JP2002323778A - 電子写真感光体製造用浸漬塗布装置及びそれを具備する電子写真感光体製造装置並びにその装置を用いた電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体製造用浸漬塗布装置及びそれを具備する電子写真感光体製造装置並びにその装置を用いた電子写真感光体の製造方法

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JP2002323778A JP2001127305A JP2001127305A JP2002323778A JP 2002323778 A JP2002323778 A JP 2002323778A JP 2001127305 A JP2001127305 A JP 2001127305A JP 2001127305 A JP2001127305 A JP 2001127305A JP 2002323778 A JP2002323778 A JP 2002323778A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気泡の滞留を防止し均一な感光層等が得られ
る浸漬塗布装置を提供すること、および、このような浸
漬塗布装置を有する電子写真感光体の製造装置やこのよ
うな電子写真感光体の製造装置を用いた電子写真感光体
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 導電性基体を浸漬することにより下引き
層、電荷発生層、電荷輸送層のいずれかを塗布するため
の浸漬塗布槽を有する浸漬塗布装置であって、当該浸漬
塗布槽の上端部には、少なくとも1つ以上の切り欠き部
又はせき部を有することを特徴とする電子写真感光体の
製造に用いられる浸漬塗布装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体製
造用浸漬塗布装置に関するものである。詳しくは電子写
真感光体用導電性支持体上に均一な塗布層を設けること
が出来る浸漬塗布装置に関するものであり、更にかかる
浸漬塗布装置を具備した電子写真感光体の製造装置並び
にその製造装置を用いた電子写真感光体の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電子写真感光体は、アルミニウム
等の導電性支持体上に下引き層や感光層(電荷発生層や
電荷輸送層)を設けて形成される。これらの層は、主に
塗布槽に導電性支持体を浸漬塗布することにより形成さ
れる。
【0003】このような浸漬塗布をする為の装置として
は、例えば特開平11−72932号公報に記載されて
いるように導電性支持体を浸漬塗布する浸漬塗布槽と、
浸漬塗布槽と浸漬塗布槽の上部外周側に付設されかつ浸
漬塗布槽からオーバーフローする塗布液を受ける桶部材
と、塗布液を調整する塗布液調整槽と、前記浸漬塗布槽
と前記塗布液調整槽との間で塗布液を循環させる塗布液
循環装置と、導電性支持体を把持し導電性支持体を前記
浸漬塗布槽に浸漬し引き上げる把持部材とを具備する装
置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来型の浸
漬塗布装置においては、感光層等を繰り返し塗布する際
に、浸漬塗布槽内に気泡が発生・滞留し、感光層等に筋
上の塗布ムラを引き起こすという問題があった。すなわ
ち、従来の浸漬塗布装置においては、導電性支持体を浸
漬塗布槽から引き上げた際に発生する気泡等が、浸漬塗
布槽の中央付近で留まり、その気泡が次ぎ塗布される塗
布液中に残り、これが筋上の塗布ムラを引き起こすとい
う問題があった。本発明は、かかる問題点を解決し、気
泡の滞留を防止し均一な感光層等の塗布層が得られる浸
漬塗布装置を提供すること、および、このような浸漬塗
布装置を有する電子写真感光体の製造装置やこのような
電子写真感光体の製造装置を用いた電子写真感光体の製
造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】電子写真感光体用導電性
支持体上に浸漬塗布により下引き層、電荷発生層あるい
は電荷輸送層のいずれかを形成してなる電子写真感光体
を製造するための浸漬塗布槽を有する電子写真感光体製
造用浸漬塗布装置であって、浸漬塗布槽の上端部には、
少なくとも1つ以上の切り欠き部又はせき部を有するこ
とを特徴とする電子写真感光体製造用浸漬塗布装置より
上記課題は解決される。このように、浸漬塗布槽の上端
部に切り欠き部又はせき部を少なくとも1つ以上設ける
ことで、浸漬塗布槽からあふれた塗布液の流れが良くな
り、導電性支持体を浸漬塗布槽から引き上げる際に生じ
た気泡等が浸漬塗布槽の外に容易に流れ出ることとなる
ため、次ぎに塗布液を塗布する際には浸漬塗布槽内から
気泡が除去されており、筋状の塗布ムラがない塗布層が
形成されるのである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体の製造に
用いられる浸漬塗布装置の実施形態の一例を図面に基づ
いて説明する。図1は、本発明の浸漬塗布装置における
主要な構成部材を示す系統図であり、一部を縦断面で示
した図である。図2は、浸漬塗布槽の樋部材における液
面検出手段の一態様を示す部分的な縦断面図である。図
3は、浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の他の
態様を示す部分的な縦断面図である。以下、実施形態の
説明においては、浸漬塗布装置を「塗布装置」、円筒状
支持体を「支持体」とそれぞれ略記する。
【0007】本発明の塗布装置は、図1に示す様に、浸
漬塗布法によって支持体(W)の表面に感光体材料の塗
布液を塗布する電子写真感光体製造用の塗布装置であ
り、支持体(W)に塗布液を塗布する浸漬塗布槽(1)
と、塗布液を調製する塗布液調製槽(2)と、浸漬塗布
槽(1)と塗布液調製槽(2)の間で塗布液を循環させ
るポンプ(3)や配管類を含む塗布液の循環装置とから
主として構成される。
【0008】浸漬塗布槽は、塗布液を保持し、導電性支
持体を浸漬することができるものであれば、特に限定さ
れるものではないが、図4(a)〜(d)のような略円筒状の
ものが好ましい。本発明では、浸漬塗布槽の上端には、
少なくとも1つ以上の切り欠き部又はせき部のいずれか
又は両方が設けられていることが重要である。これらの
切り欠き部あるいはせき部は支持体を浸漬塗布槽から引
き上げる際に生じた気泡等を浸漬塗布槽の外に容易に流
れ出させるような効果を有するものであれば特に限定さ
れるものではないが、具体的には下記に示すような構造
のものが挙げられる。
【0009】切り欠き部(13)としては、浸漬塗布槽
からあふれ出る塗布液を誘導することができるものであ
れば特に限定されるものではないが、図4(a)にあるよ
うに二つの頂点が浸漬塗布槽の上端部にある三角形状の
ものが好ましく、浸漬塗布槽の直径をφとしたときに、
浸漬塗布槽の上端部から切り欠き部の下端までの距離が
φ/100〜φ/3であるものが好ましく、φ/50〜
φ/4であることがより好ましく、φ/30〜φ/5で
あることがさらに好ましく、φ/20〜φ/10であれ
ば特に好ましい。
【0010】せき部(14)も上記の切り欠き部と同様
に浸漬塗布槽からあふれ出る塗布液を誘導することがで
きるものであれば特に限定されるものではないが、図4
(b)のように浸漬塗布槽と一体として設けられている
ものの他、図4(d)のように取り外し可能となってい
るものや、せき部の大きさを制御することができるもの
が挙げられる。これらのうちでも、せき部が取り外し可
能なものや大きさを制御することができるものであれ
ば、塗布液のメニスカスを制御することにより、均一な
塗膜を形成することができるので好ましい。取り外し可
能なせき部としては、図4(d)にあるような四角形の
下端部に切り込みの入ったクリップ状のものが挙げられ
る。このようなせき部であれば、せき部の取り外しや高
さ調整等が容易であるため特に好ましい。なお、クリッ
プ状のせき部の形状は、これに限定されるものではな
く、五角形や三角形の下端に切り込みが入った形状のも
のであっても良い。
【0011】浸漬塗布槽が略円筒状の場合、浸漬塗布槽
の直径をφとしたときに、浸漬塗布槽の上端部から前記
せき部の上端部までの距離としては、φ/100〜φ/
3が好ましく、φ/30〜φ/5であればより好ましく
φ/20〜φ/10であれば更に好ましい。それぞれの
せき部の浸漬塗布槽の円周方向への長さ、いわゆるせき
部の幅としては、φ/20〜φ/5であることが好まし
く、φ/15〜φ/6であれば更に好ましい。
【0012】切り欠き部又はせき部は、少なくとも1つ
以上設けられていることが好ましいが、より好ましく
は、3つ以上であり、4つ以上設けられていることが更
に好ましい。
【0013】切り欠き部又はせき部が複数設けられてい
る場合、これらは、略等間隔に設けられていても良い
が、不均一に設けられていても良い。
【0014】本発明の塗布装置において、浸漬塗布槽
(1)としては、塗布液をオーバーフローさせつつ処理
する構造の塗布槽が使用されることが好ましい。すなわ
ち、浸漬塗布槽(1)は、オーバーフロー状態で塗布液
を収容し且つ支持体(W)が浸漬させられる浸漬槽本体
(10)と、浸漬槽本体(10)の上部外周側に付設さ
れ且つオバーフローした塗布液を受ける樋部材(11)
とから成るものが好ましい。
【0015】浸漬槽本体(10)は、上端が開放され且
つ下端側から塗布液が供給される構造を備えており、浸
漬槽本体(10)の下端には、塗布液を供給する配管
(分岐配管)(54)が接続される。支持体(W)を収
容する浸漬槽本体(10)の胴部は、塗布液の部分的な
滞留をなくすため、略円筒状に形成され且つ底部が逆円
錐状に形成されるものが好ましい。浸漬槽本体(10)
は、単独で設けられてもよいが、効率的に運転するた
め、通常は並列的に複数基設置される。
【0016】樋部材(11)は、例えば、短軸の有底円
筒状に形成され、かつ、その底面から浸漬槽本体(1
0)の上部が突出した状態に構成されるものが好まし
い。樋部材(11)には、浸漬槽本体(10)からオー
バーフローした塗布液を塗布液調製槽(2)に戻すた
め、後述する塗布液返流用の配管(以下、単に「配管」
と言う。)(55)の一端が接続されるものが好まし
い。また、樋部材(11)の上部には、支持体(W)の
浸漬および引上げに伴って伸縮する可とう性のフード
(12)が付設され、斯かるフード(12)は、塗布液
中の溶媒の気化を低減すると供に、支持体(W)の表面
に塗布された塗布液の乾燥速度を調整するものが好まし
い。
【0017】また、フード(12)の内側には、浸漬塗
布槽(1)に対して上方から支持体(W)を垂直に且つ
昇降可能に吊持するため、チャック機構を備えた所謂ロ
ボットハンド等の把持装置(6)が設けられるものが好
ましい。把持装置(6)は、例えば、支持体(W)の上
端から挿入される垂直な昇降軸と、当該昇降軸に付設さ
れた把持部材としての風船体とから構成され、支持体
(W)に昇降軸を挿入し、加圧空気によって支持体
(W)の径方向に風船体を膨張させることにより、支持
体(W)をその内周面から把持する装置である。なお、
上記の把持部材としては、昇降軸の軸線方向に圧縮され
て径方向に拡大する発泡ゴム等の弾性材料で構成された
部材などが挙げられる。
【0018】塗布液調製槽(2)は、浸漬塗布槽(1)
でオーバーフローした塗布液を収容して再調製し、か
つ、浸漬塗布槽(1)に対して常に十分な量の塗布液を
供給するために設けられるものが好ましい。塗布液調製
槽(2)の内部は、浸漬塗布槽(1)から流出した塗布
液を所定の組成に混合調製して貯留するため、樋部材
(11)の底部と略同一高さに設定された仕切壁によっ
て混合槽(21)と貯留槽(22)とに分割されるもの
が好ましい。
【0019】混合槽(21)には、樋部材(11)にオ
ーバーフローした塗布液を導入するため、上記の配管
(55)の他端が接続され、また、希釈用の溶媒や補充
用の塗布液を供給するための配管(57)が挿入される
ものが好ましい。更に、混合槽(21)には、塗布液を
均一に撹拌混合するための撹拌翼(23)が設けられる
ものが好ましい。そして、貯留槽(22)には、上記の
仕切壁を越えて流入した調製済みの塗布液を浸漬塗布槽
(1)側へ供給するための配管(51)が接続されるも
のが好ましい。
【0020】塗布液の循環装置は、塗布液調製槽(2)
と浸漬塗布槽(1)の間の配管(51,52,54,5
5)及び循環ポンプ(3)から主として構成されるもの
が好ましい。配管(51)は、塗布液調製槽(2)の貯
留槽(22)から伸長されて循環ポンプ(3)の吸入側
に接続される。循環ポンプ(3)の吐出側から伸長され
た配管(52)は、フィルター(4)及び上記の分岐配
管(54)を介して浸漬槽本体(10)に接続されるも
のが好ましい。
【0021】また、上記の配管(55)は、樋部材(1
1)から伸長されて塗布液調製槽(2)の混合槽(2
1)に他端が接続されるものが好ましい。そして、配管
(55)には、当該配管によって戻される塗布液の流量
を制御するため、後述する遮断弁(8)が介装されるも
のが好ましい。なお、図中の符号(55c)は、樋部材
(11)の底部に開口する配管(55)の一端側の開口
部を示す。また、循環ポンプ(3)としては、回転を制
御し得るポンプが好適であり、具体的には、例えば、東
興産業社製のアイベックス・MOGポンプ(商品名)等
の定量式ロータリーポンプが使用されることが好まし
い。
【0022】上記の塗布液の循環装置において、循環ポ
ンプ(3)は、配管(51)を通じ、塗布液調製槽
(2)の貯留槽(22)から塗布液を吸入し、配管(5
2)、フィルター(4)及び分岐配管(54)を通じ、
浸漬塗布槽(1)の各浸漬槽本体(10)に塗布液を供
給するものが好ましい。そして、各浸漬槽本体(10)
に連続供給された塗布液は、浸漬槽本体(10)から樋
部材(11)にオーバーフローした後、配管(55)を
介し、再び塗布液調製槽(2)の混合槽(21)に戻さ
れるものが好ましい。
【0023】本発明の塗布装置においては、上記の配管
(55)における空気の混入を防止するため、塗布液の
循環装置には、上記の様な循環ポンプ(3)や配管類な
どの他、樋部材(11)に滞留した塗布液の液面高さを
検出する液面検出手段(7)と、液面検出手段(7)に
よって検出された液面高さに基づいて遮断弁(8)を開
閉操作する制御手段(9)とが含まれていてもよい。
【0024】液面検出手段(7)は、樋部材(11)の
中に配置されたフロート(70)と、フロート(70)
の浮上高さを検出するセンサー(71)とから構成され
る。センサー(71)としては、誤作動なくフロート
(70)を検出し得る限り、電磁誘導型、光反射型など
の適宜のセンサーを利用できる。斯かる液面検出手段
(7)により、樋部材(11)における塗布液の液面の
上下限を検出する。なお、液面検出手段としては、フロ
ートとセンサーが一体化されたもの、例えば、一対の近
接スイッチが上下に内装された支軸に対し、マグネット
が埋設されたドーナツ状の一対のフロートを上下に揺動
自在に配置して成る所謂フロートスイッチを使用しても
よい。
【0025】遮断弁(8)は、配管(55)における塗
布液の流量を規制し、樋部材(11)の液面を制御する
ために設けられる。遮断弁(8)としては、防爆型の電
磁弁やエアー作動弁が使用される。斯かる遮断弁(8)
は、流量調整が可能な構造のものでもよいが、簡単な制
御を行うため、通常は開閉弁で十分である。
【0026】制御手段(9)は、浸漬塗布槽(1)や塗
布液調製槽(2)に付随する機器類や循環ポンプ(3)
を含む装置全体を一括制御するために別途設けられたプ
ログラムコントローラー等の制御装置である。そして、
斯かる制御手段(9)は、樋部材(11)において、配
管(55)の開口部が露出しない状態に塗布液の液面を
一定の範囲に保持すべく遮断弁(8)を開閉する機能を
備えていることが必要である。
【0027】次に、本発明の塗布装置における塗布操作
について説明する。本発明の塗布装置においては、通
常、上記の様に、循環装置によって浸漬塗布槽(1)と
塗布液調製槽(2)の間で塗布液を一定量で循環させて
おく。そして、先ず、把持装置(6)を降下させ、保持
した支持体(W)を浸漬槽本体(10)の塗布液に浸漬
させる。その際、浸漬槽本体(10)から樋部材(1
1)への塗布液のオーバーフロー量は、支持体(W)の
浸漬操作に伴って一時的に増加し、浸漬操作の終了と共
に定常状態に復帰する。支持体(W)の略全体を塗布液
に浸漬させた後、浸漬槽本体(10)から塗布液をオー
バーフローさせつつ、保持装置(6)を上昇させること
により、支持体(W)を浸漬槽本体(10)から引き上
げる。その際、浸漬槽本体(10)から樋部材(11)
への塗布液のオーバーフロー量は、支持体(W)の引上
げ操作に伴って一時的に減少し、引上げ操作の終了と共
に定常状態に復帰する。
【0028】支持体(W)を引き上げた際に、浸漬槽本
体上の塗布液には支持体(W)が浸漬された位置又はそ
の付近に、支持体(W)からたれた塗布液等に由来する
気泡が生じる。しかし、本発明の浸漬塗布装置において
は、その浸漬塗布槽(10)の上端部に少なくとも1つ
以上の切り欠き部又はせき部が設けられているので、当
該気泡が容易に浸漬塗布槽(10)から流れ出す。この
ようにして、気泡が後の塗布液に混在しつつ支持体
(W)に塗布される事態が防止でき、筋状の塗布ムラを
防止することができる。
【0029】上記のような塗布操作においては、一般的
には、支持体(W)の浸漬、支持体(W)の引上げに伴
って浸漬槽本体(10)から樋部材(11)への塗布液
のオーバーフロー量が増減する。その場合、本発明の塗
布装置において、液面検出手段(7)は、樋部材(1
1)における塗布液の液面を検出し、塗布液の液面が下
限に達した際、特定の制御手段(9)は、センサー(7
1)の検出信号に基づき、遮断弁(8)を閉止し、配管
(55)の開口部が露出しない状態に塗布液の液面を保
持する。また、樋部材(11)における塗布液の液面が
上限に達した場合には、遮断弁(8)を開放する。
【0030】すなわち、制御手段(9)は、液面検出手
段(7)の検出信号に基づき、遮断弁(8)を操作して
塗布液返流用の配管(55)の流量を調整し、樋部材
(11)における塗布液の液面を一定の範囲に保持す
る。そして、オーバーフロー量が少ない場合でも、樋部
材(11)に取り付けられた配管(55)の開口部(5
5c)を常に塗布液中に位置させ、配管(55)に空気
が進入するのを防止する。従って、本発明の塗布装置に
おいては、塗布液調製槽(2)に空気(気泡)が送り込
まれることがなく、浸漬塗布槽(1)の塗布液に気泡の
混入がないため、支持体(W)表面の塗布ムラを有効に
防止でき、好適な塗膜を形成できる。
【0031】上記の様に、本発明の塗布装置において
は、配管(55)の塗布液の流れを規制することによ
り、配管(55)の開口部(55c)を露出させない様
に樋部材(11)の液面を制御するものであるが、図2
又は図3に示す様に、液面検出手段(7)において、配
管(55)の開口部(55c)に対する開度調整機能を
備えることにより応答性を一層高めることが出来かつ空
気の混入を一層確実に防止できる。
【0032】図2に示す液面検出手段(7)は、フロー
ト(70)によって配管(55)の開口部(55c)を
開閉する構造を備えている。すなわち、フロート(7
0)として球形のフロートが使用され、斯かるフロート
(70)は、上部に突出するバー(72)がガイドで支
持されることにより上下方向に揺動自在に浮遊させら
れ、かつ、バー(72)は、樋部材(11)側に上下に
回動自在に支持された支持バー(73)の一端に枢支さ
れる。斯かるフロート(70)は、樋部材(11)にお
ける塗布液の液面が低下した際に配管(55)の開口部
(55c)を封止する。そして、フロート(70)の浮
上高さを検出するセンサー(71)は、支持バー(7
3)の他端に付設された被検出部(74)の高さを検出
する。
【0033】すなわち、配管(55)の開口部(55
c)は、液面検出手段(7)のフロート(70)によっ
て開閉可能に構成され、そして、斯かる態様において、
制御手段(9)は、液面検出手段(7)のセンサー(7
1)の検出信号に基づき、開口部(55c)がフロート
(70)によって閉じられた際に遮断弁(8)を閉止
し、開口部(55c)がフロート(70)によって開か
れた際に遮断弁(8)を開放する機能を備えている。
【0034】従って、図2に示す態様の塗布装置におい
ては、遮断弁(8)の開閉操作と共に、配管(55)の
開口部(55c)を開閉できるため、樋部材(11)の
液面に応じて迅速な応答が得られ、かつ、仮に、樋部材
(11)に塗布液が無くなった場合でも、開口部(55
c)を封止できるため、配管(55)への空気の進入を
一層確実に防止できる。
【0035】図3に示す液面検出手段(7)は、フロー
ト(70)によって配管(55)の開口部(55c)に
おける開度を調整する構造を備えている。具体的には、
フロート(70)としては、ガイドで支持されることに
より上下方向に揺動自在に浮遊させられる筒状のフロー
トが使用される。一方、配管(55)の開口部(55
c)には、例えば円盤状のダンパー(77)が回動自在
に設けられ、斯かるダンパー(77)の上部から伸長さ
れた連接バー(76)の端部がフロート(70)の下端
側に枢支される。
【0036】フロート(70)は、樋部材(11)にお
ける塗布液の液面が低下した際、その浮上高さが低下す
ることにより、連接バー(76)を介してダンパー(7
7)を回動させ、配管(55)の開口部(55c)の開
度を絞る。そして、フロート(70)の浮上高さを検出
するセンサー(71)は、フロート(70)の上端に付
設された被検出部としての指示バー(75)の高さを検
出する。
【0037】すなわち、配管(55)の開口部(55
c)は、液面検出手段(7)のフロート(70)に連動
して回動するダンパー(77)によって開度を調整可能
に構成され、かつ、ダンパー(77)は、フロート(7
0)の上昇によって開口部(55c)の開度を大きく
し、フロート(70)の下降によって開口部(55c)
の開度を小さくする構造を備え、そして、斯かる態様に
おいて、制御手段(9)は、液面検出手段(7)のセン
サー(71)の検出信号に基づき、開口部(55c)が
フロート(70)によって開度を小さくなされた際に遮
断弁(8)を閉止し、開口部(55c)がフロート(7
0)によって開度を大きくなされた際に遮断弁(8)を
開放する機能を備えている。
【0038】従って、図3に示す態様の塗布装置におい
ては、遮断弁(8)開閉操作と共に、配管(55)の開
口部(55c)の開度を調整できるため、上記の態様と
同様に、樋部材(11)の液面に応じて迅速な応答が得
られ、かつ、樋部材(11)における塗布液の急激な変
動を防止でき、配管(55)への空気の進入を一層確実
に防止できる。
【0039】更に、本発明の塗布装置においては、樋部
材(11)における塗布液の液面を一層安定させるた
め、遮断弁(8)の操作に加え、循環ポンプ(3)の流
量を制御することも出来る。検出された液面高さに基づ
いて循環ポンプ(3)の回転を制御した場合には、樋部
材(11)における液面変動がより少なくなるため、空
気の混入をより確実に防止できる。そして、本発明の塗
布装置は、気泡の除去が難しい高粘度の電荷輸送用の塗
布液に一層好適に使用し得る。
【0040】本発明において、支持体(W)とは、例え
ば、アルミニウム、黄銅、ステンレス等の金属材料、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フエノ
ール樹脂などの高分子材料、または、硬質紙などの材料
によって15〜200mm程度の外径で200〜100
0mm程度の長さに作製された従来公知の円筒状支持体
を言う。なお、支持体(W)の表面が絶縁体材料によっ
て構成される場合には、導電物質の含浸、金属箔の積
層、金属の蒸着等によって導電処理される。
【0041】塗布液は、電子写真感光体に設けられてい
る下引き層、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)を形
成するための塗布液である。下引き用塗布液は少なくと
も結着樹脂と溶媒とを含有し、更に無機粒子を含有する
ことが好ましい。更に、公知の結着樹脂や酸化防止剤等
の公知の副資材が含有されていても良い。感光層を形成
するための塗布液は、感光体材料と1種以上の溶媒から
成る公知の塗布液である。単層型電子写真感光体を製造
する場合の感光体材料の塗布液は、電荷発生物質、電荷
輸送物質、結着剤樹脂および溶媒を混合して調製され
る。また、積層型電子写真感光体を製造する場合の感光
体材料の塗布液は、前記電荷発生物質、結着剤樹脂およ
び溶媒からなる電荷発生層用の塗布液と、前記電荷輸送
物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷輸送層用
の塗布液とが別々に調製される。
【0042】電子写真感光体用下引き層に用いられる結
着樹脂としては、種々の公知の結着樹脂であればよく、
例えば、ポリビニルアルコール、カゼインナトリウム、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メチルセルロ
ース、ニトロセルロース、ポリビニルアセタール、フェ
ノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミ
ド、ポリアミドが好適に用いることが出来る。これらは
単独でも複数が混合されていてもよい。これらの結着樹
脂の中でも、ポリアミドが塗工性、密着性、耐溶剤性等
の観点から特に好ましい。ポリアミドとしては、電子写
真感光体の下引き層塗布液として使用可能なものであれ
ば特に限定されるものではないが、中でもアルコール可
溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分
散性、塗布性を示すため好ましい。
【0043】下引き層塗布液に用いられる溶媒として
は、上記のような結着樹脂を溶解しうる種々の溶媒であ
れば特に限定されるものではないが、アルコール類やエ
ーテル類、ケトン類が好適に用いられる。これらの中で
もメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール
等の低級アルコール及びこれらの混合物を用いるのがよ
り好ましい。
【0044】かかる溶媒に対する結着樹脂の使用量は、
得られる下引き層塗布液として塗布できうる状態であれ
ば、特に限定されるものではないが、通常、1wt%〜1
0wt%の範囲、好ましくは1wt%〜8wt%の範囲、より
好ましくは1wt%〜6wt%の範囲で混合される。
【0045】下引き層に用いられる無機粒子としては、
電子写真感光体用下引き層に用いられる種々の無機粒子
であればよく、例えば、アルミナや酸化チタン等が好適
に用いられるが、アルミナを用いるのが特に好ましい。
【0046】アルミナとしては公知のアルミナを用いる
ことが出来るが、特に、含水量1wt%〜3wt%のアルミ
ナ粒子を用いることが好ましい。アルミナ粒子の粒径は
およそ均一なものが好ましく、平均粒径が0.01μm
〜1μmのものが好ましく、0.1μm〜0.8μmで
あればより好ましく、0.3μm〜0.6μmであれば
特に好ましい。なお、ここで言う含水量とは35℃、8
5%RH環境下に4時間放置後の値を意味する。
【0047】結着樹脂に対する無機粒子の添加比は下引
き層塗布液の特性を損なわない限り任意に選べるが、4
0wt%から400wt%の範囲で使用することが、下引き
層塗布液の保存安定性、塗布性の面で好ましい。
【0048】電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質と
結着樹脂とを含み、電荷発生層塗布液は、少なくとも電
荷発生物質と結着樹脂と溶媒からなるものである。電荷
発生物質としては、公知の電荷発生物質が挙げられる
が、電荷発生物質としては、セレン及びその合金、ヒ素
−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光
導電体、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、多環キ
ノン、ペリレン、インジゴ、ベンズイミダゾールなどの
有機顔料を使用することができる。特に銅、塩化インジ
ウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウム、亜鉛、
バナジウムなどの金属、またはその酸化物や塩化物の配
位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、ま
たは、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類な
どのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特にアゾ顔料又
はフタロシアニン類がより好ましく、いわゆるY型オキ
シチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。
【0049】いわゆるY型オキシチタニウムフタロシア
ニンとは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ
角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示す
ものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニ
ンは、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているもので
あり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図
(同公報ではII型と称されている)、特開平2−82
56号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の
第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第
3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されて
いる)に示されたものである。この結晶型オキシチタニ
ウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを
示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4゜、
9.7゜、24.2゜にピークを示す。
【0050】なお、回折ピークの強度は、結晶性、試料
の配向性及び測定法により変化する場合もあるが、粉末
結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−
ブレンダーノの集中法による測定では、上記のY型オキ
シチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピ
ークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法あるい
は平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試
料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとなら
ない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向
しているためと考えられる。
【0051】電荷発生層の塗布液の溶媒としては種々の
公知の溶媒を用いてよい。例えば、ジエチルエーテル、
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメト
キシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ
ル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアル
コール類を単独あるいは2種以上混合して使用すること
ができる。
【0052】用いる溶媒の量は分散が充分行え、且つ分
散液中に有効量の電荷発生物質が含まれる限りいかなる
量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生物質の
濃度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%
程度が好ましい。
【0053】結着樹脂としてはポリビニルブチラール、
ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリス
ルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ
塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェ
ノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分
的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることがで
きる。
【0054】結着樹脂と電荷発生剤粒子との混合方法と
しては例えば、電荷発生剤粒子を分散処理中に結着樹脂
を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散
する方法、分散液を結着樹脂のポリマー溶液中に混合す
る方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する
方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
【0055】次にここで得られた分散液は、塗布をする
のに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希
釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば
前記分散媒として例示した溶媒を使用することができ
る。電荷発生剤と結着樹脂との割合は特に制限はないが
一般には樹脂100重量部に対して電荷発生剤が5〜5
00重量部の範囲より使用される。また必要に応じて電
荷移動剤を含むことができる。電荷移動剤としては例え
ば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキ
シジメタンなどの電子吸引性物質、セルバゾール、イン
ドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オ
キサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複
素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香
族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化
合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体など
の電子供与性物質が挙げられる。電荷移動剤と結着樹脂
との割合は結着樹脂100重量に対して電荷移動物質が
5〜500重量部の範囲により使用される。
【0056】この様にして調製された分散液を用いて、
導電性支持体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷
移動層を積層させて感光層を形成する、或いは導電性支
持体上に電荷移動層を形成しその上に前記分散液を用い
て電荷発生層を形成し感光層を形成する、或いは導電性
支持体上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成させ感
光層とする、のいずれかの構造で感光層を形成すること
が出来る。電荷発生層の膜厚は電荷移動層と積層させて
感光層を形成する場合0.1μm〜10μmの範囲が好適で
あり電荷移動層の膜厚は10〜40μmが好適である。電荷
発生層のみの単層構造で感光層を形成する場合の電荷発
生層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
【0057】電荷移動層を設ける場合、そこに使用され
る電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にアントラセ
ン、ピレン、フエナントレン、コロネン等の多芳香族化
合物またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、
イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾ
ール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾー
ル、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格を有する
化合物、その他、ヒドラゾン化合物など正孔輸送物質が
挙げられる。
【0058】結着剤樹脂としては、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エス
テル類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポ
リエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、
ポリサルホン等が挙げられる。また、溶媒としては、n
−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、
イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,
N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン、ベンゼン等、揮発性が高く且
つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用い
られる。
【0059】塗布液中の各成分の濃度は、公知の技術に
従って適宜に設定される。固形分の濃度は、主として、
形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、単層型電子
写真感光体を製造する際の塗布液の場合、および、積層
型電子写真感光体を製造する際の電荷輸送層用の塗布液
の場合、40重量%以下、好ましくは10〜35重量%
以下に調製される。これらの塗布液の場合、その粘度
は、50〜350cps、好ましくは70〜250cp
sとされ、その乾燥膜厚は、15〜40μmとされる。
また、積層型電子写真感光体を製造する際の電荷発生層
用の塗布液の場合、固形分濃度は15重量%以下、好ま
しくは1〜10重量%に調製される。そして、電荷発生
層用の塗布液の粘度は、1〜5cpsとされ、その乾燥
膜厚は、0.1〜1μmとされる。感光層には、必要に
応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいて
もよい。
【0060】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 まず、下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷移
動層用塗布液を調整した。 [下引き層用塗布液]下記に示した共重合ポリアミド
(数平均分子量3万5千)を混合アルコール(メタノー
ル/n−プロパノール=7/3)溶液に60〜65℃で
撹拌下にて3時間溶解した。次いで、溶液を68℃〜7
3℃で30分間加熱した。このようにして処理を施した
溶液に、予め超音波分散したアルミナ〔昭和電工(株)
製:UA−5305〕の混合アルコール(メタノール/
n−プロパノール=7/3)溶液をホモミキサーにて混
合し、68℃〜73℃で1時間加熱した。その後、濾過
を行った後、超音波で2時間分散処理を行った。このよ
うにして、UA−5305/共重合ポリアミド=1/1
組成(重量比)で、固形分濃度8%下引き層塗布液を調
液した。
【0061】
【化1】
【0062】[電荷発生層用塗布液]Y型オキシチタニ
ウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電
気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に
1、2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラ
インドミルで粉砕、分散処理を行い電荷発生層用塗布液
を調整した。
【0063】[電荷移動層用塗布液]次に示すヒドラゾ
ン化合物56重量部と
【0064】
【化2】
【0065】次に示すヒドラゾン化合物14重量部、
【0066】
【化3】
【0067】及び下記のシアン化合物1.5重量部
【0068】
【化4】
【0069】及び、特開平3−221962号公報の実
施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰
り返し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モ
ノマーモル比1:1)100重量部
【0070】
【化5】 を1、4ジオキサン、テトラヒドロフランの混合溶媒に
溶解して電荷移動層塗布液とした。
【0071】[導電性支持体]導電性支持体として表面
が鏡面仕上げされた外径20mm、長さ250mm、肉
厚1.0mmの6063系アルミニウム製シリンダーを
用意した。導電性支持体上に以下のような浸漬塗布装置
を用いて浸漬塗布して塗膜を形成した。
【0072】[浸漬塗布装置]用いた浸漬塗布装置は図
1に示した装置を用いた。その際に浸漬塗布槽(内径6
0mm)は第4図(b)に示したせき部(4カ所)を有
した浸漬塗布槽を用いた。浸漬塗布槽の上部からせき部
の上部までの距離は6mmであり、せき部の浸漬塗布槽
の円周方向への長さは8mmである。
【0073】[下引き層形成]上記の浸漬塗布装置を用
い、予め調製した下引き層用塗布液を充填した浸漬塗布
槽に導電性支持体に浸漬した。次に、導電性支持体を引
き上げた。得られた下引き層の膜厚は、1.25μmで
あった。常温にて風乾を施し、下引き層を形成した。
【0074】[電荷発生層形成]次に、上記の浸漬塗布
装置を用い、予め調製した電荷発生層用塗布液を充填し
た浸漬塗布層に下引き層が形成された導電性支持体を浸
漬した。次に、導電性支持体を引き上げた。得られた電
荷発生層の膜厚は、0.5μmであった。常温にて風乾
を施し、電荷発生層を形成した。
【0075】[電荷移動層形成]次に、上記の浸漬塗布
装置を用い、予め調製した電荷移動層用塗布液を充填し
た浸漬塗布層に電荷発生層が形成された導電性支持体を
浸漬した。次に、導電性支持体を引き上げた。得られた
電荷移動層の膜厚は、17μmであった。100℃湿度
10%の乾燥室にて1時間乾燥処理を施し、電荷移動層
を乾燥した。
【0076】[電子写真感光体]このようにして電子写
真感光体を製造した。上記の浸漬塗布装置を用いて下引
き層、電荷発生層、電荷移動層をそれぞれ形成したが、
何れの層の形成においても、液だれ等による塗布欠陥は
見いだされなかった。得られた電子写真感光体を画像形
成装置に組み込んだ。このようにして製造された画像形
成装置は、いずれも均一な画像をえることができた。
【0077】
【比較例1】上記の浸漬塗布装置において、せき部のな
い浸漬塗布槽を用いた以外は実施例1と同様に電子写真
感光体を製造した。下引き層用塗布液、電荷発生層用塗
布液、電荷移動層用塗布液にそれぞれ導電性支持体を浸
漬したが、液だれ等に由来した塗布欠陥が何れの塗布層
にも存在することが確認された。このようにして製造さ
れた画像形成装置には、装置毎の画像濃度にムラが生じ
ていた。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、導電性支持体を引き上
げることによって発生した気泡が、後に塗布される塗布
液に混入する事態を防止することができ、筋状の塗布ム
ラを防止することができ、これにより良好な電子写真特
性を有する電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸漬塗布装置における主要な構成部材
を示す系統図
【図2】浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の一
態様を示す部分的な縦断面図
【図3】浸漬塗布槽の樋部材における液面検出手段の他
の態様を示す部分的な縦断面図
【図4】本発明の浸漬塗布装置における浸漬塗布槽の一
例を示す概念図
【符号の説明】
1 :浸漬塗布槽 10 :浸漬槽本体 11 :樋部材 13 :切り欠き部 14 :せき部 2 :塗布液調製槽 3 :ポンプ 55 :塗布液返流用の配管 55c:塗布液返流用の配管の開口部 7 :液面検出手段 70 :フロート 71 :センサー 77 :ダンパー 8 :遮断弁 9 :制御手段 W :円筒状支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/05 102 G03G 5/05 102 Fターム(参考) 2H068 EA16 4D075 AB02 AB12 AB33 AB37 AB41 CA22 DA15 DB04 DB06 DB07 DB18 DB31 DC27 EA07 EA10 EA19 EB19 EB22 EB32 EB33 EB38 EB39 EB40 EB56 4F040 AA07 AB06 BA42 CC02 CC09 CC14 CC18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体用導電性支持体上に浸漬
    塗布により下引き層、電荷発生層あるいは電荷輸送層の
    いずれかを形成してなる電子写真感光体を製造するため
    の浸漬塗布槽を有する電子写真感光体製造用浸漬塗布装
    置であって、 前記浸漬塗布槽の上端部には、少なくとも1つ以上の切
    り欠き部又はせき部を有することを特徴とする電子写真
    感光体製造用浸漬塗布装置。
  2. 【請求項2】 前記浸漬塗布槽が略円筒状であり、該浸
    漬塗布槽の直径をφとしたときに、該浸漬塗布槽の上端
    部から前記切り欠き部の下端までの距離がφ/100〜
    φ/3である請求項1に記載の電子写真感光体製造用浸
    漬塗布装置。
  3. 【請求項3】 前記浸漬塗布槽が略円筒状であり、該浸
    漬塗布槽の直径をφとしたときに、該浸漬塗布槽の上端
    部から前記せき部の上端部までの距離が、φ/100〜
    φ/3であり、それぞれの該せき部の浸漬塗布槽の円周
    方向への長さが、φ/20〜φ/5である請求項1又は
    2に記載の電子写真感光体製造用浸漬塗布装置。
  4. 【請求項4】 前記切り欠き部又はせき部の数が3つ以
    上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真
    感光体製造用浸漬塗布装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも浸漬塗布槽と、該浸漬塗布槽
    の上部外周側に付設されかつ浸漬塗布槽からオーバーフ
    ローする塗布液を受ける桶部材と、塗布液を調整する塗
    布液調整槽と、該浸漬塗布槽と該塗布液調整槽との間で
    塗布液を循環させる塗布液循環装置と、電子写真感光体
    用導電性支持体を把持し該導電性支持体を該浸漬塗布槽
    に浸漬し引き上げる把持部材とを具備する電子写真感光
    体の製造装置であって、 該浸漬塗布槽が請求項1〜4のいずれか1項に記載の該
    浸漬塗布槽である電子写真感光体の製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電子写真感光体の製造
    装置を用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方
    法。
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