JP5804454B2 - コーヒー粕あるいは茶殻を原料とした還元力を備えた水溶性鉄供給剤 - Google Patents
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Description
また、本発明は、植物栽培(特に水耕栽培やアルカリ土壌での栽培)において、水溶性の鉄イオンの長期安定供給が可能な植物栽培用鉄供給剤に関する。また、本発明は、食品及び医薬用途において、経口摂取によって水溶性の鉄イオンの供給が可能な鉄供給剤に関する。
そこで、これを補う資材として、キレート鉄(鉄イオンを複数の配位で錯体として維持した化合物)を有効成分とする鉄供給剤が開発されている。
例えば、強力な鉄キレート作用を有するEDTAなどを利用した鉄供給剤が知られているが(非特許文献1参照)。しかし、アルカリ条件下では、これらの鉄供給剤は短時日でキレート能を失い、鉄分を安定供給することができない。さらに、これらの物質は、天然物質ではないため、有機農業では使用できない。
また、天然物由来の有機酸であるクエン酸、リンゴ酸、乳酸などのキレート鉄を利用した鉄供給剤も知られている(特許文献1参照)。しかし、これら有機酸のキレート鉄は、キレート能が弱く、アルカリ土壌だと容易にキレート能を失うため鉄が速やかに不溶化してしまい、鉄分を安定供給することができない。
このように、アルカリ土壌におけるアルカリ条件下では、キレート効果が失われ、キレート剤から脱離した鉄イオンが不溶化してしまうことで、作物が吸収しにくい形態となってしまう。
しかし、食品・医薬の分野においては、人体の摂取に安全な原料のみを用いて、可溶化した鉄分(特に二価の鉄イオン)を安定して供給できる鉄供給剤は、高価な製法によるものであり、極めて安価に優れた鉄供給剤を製造する技術が求められていた。
また本発明は、三価の鉄を鉄供給原料に用いて、水溶性の鉄イオン(特に二価の鉄イオン)を供給できる鉄供給剤を製造することを課題とする
また、本発明は、これらの鉄供給剤を極めて安価に製造することを課題とする。
即ち、請求項1に係る本発明は、コーヒー豆の粉砕焙煎物および/または茶葉を金属イオン可溶化成分の供給原料として用い、当該金属イオン可溶化成分の供給原料と三価の鉄を含む鉄供給原料とを、前記金属イオン可溶化成分の供給原料の乾燥物100重量部に対して、鉄元素が0.1〜10重量部含有するように、水存在下で混合し、得られた反応生成物を有効成分として含有してなる二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項2に係る本発明は、前記金属イオン可溶化成分の供給原料がコーヒー粕である、請求項1記載の二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項3に係る本発明は、前記金属イオン可溶化成分の供給原料が茶殻である、請求項1記載の二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項4に係る本発明は、前記鉄供給原料が三価の鉄イオンを生ずる化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項5に係る本発明は、前記鉄供給原料が土壌であり、且つ、前記混合が40〜200℃で行うものである、請求項1〜3のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項6に係る本発明は、前記二価鉄イオン供給剤が植物栽培用である、請求項1〜5のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤に関する。
また、請求項7に係る本発明は、請求項6に記載の二価鉄イオン供給剤を、アルカリ土壌に含有させることを特徴とする、植物栽培方法に関する。
また、請求項8に係る本発明は、前記二価鉄イオン供給剤が経口摂取用である、請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性鉄供給剤に関する。
また、本発明は、鉄供給原料として、天然に豊富に存在する三価の鉄(特に土壌に由来するもの)を用いることによって、安価に水溶性鉄供給剤を製造することを可能とする。
さらに、本発明は、金属イオン可溶化成分の供給原料として、コーヒー粕や茶殻を用いることによって、さらに安価に水溶性鉄供給剤を製造することを可能とする。
なお、コーヒーや茶殻は世界的に愛飲されている嗜好品であり、その廃棄物であるコーヒー粕、茶殻は世界中で毎日のように大量に産出されているが、その使途は堆肥や消臭剤などに限定されており、新たな有効利用法の模索が続いている。従って、本発明により、これら食品廃棄物の新規利用用途を創出し、有効利用に貢献することが期待される。
本発明のおける金属イオン可溶化成分の供給原料としては、コーヒー豆の焙煎粉砕物や茶葉を用いることができる。また、両者を混合して用いることもできる。
また、当該金属イオン可溶化成分の供給原料としては、当該コーヒー豆の焙煎粉砕物や茶葉(特にはコーヒー粕や茶殻)を水浸漬して得られる抽出成分(いわゆる淹れたコーヒーや茶の可溶性成分、あるいはコーヒー粕や茶殻の可溶性成分)、あるいは不溶性成分のみ(いわゆるコーヒー粕や茶殻)のいずれでも用いることができる。なお、これらの成分はそれぞれ乾燥粉末化して用いることもできる。
当該成分は、非常に多くの分子種のフェノール類やポリフェノールを含む組成物であり、三価の鉄を二価の鉄イオンに還元する作用と、二価の鉄イオンを長期間維持できる作用の両方を有するものである。
なお、三価鉄は、鉄供給原料の種類や条件(特にアルカリ条件)によって不溶化した状態になりやすいが、三価から二価に還元された鉄イオンは、水に溶けやすく、動植物に吸収されやすい状態となる。
ここでコーヒー豆としては、コーヒーノキであるCoffea arabica(アラビカ種)、C.canephora(ロブスタ種)、C.liberica(リベリカ種)の種子であれば如何なるものを用いることができる。なお、生のコーヒー豆であってもよい、通常用いられるように乾燥保存されたものでもよい。
また、原料コストの観点を踏まえると、工業的には、規格外のコーヒー豆を用いることが好ましい。特には、コーヒー抽出後に大量に廃棄される‘コーヒー粕’を用いることが最も好適である。
また、粉砕としては、コーヒーミル、グラインダー、石臼などによって通常のコーヒー豆が挽かれた状態にすればよく、粗挽きから粉末化状態のものまで幅広く含むものである。なお、破砕、粉砕、粉末化などの処理も含むものである。好ましくは、鉄との反応効率の観点から、粒子径の小さい粉末化したものが好適である。
なお、摘んだ茶葉は細胞の内容物が混ざり合って酸化発酵が起こるが、ここでは如何なる発酵段階の茶葉であっても用いることができる。例えば、加熱して酸化発酵を抑えた緑茶(煎茶、番茶、茎茶、ほうじ茶など)、;ある程度発酵させた青茶(ウーロン茶など)、;完全に発酵させた紅茶、;酸化発酵後にさらに麹菌発酵させた黒茶(プーアル茶など)、;などを用いることができる。好ましくは、緑茶、紅茶、ウーロン茶を挙げることができる。
なお、原料コストの観点を踏まえると、工業的には、規格外の茶葉を用いることが好ましい。特には、茶の抽出後に大量に廃棄される‘茶殻’を用いることが最も好適である。
本発明では、三価の鉄を含む鉄供給原料のいずれも用いることができる。
例えば、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)などの水溶性の鉄化合物、;酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)などの不溶性の鉄化合物、;土壌(特に赤玉土、鹿沼土、ロームなどアロフェン質の鉄分を多く含む土壌、非結晶質の鉱物〔特にゲータイト〕を含む土壌)、ヘム鉄、貝殻などの天然物、;を挙げることができる。またこの他にも、鉄鉱石(黄鉄鉱、白鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱など天然の鉄鉱石)や鉄材(金属鉄)、赤土(ラテライトなど酸化鉄(III)を多く含む土)を酸で溶解したものを挙げることができる。その他、錆びも原料として用いることができる。また、水溶性の鉄化合物が溶解した三価の鉄イオンを含む水溶液を用いることもできる。
これらのうち、食品及び医薬などの分野で利用する場合は、原料コストや品質保証の観点から、安価な鉄化合物(塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)など三価鉄の化合物)を用いることが好適である。
また、有機農業で利用する場合は、原料を天然物に限る必要があることと原料コストや安定供給の観点から、天然物である土壌(特に赤玉土、鹿沼土、ローム)を鉄供給原料として用いることが好適である。
本発明では、前記金属イオン可溶化成分供給原料(もしくは当該原料由来の前記成分)と前記鉄供給原料(もしくは三価の鉄イオン)を、水存在下で混合することによって、水溶性鉄イオン(二価の鉄イオン)を長期安定供給可能な反応生成物を得ることができる。
例えば、用いる水の量としては、混合操作によって前記原料が湿潤する程度の水の量があれば十分であるが、前記原料の合計1質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは2質量部以上用いることが望ましい。なお、上限としては、混合操作が可能な量であればよいが、例えば、100質量部以下、好ましくは10質量部以下を挙げることができる。
なお、水としては、通常の如何なる水でもよく、井戸水、河川・湖沼水、海水、水道水、脱イオン水、蒸留水、などを挙げることができるが、pH緩衝剤、塩(NaCl, KClなど)、アルコール(エタノール等)、糖類、酸、アルカリなどを含むものであっても、当該反応が起こる条件のものであればよい。
また、上限としては、10重量部以下、好ましくは、5重量部以下であればよい。鉄の割合が多すぎる場合、還元しきれなかった三価の鉄が残存し好ましくない。
ここで水の温度としては、水が液体状態である温度であればよいが(例えば1〜100℃)、室温程度(例えば10〜40℃)で特に加熱を要することなく行うことができる。
なお、鉄供給原料として特定の天然物(具体的には土壌)を用いた場合や、不溶性の鉄化合物が主体である場合、当該混合時の水を40℃以上、好ましくは50℃以上で行うことによって、鉄と金属イオン可溶化成分が反応しやすくする処理が必要となる。なお上限としては200℃(加圧加熱の場合)を挙げることができるが、製造コストの観点から、通常加熱での水の沸点である100℃以下、さらに好ましくは70℃以下で行うことが望ましい。なお、100℃以上の反応条件において、金属イオン可溶化成分の熱分解を抑制するには、密閉容器内で行う方が効果的である。
また、上限としては、微生物の繁殖による腐敗を防止するため、240時間以下で行うことが望ましい。ただし滅菌処理を伴う場合は特に上限はない。
上記工程によって得られた反応生成物(混合処理後のコーヒー焙煎粉砕物や茶葉)は、前記鉄供給原料由来の三価鉄が還元された二価鉄イオン(水溶性鉄イオン)を、長期安定維持して、供給できる性質を有するものである。また、当該水溶性鉄イオン供給能は、アルカリ条件下においても安定して発揮されるものである。
従って、当該反応生成物は、‘水溶性鉄供給剤’の有効成分として優れた性質を有するものである。
なお、得られた反応生成物から上清のみを回収した液体(もしくはその乾燥物)についても、当該有効成分として用いることもできる。
本発明の水溶性鉄供給剤は、植物栽培用の水溶性鉄イオン供給剤として用いることができる。また、天然物由来の原料のみで製造することもできるため、環境に極めて安全なものである。なお、当該水溶性鉄供給剤が供給可能な水溶性鉄イオンは、二価の鉄イオンであるため、植物の吸収に好適である。
ここで、アルカリ土壌としては、pH7〜10程度のアルカリ性条件にある土壌を指し、石灰質アルカリ性土壌などを挙げることができるが、本発明はpH9以上の強いアルカリ性の土壌にも用いることができる。なお、これらの条件下では、従来の一般的なキレート剤(EDTA鉄やクエン酸鉄など)等の鉄供給剤は全く使用できない。
剤の使用形態としては、液体の場合はそのままもしくは希釈して、固形の場合は水等に溶いて、用いることができる。
具体的には、本発明の水溶性鉄供給剤を、栽培土壌中に埋め込む、;栽培土壌中に添加する、;栽培土壌に液状散布する、;栽培土壌に含有させた混合土壌を調製する、;水耕栽培の養液に添加する、;植物に葉面散布する、;植物に注入する、;などによって、用いることができる。
水溶性鉄供給剤の使用量としては、例えば、有効成分である前記反応生成物を、土壌に含有させる場合は0.01〜50g/L(土壌体積あたりの含量)、水耕栽培の養液に含有させる場合は0.01〜50g/L(養液あたりの濃度)、含むように使用すればよい。
また、本発明の水溶性鉄供給剤は、食品及び医薬用途において、経口摂取用の水溶性鉄イオン供給剤として用いることができる。また、天然物由来の原料を用いて製造できるため、人体に極めて安全なものである。なお、当該水溶性鉄供給剤が供給可能な水溶性鉄イオンは、二価の鉄イオンであるため、人体の吸収に好適である。
なお、当該水溶性鉄供給剤は、飲食品に含有させて機能性飲食品として用いることもできる。
また、当該剤を含有させることができる機能性飲食品としては、種々の食品原料と混合して、例えば、錠剤(チュアブル錠〔サプリメント等〕など)、ビスケット、スナック菓子、キャンディ、ゼリー、アイスクリーム、ふりかけ、清涼飲料水、ドリンクなど、に添加して使用してもよい。
ただし、対象の年齢、体重、症状、摂取スケジュール、製剤形態などにより、適宜決定することが望ましい。
コーヒー粕を用いて、赤玉土に含まれる三価鉄を二価鉄イオンに還元して可溶化する実験を行った。
1200gの赤玉土を800gのコーヒー粕と混合し、その倍の重量の水を添加混合し、60℃で一晩静置することで反応させた。反応後、風乾して乾燥させた。そして、そのうち2gを1Lの蒸留水に加えて懸濁した(試料1-1:コーヒー粕・赤玉土懸濁溶液)。なお、対照として、1.2gの赤玉土のみを1Lの水に懸濁した溶液を調製した(試料1-2:赤玉土懸濁溶液)。これらの溶液は、室温で44日間静置した。
また、比較試料として、コーヒー粕に代えて同重量のクエン酸を用いたこと以外は、上記と同様にして溶液を調製した(試料1-3:クエン酸・赤玉土懸濁溶液)。なお、当該比較試料については、長期の室温静置を行わなかった。
得られた3つの溶液3mlに、0.2%ジピリジル(ジピリジル2g、酢酸100g/L)を0.1ml添加し、発色を見ることで二価鉄イオンの検出を試みた。結果を図1に示す。なお、ジピリジルは、二価鉄イオンと反応した時に赤色に呈色する物質であり、二価鉄イオンの検出に用いられる。三価鉄(もしくは三価鉄イオン)とは反応せず、無色のままである。
これに対して、試料1-3(クエン酸・赤玉土懸濁溶液)からは二価の鉄イオンは検出されず、クエン酸(二価鉄イオンのキレート作用がある)は赤玉土中の三価の鉄を二価の鉄イオンに還元、水溶化することが(同様の製造方法をとった直後であっても)できないことが示された。また、対照である試料1-2(赤玉土懸濁溶液)からも、二価の鉄イオンは検出されなかった。
このことから、コーヒー粕を用いることで、従来のキレート剤であるクエン酸では利用できなかった赤玉土中の三価の鉄に対しても二価の鉄イオンに還元して可溶化できることが示され、植物が吸収しやすい二価鉄イオンを安定供給できることが示唆された。
なお、コーヒーに含まれるクロロゲン酸、タンニン酸、カフェイン酸には、鉄のキレート作用があることは従来知られているが、これらの化合物には三価鉄を二価に還元する能力については知られていなかった。
このことから、当該コーヒー粕由来の成分には、三価鉄から二価の鉄イオンへの還元作用があることが初めて明らかになった。なお、その還元作用成分は、フェノール類やポリフェノール類であると推測される。
まず、実施例1と同様にして、コーヒー粕と赤玉土を水存在下で反応させ、風乾させて乾燥物(コーヒー粕と鉄の反応生成物)を得た。
そして、アルカリ土壌(pH9.2)を充填したポットに、当該乾燥物を1g/kg含むように添加し、イチゴを栽培した。また、対照として、当該乾燥物を添加せずにアルカリ土壌を充填したポットを用いて栽培した。結果を図2に示す。
このことから、鉄が不溶化しやすいアルカリ土壌でも、コーヒー粕と鉄の反応生成物を用いることによって、植物が吸収しやすい鉄イオンの安定供給が可能であることが示された。
また、人体に極めて安全な経口摂取用の鉄供給剤として、食品・医薬分野における応用が期待される。特に鉄分の不足により引き起こされる様々な症状の改善に貢献することが期待される。
さらに、コーヒー粕や茶殻などの食品廃棄物の新規利用用途を創出し、有効利用に貢献することも期待される。
Claims (8)
- コーヒー豆の粉砕焙煎物および/または茶葉を金属イオン可溶化成分の供給原料として用い、当該金属イオン可溶化成分の供給原料と三価の鉄を含む鉄供給原料とを、前記金属イオン可溶化成分の供給原料の乾燥物100重量部に対して、鉄元素が0.1〜10重量部含有するように、水存在下で混合し、得られた反応生成物を有効成分として含有してなる二価鉄イオン供給剤。
- 前記金属イオン可溶化成分の供給原料がコーヒー粕である、請求項1記載の二価鉄イオン供給剤。
- 前記金属イオン可溶化成分の供給原料が茶殻である、請求項1記載の二価鉄イオン供給剤。
- 前記鉄供給原料が三価の鉄イオンを生ずる化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤。
- 前記鉄供給原料が土壌であり、且つ、前記混合が40〜200℃で行うものである、請求項1〜3のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤。
- 前記二価鉄イオン供給剤が植物栽培用である、請求項1〜5のいずれかに記載の二価鉄イオン供給剤。
- 請求項6に記載の二価鉄イオン供給剤を、アルカリ土壌に含有させることを特徴とする、植物栽培方法。
- 前記二価鉄イオン供給剤が経口摂取用である、請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性鉄供給剤。
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