JP4075264B2 - 軸流ファン、遠心力ファン、およびこれらを用いた電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備えたファンであって、これら複数の羽根を回転軸を中心として回転させることにより、回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出する軸流ファン、および回転軸方向に沿って空気を取り込み、複数の羽根の回転の接線方向に空気を排出する遠心力ファンに関し、例えば、コンピュータ、プロジェクタ等の電子機器の吸気ファン、および/または排気ファンとして利用することができる。
【0002】
【背景技術】
パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の電子機器においては、従来より、機器内部発熱部品を冷却するために、機器外部の空気を取り込んで発熱部品に吹き付けることにより冷却する吸気ファンや、機器内部の加熱した空気を機器外部に排出する排気ファンが採用され、吸気ファンおよび排気ファンとしては、軸流ファン、遠心力ファンが利用されている。
ここで、軸流ファンは、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備え、これら複数の羽根を回転軸を中心として回転させることにより、回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出するタイプのファンである。また、遠心力ファンは、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備え、これら複数の羽根を回転軸周りに回転させることにより、回転軸方向に沿って空気を取り込み、複数の羽根の回転の接線方向に空気を排出するタイプのファンである。
【0003】
このような軸流ファンおよび遠心力ファンは、例えば、コンピュータを構成するマイクロプロセッサユニットの上部に配置され、またプロジェクタを構成する電気光学装置としての液晶パネルや、光源系を構成する光源ランプ等の近傍に配置され、これらの発熱部品に冷却空気を吹き付けまたは加熱された空気を排出することにより、効率的な冷却を達成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した電子機器内部に配置される軸流ファンとしては、従来より、同一形状の羽根を回転軸周りに均等な配置ピッチで5〜11枚程度配置したものが採用されている。
しかしながら、このような同一形状の羽根を均等な配置ピッチで配置した軸流ファン、遠心力ファンでは、空気の流れに伴う風切り音の他に、ファン固有の回転音が発生する。例えば、9枚の羽根を回転軸周りに等ピッチに配置した軸流ファンを4000rpmで回転させた場合、4000/60×9(Hz)の回転音が発生し、加えて、羽根の枚数である9は素数ではないから、9の素因数3に基づく回転音、4000/60×3(Hz)の回転音も発生する。
このような回転音は、電子機器等の使用の際の雑音となり、操作者に不快感を及ぼすものであるから、回転音の少ないファンが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、回転音を極力少なくして静粛性の高い、軸流ファン、遠心力ファン、およびこれらを用いた電子機器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る軸流ファンは、各羽根間の配置バランスをくずすことで、通常均等に配置される複数の羽根が回転することにより発生する回転音を少なくすることを特徴とし、具体的には、以下のような方法が考えられる。
本発明に係る軸流ファンは、
回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根と、前記回転軸周りに回動自在に配置され、前記複数の羽根を支持する羽根支持部材とを備え、前記羽根支持部材を回転させることにより、前記回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出する軸流ファンであって、
前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、他の羽根の配置ピッチと異なる配置ピッチで配置され、
前記羽根支持部材に突起または切欠部を形成することにより、前記回転軸周りの重量バランスが調整され
前記配置ピッチ、設定可能な羽根間の隙間角の下限値を設定し、前記複数の羽根の枚数から算出される羽根間の隙間角の上限値を設定し、各羽根部材の固定幅角を一定として、前記下限値から上限値まで一定角度で前記隙間角を増大させて設定し、該隙間角が上限値に達したら、一定角度で前記隙間角を減少させて設定することにより、設定されることを特徴とする。
ここで、一部の羽根を他の羽根の配置ピッチと異なる配置ピッチで配置するとは、例えば、回転軸周りに40°の角度で配置される9枚の羽根の一部を30°、50°等、他の羽根の配置ピッチとは異なる角度で配置することを意味する。
このような本発明によれば、一部の羽根が他の羽根の配置ピッチと異なる配置ピッチで配置されているので、複数の羽根の等ピッチ配置に伴う回転音を低減することができ、静粛性の高い軸流ファンとすることができる。
また、偏芯調整手段は、平面形状、断面形状、および配置ピッチを変更した一部の羽根の回転軸を挟んだ部分にウエイト等を対称配置することにより構成することができる。
具体的には、軸流ファンがプラスチック成形により構成され、複数の羽根と、回転軸周りに回動自在に配置される羽根支持部材とを備えていれば、平面形状等を変更した羽根の回転軸を挟んだ対称位置の羽根支持部材に突部を設けたり、切欠を形成して、変更した羽根との重量バランスを取るように構成することができる。
さらに、軸流ファンが偏芯調整手段を備えているので、一部の羽根の平面形状、断面形状、および配置ピッチを変更しても、偏芯調整手段により、複数の羽根および羽根支持部材の回転軸周りの重量バランスをとって、駆動モータ等に負荷がかかることを防止することができる。
【0007】
第1関連技術に係る軸流ファンは、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備え、これら複数の羽根を前記回転軸を中心として回転させることにより、前記回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出する軸流ファンであって、前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、前記回転軸に直交する平面に沿った平面形状が他の羽根の平面形状と異なることを特徴とする。
【0008】
ここで、回転軸に直交する平面に沿った平面形状が他の羽根の平面形状と異なるとは、回転軸方向から見た場合、一部の羽根の幅寸法が他の羽根の幅寸法と異なっていることをいい、例えば、回転軸を中心とした羽根の開き角を大きくしたり、回転軸に対する羽根のねじれ角を小さくすることにより、一部の羽根の平面形状を他の羽根の平面形状と異ならせることができる。
【0009】
このような第1関連技術によれば、一部の羽根の回転軸に直交する平面に沿った平面形状が他の羽根の平面形状と異なっているので、回転軸周りの羽根の配置バランスをくずすことができ、前記のように同一の羽根を均等ピッチで配置した場合に発生する回転音を低減することができ、静粛性の高い軸流ファンとすることができる。
【0010】
第2関連技術に係る軸流ファンは、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備え、これら複数の羽根を前記回転軸を中心として回転させることにより、前記回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出する軸流ファンであって、前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、前記回転軸を含む平面内の羽根の断面形状が他の羽根の断面形状と異なることを特徴とする。
ここで、一部の羽根の断面形状が他の羽根の断面形状と異なるとは、例えば、回転軸に直交する平面と羽根の断面とがなす角度を、他の羽根の角度よりも大きく設定したり、小さく設定したりすることにより、一部の羽根の断面形状を他の羽根の断面形状と異ならせることができる。
【0011】
このような第2関連技術によれば、一部の羽根の断面形状が他の羽根の断面形状と異なっているので、第1関連技術の場合と同様に回転軸周りの羽根の配置バランスをくずすことができ、同一の羽根を均等ピッチで配置した場合に発生する回転音を低減することができ、静粛性の高い軸流ファンとすることができる。
【0014】
本発明において、複数の羽根のうち回転軸を挟んで互いに略対称に配置される一対の羽根は、配置ピッチを略等しく設定するのが好ましい。具体的には、9枚の羽根を有する軸流ファンにおいて、1枚の羽根の配置ピッチを変更した場合、回転軸を挟んで対称に配置される5枚目の羽根の配置ピッチを変更した配置ピッチと略等しく設定すればよい。
【0015】
すなわち、このようにすれば、軸流ファンの回転軸周りの重量バランスを大きくくずすことがなく、駆動モータ等の回転時、軸流ファンの偏芯による回転時のがたつき音の発生を防止することができ、また駆動モータ等に大きな負担がかかることを防止することができる。
【0016】
以上において、軸流ファンを構成する羽根の枚数は素数に設定されているのが好ましい。すなわち、前述のように軸流ファンの羽根が素因数分解可能な8枚、9枚に設定されていると、羽根枚数の応じた回転音の他、素因数である2、3、4の回転音も発生する。従って、軸流ファンの羽根の枚数を素数に設定することでこのような素因数に基づく回転音の発生を防止することができ、軸流ファンの静粛性を一層向上することができる。
【0019】
さらに、上述した各発明は、軸流ファンのみならず、遠心力ファンにも応用することができ、遠心力ファンに利用しても、上述した各作用および効果を享受することができる。
ここで、遠心力ファンは、回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根を備え、これら複数の羽根を回転軸を中心として回転させることにより、回転軸方向に沿って空気を取り込み、複数の羽根の回転の接線方向に空気を排出するようなファンをいい、例えば、シロッコファン等が該当する。
【0020】
このような遠心力ファンは、回転の接線方向に空気を排出するので、軸流ファンよりも低回転で排出空気の吐出圧を大きくとることができるが、上記各発明を採用することにより、回転音を低減することができ、遠心力ファンの静粛性を向上することができる。
【0021】
そして、上述した各発明に係る軸流ファン、および/または遠心力ファンをパーソナルコンピュータ、プロジェクタに採用すれば、操作中のファンの回転に伴う雑音を低減することができ、静粛性の良好な電子機器とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(1)装置の全体構成
図1、図2には、第1実施形態に係るプロジェクタ1の概略斜視図が示され、図1は上面側から見た斜視図、図2は下面側から見た斜視図である。
プロジェクタ1は、光源としての光源装置から出射された光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に分離し、これらの各色光束を、電気光学装置を構成する液晶パネルを通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束をクロスダイクロイックプリズム(色合成光学系)により合成して、投写レンズ6を介して投写面上に拡大表示する形式のものである。各構成部品は外装ケース2の内部に収納されているが、投写レンズ6はそのズーム機構により、必要に応じて外装ケース2から突出可能に設けられている。
【0024】
(2)外装ケースの構造
外装ケース2は、基本的には、装置上面を覆うアッパーケース3と、装置底面を構成するロアーケース4と、正面部分を覆うフロントケース5とから構成され、アッパーケース3およびロアーケース4がマグネシウムダイキャスト製で、フロントケース5が樹脂製である。
【0025】
アッパーケース3の上面右側(正面から見て右側)には、樹脂製のフィルタ交換蓋241で覆われた空気取入口240が設けられている。このフィルタ交換蓋241には、外部から取り入れた空気を装置内部へ冷却空気として導入するためのスリット状の開口241Aが形成され、当該フィルタ交換蓋241の内側には、エアフィルタ242(図8)が設けられている。このフィルタ交換蓋241をアッパーケース3の上面側から着脱することで、内部のエアフィルタ242を交換することが可能である。
【0026】
また、アッパーケース3の上面において、フィルタ交換蓋241の前方には、スピーカ250(図7)用の多数の連通孔251が穿設されている。連通孔251の側方には、プロジェクタ1の画質等を調整するための操作パネル60が設けられている。これらのフィルタ交換蓋241、連通孔251、および操作パネル60が設けられている部分は、図7、図8に示されるように、アッパーケース3の一部が上方に膨出した膨出部3Aになっており、この膨出部3Aによって形成される内部空間に前述のエアフィルタ242や、スピーカ250、操作パネル60用の回路基板61等が収容されている。
【0027】
図2において、ロアーケース4の底面には、内部に収納される光源ランプユニット8(図3、図4)を交換するためのランプ交換蓋27が設けられている。ロアーケース4の底面前方側の角部にはフット31R、31Lが設けられ、後方側の中央にはフット31Cが設けられている。なお、フット31R、31Lは、ダイヤル部分を回転させたり、レバー32R、32Lを操作することで突出方向に進退する構成であり、その進退量を調整することによって表示画面の高さや傾きを変更することが可能である。
【0028】
フロントケース5前面の向かって右側部分には、図示略のリモートコントローラからの光信号を受信するための受光部70が設けられている。フロントケース5の略中央には、装置内部の空気を排出する排気口160が設けられている。
このような外装ケース2の空気取入口240寄りの側面および背面には、外部電源との接続用のACインレット50や各種の入出力端子群51が配置されている。
【0029】
(3)装置の内部構造
図3〜図8には、プロジェクタ1の内部構造が示されている。図3は装置内部の概略斜視図、図4は光学系を示す斜視図、図5、図6は光学系の内部を示す斜視図、図7、図8はプロジェクタ1の垂直断面図である。
【0030】
これらの図において、外装ケース2の内部には、光源ランプユニット8、電源としての電源ユニット9、光学ユニット10、ドライバーボード11(図8)、メインボード12、AVボード13などが配置されている。そして、本実施形態では、光源ランプユニット8、光学ユニット10、および前述した投写レンズ6により、図9にも示されるように、平面U字形状の光学系が構成され、各ボード11、12、13で制御系が構成されている。
【0031】
電源ユニット9は、光学系の投写レンズ6側の側部に配置された第1電源ブロック9A、平面U字型の光学系における中央の開口部14内、すなわち投写レンズ6と光源ランプユニット8との間に配置された第2電源ブロック9B、光学系の光源ランプユニット8側の側部に配置された第3電源ブロック9Cで構成されている。
【0032】
第1電源ブロック9Aは、前記ACインレット50を備えており、このACインレット50を通して得られる外部電源からの電力を第2電源ブロック9Bおよび第3電源ブロック9Cに分配供給している。
第2電源ブロック9Bは、第1電源ブロック9Aから得られる電力を変圧して主に前記制御系を構成するメインボード12に供給している。この第2電源ブロック9Bの排気口160側には、当該第2電源ブロック9Bからの電力で駆動される補助排気ファン15が取り付けられている。
【0033】
第3電源ブロック9Cは、第1電源ブロック9Aから得られる電力を変圧して光源ランプユニット8内の光源としての光源装置183(図9)に供給している。すなわち、第3電源ブロック9Cは、最も消費電力の大きい光源装置183に電力を供給する必要から、第1、第2電源ブロック9A、9Bよりも大きく、プロジェクタ1の前後にわたる大きさに設けられている。
このような第1〜第3電源ブロック9A〜9Cは、投写レンズ6や光学ユニット10に先がけてロアーケース4にネジ等によって固定される。なお、第1電源ブロック9Aは、第2電源ブロック9Bにのみ電力を供給し、第3電源ブロック9Cはその第2電源ブロック9Bから電力が分配されるようにしてもよい。
【0034】
光源ランプユニット8は、プロジェクタ1の光源部分を構成するものであり、図7および図9に示されるように、光源ランプ181および凹面鏡182からなる光源装置183と、この光源装置183を収納するランプハウジング184とを有している。
【0035】
そして、ランプハウジング184において、光源装置である光源ランプユニット8は、後述のライトガイド900を構成する上ライトガイド901と一体の収容部9021で覆われており、上述したランプ交換蓋27を開けて取り外せるように構成されている。収容部9021の前方には、排気口160に対応した位置に補助排気ファン15よりも大きい主排気ファン16が配置されている。そして、この主排気ファン16も第2電源ブロック9Bからの電力で駆動される。
【0036】
光学ユニット10は、光源ランプユニット8から出射された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成するユニットであり、ライトガイド900を備えている。このライトガイド900は、樹脂製で箱状とされた上ライトガイド901と、マグネシウム製で蓋状とされた下ライトガイド902とで構成され、その内部には照明光学系923、色光分離光学系924、変調系としての電気光学装置925、および色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム910が収容されている。また、下ライトガイド902には投写レンズ6が固定される鉛直なヘッド板903が設けられている。電気光学装置925およびクロスダイクロイックプリズム910以外の光学ユニット10の光学素子は、上下のライトガイド901、902の間に挟まれて保持された構成となっている。これらの上ライトガイド901、下ライトガイド902は一体とされて、ロアーケース4の側に固定されている。
【0037】
クロスダイクロイックプリズム910は、ヘッド板903の裏面側であって、下ライトガイド902上に固定されている。電気光学装置925を構成する各液晶パネル925R、925G、925Bは、クロスダイクロイックプリズム910の3側面と対向配置され、クロスダイクロイックプリズム910の対向する面に固定部材を介して接着固定されている。なお、各液晶パネル925R、925G、925Bの互いの位置関係は、液晶パネル925Bと液晶パネル925Rとがクロスダイクロイックプリズム910を挟んで対向した位置に設けられ、液晶パネル925Gがクロスダイクロイックプリズム910を挟んで投写レンズ6と対向した位置に設けられている。そして、これらの液晶パネル925R、925G、925Bは、クロスダイクロイックプリズム910の上方に位置しかつ前述の空気取入口240に対応して設けられた吸気ファン17からの冷却用空気によって冷却される。この際、吸気ファン17駆動用の電力は、メインボード12からドライバーボード11を介して供給される。
【0038】
ドライバーボード11は、上述した電気光学装置925の各液晶パネル925R、925G、925Bを制御するためのものであり、光学ユニット10の上方に配置されている。
メインボード12は、プロジェクタ1全体を制御する制御回路が形成されたものであり、光学ユニット10の後方に立設されている。従って、メインボード12とドライバーボード11とは互いに直角に配置されてコネクタを介して電気的に接続されている。
AVボード13は、前述の入出力端子群51を備えた回路基板であって、光学ユニット10とメインボード12との間に立設され、メインボード12に電気的に接続されている。
【0039】
以上の内部構造においては、吸気ファン17で吸引された冷却空気は、電気光学装置925を冷却した後、各排気ファン15、16の回転によって各ボード11、12、13を冷却しながら光源ランプユニット8側に導かれる。そして、冷却空気は、ロアーケース4の底面に設けられた吸入口4A(図2)からの新たな冷却空気と共に、主に光源ランプユニット8に流れ込んで内部の光源装置183を冷却する。また、冷却空気の一部は第2電源ブロック9B側を流れ、他の一部は第3電源ブロック9C側を流れ、それぞれを冷却する。この後、冷却空気は各排気ファン15、16によって排気口160からプロジェクタ1の前面側に排気される。
【0040】
(4)光学系の構造
次に、図5、図9を参照して光学系の光学ユニット10について詳細に説明する。
【0041】
光学ユニット10は、それぞれ上ライトガイド901内に収容された照明光学系923と、色光分離光学系924と、リレー光学系927と、それぞれ下ライトガイド902に固定された電気光学装置925と、色光合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム910と、下ライトガイド902のヘッド板903に固定された投写レンズ6とで構成されている。
【0042】
照明光学系923は、電気光学装置925の3枚の液晶パネル925R、925G、925Bの画像形成領域をほぼ均一に照明するためのインテグレータ照明光学系であり、光源装置183と、第1のレンズアレイ921と、第2のレンズアレイ922と、反射ミラー931と、重畳レンズ932とを備えている。これらのレンズアレイ921、922、重畳レンズ932、および反射ミラー931は、上ライトガイド901の立ち上がり部分に支持された状態で配置されているとともに、脱落防止部材としてのクリップ7によって固定され、上ライトガイド901を図5に示す状態から反転させても脱落しないようになっている。
【0043】
照明光学系923を構成する光源装置183は、放射状の光線を出射する放射光源としての光源ランプ181と、光源ランプ181から出射された放射光をほぼ平行な光線束として出射する凹面鏡182とを有する。光源ランプ181としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、または高圧水銀ランプが用いられることが多い。凹面鏡182としては、放物面鏡や楕円面鏡を用いることが好ましい。
【0044】
第1のレンズアレイ921は、略矩形状の輪郭を有する小レンズ9211がM行N列のマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズ9211は、光源から入射された平行な光束を複数の(すなわちM×N個の)部分光束に分割し、各部分光束を第2のレンズアレイ922の近傍で結像させる。各小レンズ9211の輪郭の形状は、液晶パネル925R、925G、925Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。例えば、液晶パネルの画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定する。
【0045】
第2のレンズアレイ922も、第1のレンズアレイ921の小レンズ9211に対応するように、小レンズ9221がM行N列のマトリクス状に配列された構成を有している。第2のレンズアレイ922は、第1のレンズアレイ921から出射された各部分光束の中心軸(主光線)が重畳レンズ932の入射面に垂直に入射するように揃える機能を有している。ここで、重畳レンズ932は、複数の部分光束を3枚の液晶パネル925R、925G、925B上で重畳させる機能を有している。また、第2のレンズアレイ922は、図5に示されるように、反射ミラー931を挟んで第1のレンズアレイ921に対して90度傾いて配置されている。
【0046】
反射ミラー931は、第1のレンズアレイ921から出射された光束を第2のレンズアレイ922に導くためのミラーであり、照明光学系の構成によっては、必ずしも必要としない。例えば、第1のレンズアレイ921が第2のレンズアレイ922に平行に設けられていれば不要である。
【0047】
色光分離光学系924は、本発明に係る光学部品としての2枚のダイクロイックミラー941、942と、反射ミラー943とを備え、照明光学系923の重畳レンズ932から出射される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。各ミラー941、942、943は、前述と同様に上ライトガイド901の立ち上がり部分に支持され、クリップ7によって上ライトガイド901に固定されている。
リレー光学系927は、入射側レンズ954、リレーレンズ973、および反射ミラー971、972を備えており、これらの反射ミラー971、972もクリップ7によって上ライトガイド901に固定されている。
【0048】
電気光学装置925の液晶パネル925R、925G、925Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものである。各液晶パネル925R、925G、925Bは、上ライトガイド901の外側であって、上ライトガイド901の外周に設けられた凹状部904(図5)に対応して配置され、かつクロスダイクロイックプリズム910の三方の側面に対向した状態でクロスダイクロイックプリズム910の対向する面に固定部材を介して接着固定されている。各液晶パネル925R、925G、925Bの光入出射面側には、入射側偏光板960R、960G、960Bが、光出射面側には出射側偏光板961R、961G、961Bがそれぞれ配置されている。
【0049】
クロスダイクロイックプリズム910は、3色の色光を合成してカラー画像を形成する機能を有し、下ライトガイド902の上面に固定ネジにより固定されている。クロスダイクロイックプリズム910には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。
投写レンズ6は、プロジェクタ1の中でも最も重量の大きい光学部品であり、その基端側に設けられたフランジ62を介して下ライトガイド902のヘッド板903にネジ等で固定されている。
【0050】
以上のように構成された光学ユニット10は、以下のようにして組み立てられる。
先ず、箱状の上ライトガイド901をその開口側が上向きとなるようにして置き、この上ライトガイド901内に照明光学系923、色光分離光学系924、およびリレー光学系927などを構成する各光学部品(反射ミラー、各種のレンズ等)を配置し、それらの光学部品をクリップ7で上ライトガイド901に固定する。
【0051】
一方、蓋状の下ライトガイド902の上面に液晶パネル925R、925G、925Bを固定したクロスダイクロイックプリズム910を固定し、ヘッド板903に投写レンズ6を固定しておく。次いで、各光学部品が搭載された上ライトガイド901を持って反転させ、下ライトガイド902に被せるようにして取り付け、固定する。
【0052】
最後に、このようにして完成したライトガイド900を、ロアーケース4にネジ等で固定する。
なお、液晶パネル925R、925G、925B、クロスダイクロイックプリズム910、および投写レンズ6を搭載しておいた下ライトガイド902を先にロアーケース4に固定しておき、その後、各光学部品が搭載された上ライトガイド901を持って反転させ、下ライトガイド902に被せるようにして取り付け、しかる後、ネジ等によって、上ライトガイド901をロアーケース4に固定するようにしてもよい。
【0053】
さらに、下ライトガイド902のみを先にロアーケース4にネジ止めしておき、そこに液晶パネル925R、925G、925Bおよびクロスダイクロイックプリズム910を搭載したり、投写レンズ6を固定したりし、その後、各光学部品が搭載された上ライトガイド901を持って反転させ、下ライトガイド902に被せるようにして取り付け、しかる後、ネジ等によって、上ライトガイド901をロアーケース4に固定するようにしてもよい。
また、本実施形態において、下ライトガイド902へのクロスダイクロイックプリズム910や投写レンズ6の固定、ロアーケース4への上下ライトガイド901、902の固定は、ネジによって行われているが、そのような固定を接着や嵌合形式など、他の適宜な固定方法で行ってもよい。
【0054】
(5)光学系の機能
図9に示す光学ユニット10において、光源装置183から出射された略平行な光束は、インテグレータ光学系(照明光学系923)を構成する第1と第2のレンズアレイ921、922によって、複数の部分光束に分割される。第1のレンズアレイ921の各小レンズ9211から出射された部分光束は、重畳レンズ932によって、液晶パネル925R、925G、925Bの画像形成領域上で概ね重畳される。その結果、各液晶パネル925R、925G、925Bは、面内分布がほぼ均一な照明光によって照明される。
【0055】
この際、色光分離光学系924の第1のダイクロイックミラー941では、照明光学系923から出射された光束の赤色光成分が反射するとともに、青色光成分と緑色光成分とが透過する。第1のダイクロイックミラー941によって反射した赤色光は、反射ミラー943で反射し、フィールドレンズ951を通って赤色用の液晶パネル925Rに達する。このフィールドレンズ951は、第2のレンズアレイ922から出射された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル925G、925Bの前に設けられたフィールドレンズ952、953も同様である。
【0056】
第1のダイクロイックミラー941を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー942によって反射し、フィールドレンズ952を通って緑色用の液晶パネル925Gに達する。一方、青色光は第2のダイクロイックミラー942を透過してリレー光学系927を通り、さらにフィールドレンズ953を通って青色光用の液晶パネル925Bに達する。なお、青色光にリレー光学系927が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ954に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ953に伝えるためである。
【0057】
赤、緑、青の各色光は、液晶パネル925R、925G、925Bに入射するにあたり、入射側偏光板960R、960G、960Bで特定の偏光のみとされる。この後、各偏光光は、各液晶パネル925R、925G、925Bにおいて与えられた画像情報に従って変調され、変調光として出射側偏光板961R、961G、961Bに出射される。そして、出射側偏光板961R、961G、961Bにおいては、変調光のうちの特定の偏光光のみが透過し、クロスダイクロイックプリズム910に出射される。出射された各色光の偏光光は、クロスダイクロイックプリズム910で合成されて合成光となり、投写レンズ6の方向に出射される。この合成光は、投写レンズ6により投写スクリーン等の投写面上にカラー画像として投射される。
【0058】
(6)排気ファンおよび吸気ファンの構造
このような構造のプロジェクタ1に設けられる主排気ファン16、吸気ファン17としては、図10に示されるように、回転軸C周りに配置される複数の羽根411〜421と、回転軸C周りに回転自在に軸支され、複数の羽根411〜421の基端部分を支持する羽根支持部材43と、複数の羽根411〜421の外側を囲むケース45とを備えた軸流ファン40が採用されている。尚、図示を略したが、この軸流ファン40の羽根411〜421を回転させる駆動モータは羽根支持部材43の裏側に収納配置され、羽根支持部材43は駆動モータの回転軸と接合固定され、外部電力により駆動モータが回転すると、羽根支持部材43が回転し、これに伴い複数の羽根411〜421が回転軸C周りに回転して送風が行われる。
【0059】
この軸流ファン40は、11枚の羽根411〜421を有し、各羽根411〜421が回転軸C周りに均等な配置ピッチで配置されたものではなく、複数の羽根411〜421の一部の配置ピッチが他の配置ピッチとは異なり、11枚の羽根411〜421が不等ピッチで配置されたものである。
【0060】
本実施形態における実際の配置ピッチは、羽根411と羽根412間の配置ピッチ角をα1(deg)、羽根411と羽根412との間の隙間角をβ1(deg)、羽根411の羽根支持部材43に対する羽根固定幅角をγ1(deg)とすると、羽根411を基点として、回転軸C周りに配置ピッチ角α1〜α11、隙間角β1〜β11、固定幅角γ1〜γ11が設定され、これらを所望の値に設定することで、不等ピッチの軸流ファン40とすることができる。例えば、すべての羽根411〜421の固定幅角γ1〜γ11をγ=15.7°という一定値とすれば、配置ピッチ角α1〜α11、隙間角β1〜β11を表1のように設定することができる。
【0061】
【表1】
Figure 0004075264
【0062】
表1で設定される軸流ファン40の羽根の配置ピッチ角α1〜α11において、羽根411および羽根412間の配置ピッチ角α1は、回転軸Cを挟んで対称に配置される羽根416および羽根417間の配置ピッチ角α6と略等しく設定されている。また、羽根411および羽根412の配置ピッチ角α1は、隣接する羽根412および羽根413の配置ピッチ角α2と、羽根421および羽根411の配置ピッチ角α11となるべく近い値になるようにしている。
【0063】
上記のような羽根411〜421が不等ピッチに配置された軸流ファン40を設計する場合、隣接する羽根間の隙間角βに基づいて設計する。
1) まず、隙間角βとして取りうる下限値を設定する。軸流ファン40を射出成形等で製造する場合、隙間角βを2°以上としなければ、羽根が1枚1枚分離できなくなるので、隙間角βの下限値を2°と設定する。
2) 次に、回転軸C周りに11枚の羽根を均等に配置すると、羽根の配置ピッチは、360°/11枚≒32.7°となる。平均隙間角βが17°の場合最大可変角は15°となるので、隙間角βの上限値を32°と設定する。
3) 2°≦β≦32°という条件に基づいて、例えば、β1を下限値2°に設定したら、9°増加させた値をβ2として設定し、以下順次β3…を徐々に大きくして設定する。βmaxが略32°となったら、10°減少させた値をβの値として順次設定していく。
4) β1〜β11の設定が終了したら、固定幅角γ=15.7°を各β1〜β11に加えて、α1〜α11を決定する。
【0064】
(7)第1実施形態の効果
前述のような第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
1) 回転軸C周りに配置される羽根411〜421が不等ピッチに配置されているので、複数の羽根が等ピッチに配置された場合に生じる回転音を低減することができ、静粛性の高い軸流ファン40とすることができる。
2) プロジェクタ1の主排気ファン16、吸気ファン17としてこのような軸流ファン40を採用しているので、プロジェクタ1の操作中に主排気ファン16、吸気ファン17の回転に伴う雑音を低減することができ、静粛性の良好なプロジェクタとすることができる。
3) 表1に示されるように、羽根411および羽根412間の配置ピッチ角α1が、回転軸Cを挟んで対称配置される羽根416および羽根417間の配置ピッチ角α6と略等しく設定されているので、回転軸C周りの羽根411〜421および羽根支持部材43の重量バランスの調和を図ることができ、回転時のがたつき音の発生を防止することができ、また、軸流ファン40の偏芯に伴って駆動モータに大きな負担がかかることを防止できる。
4) 軸流ファン40の羽根411〜421の枚数が11枚という素数に設定されているので、羽根の枚数が8枚や9枚の場合のように、素因数である2、3、4枚に基づく回転音の発生を防止することができ、軸流ファン40の静粛性を一層向上させることができる。
【0065】
(8)第2実施形態の構成および効果
次に、関連技術としての第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分又は部材と同一又は類似の部分等について、同一又は類似の符号を付してその説明を省略または簡略する。
前記第1実施形態では、軸流ファン40は、固定幅角γ1〜γ11を15.7°に固定し、同一形状の羽根411〜421を不等ピッチで配置することにより、軸流ファン40の羽根411〜421の回転に伴う回転音の発生を低減させていた。
【0066】
これに対して、第2実施形態に係る軸流ファン340は、図11に示すように、11枚の羽根341〜351のうち、一部の羽根、例えば、羽根342の固定幅角γ2を羽根341の固定幅角γ1よりも大きくし、回転軸Cに直交する平面にそった羽根342の平面形状を変更している点が相違する。尚、本実施形態では、羽根341〜351の配置ピッチも第1実施形態と同様に異なる配置ピッチに設定しているが、回転軸C周りに配置される複数の羽根を等ピッチで配置し、隣接する羽根間の隙間角β1等を調整して固定幅角γ1等を変更してもよい。
【0067】
このような軸流ファン340の羽根341〜351の固定幅角γを設定する場合、まず、羽根支持部材43に対して固定幅角γの上限値を設定し、これに基づいて、徐々に羽根の固定幅角γを小さくし、配置ピッチを調整することで、羽根341〜351の固定幅角γを(360°−2×11)/11枚=30.7°/枚よりも小さな値に設定して、回転軸C周りの羽根341〜351の配置バランスをくずす。固定幅角γの下限は十分な強度を確保できるように配慮する。
【0068】
このように設定された羽根341〜351をそのまま回転させると、回転軸C周りの重量バランスが悪いため、羽根支持部材43内の駆動モータで回転させると、がた付き音等が発生する可能性がある。そこで、図11に示すように、羽根341〜351の粗な部分に突起431を羽根支持部材43に設けたり、羽根341〜351の密な部分では、回転軸Cに向かう方向に切欠部433を羽根支持部材43に形成することにより、羽根支持部材43および羽根341〜351の回転軸C周りの重量バランスをとる。これらの突起431および切欠部433は偏芯調整手段としての役割を有し、これらの偏芯調整手段により、羽根341〜351および羽根支持部材43は回転軸Cを中心として重量バランスのとれた安定した回転が確保される。尚、羽根支持部材43および羽根341〜351がプラスチックの射出成形等により、一体形成される場合、羽根支持部材43に錘を付けたり、切欠加工を施して、重量バランスをとれる形状を確認した後、射出成形用金型を修正して、これら突起431および切欠部433をも、羽根支持部材43の成形時に同時に形成できるようにしておくのが望ましい。
【0069】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態で述べた効果に加えて、以下のような効果を有する。
5) 回転軸Cに直交する羽根341〜351の一部の羽根342の平面形状が他の羽根341と異なっているので、第1実施形態と同様に、回転音の発生を低減でき、静粛性の高い軸流ファン340とすることができる。
6) 不等ピッチの他に羽根の固定幅をも変更しているので、軸流ファンの設計自由度が大幅に向上し、形状、仕様等に応じた回転音の発生のしにくい軸流ファンを製造することができる。
7) 配置ピッチ角α1〜α11の回転軸C周りの配置調整を行って、回転軸C周りの重量バランスを取るだけでなく、突起431、切欠部433等の偏芯調整手段をも採用しているので、羽根支持部材43および羽根341〜351の回転軸C周りの重量バランスを一層容易に調整することができ、軸流ファン340の設計を簡単化することができる。第一実施形態でも同様である。
【0070】
(9)第3実施形態の構成および効果
次に、関連技術としての第3実施形態について説明する。
前記第2実施形態では、羽根341〜351の回転軸Cに直交する平面形状について、一部の羽根342と他の羽根341とが異なるようにすることにより、配置バランスをくずして羽根の回転音の発生を低減していた。
【0071】
これに対して、関連技術に係る軸流ファン440は、図12に示すように、各羽根441〜451は、回転軸Cに直交する平面に沿った平面形状が同一、すなわち、各羽根441〜451の固定幅角γは同一に設定され、複数の羽根441〜451は、回転軸C周りに均等な配置ピッチ角αも一定値に設定されている。
【0072】
しかしながら、本実施形態の場合、一部の羽根は、回転軸を含む平面内の羽根の断面形状が他の羽根の断面形状と異なっていて、これにより羽根441〜451の配置バランスを崩している。すなわち、例えば、羽根441、羽根442の断面形状を対比すると、図13に示すように、2種類の羽根441、442は、羽根の平面形状に応じた幅寸法Wは一致しているが、羽根442のねじれ角θ2は、羽根441のねじれ角θ1よりも小さくなっている。そして、このようなねじれ角θ1、θ2の異なる羽根441〜451を回転軸C周りに適宜に配置することにより、複数の羽根441〜451の配置バランスをくずしている。尚、回転軸C周りの重量バランスは、各羽根441〜451の配置の調和を図ることによって、調整することもできるが、羽根支持部材43に突起、切欠部等を形成して重量バランスを調整してもよい。
【0073】
このような関連技術によれば、羽根441〜451の断面形状が異なっているので、前記第1実施形態および第2実施形態と同様に、回転軸C周りの羽根441〜451の配置バランスをくずして回転音の発生を低減して、静粛性の高い軸流ファン440とすることができる。
【0074】
(10)実施形態の変形
尚、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記各実施形態では、軸流ファン40、340、440に本発明を適用していたが、図14に示すような遠心力ファン540に本発明を採用しても、前記各実施形態で述べた効果と同様の効果を享受することができる。尚、遠心力ファン540は、羽根支持部材43、羽根541〜551、およびケース55を備え、ケース55には、吐出口となる開口部55Aが形成されているとともに、回転軸Cに直交する側面の一方の側面にも空気取入用の開口部が形成されている(図示略)。羽根541〜551が回転すると、空気取入用の開口部から回転軸Cに沿って空気が取り込まれ、取り込まれた空気は、羽根541〜551によりファンの回転の接線方向に導かれ、開口部55Aから排出される。このような遠心力ファン540は、開口部55Aから排出される空気の吐出圧を大きくとることができるので、電子機器の発熱部品をスポット的に冷却する場合、少ない回転数で効率よく冷却することができる。そして、このような遠心力ファン540に前記各実施形態で説明した発明を適用すれば、回転音を低減することができ、遠心力ファン540の静粛性を向上することができる。
【0075】
また、前記各実施形態では、プロジェクタ1に本発明に係る軸流ファン40、340、440を採用していたが、これに限られない。すなわち、オーバーヘッドプロジェクタ、パーソナルコンピュータ等内部に発熱部品を備えた電子機器であれば、他の電子機器についても、本発明に係る軸流ファン、遠心力ファンを採用することができ、前記各実施形態で述べた効果と同様の効果を享受することができる。
【0076】
【発明の効果】
前述のような本発明の軸流ファン、遠心力ファンによれば、ファンの回転音を低減することができるので、静粛性の高い軸流ファン、遠心力ファンとすることができ、これらを用いれば静粛性の良好な電子機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの上面側からの外観斜視図である。
【図2】前記プロジェクタの下面側からの外観斜視図である。
【図3】前記プロジェクタの内部構造を示す斜視図である。
【図4】前記プロジェクタの光学系を示す斜視図である。
【図5】前記光学系の構造を示す斜視図である。
【図6】前記光学系の構造を示す他の斜視図である。
【図7】図1のVII−VII線断面図であり、前記プロジェクタの垂直断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図であり、前記プロジェクタの別の垂直断面図である。
【図9】前記光学系の機能を説明するための模式図である。
【図10】前記実施形態における排気ファン、吸気ファンを構成する軸流ファンの構造を表す平面図である。
【図11】関連技術としての第2実施形態に係る軸流ファンの構造を表す平面図である。
【図12】関連技術としての第3実施形態に係る軸流ファンの構造を表す平面図である。
【図13】前記実施形態における軸流ファンの羽根の回転軸を含む平面内の断面図である。
【図14】前記各実施形態の変形となる遠心力ファンの断面図および側面図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ(電子機器)
40、340、440 軸流ファン
341〜351、411〜421、441〜451、541〜551 羽根
540 遠心力ファン
C 回転軸
α1〜α11 配置ピッチ角(配置ピッチ)

Claims (7)

  1. 回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根と、前記回転軸周りに回動自在に配置され、前記複数の羽根を支持する羽根支持部材とを備え、前記羽根支持部材を回転させることにより、前記回転軸方向に沿って空気を取り込み、排出する軸流ファンであって、
    前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、他の羽根の配置ピッチと異なる配置ピッチで配置され、
    前記羽根支持部材に突起または切欠部を形成することにより、前記回転軸周りの重量バランスが調整され
    前記配置ピッチは、設定可能な羽根間の隙間角の下限値を設定し、前記複数の羽根の枚数から算出される羽根間の隙間角の上限値を設定し、各羽根部材の固定幅角を一定として、前記下限値から上限値まで一定角度で前記隙間角を増大させて設定し、該隙間角が上限値に達したら、一定角度で前記隙間角を減少させて設定することにより、設定されることを特徴とする軸流ファン。
  2. 請求項1に記載の軸流ファンにおいて、
    前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、前記回転軸に直交する平面に沿った平面形状が他の羽根の平面形状と異なることを特徴とする軸流ファン。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軸流ファンにおいて、
    前記複数の羽根の枚数は、素数に設定されていることを特徴とする軸流ファン。
  4. 回転軸周りに所定の配置ピッチで配置される複数の羽根と、前記回転軸周りに回動自在に配置され、前記複数の羽根を支持する羽根支持部材を備え、前記羽根支持部材を回転させることにより、前記回転軸方向に沿って空気を取り込み、前記複数の羽根の回転の接線方向に空気を排出する遠心力ファンであって、
    前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、他の羽根の配置ピッチと異なる配置ピッチで配置され、
    前記羽根支持部材に突起または切欠部を形成することにより、前記回転軸周りの重量バランスが調整され
    前記配置ピッチは、設定可能な羽根間の隙間角の下限値を設定し、前記複数の羽根の枚数から算出される羽根間の隙間角の上限値を設定し、各羽根部材の固定幅角を一定として、前記下限値から上限値まで一定角度で前記隙間角を増大させて設定し、該隙間角が上限値に達したら、一定角度で前記隙間角を減少させて設定することにより、設定されることを特徴とする遠心力ファン。
  5. 請求項4に記載の遠心力ファンにおいて、
    前記複数の羽根のうちの一部の羽根は、前記回転軸に直交する平面に沿った平面形状が他の羽根の平面形状と異なることを特徴とする遠心力ファン。
  6. 請求項4または請求項5に記載の遠心力ファンにおいて、
    前記複数の羽根の枚数は、素数に設定されていることを特徴とする遠心力ファン。
  7. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軸流ファン、および/または請求項4〜請求項6のいずれかに記載の遠心力ファンを備えていることを特徴とする電子機器。
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