JP4096207B2 - 植物用鉄供給剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は植物用鉄供給剤及びその製造方法に関する。更に詳しくは、水溶液状態で高いFe2+イオン濃度を有し、Fe2+イオンの酸化が抑制された植物用鉄供給剤及びその製造方法に関する。
鉄は植物にとって微量必須元素であり、欠乏すると、葉の黄白化及び蛋白質の合成反応が損なわれる等の特有の症状を生じることが知られている。また、鉄はイオン化された状態で取り込まれる。しかし、Feイオンのうち、Fe3+イオンは、これを供給しても植物に対して満足な効用が得られ難いことが知られている。このため、従来より、鉄をFe2+イオンとして供給する工夫がなされている。しかし、Fe2+イオンは酸化さてFe3+になり易く、Fe2+イオンを長期にわたって安定して供給できることが望まれている。
この植物に対して鉄を供給する組成物として鉄粉や転炉滓、水酸化鉄などの使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。更に、硫酸鉄及び硝酸鉄等の水溶性無機鉄塩を用いる方法、及びエチレンジアミン四酢酸(以下、単に「EDTA」という)によるEDTA鉄錯体を用いる方法等が知られている。
特開平8−277183号公報
しかし、特許文献1に記載の鉄含有組成物から溶出される鉄分は大部分がFe3+となり、植物が取り込むことは困難であると考えられる。また、上記水溶性無機鉄塩は、Fe2+の状態を保持し難く、Fe3+へと酸化され易い。更に、従来と同様に塩類の蓄積を引き起こすという問題もある。即ち、各種肥料として水溶性無機金属塩類がこれまで長く使用されており、これら水溶性金属塩を構成した強酸陰イオンが土壌中の他の元素と結合して水不溶性の塩を形成して土壌に蓄積することが問題となっている。水溶性無機鉄塩ではこの問題を解消することができない。更に、EDTA鉄錯体として使用されているのは実質上3価鉄である。また、EDTAは強いキレート化剤であり、土壌中の重金属を固定し土壌汚染を引き起こすこと、地下水に溶け込んで水汚染を引き起こすこと等が危惧されている。
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、水溶液状態で高いFe2+イオン濃度を有し、Fe2+イオンの酸化が抑制された植物用鉄供給剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鉄に対するキレート力を有する有機酸に注目し、有機酸鉄について検討を行った。その結果、例えば、従来から知られている金属鉄とクエン酸水溶液とを煮沸して得られるクエン酸第1鉄であり、Fe(OH)とクエン酸水溶液とを反応させて得られるクエン酸第2鉄のうちクエン酸第1鉄(Fe2+)は水溶性に乏しくFe2+を十分に供給するには至らず、クエン酸第2鉄(Fe3+)は水溶性は十分に得られるが全Feイオンの1/4程度しかFe2+イオンが含まれず、Fe2+イオン量が不十分であることが分かった。更に、クエン酸鉄アンモニウム等のようなイオン結合性の強い化合物はFe2+イオンの酸化抑制効果が十分に得られ難かった。
これに対して、クエン酸粉末とFeO粉末と水とを煮詰めて得られる固形物やペースト状物、及びこれらを精製して得られた水溶液を乾固して得られる固形物等は、各々水溶させた際に特異的に高いFe2+イオン濃度を示し、尚かつFe2+イオンは酸化され難いことを知見した。本発明はこの知見に基づき完成された。
本発明は以下に示す通りである。
(1)クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜90質量%であることを特徴とする植物用鉄供給剤(以下、「第1発明の植物用鉄供給剤」という)。
(2)168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe 2+ イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe 2+ イオン濃度の75%以上である上記(1)に記載の植物用鉄供給剤。
(3)1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有する上記(2)に記載の植物用鉄供給剤。
(4)168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe 2+ イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe 2+ イオン濃度の75%以上であり、
1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有し、
上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である上記(1)に記載の植物用鉄供給剤。
(5)クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
本植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜90質量%であることを特徴とする植物用鉄供給剤(以下、「第2発明の植物用鉄供給剤」という)。
(6)本植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe 2+ イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe 2+ イオン濃度の75%以上であり、
1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有し、
上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である上記(5)に記載の植物用鉄供給剤。
(7)クエン酸粉末とFeO粉末と泥炭とを含有し、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤(以下、「第3発明の植物用鉄供給剤」という)
(8)上記(1)に記載の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤の製造方法(以下、「第4発明の植物用鉄供給剤の製造方法」という)
(9)上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却するものである上記(8)に記載の植物用鉄供給剤の製造方法。
(10)上記(5)に記載の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程と、
上記水溶液から水を除去する乾燥工程と、を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤の製造方法(以下、「第5発明の植物用鉄供給剤の製造方法」という)
(11)上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却するものである上記(10)に記載の植物用鉄供給剤の製造方法。
第1発明の植物用鉄供給剤によれば、高いFe2+イオン濃度が得られる。即ち、例えば、土壌中で水溶された場合にも高いFe2+イオン濃度を得ることができ、高い確率で鉄分の供給ができる。更に、得られるFe2+イオンは効果的に酸化が抑制されるため、高い確率で鉄分の供給ができる。また、有機酸(特にクエン酸)を使用しているために、環境負荷がなく、使用上安全である。更に、発芽促進効果及び成長促進効果が得られる。
生分解性バインダを含有する場合は、Fe2+を長期間にわたって安定して徐々に供給する徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。更に、鉄供給剤以外の他の成分を同時に含有した固形物とすることができる。
生分解性増量剤を含有する場合は、Fe2+供給量を適当な範囲に簡便に保つことができ、汎用性に優れる。
鉄供給剤を5質量%以上含有する場合は、特に確実にFe2+供給効果を得ることができる。
第2発明の植物用鉄供給剤によれば、高いFe2+イオン濃度が得られる。即ち、例えば、土壌中で水溶された場合にも高いFe2+イオン濃度を得ることができ、高い確率で鉄分の供給ができる。更に、得られるFe2+イオンは効果的に酸化が抑制されるため、高い確率で鉄分の供給ができる。また、有機酸(特にクエン酸)を使用しているために、環境負荷がなく、使用上安全である。更に、発芽促進効果及び成長促進効果が得られる。
生分解性バインダを含有する場合は、Fe2+を長期間にわたって安定して徐々に供給する徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。更に、鉄供給剤以外の他の成分を同時に含有した固形物とすることができる。
生分解性増量剤を含有する場合は、Fe2+供給量を適当な範囲に簡便に保つことができ、汎用性に優れる。
鉄供給剤を5質量%以上含有する場合は、特に確実にFe2+供給効果を得ることができる。
クエン酸を含有し、生分解性増量剤として泥炭を含有し、生分解性増量剤からなるマトリックスにクエン酸及びFeOが含有されてなり、アルカリ土壌において用いられる場合は、Fe2+がFe3+へと酸化されることが抑制されて、アルカリ土壌においても高い確率で鉄分の供給ができる。
第3発明の植物用鉄供給剤によれば、高いFe2+イオン濃度が得られる。即ち、例えば、土壌中で水溶された場合にも高いFe2+イオン濃度を得ることができ、高い確率で鉄分の供給ができる。更に、得られるFe2+イオンは効果的に酸化が抑制されるため、高い確率で鉄分の供給ができる。また、有機酸(特にクエン酸)を使用しているために、環境負荷がなく、使用上安全である。更に、発芽促進効果及び成長促進効果が得られる。
生分解性バインダを含有する場合は、Fe2+を長期間にわたって安定して徐々に供給する徐放性を有する植物用鉄供給剤とすることができる。更に、鉄供給剤以外の他の成分を同時に含有した固形物とすることができる。
生分解性増量剤を含有する場合は、Fe2+供給量を適当な範囲に簡便に保つことができ、汎用性に優れる。
鉄供給剤を5質量%以上含有する場合は、特に確実にFe2+供給効果を得ることができる。
クエン酸を含有し、生分解性増量剤として泥炭を含有し、生分解性増量剤からなるマトリックスにクエン酸及びFeOが含有されてなり、アルカリ土壌において用いられる場合は、Fe2+がFe3+へと酸化されることが抑制されて、アルカリ土壌においても高い確率で鉄分の供給ができる。
実験例1−1〜1−4の鉄供給剤を溶解した水溶液を放置した経過時間とFe2+イオン濃度のとの相関を示すグラフである。 実験例5及び6の鉄供給剤を溶解した水溶液に対して酸化加速試験を行った際の経過時間とFe2+イオン濃度との相関を示すグラフである。 質量分析によるチャートであり、このうち上段が実験例7の鉄供給剤を溶解した水溶液であり、中段がクエン酸鉄(III)であり、下段が無水クエン酸である。 図3の上段の実験例7の鉄供給剤のチャートにおける質量439のピークについて、更にArガスを衝突させて得られたチャートである。 本発明品(実験例8)を灌水した早咲コスモスの説明図である。 本発明品(実験例8)を灌水した早咲コスモスの説明図である。 参考品(参考例1)を灌水した早咲コスモスの説明図である。 参考品(参考例1)を灌水した早咲コスモスの説明図である。 本発明品(実験例8)を灌水したバナナピーマンの説明図である。 参考品(参考例1)を灌水したバナナピーマンの説明図である。 本発明品(実験例8)を灌水したスプレー菊の説明図である。 参考品(参考例1)を灌水したスプレー菊の説明図である。 本発明品(実験例8)を灌水した終日咲松葉ボタンの説明図である。 参考品(参考例1)を灌水した終日咲松葉ボタンの説明図である。 本発明品(実験例9及び10)の植物用鉄供給剤を含む育苗用培土で育てたイネ苗と、これを含まない育苗用培土(参考例2)で育てたイネ苗との育成の様子を比較した説明図である。 本発明品(実験例9−1及び9−2)の植物用鉄供給剤を含む育苗用培土で育てたイネ苗と、これを含まない育苗用培土(参考例2)で育てたイネ苗との育成の様子を比較した説明図である。 本発明品(実験例10−1及び10−2)の植物用鉄供給剤を含む育苗用培土で育てたイネ苗と、これを含まない育苗用培土(参考例2)で育てたイネ苗との育成の様子を比較した説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]鉄供給剤
第1の鉄供給剤は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を備える有機酸と、FeOと、が溶解されて得られた水溶液からなることを特徴とする。
第2の鉄供給剤は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を備える有機酸と、FeOと、が溶解されて得られた水溶液から水を除去してなることを特徴とする。即ち、本他の鉄供給剤は、上記本鉄供給剤から水を除去して得られる。
第3の鉄供給剤は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を備える有機酸とFeOとを含有することを特徴とする。
(1)第1の鉄供給剤
上記「有機酸」は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を備える酸である。この有機酸としては、カルボキシル基を有する有機酸としてはクエン酸(無水クエン酸を含む)、酢酸、酒石酸及びシュウ酸が挙げられる。ヒドロキシル基を有する有機酸としてはアスコルビン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基とヒドロキシル基との両方を有する有機酸としては、クエン酸と酒石酸とが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのなかでも、安定性に優れるためクエン酸、酢酸、酒石酸及びシュウ酸が好ましい。更に、有機酸とFeOとを含有する水溶液を調製した場合に、有機酸濃度に対するFe2+イオン濃度が高いためクエン酸、酢酸及び酒石酸が好ましい。また、これらのなかでも、刺激臭がなく、また有機酸とFeOとを含有する水溶液を調製した場合に、有機酸濃度に対するFe2+イオン濃度が特に高いためクエン酸が最も好ましい。
上記「水溶液」は、有機酸とFeOとが溶解されて得られた水溶液である。即ち、溶解されていない有機酸及びFeOが含有されない水溶液である。但し、溶けきっていない有機酸及び/又は溶けきっていないFeOが含有される固液共存液中における上澄み液であってもよい。
また、有機酸及びFeOの水溶液中における溶解状態は特に限定されない。即ち、例えば、この水溶液には有機酸鉄錯体及び有機酸イオン等を含有できる。これらのなかでも特に有機酸鉄錯体が含有されることが好ましく、更には、上記のごとくクエン酸が含有される場合にはクエン酸錯体が含有されることが好ましい。このクエン酸鉄錯体は、1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが複数の配位した多量体錯体であることが好ましく、特に二量体錯体(1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した錯体)が含有されることが好ましく、更には、二量体錯体と三量体錯体(1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した錯体)との両方が含有されることがより好ましい。
この水溶液に溶解された有機酸及びFeOの量は特に限定されないが、通常、水100mlあたりの有機酸(特にクエン酸)は0.05g以上(好ましくは0.5g〜水溶液の温度における有機酸の溶解限度量)である。一方、水100mlあたりのFeOは、有機酸の含有量を100質量部とした場合に、10〜25質量部(特に20〜25質量部)である。
また、この水溶液を構成する水は、特に限定されず、種々の水を用いることができる。純水及びイオン交換水等の高度に精製された水であってもよく、水道水、工業用水、農業用水及び地下水等の通常使用される水であってもよい。
この水溶液を得る方法は特に限定されないが、後述する製造方法において得ることができる。即ち、(1)有機酸粉末とFeO粉末と水とを含む混合物を加熱して得ることができる。その他、(2)予め全量を溶解させた有機酸水溶液にFeO粉末を添加し加熱して得ることもできる。また、(3)予め所定量を溶解させた有機酸水溶液に、更に有機酸粉末とFeO粉末とを添加し加熱して得ることもできる。更に、(4)加熱せず有機酸粉末とFeOと水とを混合して得ることもできる。更に(5)上記(1)〜(4)に加えて溶解しきれない有機酸及び溶解しきれいないFeOが含有される場合には、これらを濾過等の方法で分離する工程を備えることができる。
第1の鉄供給剤は、防黴のために木酢液を含有させることができる。木酢液を含有させる場合、木酢液の含有量は鉄供給剤全体の10質量%以下(通常、1質量%以上)が好ましい。更に、同様な目的で予め紫外線照射を行うことができる。紫外線照射条件等は特に限定されないが、波長200〜380nmの紫外線を用いることが好ましい。また、照射を行う場合には72×10μw・s/cm以上を照射することが好ましい。更に、保存の際には低温で保存することが好ましい。その温度は特に限定されないが15℃以下が好ましい。
第1の鉄供給剤の性質については後述する。
(2)第2の鉄供給剤
一方、第2の鉄供給剤は、上記水溶液から水を除去して得られる。
上記「除去」は、水溶液から水の一部又は全部を除去する作業を意味するが、通常、第1の鉄供給剤全体に対する水分量は90質量%以下である。特に固形物では10質量%以下(好ましくは5質量%以下)であり、ペースト状物では60〜90質量%(好ましくは65〜85質量%)である。第2の鉄供給剤は、水溶液から実質的に全部の水が除去されて固形物であってもよく、水溶液から一部の水が除去されたペースト状物であってもよいが、これらのうちでは固形物が好ましい。
また、この除去の方法は特に限定されず、減圧加熱乾燥、常圧加熱乾燥、非加熱減圧乾燥、及び凍結乾燥等の手段を用いることができる。これらのなかでは、減圧加熱乾燥が好ましい。Fe2+がこの水を除去する過程で酸化されることを防止できるからである。また、減圧乾燥以外にも、低酸素下における乾燥でもよい。
水の除去を行う際に加熱を行う場合、水溶液の加熱の温度は特に限定されないが、150℃以下に保持することが好ましい。150℃を超えるとFe3+イオン濃度が高くなる傾向にあるからである。この加熱による水溶液の温度は、140℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましく、130℃以下が特に好ましい。また、一方、下限温度は特に限定されず、水の除去を行う際の圧力環境下で水の蒸散を生じる温度であればよいが、例えば、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましく、120℃以上がとりわけ好ましい。これらの加熱の際の上限温度及び下限温度は各々組合せとすることができる。即ち、例えば、60〜150℃が好ましく、100〜140℃がより好ましく、110〜130℃が更に好ましい。これら以外の組合せであってもよい。
更に、水を除去する際に減圧を行う場合、その圧力は特に限定されないが、0.1〜50kPaが好ましく、0.1〜20kPaがより好ましく、3〜15kPaが更に好ましく、4〜10kPaが特に好ましい。
第2の鉄供給剤は、通常、15℃以上の温度の水にほぼ全量を溶解させることができる。例えば、温度25℃の純水100mlに対しては0.1g以上(更には0.1〜120g、特に0.1〜50g、とりわけ0.1〜15g)を溶解させることができる。この鉄供給剤を溶解させた水溶液の性質については後述する。
(3)第3の鉄供給剤
第3の鉄供給剤は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を備える有機酸とFeOとを含有する。即ち、例えば、有機酸粉末とFeO粉末とを含有する鉄供給剤である。この鉄供給剤は、降雨、灌水及び土中の水分等により、結果的に前記第1の鉄供給剤(水溶液)が得られるものである。即ち、前記有機酸鉄水溶液(特にクエン酸鉄水溶液)が形成される。これにより、前記第1の鉄供給剤による作用効果がそのまま得られる。この鉄供給剤は、例えば、有機酸粉末とFeO粉末とを混合して得られる。
尚、この鉄供給剤は水を含有してもよい。即ち、有機酸水溶液とFeO粉末とを混合した鉄供給剤、及び有機酸水溶液(例えば、飽和水溶液)と有機酸粉末とFeO粉末とを混合した鉄供給剤等が含まれる。
また、この鉄供給剤は、後述する生分解性バインダ等を用いて、有機酸の溶出速度を低下させることができる。これにより除放性を持たせることができる。
上記有機酸、上記FeO及び上記水等については、前記各々をそのまま適用できる。
(4)第1、第2及び第3の各鉄供給剤に共通する事項
第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤を水溶させた水溶液、及び第3の鉄供給剤を水溶させた水溶液は、各々Fe2+イオンとFe3+イオンとが含有され、Fe2+イオンとFe3+イオンとの合計を100質量%とした場合に、Fe2+イオンが50〜90質量%であり、更には60〜90質量%、特に70〜90質量%とすることができる。即ち、Fe3+イオンは10〜50質量%(更には10〜40質量%、特に10〜30質量%)とすることができる。即ち、高濃度にFe2+を含有する水溶液を得ることができる。但し、この各イオン濃度は、後述する実験例の測定方法により測定された値である。
特に、有機酸としてクエン酸を用いた場合には、第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤を水溶させた水溶液、及び第3の鉄供給剤を水溶させた水溶液には、1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、が含有される。それぞれの錯体の含有量は特に限定されない。また、各鉄供給剤全体に対する各錯体の含有割合も特に限定されない。
また、第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤を水溶させた水溶液、及び第3の鉄供給剤を水溶させた水溶液では、168時間静置した場合に認められるFe2+イオン濃度は、溶解直後(第1の鉄供給剤においては測定直後)に認められるFe2+イオン濃度(mg/リットル)の75%以上とすることができる。即ち、長期間安定してFe2+イオンを保持することができ、Fe3+へ酸化されることが抑制された抗酸化性に優れたFe2+イオンを供給することができる。但し、上記放置は実質的に紫外線があたらない温度25℃の暗所におけるものとする。この各イオン濃度は、後述する実施例の測定方法により測定された値である。
更に、第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤を水溶させた水溶液、及び第3の鉄供給剤を水溶させた水溶液は、紫外線(特に波長200〜380nm)を照射することにより、Fe2+イオン濃度を向上させることができる。特にFe2+イオン濃度が全Feイオン濃度(mg/リットル)の80%以下(特に70%以下、通常50%以上)である水溶液に対して、波長253nmの紫外線を72×10μw・s/cm照射した場合に、Fe2+イオン濃度(mg/リットル)を85%以上(更には90%以上、特に95%以上、通常99.9%以下)に向上させることができる。尚、このイオン濃度の測定は、後述する実施例の測定方法によるものとする。
第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤及び第3の鉄供給剤は、後述する植物用鉄供給剤として利用できるほか、家畜用鉄供給剤(鶏、豚、牛等)、魚介類用鉄供給剤(養殖魚、養殖貝等)などとして利用できる。その他、各種Fe2+イオンの供給を要する各種分野において利用できる。これらの植物用途以外の各種用途用鉄供給剤として用いる場合には、例えば、第2の鉄供給剤では、後述する植物用鉄供給剤におけると同様に、生分解性バインダを含有することができ、生分解性増量剤を含有することができ、更にはその他の成分を含有することができる。
[2]植物用鉄供給剤
第1発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液からなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜90質量%であることを特徴とする。
即ち、第1発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末とFeO粉末と水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液からなる第1の鉄供給剤を含有する。
第2発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
本植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、Fe 2+ イオンとFe 3+ イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe 2+ イオンが50〜90質量%であることを特徴とする。
即ち、第2発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液から水を除去してなる第2の鉄供給剤を含有する。
第3発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末とFeO粉末と泥炭とを含有し、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。
即ち、第3発明の植物用鉄供給剤は、クエン酸粉末とFeO粉末とを含有する第3の鉄供給剤を含有し、更に、生分解性増量剤として泥炭を含有する。
これらの本発明の植物用鉄供給剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各植物用鉄供給剤に含有される第1の鉄供給剤、第2の鉄供給剤又は第3の鉄供給剤(以下、単に「鉄供給剤」ともいう)の含有量は特に限定されないが、植物用鉄供給剤全体を100質量%とした場合に、第2の鉄供給剤(完全乾燥質量換算)に換算して5質量%以上含有されることが好ましい。この範囲であれば鉄供給剤を含有する効果を十分に得ることができる。また、この含有量は95質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。植物にとって鉄は微量必須元素であるため過度に与える必要はなく、上記範囲で十分な供給量を保つことができる。
更に、本発明の植物用鉄供給剤には、生分解性バインダを含有することができる。生分解性バインダを含有することにより、このバインダが分解されるに従って徐々に鉄供給剤が放出されてFe2+を生じる。このため長期にわたって安定してFe2+イオンを供給することができる。即ち、植物用鉄供給剤に徐放性を付与できる。
この生分解性バインダとしては、生分解性プラスチックを用いることができる。生分解性プラスチックとしてはポリアルキレンサクシネート系樹脂(ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂など)、ポリ乳酸系樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この生分解性バインダの含有量は特に限定されないが、植物用鉄供給剤全体を100質量%とした場合に10質量%以下(より好ましくは2〜7質量%、通常1質量%以上)とすることが好ましい。
また、本発明の植物用鉄供給剤は、生分解性増量剤を含有することができる。生分解性増量剤は、生分解性を有する上記バインダ以外の成分である。この生分解性増量剤としては、泥炭、糠、焼酎粕、酒粕、クエン酸粕、籾殻、雪花菜、葦、腐葉土、鶏糞、堆肥、牛糞、骨粉及び粘土等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、生分解性増量剤は、植物に対する所定の機能を有していてもよく、有していなくてもよい。所定の機能を有する成分とは、例えば、植物に対して栄養分となる成分が挙げられる。
この生分解性増量剤の含有量は特に限定されないが、植物用鉄供給剤全体を100質量%とした場合に50〜94質量%(好ましくは70〜94質量%)とすることができる。この範囲であれば、多量の土に対して微量の鉄供給剤を混合した場合にも、適切な量を混合することができる。
本発明の植物用鉄供給剤は、鉄供給剤、生分解性バインダ及び生分解性増量剤以外にも他の成分を含有することができる。他の成分としては、リポ酸、オリザ油、各種ビタミン類、Mn、Zn、Cu、Cr、Si、Mg、Ca、Co、Mo、Ni、B等の各成分(例えば、金属状態、金属酸化物等)、S及びCl等の化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の成分は、植物用鉄供給剤に含有される鉄供給剤と生分解性バインダと生分解性増量剤との合計を100質量部とした場合に10質量部以下とすることが好ましい。
本発明の植物用鉄供給剤の使用方法は特に限定されない。例えば、液状である場合は、散布する(土、対象植物の根元等へ灌水、葉面散布等)、浸漬する(水耕栽培用の培養液等として使用。対象植物の根を浸漬する等)、土に混合する等の使用方法が挙げられる。また、固形状である場合は、土と混合(粉体状で、塊状で)する、土に散布(粉体状で)する、土中に埋める(粉体状で、塊状で)等の使用方法が挙げられる。
また、特に本発明の植物用鉄供給剤のうち、(1)第1の鉄供給剤を含有する植物用鉄供給剤、又は(2)第2の鉄供給剤を含有する植物用鉄供給剤、であって、生分解性増量剤を含有し、この生分解性増量剤からなるマトリックスにクエン酸及びFeOが含有されてなる植物用鉄供給剤であれば、アルカリ土壌において好適に用いることができる。
この際に用いる生分解性増量剤としては、前記生分解性増量剤をそのまま適用できる。これらの生分解性増量剤のなかでも、泥炭、糠、焼酎粕、酒粕及びクエン酸粕が好ましく、特に泥炭が好ましい。これらの生分解性増量剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このクエン酸と生分解性増量剤とを含有する植物用鉄供給剤のなかでも、生分解性増量剤として泥炭を含有するものが特に好ましい。
この泥炭は、採取された状態のままで用いてもよく、各種改質処理を施して用いてもよく、これらの混合物であってもよい。上記の各種改質処理としてはアルカリ抽出処理、中和処理(リン酸中和処理、苦土石灰中和処理など)等が挙げられる。
上記泥炭としては、草質泥炭(各種ピート、葦類及び苔類等に由来する有機分を主成分とする)及び木質泥炭等が挙げられる。更に、これらを改質処理した泥炭が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記泥炭は撥水作用を有する。このため、例えば、植物用鉄供給剤をアルカリ土壌において用いた場合には、周囲からpHの高い水溶液等が植物用鉄供給剤へ侵入することが抑制される。従って、pHが低く保たれ、FeOの溶解性の低下が抑えられ、且つFe2+イオンの酸化もより抑制される。そのため、長期に亘って安定してFe2+イオンを供給することができる。即ち、この植物用鉄供給剤により優れた徐放性を付与できる。
更に、クエン酸、FeO及び泥炭の合計を100質量%とした場合に、クエン酸は5〜15質量%含有され、FeOは5〜10質量%含有されていることが好ましい。このクエン酸の含有量は7〜13質量%であることがより好ましく、FeOの含有量は7〜8質量%であることがより好ましい。これにより、FeOの溶解性の低下が十分に抑えられ、且つFe2+イオンの酸化もより十分に抑制され、長期に亘って安定してFe2+イオンを供給することができる。
また、生分解性増量剤からなるマトリックスに、クエン酸及びFeOが含有された粒状体からなることが好ましい。この粒状体を構成する粒子の形状は特に限定されず、球体、楕円体、半球体、立方体、直方体、円柱体及びブリケット等のいずれでもよい。更に、粒状体は緻密体でもよく、多孔質体であってもよい。またその粒径(球形であるときは直径、その他の形状であるときは最短寸法)は50mm以下(より好ましくは10mm以下、更に好ましくは6mm以下、通常0.5mm以上)が好ましい。
上記のように撥水性の生分解性増量剤によりクエン酸及びFeOの、外部環境との接触を抑制することにより、例えば、この植物用鉄供給剤をアルカリ土壌において用いた場合、粒状体の内部のpHの上昇が抑えられる。これによりFeOの溶解性の低下が抑えられる。更に、空気中の酸素等によるクエン酸の酸化も抑制されるため、このクエン酸によるFeOの酸化抑制の効果も併せて得られ、長期に亘ってより安定してFe2+イオンを供給することができる。
また、上記アルカリ土壌とは、風乾した土壌10gに蒸留水25ミリリットルを加えて1時間振とうし、得られた懸濁液のpHを測定した場合に、そのpHが7を超える土壌のことをいう。従って、アルカリ土壌には、本来的なアルカリ土壌、及び非アルカリ土壌が後天的(施肥、砂漠化等)にアルカリ化してなるアルカリ土壌を含まれる。上記本来的なアルカリ土壌としては、貝化石土壌、石灰質土壌、珊瑚質土壌等の各種石灰質成分が含まれる土壌が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、これらの各種石灰質成分が含有された土壌と非アルカリ土壌との混合土壌であって、全体としてアルカリ土壌であるものが含まれる。
また、この植物用鉄供給剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、第2発明の植物用鉄供給剤は、第2の鉄供給剤と泥炭とを混合し、造粒して得ることができる。また、第3発明の植物用鉄供給剤は、第3の鉄供給剤(即ち、クエン酸粉末及びFeO粉末)と泥炭とを混合し、造粒して得ることができる。
上記混合の方法は特に限定されず、モルタルミキサー及びオムニミキサー等を用いたドライブレンドでもよく、押出成形機等により混合してもよい。更に、造粒の方法も特に限定されないが、通常、押出成形法により造粒される。また、押出成形により混合と造粒とを連続して行えば、工程が簡略化でき好ましい。このドライブレンド及び押出成形等の温度は特に限定されず、室温(例えば、15〜35℃)でもよく、必要に応じて40〜90℃程度に加熱してもよい。
このクエン酸粉末及びFeO粉末については、下記[4]鉄供給剤の製造方法における各々の記載をそのまま適用できる。
[3]鉄供給剤の製造方法
鉄供給剤の製造方法は、前述のように特に限定されず種々の方法を用いることができるが、例えば、有機酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、有機酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備えることができる。
また、本第4発明の植物用鉄供給剤の製造方法は、本第1発明の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。
即ち、後述する第1の鉄供給剤の製造方法のうちの特定の溶解工程を備える。
更に、本第5発明の植物用鉄供給剤の製造方法は、本第2発明の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程と、
上記水溶液から水を除去する乾燥工程と、を備え、
上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする。
即ち、後述する第2の鉄供給剤の製造方法のうちの特定の溶解工程と乾燥工程とを備える。
上記「有機酸粉末」は、上記有機酸を主成分(通常、純度99%以上)とする粉末であり、その純度及び粉末形態であれば粒子形状などは特に限定されない。
上記「FeO粉末」は、FeOを主成分とする粉末である。このFeO粉末に含有されるFeOの量は、FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上(好ましくは65質量%以上、100質量%であってもよい)である。このFeO粉末はどのようなFeO粉末を用いてもよく、後述するFeO粉末(鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと還元剤とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末)、及び各種市販のFeO粉末を用いることができる。これらのなかでは、上記造粒品を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末が好ましい。
上記「水」は、前述のごとくどのような水も用いることができる。
上記「混合物」における有機酸粉末とFeO粉末と水との仕込み量は特に限定されないが、例えば、クエン酸を用いる場合には、クエン酸粉末(純度100%と仮定):FeO粉末(純度100%と仮定):水(純度100%と仮定)の質量比で、60〜90:7〜28:3〜20の割合で用いることが好ましく、65〜85:10〜24:5〜17.5の割合で用いることがより好ましく、68〜72:10〜22:10〜15の割合で用いることが特に好ましい。
上記混合物には、有機酸粉末、FeO粉末及び水以外にも他の成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の成分を含有する場合は、水に溶解した状態で含有してもよく、水に溶解されない状態で含有されてもよい。他の成分としては、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。これらを含有させることで減圧環境下においても水の除去をよりスムーズに行うことができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記「加熱」における加熱条件は特に限定されないが、加熱温度は150℃以下に保持することが好ましい。150℃を超えるとFe3+イオン濃度が高くなる傾向にあるからである。この加熱による水溶液の温度は、140℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましく、130℃以下が特に好ましい。一方、下限温度は特に限定されず、例えば、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が特に好ましい。これらの加熱の際の上限温度及び下限温度は各々組合せとすることができる。即ち、例えば、40〜150℃が好ましく、50〜140℃がより好ましく、60〜130℃が更に好ましい。これら以外の組合せであってもよい。尚、加熱の際の圧力条件は特に限定されない。
この加熱により、クエン酸がより多く水に溶解され、これに従いFeOの溶解量も増え、目的とするFe2+イオン又はFe2+イオン錯体の濃度が高くなるものと考えられる。
鉄供給剤の製造方法では、上記溶解工程の後に水不溶性成分を除去する工程を備えることができる。この水不溶性成分としては、溶解しきらない有機酸粉末及び溶解しきらないFeO粉末等が挙げられる。除去方法は特に限定されないが、通常、濾過により行うことができる。即ち、濾過工程を備えることができる。この際の濾過条件は特に限定されないが、例えば、濾過フィルターには孔径10μm以下(より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下)のメンブランフィルターを用いることが好ましい。
また、第2の鉄供給剤を得る場合は、上記溶解工程の後に、更に、上記水溶液から水を除去する乾燥工程を備えることができる。この乾燥工程における乾燥条件は特に限定されず、自然乾燥をさせてもよいが、前述した除去方法及び乾燥条件を用いることが好ましい。即ち、減圧加熱により水を除去することが好ましい。加熱により水分を徐々に減ずることで水溶性であり且つ抗酸化性に優れたFe2+イオン成分(Fe2+錯体等)が濃縮され、第2の鉄供給剤が得られるものと考えられる。
更に、前記第2の鉄供給剤を得る際には、更に、精製工程を備えることもできる。精製工程は、水溶性成分を精製する工程である。即ち、例えば、上記水溶液から水を除去して得られる鉄供給剤を水と接触させて溶解可能部分を溶解させた後、上記と同様にして水不溶性成分を除去して抽出する抽出工程と、この抽出工程で得られた抽出水溶液から水を除去する再乾燥工程と、を備えることができる。
また、鉄供給剤の製造方法で用いる上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと還元剤とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であることが好ましい。
このFeO粉末(上記造粒品及び/又は造粒品を用いて得られたFeO粉末)には、FeO以外に、CaAl、FeAl、CaFeSi、CaSi及びMgFeのうちの少なくとも1種の複酸化物が含有されるからである。これらの複酸化物は1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。また、複合酸化物の含有量は、FeO粉末全体を100質量%とした場合に0.5〜10質量%が好ましい。この範囲であれば抗酸化性に特に優れた鉄供給剤を得ることができる。
更に、このFeO粉末を構成する粒子の形状は特に限定されないが、粒径が5000μm以下であり、多種の粒径の粉末が混在したFeO粉末であり、更には、多孔性の粒子が含まれていてもよい。
上記「鉄分を含有するダスト」(以下、単に「ダスト」ともいう)は鉄分を含有するもの(集塵粉など)である。この鉄分としては、酸化鉄、その他の鉄化合物及び金属鉄が挙げられる。これらは1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。ダストに含有される鉄分量は特に限定されないが、通常、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上(より好ましくは35〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%)である。また、ダストには、鉄分以外にも他の成分が含有されてもよい。他の成分としてはZn、Ni、Cu及びMn等が挙げられる。これらは単体金属でもよく、酸化物等の化合物でもよい。更に、これらは1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
このダストの形状は特に限定されず、小片又は粉体と小片との混合物等であってもよいが、通常、粉体である。この粉体の平均粒径は特に限定されないが3〜10μmが好ましい。
このダストとしては、鍛造工程で発生する鍛造ショット集塵粉(鍛造用ショット球を被加工用鉄系部材に打ち込む過程で集塵された粉末)、及び、製鋼工程で発生する各種ダスト{鉄系部材等を各種炉で熔解して鉄系製品を製造する過程で防噴煙のために集塵された粉末(電気炉ダスト、高炉ダスト、転炉ダスト、キュポラダストなど)}等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に塩素分を予め水洗除去(一部又は全部)したダストが好ましい。特にダストに含有される塩素分は0.5質量%以下(より好ましくは0.4質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下)が好ましい。
上記「造粒品」は、ダスト、又はダストと還元剤とを含有する。この造粒品は、その後、真空加熱の際にFe、Fe及びFe(単体)からFeOへ還元又は酸化が促進される。
造粒品を構成する粒子の形状は特に限定されず、球体、楕円体、半球体、立方体、直方体、円柱体及びブリケット等のいずれでもよい。更に、造粒品は緻密体でもよく、多孔質体であってもよい。またその粒径(球形であるときは直径、その他の形状であるときは最短寸法)は25mm以下(より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下、通常3mm以上)が好ましい。
上記「還元剤」は、2価以上に酸化された鉄化合物を還元する成分である。還元剤としては、金属鉄、その混合物、カーボン、その混合物等を用いることができる。特に、鉄切削屑、鉄研磨屑、鉄粉、銑鉄及び鋼等に用いられる還元剤、各種廃材(タイヤ屑、木材廃材等)等が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
還元剤の形状は特に限定されないが、ダストとの接触面積が大きいことが好ましいため粉末、顆粒及び小片等が好ましく、特に粉末が好ましい。更に平均粒径は200μm以下(好ましくは180μm以下)が好ましい。
造粒品中の還元剤の含有量は特に限定されないが、ダストを100質量部とした場合に100質量部以下(より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、通常30質量部以上)が好ましい。
また、造粒品には、通常、バインダが含有される。バインダの種類は限定されないが、アルミナセメントが好ましい。その配合量は、ダスト、又はダストと還元剤との合計を100質量部とした場合に3〜20質量部(より好ましくは3〜15質量部、更に好ましくは3〜12質量部)が好ましい。この範囲では、造粒をスムーズに行うことができ、造粒品が脆化も抑制できる。
上記「真空加熱」を行うことでFeO粉末中のFeO濃度を大きくできる。この真空加熱を行う際の真空度は特に限定されないが0.1〜13.3kPa(より好ましくは2.6〜13.3kPa、特に好ましくは4.0〜6.7kPa)が好ましい。この範囲では金属鉄の残留やFeOがFe等へ酸化されることを効果的に抑制できる。尚、この真空雰囲気における酸素分圧を再現した不活性ガス下においても、この真空加熱に変えて同様に加熱することでFeO粉末を得ることができる。
真空加熱を行う際の加熱温度(造粒品自体を測定した測定値)は600〜1100℃(より好ましくは800〜950℃)が好ましい。但し、造粒品が還元剤を含有する場合は800℃以上とすることが好ましい。この範囲では、FeO含有量が特に高いFeO粉末が得られ、加熱過程でダストが溶融することも防止できる。
また、加熱時間は特に限定されないが30分以上(より好ましくは30分以上且つ6時間以内)が好ましい。
尚、ダストに酸化亜鉛等が含有される場合は、還元されて金属亜鉛となり、600℃以上且つ1.56kPa程度の真空下で蒸発して回収できる。これによりFeOの純度を更に向上させることができる。
造粒品の加熱は、通常、熱処理炉を用いてなされる。この熱処理炉は、少なくともヒータを備え、投入される造粒品を均一に加熱できるものであれば、特に限定されない。熱処理炉としては、例えば、ローラーハース炉及びロータリーキルン等が挙げられる。造粒品は、熱処理炉内を移動しながら、例えば、攪拌翼を備える攪拌手段等により粉末化される。この熱処理炉は、還元によって生成した金属亜鉛等を回収するための回収器を備えていてもよい。熱処理炉への造粒品の投入量は特に限定されないが、熱処理炉で加熱される造粒品全体への熱伝導を考慮し、炉床に散布された造粒品の平均高さが、通常、100mm以下、特に80mm以下、更に30mm以下となる投入量であることが好ましい。
上記「真空急冷」により真空加熱で生成された高温のFeO粉末を酸化させることなく冷却できる。この真空急冷の際の真空度は特に限定されないが13.3kPa以下(より好ましくは6.7kPa以下、通常、5.3kPa以上)が好ましい。また、降温速度は特に限定されないが5〜150℃/分とすることが好ましい。この真空急冷では300℃以下(より好ましくは200℃以下、特に好ましくは150℃以下)に冷却することが好ましい。
特にFeO含有量のより多いFeO粉末を得る目的においては、金属鉄を含有する造粒品を用いることが好ましい。金属鉄の含有量は、造粒品に含有される鉄分の全量を100質量%とした場合に5質量%以上(より好ましくは5〜85質量%、更に好ましくは8〜50質量%)が好ましい。この造粒品を用いた場合には、例えば、鉄分全量に対するFeOの含有量が80質量%以上(更には85質量%以上、特に90質量%以上)のFeO粉末を得ることができる。
上記のような金属鉄を含有する造粒品を構成するダスト{下記(3)及び(4)}及びダストと還元剤との組合せ{下記(1)、(2)及び(5)}としては(1)電気炉ダストと金属鉄(鉄粉等)との混合物、(2)高炉ダストと金属鉄(鉄粉等)との混合物、(3)転炉ダストのみ、(4)鍛造ショット集塵粉のみ、(5)鍛造ショット集塵粉と金属鉄(鉄粉等)との混合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[1]FeO粉末の製造
(1)電気炉ダストを用いたFeO粉末
Fe(35.8質量%)、Zn(22.7質量%)、C(5.95質量%)、Ca(2.92質量%)、Mn(2.89質量%)、Cl(2.89質量%)及びSi(2.16質量%)等が含有され、平均粒径が10μmの電気炉ダスト(製鋼ダスト)47.6質量%と、平均粒径が75μmの鉄粉47.6質量%と、アルミナセメント4.8質量%とを用いて直径8mm且つ長さ約20mmの円柱形に造粒した。得られた造粒品を真空加熱槽(ローラーハース炉)で800℃で30分間、次いで850℃で30分間、その後900℃で1時間、各々真空加熱した。
次いで、真空急冷槽で降温速度20℃/分で400℃まで真空急冷し、更に、真空冷却槽内の雰囲気を窒素置換して、更に降温速度13℃/分で200℃まで冷却し、その後、室温にまで降温させてFeO粉末を得た。
尚、このFeO粉末に含有されるFeOを、試薬FeO粉末とシリコン粉末とを所定割合で混合してなる混合粉末を用いてX線回折法により予め作成した検量線により定量したところ、含有量は65質量%であった。
(2)鍛造ショット集塵粉を用いたFeO粉末(下記[4]及び[8]で使用)
Fe(80.0質量%)、Zn(0.02質量%)、Ca(0.01質量%)、Mn(0.06質量%)及びSi(0.06質量%)等が含有され、平均粒径が100μmの鍛造ショット集塵粉82%と、平均粒径が75μmの鉄粉10%と、アルミナセメント5%と、ベントナイト3%とを用いて直径8mm且つ長さ約20mmの円柱形に造粒した。得られた造粒品を真空加熱槽(ローラーハース炉)により800℃で30分間、次いで850℃で30分間、その後、900℃で1時間、各々真空加熱した。
次いで、真空急冷槽で降温速度20℃/分で400℃まで真空急冷し、更に、真空冷却槽内の雰囲気を窒素置換して、更に降温速度13℃/分で200℃まで冷却し、その後、室温にまで降温させて直径1.8mmの球形状粒子の集合体からなるFeO粉末を得た。
尚、このFeO粉末に含有されるFeOを、試薬FeO粉末とシリコン粉末とを所定割合で混合してなる混合粉末を用いてX線回折法により予め作成した検量線により定量したところ、含有量は90質量%であった。
[2]鉄供給剤の製造
(1)有機酸としてクエン酸を使用
クエン酸(純度99%以上)15.4kgと水5.6kgとを耐圧容器内で混合して、液内温度を80℃まで徐々に昇温させた。そして、温度80℃に達した時点で上記[1](1)で得られたFeO粉末を3.3kg投入した。その後、4時間かけて液温を130℃まで昇温させた。そして、液温が130℃に達したところで容器内を約8kPaまで減圧し、この状態を100分間保持した。その結果、塊状の鉄供給剤17kgを得た。その後、塊状の鉄供給剤を粉砕機により粉砕して粉末状にした。
(2)有機酸として酢酸を使用
酢酸(純度99%以上)12kgと水5.6kgとを耐圧容器内で混合して、液内温度を80℃まで徐々に昇温させた。そして、温度80℃に達した時点で上記[1](1)で得られたFeO粉末を7.3kg投入した。その後、4時間かけて液温を130℃まで昇温させた。そして、液温が130℃に達したところで容器内を約8kPaまで減圧し、この状態を100分間保持した。その結果、塊状の鉄供給剤17.5kgを得た。その後、塊状の鉄供給剤を粉砕機により粉砕して粉末状にした。
(3)有機酸として酒石酸を使用
酒石酸(純度99%以上)15kgと水5.6kgとを耐圧容器内で混合して、液内温度を80℃まで徐々に昇温させた。そして、温度80℃に達した時点で上記[1](1)で得られたFeO粉末を7.3kg投入した。その後、4時間かけて液温を130℃まで昇温させた。そして、液温が130℃に達したところで容器内を約8kPaまで減圧し、この状態を100分間保持した。その結果、塊状の鉄供給剤20kgを得た。その後、塊状の鉄供給剤を粉砕機により粉砕して粉末状にした。
(4)有機酸としてシュウ酸を使用
シュウ酸(純度99%以上)18kgと水5.6kgとを耐圧容器内で混合して、液内温度を80℃まで徐々に昇温させた。そして、温度80℃に達した時点で上記[1](1)で得られたFeO粉末を7.3kg投入した。その後、4時間かけて液温を130℃まで昇温させた。そして、液温が130℃に達したところで容器内を約8kPaまで減圧し、この状態を100分間保持した。その結果、塊状の鉄供給剤21kgを得た。その後、塊状の鉄供給剤を粉砕機により粉砕して粉末状にした。
[3]Fe2+イオン濃度の測定
(1)Fe2+イオン濃度
上記[2](1)で得られた鉄供給剤を濃度10g/リットル(1.0質量%)となるように温度20℃のイオン交換水に撹拌混合して溶解させた(およそ5分間撹拌)。その後、メンブランフィルター(孔径1μm)を用いて濾過し、その後、すぐに紫外・可視光分光光度計(株式会社島津製作所製、形式「UV1240」)に水質測定パックを装着して、得られた水溶液に含有されるFe2+イオンと総Feイオン量とを測定した(総Feイオン量からFe2+イオン量を差し引いた量をFe3+イオン量として換算)。更に、Fe2+イオン濃度はJIS K0102に基づくフェナントロリン吸光光度法により測定した。尚、この測定では常に直射日光の差し込まない室内において作業を行った。
この測定の結果、Fe2+イオン濃度は389mg/リットルであり、Fe3+イオン濃度は186mg/リットルであり、Fe2+イオンとFe3+イオンとの合計を100質量%とした場合にFe2+イオンは68質量%であった。即ち、得られる水溶液はFe3+イオン→Fe2+イオンがFe3+イオンの2.1倍含有され、Fe2+イオン濃度が高い水溶液が得られていることが分かる。
(2)各鉄供給剤の各濃度におけるFe2+イオン濃度
上記(1)と同様にして、上記[2](1)〜(4)で得られた有機酸が異なる4種類の鉄供給剤を表1に示す濃度に調製して各々の水溶液におけるFe2+イオン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果より、シュウ酸は低濃度から高濃度までほとんどFe2+イオン濃度に変化が認められないことが分かる。また、酢酸は高濃度でFe2+イオン濃度が高いものの低濃度では他の有機酸に比べるとFe2+イオン濃度が小さいことが分かる。更に、クエン酸及び酒石酸は、いずれも上記の問題はないが、酒石酸に比べるとクエン酸は更に、いずれの濃度においても鉄供給剤の質量あたりのFe2+イオン濃度が高いことが分かる。即ち、最も効率よくFe2+イオンを供給できることが分かる。
[4]抗酸化性の評価
(1)室内放置による抗酸化性
上記[2](1)〜(3)で得られた有機酸が異なる3種類の鉄供給剤を用い、上記[3]と同様にして、各鉄供給剤の濃度が表2に示す値となるように調製した実験例1−1〜3−4の鉄供給剤水溶液を用意した。これらの各実験例の水溶液について上記[3]と同様にしてFe2+イオン濃度を測定し、その後、そのまま室内に放置し、表2に示す時間毎に同様にしてFe2+イオン濃度を測定した。その結果を表2に併記した。また、この表2のうちクエン酸を用いた実験例1−1〜1−4をグラフ化して図1に示した。
また、500ミリリットルの蒸留水に2.5gのアスコルビン酸を溶解させ、アスコルビン酸水溶液を作製した。その後、この水溶液に上記[1](2)で得られたFeO粉末を1.0g投入し、30分間攪拌し、次いで、濾過し、挟雑物を除いた。その後、濾過後の水溶液から20ミリリットルずつ分取し、それぞれ2個の容器に投入し、一方の容器中の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液(実験例6−2)によりpH6.0に調整した。pH調整をしていない他方のアスコルビン酸鉄水溶液(実験例6−1)のpHは3.4であった。これら2種類のアスコルビン酸鉄水溶液(実験例6−1及び6−2)についても同様にFe2+イオン濃度を測定し、併せてpH測定(表2のFe2+イオン濃度の下に付記した)を行った。この結果を表2に併記した。
表2の結果より、有機酸がこれらクエン酸、酒石酸、酢酸及びアスコルビン酸である場合には、いずれも鉄供給剤の濃度に関係なく、初期の濃度のからの変動が小さく抑制されており、優れた抗酸化性を有していることが分かる。即ち、例えば、図1に示すように、実験例1−1では初期値に対して82.3%以上、実験例1−2では初期値に対して81.9%以上、実験例1−3では初期値に対して80.7%以上、実験例1−4では初期値に対して87.3%以上と、いずれにおいても初期のFe2+濃度に対して80%以上のイオン濃度が長期間にわたって保持されている。従って、優れた抗酸化性を有していることが分かる。また、実験例6−1及び6−2のアスコルビン酸を用いた鉄供給剤においてはpH変動も小さく抑制されていることが分かる。
(2)酸化加速試験による抗酸化性
上記[2](1)〜(2)で得られた有機酸が異なる2種類の鉄供給剤を用い、上記[3]と同様にして得た実験例4{鉄供給剤濃度10g/リットル(0.1質量%)}及び実験例5{鉄供給剤濃度5g/リットル(0.5質量%)}の各々水溶液について、酸化加速試験を行った。即ち、エアーポンプを用いて実験例5及び6の各水溶液(200ミリリットル)内に毎分0.6リットルの空気を送り込んでバブリングし、表3に示す時間毎に上記[3]と同様にFe2+イオン濃度を測定した。その結果を表3に併記した。また、この表3をグラフ化して図2に示した。
表3及び図2より、有機酸がクエン酸である場合には、酸化加速試験においても濃度変動が小さく抑制されており、優れた抗酸化性を有していることが分かる。特に、濃度が1.0質量%の実験例4では初期値に対して288時間後(12日後)にも77%のFe2+濃度を保持していることが分かる。
[5]紫外線照射による評価
上記[2](1)で得られた鉄供給剤を用い、上記[3]と同様にして実験例6{鉄供給剤濃度6g/リットル(0.6質量%)}の水溶液を得た。得られた実験例6の水溶液の調製直後のFeイオン濃度は、全Feイオン濃度が824mg/リットルであり、このうちFe2+イオン濃度が534mg/リットルであった。
その後、この実験例6の水溶液90リットルに、72×10μw・s/cmの紫外線(波長253nm)を18時間照射した。得られた紫外線照射した実験例6の水溶液の照射直後のFeイオン濃度は、全Feイオン濃度が824mg/リットルであり、このうちFe2+イオン濃度が810mg/リットルであった。また、その後、実験例6の紫外線照射後の水溶液を暗所で保存したところ、21日後には、調製直後のFe2+イオン濃度に回復されていた。
この結果から、紫外線照射によっても酸化されず、むしろFe3+イオンがFe2+イオンへ変換される反応が進んでいることが分かる。従って、従来の無機化合物を主成分とするFe2+イオン溶液と異なり、太陽光や紫外線による酸化劣化の問題がなく、保存安定性にも優れていることが分かる。
[6]質量分析による評価
上記[2](1)で得られた鉄供給剤を用い、上記[3]と同様にして実験例7{鉄供給剤濃度10g/リットル(1.0質量%)}の水溶液を得た。得られた実験例7の水溶液の調製直後のFeイオン濃度は、全Feイオン濃度が486mg/リットルであり、このうちFe2+イオン濃度が330mg/リットルであった。
その後、この実験例7の水溶液をメタノールで10倍量に希釈した。この希釈液に含まれる物質についてエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)を用いて質量分析を行った。測定装置にはMicromass製の形式「Q−TOF」を用い、イオン化法にはエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を用いた。更に、イオン化モードは正イオンモード、キャピラリー電圧は3000V、コーン電圧は20V、脱溶媒温度は120℃で測定を行った。この結果得られたチャートを図3に示す。
更に、得られたチャートのうちの質量439のピークについて、Arガスを衝突(Collision Energy:120eV)させて質量分析を行ったところ、質量55.9にピークを生じた。この結果、質量439のピークを構成する化合物には、Feが含有されることが分かった。この結果得られたチャートを図4に示す。
また、比較試験の結果として、クエン酸鉄(III)(和光純薬製、FeC、全Feイオン濃度584mg/リットル、Fe2+イオン濃度142mg/リットル)の同様な溶液を測定して得られたチャートと、無水クエン酸(和光純薬製、C)の同様な溶液を測定して得られたチャートと、を図3に示した。
図3及び図4の結果から、無水クエン酸によるチャートから、実験例7によるチャートに認められる質量215([C+Na])及び質量407([2(C)+Na])のピークは、クエン酸に由来するものであると考えられる。
また、質量439の再分析の結果から質量439のピークを構成する化合物にはFeが含有されることが分かる。このFeに相当する質量を差し引くとクエン酸2つ分の質量となり、質量439のピークはFeイオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体によるものであると考えられる。同様に、質量631のピークはFeイオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体によるものであると考えられ、質量823のピークはFeイオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが4つ配位した四量体錯体によるものであると考えられる。
更に、クエン酸鉄(III)を溶解した水溶液(全Feイオン濃度584mg/リットル、Fe2+イオン濃度142mg/リットル)と比べると、質量439及び質量631のピークが小さく相対的な含有量が少ないことが予測される。
これらの結果を総合すると、鉄供給剤には、クエン酸鉄(III)水溶液に比べてより多くの二量体錯体及び三量体錯体が特異的に含有され、この結果、多量のFe2+イオンを生じ、且つ高い抗酸化性を有し、更には、紫外線に対して安定であり、むしろFe2+イオンの増加が認められる要因であると考えられる。
[7]植物用鉄供給剤(液)の評価
(1)植物用鉄供給液(灌水溶液として使用)の調製
上記[3]と同様にして鉄供給剤が濃度10g/リットル(1.0質量%)で含有された水溶液を得た。この水溶液を1000倍量に水で希釈して、灌水溶液(植物用鉄供給液、本発明品−実験例8)を得た。得られた灌水溶液(実験例8)中の全Feイオン濃度は0.5mg/リットルであり、このうちFe2+イオン濃度は0.3mg/リットルである。
比較のために、市販のFe2+イオンを含む水溶液(メネデール株式会社製、品名「植物活力素メネデール」、硫酸第一鉄を含む水溶液)を100倍に希釈して灌水溶液(参考例1)を得た。得られた灌水溶液中の全Feイオン濃度は0.4mg/リットルであり、このうちFe2+イオン濃度は0.4mg/リットルである。
(2)実験用栽培区の調製
実験用土として市販の育苗用培土を、縦30cm×横28cm×深さ4cmのプラスチック容器に深さ4cmに敷き詰めて実験用栽培区を形成した。
(3)播種、灌水、生育
4月1日に、上記実験用栽培区の各々に早咲コスモス、バナナピーマン、スプレー菊及び終日咲松葉ボタンの4種類の種を各々面積割合が均等になるように30gずつ撒いて上記各々の灌水溶液を1リットルずつジョウロで均等にかかるように灌水した。その後、上記各実験用栽培区に、毎日午前8時、及び午後5時の2回、上記各々の灌水溶液(実験例8及び参考例1)を1リットルずつジョウロで均等にかかるように灌水し続けた。
(4)結果
(i−1)早咲コスモス(実験例8の灌水溶液を使用)
4月6日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図5に示した。更に、4月20日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図6に示した。
(i−2)早咲コスモス(参考例1の灌水溶液を使用)
4月8日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図7に示した。更に、4月20日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図8に示した。
上記結果から、実験例8を用いた栽培区では発芽が早い。更に、図5と図7と比較すると参考例1を用いた栽培区では本葉が出始めた段階であるのに対して、実験例8を用いた栽培区では本葉が既に大きく生育し始めており、その後の生育も早いことが分かる。
(ii−1)バナナピーマン(実験例8の灌水溶液を使用)
4月6日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図9に示した。
(ii−2)バナナピーマン(参考例1の灌水溶液を使用)
4月8日に発芽を確認した。4月16日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図10に示した。
上記結果から、実験例8を用いた栽培区では発芽が早いことが分かる。また、その後の生育も実験例8を用いた方が早かった。
(iii−1)スプレー菊(実験例8の灌水溶液を使用)
4月13日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図11に示した。
(iii−2)スプレー菊(参考例1の灌水溶液を使用)
4月16日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図12に示した。
上記結果から、実験例8を用いた栽培区では発芽が早いことが分かる。また、その後の生育も実験例8を用いた方が早かった。
(iv−1)終日咲松葉ボタン(実験例8の灌水溶液を使用)
4月13日に発芽を確認した。4月13日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図13に示した。
(iv−2)終日咲松葉ボタン(参考例1の灌水溶液を使用)
4月16日に発芽を確認した。4月16日にこの栽培区をデジタル撮影して得られた画像による説明図を図14に示した。
上記結果から、実験例8を用いた栽培区では発芽が早いことが分かる。また、発芽本数も多かった。
[8]植物用鉄供給剤をイネの育苗に用いた場合の評価
(1)植物用鉄供給剤(水溶液を乾固品、実験例9)
無水クエン酸(純度99.8%)800gと水2リットルとをステンレス鋼製ビーカーに投入し、室温(20℃)で攪拌し、無水クエン酸を水に溶解させた。その後、上記[1](2)で得られたFeO粉末を100g投入し、更に30分間攪拌を継続した。次いで、この液体を濾過(濾紙を使用)して得られた濾液を90℃に調温された乾燥機で72時間乾燥させてペースト状物とし、更に、室温まで冷却して塊状物とした。得られた塊状物を乳鉢で粉砕し、次いで、目開き1.0mmの篩を通過させ、粒径1.0mm以下の植物用鉄供給剤(実験例9)を得た。
(2)植物用鉄供給剤(泥炭を含有、実験例10)の製造
上記[1](2)で得られたFeO粉末と、無水クエン酸(純度99.8%以上)と、泥炭加工土壌改良剤(日本肥糧株式会社製、商品名「くみあいハイフミン特号A」)とを、7.5質量%:10.0質量%:82.5質量%の割合で混合した後、直径3mm且つ長さ約6mmの円柱形に造粒して、泥炭を含有する植物用鉄供給剤(実験例10)を得た。
(3)イネの育苗
イネ(品種;日本晴れ)の種子を2日間、ティッシュペーパーを敷いたシャーレを室温湿潤として催芽させた。その後、各栽培用ポットに下記育苗用培土を投入し、上記催芽させたイネを1ポット当たり20粒ずつ直播きした(1月15日播種)。播種に際してはイネの種子を培土の表面から約0.5cmの深さに埋め込んだ。各栽培用ポットを人工気象器内に置き、下記育苗条件下においてイネを3月10日まで育苗して、植物用鉄供給剤の効果を評価した。
(4)使用した育苗用培土
参考例2;貝化石土壌(CaCOを約70質量%含有、以下同様)300mLに対して、肥料(チッソ旭肥料社製、商品名「ロングトータル70」、以下同様)1gを配合した土を育苗用培土とした。
実験例9−1;上記貝化石土壌300mLに上記肥料1gと、実験例9の植物用鉄供給剤0.1gとを配合した土を育苗用培土とした。
実験例9−2;上記貝化石土壌300mLに上記肥料1gと、実験例9の植物用鉄供給剤1.0gとを配合した土を育苗用培土とした。
実験例10−1;上記貝化石土壌300mLに上記肥料1gと、実験例10の植物用鉄供給剤1.0gとを配合した土を育苗用培土とした。
実験例10−2;上記貝化石土壌300mLに上記肥料1gと、実験例10の植物用鉄供給剤2.0gとを配合した土を育苗用培土とした。
(5)育苗条件
人工気象器(日本医科器械製作所製、型式「LH−100S」)を用い、日照を14時間(照度は1500ルクス、温度は25℃)、夜間を10時間(温度は20℃)に調整して運転した。また、灌水は、当初各ポットに対して50mlの蒸留水を添加し、育苗期間を通じて毎日各ポット全体の質量が400gに維持されるように灌水を行った。更に、生育期間を通じて各ポットを毎日ランダムに位置換えし、照明(日照)が均等に照射されるようにした。
上記育苗を終えた3月10日に、各ポットのそれぞれ20本の草丈を測定し、その平均値を算出した。更に、SPAD値(葉緑素量の指標である緑色濃度)を、葉緑素計(ミノルタ株式会社製、型式「SPAD−502」)を用いて測定した。次いで、各ポットから苗を取り出し、根の土をふるい、デジタル撮影した(得られた画像による説明図を図15に示した)。その後、7日間乾燥させ、更に根の土のほぼ全量をふるい落とし、次いで、地上部乾物重と根部乾物重(根乾物重と籾重との合計)とを測定した。この結果を表4に示した。
尚、苗の草丈とSPAD値については、各々のポットのそれぞれ20本の苗の平均値と標準偏差とを記載した。
(6)評価結果
表4及び図15〜17の結果より、肥料は与えたが植物用鉄供給剤を与えなかった参考例2による苗は、草丈が15.9cm、SPAD値が13.0、地上部乾物重が0.38g、根部乾物重が0.31gという結果であった。
これに対して、0.1gの実験例9の植物用鉄供給剤を与えた実験例9−1では、僅かな配合量であるにも関わらず、アルカリ土壌内においても植物鉄供給剤を配合した効果が認められた。即ち、参考例2に対して、草丈及びSPAD値が1.5倍、地上部乾物重が2.6倍、根部乾物重が1.7倍であり、いずれも参考例2よりも優れていることが分かる。
更に、植物用鉄供給剤の配合量を実験例9−1に対して10倍量に増量した実験例9−2では、その増量効果が認められた。即ち、実験例9−1に対して、草丈は1.1倍と変化が小さいが、SPAD値は1.4倍、地上部乾物重が1.4倍、根部乾物重が2.4倍であった。また、実験例9−2では、草丈及びSPAD値の標準偏差が大きく、鉄供給量の閾値を示している可能性がある。このため、より多くの植物用鉄供給剤を配合した方がよいものと考えられる。
また、1.0gの実験例10の植物用鉄供給剤を与えた実験例10−1についても、アルカリ土壌内においても植物鉄供給剤を配合した効果が認められた。即ち、参考例2に対して、草丈が1.7倍、SPAD値が2.1倍、地上部乾物重が2.9倍、根部乾物重が2.8倍であり、いずれも参考例2よりも優れていることが分かる。
更に、植物用鉄供給剤の配合量を実験例10−1に対して2倍量に増量した実験例10−2では、実験例10−1に対して、草丈及びSPAD値は1.1倍、地上部乾物重は0.65倍、根部乾物重は0.77倍であった。このように実験例10−1と実験例10−2を比較した場合の明確な差異は認められ難いが、これは生分解性増量剤を含有することによる遅効性効果が現れているためと考えられる。即ち、実験例9の植物用鉄供給剤は即効性を有しているのに対して、実験例10の植物用鉄供給剤は遅効性を有していることが分かる。従って、より長期間の育苗を行うことで差異が認められるようになるものと考えられる。
本発明の植物用鉄供給水溶液及び植物用鉄供給剤は、農林分野において広く利用される。即ち、例えば、農産物の生産、水耕栽培、園芸植物の生産、公園及びゴルフ場の製造・保持、森林保持等に広く利用される。特に各種農産物の生産分野において植物成長促進剤として有用である。更に、世界各地の不毛の土地での植物の成長による食料問題の解決、及び二酸化炭素の吸収促進による地球環境の改善等に利用することもできる。

Claims (11)

  1. クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液からなり、
    上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
    Fe2+イオンとFe3+イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe2+イオンが50〜90質量%であることを特徴とする植物用鉄供給剤。
  2. 168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe2+イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe2+イオン濃度の75%以上である請求項1に記載の植物用鉄供給剤。
  3. 1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有する請求項に記載の植物用鉄供給剤。
  4. 168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe2+イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe2+イオン濃度の75%以上であり、
    1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe2+イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有し、
    上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
    上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
    上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である請求項1に記載の植物用鉄供給剤。
  5. クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液から水を除去してなり、
    上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有し、
    本植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、Fe2+イオンとFe3+イオンとを含有し、総Feイオン量を100質量%とした場合に、該Fe2+イオンが50〜90質量%であることを特徴とする植物用鉄供給剤。
  6. 本植物用鉄供給剤を溶解させてなる水溶液は、168時間静置した後に該水溶液内に認められるFe 2+ イオン濃度が、測定開始直後に認められるFe 2+ イオン濃度の75%以上であり、
    1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが2つ配位した二量体錯体と、1つのFe 2+ イオンに対してクエン酸及び/又はクエン酸イオンが3つ配位した三量体錯体と、を含有し、
    上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
    上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
    上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上である請求項5に記載の植物用鉄供給剤。
  7. クエン酸粉末とFeO粉末と泥炭とを含有し、
    上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤。
  8. 請求項1に記載の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
    クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程を備え
    上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤の製造方法。
  9. 上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
    上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
    上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
    上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
    上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
    上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却するものである請求項に記載の植物用鉄供給剤の製造方法。
  10. 請求項に記載の植物用鉄供給剤の製造方法であって、
    クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを含む混合物を加熱して、該クエン酸及びFeOが溶解されて得られた水溶液を得る溶解工程と、
    上記水溶液から水を除去する乾燥工程と、を備え
    上記FeO粉末は、該FeO粉末全体に対してFeOが50質量%以上であり、且つCaAl 、FeAl 、CaFe Si 、CaSi 及びMgFe のうちの少なくとも1種の複酸化物を含有することを特徴とする植物用鉄供給剤の製造方法。
  11. 上記混合物は、クエン酸粉末と、FeO粉末と、水とを、質量比60〜90:7〜28:3〜20の割合で含み、
    上記FeO粉末は、鉄分を含有するダストを造粒してなる造粒品、及び/又は鉄分を含有するダストと金属鉄とを造粒してなる造粒品、を真空加熱したのち真空急冷して得られたFeO粉末であり、
    上記鉄分を含有するダストに含有される鉄分量は、ダスト全体を100質量%とした場合に金属鉄換算で30質量%以上であり、
    上記造粒品の粒径は25mm以下であり、
    上記真空加熱における真空度は0.1〜13.3KPaであり且つ加熱温度は600〜1100℃であり、
    上記真空急冷における真空度は5.3〜13.3KPaであり、300℃以下の温度まで降温速度5〜150℃/分で冷却するものである請求項10に記載の植物用鉄供給剤の製造方法。
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