JP4061764B2 - D/aコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば音声等のディジタル信号からアナログ信号を生成するためのD/Aコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば音声等のディジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータには、オーバーサンプリングディジタルフィルタといわゆるΔΣ変調による一種のビット圧縮技術とを組み合わせることで、ビット数の少ないD/Aコンバータ(1〜4ビット程度)で例えば16〜18ビット相当の分解能及び精度を得ることができるような、1ビットD/Aコンバータが存在する。
【0003】
上述の1ビットD/Aコンバータは、入力データを再量子化することで当該入力データに応じた「1(ハイレベル)」と「0(ローレベル)」からなるパルス列を出力するものである。このため、入力データが例えばプラスの大きな値を示すデータである場合、当該1ビットD/Aコンバータの出力は「1」の符号の発生頻度が高くなり、一方、入力データが例えばマイナスの大きな値を示すデータである場合、当該1ビットD/Aコンバータの出力は「0」の符号の発生頻度が高く(言い換えれば「1」の符号の発生頻度が低く)なる。また、入力データが「0」の連続するデータである場合、当該D/Aコンバータからは「1」と「0」の符号の発生頻度がトータルで丁度半々となるパルス列が出力されることになる。なお、上記1ビットD/Aコンバータの出力における上記「1」と「0」はディジタル信号的な表現であり、上記「0」は実際にはレベルがマイナスとなる「−1」であることを意味している。このD/Aコンバータからの出力パルス列は、その後例えば波形整形され、さらにローパスフィルタ等を介してアナログ波形信号となされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、あるパルス列の信号を波形整形し、さらにローパスフィルタ等を介してアナログ音声信号を生成するような場合において、当該パルス列から例えば完全な無音の音声信号を生成するためには、当該パルス列が、例えば「101010・・・」又は図5に示すように「110011001100・・・」というようなデューティ比50%の固定パターンや、ある単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すようなパルス列である必要がある。
【0005】
上記単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すようなパルス列からなる信号は、図6に示すように、例えば数百KHz以上の帯域に1〜2本のスペクトラムが立つだけで、それよりも低い帯域においてはレベルが理論的に−∞(−無限大)dBとなる信号である。以下、このような信号をミュートパターンと呼ぶことにする。
【0006】
ところで、入力データが「0」の連続するデータである場合、通常の1ビットD/Aコンバータの出力パルス列は、前述したように「1」と「0」の符号発生頻度がトータルで丁度半々になるが、上記ΔΣ変調の性質により、個々の出力パルスは固定パターンにはならず、図7に示すようなランダムに近いパルス列になる。この図7に示すようなランダムに近いパルス列の信号は、高い周波数帯域にノイズを多く持ち、図8に示すようなスペクトラムを持つものとなる。このため、入力データが例えば無音の音声データ(「0」が連続する音声データ、以下、無音データと呼ぶ。)であっても、1ビットD/Aコンバータの出力パルス列から生成される音声信号は、可聴帯域のノイズレベルが理論的に皆無にはならない。すなわち、当該音声信号は、その理論的なノイズと高周波ノイズやジッタとの相互作用などによって、S/Nが低下したものとなってしまう。
【0007】
このようなことから、従来のD/Aコンバータの中には、上述したS/Nの低下を回避し、入力データが無声データである場合の上記ノイズレベルを下げることを目的として、例えば入力データとして一定時間「0」のデータが続くことを検出(以下、これをゼロ検出と呼ぶ。)し、そのゼロ検出に応じて出力パルス列を強制的に前記ミュートパターンに切り替えるようなD/Aコンバータが存在している。
【0008】
しかし、このようにゼロ検出に応じて出力パルス列をミュートパターンに切り替えるようなD/Aコンバータの場合、元々は連続している出力パルス列(無音データから生成したパルス列であってもそのパルス列は連続したものである。)を、図9中(a)に示すように、いきなり元のパルス列とは無関係のミュートパターンに切り替えるようになってしまうため、その切替部で不連続点が発生してしまう。このため、当該図9中(a)に示すような出力パルス列を波形整形し、さらにローパスフィルタを介して生成したアナログ音声信号には、上記不連続点に起因する図9中(b)に示すようなノイズ(例えば「プチ」というような音のノイズ)が生じてしまう。
【0009】
また、この不連続点に起因する切替ノイズを低減する技術として、例えば特開平8−186497号公報には、出力パルスの積分値を監視してタイミングを合わせ込み、影響の少ない所で切り替えるような技術が開示されている。ただし、この場合も切替ノイズを皆無にするのは困難であり、また、操作も複雑で規模も大きくなるという問題がある。
【0010】
ここまでの説明では、ΔΣ変調出力を「1」と「0」の2値すなわち1ビットで表す場合を例に挙げているが、再量子化を例えば複数ビットにし、当該複数ビットの再量子化出力をPWM(パルス幅変調)や抵抗加算器による電圧値を用いて表すようなD/Aコンバータも存在する。すなわち例えば、ΔΣ変調器の出力を例えば3ビットとし、この3ビットから得られる±3、±2、±1、0の7値に対応する幅のPWM波形や電圧を出力するようなD/Aコンバータが存在する。このように、再量子化を複数ビットにする場合は、前述したΔΣ変調出力が1ビットの場合とは異なりゼロレベルの値が存在するが、例えば入力データが「0」の連続するデータであったとしてもその出力がゼロレベルに固定にはならず、したがって、前記ΔΣ変調出力が1ビットの場合と同様に、高い周波数帯域にノイズを多く持ったランダムな信号となってしまう。
【0011】
そこで、本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、切替ノイズを全く発生することなく、「0」が連続するデータが入力された時の出力パルス列をミュートパターン又はゼロレベルに固定にすることが可能な、D/Aコンバータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のD/Aコンバータは、偶数次の積分器を備えたΔΣ変調手段と、ΔΣ変調手段内の最終段の積分器の遅延器からのデータをシフト器を介して当該最終段の一つ前の積分器へ負帰還させる帰還経路と、入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出するゼロ検出手段と、ゼロ検出手段にて入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出した時に、ΔΣ変調手段内の第1段目から上記最終段の二つ前までの積分器に対して微小DC成分を足し込むことで、ΔΣ変調手段の出力を単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すパルス列とする出力調整手段とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0014】
すなわち本発明のD/Aコンバータによれば、ΔΣ変調手段内の最終段の積分器の遅延器からのデータをシフト器を介して当該最終段の一つ前の積分器へ負帰還させる帰還経路を有し、ゼロ検出手段にて入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出した時に、ΔΣ変調手段内の第1段目から上記最終段の二つ前までの積分器に対して微小DC成分を足し込むことで、ΔΣ変調手段の出力ビット列を可聴帯域で理論的にゼロになるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、本発明の一実施の形態のD/Aコンバータ30の構成を示す。
【0017】
本発明実施の形態のD/Aコンバータ30は、図1に示すように、例えば音声等のディジタルデータが入力される入力部29と、入力されたディジタルデータを当該D/Aコンバータ30内で扱えるデータにするための入力データインターフェイス(I/F)部31と、データ間の補間等を行うディジタル補間フィルタ32、入力データから「0」の連続を検出するゼロ検出器33と、入力データを徐々に「0」データにするためのミュート信号が入力されるミュート信号入力部35と、多ビットのデータを1ビットのデータに変換するΔΣ変調器38と、データ波形を整形する波形整形器40と、当該D/Aコンバータ30の出力部42とから成り立っている。
【0018】
この図1において、入力部29には例えば音声のディジタルデータが入力される。この入力ディジタルデータは入力データインターフェイス部31を介してディジタル補間フィルタ32とゼロ検出器33に入力する。
【0019】
ゼロ検出器33は、入力ディジタルデータとしてある一定時間以上「0」のデータが続くことを検出したとき、入力ディジタルデータが無音データであるみなして、検出信号34を「1」にし(検出フラグに「1」を立てる)、一方、入力ディジタルデータが「0」のデータで無くなったならば即座に検出信号34を「0」に戻す。このゼロ検出器33からの検出信号34は、論理和ゲート39に入力する。
【0020】
ディジタル補間フィルタ32は、供給された入力ディジタルデータのデータとデータの間を適当に補間し、サンプリング周波数を例えば入力データの64倍のレートに変換する。また、当該ディジタル補間フィルタ32は、ミュート信号入力部28からのミュート信号が「1」になった場合、入力ディジタルデータ(音声データ)に対して徐々に値が小さくなる係数を掛け、当該音声データを滑らかに「0」のデータにする。このディジタル補間フィルタ32からの出力データ37は、ΔΣ変調器38に入力する。
【0021】
論理和ゲート39では、上記ミュート信号と検出信号34との論理和をとり、その出力信号を端数除去信号36としてΔΣ変調器38に供給する。すなわち、当該論理和ゲート39からは、検出信号34とミュート信号の何れか一方が「1」の間は「1」の信号が端数除去信号36として出力される。
【0022】
ΔΣ変調器38は、上記ディジタル補間フィルタ32によるオーバーサンプリングと同じレート(上記入力データの64倍のレート)の周波数で動作し、多ビットの上記補間されたデータを1ビットに変換する(すなわち再量子化を行う)。このとき、当該1ビットに変換する際に発生する再量子化ノイズは、高い周波数に集中させることで可聴帯域のS/Nをある程度確保する。当該ΔΣ変調器38の具体的構成及び動作は後述する。このΔΣ変調器38からの1ビットデータ53は、波形整形器40に入力する。
【0023】
波形整形器40は、ΔΣ変調器38からの1ビットデータ53を、いわゆるリターンゼロ波形等に変形し、例えば別電源で生成されたクロック或いはジッタの少ないクロックでアナログ特性が良好となるように波形整形する。この波形整形器40の出力信号41は、この図1のD/Aコンバータの出力信号となる。当該図1のD/Aコンバータの出力信号は、その後、図示せぬアナログローパスフィルタを通過させることで、滑らかなアナログ波形となされる。
【0024】
図2には、上記ΔΣ変調器38の構成を示す。当該ΔΣ変調器38は、図2に示すように、それぞれ同じ構成からなる偶数個の積分器(本実施の形態では第1段目から第4段目までの4個の積分器60〜63)と、第1段目から第3段目までの各積分器60,61,62の各出力をそれぞれシフトするシフト器64,65,66と、積分器60〜63による積分後のデータを再量子化する量子化器52と、量子化器52の出力データを各積分器60〜63にフィードバックする遅延回路59及びフィードバック経路54と、第4段目の積分器63と第3段目の積分器62との間でデータを局部帰還(負帰還)する局部帰還経路55,演算器69及びシフト器70と、第1段目の積分器60と第2段目の積分器61にて発生する端数を除去するための端数除去器57,58及び演算器67,68とを備えてなる。
【0025】
この図2において、入力端子43には、図1のディジタル補間フィルタ32からの出力データ37が入力され、端子44には、図1の論理積ゲート39からの端数除去信号36が入力される。
【0026】
入力端子43からのデータ37は、第1段目の積分器60に送られる。この第1段目の積分器60と、次段以降の各積分器61,62,63は、それぞれ演算器71、遅延器72、演算器73を備えた同じ構成の積分器である。
【0027】
上記第1段目の積分器60で積分されたデータは、シフト器64にて1/8にシフトされた後、第2段目の積分器61に入力する。以下同様に、当該第2段目の積分器61で積分されたデータはシフト器65にて1/4にシフトされた後、第3段目の積分器62に入力し、当該第3段目の積分器62で積分されたデータはシフト器66にて1/2にシフトされた後、第4段目の積分器63に入力する。この第4段目の積分器63の出力は、量子化器52にて再量子化され、当該ΔΣ変調器38からの1ビットデータ53として、出力端子46から図1の波形整形器40に供給されると共に、遅延器59を介してフィードバック経路54から各段の積分器60〜63にフィードバックされる。
【0028】
第1段目の積分器60へのフィードバックデータは、減算信号として演算器67に入力し、当該演算器67から第1段目の積分器60の演算器73へ送られる。また、第2段目の積分器61へのフィードバックデータは、減算信号として演算器68に入力し、当該演算器68から第2段目の積分器61の演算器73へ送られる。第3段目の積分器62へのフィードバックデータは、減算信号として演算器69に入力し、当該演算器69から第3段目の積分器62の演算器73に送られる。第4段目の積分器63へのフィードバックデータは、減算信号として当該第3段目の積分器62の演算器73に入力する。
【0029】
演算器67には端数除去器57からの信号が加算信号として供給され、演算器68には端数除去器58からの信号が加算信号として供給される。
【0030】
端数除去器57には、第1段目の積分器60の遅延器72からのデータが入力され、図1の論理和ゲート39からの端数除去信号36に応じて、当該積分器60での積分処理時に端数が徐々に無くなるような極めて小さいDC成分を発生し、演算器67に加算信号として送る。また、端数除去器58には、第2段目の積分器61の遅延器72からのデータが入力され、図1の論理和ゲート39からの端数除去信号36に応じて、当該積分器61での積分処理時に端数が徐々に無くなるような極めて小さいDC成分を発生し、演算器68に加算信号として送る。
【0031】
演算器69にはシフト器70を介した局部帰還経路55からの信号が減算信号として供給される。すなわち、第4段目の積分器63からのデータは、シフト器70にて1/256にシフトされ、局部帰還経路55及び演算器68を介して第3段目の積分器62の演算器73に負帰還されている。当該局部帰還経路55による動作は、一般的にゼロシフトと呼ばれ、これが無い場合、量子化器52で発生する量子化ノイズの周波数特性が図3中の曲線90のように単純に上昇する(ハイ上がり)特性となるが、局部帰還経路55がある場合は図3中の曲線91のようにある周波数において量子化ノイズが減少する特性となる。通常時は、これにより可聴帯域内の量子化ノイズレベルを数dB下げることができる。
【0032】
次に、上述した本発明実施の形態のD/Aコンバータ30の入力部29に「0」の連続する無音データが入力されたときの動作を以下に説明する。
【0033】
入力データとしてある一定時間以上「0」が連続するデータが入力された場合、ゼロ検出器33では、当該入力データの「0」が連続するデータを無音データと見なし、その時の検出信号34を「1」にする(検出フラグに「1」を立てる)。なお、入力データが「0」データで無くなったならば、ゼロ検出器33は即座に検出信号34を「0」に戻す。
【0034】
また、論理和ゲート39では、検出信号34の「1」とミュート信号との論理和をとる。これにより端数除去信号36は「1」となる。
【0035】
ここで、入力データとしてある一定時間以上「0」が連続するデータが入力された場合、ディジタル補間フィルタ32から出力されてΔΣ変調器38へ入力されるデータは「0」になり、また、第1段目の積分器60にはフィードバック経路54からのフィードバックデータ(±1.0の値を取る信号)が当該積分器60の上位ビットにのみ入力される。このため、積分器60の下位ビット(1.0より小さい重みのビット)には何も足されないことになり、いつまでも同じ値が残り続ける。この動かない下位ビットの値を端数と呼ぶ。この端数は、後段の積分器で積分され、ΔΣ変調出力のビット列の出方に影響することになる。
【0036】
このようなことから、本実施の形態では、端数除去器57において、前記端数除去信号36が「1」である場合に、第1段目の積分器60の上記端数を検出し、端数が徐々に無くなるように極めて小さいDC成分を当該積分器60に足し込むようにしている。このように、小さいDC成分が繰り返し積分されると、繰り上がりが起きて、やがて端数は「0」になる。当該端数が「0」になると、端数除去回路57は微小なDC成分を足し込むことを止める。
【0037】
次に、第2段目の積分器61には、上記フィードバック経路54からのフィードバックデータと、第1段目の積分器60の積分値をシフト器64にて1/8にシフトした信号が入力されるため、当該第2の積分器61への入力信号の変動幅の最小ステップは1/8である。したがって、当該1/8のステップより小さい重みのビットは動かず端数となる。当該第2段目の積分器61では、上記第1段目の積分器60の端数除去が終わったならば、同様にして上記端数を除去する。
【0038】
次に、第3段目の積分器62には、上述同様に第2段目の積分器61の積分値をシフト器65にて1/4にシフトした信号と、上記フィードバック経路54からのフィードバックデータと、上記局部帰還経路55からの帰還信号とが入力される。すなわち、上記第2段目の積分器61の端数が除去されると、当該第3段目の積分器62の下位ビットには、局部帰還経路55からの帰還信号のみが入力されるようになる。当該局部帰還経路55からの帰還信号は、第4段目の積分器63から第3段目の積分器62への負帰還信号であるため、これらの変化を減少させて安定する方向に作用する。
【0039】
上述したように、本発明実施の形態のD/Aコンバータ30においては、入力データとしてある一定時間以上「0」が連続するデータ(無音データ)が入力された場合(ミュート信号が「1」の場合も)に、偶数次のΔΣ変調器38の局部帰還経路55より前段の積分器にて端数が無くなり、また、局部帰還経路55が作用することでΔΣ変調器38は単調な動作で安定し、以降、全く同じ演算の繰り返しとなる。このとき、ΔΣ変調器38の出力データ53は、例えば「1001011010010110・・・」というような、単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すようなパルス列、すなわちミュートパターンのパルス列となる。したがって、当該ΔΣ変調器38の出力データ53を、波形整形40とローパスフィルタに通すことにより、可聴帯域において無音となる音声信号を得ることが可能となる。
【0040】
以上の動作をまとめると、本発明実施の形態のD/Aコンバータ30によれば、無音データの入力時にはΔΣ変調器38の第1段目と第2段目の積分器60,61に微小なDC成分が足されて端数が除去され、さらに、局部帰還経路55の作用により各積分器60〜63が同じ演算を繰り返すことにより、ΔΣ変調器38の出力データ53はミュートパターンのパルス列となる。この一連の動作は、前述の従来例で挙げたようにランダムに近いパルス列を強制的に別のミュートパターンに切り替えるといった操作が無いため、図4中(a)に示すように、連続しているパルス列に不連続点が発生するようなことがない。したがって、本実施の形態において、無音データが入力されてΔΣ変調器38の出力データ53がミュートパターンのパルス列に変化したとしても、図4中(b)に示すように、当該パルス列を波形整形してローパスフィルタに通した後のアナログ音声信号には、前述したような不連続点に起因するノイズ(例えば「プチ」という音のノイズ)が発生することはない。
【0041】
なお、本実施の形態では、4次のΔΣ変調器38を使用した例を挙げたが、ΔΣ変調器は4次に限らず、より高い偶数次のΔΣ変調器も使用可能である。すなわち例えば6次のΔΣ変調器の場合は、端数除去を第1段目から第4段目の積分器まで行うというように変更することで、他の次数にも対応できる。
【0042】
また、本実施の形態では、量子化として1ビット2値のものを用いたが、量子化器52を複数ビットのものと置き換えることで、複数ビット量子化のΔΣ変調器にも応用が可能である。この場合、複数ビットで量子化値にゼロレベルの値が存在するため、前述同様の手法を用いれば、ΔΣ変調器の出力としてミュートパターンの代わりに「0」固定の信号(ゼロレベルに固定した信号)が得られる。これにより、この例の場合も、切替ノイズを発生することなく「0」出力に対応した固定電圧出力又はデューティ比50%の固定PWM波形を出力することができる。
【0043】
以上説明したように、本発明実施の形態によれば、小規模な回路で全く切替ノイズを発生すること無く、無音データ入力時のD/Aコンバータの出力パルスをミュートパターンのパルス列或いは「0」固定の信号にすることができる。これにより、最終的に得られるアナログ信号のS/Nを向上させることが可能であり、また、ΔΣ変調の理論S/Nを大きくとらなくて済むため、サンプリング周波数を低く設定できるなど、低消費電力化にも寄与できる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のD/Aコンバータにおいては、ΔΣ変調手段内の最終段の積分器の遅延器からのデータをシフト器を介して当該最終段の一つ前の積分器へ負帰還させる帰還経路を有し、ゼロ検出手段にて入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出した時に、ΔΣ変調手段内の第1段目から上記最終段の二つ前までの積分器に対して微小DC成分を足し込むことで、ΔΣ変調手段の出力を単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すパルス列とすること、或いは、ΔΣ変調手段の出力を固定電圧出力又は固定パルス幅変調出力波形にすることにより、簡単な構造で、切替ノイズを全く発生することなく、「0」が連続するデータが入力された時の出力パルス列をミュートパターン又はゼロレベルに固定にすることができ、最終的に得られるアナログ波形信号のノイズを可聴帯域で理論的にゼロにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態のD/Aコンバータの全体構成例を示すブロック回路図である。
【図2】本発明実施の形態のD/Aコンバータに配されるΔΣ変調器の具体的構成例を示す回路図である。
【図3】局部帰還経路によるゼロシフトを行わない場合に量子化器で発生する量子化ノイズの周波数特性と、ゼロシフトを行った場合に量子化器で発生する量子化ノイズの周波数特性を示す図である。
【図4】本発明実施の形態のD/Aコンバータの出力パルス列とローパスフィルタ通過後のアナログ波形信号例を示す波形図である。
【図5】ミュートパターンの一例を示す図である。
【図6】ミュートパターンのスペクトラムの一例を示す図である。
【図7】通常の1ビットD/Aコンバータの出力パルス列の一例を示す図である。
【図8】通常の1ビットD/Aコンバータの再量子化により発生する量子化ノイズの周波数特性を示す図である。
【図9】通常の1ビットD/Aコンバータの出力パルス列を無音時に強制的にミュートパターンに切り替えた場合の、パルス列とローパスフィルタ通過後のアナログ波形信号例を示す波形図である。
【符号の説明】
30 D/Aコンバータ、 31 入力データインターフェイス部、 32 ディジタル補間フィルタ、 33 ゼロ検出器、 38 ΔΣ変調器、 39 論理和ゲート、 52 量子化器、 57,58 端数除去器、 59,72 遅延器、 60〜63 積分器、 64,65,66,70 シフト器、 67〜69,71,73 演算器
Claims (2)
- オーバーサンプリングとΔΣ変調とを使用する1ビット方式のD/Aコンバータにおいて、
偶数次の積分器を備えたΔΣ変調手段と、
上記ΔΣ変調手段内の最終段の積分器の遅延器からのデータをシフト器を介して当該最終段の一つ前の積分器へ負帰還させる帰還経路と、
入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出するゼロ検出手段と、
上記ゼロ検出手段にて上記入力ディジタルデータが一定期間ゼロデータが続くデータであることを検出した時に、上記ΔΣ変調手段内の第1段目から上記最終段の二つ前までの積分器に対して微小DC成分を足し込むことで、上記ΔΣ変調手段の出力を単位数当たりで「1」と「0」の符号発生頻度が等しく且つ同じパターンが繰り返すパルス列とする出力調整手段とを有することを特徴とするD/Aコンバータ。 - 上記出力調整手段は、上記積分器の遅延器からのデータの端数を検出し、積分を繰り返すと上記端数が徐々に無くなるように上記微小DC成分を足し込み、上記端数が無くなると上記微小DC成分の足し込みを止めることを特徴とする請求項1記載のD/Aコンバータ。
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