JP4083117B2 - 電子回路最適並列検査アクセス方法及び装置 - Google Patents

電子回路最適並列検査アクセス方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本出願は、2001年7月5日付で出願された米国仮特許出願、出願番号60/303,052、発明の名称「電子回路の最適並列検査及びアクセス方法及び装置」に基づく優先権を主張するものである。
合衆国後援研究開発に関する記述
該当しない。
発明の背景
本発明は総じて集積回路、回路板及びシステムの走査方式による検査に関し、より詳細にはシステム中の複数の電子回路へアクセスしてこれら複数電子回路について並列で最適検査を行う方法及び装置に関する。
【0002】
走査方式検査は電子部品(例えば集積回路(IC))及びシステム(例えばプリント回路板(PCBs)及び故障を検出診断して修復するチップ上システム(SoC))の開発及び製造においてしばしば採用される。この検査方法は回路の状態素子が直列シフト(すなわち走査)レジスターを形成するように構成されているので一般的に「走査」と呼ばれ、検査モード操作中はしばしば走査パスあるいは走査チェインと呼ばれている。走査検査では一般的に、検査刺激としてデジタル論理値を与えて検査刺激に反応するデジタル論理値を得る方法として検査実行中ユニット(UUT)の走査パス中へ(スキャンイン)あるいは走査パスから(スキャンアウト)データを連続的にシフトする操作が行われる。前記反応は通常予測されるスキャンアウトデータと比較され、データ比較中に失敗があった場合はUUTの故障として検出表示される。従って、デジタル回路においては、走査検査モードにはUUTに含まれる組合せ論理の入力及び出力の完全な制御及び監視を行う性能が備えられている。かかる方式により、検査における問題点が単純化され検査の質が向上し検査全体に要する費用の低減が図られる。
【0003】
連続走査アクセスの付与により物理的探測を必要とせずに回路状態を監視制御する方法が与えられるので、UUTは検査及びデバッグを目的とする可視機能を行うことが可能となる。走査によらなければ、回路の内部接続点はUUTの物理的ピンを介してのみアクセス可能となろう。その場合、回路の検査あるいはデバッグには内部状態を制御監視するための複雑な連続操作を行うことが必要とされよう。走査装備されたUUTは該UUTへ接続された他の回路、例えば埋設メモリ及びコア等のUUT内に埋設された回路あるいはUUTへ外部接続された他の回路等へアクセスするためにも使用できる。このような取り組みは外部メモリ内容をプログラミングする目的、例えばフラッシュメモリへ接続されたICの境界走査パスからフラッシュメモリをプログラミングする目的で外部メモリへアクセスする場合にしばしば採用される。
【0004】
走査アクセスは一般的には、本願に参考として含めたIEEE1149.1基準検査アクセスポート及び境界走査アーキテクチャー仕様書に従って行われる。この基準は主としてPCB検査における問題を解決するために設けられたものである。前記IEEE1149.1基準ではPCBへ取り付けられた装置のI/Oピンへのアクセスを容易にするために境界走査パスが用いられる。また、IEEE1149.1基準はIC、PCB及びシステムの検査、デバッグ及びシステム内配置を容易にするためにIC内の走査パスへアクセスするためにも使用できる。
【0005】
図1は従来のIEEE1149.1境界走査アーキテクチャー100を説明する図である。図1に示すように、IEEE1149.1境界走査アーキテクチャーに従ったICには検査クロック(TCK)、検査モード選択(TMS)、検査データ入力(TDI)及び検査データ出力(TDO)(さらに任意的な検査リセット(TRSTN))と呼ばれる4つ(任意的な検査リセットを含めると5つ)の付加部品であるピンが備えられている。これら専用の検査ピンは一般的に検査アクセスポート(TAP)と呼ばれる。さらに、IEEE1149.1に従うICは、3つの走査レジスター、すなわち命令レジスター(IR)102及び、バイパスレジスター104及び境界操作レジスター(BSR)106と呼ばれる2つの標準データレジスター(DR)を実行する。図1にはさらに、IEEE1149.1基準がデザイナーに付加検査サポートの実行を許容し内部走査パス及び組み込み自己検査(BIST)等の前記アーキテクチャー100中の特徴をデバッグするユーザーDR108が示されている。
【0006】
IEEE1149.1基準では、前記5つのTAPピンには次のような機能がある。
【0007】
TCKは、個々のIC部品内及びTAPを介してアクセスされる複数のIC部品中において種々検査機能の実行を同期化させるために与えられる入力信号である。TCKは通常一定周波数で自由に流れる周期的クロック信号である。しかし、その用途によってTCKを発したりあるいは停止させたり、あるいはその周波数を変更させることは可能である。殆どの検査作動はTCKパルスの立上がり縁上で行われるが、いくつかの作動はTCKの立下り縁上のみで起こる。
【0008】
TMSはTAPコントローラ110の内部状態を制御するために用いられる入力ピンである。前記TAPコントローラ110は前記アーキテクチャー100内の機能へアクセスする基準IEEE1149.1プロトコルを与える16段階の有限状態機械(FSM)である。IEEE1149.1基準によって規定された一定の作動が許容され、この作動は特定のTAPコントローラ状態でのみ実行することができる。TMS値はTCKの立上がり縁上でサンプリングされる。
【0009】
TRSTNはTAPコントローラ110の非同期的初期化を与える入力信号であり、TRSTNは該入力信号を検査論理リセット状態にしてIC部品にその特命機能の実行を可能とする。TCK入力及びTMS入力の状態に拘らず、目的のTAPコントローラが前記検査論理初期化状態に入り、TRSTNの論理値が0である限り該検査論理初期化状態に留まる。少なくとも5TCK期間中はTMSを論理1数値へ設定することによってTAPコントローラ110を初期化することも可能であるので、TRSTNは任意な入力信号として定義されてきた。
【0010】
TDIは装置へ連続スキャンインデータを与える入力信号である。TDIは他の装置のTDOあるいは操作コントローラあるいは自動検査器具(ATE)等の外部検査資源から検査データを受け取る。TDI上の信号の論理値はTCKの立上がり縁上でサンプリングされる。
【0011】
TDOは装置からの連続スキャンアウトである。装置がデータを走査できる場合、該装置のTDOは検査データを他の装置のTDOへ送信しあるいは検査装置へデータを戻す。TDO上のスキャンアウト数値はTCKの立下り縁における変化を出力する。
【0012】
IEEE1149.1基準は複数部品のTAPポートの相互接続を容易にしてIEEE1149.1バスを形成し、該バスは共通TAPプロトコルへ接続された回路へのアクセスを可能としている。かかる構成は一般的には鎖状につなぎ合わされた個々の装置の連続データ端末、TDI及びTDOを、鎖に沿った前の装置からのTDO出力が鎖の次の装置のTDI入力へ接続されるように接続することによって達成される。次いで、装置の個々のTMS、TCK(及び任意的にTRSTN)信号のすべてを共通に接続することによりTAPバス全体が形成される。
【0013】
典型的な鎖状につなぎ合わせたIEEE1149.1バス配列200を図2に示す。図2に示すように、第一装置202.1(UUT1)上のTDI入力及び最終装置202.n(UUTn)上のTDO出力がそれぞれ前記バスの連続データ入力及び連続データ出力として用いられる。図2に示したバス配列を仮定すれば、検査装置はバスのTDI、TDO、TMS、TCK、及びTRSTNを接続することができ、IEEE1149.1TAPプロトコルを用いて装置202.1〜202.nとの交信が行える。
【0014】
図2の鎖状に繋ぎ合わさせた配列200は単一PCB上で使用できる。しかしながら、TAPバスがシステムバックプレーン上の複数のPCBを横切って拡がっている場合には別の方法がしばしば用いられる。この場合、前記バックプレーンに沿って図2の鎖状につなぎ合わせたTDI/TDO配列200を与えることは、もしいずれかのボードが引き抜かれたら走査の連鎖が断たれてしまうので実用的でない。さらに、異なるタイプのボードが加えられたりあるいは取り除かれた時に全体配列(例えば操作連鎖の全長)が変わる可能性もある。こうなると検査装置とボードが適切に区別され検査されるように検査装置が個々のボードと交信することが困難となる。従って、システムバックプレーンを横切る単一連続連鎖を実行するのは複雑を極めることとなるため、マルチドロップバスアーキテクチャーと通常呼ばれるIEEE1149.1TAPバス配列の開発及び利用に至っている。
【0015】
図3に示したように、IEEE1149.1バスの従来のマルチドロップ配列300を用いてバックプレーンを横切る単一TAPバスを設けて各ボード302.1〜302.nをバス上の同じ対の(すなわち平行の)ワイヤーと接続させることができる。TCK、TMS、TDI及び任意のTRSTNは入力信号なので、システムバックプレーンを横切るようにこれらを個々のボード302.1〜302.nの各TAPと直接接続できる。しかしながら、複数のTDO出力をマルチドロップバスの単一TDOワイヤー上へ接続することにより生じ得る信号衝突が起きないように注意を要する。上記接続は、IEEE1149.1基準によれば連続データがTAPのTDI−TDOピン中へあるいは該ピンから移動するときにTDO出力が追い出されることを必要とするので可能である。かかる作動は、連続移動がTAP−FSMのシフトIRあるいはシフトDR状態期間中のみ可能となるようにTAPコントローラ110(図1参照)の内部状態によって制御される。他のすべての場合においては、TDO出力を不活性化するか高インピーダンス状態にすることによってTDO出力は不能となる。
【0016】
しかしながら、マルチドロップ配列300を用いる場合、すべてのTAPコントローラが同じ対の入力信号を受け取るので互いにロック段階で作動する。すなわち、TAPコントローラのすべてが、前記アーキテクチャーに何らかの変化が加わらなければ(例えばシフトDR期間中)、いずれかのTAPコントローラからのTDO出力が可能となればすべての他のTAPコントローラからのTDO出力も可能となるような同一状態になる。加えて、すべてのTAPコントローラがロック段階で作動し同じ入力データ数値(すなわち共通のバスを備えたTDIからの数値)を受け取るので、アーキテクチャーに特別な考慮を払わなければ異なるボード302.1〜302.n上で異なる検査動作を行うことは困難である。
【0017】
IEEE1149.1バスのマルチドロップ配列300の制御には通常特注のTAPコントローラと該コントローラと交信する為の特別なプロトコルの使用が必要である。さらに、前記TAPコントローラ及びプロトコルは通常マルチドロップバスへインターフェース接続する各装置あるいはパネルを用いて使用される。前記マルチドロップ配列300には、単一のTAPコントローラがユニークに選択された後に該コントローラがそのTDO出力を運ぶように前記バス上の複数のTAPコントローラを取り扱う性能が要求される。選択が行われない場合、TAPコントローラは猶TDI入力を受け取ってロック段階で作動するが、マルチドロップバス上でTDO出力を運ぶことはできない。
【0018】
平行検査あるいはプログラム可能な回路構成についての現状の解決策としてUUTの「集団アクセス」あるいは「走査掛算器」構成を採用することがある。IEEE1149.1バスを用いる従来の集団アクセス走査掛算器配列400を図4に示す。本構成によれば、UUT402.1〜402.n(すなわちTDI、TMS、TCK及びTRSTN)への入力は並列にバスで伝達され、一方においてUUT402.1〜402.nそれぞれ(すなわちTDO)からの走査出力は多重送信コントローラ408へ個々に接続される。このように、前記バス上の各UUT402.1〜402.nには専用のTDOラインが通常必要とされる。高度な並列検査を要求する実用場面ではUUT402.1〜402.nから多重送信コントローラ408へと戻るように接続された多数のTDO信号が必要とされよう。従って、例えば、本配列400において100台のUUTを接続したいならば、100個の別個のTDOライン(UUT1台当り1個)がTDO選択回路406へ戻るように配列されることになる。前記多重送信コントローラ408の目的は、図4に示すように、4ないし5個の標準TAPコントローラピンしか有しない汎用のIEEE1149.1コントローラ404との単一インターフェース接続を可能とすることである。
【0019】
集団アクセス走査掛算器配列400への取り組みにより、IEEE1149.1コントローラ404はすべてのUUT402.1〜402.nへ並列でTAPプロトコルを与えるので、すべてのUUT402.1〜402.nは同じTAP命令データ及び検査データを受け取れる。さらに、図4に示したように、多重送信コントローラ408はUUT1台から単一TDO出力を選択してIEEE1149.1コントローラ404へ戻すことができるだけである。従って、集団アクセス走査掛算器配列400はバス上の共通TDI上のスキャンインデータを並列のUUT402.1〜402.nのすべてへ送ることはできるが、1台のUUTからだけしかTDO上のスキャンアウトデータを同時に受け取ることができない。かかる取り扱いによって複数装置のプログラムに要する時間の短縮は可能であるが、各UUTのTDO出力からのスキャンアウトデータのチェックに要する操作を迅速化することはできない。従って、例えばUUT上のフラッシュメモリのプログラム内容の照合には各フラッシュメモリの内容を個々に、すなわち1度に1内容を、読み直してチェックすることが要求される。ポーリングあるいはチェック状態を必要とする他の操作にも同様な負担が求められる。検査目的のため、TDOスキャンアウトを各UUT上でスキャンアウトの各ビットについてチェックする。従って、この取り組みにはUUTの連続検査に比べて殆ど利点がないことは明らかである。それゆえ、従来の集団アクセス走査掛算器配列400は並列検査に関して最適な解決策ではないのである。
【0020】
技術者によるIEEE1149.1境界走査、内部走査、及び組み込み自己走査(BIST)を含む検査性能デザイン(DFT)の利用は、IC、PCB及びシステムの複雑化にともなって増加している。このようなDFTの利用の増加により高質な検査が行われ、検査に要する時間と費用の低減が果たされ、デバッグの手間が省かれ、かつ販売開始までの時間も短縮されてきた。しかしながら、電子回路が成長複雑化し続けるにつれて、検査は猶も難題であり、高度な電子システムのデザイン及び製造におけるボトルネックとなる可能性がある。デザイン上の複雑化の増大に寄与し検査及びデバッグ操作において取り扱われるべき技術の例としては、埋め込みコア、埋め込みメモリ、アナログ/複合信号処理、及びプログラム可能論理(例えばCPLD及びFPGA)及び非揮発性メモリ(例えばFLASHメモリ)のシステム内配列(ISC)がある。さらに、このような製品に対する需要の増大と加えて市場における競合の増大により電子システムメーカーにはコスト削減とその販売するまでの時間の改善が求められ続けている。従って、コストを削減でき、かつ検査、デバッグ、及び複雑なIC、PCB及びシステム配列に要する時間を最小限にできる新たな方法が求められている。
【0021】
発明の要約
本発明に従って、複数の電子回路への同時(すなわち並列)アクセスを容易にする最適検査及びデバッグあるいはプログラム可能な回路の配列を目的とする並列検査アーキテクチャー(PTA)が提供されている。一実施態様では、前記PTAは並列検査バス(PTB)、該PTBに接続された検査コントローラ、及び前記PTBに接続された複数のアドレス指定可能PTBコントローラから構成され、前記PTBコントローラはアクセスを受ける各電子回路と連結できるようになっている。ここで開示されている実施態様においては、検査コントローラはPTB上の少なくとも1個の制御信号を各アドレス指定PTBコントローラへ送信して該PTBコントローラへカプラー接続可能な電子回路の並列走査アクセスを各アドレス指定PTBコントローラによって開始させるように構成されている。さらに、各アドレス指定PTBコントローラは、走査プロトコルを用いて検査コントローラによりPTB全体へ送られた少なくとも1個の制御信号に基づいて該コントローラへカプラー接続可能な各電子回路にアクセスし、生じたPTB上の走査データを各電子回路へのアクセスに応答して前記PTBコントローラへと送信する。
【0022】
前記電子回路はシステム内にIC、PCBあるいは回路が内蔵されたシリコンウェーハー上に製作されたICダイを備える何らかの回路を含むものでよい。前記PTAはすべての並列電子回路へアクセスして検査装置が同時に同タイプの複数回路の検査あるいはプログラムを行うことを可能とする。
【0023】
ここで開示されている並列検査アーキテクチャーは電子回路の検査及びプログラム可能論理装置及びメモリ配列に要するコストを低減する。PTAを備えることにより、PTAの制御に必要とされる検査装置を全機能ATEに代わってパーソナルコンピュータ(PC)あるいはUNIX(登録商標)ベースのワークステーション等の低コストシステムによって実行できることになる。さらに、PTAは複数回路を同時に検査あるいはプログラムできるので検査及びプログラムに要する時間を短縮できるのでコストの低減に寄与する。またPTAによれば計量性が伝統的ATEに比べて容易となる。一般的には、ATEは単一あるいは数個のみ並列のUUTの検査に限定されている。さらに、伝統的ATEの計量性は、資源(例えばテスターチャネル及びベクトルメモリ)を加え、あるいは複数のUUTの増加「並列」検査を行うために付加的なATEを用いるためコストがかかるのでしばしば非実用的である。
【0024】
PTAは複数のUUTの真正並列検査を行うように構成されている。PTAは同時に、すなわち1度に1個ではなく並列で、多数のUUTを検査あるいは照合することができる。PTAを用いた場合の、連続検査と比べての検査時間におけるスピードアップ程度は並列に接続され検査されるUUT台数に比例する。PTAは、従来の検査アーキテクチャーにおける各UUT用に別個のTDOラインを要する問題等を含めて種々の問題を解決するものである。このためPTAは実用的な使用が実現され種々の用途に使用されている。例えば、PTAは装置あるいはUUTと切り離して実行することができ、また最終システム構成の一部としてUUTと同時に実行することもできる。また例えば、ウェーハー探針におけるチップ検査の場合、PTAをテスターあるいは探針インタフェースカードの一部として与えることも可能である。さらに、PTAをシステムバックプレーン中へ差し込む各PCB上へ与えることもかのうである。また、例えばUUTがSoC内の埋め込みコアである場合において並列検査を行うように、IC内にPTAを与えることも可能である。
【0025】
PTAは高性能検査コントローラ及びUUTと交信するためのプロトコルを利用する。検査コントローラ自体は外部でUUTと接続することができるが、あるいは検査コントローラはUUTを内蔵するシステムに埋め込まれたマスター検査コントローラ(例えばPCBボード上のマスターコントローラ装置)あるいはシステム中のIC(例えばマスターコントローラコア)内に埋め込まれたマスター検査コントローラでもよい。前記外部検査コントローラは適当なアプリケーションソフトウェアを備えた汎用のコンピュータあるいはPCであってもよい。
【0026】
ここで開示されている並列検査アーキテクチャーは電子回路及び/またはプログラム可能な回路配列の並列検査に低コストで最適な解決策を提供するものである。該アーキテクチャーは用途に応じて適切な種々方式において実行できるものである。さらに、PTAはUUT検査を行うための例えば境界走査、内部走査及びBIST等のいずれのDFT方法をも支えるものである。
【0027】
本発明の他の特徴、機能、及び性状は以下に記載の詳細な説明により明らかにされる。
【0028】
発明の詳細な説明
参照のため、2001年7月5日出願の米国仮特許出願No.60/303,052を本願に添付した。
【0029】
図5は本発明に従った並列検査アーキテクチャー(PTA)500の一実施態様を示す図である。本実施態様においては、検査コントローラ502が並列検査バス(PTB)504へ接続されている。例えば、検査コントローラ502は、分離された外部検査コントローラであっても、あるいは例えば検査実行中ユニット(UUT)506.1〜506.nを含むシステム内に埋め込まれたマスターコントローラであってもよい。検査コントローラ502は、以下で述べるPTA500のプロトコルを用いてPTB504全体と交信するように構成されている。この図示された実施態様においては、UUT506.1〜506.nはアドレス指定可能PTBコントローラ回路508.1〜508.nのそれぞれを介してPTB504へ接続されている。さらに、PTA500はPTB504へ接続された1〜n個のUUTを備えていてもよい。次いでいずれか適当な個数のUUT様素子へ検査及び/またはデバッグ目的あるいはプログラム可能な回路配列目的で並列アクセスしてもよい。別態様として、各UUTが個別にアクセスされるようにすることも可能である。
【0030】
例えば、検査コントローラ502は、データを保存するための読み取り専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等の少なくとも1個のメモリを含む汎用のコンピュータあるいはPC、作動システム及び、検査、デバッグ、あるいはUUT506.1〜506.nをプログラム化可能に配列するためのアプリケーションソフトウェアモジュール、及びPTBを介して各PTBコントローラ回路508.1〜508.nを制御しかつ電子回路検査/デバッグ/配列アプリケーションを実行するための少なくとも1個のプロセッサから構成することができる。
【0031】
PTB504は、各アドレス指定可能PTBコントローラ回路508.1〜508.nを介した検査コントローラ502とUUT506.1〜506.n間の交信を容易にする。PTBコントローラは種々方法で実行できることが分かっている。例えば、PTBコントローラは単一装置として、すなわちUUT506.1〜506.n及び検査コントローラ502から分離して実行できる。別法として、PTBコントローラを例えばPCB上に取り付けられたあるいはUUTの一部として埋め込まれた多数の別個の装置として実行することも可能である。
【0032】
図示した実施態様においては、PTBコントローラ508.1〜508.nの各々が各UUT506.1〜506.nとの局部交信を取り扱う。PTBコントローラとそれに接続されたUUT間の局部交信に用いられるプロトコルは標準IEEE1149.1プロトコルである。従って、既存のUUTがPTBコントローラの標準IEEE1149.1インターフェースへ直接インターフェース接続できるようにPTAシステムを配列して実行することができる。
【0033】
PTB504、PTBコントローラ508.1〜508.n、PTAプロトコル、及び作動の詳細については以下において説明する。
【0034】
並列検査バス(PTB)
図6はPTB504(図5参照)へ接続された例示的並列検査バス(PTB)コントローラ508を示す図である。図示した実施態様では、PTB504には拡張マルチドロップバスが含まれている。図6に示すように、PTB504は標準IEEE1149.1信号、すなわちTCK、TMS、TDI、TDO及びTMS、を有する。さらに、PTB504には予測データイン(EDI)信号及びマスクデータイン(MDI)信号が含まれている。
【0035】
前記EDI及びMDI信号は、PTA500が並列のすべてのUUT506.1〜506.nについてスキャンアウトデータをチェックし照合できるようにするために与えられている。従って、検査コントローラ502及びPTAプロトコルは、PTB504のEDI信号上の予測スキャンアウトデータを与えるように作動する。このスキャンアウトデータは次いでUUT506.1〜506.nから来る実際のTDOデータと比較することができる。
【0036】
さらに、検査コントローラ502はPTB504のMDI信号上の予測TDOデータへマスクを与えるように構成される。これにより、UUT506.1〜506.nについて「X」(すなわち中間あるいは未知論理値)として特定されるいずれかの予測TDOデータをスキャンアウトデータのチェック期間中マスクして無視することが可能となる。従って、PTA500中のEDI及びMDI信号は、局部的に、すなわち検査コントローラ502ではなくPTBコントローラ508.1〜508.nのそれぞれによって行われるUUTのTDOデータのチェックを可能とする。
【0037】
PTB504へマルチドロップバスを用いることにより、PTA500は複数並列UUTの検査に最適な方法を与えるものとなる。マルチドロップPTB504の利用に際しては、TDOはPTBコントローラ508.1〜508.nへ並列に接続されているので、PTA500は各UUT用に個別のTDOラインを必要としない。これにより、UUT506.1〜506.nへの接続ためのワイヤー本数をかなり減らすことができる。さらに、PTB504上へEDI及びMDI信号を含めることにより、すべてのUUT506.1〜506.nを同時に検査できるスキャンアウトデータの分配チェック方式を採ることが可能となる。
【0038】
TDOは並列にバスで運ばれるが、PTB504は単一の選択UUTへの交信を支え、必要な場合は該選択UUTから戻される実際のTDOデータを受け取る。それゆえ、例えば検査コントローラ502を選択UUTのデバッグあるいは修復を行うことに用いることができる。さらに、PTB504を特定の検査処理に従って適応させ最適化させて与えることができる。例えば、ウェーハー探針の場合、PTB504をATE内へ、すなわち並列電磁界検査されるダイから分離して与えることができる。あるいは別態様として、PTB504を最終のシステム配列中のUUT506.1〜506.nとともに、すなわちシステムバックプレーンとともに与えることもできる。PTB504を含むPTA500を前記IEEE1149.1走査方法に代わる他の走査プロトコル及び/または方法を支えあるいは用いるように構成できることにも留意すべきである。
【0039】
アドレス指定可能PTBコントローラ
図6は例示的PTBコントローラ508を示す図である。図6に示すように、PTBコントローラ508には、PTB504上でPTBコントローラ508.1〜508.nのアドレス指定及び選択を行いかつUUT506.1〜506.n(図5参照)への走査アクセスを制御するアドレス指定可能TAPリンカー(ATL)602が備えられている。ATL回路602はマルチドロップバス処理において独立型装置として、すなわち並列検査性能を必要とされないPTBコントローラ508から分離して、用いることができると認められる。図示された実施態様ではUUTごとにPTB504へ接続されたATL602が与えられている。従って、複数のPTBコントローラ508.1〜508.nをPTB504へ接続し、PTB508.1〜508.n中の各ATLを順番に単一のUUT及びPTB504へインターフェース接続することができる。PTBコントローラ回路508にはさらにマスク及び比較回路604、デジタルI/O(DIO)回路606、PTBオートスタート回路608、及びプログラム可能I/O電圧回路610が含まれている。以下においてPTBコントローラ508の各機能ブロックについて説明する。
【0040】
アドレス指定可能TAPリンカー
図6に示すように、ATL602は標準IEEE1149.1信号であるTCK、TMS、TDI、TDO及びTMSを介してPTB504へ接続している。このマルチドロップPTBバス504への接続は検査コントローラ502によって用いられATL602及びPTAプロトコルを用いるPTBコントローラ508中に含まれた他の回路604、606、608及び610との交信が行われる。さらに、ATL602は各UUT(図示なし)及びPTBコントローラの他の回路604、606、608及び610とインターフェース接続している。
【0041】
UUT側ではATL602がUUTのTAPバスとインターフェース接続している。前記ATLは信号TDO_UUT、TMS_UUT、TCK_UUT、TCK_UUT、及びTRSTN_UUTをUUTへ出力する。これらの信号はUUTの対応するTAP入力へ接続される(例えばTDO_UUT出力はUUTのTDI入力へ接続する)。さらに、ATL602はUUTのTDO出力へ接続するTDI_UUT入力信号を有している。PTA500(図5参照)においては、検査コントローラ502はUUTのTAPへのATLインターフェースを用いてUUT506.1〜506.nとPTB504上のPTBコントローラ508.1〜508.n間のIEEE1149.1プロトコルを管理する。ATL602は、PTAプロトコル及び、UUT506.1〜506.nが並列にアクセスされているか否か、あるいはATL602へ接続された特定のUUTがそれ自身によってアクセスされているか否か(例えばPTB504上の特定のUUTのTDOデータを調べること)に基づいてUUTのTAPを制御する。図示された実施態様では、ATL602も前記マスク及び比較回路604、デジタルI/O回路606、PTBオートスタート回路608及びプログラム可能I/O電圧回路610へインターフェース接続している。
【0042】
ATL602は前記の通り、UUTをアドレス指定し選択するための多くの特徴を提供している。
【0043】
UUTのアドレス指定及び選択
図6に示したように、ATL602はATL_ADDR[n:0]バス上及びUUT_ID[n:0]バスの入力を受け取る。これらの入力は、検査コントローラ502(図5参照)がPTB504を介してPTBコントローラ508.1〜508.nのそれぞれへ接続されたUUT506.1〜506.nをアドレス指定及び選択することを可能とする。
【0044】
図示された実施態様では、PTB504へ接続されたすべてのPTBコントローラ508.1〜508.nはn+1ビットATLアドレスを与え、これらアドレスはATL_ADDR[n:0]ライン上のATL602へ入力される。ATLアドレスはPTB504上のPTBコントローラ508.1〜508.nのそれぞれがユニークなアドレスを割り当てられるように形成される。このアドレスは、検査コントローラ502がマルチドロップPTB504上のPTBコントローラ508.1〜508.nのうちの1つだけをアドレス指定し選択することを可能とする。例えば、もしPTBが16個のUUTまで支えられるように構成されれば、少なくとも4ビットATLアドレスが、16のユニークなATLアドレスまで与えるATL_ADDR[3:0]入力があるように与えられることになる。
【0045】
UUT_ID[n:0]ライン上のATL602へ入力されるUUTのIDを用いて、PTA500中の各PTBコントローラ508.1〜508.nへ接続されたUUT506.1〜506.n用の検査コントローラ502へUUT識別データが与えられる。図示された実施態様では、UUTのIDはUUTタイプ、及び任意にUUTバージョン、UUTメーカー及び/またはUUTの識別に使われる他のデータを提供する。すべてのUUTが同じタイプ及びバージョンであるようにPTAが与えられるならば、ATL602へのUUT_ID[n:0]入力は必要とされないであろう。この場合、ATL602はこれら入力なしに配列できるし、あるいはUUT_ID[n:0]ラインをいずれか所定のあるいはデフォルト論理値へ結びつけることができる。複数のタイプ(あるいはバージョン)のUUTを同一PTAに与える場合、UUTのIDは支えられるすべてのUUTがユニークな割当てを持てるように構成される。前記UUTのIDは、検査コントローラ502が同一タイプ、同一バージョン等のUUTを同時に、すなわちグループとして、アドレス指定及び選択することを可能する。
【0046】
前記したように、ATLアドレス及びUUTのIDは検査コントローラ502が用いるアドレス指定モードに従って1または2以上のUUTのアドレス指定及び選択を可能とする。図示した実施態様では、ATL602は以下のアドレス指定モードを支える。
【0047】
ATLアドレスモード:このアドレス指定モードではUUTのATLアドレス数値に基づいてUUTがユニークに選択される。本モードでは、すべてのATLアドレスが1台のPTBコントローラへ割り当てられているので1台のUUTだけしか選択できない。本モードで選択されたPTBコントローラを、そのTDOをPTB上へ運び出せるようにすることができる。
【0048】
UUTタイプモード:本モードではUUTのIDによって与えられるUUTのタイプ等に基づいてUUTのアドレス指定が行われる。UUTタイプモードは同一のタイプ、バージョン及び/またはメーカーのすべてのUUTへの一斉同報通信を可能とする。本モードでは、PTBコントローラはそのTDOをPTB上で運ぶことはできない(すなわち、そのTDOは隣接する3部分から成る)。
【0049】
グループアドレスモード:このモードは、検査コントローラが各PTBコントローラへグループアドレスを割り当てるプログラム可能なアドレス指定モードである。同一のグループアドレスによって複数のPTBコントローラをプログラムすることができる。その結果、グループアドレスモードを用いることにより、検査コントローラは2またはそれ以上のUUTとグループとして交信できる。これにより、UUTの一定の特性、例えばそのハードウェアバージョン、あるいは含まれるコンポーネントあるいは機能に基づいてすべてのUUTあるいは選択されたグループへ一斉同報通信を行うことができる。本モードでは、PTBコントローラはそのTDOをPTB上で運ぶことはできない(すなわち、そのTDOは隣接する3部分から成る)。
【0050】
別名アドレスモード:このモードは前記グループアドレスモードに類似するプログラム可能なアドレス指定モードである。しかしながら、別名モードでも単一PTBコントローラのユニークなアドレス指定は可能である。この場合、すなわち単一のUUTへユニークな別名が割り当てられた場合、PTBコントローラはそのTDOをPTB上で運ぶことができる。
【0051】
従って、ATLアドレスモードは単一UUTの選択を可能とし、UUTのADOがPTB上を進むことができ及び後続して検査コントローラがスキャンアウトデータを受け取ることを可能としている。本モードは個々のUUTを検査し及び配列し、また選択されたUUTだけにTDIデータを与え、一方他のUUTは該データを無視するように制御するために用いることができる。このように、ATLアドレスモードはデバッグ、診断、及び修復に用いることができ、その場合、データを1個のUUTのみに送るかあるいは検査コントローラを用いてUUTからの実際のTDO出力データを調べることが必要である。前記タイプモード及びグループモードは複数のボードへの一斉同報通信を可能とし、並列配列あるいはPTA500を用いる検査に用いることができる。さらに、前記別名モードではユニークな別名アドレスを割り当てることができ、この場合、PTBコントローラにPTBのTDOを運ばせることができる。ユニークな別名アドレスの割当てによって、一組のベクトルによるATLアドレスから独立したUUTのプログラム可能な配列あるいは検査が可能とされる。かかるATL602の特徴により、PTA500のマルチドロップ検査バスの実行において検査ベクトルの再利用が容易となる。
【0052】
PTBオートスタート
図6に示したように、ATL602は、検査実行中のすべてのUUT506.1〜506.nが存在し、かつ検査コントローラ502が一連の検査を開始できるPTB504のSTART信号上で、検査コントローラ502(図5参照)へ信号を送り返すように構成されたPTBオートスタート回路608へインターフェース接続している。このオートスタート性能により、PTA500はオペレーターの介在なしに製造環境における検査を自動的に開始させることができる。
【0053】
図示した実施態様では、PTBオートスタート回路608はUUTからUUT_PRESENT信号を受け取る。このUUT_PRESENT信号はPTBオートスタート回路608へ入力され、UUTがPTBコントローラ508へ接続された時に表明される。前記PTBオートスタート回路608のUUT_PRESENT信号は、このUUTがATL602のUUTバスへ接続され、アクセスされる準備が整ったことを表明する。一旦すべての検査実行中のUUT506.1〜506.nがそれらと連結するPTBコントローラ508.1〜508.nへ接続されれば、前記START信号がPTB504上に表明され、検査コントローラ502によって受け取られる。
【0054】
ATL602は、このPTBコントローラ508用のUUTが存在することが予測されるか否かによって前記オートスタート能を可能あるいは不能にできるようにPTBオートスタート回路608へインターフェース接続している。すべてのUUT506.1〜506.n(図5参照)がPTAシステム中にない場合、ユーザー(例えば検査コントローラ502を作動するオペレーターまたはプログラム)はどのUUTが存在しないかを検査コントローラ502を介して表示することができる。次いでATL602は存在しない特定のUUTを知覚し該UUTについて何らかのエラー点検操作及びPTBオートスタート回路608を不能とする。もしあるPTBオートスタート回路608が不能とされ、かつユーザーがUUTを接続すると、PTBオートスタート回路608はこの条件を感知し、ATL602のインターフェースを介して読み取られる警報状態ビットを設定する。
【0055】
データマスク及び比較
図6に示したように、マスク及び比較回路604はPTB504へ接続され、かつATL602へインターフェース接続されている。マスク及び比較回路604はPTB504からEDI信号及びMDI信号を、及びATL602から実データイン(ADI)信号を受け取り、これらの信号を用いてUUT及び/またはデジタルI/O回路606からのスキャンデータを照合する。予測スキャンデータはPTB504のEDI信号上で受け取られ、UUTの選択時にATL602からADI信号上で受け取られたUUTからの実走査データと比較される。PTBコントローラ508が選択されなかった場合は、マスク及び比較回路604は自動的に不能とされる。走査操作中、ATL602は、どんな走査パスがADO上のATL602中に配列されていても、例えばIR走査データ、TDI_UUTデータ及び/またはデジタルI/O回路606からのスキャンアウトデータを入力する。EDI及びADIは連続的にマスク及び比較回路604中へシフトされながらビットごとに比較される。PTBコントローラ508もまた、もし唯一的に選択されていれば、このTDOデータをPTB504上へ出力できる。比較される各ビットの結果は、予測データビットと実データビットとの比較が「比較」あるいは「誤比較」かによって合格または不合格のいずれかになる。
【0056】
EDI上へ与えられた予測スキャンデータ中のビットがXと特定される場合、該データをPTB504のMDIライン上のデータを用いてマスクすることができる。EDIの各走査ビットはMDIの走査マスクデータ中に対応するADI走査ビット数値を無視すると表明された対応ビットを有している。従って、EDI走査データ中でマスクされたビットはADI数値に関係なく対応するADIデータとのビット比較に合格する。それゆえ、マスク及び比較回路602によっていずれかのADI走査ビットをチェックすれば、MDIが表明されている場合、検査が不合格となることはない。
【0057】
前記したように、マスク及び比較回路604はATL602へインターフェース接続されている。このインターフェースにより、検査コントローラ502はマスク及び比較回路604中の機能を制御することができる。図示した実施態様では、マスク及び比較回路604はATLのTAP命令を介して検査コントローラ502によって応答される合格/不合格状態を記憶する。これにより、PTA500は並列の多数のUUTにおいて検査及び照合を行うことができ、連結されたPTBコントローラのそれぞれから返答される合格/不合格状態を受け取る。従って、検査コントローラ502は多数のUUTについて並列で検査を行うことができ、各PTBをチェックして連結されたUUTに不合格があるか否かを調べることができる。不合格なUUTについては、もし該UUTに診断あるいは修復が必要であれば、PTB504の通常のTDI−TDOアクセスを用いて個々にアクセスすることができる。
【0058】
マスク及び比較回路604にはさらにATL602へのインターフェースを介して制御される機能性能が備えられていてもよい。図示した実施態様では、マスク及び比較回路604の作動可/作動不可機能がある。この機能により、比較走査及びPTBコントローラ508における合格/不合格状態のラッチが手動ではできなくなる。さらに、マスク及び比較回路604に誤比較を検出した際に一定の動作を行うようにしてもよい。図示した実施態様では、誤比較があるとそれが検出された時にUUTは検査論理リセット状態とされる。かかる動作はPTBコントローラ508よりTMS_UUTを強制的にTLRモードにすることによって自動的に行われる。さらに、PTBコントローラ508によって現在のスキャン操作をUUTが検査論理リセット状態にされる前に完了させることが可能となる。これにより、現在のスキャン操作の更新DRあるいは更新IRに後続してTLRモードが確立される。これにより、予測走査データの誤比較によって検出される製造時の欠陥によってUUTに起こり得る損傷を回避できる。
【0059】
前記したようにマスク及び比較回路604により、並列同一タイプUUTのすべてについてデータ比較が行えるようになる。PTBのEDI信号及びMDI信号と、それらのマスク及び比較回路604への接続が並列検査及び照合性能を可能としているのである。かかる特徴により、各UUTのTDOデータの点検が検査コントローラ502ではなくPTBコントローラ508.1〜508.nのそれぞれによって同時に、すなわち並列に行え、UUT506.1〜506.nの検査時間の最適化が可能となっている。その結果、PTA500を用いたn個の同一タイプUUTの検査に要する時間は、単一のUUTをそれ自身で検査する場合に要する時間と同じになる。
【0060】
デジタルI/O
図6に示したように、PTBコントローラ508にはATL602及びUUTとインターフェース接続するデジタルI/O(DIO)回路606が含まれている。DIO回路606はPTBコントローラ508へ接続されたUUTへ多数の並列(すなわち「横形」)入力及び出力DIO_UUT[n:0]を与える。DIO_UUTラインは検査コントローラ502によってPTB504上で制御するか、あるいはATL602によって直接制御することができ、UUTの検査、デバッグあるいは配列を容易にするためUUTへの走査インターフェースに加えて用いることができる。図示した実施態様では、DIO_UUTラインにはプログラム可能な入力/出力(すなわち2方向性)信号としての手段が与えられている。別態様として、DIO_UUTラインのそれぞれは固定入力あるいは出力信号として与えられてもよい。
【0061】
図示した実施態様では、DIO回路606はATL602へ接続する一連のインターフェースを有し、これらインターフェースを通してDIO_UUTラインの入力/出力データ及び指令制御へのアクセスができる。さらに、DIO回路606へのアクセスはATL602へ接続する一連のインターフェースを介して、例えばPTB504の正常TDI−TDOを通して別個に、あるいはUUTの走査パスと鎖状に連続に繋いで行うことができる。これにより、DIO回路606の並列I/OラインへのPTB504上での検査コントローラ502によるUUT用走査データを伴ったアクセスが可能となる。その結果、UUT入力からDIO_UUTラインへのいずれの並列データもTDI_UUT入力上に順に並べられる。次いでデータはATL602のADI出力上でマスク及び比較回路604へと送られた上で検査コントローラ502からのEDIデータ及びMDIデータを用いてチェックされる。
【0062】
プログラム可能なI/O電圧
図6に示したように、PTBコントローラ508にはさらに、同様にATL602とインターフェース接続しているプログラム可能なI/O電圧回路610が備えられている。図示した実施態様では、プログラム可能なI/O電圧回路610はUUTとの電気的互換性及びATLインターフェースとの適切な作動を確実にするためUUTインターフェースへの電圧レベルを設定するために用いられる。ATL602とのインターフェースを通して、論理1あるいは「高」電圧レベルについての閾値を設定し、その後該閾値をプログラム可能なI/O電圧回路610によって制御することができる。例えば、UUTインターフェースに固有な技術的条件によって前記電圧は5ボルト、3.3ボルト等に選択することができる。さらに、(例えばユーザーによって)外部から供給された電圧レベルがUUTへ接続したインターフェースへ動力を与えるように設定できるように、プログラム可能なI/O電圧回路610からの電圧を止めあるいは設定することができる。
【0063】
ATL命令
PTA500において用いられる場合のATL602(図6参照)に対するTAPコントローラの命令は以下の通りである。ATLのTAPコントローラ命令は検査コントローラ502あるいはPTB504上のマスターコントローラによって発せられる。検査コントローラ502はPTBコントローラ508.1〜508.n(図5参照)との交信においてこれらATLのTAP命令を用いてPTA500の主要構成部品へアクセスする。複数のATLがPTB504上で並列に接続されロック段階で作動している時に、すべてのATLが同じTAPコントローラ命令及びオプコードを実行する。ATL602は、事前にそのATLアドレスあるいはユニークな別名アドレスで選択されていなければ、以下に述べるすべての命令についてそのTDOをPTB504上へ運び出せるわけではない。
【0064】
以下に述べる命令のいくつかは並列検査アーキテクチャー固有の配列次第では任意的であると認められる。例えば、ATLが独立型アプリケーションあるいは並列検査機能を必要としない他のアプリケーションにおいて用いられる場合、COMPARE_STATUS命令及びAUTO_START命令は、それら命令が独立型のATL操作には必要とされないPTBコントローラ508中の機能及びデータレジスターを制御するので、実行されない可能性がある。
【0065】
BYPASS:この命令は標準IEEE1149.1BYPASS命令である。この命令はTDI及びTDO間のアドレス指定可能TAPリンカー(ATL)中において単一ビットバイパスレジスターを選択する。もし以下に述べるIDCODE命令が実行されなければ、ATLの命令レジスター(IR)が並列検査バス(PTB)504上でリセットされる時にBYPASS命令は該命令レジスター(IR)中へロードされる。
【0066】
IDCODE:IDCODE命令は標準の32ビットIEEE1149.1識別コードを与える装置_IDレジスターを選択するために用いることができる。ATL602中の前記装置_IDレジスターはTDIとTDO間で選択される。実行時、IDCODE命令はATLのIRがリセットされる時に該ATLのIR中へロードされる。
【0067】
SAMPLE/PRELOAD:この命令はPTBコントローラ508のI/OピンあるいはPTBコントローラの境界走査セルへの前ロード値をサンプリングするために用いることができる。PTBコントローラ508には、IEEE1149.1境界走査アーキテクチャーには完全に従っていない専用の検査ピンが備えられていてもよい。それゆえ、この命令はPTBコントローラ508のすべてのピンへアクセスできなくともよい。
【0068】
EXTEST:この命令は標準IEEE1149.1EXREST命令に類似するものである。SAMPLE/PRELOAD命令におけると同様に、PTBコントローラ508の専用検査ピンはIEEE1149.1境界走査アーキテクチャーに完全に従うことができないので、EXTEST命令はPTBコントローラ508のすべてのピンを制御できなくともよい。
【0069】
LOAD_ATL_ADDR:LOAD_ATL_ADDR命令はATL602がATLアドレスのロードを行う時に実行される。図示した実施態様では、ATL_ADDR入力はPTBコントローラへの直接並列入力であり、従ってLOAD_ATL_ADDR命令は実行されない。
【0070】
実行時、LOAD_ATL_ADDR命令によって、ATLアドレスがATLのATL_ADDR入力からATL_アドレスレジスター中へ取得されるようにする。前記実行によって、該ATLアドレスは連続的にロードされるか(例えばATLのTAPコントローラのラン・テスト/アイドル状態における場合)、あるいはATL_ADDR入力から直接取得される。いずれの場合においても、ATL_アドレスレジスターは並列ATL_ADDR入力を用いる実行の場合に必要とされると思われる同一サイズすなわちn+1ビットである。検査コントローラ502は、もしATL602が選択されたならば、ATL_アドレスレジスター中に取得されたATLアドレスを検査することができる。
【0071】
SELECT_ATL:SELECT_ATL命令は単一のPTBコントローラ508のATLアドレスに基づいて該単一PTBコントローラ508を選択するために用いられる。SELECT_ATL命令は検査コントローラ502から選択_ATLレジスターへとATLアドレスを連続的にロードし、また該アドレスをATL602へのATL_ADDR入力あるいはATL_アドレスレジスター(すなわちLOAD_ATL_ADDR命令によってロードされたもの)と比較する。選択_ATLレジスターは同一サイズ、すなわちATL_ADDR入力(あるいはATL_アドレスレジスター)と同様にn+1ビットとなるように構成される。LOAD_ATL_ADDR命令が実行されない場合、SELECT_ATL命令はATL_ADDR入力を選択_ATLレジスター中へ(すなわちATLアドレス中で検査コントローラ502から移動させる前の捕獲_DR期間中に)取得する。
【0072】
もし選択_ATLレジスターがATL_ADDR入力(あるいはATL_アドレスレジスター)との比較を行うならば、PTBコントローラ508はユニークに選択されたものとなり、そのTDOはPTB504上を進むことができるようになる。一旦選択されると、検査コントローラ502は他の命令を発しかつ接続されたUUTと交信できる。PTBコントローラ508(後述)はUNSELECT_ALL命令が発せられるまで選択されたままであり、このPTBコントローラ508を選択しない他の命令(例えば他のPTBコントローラ用ATLアドレスをロードするSELECT_ALIAS命令)が発せられるか、あるいは前記ATLがリセットされる。SELECT_ATL命令に続いて、検査コントローラ502は、PTBコントローラが選択されたためにPTBのTDO上へデータを運んでいることを確認するためのBYPASS命令あるいはIDCODE命令等の他の命令を発することができる。
【0073】
LOAD_UUT_ID:LOAD_UUT_ID命令は、ATL602がUUT−IDコードをロードする時に実行される。図示した実施態様では、UUTのIDのローディングは行われず、UUTのIDはPTBコントローラ508のUUT_IDラインから直接入力される。
【0074】
実行時、LOAD_UUT_ID命令は、ATLのUUT_ID[n:0]入力からのUUDのIDをUUT_IDレジスター中に取得させる。実行によっては、該IDは(例えばATLのTAPコントローラのラン・テスト/アイドル状態で)連続的にロードされるか、あるいはUUT_ID[n:0]入力から直接ロードされる。検査コントローラ502は、もしATL602が選択される場合、UUT_IDレジスター中に取得されたUUTのIDを検査することができる。
【0075】
SELECT_TYPE:SELECT_TYPE命令は検査コントローラ502から選択_タイプレジスター中へUUTタイプを連続的にロードし、それをUUTのIDのUUTタイプビットと比較する。実行によっては、UUTタイプは、UUT_IDレジスター中のあるいはATL602のUUI_ID[n:0]ライン上へ直接入力された、ビットフィールドである。UUTタイプは、UUT_IDレジスター中のあるいはUUT_ID[n:0]入力からの、UUTタイプフィールドと同じビット数となるように構成される。LOAD_UUT_ID命令が実行されない場合、SELECT_TYPE命令はUUT_IDを選択_タイプレジスター中へ(すなわちUUTタイプにおける検査コントローラ502からの移動前の捕獲DR期間中に)取得する。
【0076】
ここで開示されたATL602の実施態様では、選択_タイプレジスターはUUTタイプとUUTメーカーコードの双方を比較するように構成されている。この場合、UUTタイプはATL602への直接並列入力によって与えられ、UUTメーカーはATL602内の内部コードとして与えられている。これにより、UUTタイプがユーザーによって特定でき、さらに、異なる売主にはユニークなUUTメーカーコードが割り当てられるので、他の売主からのUUTタイプから分離させることができる。従って、たとえ2ユーザーが同じUUTタイプをUUTへ割り当てても、それらUUTは必要な場合にはそれらのユニークなメーカーコードから猶識別可能である。
【0077】
もし選択_タイプレジスターが対応するUUTタイプ及びUUTメーカーを
比較すれば、PTBコントローラ508は選択されたこととなる。複数のPTBコントローラをこの命令(例えば同一タイプ及び同一売主)で選択できるので、そのTDOはPTB504上を進むことはできない。こうして、検査コントローラ502は選択_タイプレジスターによって特定されたタイプのすべてのUUTと並列で交信するが、PTB504上でTDOを運ぶことが可能とされたPTBコントローラ508は除かれる。
【0078】
PROGRAM_GROUP:PROGRAM_GROUP命令は、検査コントローラ502によって割り当てられた通りにグループ_アドレスレジスターをプログラム可能なグループアドレスとともに連続的にロードする。もしPTBコントローラ508がATLアドレスまたはユニークな別名アドレスによって事前に選択されていたならば、該コントローラはそのTDOをPTB504上で運ぶことができ、また捕獲DR状態において捕獲された捕獲_アドレスレジスター内容をスキャンアウトして検査コントローラ502によって検査することができる。もしPTBコントローラ508がATLアドレスによって事前に選択されていたら、ATL602のグループ_アドレスレジスターは更新され、別名アドレス、UUTタイプあるいはグループアドレス(以下で述べるSELECT_GROUP命令参照)は適合する。PTBコントローラ508がまだ選択されていない場合は、グループアドレスレジスターの更新は不能とされる。グループ_アドレスレジスターには、ATL602がリセットされる時には必ずすべてが0のアドレスが割り当てられる。
【0079】
SELECT_GROUP:SELECT_GROUP命令を用いて、グループアドレスを検査コントローラ502から選択_グループレジスター中へ連続的にロードし、またプログラム可能なグループ_アドレスレジスターと比較することができる。選択_グループレジスターは、グループ_アドレスレジスターと同じビット数になるように構成される。もし選択_グループレジスター中のグループアドレスがグループアドレスレジスターのグループアドレスと適合すれば、PTBコントローラ508は選択されたことになる。しかしながら、複数のPTBコントローラをこの命令で選択できるので、そのTDOはPTB504上を進むことはできない。従って、検査コントローラ502は、PTB504上でそのTDOを運ぶことが可能とされたPTBコントローラを除いて、同じグループアドレスを割り当てられたすべてのUUTと並列で交信する。
【0080】
PROGRAM_ALIAS:PROGRAM_ALIAS命令は別名アドレスをPTBコントローラ508へ割り当てるために用いられる。この命令は別名_アドレスレジスターを選択し、該アドレスを検査コントローラ502によって割り当てられたプログラム可能な別名アドレスとともにロードする。共通別名アドレスをすべてのPTBコントローラあるいはPTBコントローラの特定のグループへ割り当てることができる。あるいはユニークな別名アドレスを単一のPTBコントローラへ割り当てることができる。PTBコントローラのグループへ共通の別名を割り当てることによって、検査コントローラ502はそれらコントローラをグループとしてアドレス及び選択でき、またこのグループへ並列で一斉同報通信を行えるようになる。この点に関してはPROGRAM_GROUP命令及びSELECT_GROUP命令の場合と同様である。単一PTBコントローラへユニークな別名アドレスを割り当てることにより、UUTをプログラム可能に構成し検査するためのベクトルをATL602へのATL_ADDR入力上で特定され該入力からロードされた物理的ATLアドレスから独立させることができる。
【0081】
別名_アドレスレジスターは、PTBコントローラが事前に選択された場合のみ、すなわちATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレス、あるいは他の別名アドレス(以下で述べるSELECT_ALIAS命令参照)によって更新される。もしPTBコントローラ508が選択されていなければ、別名_アドレスレジスターの更新は不能とされる。別名_アドレスレジスターは選択_ATLレジスターよりも1ビット長くなるように構成される。このユニーク_別名ビットと呼ばれる付加的ビットは、PTB504上で別名_アドレスがユニークな別名アドレスへプログラムされていることを表示するために用いられる。図示した実施態様では、前記ユニーク_別名ビットは別名_アドレスレジスターの最重要ビット(MSB)として与えられている。ユニーク_別名ビットが論理1へ設定される場合、選択されたPTBコントローラはPTB上でそのTDOを運ぶことができるようになる。ユニークな別名アドレスを割り当てる際、検査コントローラ502はその別名アドレスが各PTBコントローラにとってユニークであるかを確認する。別名_アドレスレジスターは、ATLがリセットされる時すべてが0のアドレスとともにロードされる。従って、各PTBコントローラ中のユニーク_別名ビットは取り除かれるので、最初の別名アドレスはユニークではなく、PTBコントローラはTDOを運ぶことを可能とされない。
【0082】
SELECT_ALIAS:SELECT_ALIAS命令は検査コントローラ502から選択_別名レジスターへ別名アドレスを連続的にロードし、該別名アドレスをプログラム可能な別名_アドレスレジスターと比較する。前記選択_アドレスレジスターは選択_ATLレジスターと同じビット数になるように構成される。もし選択_別名レジスター中の別名アドレスがプログラム可能な別名_アドレスレジスターの別名アドレスに適合すれば、PTBコントローラ508は選択されたことになる。選択_別名レジスターの別名_アドレスレジスターに対する比較においては、別名_アドレスレジスター中のユニーク_別名ビットは無視される。従って、もし選択_別名レジスターと別名_アドレスレジスターが適合すれば、ユニーク_別名ビットはPTBコントローラ508がそのTDOをPTB504上へ運べるかどうかを判定する。複数のPTBコントローラをこの命令によって選択できるので、別名_アドレスレジスターをプログラムする時に検査コントローラ502がユニーク_別名ビットを設定していなければ、特定のPTBコントローラがTDOをPTB504上において運ぶことはできない。従って、複数のUUTが選択される場合、PTBコントローラのTDOをPTB504上において運ぶことが可能とされた当該PTBコントローラを除いて、検査コントローラはすべてのUUT、すなわち同一別名アドレスにプログラムされたUUTと並列で交信する。
【0083】
UNSELECT_ALL:ATL602のIR中へのUNSELECT_ALL命令のローディングによってPTBコントローラは選択されていない状態となる。これにより現在のアドレス指定モード、すなわちATLアドレスモード、UUTタイプモード、グループモードあるいは別名アドレスモードで為されたいずれの選択も「選択されない」。UNSELECT_ALL命令後は、いずれのPTBコントローラもTDOをPTB504上において運ぶことはできない。UNSELECT_ALL命令はバイパスレジスターを選択し、もしIDCODE命令が実行されていれば装置_IDレジスターを選択する。
【0084】
DIO_ACCESS:DIO_ACCESS命令はDIO_UUT[n:0]ラインを制御するデータレジスターへアクセスするために用いられる。本命令はPTB504のTDI及びTDO間のデジタルI/O回路606中にあるDIO_UUTレジスターを選択する。この命令ゆえに、ATL602は、そのATLアドレスあるいはユニークな別名アドレスで事前に選択されていなければ、PTB504上へそのTDOを運び出すことはできない。さらに、もしPTBコントローラ508が事前に選択されていれば、ATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレスあるいは別名アドレスの適合によって、DIO_UUTレジスターはデータを捕獲し、シフトし、かつ更新する。従って、もしPTBコントローラ508だけが選択されていれば、該コントローラはそのTDOをPTB504上において運ぶことができ、現在のDIO_UUTレジスター内容をスキャンアウトして検査コントローラ502によって検査することができる。もしPTBコントローラ508が未だ選択されていなければ、DIO_UUTレジスターのシフト、更新及び捕獲は不能とされる。
【0085】
同様にDIO_UUTレジスターからスキャンアウトされたデータは、DIOデータがMDIでマスクされかつPTBのEDI信号と比較できるように、マスク及び比較回路604へ選択的に送信される。これにより、UUTから受け取ったデジタルI/OをUUTの検査期間中各PTBコントローラにおいて並列でチェックすることが可能となる。DIO_UUTレジスターは、ATL602がリセットされる時には必ずすべてのUUT_DIO[n:0]ラインが入力となるようにリセットされる。
【0086】
TMS_CONTROL:この命令はUUTのTAPコントローラの操作をATL602のTAPコントローラと整合させるために用いられる。この命令により、検査コントローラ502は、接続されたUUTのTAPコントローラが安定状態に保持されたままでATL602だけと交信し、あるいは2台のTAPコントローラがロック段階で作動している状態でATL602を介してUUTと交信できるようになる。
【0087】
TMS_CONTROL命令はTMS_制御レジスターを選択し、該レジスターは次いでTMS制御コードとともに検査コントローラ502からロードされる。TMS_制御レジスター中へロードされたTMS制御コードに依存して、ATL602のTMS_UUT出力が以下で述べる4モード中の1モードにおいて制御される。
【0088】
TLR_モード:TMS_UUTを、TMS_制御レジスターの更新DR期間中にTCKの下降端上で論理1へと強要する。これにより、UUTのTAPコントローラは(少なくとも5TCKクロック後に)検査論理リセットへ移動され、UUTのTMSがTMSモードへ戻るまでそこに留まる。いずれの他のTMSモードからもTLR_モードへ入ることが可能である。
【0089】
RTI_モード:TMS_UUTをTMS_制御レジスターの更新DR期間中にTCKの下降端上で論理0へと強要する。UUTのTAPコントローラは(TCKの次の上昇端上での)ラン・テスト/アイドルへと移動し、UUTのTMSがTMS_モードあるいはTLR_モードへ戻るまでそこに留まる。RTI_モードへは、TLR_モードあるいはTMS_モードから、あるいはRTIポーズ_モード中、あるいはUUTのTAPがポーズDRあるいはポーズIR状態で待機していない時に入ることができる。
【0090】
RTIポーズ_モード:RTIポーズ_モードは、ATL602が代わる代わる選択/非選択される時に、UUTのTAPコントローラがラン・テスト/アイドル中の残りと、ポーズDRまたはポーズIRのいずれかとの間を交替するようにTMS_UUTを制御する。RTIポーズ_モードへは、TLR_モードから、あるいはTMS_モードから、あるいはRTIポーズ_モードにある間に、及びUUTのTAPがポーズDRあるいはポーズIR状態で待機している時に入ることができる。
【0091】
TMS_モード:TMS_モードは、TMS_UUTをその前のモード次第でPTBのTMSと再同期化させ、該モードはその後にPTBのTMSの数値に従う。
【0092】
TMS_制御レジスターは、もしPTBコントローラ508が前もって選択されたならば、ATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレス、あるいは別名アドレス適合によってデータを捕獲し、シフトし、及び更新する。従って、もしPTBコントローラ508が未だ選択されていなければ、TMS_UUT出力はTMS_制御レジスター中のコード毎のその最終制御数値に留まる。同様に、TMS_UUTは、ATL602が選択されていない限り、RTIポーズ_モードにおける状態を変えずにラン・テスト/アイドルあるいはポーズDR/ポーズIRから離れて同期する。
【0093】
PTB504上でのPTBコントローラ508のリセット後、TMS_制御レジスターがTLR_モードを用いてTMS_UUT信号を制御するように該レジスターをリセットする。従って、UUTのTAPコントローラは、TMS制御コードが後にTMS_CONTROL命令によって変えられるまで検査論理リセット状態に留まる。さらに、PTB上のTRSTN全体から独立して、UUTのTAPコントローラあるいはUUTのTAPコントローラのグループをリセットすることが可能である。例えば、GROUP_SELECT命令を用いて、残っている(すなわち非選択の)UUTのTAPコントローラがラン・テスト/アイドル状態で待機しているうちに特定グループのUUTをTMSリセットを用いて検査コントローラ502によってリセットすることができる。選択されたグループ中のTMS_制御レジスターをTLR_モードへ設定することによって、ATL602がラン・テスト/アイドルへ移動しTCKを計っているうちにUUTの前記グループについてTMSリセットを行うことができる。TMS制御モード間の移行については以下に説明する。
【0094】
RTIポーズ_モードは、2以上のUUTが別個に走査される一方で、それらの更新DRあるいは更新IRを同時に実行できるように2以上のUUTを効率的に制御することを可能とする。このモードは例えばシステムにおけるボード間相互連結検査を行うために用いることができる。RTIポーズ_モード及びラン・テスト/アイドル中のUUTのTAPコントローラへ設定されたTMS制御モードを用いれば、選択されたATLは、ATLのTAPがラン・テスト/アイドル中を通過しながらUUTのTAOコントローラと同期された状態になる。次いで、TMS_UUTは、ATL602がポーズDRあるいはポーズIRのいずれかの状態に入るまでPTBのTMSに従う。ポーズDR/IR状態のいずれか一方へ入ることにより、TMS_UUTは、UUTのTAPコントローラがポーズDR/ID状態のそれぞれに留まるように強いる論理0へと制御される。ATL602が選択され、次いでポーズDRあるいはポーズIR状態へ入った場合、ATL602とUUTのTAPコントローラは同期化された状態となり、TMS_UUTは再びPTB504のTMSに従う。次いで、ATL602が次にラン・テスト/アイドルに入る時、ATLによってTMS_UUTは論理0へと制御され、UUTのTAPをもう一度ラン・テスト/アイドル状態に留まることを強いる。このようなラン・テスト/アイドルあるいはポーズDR/IRにおける同期化/残留の連続はRTIポーズ_モードが実行されている限り継続する。
【0095】
次いでTMS_制御レジスターがTMS_モード用の制御コードを用いて更新された時に、ATLのTAPコントローラがラン・テスト/アイドルあるいはポーズDRまたはポーズIR状態へ入るまで、TMS_UUT出力は前の安定状態、すなわち検査論理リセット、ラン・テスト/アイドル、ポーズDRあるいはポーズIR、から変化しない。これらの状態は同期化状態あるいはトリガー状態である。適当な同期化状態へ入った後、TMS_UUT信号は前のTMSモードによって決定されたUUTのTAPの前状態からの該TAPの移行に従って制御されてATLのTAPコントローラのトリガー状態と同期化された状態となる。一旦両方のTAPコントローラが同期された状態になると、TMS_UUTはPTB504のTMS及びATL602中のTAPコントローラに従い、UUTはPTBコントローラ508が選択されたままである限りロック段階で作動する。同期化のためトリガー状態を与えることにより、検査コントローラ502が他のPTBコントローラと交信し、次いでPTBコントローラへの交信後にUUTがTMS_モードへ戻るように移行させることが可能となる。
【0096】
TMS_UUTがTMS_モード(すなわちPTBのTMSに従うこと)で制御されると、命令及びデータは、ATL602及びUUT間の走査パスが鎖状に繋がれるのと同時に該ATL及びUUTの双方中へと走査される。これにより、TDO_UUT出力はUUTへデータを運び出すことができので、ATLのTAPコントローラがシフトDRあるはシフトIR状態にある場合、走査データはTDO_UUTからUUTのTDIへと運ばれる。ATLのIR及びUUTのIRへロードされた命令に基づいて、ATL602中のいずれかのデータレジスターをUUT中のいずれかのデータレジスターと鎖状に繋ぐことができる。従って、例えばATL602のDIO_UUTレジスターをUUTの内部走査レジスターと鎖状に繋ぐことができる。TMS_UUT出力がいずれか他のTMSモードへ制御される場合は、TDO_UUT出力を運び出すことができない(すなわちTDO_UUT出力は高インピーダンス状態に留まる)。
【0097】
PTBコントローラ508が非選択とされる前に、(例えばRTI_モードを用いてTMS_制御レジスターをロードすることによって)UUTのTAPコントローラがラン・テスト/アイドル状態に留まるようにTMS_UUT出力を制御する。これは、非選択の場合にUUTがPTBのTMSに従い続けるようにUUTがTMS制御モードのまま残らないことを確実にするためである。ここで開示したPTA500の実施態様では、PTBコントローラ508はこの制御を自動的に取り扱う。PTBコントローラ508がTMS_モードである間、及び該コントローラが続いて非選択状態になる場合、ATLのTAPコントローラがラン・テスト/アイドル・トリガー状態に入る時にTMS_UUT出力がRTI_モードへ入るように暫定的に制御される。PTBコントローラ508が続いて選択状態になる場合、TMS_UUTは、ATLのTAPコントローラはラン・テスト/アイドル中を通過した後にPTB504のTMSに従い始める。このように、TMS_モードにある間、PTBコントローラ508は、UUTが非選択状態になる時に該UUTがATLのTAPコントローラのTMSに従い続けないよう確保している。
【0098】
COMPARE_STATUS:COMPARE_STATUS命令はマスク及び比較回路604中の比較_状態レジスターを選択する。検査コントローラ502はこの命令を用いて各PTBコントローラ508.1〜508.nの合格/不合格状態を読み取りあるいは除去し、またマスク及び比較回路604の種々機能を制御する。
【0099】
ここで開示したPTA500の実施態様では、比較_状態レジスターは3ビットデータレジスターである。1ビットは誤比較がマスク及び比較回路604によって検出されたときに設定される合格/不合格ビットとして機能する。次いで、検査コントローラ502は比較_状態レジスターを読んで誤比較が起こっているかどうか(すなわち合格/不合格状態ビットが設定されていること)をチェックすることができる。検査コントローラはさらに合格/不合格状態ビット、すなわち次の誤比較、を消去して消去された状態で新たな検査を開始することができる。比較_状態レジスター中の第2のビット、すなわち比較_可能は比較機能を可能化/不能かするために用いられ、第3のビット、すなわちTLR_可能は失敗に際してUUTのTLR_モードへの強要を可能化/不能化するものである。
【0100】
比較_状態レジスターは、PTBコントローラ508が前もって選択されている場合、ATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレスあるいは別名アドレス適合によってデータを捕獲、シフト及び更新する。PTBコントローラ508がリセットされる場合、比較_状態レジスターは、合格/不合格ビットが合格状態へリセットされ、かつ比較_可能及びTLR_可能機能が与えられるように消去される。
【0101】
AUTO_START:AUTO_SRART命令によってPTBオートスタート回路608中のオート_スタートレジスターが選択される。検査コントローラ502はこの命令を用いてPTBオートスタート回路608へのUUT_PRESENT入力を応答送信してPTB504へのSTART出力を有効化あるいは無能化する。ここで開示されているPTA500の実施態様では、オート_スタートレジスターは2ビットDRであり、第一ビットはUUT_PRESENTラインの状態を取得し、第二ビットはPTB504上でのSTARTラインの有効化を制御する。オート_スタートレジスターは、もしPTBコントローラ508が前もって選択されていれば、ATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレスあるいは別名アドレス適合によってデータを取得、シフト及び更新する。PTBコントローラ508がリセットされている場合、UUT存在ビットが消去され、STARTは無能化される。
【0102】
PROGRAM_IOV:PROGRAM_IOV命令はプログラム可能なI/O電圧回路610中のIO_電圧レジスターを選択し、UUTインターフェース電圧をプログラムするために用いられる。ここで開示されている実施態様では、IO_電圧レジスターは4つのプログラム可能な電圧レベル、すなわち5ボルト、3.3ボルト、USER_SUPPLIED、及び「off」をエンコードする2ビットDRである。IO_電圧レジスターは、もしPTBコントローラ508が前もって選択されている場合、ATLアドレス、UUTタイプ、グループアドレスあるいは別名アドレス適合によってデータを取得、シフト及び更新する。PTBコントローラ508がリセットされる場合、IO_電圧レジスターはオフに設定される。
【0103】
PTBブリッジング
高度な並列性能を要求する並列検査アーキテクチャー(PTA)の装備は並列検査バス上に支持されるPTBコントローラの台数(電気的負荷、伝達距離、あるいは対象物の設計上の制限)によって制限され得る。従って、ここで開示されたPTAには2つの並列検査バス(PTBs)間に橋絡が与えられている。これにより、PTAは適当な数のUUTを並列で効率的に検査することが可能とされる。この種の性能はウェーハー探針検査アプリケーション及び高処理ボード検査ステーションで要求されるものである。
【0104】
図8はPTBブリッジ回路800の実施態様を説明する図である。PTBブリッジ800は、ATL(図示なし)及び図8においてPTB_ADDR[n:0]としてラベルされた並列検査バス(PTB)上のアドレスを含むPTBコントローラ(図6参照)に類似するものである。このPTBアドレスはATLアドレスからは独立したものでよく、一定のPTAシステム中のすべてのPTBブリッジを支持するのに十分大きなものである。図8に、2つのPTB、すなわちPTB_0 804.0及びPTB_1 804.1、間に接続されたPTBブリッジ802をPTB橋絡機能のための回路806とともに示す。PTBブリッジは、資源PTBとしての1個のPTBを橋絡あるいは連結されたPTBとしての他のPTBへ接続する。図8では、PTB_1 804.1が資源PTB_0 804.0へ橋絡されている。
【0105】
図10及び図11はPTAの橋絡されたPTB配列1000及び1100の実施態様をそれぞれ説明する図である。図10に示すように、N+1個のPTBがN個のPTBブリッジ回路1002.0〜1002.N−1、すなわちPTB_0 1004.0からPTB_N 1004.N、を介して連結され、各PTB1004.0〜1004.Nはn個のUUTまで支持している。この配列1000は比較的少ないPTBブリッジで多数のUUTを支持している。図11に示した橋絡されたPTB配列1100には、それぞれがPTBコントローラ1108.1〜1108.Nのそれぞれへ接続されたN個の連結状態のPTB1104.1〜1104.Nが含まれている。かかる方式により、PTAを多数のUUT1106.1〜1106.Nを収納するために容易に拡げることができる。アドレス指定可能PTBコントローラ及び各UUT用のPTBブリッジを用いれば、PTAシステムはマルチドロップバスによって接続された特定数のUUTを支持することに限定されない。配列1000及び1100の双方において、ATLアドレス空間が各PTBコントローラのためのユニークなアドレスを支えていることが分かる。従って、図10においては、もしN=2かつn=12であれば、14のユニークなATLアドレスが必要とされる。この場合、PTBブリッジ回路について2つのユニークなPTBアドレスがあることになる。図11においては、もしPTBコントローラ及びPTBブリッジが符号1120で示される単一回路中へ接続されるならば、ATLとPTBアドレスを結合することができるようになり(すなわちn=12の場合12のみのユニークなアドレスが要求される)、そして少なくともそれらに結びついた命令のいくつかが併合されることになる。但し、PTBブリッジ回路には他の構成をとることも可能である。
【0106】
図8に示したように、PTBブリッジ802中には、2つのレジスター、つまり資源_REG812及びリンク_REG814、が存在する。資源_REG812は資源PTB_0 804.0からのTCKによって時間計測され、またリンク_REG814は連結されたPTB_1 804.1を時間計測するTCK_LINKクロックによって時間計測される。それゆえ、PTBブリッジ802は資源PTB_0 804.0のTCKクロックのバッファーとして働き、該クロックを用いてPTBブリッジ回路800の連結側上へ接続されたPTB_1 804.1へのPTB信号を時間計測する。従って、2つのPTBが橋絡された場合、連結されたPTBは資源PTBから遅延した1つのTCKサイクルである。検査コントローラ502は、それが連結されたPTB全体と交信しかつ橋絡されたPTB配列用のPTBプロトコルを適切に管理する時にこのTCK連結サイクルを考慮に入れる。一定のPTA構成へいかなる数のPTBブリッジ802であっても各PTBブリッジについての単一サイクルTCK遅延ペナルティーとともに与えることも可能である。
【0107】
図9は2つの連結されたPTB804.0〜804.1(図8参照)間におけるPTBブリッジ移動のタイミング図を示す。図8に示したように、PTB_0 804.0のTRSTN信号及びPTB_1 804.1のTRSTN_LINK信号は資源_REG及びリンク_REGレジスター812及び814を介して記憶される。この記憶操作では、PTAの非同期的リセット(すなわちPTBのTRSTNの存在を明示する)期間中に、TCKは図9に示したPTBブリッジのそれぞれを介してTRSTN信号を時間計測する。前記PTAのさらに別の実施態様においては、PTBブリッジ802の資源及び連結側上、例えばTRSTN及びTRSTN_LINK、それぞれの信号をPTBブリッジ回路800を介してバッファーとして働かせる(すなわち記憶されない)ことも可能である。
【0108】
PTBブリッジ回路800がリセットされる時にBYPASS命令(あるいは実行可能な場合はIDCODE命令)がロードされる。さらに、PTBブリッジは選択されない。すなわち、資源PTB_0 804.0上へそのTDOは運ばれず、資源PTB_0 804.0のTDO及び連結されたPTB_1 804.1のTDI_LINKは連結されない。資源側にあるPTBブリッジ802への入力(すなわち図8に示されたTDI、TMS等)は、PTBブリッジ802中へロードされたATL命令に関係なく連結側(すなわちTDO_LINK、TMS_LINK等)にあるPTBブリッジ802の各出力へ連結されたまま残る。こうして、PTBブリッジのTAPコントローラは検査コントローラのTAPコントローラとともにロック段階で作動する。さらに、検査コントローラはPTBブリッジを介してすべてのPTBコントローラと並列で交信することができる。
【0109】
PTBブリッジ802(図8参照)はそれに接続されたUUTを有しないので、PTBコントローラ508(図6参照)の命令に関連したUUTは必要とされない。従って、PTBブリッジ802中のATL(図示なし)はPTBコントローラのATL602によって用いられる命令の一部に対して応答できるだけである。それゆえ、図示されたPTBブリッジ802の実施態様では、PTBブリッジ802用のATLがBYPASS、IDCODE、EXTEST、PRELOAD及びUNSELECT_ALL命令に対して応答する。加えて、PTBブリッジ02は以下で説明するSELECT_PTB、LINK_PTB及びUNLINK_ALL命令を実行し、また任意的にLOAD_PTB_ADDR命令を実行する。上記に対応して、これらのPTBブリッジの命令はPTBコントローラ508のATL602によって無視される。PTBコントローラ508中のATL602及びPTBブリッジ802中のATLは、それらのTAPコントローラにおいて同じIR長を有している。
【0110】
PTBブリッジ命令である、LOAD_PTB_ADDR、SELECT_PTB及びLINK_PTBについて以下に説明する。
【0111】
LOAD_PTB_ADDR:LOAD_PTB_ADDR命令は、PTBブリッジ802がPTBアドレスのローディングを行う時に実行される。ここで開示されているPTAの実施態様では、PTB_ADDR入力はPTBブリッジ802への直接の並列入力であり、LOAD_PTB_ADDR命令は与えられない。
【0112】
実行時、LOAD_PTB_ADDR命令によってPTBブリッジのPTB_ADDR入力からのPTBアドレスはPTB_アドレスレジスター中へ取得される。実行方式によるが、前記アドレスは連続的にロードされるか、あるいはPTB_ADDR入力から直接取得される。ATL_アドレスレジスターは同一サイズ、すなわち並列PTB_ADDR入力を用いる実行において要求されるであろうn+1ビット長である。
【0113】
SELECT_PTB:SELECT_PTB命令は、PTBブリッジへ割り当てられたPTBアドレスに基づいて単一のPTBブリッジを選択するために用いられる。この命令は検査コントローラから選択_PTBレジスター中へPTBアドレスを連続的にロードし、また該アドレスをPTBブリッジ802への(あるいは実行可能な場合はLOAD_PTB_ADDR命令によってロードされたそのPTB_アドレスへの)PTB_ADDR入力との比較を行う。前記選択_PTBレジスターはPTB_ADDR入力(あるいはPTB_アドレスレジスター)と同じサイズ、すなわちn+1ビットになるように構成されている。LOAD_PTB_ADDR命令が実行されない場合、選択_PTB命令は選択_PTBレジスター中へ(すなわちPTBアドレス中で検査コントローラからシフトする前に)PTB_ADDR入力を取得する。
【0114】
もしPTBアドレスがPTB_ADDRアドレス(あるいはPTB_アドレスレジスター内容)に適合するならば、PTBブリッジ802が選択されることになる。SELECT_PTB命令を用いてPTBブリッジが選択される場合、そのTDOをPTB上において進ませることができ、そしてPTBブリッジ802のDR(例えばバイパスレジスター、装置_IDレジスター等)へアクセスすることが可能となる。PTBブリッジ802はUNSELECT_ALL命令あるいはUNLINK_ALL命令(後述)が発せられるまで選択された状態のままであり、このPTBブリッジ802を選択しない他の命令(例えばPTBコントローラ用のATLアドレスをロードするSELECT_ATL命令)が発せられるか、あるいはPTBブリッジ802がリセットされる。SELECT_PTB命令に続いて、検査コントローラはBYPASSあるいはIDCODE命令等の他の命令を発してPTBブリッジが選択され、それゆえに該ブリッジがそのPTBのTDO上へデータを運んでいることを確認することができる。
【0115】
LINK_PTB:LINK_PTB命令はPTBブリッジ回路(例えばPTBブリッジ802)を介して接続された2つのPTB(例えばPTB_0 804.0及びPTB_1 804.1)を連結させるものである。前記2つのPTB804.0及び804.1が連結される前に、SELECT_PTB命令を用いて資源PTB_0 804.0PTBブリッジ802がまず選択される。LINK_PTB命令後に、PTBブリッジ802のTDOは資源PTB_0 804.0上において進めるようになり、そしてPTB_0 804.0のTDOと橋絡されたPTB_1 804.1のTDI_LINKが連結される。
【0116】
連結されたPTBは選択され連結されたままであり、PTBブリッジ回路はUNLINK_ALL命令(後述)によってそれらの連結が解かれるまで該回路のTDOを運ぶ。連結されたPTBの連結はUNSELECT_ALLあるいはSELECT_PTB等の命令では非選択とすることはできず、これらPTBの連結がまず解かれる。これにより、複数のPTBが連結されたまま残され、連結している次のPTBへPTB信号が移行されることになるので、検査コントローラは連結されたPTBコントローラへ命令を送ることができる。さらに、選択されたUUTからのTDOデータをPTBブリッジ回路を通して検査コントローラへ運び戻すことが可能となる。
【0117】
UNLINK_ALL:UNLINK_ALL命令はPTBブリッジ回路のすべてを非選択とし及び連結を解くために用いられる。例えば、PTBブリッジ802のATLのIR中へのUNLINK_ALL命令のローディングは、資源PTB_0 804.0のTDOの橋絡されたPTB_1 804.1のTDI_LINKとの連結から解き、またPTBブリッジ802のTDOがPTB_0 804.0上を進むことを不能にする。さらに、UNSELECT_ALL命令で起こるのと同様に、すべてのPTBコントローラが非選択になる。UNLINK_ALL命令はバイパスレジスターを選択するか、あるいはIDCODE命令が実行されているならば任意的であるが装置_IDレジスターを選択する。
【0118】
並列検査アーキテクチャー(PTA)500(図5参照)を用いて複数の検査実行中ユニット(UUT)の並列検査を行う第一の方法について図14aを参照して説明する。図14aの方法は、検査コントローラがどのようにPTBコントローラを用いてPTB全体と交信しUUT及びPTAの種々機能へアクセスするかを示している。
【0119】
ステップ1402に示すように、PTAシステムをリセットする。この操作はPTBのTRSTNを論理0へ表明するか、あるいは少なくとも5TCKクロックサイクルでTMSを論理1へ設定する検査コントローラによって行われる。PTBコントローラのそれぞれは検査論理リセットへ入り、それらのIDCODE命令(あるいはIDCODEが備わっていなければBYPASS命令)がIRにおいて更新される。検査論理リセットを登録することにより、さらに以下のような結果が生ずる。
【0120】
PTBへのATLのTDO出力及びそのTDO_UUT出力は隣接する3部分から成り、TMS_UUTは論理1へ強要され(すなわちTLR_モードがTMS_制御レジスター中へロードされる)、及びTRSTN_UUT及びTCK_UUTはPTBのTRSTN及びTCKにそれぞれ従う。
【0121】
比較_状態レジスターが消去され、STARTが不能となるようにオート_スタートレジスターがリセットされ、そしてインターフェース電圧がオフになるようにIO_電圧レジスターがリセットされる。
【0122】
選択_ATL、選択_タイプ、グループ_アドレス、選択_グループ、別名_アドレス、選択別名及びDIO_UUTの各レジスターをリセットしてすべてを0にリセットする。すべてのPTBコントローラが非選択とされ、DIO_UUT[n:0]ラインが隣接する3部分から成るに至る。
【0123】
次に、UUT−IO電圧をオンにして、ステップ1404に示すようにUUTへリセットが発せられる。グループアドレス指定モードを用いるPTAシステム中のすべてのPTBコントローラを選択するためにSELECT_GROUP命令を用いることができる。この選択には、PTBがリセットされる時グループ_アドレスレジスターがすべて0にリセットされるので、すべてが0である選択_グループレジスター数値を用いることができる。次に、検査コントローラは、PROGRAM_IOV命令を用いてUUTへのインターフェース電圧を設定する。この時点で、検査コントローラはTRSTNを表明し、及び少なくとも5TCKクロックを与えてTRSTNが備わっていないUUTのいずれかがリセットされることを確認する。この時点で、UUTのすべてが、TRSTN_UUTを介して非同期的にあるいは前記5TCKクロックによって行われたTMS_UUTリセットによってリセットされ、検査論理リセット状態に留まる。
【0124】
検査コントローラは次いでステップ1406に示したようにPTAシステムを確認する。さらに詳述すれば以下のような結果が起こり得る。
【0125】
検査コントローラはSELECT_ATL命令を用いてATLアドレスの範囲全体をサーチし、各アドレスでのPTBコントローラの存否を確認することができる。一定のATLアドレスにおけるPTBコントローラの存在は選択_ATLレジスター中の点検対象ATLアドレスをまず更新することによって確認できる。次に、検査コントローラは捕獲_DRを通してPTBコントローラのTAPコントローラを移動させる。これにより、選択されたPTBコントローラ(もしいずれか選択されている場合)のATLアドレスを選択_ATLレジスター中へ取得させる。次いで検査コントローラはシフトDRへ移動し、走査パスの完全性を確認するための特別な検査パターンを用いて選択_ATLレジスターを上方から走査する。もしPTBコントローラが選択されていれば、該コントローラは前記検査パターンに従ってPTBのTDO上にある特定のATLアドレスを調べる。
【0126】
検査コントローラは、一旦PTBコントローラの存在が確認されれば、PTAシステムのいかなる必要な検査であっても実施可能である。
【0127】
このステップ1406が終了した時に、検査コントローラはUNSELECT_ALL命令を用いてすべてのPTBコントローラを非選択状態のままに維持し、またPTAシステムをATLのアドレスレジスターがリセット状態に設定されかつUUTが検査論理リセット状態となるような状態に維持しなければならない。さらに、検査コントローラはPTA配列及びPTA中において認められた欠陥あるいは問題を報告しなければならない。もしPTAが正常に機能しているならば、検査コントローラはその配列を該コントローラ中に内蔵されたメモリ中(図示なし)へ保存する。
【0128】
ステップ1408に示すように、回路の並列検査あるいは配列前、接続されたUUTへ検査コントローラが質問を行うかどうかに関する決定が為される。検査コントローラ質問を行う場合は、ステップ1410に示すように検査コントローラはPTB上の各ATLをアドレス指定する。すなわち、検査コントローラはSELECT_ATL命令を用いて各UUTを選択する。検査コントローラが質問を行わない場合は、ステップ1412に示すように検査コントローラは該UUTの並列検査あるいは配列を開始する。すなわち、もしLOAD_UUT_ID命令が実行されていたら、この時点でUUTのUUT_IDレジスターをロードすることができ、検査コントローラはそれらレジスターを検査することができる。次に、検査コントローラはATLのTMS_UUT出力を制御し、TMS_CONTROL命令を用いかつTMS_制御レジスターをTMS_モードへ設定してPTBのTMSに従う。これにより、UUT走査パスへのATLを介したアクセスが可能とされる。ここで検査コントローラは、実行可能な場合、UUTのそれぞれについてIDレジスター検査を行うことができ、またUUT_IDレジスターとともにUUTタイプ及びバージョンを確認する。これに応じて、検査コントローラは次いでUUTへグループアドレス及び別名アドレスを割り当てることができる。検査コントローラはUUTのそれぞれをラン・テスト/アイドル状態のままにして、実行時にUNSELECT_ALL命令を発する。
【0129】
次に、検査コントローラは、ステップ1414に示すように、複数のPTBコントローラをまず選択してUUTの並列検査及び/または配列を行う。この操作はSELECT_TYPE命令、SELECT_GROUP命令あるいはSELECT_ALIAS命令の一つを用いて果たされる。次に、TMS_CONTROL命令を用いて制御モードがTMS_モードへ設定されるので、各ATLのTMS_UUT出力はPTBのTMSに従う。その結果、前もって選択されたすべてのUUTへ並列でアクセスできる。並列検査及び配列操作が完了した時、検査コントローラはTMS_CONTROLをRTI_モードへ設定することによって前記UUTをラン・テスト/アイドル状態のまま維持し、そしてUNSELECT_ALL命令を発する。
【0130】
並列検査処理に続いて、検査コントローラは各PTBコントローラの比較_状態レジスターを点検し、ステップ1416に示すようにその合格/不合格状態を記録する。PTBコントローラの比較_状態レジスターは、次の検査の準備のため点検後には消去されなければならない。すべての比較_状態レジスターが点検された後に検査コントローラはUNSELECT_ALL命令を発する。
【0131】
一旦UUTのそれぞれの合格/不合格状態が分かれば、ステップ1418に示すように、作動しないUUTについてのデバッグ及び診断が行われる。SELECT_ATL命令は作動しないUUTのPTBコントローラを選択するために用いられ、TMS_CONTROL命令はTMS制御をUUTへアクセスするTMSモードへ設定するために用いられる。検査コントローラはここで作動しない検査を再処理し、また診断目的でPTBのTDOにある失敗データを調べる。UUTがアクセスされていない場合、UUTのTAPコントローラはTMS_CONTROL命令を用いかつRTI_モードを設定してラン・テスト/アイドル状態に置かれなくてはならない。次に前記コントローラはそれらが検査あるいは配列目的で再度アクセスされるまでその状態のままでいることができる。
【0132】
並列検査アーキテクチャー(PTA)500(図5参照)を用いて複数のプリント回路板検査実行中ユニット(UUT)上でボードからボードへの相互連結検査を行う第2の方法について図14bを参照しながら説明する。ステップ1420に示すように、検査コントローラはSELECT_GROUP命令を用いてシステム中のUUTのすべてを選択し、またTMS_CONTROL命令を用いてTMS出力をRTI_モードへ制御してすべてのUUTのTAPコントローラをラン・テスト/アイドル・モードへ移行させる。
【0133】
次に、検査コントローラは、ステップ1422に示すように、UUTを配列する。すなわち、検査コントローラはSELECT_ATL命令を用いる相互連結検査に関わるUUTのうちの1つを選択する。次いで検査コントローラはPROGRAM_ALIAS命令を用いて別名アドレスを割当てユニーク_別名ビットを設定する。次に、検査コントローラはPROGRAM_GROUP命令を用いて1のグループアドレスを割当てる。次いでユニーク別名アドレスを割り当てられた新しいボードのそれぞれを用いて相互連結検査に関わる各UUTについてステップ1422を反復する。
【0134】
ステップ1424に示すように、検査コントローラは最初にUUTのIRをロードする。すなわち、検査コントローラはその別名アドレスを用いてプログラムされたボードの1つを選択し、TMS_CONTROL命令を用いてTMSモードをRTIポーズ_モードへ設定する。次に、検査コントローラはATLのTAPをラン・テスト/アイドルを通して移行させ、これにより選択されたATL及びUUTのTAPコントローラを同期化された状態にする。次いで検査コントローラはEXTEST(あるいはPRELOAD)命令を用いてUUTのIRをロードし、そしてSELECT_ALIASを用いてATLのIRをロードする。次に、検査コントローラはUUTのTAPをポーズIRへ移行させる。UUTのTAPはポーズIR状態に留まり、そしてATLはラン・テスト/アイドル状態になる。次いで相互連結検査に関わる各ボードについてステップ1424が反復される。したがって、ステップ1424に続いて、各UUTはEXTESTでロードされ、ポーズIR状態で待機している。
【0135】
次いで、ステップ1426に示すように、検査コントローラはUUTのIRを更新する。すなわち、検査コントローラはプログラムされたグループアドレス(例えばグループアドレス1)とともにSELECT_GROUP命令を用いて相互連結検査に関わるすべてのボードを選択する。次に、検査コントローラはATLのTAPコントローラを捕獲_IRを通して移行させ、その後前記介在なしにポーズIRへと移行させる。これにより、選択されたATLのTAPコントローラ及び該コントローラへ接続された各UUTを同期化状態へ至らしめる。次いで検査コントローラはATL及びUUTのTAPコントローラを更新IRへと移行させる。これにより、すべてのUUTの同期的IR更新が為される。前記更新に続いて、ラン・テスト/アイドル状態へ進み、これによりUUTのTAPコントローラはそのままそこに留まる。
【0136】
ステップ1428に示すように、検査コントローラはここで検査ベクトルを働かせることができる。すなわち、検査コントローラはSELECT_ALIAS命令を用いるUUTの1つを選択し、その後にその選択_別名アドレスレジスターをロードする。検査コントローラはATLのTAPコントローラをラン・テスト/アイドルを通して移行させることを避けてラン・テスト/アイドル中にUUTのTAPコントローラを保持すべきだと認められる。次に、検査コントローラはBYPASS命令を用いて選択されたUUTのATLをロードし、ATLのTAPコントローラをラン・テスト/アイドルを通して移行させてUUTのTAPコントローラをATLと同期化させる。次いで検査コントローラはATL及びUUTのTAPコントローラを相互連結検査ベクトルを走査する捕獲DR及びシフトDRを通して移行させる。検査ベクトルはポーズDRへ進むと終了するためUUTのTAPコントローラはそこに留まることになる。次いで各UUTが適当な相互連結検査ベクトルを受け取るのと同時に前記相互連結検査に関わる各ボードについてステップ1428が反復される。結果的に、ステップ1428の後、各UUTは検査ベクトルとともにロードされ、またポーズDR状態で待機している。
【0137】
次に、ステップ1430に示すように、検査コントローラはUUTのDRを更新する。すなわち、検査コントローラはプログラムされたグループアドレス(例えばグループアドレス1)とともにSELECT_GROUP命令を用いて前記相互連結検査に関わるすべてのボードを選択する。次に、検査コントローラはATLのTAPコントローラを捕獲DRを通して移行させ、その後さらに該コントローラを直接ポーズDRへ移行させる。これにより、選択されたATLのTAPコントローラ及び該コントローラへ接続されたUUTのそれぞれは同期化状態とされる。次いで検査コントローラはATL及びUUTのTAPコントローラを更新DRへ移行させる。これにより、UUTのすべての同期的DR更新が行われる。前記更新に続いてラン・テスト/アイドルへと進むと、前記UUTのTAPコントローラはそこにそのまま留まらされる。
【0138】
ステップ1432に示すように、検査コントローラによって利用される次の相互連結検査ベクトルの存否についての決定が為される。もし存在すれば、操作の流れはステップ1428へ戻る。ステップ1428における最初のスキャンインベクトルに関しては、最初の捕獲DRデータは無視できると認められる。最終のスキャンアウト操作後、一連の検査操作はステップ1430で終了し、BSRにおける安全状態が更新される。
【0139】
ボードからボードへの相互連結検査を終了させるため、検査コントローラは、ステップ1434に示すように、選択されたグループアドレス中のUUTをRTI_モードにする。さらに、UUTのTAPコントローラが再度選択されるまで該コントローラがラン・テスト/アイドルに留まるように検査コントローラはUNSELECT_ALL命令を発する。
【0140】
以上並列検査アーキテクチャー(PTA)の実施態様について述べたが、他のこれらに代わる実施態様あるいは変形も可能であると理解されるべきである。かかる別態様及び変形の例について以下に述べる。
【0141】
ATL及びPTBコントローラの他の実施態様
図6に示されたPTBコントローラ508には種々の他の性能を備えることができる。例えば、ATL回路602を他の回路とインターフェース接続してUUTの検査を容易にするように適合させることができる。すなわち、PTBコントローラ508をUUT上の複数の走査パスへアクセスするように構成することができる。前記複数の走査パスには直列あるいは並列のいずれでもアクセスすることができる。前記走査パスが直列でアクセスされる場合、PTBコントローラはATL602とUUTとの間に走査パス切替え能及び連結能を付与することができる。並列アクセスされる走査パスについては、ATL602はPTBコントローラ508とUUTとの間の直列イン/並列アウト及び並列アウト/直列イン変換回路へインターフェース接続でき、あるいはATL602はこれらの変換をその回路構成の一部として含むことができる。さらに、ATL602はUUT側にあるIEEE1149.1以外の走査プロトコル、例えば多重化されたDフリップフロップ(DFF)あるいはレベル感応性走査設計(LSSD)、を制御するように構成することができる。さらに、単一のPTBコントローラが複数UUTへアクセスできるようにPTBコントローラ508を与えてもよい。これにより、PTB504におけるATL602の分割ができ、さらに他のPTBコントローラ機能をマスク及び比較回路604及びDIO回路606等の単一UUTの専用とすることができる。さらに、図6に示した実施態様を用いるのと同様に、UUTへ並列あるいは個別にアクセスすることも猶可能であり、その場合、UUTの選択はUUT_選択レジスター及び該UUTからのTDI_UUT信号の多重化を介して果たされる。
【0142】
マスク及び比較回路604にも種々の他の機能が備えられている。例えば、走査データ誤比較が起こるや否や検査コントローラ502へマスク及び比較回路604が信号を送るように第一故障検出信号を与えることもできる。この信号は予測データを比較する並列検査中には使用される必要がないので、該信号をPTB504のTDOラインを用いて与えることができる。この場合、PTBのTDOラインは、故障が検出された時にマスク及び比較回路604によって論理0へ運ばれる。さらに、比較操作中に故障した走査ビットあるいは走査ビット数をカウントするように、故障カウンターをマスク及び比較回路604中に備えることもできる。
【0143】
マスク及び比較回路60にはUUTからの応答データを圧縮する符号レジスターを付加的に備えることができる。該符号レジスターは直列入力符号レジスター(SISR)あるいは複数入力符号レジスター(MISR)として与えることができる。この場合、符号はUUTの検査後の合格/不合格についてチェックされる。EDIラインは符号検査期間中には用いられないが、MDIラインはSISRあるいはMISRへ入力される不確定な応答をマスクするために用いられ、それによって決定論的符号の取得が可能とされる。
【0144】
さらに、PTA500の他の実施態様においては、PTBコントローラにはUUTへ検査パターンを与えるために用いられる線形フィードバックシフトレジスター(LFSR)等のパターン生成回路を備えることができる。LFSR及びSISR/MISRを備えることにより、PTBコントローラ508はUUTへ組込み自己試験(BIST)を効率的に適用することができる。さらに、PTB504には、LFSRあるいはPTBのTDI信号のいずれかからUUTへのスキャンインデータを選択するために用いられるXDI(拡張データイン)信号が含まれていてもよい。これにより、XDIラインは、(マスクされたデータがLFSRからのランダムなデータとともに与えられる)PTB504のTDIデータを「マスク」することができる。
【0145】
PTA500のさらに別の実施態様においては、例えば、検査あるいはプログラム可能な配列目的でUUTによって使用されるプログラム可能なクロックあるいは割込みのように、1または2以上のDIO_UUTラインをATL602によって自動的に制御しあるいは継続的にポーリングすることができる。プログラム可能な割込みが与えられている場合、ATL602はDIO_UUTラインの状態を継続的にモニターし、その後割込みが起こった時にPTBのTDO上の検査コントローラ502へ信号を戻す。さらに、上記に加えてTAPコントローラをATL602中に与えてPTA500への他の拡張を支持することができる。
【0146】
PTBの他の実施態様
PTB504は特定な一組の信号あるいは特定なバスの実行に限定されず、図5〜6、8及び10〜13に示された態様に加えて種々の他の実施態様があることを理解すべきである。PTB504には、例えば特定の並列検査への利用、UUTの台数及び/または複数UUTへの並列交信に要するコスト及び性能等次第で種々の他の性能を備えることができる。
【0147】
例えば、PTB504の別の実施態様にはUUT506.1〜506.nの補助的な検査、デバッグ、あるいは配列能力を高める付加的信号を含めることができる。UUT506.1〜506.n用の高速システムクロック等の信号、PTB504用のマスタークロック、アナログ検査及び測定(後述)を支持する信号あるいはXDI信号などはその例である。
【0148】
PTB504の構造的及び電気的配列は特定の実行処理に合わせて変更することが可能である。例えば、新しい回路技術が実施可能になるとともに、新たなPTBの実行によって高速及び/または長距離伝達が可能となる。すなわち、低電圧差動送信(LVDS)バス技術を用いるようにPTBを構成することにより、PTB信号を高性能PTBを達成するための差動信号対として与えることができる。さらに、PTB504を集積化の種々レベルで実行できる。例えば、PTBをシステムバックプレーンの一部としてあるいはPTAテスターからUUT506.1〜506.nへ設けられたケーブル布線を通してPCB上で実行することが可能である。
【0149】
さらに他の実施態様において、PTB504を少ない数の物理的PTBあるいはワイヤーを用いて実行することもできる。この説明のため、図7には並列検査バス(PTB)704へのアドレス指定可能TAPリンカー(ATL)702の別態様の接続700を示す。図7に示したように、EDIライン及びMDIラインはPTB704のTDOライン上で多重送信される。TDOラインは並列検査及び検証中はEDI及びMDIラインと共には通常用いられないが、PTB704上の検査コントローラへスキャンアウトデータが送り戻されるときには用いられるので、前記多重送信は可能である。PTB704においては、前記TDOラインは2方向性信号として与えられている。TDOは並列検査中のATL702への入力として及び実際のTDOデータが検査コントローラへ送り戻される時のATL702からの出力として機能する。並列検査処理期間中、両EDI及びMDI信号は異なるPTBクロックサイクルにおいて図7の単一TDOワイヤーを横切って送られ、それら信号は次いでATL702中に含まれたEDI/MDI抽出回路730によって抽出される。この抽出には、PTB704のTCKクロック速度がUUTの2倍(すなわち2X)であることが要求される。従って、データは分離されたEDIラインとMDIラインを用いてPTBの前記速度の半分の速度でUUTへ伝達され、またUUTから受け取られる。これにより、結果的に実行に要するコストが低減される。利用性及び技術が許容する場合であれば、PTBの他の実施態様によって物理的配線をさらに減らすことも可能である。さらに、技術的に可能であれば、ワイヤレス交信を用いて実行するPTBも達成可能であり、かかるPTBは複数のUUTへ並列アクセスできる面で付加的利点を与えるものである。
【0150】
検査コントローラ502及びPTBコントローラ508.1〜508.n間の複数のPTB504を用いてさらに別のPTA500(図5参照)の実施態様を与えることができる。例えば、2つの独立したPTBを用いることも可能である。ここで第一のPTBは各PTBコントローラへ接続し、該PTBへ接続したUUTへアクセスするために用いられるものであり、別個の第二のPTBは同様に同一のPTBコントローラへ接続し該PTBコントローラのDIOへアクセスする際に専用で用いられるものである。これにより、複数の走査データストリームを並列で与えることによってPTA全体としての高い処理能力が得られる。
【0151】
アナログ検査能を備えるPTA
PTA500(図5参照)は検査デジタル回路を超えて拡張でき、また付加的に混合信号(つまりアナログ及びデジタル両回路)検査能を与えることができる。図12〜13には、本明細書に参照のため添付したIEEE1149.4混合信号検査バス基準仕様書中に記載されたIEEE1149.4混合信号検査バス基準を用いるアナログ検査を支持するPTAの2つの代替の実施態様1200及び1300をそれぞれ示す。IEEE1149.1TAP信号に加えて、図1〜3に示すように、IEEE1149.4基準には2つのアナログバス信号AT1、AT2が含まれ、これらの信号はIEEE1149.4アナログ検査アクセスポート(ATAP)用の2つの必須のアナログピンである。AT1はUUTへ一定の刺激電流を与えるために用いられるUUTへのアナログ入力ピンであり、AT2は結果として生ずる電圧を測定するために用いられるUUTからのアナログ出力ピンである。
【0152】
IEEE1149.4基準はAT1/AT2アナログ検査バス及びATAPを含めるためのIEEE1149.1基準の拡大として発展された基準である。IEEE1149.4基準は基礎構造としての、例えばアナログ相互連結検査用のEXTEST命令を用いる標準IEEE1149.1アーキテクチャーを利用するために設計された基準である。前記基準はさらに境界走査レジスター用の、AT1/AT2アナログ検査バスを介したアナログ検査及び測定を行う新たなアナログ境界モジュール(ABM)を限定している。IEEE1149.4基準は第一に、アナログ信号及び成分に関する製造に関連した相互連結上の欠陥(例えば短絡、開路あるいは誤数値成分がロードされたこと等)の検査を行うことが意図された基準である。しかしながら、AT1/AT2アナログ検査バスは、例えば抵抗成分のインピーダンス測定あるいはDCパラメトリック検査等のアナログ測定能を与えるためにも用いることができる。IEEE1149.4基準を用いて例えば埋め込みアナログコアの内部検査等の内部チップ検査を行うことも可能である。
【0153】
アナログ刺激を与えて結果として生ずる応答を測定する特性ゆえに、アナログ検査及び測定はデジタル検査に比べて相対的に緩慢かつ時間のかかる方法である。例えば、簡単なアナログ検査では、検査中の回路へ検査刺激としてDCあるいはAC電流または電圧を与えて、結果として生じたアナログ応答を測定及び分析する。この操作には通常、まずアナログ機器あるいはATLが検査中の回路へ切替えられ、次いで適当なアナログ検査を利用及び測定するように制御されることが要求される。前記アナログ機器の切替え及び後続の操作は一般的には検査/測定当り数ミリ秒のオーダーで行われる。この点は数オーダー少ない時間で完了されるデジタル検査とは対比される点である。かかる理由により、例えばボード製造検査あるいはウェーハー探針検査等においては並列アナログ検査が必要とされる。例えば、このアナログ検査能は、デジタルI/OのDCパラメトリック検査を与える際、あるいは半導体製造プロセスをモニターし特徴化するために用いることができる。この場合、検査系は、典型的な分離型トランジスター構造及びシリコンウェーハー上のダイ間で用いられるウェーハー探針パッドではなく、オンチップに設けてIEEE1149.4基準を用いてアクセスされるようにする。
【0154】
図12はアナログ並列検査バス配列1200を示し、かつPTBがどのように拡張されて付加的IEEE1149.4アナログ検査バス信号AT1(1240.1)及びAT2(1240.2)を与えることができるかを説明する図である。図12には、デジタルPTB1204に加えて、AT1及びAT2ライン1240.1及び1240.2、及びアナログ処理及び測定機器1260へ接続されたアナログ共通アース1242が示されている。前記AT1及びAT2ライン1240.1及び1240.2は説明を明瞭にするため図12においては別個のバスとして示されているが、一般的にはAPTB1244を構成する結合型バスであると考えられる。前記AT1及びAT2ライン1240.1及び1240.2は、各アナログスイッチ1250.1〜1250.nを通して各UUT1206.1〜1206.nのAT1及びAT2信号へ接続されている。アナログユニット1260はデジタル検査コントローラ1202から分離してあるいは該コントローラと連結して与えることができる。理解を明瞭とするため、図12はアナログPTB配列1200のアナログ及びデジタル部としてのアナログユニット1260及び検査コントローラ1202を示している。図12にはさらに前記アナログユニット1260と検査コントローラ1202間にある交信リンク1270も示されている。前記アナログ処理測定機器ユニット1260は検査コントローラ1202へアナログ検査がAT_実行済信号を用いて完了したことを信号で知らせ、PTBコントローラ1208.1〜1208.nは前記アナログユニット1260へライン1272上のAT_次信号を介して次のアナログ検査を開始することを信号で知らせる。PTBコントローラが選択され、そして該コントローラへ接続されたUUTについてアナログ検査が作動された時に前記AT_次信号は制御される。
【0155】
上記方式によって、アナログユニット1260及び検査コントローラ1202は自動方式で作動してUUT1206.1〜1206.nのそれぞれにおけるアナログ検査処理及び測定を行うことができる。PTBコントローラ1208.1〜1208.nは、APTBのAT1ライン及びAT2ライン1240.1及び1240.2をUUT1206.1〜1206.nへ接続する各アナログスイッチ1250.1〜1250.nの自動制御もさらに行う。アナログ検査用のデジタル設定は通常多数のUUT1206.1〜1206.n上に並列で行われ、一方処理及び測定操作は通常各UUTについて直列で行われる。
【0156】
図13は、PTB504へ接続されたATL602、マスク及び比較回路604、デジタルI/O回路606、及びプログラム可能なI/O電圧回路610を有するPTBコントローラ1300示す図である。これら各構成部分については図6を参照して前記した。PTBコントローラ1300にはさらに該PTBコントローラ1300へアナログ検査能を与えるアナログ検査回路1380が含まれている。前記アナログ検査回路1380の付加によって、PTBコントローラ1300はAT1_UUT信号1382.1、AT2_UUT信号1382.2及び該コントローラへ接続されたUUTのアナログ検査用の共通アースを与える。これにより、AT1_UUT/AT2_UUT信号1382.1及び1382.2及びアナログ共通アース1384から成るIEEE1149.4アナログ検査バス1386をマルチドロップPTB504上の各PTBコントローラから直接利用可能にすることができる。さらに、図12に示すように、単一のAPTB1244を分割する代わりに各UUTにはIEEE1149.4検査バス1386が並列に与えられる。
【0157】
前記アナログ検査回路1380(図13参照)はデジタルインターフェースを通してATL602と交信し、これによりAPTB1386及びアナログ処理測定機器ユニット1260等のアナログ部を介したアクセスなしに、該アナログ検査回路1380が検査コントローラによってPTB全体上で直接制御されることを可能とする。従って、PTBコントローラ1300に関しては、AT1信号1240.1、AT2信号1240.2及びアナログユニット1260は存在せず、PTB504及び該PTBコントローラ1300を備えた検査コントローラ502は図5に示したPTA500の対応素子と同一のものである。
【0158】
前記アナログ検査回路1380(図13参照)には、アナログ検査の「処理」及び「測定」機能をデジタルデータからあるいはデジタルデータへ変換し、それによりすべてのアナログ検査がPTB504上のデジタル検査コントローラのみを用いるUUTの他のデジタル検査と同一の方式で完了できるアナログ−デジタル変換(ADC)及びデジタル−アナログ変換(DAC)回路1388が含まれている。前記アナログ検査回路1380は、DAC回路1388によって制御しながらAT1_UUT信号1382.1上のUUTへDCあるいはAC電流を印加するように構成されている。さらに、アナログ検査回路1380はAT2_UUTライン1382.2上に結果として生じたUUT電圧を測定でき、該電圧はその後にアナログ形態からデジタル形態へと変換される。アナログ検査回路1380にはさらに、AT1(1382.1)における既知ロードをAT2(1382.2)において行われる電圧測定へ与えてAT1/AT2バスの較正を可能とするアナログマルチプレクサ1389が含まれている。複数のPTBコントローラ1300から成る並列検査アーキテクチャー(PTA)は、PTB504及びPTBコントローラ1300の並列検査能力に繋がる処理及び測定操作のデジタル変換を行うことにより、アナログ検査が並列で(すなわち複数UUTにおいて同時に)行われることを可能とする。
【0159】
ここで開示された発明概念から逸脱することなく、上記した並列検査アーキテクチャーの変形及び変更を行うことが可能なことは当業者の認識するところである。従って、本発明は添付の特許請求の範囲の記載範囲及び趣旨にのみ基づいて限定されると判断しなければならない。
【図面の簡単な説明】
本発明は以下に説明する図面との関連において下記詳細な説明を参照することによってより完全に理解される。
【図1】従来のIEEE1149.1検査アクセスポート(TAP)及び境界走査アーキテクチャーを示すブロック図である。
【図2】従来の鎖状につなぎ合わせたIEEE1149.1バスの配列を示すブロック図である。
【図3】従来のIEEE1149.1バスのマルチドロップ配列を示すブロック図である。
【図4】従来のIEEE1149.1バスの集団アクセス走査掛算器配列を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る並列検査アーキテクチャーを示すブロック図である。
【図6】図5の並列検査アーキテクチャーに内蔵された並列検査バスコントローラを示すブロック図である。
【図7】図6の並列検査バスに内蔵されたアドレス指定可能TAPリンカーを示すブロック図である。
【図8】本発明に係る並列検査バスブリッジを示すブロック図である。
【図9】図8の並列検査バスブリッジを用いたバスからバスへの移動を示すタイミング図である。
【図10】は並列検査バスの橋絡配列を含む図5の並列検査アーキテクチャーを示すブロック図である。
【図11】並列検査バスの別態様の橋絡配列を含む図5の並列検査アーキテクチャーを示すブロック図である。
【図12】アナログ検査を支える並列検査バス配列を含む図5の並列検査アーキテクチャーを示すブロック図である。
【図13】アナログ検査を支えるように構成された図6のアドレス指定可能TAPリンカーを示すブロック図である。
【図14a】図5の本発明に記載の方式で作動する並列検査アーキテクチャーを用いた検査における複数ユニットの並列検査方法を説明するためのフローチャートである。
【図14b】図5の本発明に記載の方式で作動する並列検査アーキテクチャーを用いてのバックプレーン中の複数プリント回路板上でのボードからボードへの相互連結検査の実施方法を説明するためのフローチャートである。

Claims (32)

  1. 1以上の電子回路(UUT〜UUTn)にアクセスして、前記電子回路をテスト、デバッグ、又はプログラミングするためのシステム(500)であって、
    テストバス(504)と、
    テストバスに接続された一次テストコントローラ(502)と、
    テストバスに接続された複数のアドレス指定可能なローカルテストコントローラ(508.1〜508.n)とを備え、
    各ローカルテストコントローラは、アクセス対象となるそれぞれの電子回路に結合可能であり、
    テストバス(504)は、複数のデータ経路を有するマルチドロップ型テストアクセスバスであり、
    一次テストコントローラ(502)は、シリアルデータアウト(TDO)データ及びシリアルデータイン(TDI)データ、期待データ、及びマスクデータを含むIEEE1149.1テストデータを、テストバスを通して、複数のデータ経路に沿って、複数のローカルテストコントローラの各々に送信して、電子回路を、並列に、それぞれの結合可能なローカルテストコントローラを介してアクセスするように構成され、そして期待データ及びマスクデータの各々は、テストバスを通して、TDIデータを搬送するデータ経路とは異なるデータ経路に沿って送信され、また期待データは、それぞれのローカルテストコントローラがそれぞれの電子回路にテストデータを適用することに応答してそれぞれの電子回路が発生するものと期待される結果データに対応し、
    各ローカルテストコントローラ(508.1〜508.n)は、
    テストデータを一次テストコントローラからそれぞれの電子回路に転送することによって、結合可能なそれぞれの電子回路にテストデータを適用し、
    それぞれの電子回路にテストデータを適用することに応答してそれぞれの電子回路が発生した結果データを受信し、
    期待データの一部が中間的である場合には、マスクデータを使用して期待データの中間部分をマスクし、そして
    結果データを期待データと照合する
    ように構成されていることを特徴とするシステム。
  2. アクセス対象となる各電子回路は、それぞれのテストアクセスバス(TDI,TMS,TCK,TRSTN,TDO)を有する請求項1に記載のシステム。
  3. 各ローカルテストコントローラは、マルチドロップ型テストアクセスバスを、結合可能な電子回路に含まれたそれぞれのテストアクセスバスにリンクするように構成されている請求項2に記載のシステム。
  4. テストバスは、デジタルテストバス(1204)を備え、一次テストコントローラは、第1の一次テストコントローラ(1202)であり、このシステムは、アナログテストバス(1244)と、第2の一次テストコントローラ(1260)と、第2の一次テストコントローラを第1の一次テストコントローラに結合するように構成された通信リンク(1270)とを有し、アナログテストバスは、第2の一次テストコントローラに接続され、且つアクセス対象となるそれぞれの電子回路に対し結合可能である請求項1に記載のシステム。
  5. 第1の一次テストコントローラは、デジタルテストバスを通してテストデータ及び期待データを第2の一次テストコントローラに送信するように構成され、第2の一次テストコントローラは、結合可能なそれぞれの電子回路に対してテストデータを適用し、またテストデータの適用に応答してそれぞれの電子回路が発生する結果データを受信し、そして通信リンクを通して結果データを第1の一次テストコントローラに与えるように構成されている請求項4に記載のシステム。
  6. 第2の一次テストコントローラは、IEEE1149.4テスト規格に適合するインターフェースを有し、第2の一次テストコントローラは、IEEE1149.4テスト規格に与えられているプロトコルを使用して、それぞれの電子回路にアクセスするように構成されている請求項4に記載のシステム。
  7. 各ローカルテストコントローラは、それぞれの電子回路からの実データをアクセスされた結果として受信すると共に、その実データを期待データと比較するように構成されている請求項1に記載のシステム。
  8. それぞれのローカルテストコントローラは、比較の結果として結果データを記憶するように構成されている請求項1に記載のシステム。
  9. 一次テストコントローラは、記憶された結果データを検索するように構成されている請求項8に記載のシステム。
  10. それぞれのローカルテストコントローラは、実データを圧縮するように構成されている請求項7に記載のシステム。
  11. それぞれのローカルテストコントローラは、IEEE1149.1テストデータの少なくとも一部を発生するように構成されている請求項1に記載のシステム。
  12. 各ローカルテストコントローラは、1以上のデジタル信号をローカルテストコントローラとそれぞれの電子回路との間で伝送するように構成されたデジタル入出力回路(606)を有する請求項1に記載のシステム。
  13. 各ローカルテストコントローラは、テストバスを通してローカルテストコントローラから一次テストコントローラに開始信号を送信するように構成された自動開始回路(608)を有し、この開始信号は、一次テストコントローラに対し、アクセス対象となるそれぞれの電子回路がローカルテストコントローラに結合されていることを示すように作用する請求項1に記載のシステム。
  14. 各ローカルテストコントローラは、アクセス対象となるそれぞれの電子回路に結合可能な関連した電圧レベルを持つ通信インターフェース(TDO_UUT,TMS_UUT,TCK_UUT,TRSTN_UUT,TDI_UUT)と、通信インターフェースの電圧レベルを設定して、それぞれの電子回路との電気的互換性を確実にするように構成されたプログラム可能な入出力電圧回路(610)とを備える請求項1に記載のシステム。
  15. プログラム可能な入出力電圧回路は、通信インターフェースの電圧レベルを、一次テストコントローラがテストバスを通して送信する少なくとも1つの信号に基づいて設定する請求項14に記載のシステム。
  16. テストバスは、複数のテストバス(804.0〜804.1)を備え、それぞれの複数のローカルテストコントローラは、これらテストバスに接続され、このシステムは、連続的にテストバスを相互接続するように構成された少なくとも1つのアドレス指定可能なバスブリッジ(802)を有する請求項1に記載のシステム。
  17. アドレス指定可能なバスブリッジは、第1のテストバスと第2のテストバスを相互接続するもので、第1のテストバスは、ソースバスとして構成されている請求項16に記載のシステム。
  18. アドレス指定可能なバスブリッジは、第1のテストバスと第2のテストバスを相互接続するもので、第1及び第2のテストバスの各々は、テストデータ、期待データ、及びマスクデータを伝送するように構成され、アドレス指定可能なバスブリッジは、テストデータ、期待データ、及びマスクデータを第1のテストバスと第2のテストバスとの間で伝送するように構成されている請求項16に記載のシステム。
  19. 一次テストコントローラは、複数のローカルテストコントローラをアドレス指定するための複数のモードを示すデータを記憶すると共に、少なくとも1つのアプリケーションを実行して、アドレス指定モードの1つに従い複数のローカルテストコントローラの少なくとも1つをアドレス指定するように構成されている請求項1に記載のシステム。
  20. 各ローカルテストコントローラは、連想アドレス値を有し、そしてアドレス指定モードの1つで、一次テストコントローラは、その連想アドレス値に基づいて単一のローカルテストコントローラをアドレス指定する請求項19に記載のシステム。
  21. 各ローカルテストコントローラは、連想識別値を有し、そしてアドレス指定モードの1つで、一次テストコントローラは、複数のローカルテストコントローラの1以上を、それらの連想識別値に基づいてアドレス指定する請求項19に記載のシステム。
  22. 各ローカルテストコントローラは、連想グループアドレス値を有し、そしてアドレス指定モードの1つで、一次テストコントローラは、同じ連想グループアドレス値を有するそれぞれのローカルテストコントローラをアドレス指定する請求項19に記載のシステム。
  23. 複数のローカルテストコントローラの少なくとも1つは、連想エイリアスアドレス値を有し、そしてアドレス指定モードの1つで、一次テストコントローラは、少なくとも1つのローカルテストコントローラを、その連想エイリアスアドレス値に基づいてアドレス指定する請求項19に記載のシステム。
  24. 1以上の電子回路(UUT〜UUTn)にアクセスして、前記電子回路をテスト、デバッグ、又はプログラミングする方法であって、
    複数のデータ経路を有するマルチドロップ型テストアクセスバスである第1のテストバス(504)を与える工程と、
    第1のテストバスに接続された一次テストコントローラ(502)とアドレス指定可能な複数の、各々はアクセス対象となるそれぞれの電子回路に結合可能であるローカルテストコントローラ(508.1〜508.n)を与える工程と、
    一次テストコントローラによって、シリアルデータアウト(TDO)データ及びシリアルデータイン(TDI)データ、期待データ、及びマスクデータを含むIEEE1149.1テストデータを、第1のテストバスを通して、複数のデータ経路に沿って、複数のローカルテストコントローラの各々に送信して、電子回路を、並列に、結合可能なそれぞれのローカルテストコントローラを介してアクセスし、これにより期待データ及びマスクデータの各々が、テストバスを通して、TDIデータを搬送するデータ経路とは異なるデータ経路に沿って送信され、またそれぞれのローカルテストコントローラがそれぞれの電子回路にテストデータを適用することに応答してそれぞれの電子回路が発生するものと期待される結果データに期待データが対応するようにする工程と、
    それぞれのローカルテストコントローラによって、テストデータを一次テストコントローラからそれぞれの電子回路に転送することによって、結合可能な電子回路にテストデータを適用する工程と、
    それぞれのローカルテストコントローラによって、それぞれの電子回路にテストデータを適用することに応答してそれぞれの電子回路が発生した結果データを受信する工程と、
    期待データの一部が中間的である場合には、それぞれのローカルテストコントローラによって、マスクデータを使用して期待データの中間部分をマスクする工程と、
    それぞれのローカルテストコントローラによって、結果データを期待データと照合する工程と
    を備えることを特徴とする方法。
  25. ローカルテストコントローラによって、それぞれの電子回路からの実データをアクセスされた結果として受信する工程と、ローカルテストコントローラによって実データを期待データと比較する工程とを備える請求項24に記載の方法。
  26. 第1の与える工程は、複数のテストバス(804.0〜804.1)を与える工程を含み、第2の与える工程は、テストバスに接続されたそれぞれの複数のローカルテストコントローラを与える工程を含み、この方法は更に、少なくとも1つのアドレス指定可能なバスブリッジ(802)によって、連続的にテストバスを相互接続する工程を備える請求項24に記載の方法。
  27. 連続的にテストバスを相互接続する工程は、アドレス指定可能なバスブリッジによって、第1のテストバスと第2のテストバスを相互接続する工程を含み、第1のテストバスは、ソースバスとして構成されている請求項26に記載の方法。
  28. 連続的にテストバスを相互接続する工程は、アドレス指定可能なバスブリッジによって、第1のテストバスと第2のテストバスを相互接続する工程を含み、第1及び第2のテストバスの各々は、テストデータ、期待データ、及びマスクデータを伝送するように構成され、この方法は更に、アドレス指定可能なバスブリッジを通して、テストデータ、期待データ、及びマスクデータを第1のテストバスと第2のテストバスとの間で伝送する工程を備える請求項26に記載の方法。
  29. ローカルテストコントローラの各々は、テストアクセスポート(TAP)コントローラを有し、
    テストバスは、シリアルデータアウト(TDO)経路と、シリアルデータイン(TDI)経路と、テストクロック(TCK)経路と、テストモード選択(TMS)経路とを有し、TDO経路は、双方向性であり、
    一次テストコントローラは、TDO信号、TDI信号、TCK信号、及びTMS信号を含む制御信号をそれぞれTDO経路、TDI経路、TCK経路、及びTMS経路を通して与えることにより、TAPコントローラをシフトIR状態又はシフトDR状態にするように構成され、
    一次テストコントローラは、TAPコントローラがシフトIR状態又はシフトDR状態にある間に、双方向性TDO経路を通して期待データを与えるように構成されている請求項1に記載のシステム。
  30. ローカルテストコントローラの各々は、テストアクセスポート(TAP)コントローラを有し、
    テストバスは、シリアルデータアウト(TDO)経路と、シリアルデータイン(TDI)経路と、テストクロック(TCK)経路と、テストモード選択(TMS)経路とを有し、TDO経路は、双方向性であり、
    一次テストコントローラは、TDO信号、TDI信号、TCK信号、及びTMS信号を含む制御信号をそれぞれTDO経路、TDI経路、TCK経路、及びTMS経路を通して与えることにより、TAPコントローラをシフトIR状態又はシフトDR状態にするように構成され、
    一次テストコントローラは、TAPコントローラがシフトIR状態又はシフトDR状態にある間に、双方向性TDO経路を通してマスクデータを与えるように構成されている請求項1に記載のシステム。
  31. ローカルテストコントローラの各々は、テストアクセスポート(TAP)コントローラを有し、
    テストバスは、シリアルデータアウト(TDO)経路と、シリアルデータイン(TDI)経路と、テストクロック(TCK)経路と、テストモード選択(TMS)経路とを有し、TDO経路は、双方向性であり、
    この方法は、
    一次テストコントローラによって、TDO信号、TDI信号、TCK信号、及びTMS信号を含む制御信号をそれぞれTDO経路、TDI経路、TCK経路、及びTMS経路を通して与えることにより、TAPコントローラをシフトIR状態又はシフトDR状態にする工程と、
    一次テストコントローラによって、TAPコントローラがシフトIR状態又はシフトDR状態にある間に、双方向性TDO経路を通して期待データを与える工程とを備える請求項24に記載の方法。
  32. ローカルテストコントローラの各々は、テストアクセスポート(TAP)コントローラを有し、
    テストバスは、シリアルデータアウト(TDO)経路と、シリアルデータイン(TDI)経路と、テストクロック(TCK)経路と、テストモード選択(TMS)経路とを有し、TDO経路は、双方向性であり、
    この方法は、
    一次テストコントローラによって、TDO信号、TDI信号、TCK信号、及びTMS信号を含む制御信号をそれぞれTDO経路、TDI経路、TCK経路、及びTMS経路を通して与えることにより、TAPコントローラをシフトIR状態又はシフトDR状態にする工程と、
    一次テストコントローラによって、TAPコントローラがシフトIR状態又はシフトDR状態にある間に、双方向性TDO経路を通してマスクデータを与える工程とを備える請求項24に記載の方法。
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