JP4075322B2 - 電子写真感光体製造用浸漬塗布装置及びそれを具備する電子写真感光体製造装置並びにその装置を用いた電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
電子写真感光体製造用浸漬塗布装置及びそれを具備する電子写真感光体製造装置並びにその装置を用いた電子写真感光体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体製造用浸漬塗布装置に関するものである。詳しくは電子写真感光体用導電性支持体上に均一な塗布層を設けることが出来る浸漬塗布装置に関するものであり、更にかかる浸漬塗布装置を具備した電子写真感光体の製造装置並びにその製造装置を用いた電子写真感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真感光体は、アルミニウム等の導電性支持体上に下引き層や感光層(電荷発生層や電荷輸送層)を設けて形成される。これらの層は、主に塗布槽に導電性支持体を浸漬塗布することにより形成される。
【0003】
このような浸漬塗布をする為の装置としては、例えば特開平11−72932号公報に記載されているように導電性支持体を浸漬塗布する浸漬塗布槽と、浸漬塗布槽と浸漬塗布槽の上部外周側に付設されかつ浸漬塗布槽からオーバーフローする塗布液を受ける樋部材と、塗布液を調整する塗布液調整槽と、前記浸漬塗布槽と前記塗布液調整槽との間で塗布液を循環させる塗布液循環装置と、導電性支持体を把持し導電性支持体を前記浸漬塗布槽に浸漬し引き上げる把持部材とを具備する装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来型の浸漬塗布装置においては、感光層等を繰り返し塗布する際に、浸漬塗布槽内に気泡が発生・滞留し、感光層等に筋上の塗布ムラを引き起こすという問題があった。すなわち、従来の浸漬塗布装置においては、導電性支持体を浸漬塗布槽から引き上げた際に発生する気泡等が、浸漬塗布槽の中央付近で留まり、その気泡が次ぎ塗布される塗布液中に残り、これが筋上の塗布ムラを引き起こすという問題があった。
本発明は、かかる問題点を解決し、気泡の滞留を防止し均一な感光層等の塗布層が得られる浸漬塗布装置を提供すること、および、このような浸漬塗布装置を有する電子写真感光体の製造装置やこのような電子写真感光体の製造装置を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
電子写真感光体用導電性支持体上に浸漬塗布により下引き層、電荷発生層あるいは電荷輸送層のいずれかを形成してなる電子写真感光体を製造するための略円筒状の浸漬塗布槽を有する電子写真感光体製造用浸漬塗布装置であって、浸漬塗布槽の上端部には、少なくとも1つ以上の不均一の間隔で設けられたせき部を有し、前記せき部は取り外し及び/又は大きさを制御することが可能であることを特徴とする電子写真感光体製造用浸漬塗布装置より上記課題は解決される。このように、浸漬塗布槽の上端部にせき部を少なくとも1つ以上設けることで、浸漬塗布槽からあふれた塗布液の流れが良くなり、導電性支持体を浸漬塗布槽から引き上げる際に生じた気泡等が浸漬塗布槽の外に容易に流れ出ることとなるため、次ぎに塗布液を塗布する際には浸漬塗布槽内から気泡が除去されており、筋状の塗布ムラがない塗布層が形成されるのである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体の製造に用いられる浸漬塗布装置の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の浸漬塗布装置における主要な構成部材を示す系統図であり、一部を縦断面で示した図である。図2は、浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の一態様を示す部分的な縦断面図である。図3は、浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の他の態様を示す部分的な縦断面図である。以下、実施形態の説明においては、浸漬塗布装置を「塗布装置」、円筒状支持体を「支持体」とそれぞれ略記する。
【0007】
本発明の塗布装置は、図1に示す様に、浸漬塗布法によって支持体(W)の表面に感光体材料の塗布液を塗布する電子写真感光体製造用の塗布装置であり、支持体(W)に塗布液を塗布する浸漬塗布槽(1)と、塗布液を調製する塗布液調製槽(2)と、浸漬塗布槽(1)と塗布液調製槽(2)の間で塗布液を循環させるポンプ(3)や配管類を含む塗布液の循環装置とから主として構成される。
【0008】
浸漬塗布槽は、塗布液を保持し、導電性支持体を浸漬することができるものであれば、特に限定されるものではないが、図4(a)〜(d)のような略円筒状のものが好ましい。本発明では、浸漬塗布槽の上端には、少なくとも1つ以上の切り欠き部又はせき部のいずれか又は両方が設けられていることが重要である。これらの切り欠き部あるいはせき部は支持体を浸漬塗布槽から引き上げる際に生じた気泡等を浸漬塗布槽の外に容易に流れ出させるような効果を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には下記に示すような構造のものが挙げられる。
【0009】
切り欠き部(13)としては、浸漬塗布槽からあふれ出る塗布液を誘導することができるものであれば特に限定されるものではないが、図4(a)にあるように二つの頂点が浸漬塗布槽の上端部にある三角形状のものが好ましく、浸漬塗布槽の直径をφとしたときに、浸漬塗布槽の上端部から切り欠き部の下端までの距離がφ/100〜φ/3であるものが好ましく、φ/50〜φ/4であることがより好ましく、φ/30〜φ/5であることがさらに好ましく、φ/20〜φ/10であれば特に好ましい。
【0010】
せき部(14)も上記の切り欠き部と同様に浸漬塗布槽からあふれ出る塗布液を誘導することができるものであれば特に限定されるものではないが、図4(b)のように浸漬塗布槽と一体として設けられているものの他、図4(d)のように取り外し可能となっているものや、せき部の大きさを制御することができるものが挙げられる。これらのうちでも、せき部が取り外し可能なものや大きさを制御することができるものであれば、塗布液のメニスカスを制御することにより、均一な塗膜を形成することができるので好ましい。取り外し可能なせき部としては、図4(d)にあるような四角形の下端部に切り込みの入ったクリップ状のものが挙げられる。このようなせき部であれば、せき部の取り外しや高さ調整等が容易であるため特に好ましい。なお、クリップ状のせき部の形状は、これに限定されるものではなく、五角形や三角形の下端に切り込みが入った形状のものであっても良い。
【0011】
浸漬塗布槽が略円筒状の場合、浸漬塗布槽の直径をφとしたときに、浸漬塗布槽の上端部から前記せき部の上端部までの距離としては、φ/100〜φ/3が好ましく、φ/30〜φ/5であればより好ましくφ/20〜φ/10であれば更に好ましい。それぞれのせき部の浸漬塗布槽の円周方向への長さ、いわゆるせき部の幅としては、φ/20〜φ/5であることが好ましく、φ/15〜φ/6であれば更に好ましい。
【0012】
切り欠き部又はせき部は、少なくとも1つ以上設けられていることが好ましいが、より好ましくは、3つ以上であり、4つ以上設けられていることが更に好ましい。
【0013】
切り欠き部又はせき部が複数設けられている場合、これらは、略等間隔に設けられていても良いが、不均一に設けられていても良い。
【0014】
本発明の塗布装置において、浸漬塗布槽(1)としては、塗布液をオーバーフローさせつつ処理する構造の塗布槽が使用されることが好ましい。すなわち、浸漬塗布槽(1)は、オーバーフロー状態で塗布液を収容し且つ支持体(W)が浸漬させられる浸漬槽本体(10)と、浸漬槽本体(10)の上部外周側に付設され且つオバーフローした塗布液を受ける樋部材(11)とから成るものが好ましい。
【0015】
浸漬槽本体(10)は、上端が開放され且つ下端側から塗布液が供給される構造を備えており、浸漬槽本体(10)の下端には、塗布液を供給する配管(分岐配管)(54)が接続される。支持体(W)を収容する浸漬槽本体(10)の胴部は、塗布液の部分的な滞留をなくすため、略円筒状に形成され且つ底部が逆円錐状に形成されるものが好ましい。浸漬槽本体(10)は、単独で設けられてもよいが、効率的に運転するため、通常は並列的に複数基設置される。
【0016】
樋部材(11)は、例えば、短軸の有底円筒状に形成され、かつ、その底面から浸漬槽本体(10)の上部が突出した状態に構成されるものが好ましい。樋部材(11)には、浸漬槽本体(10)からオーバーフローした塗布液を塗布液調製槽(2)に戻すため、後述する塗布液返流用の配管(以下、単に「配管」と言う。)(55)の一端が接続されるものが好ましい。また、樋部材(11)の上部には、支持体(W)の浸漬および引上げに伴って伸縮する可とう性のフード(12)が付設され、斯かるフード(12)は、塗布液中の溶媒の気化を低減すると供に、支持体(W)の表面に塗布された塗布液の乾燥速度を調整するものが好ましい。
【0017】
また、フード(12)の内側には、浸漬塗布槽(1)に対して上方から支持体(W)を垂直に且つ昇降可能に吊持するため、チャック機構を備えた所謂ロボットハンド等の把持装置(6)が設けられるものが好ましい。把持装置(6)は、例えば、支持体(W)の上端から挿入される垂直な昇降軸と、当該昇降軸に付設された把持部材としての風船体とから構成され、支持体(W)に昇降軸を挿入し、加圧空気によって支持体(W)の径方向に風船体を膨張させることにより、支持体(W)をその内周面から把持する装置である。なお、上記の把持部材としては、昇降軸の軸線方向に圧縮されて径方向に拡大する発泡ゴム等の弾性材料で構成された部材などが挙げられる。
【0018】
塗布液調製槽(2)は、浸漬塗布槽(1)でオーバーフローした塗布液を収容して再調製し、かつ、浸漬塗布槽(1)に対して常に十分な量の塗布液を供給するために設けられるものが好ましい。塗布液調製槽(2)の内部は、浸漬塗布槽(1)から流出した塗布液を所定の組成に混合調製して貯留するため、樋部材(11)の底部と略同一高さに設定された仕切壁によって混合槽(21)と貯留槽(22)とに分割されるものが好ましい。
【0019】
混合槽(21)には、樋部材(11)にオーバーフローした塗布液を導入するため、上記の配管(55)の他端が接続され、また、希釈用の溶媒や補充用の塗布液を供給するための配管(57)が挿入されるものが好ましい。更に、混合槽(21)には、塗布液を均一に撹拌混合するための撹拌翼(23)が設けられるものが好ましい。そして、貯留槽(22)には、上記の仕切壁を越えて流入した調製済みの塗布液を浸漬塗布槽(1)側へ供給するための配管(51)が接続されるものが好ましい。
【0020】
塗布液の循環装置は、塗布液調製槽(2)と浸漬塗布槽(1)の間の配管(51,52,54,55)及び循環ポンプ(3)から主として構成されるものが好ましい。配管(51)は、塗布液調製槽(2)の貯留槽(22)から伸長されて循環ポンプ(3)の吸入側に接続される。循環ポンプ(3)の吐出側から伸長された配管(52)は、フィルター(4)及び上記の分岐配管(54)を介して浸漬槽本体(10)に接続されるものが好ましい。
【0021】
また、上記の配管(55)は、樋部材(11)から伸長されて塗布液調製槽(2)の混合槽(21)に他端が接続されるものが好ましい。そして、配管(55)には、当該配管によって戻される塗布液の流量を制御するため、後述する遮断弁(8)が介装されるものが好ましい。なお、図中の符号(55c)は、樋部材(11)の底部に開口する配管(55)の一端側の開口部を示す。また、循環ポンプ(3)としては、回転を制御し得るポンプが好適であり、具体的には、例えば、東興産業社製のアイベックス・MOGポンプ(商品名)等の定量式ロータリーポンプが使用されることが好ましい。
【0022】
上記の塗布液の循環装置において、循環ポンプ(3)は、配管(51)を通じ、塗布液調製槽(2)の貯留槽(22)から塗布液を吸入し、配管(52)、フィルター(4)及び分岐配管(54)を通じ、浸漬塗布槽(1)の各浸漬槽本体(10)に塗布液を供給するものが好ましい。そして、各浸漬槽本体(10)に連続供給された塗布液は、浸漬槽本体(10)から樋部材(11)にオーバーフローした後、配管(55)を介し、再び塗布液調製槽(2)の混合槽(21)に戻されるものが好ましい。
【0023】
本発明の塗布装置においては、上記の配管(55)における空気の混入を防止するため、塗布液の循環装置には、上記の様な循環ポンプ(3)や配管類などの他、樋部材(11)に滞留した塗布液の液面高さを検出する液面検出手段(7)と、液面検出手段(7)によって検出された液面高さに基づいて遮断弁(8)を開閉操作する制御手段(9)とが含まれていてもよい。
【0024】
液面検出手段(7)は、樋部材(11)の中に配置されたフロート(70)と、フロート(70)の浮上高さを検出するセンサー(71)とから構成される。センサー(71)としては、誤作動なくフロート(70)を検出し得る限り、電磁誘導型、光反射型などの適宜のセンサーを利用できる。斯かる液面検出手段(7)により、樋部材(11)における塗布液の液面の上下限を検出する。なお、液面検出手段としては、フロートとセンサーが一体化されたもの、例えば、一対の近接スイッチが上下に内装された支軸に対し、マグネットが埋設されたドーナツ状の一対のフロートを上下に揺動自在に配置して成る所謂フロートスイッチを使用してもよい。
【0025】
遮断弁(8)は、配管(55)における塗布液の流量を規制し、樋部材(11)の液面を制御するために設けられる。遮断弁(8)としては、防爆型の電磁弁やエアー作動弁が使用される。斯かる遮断弁(8)は、流量調整が可能な構造のものでもよいが、簡単な制御を行うため、通常は開閉弁で十分である。
【0026】
制御手段(9)は、浸漬塗布槽(1)や塗布液調製槽(2)に付随する機器類や循環ポンプ(3)を含む装置全体を一括制御するために別途設けられたプログラムコントローラー等の制御装置である。そして、斯かる制御手段(9)は、樋部材(11)において、配管(55)の開口部が露出しない状態に塗布液の液面を一定の範囲に保持すべく遮断弁(8)を開閉する機能を備えていることが必要である。
【0027】
次に、本発明の塗布装置における塗布操作について説明する。本発明の塗布装置においては、通常、上記の様に、循環装置によって浸漬塗布槽(1)と塗布液調製槽(2)の間で塗布液を一定量で循環させておく。そして、先ず、把持装置(6)を降下させ、保持した支持体(W)を浸漬槽本体(10)の塗布液に浸漬させる。その際、浸漬槽本体(10)から樋部材(11)への塗布液のオーバーフロー量は、支持体(W)の浸漬操作に伴って一時的に増加し、浸漬操作の終了と共に定常状態に復帰する。支持体(W)の略全体を塗布液に浸漬させた後、浸漬槽本体(10)から塗布液をオーバーフローさせつつ、保持装置(6)を上昇させることにより、支持体(W)を浸漬槽本体(10)から引き上げる。その際、浸漬槽本体(10)から樋部材(11)への塗布液のオーバーフロー量は、支持体(W)の引上げ操作に伴って一時的に減少し、引上げ操作の終了と共に定常状態に復帰する。
【0028】
支持体(W)を引き上げた際に、浸漬槽本体上の塗布液には支持体(W)が浸漬された位置又はその付近に、支持体(W)からたれた塗布液等に由来する気泡が生じる。しかし、本発明の浸漬塗布装置においては、その浸漬塗布槽(10)の上端部に少なくとも1つ以上の切り欠き部又はせき部が設けられているので、当該気泡が容易に浸漬塗布槽(10)から流れ出す。このようにして、気泡が後の塗布液に混在しつつ支持体(W)に塗布される事態が防止でき、筋状の塗布ムラを防止することができる。
【0029】
上記のような塗布操作においては、一般的には、支持体(W)の浸漬、支持体(W)の引上げに伴って浸漬槽本体(10)から樋部材(11)への塗布液のオーバーフロー量が増減する。その場合、本発明の塗布装置において、液面検出手段(7)は、樋部材(11)における塗布液の液面を検出し、塗布液の液面が下限に達した際、特定の制御手段(9)は、センサー(71)の検出信号に基づき、遮断弁(8)を閉止し、配管(55)の開口部が露出しない状態に塗布液の液面を保持する。また、樋部材(11)における塗布液の液面が上限に達した場合には、遮断弁(8)を開放する。
【0030】
すなわち、制御手段(9)は、液面検出手段(7)の検出信号に基づき、遮断弁(8)を操作して塗布液返流用の配管(55)の流量を調整し、樋部材(11)における塗布液の液面を一定の範囲に保持する。そして、オーバーフロー量が少ない場合でも、樋部材(11)に取り付けられた配管(55)の開口部(55c)を常に塗布液中に位置させ、配管(55)に空気が進入するのを防止する。従って、本発明の塗布装置においては、塗布液調製槽(2)に空気(気泡)が送り込まれることがなく、浸漬塗布槽(1)の塗布液に気泡の混入がないため、支持体(W)表面の塗布ムラを有効に防止でき、好適な塗膜を形成できる。
【0031】
上記の様に、本発明の塗布装置においては、配管(55)の塗布液の流れを規制することにより、配管(55)の開口部(55c)を露出させない様に樋部材(11)の液面を制御するものであるが、図2又は図3に示す様に、液面検出手段(7)において、配管(55)の開口部(55c)に対する開度調整機能を備えることにより応答性を一層高めることが出来かつ空気の混入を一層確実に防止できる。
【0032】
図2に示す液面検出手段(7)は、フロート(70)によって配管(55)の開口部(55c)を開閉する構造を備えている。すなわち、フロート(70)として球形のフロートが使用され、斯かるフロート(70)は、上部に突出するバー(72)がガイドで支持されることにより上下方向に揺動自在に浮遊させられ、かつ、バー(72)は、樋部材(11)側に上下に回動自在に支持された支持バー(73)の一端に枢支される。斯かるフロート(70)は、樋部材(11)における塗布液の液面が低下した際に配管(55)の開口部(55c)を封止する。そして、フロート(70)の浮上高さを検出するセンサー(71)は、支持バー(73)の他端に付設された被検出部(74)の高さを検出する。
【0033】
すなわち、配管(55)の開口部(55c)は、液面検出手段(7)のフロート(70)によって開閉可能に構成され、そして、斯かる態様において、制御手段(9)は、液面検出手段(7)のセンサー(71)の検出信号に基づき、開口部(55c)がフロート(70)によって閉じられた際に遮断弁(8)を閉止し、開口部(55c)がフロート(70)によって開かれた際に遮断弁(8)を開放する機能を備えている。
【0034】
従って、図2に示す態様の塗布装置においては、遮断弁(8)の開閉操作と共に、配管(55)の開口部(55c)を開閉できるため、樋部材(11)の液面に応じて迅速な応答が得られ、かつ、仮に、樋部材(11)に塗布液が無くなった場合でも、開口部(55c)を封止できるため、配管(55)への空気の進入を一層確実に防止できる。
【0035】
図3に示す液面検出手段(7)は、フロート(70)によって配管(55)の開口部(55c)における開度を調整する構造を備えている。具体的には、フロート(70)としては、ガイドで支持されることにより上下方向に揺動自在に浮遊させられる筒状のフロートが使用される。一方、配管(55)の開口部(55c)には、例えば円盤状のダンパー(77)が回動自在に設けられ、斯かるダンパー(77)の上部から伸長された連接バー(76)の端部がフロート(70)の下端側に枢支される。
【0036】
フロート(70)は、樋部材(11)における塗布液の液面が低下した際、その浮上高さが低下することにより、連接バー(76)を介してダンパー(77)を回動させ、配管(55)の開口部(55c)の開度を絞る。そして、フロート(70)の浮上高さを検出するセンサー(71)は、フロート(70)の上端に付設された被検出部としての指示バー(75)の高さを検出する。
【0037】
すなわち、配管(55)の開口部(55c)は、液面検出手段(7)のフロート(70)に連動して回動するダンパー(77)によって開度を調整可能に構成され、かつ、ダンパー(77)は、フロート(70)の上昇によって開口部(55c)の開度を大きくし、フロート(70)の下降によって開口部(55c)の開度を小さくする構造を備え、そして、斯かる態様において、制御手段(9)は、液面検出手段(7)のセンサー(71)の検出信号に基づき、開口部(55c)がフロート(70)によって開度を小さくなされた際に遮断弁(8)を閉止し、開口部(55c)がフロート(70)によって開度を大きくなされた際に遮断弁(8)を開放する機能を備えている。
【0038】
従って、図3に示す態様の塗布装置においては、遮断弁(8)開閉操作と共に、配管(55)の開口部(55c)の開度を調整できるため、上記の態様と同様に、樋部材(11)の液面に応じて迅速な応答が得られ、かつ、樋部材(11)における塗布液の急激な変動を防止でき、配管(55)への空気の進入を一層確実に防止できる。
【0039】
更に、本発明の塗布装置においては、樋部材(11)における塗布液の液面を一層安定させるため、遮断弁(8)の操作に加え、循環ポンプ(3)の流量を制御することも出来る。検出された液面高さに基づいて循環ポンプ(3)の回転を制御した場合には、樋部材(11)における液面変動がより少なくなるため、空気の混入をより確実に防止できる。そして、本発明の塗布装置は、気泡の除去が難しい高粘度の電荷輸送用の塗布液に一層好適に使用し得る。
【0040】
本発明において、支持体(W)とは、例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレス等の金属材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フエノール樹脂などの高分子材料、または、硬質紙などの材料によって15〜200mm程度の外径で200〜1000mm程度の長さに作製された従来公知の円筒状支持体を言う。なお、支持体(W)の表面が絶縁体材料によって構成される場合には、導電物質の含浸、金属箔の積層、金属の蒸着等によって導電処理される。
【0041】
塗布液は、電子写真感光体に設けられている下引き層、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)を形成するための塗布液である。下引き用塗布液は少なくとも結着樹脂と溶媒とを含有し、更に無機粒子を含有することが好ましい。更に、公知の結着樹脂や酸化防止剤等の公知の副資材が含有されていても良い。感光層を形成するための塗布液は、感光体材料と1種以上の溶媒から成る公知の塗布液である。単層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着剤樹脂および溶媒を混合して調製される。また、積層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、前記電荷発生物質、結着剤樹脂および溶媒からなる電荷発生層用の塗布液と、前記電荷輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷輸送層用の塗布液とが別々に調製される。
【0042】
電子写真感光体用下引き層に用いられる結着樹脂としては、種々の公知の結着樹脂であればよく、例えば、ポリビニルアルコール、カゼインナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドが好適に用いることが出来る。これらは単独でも複数が混合されていてもよい。これらの結着樹脂の中でも、ポリアミドが塗工性、密着性、耐溶剤性等の観点から特に好ましい。ポリアミドとしては、電子写真感光体の下引き層塗布液として使用可能なものであれば特に限定されるものではないが、中でもアルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示すため好ましい。
【0043】
下引き層塗布液に用いられる溶媒としては、上記のような結着樹脂を溶解しうる種々の溶媒であれば特に限定されるものではないが、アルコール類やエーテル類、ケトン類が好適に用いられる。これらの中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール及びこれらの混合物を用いるのがより好ましい。
【0044】
かかる溶媒に対する結着樹脂の使用量は、得られる下引き層塗布液として塗布できうる状態であれば、特に限定されるものではないが、通常、1wt%〜10wt%の範囲、好ましくは1wt%〜8wt%の範囲、より好ましくは1wt%〜6wt%の範囲で混合される。
【0045】
下引き層に用いられる無機粒子としては、電子写真感光体用下引き層に用いられる種々の無機粒子であればよく、例えば、アルミナや酸化チタン等が好適に用いられるが、アルミナを用いるのが特に好ましい。
【0046】
アルミナとしては公知のアルミナを用いることが出来るが、特に、含水量1wt%〜3wt%のアルミナ粒子を用いることが好ましい。アルミナ粒子の粒径はおよそ均一なものが好ましく、平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましく、0.1μm〜0.8μmであればより好ましく、0.3μm〜0.6μmであれば特に好ましい。なお、ここで言う含水量とは35℃、85%RH環境下に4時間放置後の値を意味する。
【0047】
結着樹脂に対する無機粒子の添加比は下引き層塗布液の特性を損なわない限り任意に選べるが、40wt%から400wt%の範囲で使用することが、下引き層塗布液の保存安定性、塗布性の面で好ましい。
【0048】
電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質と結着樹脂とを含み、電荷発生層塗布液は、少なくとも電荷発生物質と結着樹脂と溶媒からなるものである。電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質が挙げられるが、電荷発生物質としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、多環キノン、ペリレン、インジゴ、ベンズイミダゾールなどの有機顔料を使用することができる。特に銅、塩化インジウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウムなどの金属、またはその酸化物や塩化物の配位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類などのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特にアゾ顔料又はフタロシアニン類がより好ましく、いわゆるY型オキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。
【0049】
いわゆるY型オキシチタニウムフタロシアニンとは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているものであり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図(同公報ではII型と称されている)、特開平2−8256号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されている)に示されたものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4゜、9.7゜、24.2゜にピークを示す。
【0050】
なお、回折ピークの強度は、結晶性、試料の配向性及び測定法により変化する場合もあるが、粉末結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−ブレンダーノの集中法による測定では、上記のY型オキシチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法あるいは平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとならない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向しているためと考えられる。
【0051】
電荷発生層の塗布液の溶媒としては種々の公知の溶媒を用いてよい。例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0052】
用いる溶媒の量は分散が充分行え、且つ分散液中に有効量の電荷発生物質が含まれる限りいかなる量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生物質の濃度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%程度が好ましい。
【0053】
結着樹脂としてはポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることができる。
【0054】
結着樹脂と電荷発生剤粒子との混合方法としては例えば、電荷発生剤粒子を分散処理中に結着樹脂を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散する方法、分散液を結着樹脂のポリマー溶液中に混合する方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
【0055】
次にここで得られた分散液は、塗布をするのに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば前記分散媒として例示した溶媒を使用することができる。電荷発生剤と結着樹脂との割合は特に制限はないが一般には樹脂100重量部に対して電荷発生剤が5〜500重量部の範囲より使用される。また必要に応じて電荷移動剤を含むことができる。電荷移動剤としては例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキシジメタンなどの電子吸引性物質、セルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。電荷移動剤と結着樹脂との割合は結着樹脂100重量に対して電荷移動物質が5〜500重量部の範囲により使用される。
【0056】
この様にして調製された分散液を用いて、導電性支持体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷移動層を積層させて感光層を形成する、或いは導電性支持体上に電荷移動層を形成しその上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成し感光層を形成する、或いは導電性支持体上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成させ感光層とする、のいずれかの構造で感光層を形成することが出来る。電荷発生層の膜厚は電荷移動層と積層させて感光層を形成する場合0.1μm〜10μmの範囲が好適であり電荷移動層の膜厚は10〜40μmが好適である。電荷発生層のみの単層構造で感光層を形成する場合の電荷発生層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
【0057】
電荷移動層を設ける場合、そこに使用される電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にアントラセン、ピレン、フエナントレン、コロネン等の多芳香族化合物またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格を有する化合物、その他、ヒドラゾン化合物など正孔輸送物質が挙げられる。
【0058】
結着剤樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリサルホン等が挙げられる。また、溶媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン等、揮発性が高く且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用いられる。
【0059】
塗布液中の各成分の濃度は、公知の技術に従って適宜に設定される。固形分の濃度は、主として、形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、単層型電子写真感光体を製造する際の塗布液の場合、および、積層型電子写真感光体を製造する際の電荷輸送層用の塗布液の場合、40重量%以下、好ましくは10〜35重量%以下に調製される。これらの塗布液の場合、その粘度は、50〜350cps、好ましくは70〜250cpsとされ、その乾燥膜厚は、15〜40μmとされる。また、積層型電子写真感光体を製造する際の電荷発生層用の塗布液の場合、固形分濃度は15重量%以下、好ましくは1〜10重量%に調製される。そして、電荷発生層用の塗布液の粘度は、1〜5cpsとされ、その乾燥膜厚は、0.1〜1μmとされる。
感光層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0060】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
まず、下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷移動層用塗布液を調整した。
[下引き層用塗布液]
下記に示した共重合ポリアミド(数平均分子量3万5千)を混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に60〜65℃で撹拌下にて3時間溶解した。次いで、溶液を68℃〜73℃で30分間加熱した。このようにして処理を施した溶液に、予め超音波分散したアルミナ〔昭和電工(株)製:UA−5305〕の混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液をホモミキサーにて混合し、68℃〜73℃で1時間加熱した。その後、濾過を行った後、超音波で2時間分散処理を行った。このようにして、UA−5305/共重合ポリアミド=1/1組成(重量比)で、固形分濃度8%下引き層塗布液を調液した。
【0061】
【化1】
【0062】
[電荷発生層用塗布液]
Y型オキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1、2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行い電荷発生層用塗布液を調整した。
【0063】
[電荷移動層用塗布液]
次に示すヒドラゾン化合物56重量部と
【0064】
【化2】
【0065】
次に示すヒドラゾン化合物14重量部、
【0066】
【化3】
【0067】
及び下記のシアン化合物1.5重量部
【0068】
【化4】
【0069】
及び、特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比1:1)100重量部
【0070】
【化5】
を1、4ジオキサン、テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解して電荷移動層塗布液とした。
【0071】
[導電性支持体]
導電性支持体として表面が鏡面仕上げされた外径20mm、長さ250mm、肉厚1.0mmの6063系アルミニウム製シリンダーを用意した。導電性支持体上に以下のような浸漬塗布装置を用いて浸漬塗布して塗膜を形成した。
【0072】
[浸漬塗布装置]
用いた浸漬塗布装置は図1に示した装置を用いた。その際に浸漬塗布槽(内径60mm)は第4図(b)に示したせき部(4カ所)を有した浸漬塗布槽を用いた。浸漬塗布槽の上部からせき部の上部までの距離は6mmであり、せき部の浸漬塗布槽の円周方向への長さは8mmである。
【0073】
[下引き層形成]
上記の浸漬塗布装置を用い、予め調製した下引き層用塗布液を充填した浸漬塗布槽に導電性支持体に浸漬した。次に、導電性支持体を引き上げた。得られた下引き層の膜厚は、1.25μmであった。常温にて風乾を施し、下引き層を形成した。
【0074】
[電荷発生層形成]
次に、上記の浸漬塗布装置を用い、予め調製した電荷発生層用塗布液を充填した浸漬塗布層に下引き層が形成された導電性支持体を浸漬した。次に、導電性支持体を引き上げた。得られた電荷発生層の膜厚は、0.5μmであった。常温にて風乾を施し、電荷発生層を形成した。
【0075】
[電荷移動層形成]
次に、上記の浸漬塗布装置を用い、予め調製した電荷移動層用塗布液を充填した浸漬塗布層に電荷発生層が形成された導電性支持体を浸漬した。次に、導電性支持体を引き上げた。得られた電荷移動層の膜厚は、17μmであった。100℃湿度10%の乾燥室にて1時間乾燥処理を施し、電荷移動層を乾燥した。
【0076】
[電子写真感光体]
このようにして電子写真感光体を製造した。上記の浸漬塗布装置を用いて下引き層、電荷発生層、電荷移動層をそれぞれ形成したが、何れの層の形成においても、液だれ等による塗布欠陥は見いだされなかった。得られた電子写真感光体を画像形成装置に組み込んだ。このようにして製造された画像形成装置は、いずれも均一な画像をえることができた。
【0077】
【比較例1】
上記の浸漬塗布装置において、せき部のない浸漬塗布槽を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造した。下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷移動層用塗布液にそれぞれ導電性支持体を浸漬したが、液だれ等に由来した塗布欠陥が何れの塗布層にも存在することが確認された。
このようにして製造された画像形成装置には、装置毎の画像濃度にムラが生じていた。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性支持体を引き上げることによって発生した気泡が、後に塗布される塗布液に混入する事態を防止することができ、筋状の塗布ムラを防止することができ、これにより良好な電子写真特性を有する電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸漬塗布装置における主要な構成部材を示す系統図
【図2】浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の一態様を示す部分的な縦断面図
【図3】浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の他の態様を示す部分的な縦断面図
【図4】本発明の浸漬塗布装置における浸漬塗布槽の一例を示す概念図
【符号の説明】
1 :浸漬塗布槽
10 :浸漬槽本体
11 :樋部材
13 :切り欠き部
14 :せき部
2 :塗布液調製槽
3 :ポンプ
55 :塗布液返流用の配管
55c:塗布液返流用の配管の開口部
7 :液面検出手段
70 :フロート
71 :センサー
77 :ダンパー
8 :遮断弁
9 :制御手段
W :円筒状支持体
Claims (4)
- 電子写真感光体用導電性支持体上に浸漬塗布により下引き層、電荷発生層あるいは電荷輸送層のいずれかを形成してなる電子写真感光体を製造するための略円筒状の浸漬塗布槽を有する電子写真感光体製造用浸漬塗布装置であって、
前記浸漬塗布槽の上端部には、少なくとも1つ以上の不均一の間隔で設けられたせき部を有し、前記せき部は取り外し及び/又は大きさを制御することが可能であることを特徴とする電子写真感光体製造用浸漬塗布装置。 - 前記浸漬塗布槽が、該浸漬塗布槽の直径をφとしたときに、該浸漬塗布槽の上端部から前記せき部の上端部までの距離が、φ/100〜φ/3であり、それぞれの該せき部の浸漬塗布槽の円周方向への長さが、φ/20〜φ/5である請求項1に記載の電子写真感光体製造用浸漬塗布装置。
- 少なくとも浸漬塗布槽と、該浸漬塗布槽の上部外周側に付設されかつ浸漬塗布槽からオーバーフローする塗布液を受ける樋部材と、塗布液を調整する塗布液調整槽と、該浸漬塗布槽と該塗布液調整槽との間で塗布液を循環させる塗布液循環装置と、電子写真感光体用導電性支持体を把持し該導電性支持体を該浸漬塗布槽に浸漬し引き上げる把持部材とを具備する電子写真感光体の製造装置であって、
該浸漬塗布槽が請求項1又は2に記載の該浸漬塗布槽である電子写真感光体の製造装置。 - 請求項3に記載の電子写真感光体の製造装置を用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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