JPH10123732A - 電子写真感光体の製造方法および感光体材料の塗布装置 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法および感光体材料の塗布装置

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JPH10123732A
JPH10123732A JP29804696A JP29804696A JPH10123732A JP H10123732 A JPH10123732 A JP H10123732A JP 29804696 A JP29804696 A JP 29804696A JP 29804696 A JP29804696 A JP 29804696A JP H10123732 A JPH10123732 A JP H10123732A
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coating liquid
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tank
liquid
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JP29804696A
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Kazumasa Nakayama
一政 中山
Tomohiro Arita
智博 在田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸漬帯電による塗布ムラを有効に防止し得る
電子写真感光体の製造方法および感光体材料の塗布装置
を提供する。 【解決手段】 本発明の電子写真感光体の製造方法にお
いては、循環ポンプ(3)を逆回転させて浸漬槽本体
(10)の液面高さを所定高さに低下させた状態で且つ
所定の下降速度で基体(W)の下端を接触させ、オーバ
ーフローさせない状態で基体(W)の略全体を浸漬す
る。また、本発明の塗布装置は、浸漬塗布法により円筒
状基体(W)の表面に感光体材料の塗膜を形成する装置
であり、塗布液がオーバーフローする浸漬塗布槽(1)
及び塗布液供給装置(2)を含み、浸漬槽本体(10)
に塗布液を供給する循環ポンプ(3)は、浸漬槽本体
(10)の塗布液の液面高さを一時的に低下させる正逆
回転可能なポンプで構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体の
製造方法および感光体材料の塗布装置に関するものであ
り、詳しくは、浸漬塗布法によって電子写真感光体の基
体に感光体材料を塗布するに当り、特に、浸漬帯電によ
る塗布ムラを有効に防止し得る電子写真感光体の製造方
法および当該製造方法を実施するための感光体材料の塗
布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドラム状の電子写真感光体は、円筒状の
基体の表面に感光体材料の塗膜を形成して製造され、塗
膜の形成には、感光体材料としての塗布液を収容し且つ
基体が浸漬される浸漬塗布槽を備えた塗布装置が使用さ
れる。塗布装置による処理は、浸漬塗布槽において塗布
液をオーバーフローさせつつ、塗布液に略垂直に基体を
浸漬した後、略垂直に引き上げることによって基体の表
面に感光体材料の塗膜を形成する。斯かる浸漬塗布法
は、塗布液の組成を均一に保持することが出来るため、
広く採用されている方法である。
【0003】上記の様な浸漬塗布法においては、感光塗
膜の平滑性を一層向上させるため、基体表面の塗布ムラ
を防止することが重要な課題である。塗布ムラの発生原
因としては、一般に、外部からの振動による液面の揺
れ、塗布液の濃度のばらつき、あるいは、気化した溶剤
によって基体の下端から発生する気泡の混入などが知ら
れている。液面の揺れや塗布液の濃度の問題は、塗布装
置の設計においてある程度解決し得る問題であり、ま
た、特公平4−68989号公報、特開平2−2196
0号公報などには、塗布液中の気泡による塗布ムラを防
止することを企図した塗布装置が種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の浸漬
塗布法を利用した塗布装置においては、塗布液の混合状
態が均一であり且つ気泡の発生を十分に抑制しているに
も拘らず、凡そ基体の昇降方向(軸線方向)に沿った塗
布ムラが発生する場合がある。斯かる塗布ムラとして
は、基体の下端側に発生する周方向に波形が並んだ状態
のスジ状の塗布ムラと、基体の略全周面に発生する軸線
方向に流れた状態の波状の塗布ムラとが挙げられる。こ
れら塗布ムラの発生原因は、塗布液の粘度、基体の浸漬
速度および引き上げ速度にも関係していると考えられ
る。しかしながら、未だ十分に解決されていないのが現
状である。
【0005】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、浸漬塗布法によって電子写真感
光体の基体に感光体材料を塗布するに当り、上記の様な
スジ状の塗布ムラや波状の塗布ムラを有効に防止でき、
しかも、効率的に感光塗膜を形成し得る電子写真感光体
の製造方法および当該製造方法を実施するための感光体
材料の塗布装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子写真感
光体の製造方法は、円筒状に形成された基体を浸漬塗布
槽の塗布液に略垂直に浸漬した後、略垂直に引き上げる
ことによって基体の表面に感光体材料の塗膜を形成する
電子写真感光体の製造方法において、基体の体積の70
〜100%相当量だけ塗布液の液面高さを低下させた状
態で且つ100〜1000mm/分の下降速度で基体の
下端を接触させた後、前記下降速度よりも速い速度で基
体の略全体を浸漬し、次いで、塗布液をオーバーフロー
させつつ基体を引き上げてその表面に感光塗膜を形成す
ることを特徴とする。
【0007】上記の電子写真感光体の製造方法は、浸漬
塗布槽と塗布液調製槽と間で循環ポンプにより塗布液を
循環させながら浸漬塗布を行う製造方法において、浸漬
塗布槽の塗布液の液面高さを低下させる際に前記循環ポ
ンプを逆転させることにより達成される。
【0008】また、上記の製造方法を実施するための本
発明に係る感光体材料の塗布装置は、円筒状に形成され
た基体の表面に感光体材料の塗膜を形成する塗布装置で
あって、基体に感光体材料としての塗布液を塗布する浸
漬塗布槽と、当該浸漬塗布槽に塗布液を供給する塗布液
供給装置とを備え、前記浸漬塗布槽は、塗布液を収容す
る浸漬槽本体と、オーバーフローした塗布液を受けるた
めに前記浸漬槽本体の外周側に付設された樋部材とを含
み、前記塗布液供給装置は、オーバーフローした塗布液
を収容して調製する塗布液調製槽と、当該塗布液調製槽
から前記浸漬槽本体に塗布液を供給する循環ポンプとを
含み、前記循環ポンプは、これが逆回転することによ
り、基体の体積の70〜100%相当量だけ前記浸漬槽
本体の塗布液の液面高さを低下させる正逆回転可能なポ
ンプであることを特徴とする。
【0009】すなわち、上記の特定の循環ポンプは、浸
漬槽本体に基体を挿入する際、基体の下端が塗布液に接
触しない高さに液面を制御する。従って、塗布液に基体
を浸漬する場合には、オーバーフローしていない状態の
塗布液の静的な液面に基体の下端を接触させて基体の電
荷を放電させることが出来、しかも、低い液面の塗布液
が再びオーバーフローするまでの間に基体の略全体を浸
漬することが出来るため、浸漬中の基体表面に対する塗
布液の接触速度の変化を防止でき、浸漬の際の塗布液と
の摩擦による帯電のムラを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る電子写真感光体の製
造方法および感光体材料の塗布装置の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明の塗布装置における
主要な構成部材を示す系統図である。図2は、図1の装
置を使用した本発明に係る電子写真感光体の製造方法に
おける回分の主な塗布操作を示す操作工程図であり、図
3は、図2の操作工程における浸漬槽本体への基体の挿
入深さと塗布液の液面の関係を示す部分断面図である。
なお、図2中の符号(a)〜(h)は図3(a)〜
(h)に対応する。
【0011】先ず、本発明に係る感光体材料の塗布装置
について説明する。本発明の塗布装置は、図1に示す様
に、円筒状に形成された基体(W)の表面に感光体材料
の塗膜を形成する電子写真感光体製造用の塗布装置であ
り、基体(W)に感光体材料としての塗布液を塗布する
浸漬塗布槽(1)と、浸漬塗布槽(1)に塗布液を供給
する塗布液供給装置(2)とを備えている。
【0012】本発明において、基体(W)とは、例え
ば、アルミニウム、黄銅、ステンレス等の金属材料、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フエノ
ール樹脂などの高分子材料、または、硬質紙などの材料
によって20〜200mm程度の外径で300〜100
0mm程度の長さに作製された従来公知の円筒状基体を
言う。なお、基体(W)の表面が絶縁体材料によって構
成される場合には、導電物質の含浸、金属箔の積層、金
属の蒸着などよって導電処理される。
【0013】塗布液は、感光体材料と1種以上の溶媒か
ら成る公知の塗布液である。単層型電子写真感光体を製
造する場合の感光体材料の塗布液は、電荷発生物質、電
荷輸送物質、結着剤樹脂および溶媒を混合して調製され
る。また、積層型電子写真感光体を製造する場合の感光
体材料の塗布液は、前記の電荷発生物質、結着剤樹脂お
よび溶媒からなる電荷発生層用の塗布液と、前記の電荷
輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷輸送
層用の塗布液とが別々に調製される。
【0014】電荷発生物質としては、例えば、スーダン
レッド、ダイアンブルー、ジエナスグリーンB等のアゾ
顔料、ジスアゾ顔料、アルゴールイエロー、ピレンキノ
ン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、
インジゴ顔料、インドフアーストオレンジトナー等のビ
スベンゾイミダゾール顔料、銅フタロシアニン等のフタ
ロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、ア
ズレニウム塩が挙げられる。
【0015】電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖に
アントラセン、ピレン、フエナントレン、コロネン等の
多芳香族化合物またはインドール、カルバゾール、オキ
サゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾー
ル、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チア
ジアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格
を有する化合物、その他、ヒドラゾン化合物など正孔輸
送物質が挙げられる。
【0016】結着剤樹脂としては、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エス
テル類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポ
リエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、
ポリサルホン等、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロ
ースエステル類などが挙げられる。
【0017】溶媒としては、揮発性が高く且つその蒸気
の密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用いられる。例
えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジ
アミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メト
キシ−4−メチルペンタノン−2、ジメトキシメタン、
ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソー
ル、3−オキソブタン酸メチル、モノクロルベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢
酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチル
セルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセ
テート等が挙げられる。
【0018】塗布液中の各成分の濃度は、公知の技術に
従って適宜に設定される。固形分の濃度は、主として、
形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、単層型電子
写真感光体を製造する際の塗布液の場合、および、積層
型電子写真感光体を製造する際の電荷輸送層用の塗布液
の場合、40重量%以下、好ましくは10〜35重量%
以下に調製される。これらの塗布液の場合、その粘度
は、50〜350cps、好ましくは70〜250cp
sとされ、その乾燥膜厚は、15〜40μmとされる。
また、積層型電子写真感光体を製造する際の電荷発生層
用の塗布液の場合、固形分濃度は15重量%以下、好ま
しくは1〜10重量%に調製される。そして、電荷発生
層用の塗布液の粘度は、1〜5cpsとされ、その乾燥
膜厚は、0.1〜1μmとされる。
【0019】本発明の塗布装置において、浸漬塗布槽
(1)としては、塗布液をオーバーフローさせつつ処理
する構造の塗布槽が使用される。すなわち、浸漬塗布槽
(1)は、塗布液を収容するための浸漬槽本体(10)
と、オーバーフローした塗布液を受けるために浸漬槽本
体(10)の上部外周側に付設された樋部材(11)と
から主として構成される。
【0020】浸漬槽本体(10)は、上端が開放され且
つ下端側から塗布液が供給される構造を備えており、そ
の下端には、塗布液を供給する配管(分岐配管)(5
4)が接続される。基体(W)を収容する浸漬槽本体
(10)の胴部は、塗布液の部分的な滞留をなくすた
め、略円筒状に形成され且つ底部が逆円錐状に形成され
る。浸漬槽本体(10)は、単独で設けられてもよい
が、効率的に運転するため、通常は並列的に複数基設置
される。
【0021】樋部材(11)は、例えば、短軸の有底円
筒状に形成され、その底面から浸漬槽本体(10)の上
部が突出し、浸漬槽本体(10)から溢れた塗布液を配
管(55)によって排出可能に構成される。また、樋部
材(11)の上部外周側には、基体(W)の浸漬および
引き上げに伴って伸縮する可橈性のフード(12)が付
設され、斯かるフード(12)は、塗布液中の溶媒の気
化を低減すると供に、基体(W)の表面に塗布された塗
布液の乾燥速度を調整する。
【0022】塗布液供給装置(2)は、オーバーフロー
した塗布液を収容して調製する塗布液調製槽(20)
と、当該塗布液調製槽から浸漬槽本体(10)に塗布液
を供給する循環ポンプ(3)と、これらを接続する配管
類とから主として構成される。
【0023】塗布液調製槽(20)は、浸漬塗布槽
(1)に対して常に十分な量の塗布液を供給するために
設けられ、その内部は、浸漬塗布槽(1)から流出した
塗布液を所定の組成に混合調製して貯留するため、樋部
材(11)の底部と略同一高さに設定された仕切壁によ
って混合槽(21)と貯留槽(22)とに分割される。
混合槽(21)には、浸漬槽本体(10)からオーバー
フローした塗布液を導入するため、配管(55)の他端
が接続され、また、希釈用の溶媒や補充用の塗布液を供
給するための配管(56)が挿入される。そして、混合
槽(21)には、塗布液を均一に撹拌混合するための撹
拌翼(23)が設けられる。貯留槽(22)には、上記
の仕切壁を越えて流入した調製済みの塗布液を浸漬塗布
槽(1)側へ供給するための配管(51)が接続され
る。
【0024】塗布液調製槽(20)と浸漬塗布槽(1)
の間の配管(51)〜(55)及び循環ポンプ(3)の
配置は、貯留槽(22)から伸長された配管(51)が
循環ポンプ(3)の吸入側に接続され、循環ポンプ
(3)の吐出側から伸長された配管(52)がフィルタ
ー(4)を介して配管(53)に接続され、そして、配
管(53)から分岐する分岐配管(54)、(54)が
浸漬槽本体(10)、(10)に接続される。また、上
記の様に、浸漬塗布槽(1)の樋部材(11)から伸長
された配管(55)が塗布液調製槽(20)の混合槽
(21)に接続される。
【0025】すなわち、図1に示す塗布装置において
は、配管(51)を通じ、循環ポンプ(3)が塗布液調
製槽(20)の貯留槽(22)から塗布液を吸入し、配
管(52)、フィルター(4)、配管(53)及び分岐
配管(54)、(54)を通じ、浸漬塗布槽(1)の各
浸漬槽本体(10)、(10)に塗布液を供給する。そ
して、各浸漬槽本体(10)、(10)に連続供給した
塗布液をこれらの浸漬槽本体から樋部材(11)にオー
バーフローさせた後、配管(55)を通じ、再び塗布液
調製槽(20)の混合槽(21)に戻す。
【0026】本発明の塗布装置においては、上記の循環
ポンプ(3)として、正逆回転可能なポンプを使用する
ことが重要であり、かつ、循環ポンプ(3)の回転によ
り、浸漬槽本体(10)の塗布液の液面高さが制御可能
になされている。すなわち、循環ポンプ(3)として
は、これが逆回転することにより、基体(W)の体積の
70〜100%、好ましくは90〜100%相当量だけ
浸漬槽本体(10)の塗布液の液面高さを低下させる正
逆回転可能なポンプが使用される。
【0027】循環ポンプ(3)としては、具体的には、
例えば、東興産業社製のアイベックス・MOGポンプ
(商品名)等の定量式ロータリーポンプが挙げられる。
斯かる循環ポンプ(3)の回転は、浸漬塗布槽(1)及
び塗布液供給装置(2)を含む塗布装置全体を一括制御
するために別途設けられたプログラムコントローラー等
の制御装置(図示せず)によって制御される。
【0028】また、本発明の塗布装置においては、図1
に示す浸漬塗布槽(1)に対し、上方から基体(W)を
垂直に且つ昇降可能に吊持するため、チャック機構を備
えた所謂ロボットハンド等の保持装置(6)が使用され
る。保持装置(6)は、例えば、基体(W)の上端から
挿入される垂直な昇降軸と、当該昇降軸に付設された拘
持部材としての風船体とから構成され、基体(W)に昇
降軸を挿入し、加圧空気によって基体(W)の径方向に
風船体を膨張させることにより、基体(W)をその内周
面から拘持する装置である。保持装置(6)の拘持部材
としては、昇降軸の軸線方向に圧縮されて径方向に拡大
する発泡ゴム等の変形可能な弾性材料で構成されたもの
や、基体(W)の径方向に拡開する所謂フィンガーによ
って構成されたものが挙げられる。
【0029】次に、上記の塗布装置を使用した本発明に
係る電子写真感光体の製造方法について図2、図3を併
用して説明する。本発明の製造方法は、基体(W)を浸
漬塗布槽(1)の塗布液に略垂直に浸漬した後、略垂直
に引き上げることによって基体(W)の表面に感光体材
料の塗膜を形成する電子写真感光体の製造方法におい
て、基体(W)の体積の70〜100%、好ましくは9
0〜100%相当量だけ塗布液の液面高さを低下させた
状態で且つ100〜1000mm/分の下降速度で基体
(W)の下端を接触させた後、前記下降速度よりも速い
速度で基体(W)の略全体を浸漬し、次いで、塗布液を
オーバーフローさせつつ基体(W)を引き上げてその表
面に感光塗膜を形成する方法であり、具体的には次の通
りである。
【0030】図1に示す塗布装置において、通常の状態
では、塗布液供給装置(2)の塗布液調製槽(20)か
ら浸漬塗布槽(1)の浸漬槽本体(10)に連続供給さ
れている。すなわち、循環ポンプ(3)は、通常は正回
転しており、配管(51)を通じて塗布液調製槽(2
0)の塗布液を吸入し、配管(52)、(53)、(5
4)を通じて浸漬槽本体(10)に向けて吐出する。そ
して、浸漬槽本体(10)は、その上端から樋部材(1
1)に塗布液をオーバーフローし、樋部材(11)は、
溢れた塗布液を配管(55)を通じて塗布液調製槽(2
0)に返流する(図3(a)参照)。
【0031】基体(W)の表面に感光体材料を塗布する
場合、先ず、循環ポンプ(3)を逆回転させることによ
り、浸漬槽本体(10)における塗布液のオーバーフロ
ーを停止し、更に、浸漬槽本体(10)の塗布液の液面
高さを基体(W)の体積の例えば70〜100%相当量
の高さだけ浸漬槽本体(10)の上端から低下させる。
また、循環ポンプ(3)の逆回転操作中、保持装置
(6)によって保持した基体(W)を浸漬槽本体(1
0)の上方へ移動させる(図2(b)及び図3(b)参
照)。
【0032】浸漬槽本体(10)の塗布液の液面高さが
所定の高さに低下した時点で循環ポンプ(3)を停止す
る(又は浸漬槽本体(10)と塗布液調製槽(20)の
各液面高さによっては微速回転させ、浸漬槽本体(1
0)の液面高さを一定に保持する)。そして、循環ポン
プ(3)の停止と略同時に保持装置(6)を降下させ、
保持した基体(6)を浸漬槽本体(10)に挿入する。
その際、浸漬槽本体(10)の上部には、気化した溶媒
の充満した空間が形成されており、斯かる空間の溶媒雰
囲気中に基体(6)を早い速度で降下させる。基体
(W)の挿入速度は、2000〜5000mm/分程度
であり、斯かる速度で基体(W)を挿入することが出来
る深さは、基体(W)の下端が塗布液に接触しない範囲
である(図2(c)及び図3(c)参照)。
【0033】次いで、基体(W)の挿入速度(下降速
度)を100〜1000mm/分まで減速することによ
り、塗布液に対して静かに基体(W)の下端部を接触さ
せる(図2(d)及び図3(d)参照)。基体(W)の
下端部を僅かに浸漬させた後は、処理効率の観点から降
下速度を高め、そして、基体(W)の上端近傍まで塗布
液に浸漬する(図2(e)及び図3(e)参照)。
【0034】続いて、更に基体(W)を若干下降させる
ことにより、基体(W)の略全体を浸漬すると共に、直
ちに循環ポンプ(3)を正回転(又は通常の速度で回
転)させ、浸漬槽本体(10)への塗布液の供給を開始
し、浸漬槽本体(10)から塗布液をオーバーフローさ
せる(図2(f)及び図3(f)参照)。上記の様に、
基体(W)の略全体を浸漬した後、塗布液をオーバーフ
ローさせつつ略垂直に基体(W)を引き上げ、基体
(W)の表面に感光塗膜を形成する(図2(g)及び図
3(g)参照)。基体(W)の引き上げ速度(塗布速
度)は、従来の浸漬塗布法と略同様であり、200〜1
000mm/分程度である。感光塗膜を形成した後は、
従来と同様の乾燥工程などを経て電子写真感光体を得
る。
【0035】上記の製造方法において、浸漬槽本体(1
0)における塗布液の液面高さを上記の範囲に制御する
理由は次の通りである。すなわち、浸漬槽本体(10)
における液面の低下量が基体(W)の体積の70%に相
当する量よりも小さい場合は、十分に基体(W)が浸漬
しない状態で塗布液がオーバーフローするため、基体
(W)表面に対する塗布液の接触速度が変化し、基体
(W)の周面に流れムラが生じる虞がある。一方、液面
の低下量が基体(W)の体積の100%に相当する量よ
りも大きい場合は、浸漬槽本体(10)への基体(W)
の挿入距離が大きくなり、処理効率の低下を惹起し、ま
た、塗布液をオーバーフローさせた際に基体(W)の上
端が完全に塗布液中に浸かると言う問題も生じる。
【0036】そして、上記の製造方法に使用される本発
明の塗布装置は、浸漬槽本体(10)の液面高さを制御
する構造を備えている。すなわち、循環ポンプ(3)
は、浸漬槽本体(10)の塗布液の液面を所定の高さに
制御する。従って、塗布液に基体(W)を浸漬する場合
には、オーバーフローしていない状態の塗布液の静的な
液面に基体(W)の下端を接触させて基体(W)の電荷
を放電させることが出来る。その結果、本発明の塗布装
置および当該装置を使用した本発明の製造方法において
は、塗布液に基体(W)を浸漬する最初の段階で生じる
と考えられる基体(W)下端側のスジ状の塗布ムラを確
実に防止することが出来る。
【0037】しかも、本発明の塗布装置および本発明の
製造方法においては、低い液面の塗布液が再びオーバー
フローするまでの間に基体の略全体を浸漬することが出
来るため、浸漬中の基体(W)表面に対する塗布液の接
触速度の変化を防止でき、浸漬の際の塗布液との摩擦に
よって生じると考えられる帯電ムラを有効に防止でき
る。その結果、基体(W)周面の波状の塗布ムラを確実
に防止することが出来る。
【0038】更に、上記の塗布装置および塗布方法にお
いては、基体(W)を浸漬する際、浸漬槽本体(10)
の塗布液の液面を下げることにより、塗布液が浸漬槽本
体(10)の壁面に付着した状態の高濃度(略飽和濃
度)の溶剤雰囲気の空間領域を当該浸漬槽本体内に形成
することが出来る。そして、気化した溶剤において濃度
ムラのない前記の空間領域を浸漬直前に通過させ、溶剤
によって基体(W)の周面を十分に湿潤化できる。その
結果、特に、電荷発生層用の塗布液を塗布する場合に
は、基体(W)周面の周方向における塗布液の付着状態
を一層均一化でき、波状の塗布ムラを一層効果的に防止
することが出来る。
【0039】また、浸漬槽本体(10)に基体(W)を
挿入する工程では、塗布液の液面を低下させて形成され
た浸漬槽本体(10)の空間部に挿入(下降)させるだ
けであるから、極めて早い速度で挿入することが出来
る。そして、浸漬する際は、オーバーフローしていない
状態の塗布液、換言すれば、殆ど流速がない状態の塗布
液に浸漬させるため、基体(W)の下端を塗布液に一旦
接触させた後は従来法以上に早い速度で浸漬させること
が出来る。斯かる挿入速度および浸漬速度の向上によ
り、本発明の塗布装置および製造方法によれば、従来の
浸漬塗布法に比べ、回分の処理工程を一層短時間で行う
ことが可能である。
【0040】因に、高さが1000mmの基体(W)に
対し、塗布ムラが発生し易いとされている電荷発生物質
の塗布液を塗布する回分の工程(図2(b)及び図3
(b)から図2(g)及び図3(g)までの1工程)に
ついて比較したところ、循環ポンプが正回転のみ可能な
常時オーバーフロー方式の従来装置を使用した従来法で
は約400秒を要するのに比べ、本発明の塗布装置を使
用した本発明の製造方法では、約260秒の処理時間で
塗布ムラのない良好な塗膜を形成することが出来た。
【0041】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係る電子写
真感光体の製造方法および感光体材料の塗布装置によれ
ば、浸漬開始時に基体の放電を行い且つ浸漬時に塗布液
との摩擦による基体の帯電ムラを防止することが出来る
ため、帯電による塗布ムラを有効に防止することが出来
る。しかも、塗布液に基体を浸漬させるまでの時間を短
縮でき且つ浸漬時間を短縮できるため、回分の塗布処理
を一層効率的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感光体材料の塗布装置における主
要な構成部材を示す系統図である。
【図2】図1の装置を使用した本発明に係る電子写真感
光体の製造方法における回分の主な塗布操作を示す操作
工程図である
【図3】図2の操作工程における浸漬槽本体への基体の
挿入深さと塗布液の液面の関係を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1 :浸漬塗布槽 10:浸漬槽本体 11:樋部材 2 :塗布液供給装置 20:塗布液調製槽 21:混合槽 22:貯留槽 3 :循環ポンプ 51:循環用の配管 52:循環用の配管 53:循環用の配管 54:循環用の配管(分岐配管) 55:循環用の配管 6 :保持装置 W :基体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状に形成された基体を浸漬塗布槽の
    塗布液に略垂直に浸漬した後、略垂直に引き上げること
    によって基体の表面に感光体材料の塗膜を形成する電子
    写真感光体の製造方法において、基体の体積の70〜1
    00%相当量だけ塗布液の液面高さを低下させた状態で
    且つ100〜1000mm/分の下降速度で基体の下端
    を接触させた後、前記下降速度よりも速い速度で基体の
    略全体を浸漬し、次いで、塗布液をオーバーフローさせ
    つつ基体を引き上げてその表面に感光塗膜を形成するこ
    とを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 浸漬塗布槽と塗布液調製槽と間で循環ポ
    ンプにより塗布液を循環させながら浸漬塗布を行う請求
    項1に記載の製造方法であり、浸漬塗布槽の塗布液の液
    面高さを低下させる際に前記循環ポンプを逆転させる電
    子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 円筒状に形成された基体の表面に感光体
    材料の塗膜を形成する塗布装置であって、基体に感光体
    材料としての塗布液を塗布する浸漬塗布槽と、当該浸漬
    塗布槽に塗布液を供給する塗布液供給装置とを備え、前
    記浸漬塗布槽は、塗布液を収容する浸漬槽本体と、オー
    バーフローした塗布液を受けるために前記浸漬槽本体の
    外周側に付設された樋部材とを含み、前記塗布液供給装
    置は、オーバーフローした塗布液を収容して調製する塗
    布液調製槽と、当該塗布液調製槽から前記浸漬槽本体に
    塗布液を供給する循環ポンプとを含み、前記循環ポンプ
    は、これが逆回転することにより、基体の体積の70〜
    100%相当量だけ前記浸漬槽本体の塗布液の液面高さ
    を低下させる正逆回転可能なポンプであることを特徴と
    する感光体材料の塗布装置。
JP29804696A 1996-10-22 1996-10-22 電子写真感光体の製造方法および感光体材料の塗布装置 Pending JPH10123732A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006007155A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Fuji Xerox Co Ltd 浸漬塗布方法、分散液及び電子写真感光体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006007155A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Fuji Xerox Co Ltd 浸漬塗布方法、分散液及び電子写真感光体

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