JP4062944B2 - 空気吹出調整用レジスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車内等の換気や空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用レジスタに関し、特に通風路内に相互に直交方向に且つ前後して配設された前可動ルーバと後可動ルーバの向きを、1つの操作ノブを用いて調整する空気吹出調整用レジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するベゼル内に、横可動ルーバと縦可動ルーバを前後して配設し、前方に位置する横可動ルーバの中央部のフィンに、操作ノブ(把手)を可動的に取り付けてなる空気吹出調整用レジスタが、知られている(例えば実開平4−82645号公報等参照)。
【0003】
この従来の空気吹出調整用レジスタは、操作ノブが、横可動ルーバの中央部のフィン上に、その軸方向(横方向)に摺動可能に嵌合されると共に、その横可動ルーバのフィンと共に上下に回動可能に設けられ、操作ノブの先端に係合部が形成され、その係合部が後方に位置する縦可動ルーバのフィンの縦軸(フィンの回動軸とは偏位した軸)に係合する構造である。そして、風の向きを左右に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィン上で左又は右に摺動させて、後の縦可動ルーバの向きを左右に変え、風の向きを上下に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィンと共に上又は下に回動させて風の向きを調整する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来の空気吹出調整用レジスタの操作ノブは、横方向の摺動時にガタツキを防止して適度な操作荷重を付与するために、ノブ本体の後部両側にアーム部を突出して設け、そのアーム部を横可動ルーバに押し付けるためのばね部材をノブ本体の後部に設けていた。このため、操作ノブの構造が複雑化すると共に、部品点数が増し、さらに、ノブ本体の後部に露出するために、特に操作ノブを下方に下げるように操作した際、アーム部やばね部材がレジスタの前方から見えてしまい、レジスタの見栄えが悪化する問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、操作ノブの構造が簡単で部品点数が少なく、操作ノブにガタツキを生じさせずに、適度な操作荷重で空気吹出方向を良好に調整することができる空気吹出調整用レジスタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の空気吹出調整用レジスタは、通風路内に前可動ルーバと後可動ルーバが配設され、前可動ルーバのフィンに操作ノブが摺動可能に外嵌され、操作ノブの背面側に形成された係合部が後方に位置する後可動ルーバに係合し、操作ノブの操作により前可動ルーバと後可動ルーバの各フィンを回動させて、空気の吹出方向を調整する空気吹出調整用レジスタにおいて、操作ノブは、前可動ルーバのフィンの前部を覆うノブ本体と、ノブ本体の後部に嵌着されてフィンの後部を覆い背面に係合部を設けたノブ後部とからなり、フィンの背面部に断面三角形状のガイド溝が長手方向に沿って形成され、ガイド溝に係合する三角係合部がノブ後部の内側に突設されたことを特徴とする。
【0007】
ここで、前可動ルーバのフィンの前部には凸条を形成し、操作ノブのノブ本体の内側に、凸条に係合してその摺動をガイドするガイド部を設けることができる。
【0008】
【作用】
このような構成の空気吹出調整用レジスタでは、操作ノブをフィン上で揺動操作すると、前可動ルーバの各フィンが回動し、その向きを変え、通風路内の空気流の向きが操作ノブの操作回動角度に応じて調整される。また、操作ノブを前可動ルーバのフィン上で摺動操作すると、操作ノブがフィン上で摺動し、ノブ後部がその背面側の係合部を介して後方の後可動ルーバのフィンに連係し、これによって後可動ルーバの各フィンが回動し、その向きを変え、通風路内の空気流の向きが操作ノブの摺動操作幅に応じて調整される。
【0009】
この操作ノブの揺動操作時、またはフィン上での摺動操作時に、ノブ本体内の部位がフィンの前部を押すように接触し、ノブ後部の三角係合部がフィンの後部の断面三角形状のガイド溝に良好に係合して操作ノブが作動するから、操作ノブがフィンに対して強干渉したりガタツクことはなく、特にフィン上を摺動させたとき、操作ノブ内の部分とフィン前部との間に生じる適度な摺動抵抗とフィンのガイド溝とノブ後部の三角係合部との係合により、操作ノブを適度な操作荷重をもって良好に摺動させることができる。
【0010】
例えば、ノブ後部に挟持部を設け、その挟持部でフィンの後部を挟むようにガイドする構造の場合、挟持部の成形時の変形や寸法のバラツキにより、挟持部に噛みつき等が生じる場合があるが、断面三角形状のガイド溝と三角係合部の係合により摺動ガイドする構造とすれば、成形時の変形が生じにくく、またガイド溝と三角係合部に多少の寸法誤差が生じた場合でも、ガタツキや噛みつきを生じさせずに、操作ノブを良好に動作させることができる。また、フィンの背面部に形成されるガイド溝は前方から視認されにくいため、見栄えを悪化させることがなく、良好な意匠性を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は空気吹出調整用レジスタの正面図を示し、図2はその縦断面図を、図3はその横断面図を示し、また、図4はその操作ノブの拡大断面図を示している。これらの図において、1は正面に空気吹出口11を形成したベゼルであり、ベゼル1の内側(背面側)には後述のリテーナ2に連結するための嵌合部が設けられ、その嵌合部にリテーナ2が嵌合・接続される。ベゼル1の空気吹出口11の内側の左右側壁には、横フィン用の軸受孔が所定間隔で形成され、更に、ベゼル1の前面左側にダンパノブ用開口部が形成され、そこにダンパノブ53が配置される。
【0012】
リテーナ2は、略矩形のダクト状に形成され、内部に通風路21が形成され、その前縁部の上壁と下壁に、縦フィン用の軸受孔が所定間隔で形成される。更に、通風路21内後部の両側側壁にダンパ用のダンパ軸孔が設けられ、そこにダンパ5の回動軸51が嵌挿される。
【0013】
前可動ルーバ3は、複数の横フィン31を一定の間隔で回動可能に配置し、それらの回動軸32をクランク35を介してリンクバー36で相互に連結して構成される。図3に示すように、各横フィン31の両側の回動軸32は、上記ベゼル1の両側側壁の軸受孔に挿通され、回動可能に支持される。更に、各横フィン31の一方の回動軸32の先端に、クランク35が連結され、各クランク35はリンクバー36により相互に連結され、前可動ルーバ3を回動させるリンク機構が構成される。リンク機構のクランク35、リンクバー36はベゼル1の外側に配置される。
【0014】
この前可動ルーバ3の特定の横フィン31に、後述の操作ノブ6が装着されるが、その操作ノブ6が装着される横フィン31には、図5に示すごとく、その前面側の上下に凸条34が長手方向に向けて突設され、さらに、その背面部に断面三角形状のガイド溝33が長手方向に沿って形成される。このガイド溝33は操作ノブ6の摺動ガイド用に設けられているが、凹状溝であるために前方からは視認しにくく、見栄えを悪化させることは防止できる。
【0015】
後可動ルーバ4は、複数の縦フィン41をリテーナ2内に一定の間隔で回動可能に縦に配置し、それらの回動軸42をクランク45を介してリンクバー46で相互に連結して構成される。各縦フィン41の上部と下部には回動軸42が突設され、それらの回動軸42は、リテーナ2内の上壁と下壁に設けた軸受孔に回動可能に嵌合される。更に、図2、図3に示すように、各縦フィン41の上部の回動軸にはクランク45が連結され、これらのクランク45がリンクバー46により相互に連結される。このリンク機構はリテーナ2の上壁の上側に配設され、後可動ルーバ4の各縦フィンの方向を変える。
【0016】
さらに、図3に示すように、後可動ルーバ4の中央の縦フィン41には、その前部に扇形歯車47が前方に突出して設けられている。この扇形歯車47は、その前方に位置する横フィン31に装着される操作ノブ6のノブ後部62の歯部と係合して配設され、操作ノブ6の左右方向への操作に伴い、縦フィン41に左右への回動力を伝達する。
【0017】
リテーナ2内の後部に通風路21を閉鎖するためのダンパ5が回動開閉可能に軸支される。ダンパ5の両側には回動軸51が突設され、その回動軸51をリテーナ2の側壁のダンパ軸孔に嵌入させて装着される。図3に示すように、ダンパ5の回動軸51の一端にはクランク54が固定され、そのクランク54の先端に連結杆52が連結される。
【0018】
一方、ダンパノブ53は、軸部56を介してリテーナ2の側壁部に軸支され、ダンパノブ53と一体成形されたレバー状のリンク部55が上記連結杆52の先端に連結される。連結杆52の他端はダンパノブ53の回動軸51に固定されたクランク54に連結される。ダンパノブ53の前部は、ベゼル1のダンパノブ用開口部から前方に突出し、そのダンパノブ53を持って、上または下に軸部56を支点にして回動させると、リンク部55、連結杆52、クランク54を介してダンパ5が回動し、通風路21を開閉する。
【0019】
上記前可動ルーバ3と後可動ルーバ4の向きを調整するための操作ノブ6は、前可動ルーバ3の特定の横フィン31に摺動可能に外嵌されて装着される。この操作ノブ6は、図5に示すように、横フィン31を覆う形状に形成されたノブ本体61と、ノブ本体61の後部に組み付けられ歯部69を有するノブ後部62と、ノブ本体61内に嵌着されるゴム状弾性体63とを備えて構成される。
【0020】
ノブ本体61は、横フィン31の前面、上面、及び下面の外周を覆うように、側面視で略U字状に形成され、その後端部の上部には1対の上係止爪64が突設され、その下部には1対の下係止爪65が突設される。ノブ本体61の内側には、その内側に挿入される横フィン31の前面を適度な摺動抵抗で押圧するシリコンゴム等のゴム状弾性体63が嵌着され、図4に示すごとく、その近傍のノブ本体61の内面上部と下部にガイド部68が設けられる。このガイド部68には、上記横フィン31の前部に突設された凸条34が摺動可能に嵌合し、操作ノブ6の左右方向への所定範囲内での移動をガイドする。
【0021】
ノブ後部62は、横フィン31の背面側を覆うと共に、ノブ本体61の背面側に組み付けられるように形成され、その背面には歯部69が所定の間隔をおいて縦方向に形成されている。また、ノブ後部62の内側の中間部両側には、横フィン31の外周部に装着された際、横フィン31の背面のガイド溝33に係合する三角係合部70が突状に設けられる。この三角係合部70は側面視を三角形とするように突設され、成形に際し、倒れこみや変形が生じににくく、正確な設計形状に成形できる。また、断面三角形状のガイド溝33と三角係合部70の係合では、係合面やその形状寸法に多少の誤差が生じても、係合に噛みつきが生じることはない。このため、三角係合部70は、横フィン31のガイド溝33に良好に係合し、操作ノブ6の動きを円滑に摺動ガイドすることができる。
【0022】
さらに、ノブ後部62には、上部内側の両側にノブ本体61側の上係止爪64を係止するための係止孔67が形成され、その下部内側の両側にはノブ本体61の下係止爪65を係止するための係止部66が凹状に形成される。
【0023】
このような構造のノブ本体61とノブ後部62は、図5に示すように、前可動ルーバ3の特定の横フィン31の外周部を覆うように、前後から合わせるように組み付けられる。このとき、ノブ本体61の上部両側の上係止爪64、64をノブ後部62の両側の係止孔67、67に差し込み、ノブ本体61の下部両側の下係止爪65、65をノブ後部62の両側の凹状の係止部66、66に差し込み、そして、上係止爪64、64を係止孔67、67に係止させ、下係止爪65、65を係止部66、66に係止させて、操作ノブ6は確実に組み付けられる。
【0024】
このような操作ノブ6の組み付けにより、図4に示すごとく、ノブ後部62の三角係合部70が横フィン31のガイド溝33に係合し、ノブ本体61内の奥のガイド部68が横フィン31の凸条34に係合し、さらに、横フィン31の背面側をゴム状弾性体63が押圧して保持し、操作ノブ6は横フィン31に対し、左右長手方向に適度な操作荷重をもって摺動可能に装着される。
【0025】
上記構成の空気吹出調整用レジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の末端を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路21から空気吹出口11を通して吹き出される。
【0026】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、前可動ルーバ3の操作ノブ6を上または下に回動させて調整する。操作ノブ6を持って上または下に回動させると、図2に示すように、操作ノブ6が装着された横フィン31がその回動軸32を軸に上下に回動し、その回動力がクランク35、リンクバー36を介して他の横フィン31に伝達され、各横フィン31がその回動軸32を支点に回動し、横フィン31の上下方向の向きが回動軸32を軸にして変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。
【0027】
一方、空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ6を左または右に移動させて調整する。操作ノブ6を持って左または右に動かすと、操作ノブ6は横フィン31上を摺動し、水平方向(横方向)に移動する。これに伴い、図3に示すように、操作ノブ6のノブ後部62の歯部69が扇形歯車47を動かすことにより、後可動ルーバ4の縦フィン41がその軸部42を支点に左右に回動し、その回動力がクランク45、リンクバー46を介して他の縦フィン41に伝達され、各縦フィン41がその回動軸42を支点に回動し、縦フィン41の左右方向の向きが回動軸42を軸にして変化し、空気の吹出方向が左右に調整される。
【0028】
このように、操作ノブ6が横フィン31に対し、横フィン31の背面部のガイド溝33に三角係合部70を係合させ、横フィン31の前部にはゴム状弾性体を押し付けて摺動可能に保持されるから、操作ノブ6を上下に動かしたとき、ガタツキなく横フィン31を回動させることができ、また、操作ノブ6を左右に動かしたときにも、ガタツキや強干渉を生じさせずに円滑に横フィン31上を移動させることができ、空気の吹出方向を上下左右に良好に調整することができる。
さらに、操作ノブ6をガイドする横フィン31の背面部には、ガイド溝を形成するのみでよいから、構造が簡単で、前方からは操作ノブとフィンの外観以外は露出せず、外観や見栄えの悪化を防止することができ、良好な意匠性を確保することができる。
【0029】
なお、上記実施例では、前可動ルーバ3に横フィン31を設け、後可動ルーバ4に縦フィン41を設けたが、それらを90度回転させた状態とし、前可動ルーバに縦フィンを設け、後可動ルーバに横フィンを設けるように構成することもできる。この場合、操作ノブは縦フィンに装着され、縦方向に摺動することになる。また、上記では、操作ノブの背面側にノブ後部を設け、その後方の縦フィンに設けた扇形歯車と噛合させたが、歯車の噛合に代えて軸と係合部の係合により操作ノブの回動力を縦フィンに伝える構造とすることもできる。さらに、上記ではノブ本体の内側にゴム状弾性体を装着したが、ゴム状弾性対の代わりに板ばねを使用し、或いはノブ本体内にリブを設けてフィンの前部を摺動可能に保持するようにしても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気吹出調整用レジスタによれば、操作ノブの構造を簡単化し、部品点数を少なくすることができる。また、ノブ本体内の部位がフィンの前部を押すように接触し、ノブ後部の三角係合部がフィン背面部の断面三角形状のガイド溝に良好に係合して、操作ノブが作動するから、操作ノブがフィンに対して強干渉したりガタツクことはなく、特にフィン上を摺動させたとき、操作ノブのノブ本体内とフィン前部との間に生じる適度な摺動抵抗とフィンのガイド溝とノブ後部の三角係合部との係合により、操作ノブを適度な操作荷重をもって良好に摺動させることができる。さらに、摺動ガイドする断面三角形状のガイド溝と三角係合部は、成形時の変形が生じにくく、ガイド溝と三角係合部に多少の寸法誤差が生じた場合でも、ガタツキや噛みつきを生じさせずに、操作ノブを良好に動作させることができる。また、フィンの背面部に形成されるガイド溝は前方から視認されにくいため、見栄えを悪化させることがなく、良好な意匠性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す空気吹出調整用レジスタの正面図である。
【図2】同レジスタの縦断面図である。
【図3】同レジスタの水平方向の断面図である。
【図4】操作ノブの拡大断面図である。
【図5】操作ノブと横フィンの分解斜視図である。
【図6】操作ノブのノブ本体の断面付き斜視図である。
【図7】操作ノブのノブ後部の正面図である。
【符号の説明】
3−前可動ルーバ
4−後可動ルーバ
6−操作ノブ
21−通風路
31−横フィン
41−縦フィン
61−ノブ本体
62−ノブ後部
Claims (2)
- 通風路内に前可動ルーバと後可動ルーバが配設され、該前可動ルーバのフィンに操作ノブが摺動可能に外嵌され、該操作ノブの背面側に設けられた係合部が後方に位置する該後可動ルーバに係合し、操作ノブの操作により該前可動ルーバと該後可動ルーバの各フィンを回動させて、空気の吹出方向を調整する空気吹出調整用レジスタにおいて、
該操作ノブは、該前可動ルーバのフィンの前部を覆うノブ本体と、該ノブ本体の後部に嵌着されて該フィンの後部を覆い背面に係合部を設けたノブ後部とからなり、該フィンの背面部に断面三角形状のガイド溝が長手方向に沿って形成され、該ガイド溝に係合する三角係合部が該ノブ後部の内側に突設されたことを特徴とする空気吹出調整用レジスタ。 - 前記前可動ルーバのフィンの前部に凸条が形成され、前記操作ノブのノブ本体の内側には該凸条に係合してその摺動をガイドするガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の空気吹出調整用レジスタ。
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