造物に対するウ
ニ状複合光触媒の量は、本発明の効果が得られれば特に
限定されないが、0.001重量%以上、10重量%以
下が好ましい。特に、0.1重量%以上、5重量%以下
が好ましい。
【0024】ウニ状複合光触媒の大きさは、特に限定さ
れるものではないが、例えば、微粒子の集合体である二
次粒径の平均粒径が、0.1〜1μm程度、針状物質の
長さが、二次粒径の半分から2倍程度のものが、好まし
い。
【0025】光触媒能を有さない針状の物質の形状は、
その形状の扁平率が小さすぎると、バインダー及び繊維
構造物の光触媒による劣化抑制機能を充分に示さない。
扁平率とは、光触媒能を示さない針状物質を長方形に近
似したときの、長辺と短辺の比率をいう。一方、扁平率
が大きすぎると、針状物質の形状の維持が困難となる。
従って、扁平率は2〜40の範囲が好ましく、特に5〜
20程度の範囲が好ましい。
【0026】光触媒能を有する物質一個あたりに有す
る、光触媒能を有さない針状の物質の数は、少なすぎる
と、バインダー及び繊維構造物の光触媒による劣化抑制
効果が低くなる。一方、光触媒能を有さない針状の物質
が、光触媒能を有する物質の表面を覆ってしまうと、光
触媒による消臭性能が無くなる。従って、ウニ状複合光
触媒一個あたりに有する、光触媒能を有さない針状の物
質の数は、4本以上50本以下が好ましい。特に、ウニ
状複合光触媒一個あたりの針状物質の数は、4本以上3
0本以下が、より好ましい。
【0027】また、同様に、ウニ状複合光触媒におい
て、光触媒能を有する物質を光触媒能を有さない物質で
覆う面積が小さすぎると、バインダー及び繊維構造物の
光触媒による劣化抑制効果が低くなり、一方、覆う面積
が大きすぎると、光触媒による消臭性能が無くなる。従
って、ウニ状複合光触媒において、光触媒能を有する物
質の全表面積の10%以上、90%以下は、むき出しに
なって表面が覗いているのが好ましい。特に、20%以
上、70%以下の表面がむき出しになって覗いているの
が、より好ましい。
【0028】この光触媒能を有する物質が、ウニ状複合
光触媒の表面上、むき出しになって覗いている割合は、
光触媒能を有する物質と光触媒能を有さない針状物質が
異なった金属成分である場合は、例えばX線マイクロア
ナライザー(XMA)にて測定可能であり、同種の金属の
みで構成されている場合には電子分光法(ESCA)で定量
可能である。
【0029】複合光触媒中の光触媒能を有する物質は、
紫外線により顕著な光触媒機能を発現すれば、特に限定
されるものではないが、二酸化チタン、三酸化タングス
テン、酸化亜鉛、三二酸化鉄、チタン酸ストロンチウム
等の金属酸化物や、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化イ
ンジウム等の金属硫化物や、セレン酸カドミウム、セレ
ン化亜鉛等の金属セレン化物、リン化ゲルマニウム、リ
ン化インジウム等の金属リン化物等、並びに、これらの
光触媒に白金、ロジウム、ルテニウム、ニオブ、銅、鉄
等の金属及び金属酸化物を担持したもの等の公知のもの
をあげることができる。特に、触媒活性、安全性、価格
等の面から、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等が
好ましい。なお、光触媒能を有する物質は、繊維構造物
中に、1種単独で含有されていてもよいし、2種以上含
有されていてもよい。
【0030】複合光触媒中の触媒能を有さない針状物質
としては、光触媒能を有する物質の表面上に針状体を形
成でき、光触媒能を有さない物質であれば、有機物、無
機物ともに使用可能である。特に、安定性等の面から、
無機物が好ましく、さらに、無機酸化物、金属酸化物、
複合金属酸化物が、より好ましい。光触媒能を有さない
物質としては、例えば、アパタイトがある。
【0031】複合光触媒と繊維構造物を、接着、付着及
び貼合せ等によって結合させるバインダーには、特に制
限がなく、例えば樹脂であれば、アクリル酸エステル樹
脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹
脂、メラミン樹脂、ポリプロピレン樹脂、若しくはフッ
素樹脂、又はそのプレポリマー等の全ての樹脂が使用で
きるが、光触媒の固定安定性、風合い等の面から、アク
リル酸エステル樹脂、及びそのプレポリマーが特に好ま
しい。
【0032】バインダー樹脂としてのアクリル酸エステ
ル樹脂は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸
エステルを主たる構成モノマー単位とする重合体樹脂で
あれば、特に制限がなく、なかでも特にメタクリル酸エ
ステル樹脂が好ましい。アクリル酸エステル樹脂を構成
するモノマーの具体例としては、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸タ
ーシャリーブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタ
クリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリ
ル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸ベンジル等に代表される非官能性モノマータイ
プ、及び、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタク
リル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ターシャリ
ーブチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸テトラヒドロフルフリル等に代表される一官能
性モノマータイプ、及び、ジメタクリル酸エチレン、ジ
メタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ト
リエチレングリコール、メタクリル酸アリル、ジメタク
リル酸フタル酸ジエチレングリコール等に代表される多
官能モノマータイプ等がある。これらの非官能性モノマ
ーを一官能性モノマー又は多官能性モノマーと共重合す
ることは、接着性や反応性に優れたポリマーを得ること
ができるので、より好ましい。
【0033】また、洗濯耐久性を要求される分野で使用
される際には、バインダー樹脂は、耐久性の強化のため
に、メラミン樹脂を併用することが好ましい。
【0034】ウニ状複合光触媒を繊維構造物に、結合さ
せる加工方法については、特に限定されないが、浸漬
法、パッドドライ法、スプレー法、コーティング法、及
びラミネート法等、いずれの方法によっても行うことが
でき、繊維構造物の形態、樹脂、溶液の種類によって適
宜選択できる。浸漬法は、ウニ状複合光触媒及びバイン
ダー樹脂を含む加工液に繊維構造物を浸漬させ、その後
乾燥させて、ウニ状複合光触媒を含む機能剤を繊維構造
物に付着させる方法である。パッドドライ法は、浸漬法
の1種であって、パッド中で繊維構造物を浸漬させる方
法である。スプレー法は、繊維構造物に対し加工液を噴
霧する方法である。コーティング法は、高粘度加工液を
繊維構造物表面に塗布する方法である。ラミネート法
は、ウニ状複合光触媒を含む機能剤を含むフィルムを繊
維構造物と張り合わせる方法である。
【0035】例えば、浸漬法又はパッドドライ法であっ
て、繊維構造物に処理液を含ませるパディング処理で
は、まず、これらウニ状複合光触媒及びバインダー樹脂
若しくはそのプレポリマーを、ヘプタン、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、ミネラルターペン、イソプロピルアル
コール等の有機溶剤に溶解させるか、若しくは、有機溶
剤を使用せずに水中にそれらをディスパーション(分
散)させるか、又は、水中に、ウニ状複合光触媒をディ
スパーションさせ、適当な乳化剤、例えば高級アルコ─
ルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、
高級アルコ─ルポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪
酸ポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸ソルビタン
エステル等で、バインダー樹脂若しくはそのプレポリマ
ーを乳化させた、加工液を作製する。次に、この加工液
に繊維構造物を浸漬させた後、繊維構造物を乾燥させ、
繊維構造物の表面にバインダーを介してウニ状複合光触
媒を結合させる。
【0036】ウニ状複合光触媒をバインダー樹脂によっ
て繊維に結合させる加工は、原綿、糸、織編物、染色
物、最終製品等のいずれの段階でも行うことが可能であ
る。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお、%は、特に断らない限り、重量基準である。
【0038】複合光触媒の形態は、走査電子顕微鏡(SE
M)写真及びXMA分析によって、行った。針状物質の扁平
率は、SEM写真にて、針状物質を長方形に近似し、長辺
と短辺の比率として求め、平均した。また、その針状物
質の平均個数は、SEM写真では複合光触媒の片面が観測
されるので、SEM写真にて観測される複合光触媒一個あ
たりの針状物質数の平均を2倍して求めた。光触媒物質
の表面積中、光触媒能を示す物質が表面に現れて占めて
いる面積比率は、XMAにてTi(チタン)の定量分析(面
分析)を実施し、酸化チタン単独の場合の分析値を10
0%としたときの相対値を、光触媒能を示す物質が表面
に占める面積比率として算出した。
【0039】消臭性の評価は、臭気成分の初期濃度をア
セトアルデヒド50ppmに設定し、試料量2g/リッ
トル、総量3リットルを、揮発性物質の定量分析に使わ
れる透明な袋であるテドラーバック内に封入し、20W
の紫外線ランプを照射し(又は、未照射暗室)、2時間
後の容器中の臭気成分残存濃度を検知管にて測定した。
消臭率は、臭気成分残存濃度に基づいて、未照射暗室で
の臭気成分残存濃度に対して、分解されたアセトアルデ
ヒドの割合を求めた。
【0040】バインダーの劣化の評価は、空気、試料量
2g/リットル、総量3リットルをテドラーバック内に
封入し、有機樹脂バインダーの光分解生成物である二酸
化炭素を定量することで行った。空気中の二酸化炭素の
定常値は330ppmであり、実験後の二酸化炭素量が
多い程、バインダー若しくは繊維構造物が劣化している
ことを示す。
【0041】風合いの評価は、光触媒を繊維構造物に結
合させる加工の前後での、布帛の官能評価で実施し、加
工の前後で顕著な差がない場合を良好、差があって、加
工によって風合が悪化してしまった場合を不良とした。
【0042】[実施例1]バインダー樹脂としてのアク
リル酸エステル樹脂のテイサンレジンA−114(帝国
化学製)1重量%、及び、平均扁平率5で針状物質の平
均個数16の針状アパタイトが、表面の40%が覗いて
いる状態で光触媒酸化チタンに接合された、ウニ状複合
光触媒であるF4−APS(昭和電工製)2重量%を、
水中に分散させた溶液に、ポリエステル繊維100%の
衣料用裏地用基布(目付100g/m2)を浸け、繊維
構造物表面にバインダーを介して光触媒を結合させた。
次に、光触媒が結合した繊維構造物を、130℃で3分
間乾燥し、180℃で1分間熱処理した。
【0043】加工後の布帛の風合いは、加工前と顕著な
差がなく、良好な風合いを示した。
【0044】この布帛を用いて、紫外線ランプ照射下で
のアセトアルデヒドの消臭性及び二酸化炭素の生成量を
評価した。
【0045】[比較例1]実施例1のウニ状複合光触媒
(F4−APS(昭和電工製))の代わりに、通常の球
状光触媒である酸化チタンのST−01(石原産業製)
を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行い、風合
い、消臭性及び二酸化炭素の生成量を評価した。
【0046】[比較例2]実施例1のウニ状複合光触媒
(F4−APS(昭和電工製))の代わりに、通常の球
状光触媒である酸化チタンのST−01(石原産業製)
を、光触媒の5重量%の水ガラスで予め熱処理したもの
を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行い、風合
い、消臭性及び二酸化炭素の生成量を評価した。なお、
この水ガラスで予め熱処理されたものは、光触媒の表面
が覆われた複合光触媒ではあるが、実施例1とは異なり
球状であった。
【0047】[比較例3]実施例1と同様の布帛に、光
触媒を結合させる消臭加工を行わずに、消臭性及び二酸
化炭素の生成量を評価した(ブランク試験)。
【0048】結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1が示すように、本発明のウニ状複合光
触媒を含んだ消臭繊維構造物は、風合いが良好で、消臭
率が高く、バインダーを劣化させることがないことがわ
かる。
【0051】
【発明の効果】本発明は、光触媒能を有する物質の表面
に、光触媒能を有さない針状物質を有するウニ状複合光
触媒を、バインダー樹脂を介して、繊維構造物に結合さ
せることによって、悪臭物質を分解可能で、消臭効果が
衰えず、消臭耐久性に優れ、バインダー樹脂及び繊維構
造物を光触媒の作用によって劣化させることなく、良好
な風合いを有する、消臭繊維構造物を提供することが可
能である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒能を有する物質の表面に光触媒能
    を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒が、繊維
    構造物に結合している、ウニ状複合光触媒を含んだ消臭
    繊維構造物。
  2. 【請求項2】 光触媒能を有する物質の表面に光触媒能
    を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒が、バイ
    ンダーを介して、繊維構造物に結合している、ウニ状複
    合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  3. 【請求項3】 前記繊維構造物の0.001重量%以
    上、10重量%以下の前記ウニ状複合光触媒が含まれて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載のウニ状複
    合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  4. 【請求項4】 前記ウニ状複合光触媒の、光触媒能を有
    さない前記針状物質の扁平率は、2以上、40以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  5. 【請求項5】 前記ウニ状複合光触媒は1個あたり、光
    触媒能を有さない前記針状物質を4本以上有しているこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウ
    ニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  6. 【請求項6】 前記ウニ状複合光触媒の10%以上、9
    0%以下の表面が前記針状物質で覆われていないことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウニ状
    複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  7. 【請求項7】 前記ウニ状複合光触媒中の光触媒能を有
    する前記物質は、酸化チタン及び/又はチタン酸ストロ
    ンチウムを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造
    物。
  8. 【請求項8】 前記バインダーは、アクリル酸エステル
    樹脂及び/又はアクリル酸エステル樹脂のプレポリマー
    を含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に
    記載のウニ状複合光触媒を含んだ消臭繊維構造物。
  9. 【請求項9】 光触媒能を有する物質の表面に光触媒能
    を有さない針状物質を有するウニ状複合光触媒を、バイ
    ンダーを介して、浸漬法、パッドドライ法、スプレ−
    法、コ−ティング法、及びラミネ−ト法の、いずれかの
    方法で繊維構造物に結合させた、ウニ状複合光触媒を含
    んだ消臭繊維構造物の製造方法。
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