JP2002296807A - 電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法及びその塗布液を用いた電子写真感光体並びに画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法及びその塗布液を用いた電子写真感光体並びに画像形成装置

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JP2002296807A
JP2002296807A JP2001096311A JP2001096311A JP2002296807A JP 2002296807 A JP2002296807 A JP 2002296807A JP 2001096311 A JP2001096311 A JP 2001096311A JP 2001096311 A JP2001096311 A JP 2001096311A JP 2002296807 A JP2002296807 A JP 2002296807A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真感光体に用いられる下引き層用塗布
液のゲル化を防止し、均一な下引き層塗布液を提供する
こと、および、均質な電子写真感光体や画像形成装置を
提供すること。 【解決手段】 少なくともバインダー樹脂と溶媒とを含
む電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法であっ
て、該バインダー樹脂と溶媒とを混合した後、該混合液
を加圧状態で加熱する工程を含むことを特徴とする電子
写真感光体用下引き層塗布液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体用下
引き層塗布液の製造方法に関するものである。詳しく
は、特定の下引き層塗布液の製造方法、それを使用した
電子写真感光体並びに画像形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に電子写真感光体は、アルミニウム
等の導電性基体上にこの様な感光層を設けて形成される
が、実際の電子写真プロセスで使用する上で基体表面が
及ぼす影響は非常に大きい。例えば、基体表面に存在す
る汚れや異物の付着、傷などは多かれ少なかれ電気特性
に悪影響を及ぼし、結果的に画像欠陥として現れる。こ
の様な基体表面の欠陥をなるべく除去するためには感光
体のコストアップにつながる切削加工や鏡面研磨などの
二次加工及び精密な洗浄が必要となる。一方このような
工程を経ず均一で清浄な基体表面を得る手段として基体
と感光層の間に下引き層を設けることが公知の技術とし
て知られている。下引き層は、電子写真特性に影響を及
ぼさないために、電気抵抗が低いことが要求される。ま
た感光層に対して、キャリアーの注入性がないことも要
求される。感光層に対しキャリアーの注入性のある下引
き層を用いると帯電電位を減少させ、結果的に画像のコ
ントラストを低下させたり、カブリの原因となる。
【0003】下引き層としては、例えばアルミニウム陽
極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等
の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチ
ン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド
等の有機層、及び無機粒子及び有機顔料と有機バインダ
ーの混合層が知られている。また、特開平10−909
30号公報には、下引き層にポリアミドとアルミナとを
含む電子写真感光体が記載されている。また、特開平1
0−254150号公報には、ポリアミドと酸化チタン
を含む下引き層の製造方法において、下引き層用塗布液
を調整した後に加熱することが記載されている。しかし
ながら、かかる下引き層用塗布液を加圧状態で加熱する
ことに関しては何ら記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に電子写真感光体
に用いられるポリアミドを含んだ下引き層用塗布液は、
ゲル化しやすいという問題がある。下引き層塗布液がゲ
ル化すると、収率が悪くなるばかりか、塗布液の均一性
が保てず、製造された電子写真感光体や、画像形成装置
にばらつきが生ずるという問題がある。また、先の公報
に記載された調整方法によって得られた下引き用塗布液
は長期間の保存安定性に問題があった。本発明は、かか
る問題点を解決し、長期間の保存安定性に優れ、均一な
下引き層塗布液を提供すること、および、かかる下引き
層塗布液を用いた均質な電子写真感光体並びに画像形成
装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の発明
によって解決される。すなわち、少なくともバインダー
樹脂と溶媒とを含む電子写真感光体用下引き層塗布液の
製造方法であって、該バインダー樹脂と溶媒とを混合し
た後、該混合液を加圧状態で加熱する工程を含むことを
特徴とする電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法
によって上記課題が解決される。これは、下引き層塗布
液を調整するにあたり、バインダー樹脂と溶媒とを、加
圧状態で加熱することにより、バインダー樹脂と溶媒と
が外界の雰囲気に触れ変質の恐れがない状態で活性化さ
れ、好ましい状態になるからである。また、加圧状態で
加熱することで溶媒が蒸発し混合液系から逃れるという
事態が回避出来るのである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明における下引き層塗布液
は、少なくともバインダー樹脂と溶媒とを含有し、更に
無機粒子を含有することが好ましい。更に、公知のバイ
ンダー樹脂や酸化防止剤等の公知の副資材が含有されて
いても良い。
【0007】バインダー樹脂としては、電子写真感光体
用下引き層に用いられる種々のバインダー樹脂であれば
よく、例えば、ポリビニルアルコール、カゼインナトリ
ウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアセター
ル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポ
リイミド、ポリアミドが好適に用いることが出来る。こ
れらは単独でも複数が混合されていてもよい。これらの
バインダー樹脂の中でも、ポリアミドが塗工性、密着
性、耐溶剤性等の観点から特に好ましい。
【0008】ポリアミドとしては、電子写真感光体の下
引き層塗布液として使用可能なものであれば特に限定さ
れるものではないが、中でもアルコール可溶性の共重合
ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性
を示すため好ましい。より好ましくは、下記一般式
(I)で示されるジアミンを構成成分として有する共重
合ポリアミドを用いるのが好ましい。
【0009】
【化2】 式中、A、Bはそれぞれ、置換基を有してもよいシクロ
へキシル基を表し、R 1 、R2はそれぞれ、独立として
水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基あるいは
アルコキシ基を表す。なお、これらの有機基には本発明
の効果を損なわない限り置換基を有していてもよい。こ
こで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ま
しく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、
n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等の低級アルコキ
シ基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ま
しく、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基
等が挙げられるが、R1 、R2 としてより好ましいの
は、水素原子、メチル基、エチル基である。
【0010】かかる共重合ポリアミドの数平均分子量と
しては、1万〜5万、より好ましくは1.5万〜3.5
万の範囲のものを用いるのがよい。これはかかる範囲外
であると、塗布性や保存性に問題を生じ易いためであ
る。
【0011】本発明で用いる溶媒としては、上記のよう
なバインダー樹脂を溶解しうる種々の溶媒であれば特に
限定されるものではないが、アルコール類やエーテル
類、ケトン類が好適に用いられる。これらの中でもメタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低
級アルコール及びこれらの混合物を用いるのがより好ま
しい。
【0012】かかる溶媒に対するバインダー樹脂の使用
量は、得られる下引き層塗布液として塗布できうる状態
であれば、特に限定されるものではないが、通常、1wt
%〜10wt%の範囲、好ましくは1wt%〜8wt%の範
囲、より好ましくは1wt%〜6wt%の範囲で混合され
る。
【0013】本発明で用いられる無機粒子としては、電
子写真感光体用下引き層に用いられる種々の無機粒子で
あればよく、例えば、アルミナや酸化チタン等が好適に
用いられる。本発明では、この方法によって調整された
下引き層用塗布液との相性の観点からアルミナを用いる
のが特に好ましい。
【0014】アルミナとしては公知のアルミナを用いる
ことが出来るが、特に、含水量1wt%〜3wt%のアルミ
ナ粒子を用いることが好ましい。アルミナ粒子の粒径は
およそ均一なものが好ましく、平均粒径が0.01μm
〜1μmのものが好ましく、0.1μm〜0.8μmで
あればより好ましく、0.3μm〜0.6μmであれば
特に好ましい。なお、ここで言う含水量とは35℃、8
5%RH環境下に4時間放置後の値を意味する。
【0015】バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比
は下引き層塗布液の特性を損なわない限り任意に選べる
が、40wt%から400wt%の範囲で使用することが、
下引き層塗布液の保存安定性、塗布性の面で好ましい。
【0016】本発明の下引き層塗布液は、例えば以下の
ようにして調整される。まず、バインダー樹脂を溶媒と
混合しバインダー樹脂が溶解された混合溶液を得る。次
いで、一定の容積を有する容器にこの混合溶液を注入
し、加圧状態で加熱する。ここで、加圧状態で加熱する
ことによりバインダー樹脂の熱運動が盛んになる結果、
絡み合ったバインダー樹脂がほどけ、安定化すると考え
られる。このような工程により下引き層塗布液を製造す
ると、塗布するまでに下引き層塗布液の液温が低下して
も、下引き層塗布液がゲル化する事態を効果的に防止す
ることができる。
【0017】混合溶液に対する加圧状態とは、通常、
1.5気圧〜10気圧の範囲、好ましくは1.5気圧〜
5気圧の範囲であり、更に好ましくは1.7気圧〜4気
圧の範囲で加圧されておればよい。加熱温度としては、
バインダー樹脂の熱運動を盛んとし、絡み合ったバイン
ダー樹脂がほどけ安定化するような温度であれば、特に
限定されるものではない。具体的には、用いる溶媒によ
り異なるが、通常は用いる溶媒の沸点−15℃以上の加
熱温度、好ましくはその沸点−5℃以上、更に好ましく
は沸点以上で加熱するのがよい。特に、溶媒の沸点以上
で加熱する場合には、その溶媒の沸点〜沸点+10℃の
範囲で加熱するのがより好ましく、当該沸点+1℃〜当
該沸点+7℃の範囲であれば更に好ましく、当該沸点+
2℃〜当該沸点+5℃の範囲であれば特に好ましい。こ
こで、溶媒として混合溶媒を用いる場合の溶媒の沸点と
は沸点の最も低い溶媒の沸点を意味する。
【0018】本発明での加圧状態で加熱する方法として
は、加熱時に加圧されていれば特に限定されるものでは
ないが、例えば、バインダー樹脂と溶媒等からなる混合
液を密封下で溶媒の沸点以上に加熱することにより溶媒
蒸気による加圧状態で加熱する方法や外部から混合液に
圧力を付加しながら加熱する方法等が挙げられる。何れ
の方法においても、少なくともバインダー樹脂と溶媒か
らなる混合液に対して、上述したような圧力が付加され
た状態で加熱するのが重要である。特に、本発明の加圧
状態で加熱する工程は、密閉下で溶媒の沸点以上で加熱
する方法、具体的には、密封容器内で加熱することによ
り装置的にも容易に加圧状態を作り出せるので好まし
い。以下、密封容器内で加熱する場合について説明す
る。
【0019】密封容器は、完全に密封されているものの
他に、完全に密封されている状態でなくともある程度容
器内の圧力が高くなるものであればよい。加熱中の密封
容器内の最大圧力としては、上述したような加圧状態、
すなわち、1.5気圧〜10気圧が好ましく、1.5気
圧〜5気圧であれば、より好ましく、更に1.7圧〜4
気圧であれば特に好ましい。加熱時間としては、十分に
均一な下引き層塗布液が調整されればよく、具体的に
は、通常1分〜10時間で加熱するのが好ましく、10
分〜3時間であればより好ましく、20分〜2時間であ
れば更に好ましく、25分〜1時間であれば特に好まし
い。加熱温度としては、上述したように、溶媒の沸点以
上の温度であり、その溶媒の沸点〜沸点+10℃の範囲
で加熱するのがより好ましく、当該沸点+1℃〜当該沸
点+7℃の範囲であれば更に好ましく、当該沸点+2℃
〜当該沸点+5℃の範囲であれば特に好ましい。
【0020】このようにして調整した混合溶液に更に無
機粒子を添加する場合においては、予め調整した無機粒
子を加え分散処理を施すことが望ましい。分散処理の方
法としては、サンドグラインドミルやボールミル、ホモ
ジナイザー等による分散処理方法が挙げられるが、これ
らの中でもホモジナイザーによる分散処理を用いると均
一に分散出来るので好ましい。分散後、上記と同様にし
て、かかる混合溶液を加圧状態で加熱する。この場合の
加圧状態で加熱するのは上記と同様であり、バインダー
樹脂の熱運動を盛んとし、絡み合ったバインダー樹脂を
ほどき安定化させるのである。なお、バインダー樹脂、
無機粒子、溶媒を一度に混合してこれらの混合溶液を得
た後、上記のように、加圧状態で加熱してもよい。
【0021】なお、本発明においては、上述のように下
引き層塗布液を調整した後、濾過を施すことによってよ
り好ましい下引き層塗布液が得られるので好ましい。濾
過処理としては、コットンフィルター又はガラスフィル
ター等を用い調整後のかかる塗布液を濾過処理するのが
よいが、更にかかる濾過処理した後にメンブランフィル
ターで再度濾過処理を行うのがより好ましい。このよう
な濾過処理を行うことによりバインダー樹脂のゲル化を
より効果的に防止できるからである。
【0022】下引き層塗布液を製造した後は、塗布液を
5℃〜55℃、好ましくは、10℃〜40℃、より好ま
しくは、15℃〜25℃に保つことが特に好ましい。あ
まりに液温を高くするとゲル化が始まるおそれがあり、
液温を低くすると液の粘度が下がり、また結晶化が始ま
るからである。
【0023】次に、本発明の他の態様である電子写真感
光体について説明する。かかる電子写真感光体は上述の
製造方法で得られた下引き層塗布液を導電性支持体上に
均一に塗布して下引き層を形成し、次いで、かかる下引
き層の上層に感光層を形成したものである。下引き層の
膜厚は、0.1μmから10μm、好ましくは0.2μ
mから5μmの範囲で使用されるのが最も効果的であ
る。
【0024】感光層は導電性支持体上に設けられた下引
き層の上層に設けられる。導電性支持体としては、アル
ミニウム、ステンレス綱、銅、ニッケル等の金属材料、
表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化
インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィル
ム、紙、ガラス等の絶縁性支持体が使用される。導電性
支持体と電荷発生層の間には下引き層が設けられるが、
下引き層と共に公知のアルマイト層が形成されていても
良い。
【0025】感光層は、積層型、単層型のいずれであっ
てもよいが、積層型が特に好適に用いられる。積層型の
感光層には、電荷発生剤を含む電荷発生層と、その上に
設けられ電荷輸送剤を含む電荷輸送層が形成されてお
り、更にその上に表面層が設けられていても良い。
【0026】電荷発生剤としては、セレン及びその合
金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他
の無機光導電体、フタロシアニン、アゾ、キナクリド
ン、多環キノン、ペリレン、インジゴ、ベンズイミダゾ
ールなどの有機顔料を使用することができる。特に銅、
塩化インジウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウ
ム、亜鉛、バナジウムなどの金属、またはその酸化物や
塩化物の配位したフタロシアニン類、無金属フタロシア
ニン類、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポ
リアゾ類などのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特に
アゾ顔料又はフタロシアニン類がより好ましく、いわゆ
るY型オキシチタニウムフタロシアニンが特に好まし
い。これは通常の顔料より熱による結晶変換が起きやす
いためである。
【0027】いわゆるY型オキシチタニウムフタロシア
ニンとは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ
角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示す
ものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニ
ンは、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているもので
あり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図
(同公報ではII型と称されている)、特開平2−82
56号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の
第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第
3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されて
いる)に示されたものである。この結晶型オキシチタニ
ウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを
示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4゜、
9.7゜、24.2゜にピークを示す。
【0028】なお、回折ピークの強度は、結晶性、試料
の配向性及び測定法により変化する場合もあるが、粉末
結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−
ブレンダーノの集中法による測定では、上記のY型オキ
シチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピ
ークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法あるい
は平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試
料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとなら
ない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向
しているためと考えられる。
【0029】分散媒としては種々の溶媒を用いてよい。
例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラ
ヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル
類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸
メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタ
ノール、プロパノール等のアルコール類を単独あるいは
2種以上混合して使用することができる。
【0030】用いる分散媒の量は分散が充分行え、且つ
分散液中に有効量の電荷発生剤が含まれる限りいかなる
量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生剤の濃
度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%程度が
好ましい。
【0031】結着樹脂としてはポリビニルブチラール、
ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリス
ルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ
塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェ
ノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分
的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることがで
きる。
【0032】結着樹脂と電荷発生剤粒子との混合方法と
しては例えば、電荷発生剤粒子を分散処理中に結着樹脂
を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散
する方法、分散液を結着樹脂のポリマー溶液中に混合す
る方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する
方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
【0033】次にここで得られた分散液は、塗布をする
のに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希
釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば
前記分散媒として例示した溶媒を使用することができ
る。電荷発生剤と結着樹脂との割合は特に制限はないが
一般には樹脂100重量部に対して電荷発生剤が5〜5
00重量部の範囲より使用される。また必要に応じて電
荷移動剤を含むことができる。電荷移動剤としては例え
ば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキ
シジメタンなどの電子吸引性物質、セルバゾール、イン
ドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オ
キサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複
素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香
族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化
合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体など
の電子供与性物質が挙げられる。電荷移動剤と結着樹脂
との割合は結着樹脂100重量に対して電荷移動物質が
5〜500重量部の範囲により使用される。
【0034】この様にして調製された分散液を用いて、
導電性支持体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷
移動層を積層させて感光層を形成する、或いは導電性支
持体上に電荷移動層を形成しその上に前記分散液を用い
て電荷発生層を形成し感光層を形成する、或いは導電性
支持体上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成させ感
光層とする、のいずれかの構造で感光層を形成すること
が出来る。電荷発生層の膜厚は電荷移動層と積層させて
感光層を形成する場合0.1μm〜10μmの範囲が好適で
あり電荷移動層の膜厚は10〜40μmが好適である。電荷
発生層のみの単層構造で感光層を形成する場合の電荷発
生層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
【0035】電荷移動層を設ける場合、そこに使用され
る電荷移動剤としては、前記電荷移動剤として例示した
材料を使用することが出来る。これらの電荷移動剤とと
もに必要に応じて結着樹脂が配合される。結着樹脂とし
ては、例えば前記結着樹脂として例示した結着樹脂を使
用することが出来る。感光層には、必要に応じて酸化防
止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0036】次いで、本発明の他の態様である画像形成
装置について説明する。かかる画像装置は電子写真方式
の画像形成装置として既に種々知られており、基本的に
は、電子写真感光体の外周面に沿って帯電装置、露光装
置、現像装置、転写装置及びクリーニング装置から構成
される画像装置である。本発明においては、かかる画像
形成装置における電子写真用感光体として、上述の製造
方法で得られた下引き層塗布液を導電性支持体上に均一
に塗布して形成した下引き層の上層に感光層を設けた電
子写真用感光体を用いることを特徴としたものである。
【0037】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 まず、下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷移
動層用塗布液を調整した。 [下引き層用塗布液]下記に示した共重合ポリアミド
(数平均分子量3万5千)を混合アルコール(メタノー
ル/n−プロパノール=7/3)溶液60〜65℃で密
閉容器に入れ撹拌下にて3時間溶解した(工程1)。そ
の後、溶液を68℃〜73℃で30分間加熱した(工程
2)。なお、混合溶媒中の沸点の低い溶媒であるメタノ
ールの沸点は、約66℃である。この際、加熱された容
器内の圧力は、時間と共に高くなった。このようにして
処理を施した溶液に、予め超音波分散したアルミナ〔昭
和電工(株)製:UA−5305〕の混合アルコール
(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液をホモ
ミキサーにて混合した(工程3)。混合液を密封容器に
入れ、68℃〜73℃で1時間加熱しながら拡散処理を
施した(工程4)。その後、濾過を行った後、超音波で
2時間分散処理を行った(工程5)。このようにして、
UA−5305/共重合ポリアミド=1/1組成(重量
比)で、固形分濃度8%下引き層塗布液を調液した。
【0038】
【化3】
【0039】[電荷発生層用塗布液]Y型オキシチタニ
ウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電
気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に
1、2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラ
インドミルで粉砕、分散処理を行い電荷発生層用塗布液
を調整した。 [電荷移動層用塗布液]次に示すヒドラゾン化合物56
重量部と
【0040】
【化4】 次に示すヒドラゾン化合物14重量部、
【0041】
【化5】 及び下記のシアン化合物1.5重量部
【0042】
【化6】 及び、特開平3−221962号公報の実施例中に記載
された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単
位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比
1:1)100重量部
【0043】
【化7】 を1、4ジオキサン、テトラヒドロフランの混合溶媒に
溶解して電荷移動層塗布液とした。
【0044】[導電性基体]導電性基体として表面が鏡
面仕上げされた外径60mm、長さ350mm、肉厚
1.0mmの6063系アルミニウム製シリンダーを用
意した。導電性基体上に以下のようにして塗膜を形成し
た。
【0045】[塗布工程]導電性基体を予め調整した下
引き層塗布液に浸漬した。塗布時の下引き層塗布液の液
温は、約25℃であった。目視によって、下引き層塗布
液がゲル化している様子は見受けられなかった。次に、
導電性基体を引き上げた。得られた下引き層の膜厚は、
1.25μmであった。常温にて風乾を施し、下引き層
を形成した。
【0046】[電荷発生層形成]次に、下引き層が形成
された導電性基体を予め調整した電荷発生層用塗布液に
浸漬した。次に、導電性基体を引き上げた。得られた電
荷発生層の膜厚は、1.5μmであった。常温にて風乾
を施し、電荷発生層を形成した。
【0047】[電荷移動層形成]次に、電荷発生層が形
成された導電性基体を予め調整した電荷移動層用塗布液
に浸漬した。次に、導電性基体を引き上げた。得られた
電荷発生層の膜厚は、17μmであった。100℃湿度
10%の乾燥室にて1時間乾燥処理を施し、電荷移動層
を乾燥した。このようにして電子写真感光体を40本製
造した。得られた電子写真感光体を画像形成装置に組み
込んだ。このようにして製造された画像形成装置は、い
ずれも均一な画像をえることができた。
【0048】
【比較例1】下引き層用塗布液製造過程において、工程
2及び工程4を施さなかった以外は、実施例1と同様に
して電子写真感光体を40本製造し、画像形成装置に組
み込んだ。下引き層塗布液に導電性基体を浸漬する際、
目視により下引き層用塗布液を観測したところ、塗布槽
の底面にゲル化した下引き層塗布液が存在することが確
認された。このようにして製造された画像形成装置に
は、装置毎の画像濃度にムラが生じていた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、電子写真感光体に用い
られるバインダー樹脂を含んだ下引き層用塗布液におい
て、下引き層塗布液のゲル化を防止し、収率の向上を図
り、かつ、下引き層塗布液の均一性を保ち、電気特性等
にばらつきのない電子写真感光体や、画像形成装置を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 AA43 AA44 BB28 CA33 EA05 EA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともバインダー樹脂と溶媒とを含
    む電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法であっ
    て、該バインダー樹脂と溶媒とを混合した後、該混合液
    を加圧状態で加熱する工程を含むことを特徴とする電子
    写真感光体用下引き層塗布液の製造方法。
  2. 【請求項2】加圧状態で加熱する工程が、密封下に溶媒
    の沸点以上に加熱する工程である請求項1に記載の電子
    写真感光体用下引き層塗布液の製造方法。
  3. 【請求項3】下引き層塗布液は、更に無機粒子を含む請
    求項1または2のいずれか1項に記載の電子写真感光体
    用下引き層塗布液の製造方法。
  4. 【請求項4】無機粒子がアルミナである請求項3の電子
    写真感光体用下引き層塗布液の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記バインダー樹脂は、下記一般式
    (1)を構成部分として含む請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の電子写真感光体用下引き層塗布液の製造方
    法。 【化1】 (式中、A、Bはそれぞれ、置換基を有しても良いシク
    ロヘキシル環を表し、R 1、R2はそれぞれ、独立して水
    素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキ
    シ基を表す。)
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子
    写真感光体用下引き層塗布液の製造方法によって製造さ
    れた下引き層塗布液を用いることを特徴とする電子写真
    感光体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電
    子写真感光体用下引き層塗布液の製造方法によって製造
    された下引き層塗布液を用いた電子写真感光体を用いる
    ことを特徴とする画像形成装置。
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