JP4096208B2 - アルカリ土壌用植物用鉄供給剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この植物に対して鉄を供給する組成物として鉄粉や転炉滓、水酸化鉄などの使用が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。更に、硫酸鉄及び硝酸鉄等の水溶性無機鉄塩を用いる方法、及びエチレンジアミン四酢酸(以下、単に「EDTA」という)によるEDTA鉄錯体を用いる方法等が知られている。
(1)アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(2)Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、該Fe 2+ イオンと該Fe 3+ イオンとの合計を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜99質量%であり、且つ、Fe 2+ イオン濃度を、水素イオン指数が7.0以上の領域で測定し、その後、該水溶液を120時間静置し、再びFe 2+ イオン濃度を測定した場合に、静置後の濃度が静置前の濃度の80%以上であり、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である上記(1)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(3)アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及び該FeO粉末が溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(4)上記除去は、120℃以下で行う上記(3)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(5)上記除去は、120℃以下で行い、
本アルカリ土壌用植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、該Fe 2+ イオンと該Fe 3+ イオンとの合計を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜99質量%であり、且つ、本アルカリ土壌用植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液のFe 2+ イオン濃度を、水素イオン指数が7.0以上の領域で測定し、その後、該水溶液を120時間静置し、再びFe 2+ イオン濃度を測定した場合に、静置後の濃度が静置前の濃度の80%以上であり、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である上記(3)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(6) 泥炭からなるマトリックスに、アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が含有された粒状体からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
(7)上記(1)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法であって、
アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
(8)上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却する上記(7)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
(9)上記(3)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法であって、
アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程と、
上記水溶液から水を除去する乾燥工程と、を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
(10)上記除去は、120℃以下で行う上記(9)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
(11)上記除去は、120℃以下で行い、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却する上記(9)に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
また、鉄成分がFeOであり、所定のFe2+イオン割合である場合は、特に高い確率で鉄分の供給ができる。
更に、鉄成分がFeOであり、pHが7.0以上の領域で測定し、その後、所定時間静置後のFe2+イオン濃度が測定開始直後の80%以上である場合は、特に高い抗酸化性を有し、長期的に安定してFe2+イオンを供給できる。
また、生分解性バインダを含有する場合は、Fe2+を長期間に亘って安定して徐々に供給する徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。
更に、生分解性増量剤を含有する場合は、Fe2+供給量を適当な範囲に簡便に保つことができ、汎用性に優れる。
更に、泥炭及び/又は粘土、アスコルビン酸及び鉄成分として含有されたFeOの合計を100質量%とした場合に、アスコルビン酸が1〜30質量%であり、FeOが1〜30質量%である場合は、より確実に徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。
また、水溶液から水を除去する乾燥工程を備える場合は、アスコルビン酸と鉄成分とが溶解されて得られた水溶液から水を除去してなる前記他の本発明のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤を安定して、確実に得ることができる。
造粒工程を備える更に他の本発明の製造方法によれば、泥炭及び/又は粘土をマトリックスとする徐放性を有するアルカリ土壌用植物用鉄供給剤を安定して、確実に得ることができる。
また、泥炭及び/又は粘土、アスコルビン酸粉末及び鉄成分粉末として配合されたFeO粉末の合計を100質量%とした場合に、アスコルビン酸粉末が1〜30質量%であり、FeO粉末が1〜30質量%である場合は、より確実に徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。
更に、本発明の製造方法、他の本発明の製造方法及び更に他の本発明の製造方法において、鉄成分粉末がFeO粉末であり、このFeO粉末が造粒品を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末である場合は、特に抗酸化性の高いFeOを含有する植物用鉄供給剤を確実に安定して得ることができる。
[1]アルカリ土壌用植物用鉄供給剤
アルカリ土壌用植物用鉄供給剤は、アスコルビン酸と、鉄成分と、が溶解されて得られた水溶液からなるものとすることができる。
また、アルカリ土壌用植物用鉄供給剤は、アスコルビン酸と、鉄成分と、が溶解されて得られた水溶液から水を除去してなるものとすることができる。即ち、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤から水を除去して得ることができる。
更にアルカリ土壌用植物用鉄供給剤は、泥炭及び/又は粘土からなるマトリックスに、アスコルビン酸及び鉄成分が含有された粒状体からなるものとすることができる。
そして、本発明のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(以下、単に「本植物用鉄供給剤」という。)は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。
他の本発明のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(以下、単に「本他の植物用鉄供給剤」という。)は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及び該FeO粉末が溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。即ち、本他の植物用鉄供給剤は、上記本植物用鉄供給剤から水を除去して得られる。
更に他の本発明のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(以下、単に「本更に他の植物用鉄供給剤」という。)は、泥炭からなるマトリックスに、アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が含有された粒状体からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。
上記「アスコルビン酸」は、ヒドロキシル基を有する有機酸である。このアスコルビン酸は刺激臭がなく、また、アスコルビン酸と鉄成分とを含有する水溶液を調製した場合に、アスコルビン酸濃度に対するFe2+イオン濃度を高くすることができる。
また、アスコルビン酸及びFeOの水溶液中における溶解状態は特に限定されない。即ち、例えば、この水溶液にはアスコルビン酸鉄錯体及びアスコルビン酸イオン等を含有できる。これらのなかでも特にアスコルビン酸鉄錯体が含有されることが好ましい。
本植物用鉄供給剤の性質については後述する。
本他の植物用鉄供給剤は、上記水溶液から水を除去して得られる。
上記「除去」は、水溶液から水の一部又は全部を除去する作業を意味するが、通常、本他の植物用鉄供給剤全体に対する水分量は90質量%以下である。特に固形物では水分量は10質量%以下(好ましくは5質量%以下)であり、ペースト状物では水分量は60〜90質量%(好ましくは65〜85質量%)である。本他の植物用鉄供給剤は、水溶液から実質的に全部の水が除去された固形物であってもよく、水溶液から一部の水が除去されたペースト状物であってもよいが、これらのうちでは固形物が好ましい。
また、この水の除去方法は特に限定されず、減圧加熱乾燥、常圧加熱乾燥、非加熱減圧乾燥、及び凍結乾燥等の手段を用いることができる。これらのなかでは、減圧加熱乾燥が好ましい。この水を除去する過程でFe2+が酸化されることを抑制できるからである。また、減圧乾燥以外にも、低酸素分圧下における乾燥でもよい。
この本他の植物用鉄供給剤におけるアスコルビン酸、水溶液、水及び防黴のための処理等については、前記本植物用鉄供給剤における各々の記載をそのまま適用できる。
本植物用鉄供給剤及び本他の植物用鉄供給剤を水溶させた水溶液には、それぞれFe2+イオンとFe3+イオンとが含有され、特に鉄成分がFeOである場合、Fe2+イオンとFe3+イオンとの合計を100質量%とした場合に、Fe2+イオンが50〜99質量%(更には60〜90質量%、特に70〜90質量%)含有される。即ち、Fe3+イオンは1〜50質量%(更には10〜40質量%、特に10〜30質量%)含有される。即ち、高濃度にFe2+を含有する水溶液を得ることができる。但し、このFe2+イオン濃度は、後述する実施例の測定方法により測定された値である。また、Fe3+イオン濃度は、鉄供給剤を濃度10g/リットル(約1.0質量%)となるように温度20℃のイオン交換水に撹拌混合して溶解させ(およそ5分間撹拌)、その後、メンブランフィルター(孔径1μm)を用いて濾過し、濾過後、直ちに紫外・可視光分光光度計(株式会社島津製作所製、形式「UV1240」)に水質測定パックを装着して、水溶液に含有されるFe2+イオン量及び総Feイオン量を測定し、この総Feイオン量からFe2+イオン量を差し引いて算出した。
この生分解性バインダとしては、生分解性プラスチックを用いることができる。生分解性プラスチックとしてはポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この生分解性バインダの含有量は特に限定されないが、本植物用鉄供給剤及び本他の植物用鉄供給剤全体を100質量%とした場合に10質量%以下(より好ましくは2〜7質量%、通常1質量%以上)とすることが好ましい。
この生分解性増量剤の含有量は特に限定されないが、本植物用鉄供給剤及び本他の植物用鉄供給剤全体を100質量%とした場合に50〜94質量%(好ましくは70〜94質量%)とすることができる。この範囲であれば、多量の土に対して微量の植物用鉄供給剤を混合した場合にも、適切な量を混合することができる。
生分解性増量剤をマトリックスとする植物用鉄供給剤には、生分解性増量剤のうちでも特に泥炭及び/又は粘土が含有できる。これらの生分解性増量剤は撥水性であり、植物用鉄供給剤をアルカリ土壌において用いたときに、周囲からのpHの高い水溶液等の植物用鉄供給剤への侵入が抑制され、pHが低く保たれるため、FeOの溶解性の低下が抑えられ、且つFe2+イオンの酸化もより抑制される。そのため、長期に亘って安定してFe2+イオンを供給することができる。即ち、植物用鉄供給剤により優れた徐放性を付与できる。
(1)本発明のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法
本発明の製造方法は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水と、を含有する混合物を加熱して、アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備える。
上記「水」は、前述のごとくどのような水も用いることができる。
この加熱により、アスコルビン酸がより多く水に溶解され、これに従いFeOの溶解量も増え、目的とするFe2+イオン又はFe2+イオン錯体の濃度が高くなるものと考えられる。
生分解性増量剤をマトリックスとする植物用鉄供給剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、撥水性を有する生分解性増量剤(通常、粉体又は粒体である。)である泥炭及び/又は粘土と、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末とを混合し、造粒して得ることができる。
混合の方法は特に限定されず、モルタルミキサ及びオムニミキサ等を用いたドライブレンドでもよく、ニーダー及びウェットパン等により混合してもよい。更に、造粒の方法も特に限定されないが、通常、押出成形法により造粒される。また、押出成形により混合と造粒とを連続して行えば、工程が簡略化でき好ましい。このドライブレンド及び押出成形等の温度は特に限定されず、室温(例えば、15〜35℃)でもよく、必要に応じて40〜90℃程度に加熱してもよい。
アスコルビン酸粉末及びFeO粉末については、上記(1)本発明の植物用鉄供給剤の製造方法における各々の記載をそのまま適用できる。但し、泥炭及び/又は粘土、アスコルビン酸粉末及びFeO粉末の合計を100質量%とした場合に、アスコルビン酸粉末は1〜30質量%、FeO粉末は1〜30質量%配合される。
本更に他の植物用鉄供給剤は、泥炭及び/又は粘土と、前記本他の植物用鉄供給剤とを混合し、造粒して得ることもできる。このときの混合及び造粒は上記と同様にして行うことができる。
また、前記本他の植物用鉄供給剤を用いる場合、泥炭及び/又は粘土と、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末との質量割合は上記と同様であり、この質量割合は、本他の植物用鉄供給剤を製造する際に用いるアスコルビン酸粉末及びFeO粉末の各々の質量割合、並びに泥炭及び/又は粘土と、本他の植物用鉄供給剤との質量割合によって調整することができる。
本発明の製造方法及び他の本発明の製造方法で、鉄成分粉末として特にFeO粉末を用いる場合、このFeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又はこのダストと還元剤とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であることが好ましい。
更に、このFeO粉末を構成する粒子の粒子径は特に限定されないが、例えば、粒径が5000μm以下であり、多種の粒径の粉末が混在したFeO粉末であればよい。更には、多孔性の粒子が含まれていてもよい。
鉄分を含有するダストの形状は特に限定されず、小片又は粉体と小片との混合物等であってもよいが、通常、粉体である。この粉体の平均粒径は特に限定されないが3〜10μmが好ましい。
造粒品を構成する粒子の形状は特に限定されず、球体、楕円体、半球体、立方体、直方体、円柱体及びブリケット等のいずれでもよい。更に、造粒品は緻密体でもよく、多孔質体であってもよい。またその粒径(球形であるときは直径、その他の形状であるときは最短寸法)は25mm以下(より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下、通常3mm以上)が好ましい。
還元剤の形状は特に限定されないが、ダストとの接触面積が大きいことが好ましいため粉末、顆粒及び小片等が好ましく、特に粉末が好ましい。更に平均粒径は200μm以下(好ましくは180μm以下)が好ましい。
造粒品中の還元剤の含有量は特に限定されないが、ダストを100質量部とした場合に100質量部以下(より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、通常30質量部以上)が好ましい。
また、加熱時間は特に限定されないが30分以上(より好ましくは30分以上、且つ6時間以内)が好ましい。
尚、ダストに酸化亜鉛等が含有される場合は、還元されて金属亜鉛となり、600℃以上、且つ1.56kPa程度の真空下で蒸発して回収できる。これによりFeOの純度を更に向上させることができる。
[1]FeO粉末の製造
Fe80質量%(以下、%と略記する。)、Zn0.02%、Ca0.01%、Mn0.06%及びSi0.06%等が含有され、平均粒径が100μmの鍛造ショット集塵粉82%と、平均粒径が75μmの鉄粉10%と、アルミナセメント5%と、ベントナイト3%とを用いて直径8mm且つ長さ約20mmの円柱形に造粒した。得られた造粒品を真空加熱槽(ローラーハース炉)により800℃で30分間、次いで850℃で30分間、その後、900℃で1時間、各々真空加熱した。
次いで、真空急冷槽で降温速度20℃/分で400℃まで真空急冷し、更に、真空冷却槽内の雰囲気を窒素置換して、更に降温速度13℃/分で200℃まで冷却し、その後、室温にまで降温させてFeO粉末を得た。
このFeO粉末に含有されるFeOを、試薬FeO粉末とシリコン粉末とを所定割合で混合してなる混合粉末を用いてX線回折法により予め作成した検量線により定量したところ、含有量は90質量%であった。
実験例1〜3
(1)アスコルビン酸鉄水溶液のpHとFe2+イオン濃度の相関
500ミリリットルの蒸留水に2.5gのアスコルビン酸を溶解させ、アスコルビン酸水溶液を作製した。その後、この水溶液に上記[1]で製造したFeO粉末を1.0g投入し、30分間攪拌し、次いで、濾過し、挟雑物を除いた。その後、濾過後の水溶液から20ミリリットルづつ分取し、それぞれ5個の容器に投入し、これらのうちの4個の容器中の水溶液のpHを水酸化ナトリウム水溶液により、各々7.0、8.0及び9.0に調整した。尚、pH調整をしていないアスコルビン酸水溶液のpHは3.4であった。
実験例4〜6
上記(1)における初期pHの異なる3種類の水溶液について、各々120時間経過後、低下したpHを水酸化ナトリウム水溶液により初期pHに近似の値となるように調整し、それぞれのFe2+イオン濃度を測定した。また、pH調整した各々の水溶液のpHが24時間には再び低下したため、水酸化ナトリウム水溶液により再度pHを初期pHに近似の値に調整し、それぞれのFe2+イオン濃度を測定した。このpH調整とそれぞれのFe2+イオン濃度の測定とを3回繰り返した。結果を表2に記載する。
実験例7
(1)アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)
10%のアスコルビン酸(純度99.8%以上)と、7.5%の上記[1]で製造したFeO粉末と、82.5%の泥炭加工土壌改良剤(日本肥糧社製、商品名「くみあいハイフミン特号A」)とを混合し、押出成形により造粒し、粒径3〜6mmの略球体のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)を製造した。
(A)イネの生育
5個の栽培用ポットの各々に、下記の育苗用培土を投入し、シャーレを用いて発芽させたイネ(品種;日本晴れ)の苗を発芽から3日後に植え付け、人工気象器を用いて生育させ、上記の植物成長促進剤(A)の成長促進の作用、効果を評価した。
育苗用培土(a);約70質量%のCaCO3を含有する貝化石土壌100質量部(以下、部と略記する。)に、肥料(チッソ旭肥料社製、商品名「ロングトータル70」)1部を配合した。
育苗用培土(b);上記貝化石土壌100部に、上記肥料1部と上記植物用鉄供給剤(A)0.1部とを配合した。
育苗用培土(c);上記貝化石土壌100部に、上記肥料1部と上記植物用鉄供給剤(A)1部とを配合した。
人工気象器(日本医科器械製作所製、型式「LH−100S」)は、日照を14時間(照度は1500ルクス、温度は25℃)、夜間を10時間(温度は20℃)に調整して運転した。また、水は蒸発分の補充のみとした。即ち、アルカリ土壌における陸稲の生育を模した運転条件とした。
図1は、上記(A)のイネの生育における各々の苗の生育状況を発芽して10日後にデジタル撮影して得られた画像による説明図である[図1における(a)、(b)及び(c)は、それぞれ上記育苗用培土(a)、(b)及び(c)を用いた場合の結果を表している。]である。この説明図によれば、アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)を用いた(b)の場合は、配合量が0.1部と少量であるにもかかわらず、肥料のみが配合された(a)と比べて苗の背が高く、順調に成長していることが分かる。また、アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)の配合量が1部である(c)では、(b)と比べてより苗の背が高く、特に順調に成長していることが分かる。
尚、各々の苗の色調にも明らかに差があり、(a)から(b)、特に(c)の順に苗の緑色がより強かった。これによって葉緑素量がより多いことが推察される。
実験例8〜16
(1)アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(B)
上記[3]、(1)で製造したアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)を目開き1.0mmの篩を通過させ、粒径1.0mm以下のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(B)を得た。
(2)アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(C)
アスコルビン酸(純度99.8%)800gと水2リットルとをステンレス鋼製ビーカーに投入し、室温(20℃)で攪拌し、アスコルビン酸を水に溶解させた。その後、上記[1]で製造したFeO粉末を100g投入し、更に30分間攪拌を継続した。次いで、このFeO粉末分散液を濾紙を用いて濾過し、濾液を90℃に調温された乾燥機により72時間乾燥させた。その後、得られたペースト状物を室温まで冷却して塊状物とし、これを乳鉢で十分に粉砕し、次いで、目開き1.0mmの篩を通過させ、粒径1.0mm以下のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤(C)を製造した。
(A)イネの生育
栽培用ポットの各々に、下記の育苗用培土を投入し、シャーレを用いて催芽させたイネ(品種;日本晴れ)の籾を1ポット当たり20粒づつ直播きした。籾は表面から約0.5cmの深さの培土中に埋め込んだ。その後、人工気象器を用いて生育させ、前記の植物用鉄供給剤(A)及び上記の植物用鉄供給剤(B)及び(C)の成長促進の作用、効果を評価した。
実験例9;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、前記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)(表1では種類の欄にA、性状の欄に粒体と表記する。以下、同様である。)0.1gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例10;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(B)(表1では種類の欄にB、性状の欄に粉体と表記する。以下、同様である。)0.1gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例11;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、前記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)1.0gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例12;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(B)1.0gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例13;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、前記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(A)2.0gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例14;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(B)2.0gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例15;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(C)(表1では種類の欄にC、性状の欄に粉体と表記する。以下、同様である。)0.1gとを配合し、育苗用培土とした。
実験例16;上記ポット中の貝化石土壌に、上記肥料1gと、上記アルカリ土壌用植物用鉄供給剤(C)1.0gとを配合し、育苗用培土とした。
結果を表3及び図2〜11に記載する。
尚、苗の草丈とSPAD値については、各々のポットのそれぞれ20本の苗の平均値と標準偏差とを記載した。
実験例9、10によれば、実験例10のSPAD値を除いて、植物用鉄供給剤が投与されていない実験例8に比べて良好な結果となっている(図2、3、7及び8参照)。また、この実験例9、10では、実験例11〜14に比べて生育促進が十分ではなく、更に多くの植物用鉄供給剤の投与が望ましいことが分かる。
尚、実験例15では、SPAD値は低いものの、草丈、地上部乾物重及び根部乾物重は十分であり、優れている。これは、実験例15では投与量が実験例16の1/10であるにもかかわらず、根の生育は実験例16と同等であることを意味している。即ち、鉄は根部の生育に優先的に利用され、その後、地上部の生育に利用されるのではないかと推察される。
上記のアスコルビン酸粉末及びFeO粉末については、前記の記載をそのまま適用することができる。また、上記のように少量の水を用いて得られた固形物又はペースト状物における水分量は、本他の植物用鉄供給剤と同程度とすることができる。更に、水の除去方法も本他の植物用鉄供給剤のときと同様とすることができ、減圧加熱乾燥が好ましい。また、水を除去する際に加熱する場合の温度、及び水を除去する際に減圧にする場合の圧力も、本他の植物用鉄供給剤のときと同様とすることができる。
Claims (11)
- アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。 - Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、該Fe 2+ イオンと該Fe 3+ イオンとの合計を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜99質量%であり、且つ、Fe 2+ イオン濃度を、水素イオン指数が7.0以上の領域で測定し、その後、該水溶液を120時間静置し、再びFe 2+ イオン濃度を測定した場合に、静置後の濃度が静置前の濃度の80%以上であり、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である請求項1に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。 - アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及び該FeO粉末が溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。 - 上記除去は、120℃以下で行う請求項3に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。
- 上記除去は、120℃以下で行い、
本アルカリ土壌用植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、Fe2+イオンとFe3+イオンとを含有し、該Fe2+イオンと該Fe3+イオンとの合計を100質量%とした場合に、該Fe2+イオンが50〜99質量%であり、且つ、本アルカリ土壌用植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液のFe2+イオン濃度を、水素イオン指数が7.0以上の領域で測定し、その後、該水溶液を120時間静置し、再びFe2+イオン濃度を測定した場合に、静置後の濃度が静置前の濃度の80%以上であり、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である請求項3に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。 - 泥炭からなるマトリックスに、アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が含有された粒状体からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤。 - 請求項1に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法であって、
アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。 - 上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却する請求項7に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。 - 請求項3に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法であって、
アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該アスコルビン酸粉末及びFeO粉末が溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程と、
上記水溶液から水を除去する乾燥工程と、を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、
上記FeO粉末は、CaAl 2 O 4 、FeAl 2 O 4 、CaFe 2 Si 2 O 6 、CaSi 2 O 5 及びMgFe 2 O 4 のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とするアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。 - 上記除去は、120℃以下で行う請求項9に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
- 上記除去は、120℃以下で行い、
上記混合物は、アスコルビン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却する請求項9に記載のアルカリ土壌用植物用鉄供給剤の製造方法。
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