JP4058969B2 - 製膜装置及びヘッドクリーニング方法及びデバイス製造装置及びデバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のヘッドを備えた製膜装置と、各ヘッドを清掃するヘッドクリーニング方法と、デバイスを製造するデバイス製造装置と、前記製膜装置または前記ヘッドクリーニング方法を含む製造工程により製造されたデバイスとに関する。
特に、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応しながらも確実に各ノズル面を清掃することができる製膜装置及びヘッドクリーニング方法及びデバイス製造装置及びこれらにより製造されるデバイスとに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今では、例えばコンピュータや携帯情報機器などの各種電子機器の発達に伴い、液晶装置、特にカラー液晶装置の需要並びに適用範囲が増大の傾向にある。この種の液晶装置には、表示画像をカラー化するためのカラーフィルタ基板が用いられている。そして、このカラーフィルタ基板の製造において、基板に対してR(赤),G(緑),B(青)の各フィルタエレメントを所定パターンで形成する方法として、インクジェット方式がある。
【0003】
このインクジェット方式を用いたものとしては、インク滴を吐出するインクジェットヘッドを複数備えたインクジェット装置が開発されつつある。各インクジェットヘッドは、外部から供給されたインクを一時的に蓄えるインク室と、該インク室内のインクを所定量だけ吐出させる駆動源となる圧力発生素子(例えばピエゾ素子など)と、前記インク室からのインク滴が吐出されるノズルが穿設されたノズル面とを備えて構成される。
そして、これらインクジェットヘッドは、互いに等ピッチ間隔に配置されてヘッド群を構成しており、該ヘッド群を一方向(例えばX方向)に向けて基板に対してスキャンさせながらインク滴を吐出させていくことで、基板上にR,G,Bの各インクを供給することができるようになっている。一方、前記一方向に交差するY方向への基板の位置調整は、基板が載置される載置台側でなされるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、製造される基板(カラーフィルタ基板等)としては、高解像度化してそのパターンがますます微細化する傾向にある。このような背景により、各インクジェットヘッドとしては、基板の所定位置に対してR,G,Bの各インク滴を極めて正確、かつ所定の面積できれいに供給する必要がある。当然、各インクジェットヘッドは、所定量のインク滴を基板上の所望の点に向けて真っ直ぐ飛ばす必要があるが、各ノズル面に残留インクが付着している場合には、これが悪影響を及ぼす恐れがある。この残留インクは、各ノズルから飛ばされたインク滴の一部がノズル面に付着して残ったものであるが、インクを使用する関係上、この残留インクの発生を完全に回避することは困難である。
【0005】
このような問題に対する一解決手段としては、ノズル面に付着する残留インクを残らず拭き取るクリーニング機構を、各インクジェットヘッドそれぞれに対して備えることで対処する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、ますます多様化する基板仕様に柔軟に対応するのが難しいという新たな問題を招来することとなる。
すなわち、製造する基板(カラーフィルタ基板等)のサイズや、画素ピッチ等の仕様変更が生じた場合、前記ヘッド群側では、各インクジェットヘッド間のピッチ間隔や、各インクジェットヘッドのスキャン方向に対する傾きなどを変更することで対応できるが、全てのクリーニング機構も各インクジェットヘッド毎に合わせて位置合わせしたり、もしくは全交換しなければならなくなる恐れがある。このような調整作業は、作業者に対して重い負担を負わせるのみならず、生産性の向上を妨げる問題を生じることとなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応しながらも確実に各ノズル面を清掃することができる手段の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
[1] 液滴を吐出するヘッドを複数備えた製膜装置において、前記各ヘッドのノズル面を一括清掃するヘッド清掃機構が備えられていることを特徴とする製膜装置。
この[1]に記載の製膜装置によれば、例えば、製造する基板が、サイズ等の仕様変更をした場合、この仕様変更に応じて各ヘッド間のピッチ寸法等を変更する必要が生じることとなる。このとき、例えば各ヘッド毎に個別のヘッド清掃機構を設けて各ノズル面をそれぞれ清掃させるように構成させてしまうと、各ヘッド間のピッチ寸法等の変更に対応するため、各ヘッド清掃機構の配置等も全て変更させる必要が生じてしまう。これに対し、本発明では、各ノズル面を纏めて一括清掃する共通のヘッド清掃機構を採用しているので、各ヘッド間のピッチ寸法等の変更による影響を受けることがない。
【0008】
[2] 上記[1]に記載の製膜装置において、前記ヘッド清掃機構に、前記各ノズル面を拭うワイピングシートと、該ワイピングシートを前記各ノズル面に向けて押し付けるローラとが備えられていることを特徴とする製膜装置。
この[2]に記載の製膜装置によれば、ワイピングシートを各ノズル面に向かって供給しながらローラで押し付けていくことで、ワイピングシートの新しい清掃面を絶えず各ノズル面に対して供給することができる。しかも、ローラの押し付け力によりワイピングシートを各ノズル面に押し付ける構成であるため、各ノズル面に対して清掃面を確実に当てることもできる。
【0009】
[3] 上記[2]に記載の製膜装置において、前記ワイピングシート及び前記ローラの、それぞれの幅寸法が、全ての前記各ノズル面の総和幅寸法以上とされていることを特徴とする製膜装置。
この[3]に記載の製膜装置によれば、ワイピングシートの清掃面から外れるノズル面が生じないので、全てのノズル面を確実に残さず拭い取ることができるようになる。
【0010】
[4] 上記[2]または上記[3]に記載の製膜装置において、前記ヘッド清掃機構に、前記ワイピングシートに対して洗浄液を供給する洗浄液供給部が更に設けられていることを特徴とする製膜装置。
この[4]に記載の製膜装置によれば、例えば乾いたワイピングシートをノズル面に対して押し付けた場合(乾式の場合)、ワイピングシートの吸い込みにより、ヘッド内のインクをノズル面側に余計に引き出してしまう恐れがある。これに対し、本発明のように、洗浄液供給部からの洗浄液により予めワイピングシートの清掃面を湿らせておく(湿式とする)ことで、余分なインクをヘッド内部から抜き出すことなく、かつ、確実に各ノズル面の付着インクを拭い取ることができる。
【0011】
[5] 上記[2]乃至上記[4]のいずれか一項に記載の製膜装置において、前記各ノズル面への前記ワイピングシートの押し付け圧が、所定圧に設定されていることを特徴とする製膜装置。
この[5]に記載の製膜装置によれば、予め設定された適切な押し付け圧を持ってワイピングシートで各ノズル面を拭うことにより、強く押し付けすぎて各ノズル面を傷付けたり、もしくは、押し付け力が弱すぎて各ノズル面の付着インクが拭いきれずに残ったりするのを防止することができる。
【0012】
[6] 上記[5]に記載の製膜装置において、前記所定圧が、100〜1000gfの範囲内であることを特徴とする製膜装置。
この[6]に記載の製膜装置によれば、前記所定圧が100gfよりも小さいと、押し付け力が弱すぎて各ノズル面の付着インクが拭いきれずに残る恐れがあり、また、前記所定圧が1000gfよりも大きくなると、強く押し付けすぎて各ノズル面を傷付けたりする恐れがある。したがって、前記所定圧を100〜1000gfの範囲内に設定することで、各ノズル面の傷付けや、各ノズル面における付着インクの取り残しを確実に防止することができるようになる。
【0013】
[7] 上記[5]または上記[6]に記載の製膜装置において、前記所定圧が、前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付けた際に、前記ワイピングシート及び前記ローラの変形量が所定寸法となるようにすることで、設定されていることを特徴とする製膜装置。
この[7]に記載の製膜装置によれば、各ノズル面に加わる押し付け圧を直接測定せずとも、ワイピングシートの押し付け圧が前記所定圧内に収まるように容易に設定することができる。
【0014】
[8] 上記[7]に記載の製膜装置において、前記所定寸法が、0.1〜1mmの範囲内であることを特徴とする製膜装置。
この[8]に記載の製膜装置によれば、前記所定寸法が0.1mmに満たない場合には、ワイピングシートによる押し付け圧が不十分であるとして判断される。逆に、前記所定寸法が1mmを越える場合には、ワイピングシートによる押し付け圧が強すぎるとして判断される。したがって、前記所定寸法を0.1〜1mm内に収めることで、適切な押し付け圧を容易に確認することができるようになる。
【0015】
[9] 液滴を吐出する複数のヘッドを清掃するヘッドクリーニング方法おいて、前記各ヘッドのヘッド面を、共通のヘッド清掃機構により一括清掃することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
この[9]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、例えば、製造する基板が、サイズ等の仕様変更をした場合、この仕様変更に応じて各ヘッド間のピッチ寸法等を変更する必要が生じることとなる。このとき、例えば、各ヘッド毎に個別のヘッド清掃機構を設けて各ノズル面をそれぞれ清掃させるようにしてしまうと、各ヘッド間のピッチ寸法等の変更に対応するために、各ヘッド清掃機構の配置等も全て変更させる必要が生じてしまうこととなる。これに対し、本発明では、各ノズル面を共通のヘッド清掃機構により、纏めて一括清掃する方法を採用しているので、各ヘッド間のピッチ寸法等の変更による大幅な影響を受けることがない。
【0016】
[10] 上記[9]に記載のヘッドクリーニング方法において、ヘッド清掃機構に、ワイピングシート及びローラを備え、前記ローラを、前記ワイピングシートを介して前記ノズル面に押し付けることで、前記各ノズル面を拭うことを特徴とするヘッドクリーニング方法。
この[10]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、ワイピングシートを各ノズル面に向かって供給しながらローラで押し付けていくことで、ワイピングシートの新しい清掃面を絶えず各ノズル面に対して供給することができる。しかも、ローラの押し付け力によりワイピングシートを各ノズル面に押し付ける方法であるため、各ノズル面に対して清掃面を確実に当てることもできる。
【0017】
[11] 上記[10]に記載のヘッドクリーニング方法において、前記ワイピングシートに洗浄液を供給して湿らせてから、前記各ノズル面を拭うことを特徴とするヘッドクリーニング方法。
この[11]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、例えば乾いたワイピングシートをノズル面に対して押し付けた場合(乾式の場合)、ワイピングシートの吸い込みにより、ヘッド内のインクをノズル面側に余計に引き出してしまう恐れがある。これに対し、本発明のように、洗浄液供給部からの洗浄液により予めワイピングシートの清掃面を湿らせておく(湿式とする)ことで、余分なインクをヘッド内部から抜き出すことなく、かつ、確実に各ノズル面の付着インクを拭い取ることができる。
【0018】
[12] 上記[10]または[11]に記載のヘッドクリーニング方法において、前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付ける際の押し付け圧を、所定圧に保持することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
この[12]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、予め設定された適切な押し付け圧を持ってワイピングシートで各ノズル面を拭うことにより、強く押し付けすぎて各ノズル面を傷付けたり、もしくは、押し付け力が弱すぎて各ノズル面の付着インクが拭いきれずに残ったりするのを防止することができる。
【0019】
[13] 上記[12]に記載のヘッドクリーニング方法において、前記所定圧を、100〜1000gfの範囲内とすることを特徴とするヘッドクリーニング方法。
この[13]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、前記所定圧が100gfよりも小さいと、押し付け力が弱すぎて各ノズル面の付着インクが拭いきれずに残る恐れがあり、また、前記所定圧が1000gfよりも大きくなると、強く押し付けすぎて各ノズル面を傷付けたりする恐れがある。したがって、前記所定圧を100〜1000gfの範囲内に設定することで、各ノズル面の傷付けや、各ノズル面における付着インクの取り残しを確実に防止することができるようになる。
【0020】
[14] 上記[12]または[13]に記載のヘッドクリーニング方法において、前記所定圧を、前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付ける際の前記ワイピングシート及び前記ローラの変形量が所定寸法となるようにすることで、設定することを特徴とするヘッドクリーニング方法。
上記[14]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、各ノズル面に加わる押し付け圧を直接測定せずとも、ワイピングシートの押し付け圧が前記所定圧内に収まるように容易に設定することができる。
【0021】
[15] 上記[14]に記載のヘッドクリーニング方法において、前記所定寸法を、0.1〜1mmの範囲内とすることを特徴とするヘッドクリーニング方法。
上記[15]に記載のヘッドクリーニング方法によれば、前記所定寸法が0.1mmに満たない場合には、ワイピングシートによる押し付け圧が不十分であるとして判断される。逆に、前記所定寸法が1mmを越える場合には、ワイピングシートによる押し付け圧が強すぎるとして判断される。したがって、前記所定寸法を0.1〜1mm内に収めることで、適切な押し付け圧を容易に確認することができるようになる。
【0022】
[16] 上記[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の製膜装置を製膜装置として含むことを特徴とするデバイス製造装置。
上記[16]に記載のデバイス製造装置によれば、その製膜装置が、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応することができるので、多種多様な幅広い仕様範囲のデバイスを製造することが可能となる。
【0023】
[17] 上記[16]に記載のデバイス製造装置により製造されたデバイス。
上記[17]に記載のデバイスによれば、その製造に使用する製膜装置が、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応することができるようになっているので、多種多様な幅広い仕様範囲のデバイスとすることができる。
【0024】
[18] 上記[9]乃至上記[15]のいずれか一項に記載のヘッドクリーニング方法をヘッドクリーニング工程として含むデバイス製造方法。
上記[18]に記載のデバイス製造方法によれば、その製造に使用するヘッドクリーニング方法が、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応することができるようになっているので、多種多様な幅広い仕様範囲のデバイスとすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、複数のインクジェットヘッドを備えた製膜装置と、各インクジェットヘッドを清掃するヘッドクリーニング方法と、デバイスを製造するデバイス製造装置と、前記製膜装置または前記ヘッドクリーニング方法を用いた製造工程により製造されたデバイスとに関し、特に、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応できる製膜装置及びヘッドクリーニング方法及びデバイス製造装置と、この基板を備えて製造されるデバイスとに関するものであり、その一実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。
なお、以下の説明においては、まず、図1〜図4を参照しながら本実施形態のデバイス製造装置及びデバイス例の説明を行い、次に、図5〜図18を参照しながら同デバイス製造装置に備えられている製膜装置及びヘッドクリーニング方法の説明を行うものとする。
【0026】
[デバイス製造装置及びデバイスの説明]
まず、図1により本実施形態のデバイス製造装置の説明を行う。なお、図1は、同デバイス製造装置における各構成機器の配置を示す平面図である。
同図に示すように、本実施形態のデバイス製造装置は、これから加工される基板(ガラス基板。以下、ウェハWfと称する)を収容するウェハ供給部1と、該ウェハ供給部1から移載されたウェハWfの描画方向を決めるウェハ回転部2と、該ウェハ回転部2から移載されたウェハWfに対してR(赤)のフィルタエレメントを形成する製膜装置であるインクジェット装置3と、該インクジェット装置3から移載されたウェハWfを乾燥させるベーク炉4と、これら装置間でのウェハWfの移載作業を行うロボット5a,5bと、ベーク炉4から移載されたウェハWfを次工程に送るまでに冷却及び描画方向の決定をなす中間搬送部6と、該中間搬送部6から移載されたウェハWfに対してG(緑)のフィルタエレメントを形成する製膜装置であるインクジェット装置7と、該インクジェット装置7から移載されたウェハWfを乾燥させるベーク炉8と、これら装置間でのウェハWfの移載作業を行うロボット9a,9bと、ベーク炉8から移載されたウェハWfを次工程に送るまでに冷却及び描画方向の決定をなす中間搬送部10と、該中間搬送部10から移載されたウェハWfに対してB(青)のフィルタエレメントを形成する製膜装置であるインクジェット装置11と、該インクジェット装置11から移載されたウェハWfを乾燥させるベーク炉12と、これら装置間でのウェハWfの移載作業を行うロボット13a,13bと、ベーク炉12から移載されたウェハWfの収納方向を決めるウェハ回転部14と、該ウェハ回転部14から移載されたウェハWfを収容するウェハ収容部15とを備えて概略構成されている。
【0027】
ウェハ供給部1は、1台あたり例えば20枚のウェハWfを上下方向に収容するエレベータ機構を備えた2台のマガジンローダ1a,1bを備えており、順次、ウェハWfが供給可能となっている。
ウェハ回転部2は、ウェハWfに対し、前記インクジェット装置3によりどの方向に描画するかの描画方向決定と、これからインクジェット装置3に移載する前の仮位置決めとを行うものであり、2台のウェハ回転台2a,2bにより、鉛直方向の軸線回りに90度ピッチ間隔で正確にウェハWfを回転可能に保持している。
【0028】
インクジェット装置3,7,11については、後述においてその詳細を説明するため、ここでは説明を省略するものとする。
ベーク炉4は、例えば120℃以下の加熱環境に5分間、ウェハWfを置くことにより、インクジェット装置3から移載されてきたウェハWfの赤色のインクを乾燥させるものであり、これにより、ウェハWfの移動中に赤色のインクが飛散するなどの不都合を防止可能としている。
【0029】
ロボット5a,5bは、基台を中心に伸展動作ならびに回転動作等が可能なアーム(図示せず)を備えており、該アームの先端に装備されている真空吸着パッドでウェハWfを吸着保持することにより、各装置間でのウェハWfの移載作業をスムーズかつ効率的に行うことができるようになっている。
【0030】
中間搬送部6は、ロボット5bによりベーク炉4から移載されてきた加熱状態のウェハWfを次工程に送る前に冷やす冷却器6aと、冷却後のウェハWfに対し、前記インクジェット装置7によりどの方向に描画するかの描画方向決定及び、これからインクジェット装置7に移載する前の仮位置決めを行うウェハ回転台6bと、これら冷却器6a及びウェハ回転台6b間に配置され、インクジェット装置3,7間での処理速度差を吸収するバッファ6cとを備えて構成されている。ウェハ回転台6bは、鉛直方向の軸線回りに90度ピッチ、もしくは180度ピッチでウェハWfを回転させることができるようになっている。
【0031】
赤色のフィルタエレメントを形成するインクジェット装置3と、緑色のフィルタエレメントを形成するインクジェット装置7とでは、上記の乾燥に要する時間や、それぞれの各インクジェットヘッド(インクジェット装置3,7,11の説明において後述)の清掃作業に要する時間が異なるため、その結果として、両インクジェット装置3,7間で処理速度に差が生じることとなる。前記バッファ6cは、この処理速度差を吸収するために設けられたものであり、エレベータ状のストック台に複数枚のウェハWfを一時的に仮置きすることができるようになっている。
【0032】
ベーク炉10は、前記ベーク炉6と同様の構造を有する加熱炉であり、例えば120℃以下の加熱環境に5分間、ウェハWfを置くことにより、インクジェット装置7から移載されてきたウェハWfの緑色のインクを乾燥させるものであり、これにより、ウェハWfの移動中に緑色のインクが飛散するなどの不都合を防止可能としている。
【0033】
ロボット9a,9bは、前記ロボット5a,5bと同様の構造を有しており、基台を中心として伸展動作ならびに回転動作等が可能なアーム(図示せず)を備え、該アームの先端に装備されている真空吸着パッドでウェハWfを吸着保持することにより、各装置間でのウェハWfの移載作業をスムーズかつ効率的に行うことができるようになっている。
【0034】
中間搬送部10は、前記中間搬送部6と同様の構造を有しており、ロボット9bによりベーク炉8から移載されてきた加熱状態のウェハWfを次工程に送る前に冷やす冷却器10aと、冷却後のウェハWfに対し、前記インクジェット装置11によりどの方向に描画するかの描画方向決定及び、これからインクジェット装置11に移載する前の仮位置決めを行うウェハ回転台10bと、これら冷却器10a及びウェハ回転台10b間に配置され、インクジェット装置7,11間での処理速度差を吸収するバッファ10cとを備えて構成されている。ウェハ回転台10bは、鉛直方向の軸線回りに90度ピッチ、もしくは180度ピッチでウェハWfを回転させることができるようになっている。
【0035】
ウェハ回転部14は、各インクジェット装置3,7,11によりR,G,Bパターンが形成された後の各ウェハWfに対し、それぞれが一定方向を向くように回転位置決め可能となっている。すなわち、ウェハ回転部14は、2台のウェハ回転台14a,14bを備えており、鉛直方向の軸線回りに90度ピッチ間隔で正確にウェハWfを回転可能に保持できるようになっている。
ウェハ収容部15は、ウェハ回転部14より移載されてきた完成品のウェハWf(カラーフィルタ基板)を、1台あたり例えば20枚づつ、上下方向に収容するエレベータ機構を備えた2台のマガジンアンローダ15a,15bを有しており、順次、ウェハWfを収容可能としている。
【0036】
以上説明の本実施形態のデバイス製造装置によるRGBパターン形成工程を含めたカラーフィルタ基板の製造工程の一連の流れを、図1〜図3を参照しながら以下に説明する。なお、図2は、同デバイス製造装置によるRGBパターン形成工程を含めた一連のカラーフィルタ基板製造工程を示す図であり、(a)〜(f)の順に製造される流れを示している。また、図3は、同デバイス製造装置の各インクジェット装置により形成されるRGBパターン例を示す図であって、(a)はストライプ型を示す斜視図,(b)はモザイク型を示す部分拡大図,(c)はデルタ型を示す部分拡大図である。
【0037】
製造に用いられるウェハWfは、例えば長方形型薄板形状の透明基板であり、適度の機械的強度と共に光透過性の高い性質を兼ね備えている。このウェハWfとしては、例えば、透明ガラス基板、アクリルガラス、プラスチック基板、プラスチックフィルム及びこれらの表面処理品等が好ましく用いられる。
なお、このウェハWfには、RGBパターン形成工程の前工程において、生産性をあげる観点から、複数のカラーフィルタ領域が予めマトリックス状に形成されており、これらカラーフィルタ領域をRGBパターン形成工程の後工程で切断することにより、液晶装置に適合するカラーフィルタ基板として用いられるようになっている。
【0038】
図3に示すように、各カラーフィルタ領域には、R(赤色)のフィルタエレメント及びG(緑色)のフィルタエレメント及びB(青色)のフィルタエレメントが、後述の各インクジェットヘッド53より所定のパターンで形成されるようになっている。この形成パターンとしては、図3(a)に示すストライプ型の他に、図3(b)に示すモザイク型や、図3(c)に示すデルタ型などがあるが、本発明ではその形成パターンに関し、特に限定はされない。
【0039】
まず、前工程であるブラックマトリックス形成工程では、図2(a)に示すように、透明のウェハWfの一方の面(カラーフィルタ基板の基礎となる面)に対して、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色)を、スピンコート等の方法により、所定の厚さ(たとえば2μm程度)に塗布し、その後、フォトリソグラフィー法等の方法によりマトリックス状にブラックマトリックスb,・・・を形成していく。これらブラックマトリックスb,・・・の格子で囲まれる最小の表示要素は、所謂フィルターエレメント(符号e,・・・)となり、たとえばX軸方向の巾寸法が30μm、Y軸方向の長さ寸法が100μm程度の大きさとなる窓になる。このブラックマトリックスb,・・・を形成した後は、図示されないヒータにより熱を加えることで、ウェハWf上の樹脂を焼成する。
【0040】
このようにしてブラックマトリックスbが形成された後のウェハWfは、図1に示したウェハ供給部1の各マガジンローダ1a,1bに収容され、引き続きRGBパターン形成工程が行われる。
すなわち、まず各マガジンローダ1a,1bのうちの何れか一方に収容されたウェハWfを、ロボット5aがそのアームにて吸着保持した後、各ウェハ回転台2a,2bのうちのいずれか一方に載置する。そして、各ウェハ回転台2a,2bは、これから赤色のインク滴を供給する前準備として、その描画方向と位置決めとを行う。
【0041】
その後、ロボット5aは、各ウェハ回転台2a,2b上のウェハWfを再び吸着保持し、今度はインクジェット装置3へと移載する。このインクジェット装置3では、図2(b)に示すように、所定のパターンを形成するための所定位置のフィルターエレメントe,・・・内に、赤色のインク滴Rを供給する。この時の各インク滴Rの量は、加熱工程におけるインクRの体積減少量を考慮した充分な量となっている。なお、このインクジェット装置3によるインク滴Rの供給の詳細については、後述する。
【0042】
このようにして所定の全てのフィルターエレメントe,・・・に赤色のインクRが充填された後のウェハWfは、所定の温度(例えば70℃程度)で乾燥処理される。この時、インクRの溶媒が蒸発すると、図2(c)に示すようにインクRの体積が減少するので、体積減少が激しい場合には、カラーフィルタ基板として充分なインク膜厚が得られるまで、インク滴Rの供給作業と乾燥作業とが繰り返される。この処理により、インクRの溶媒が蒸発して、最終的にインクRの固形分のみが残留して膜化する。
【0043】
なお、この赤色パターンの形成工程における乾燥作業は、図1で示したベーク炉4によって行われる。そして、乾燥作業後のウェハWfは、加熱状態にあるため、同図に示すロボット5bにより冷却器6aへと搬送され、冷却される。冷却後のウェハWfは、バッファ6cに一時的に保管されて時間調整がなされた後、ウェハ回転台6bへと移載され、これから緑色のインク滴を供給する前準備として、その描画方向と位置決めとがなされる。そして、ロボット9aが、ウェハ回転台6b上のウェハWfを吸着保持した後、今度はインクジェット装置7へと移載する。
【0044】
このインクジェット装置7では、図2(b)に示すように、所定のパターンを形成するための所定位置のフィルターエレメントe,・・・内に、緑色のインク滴Gを供給する。この時の各インク滴Gの量は、加熱工程におけるインクGの体積減少量を考慮した充分な量となっている。
【0045】
このようにして所定の全てのフィルターエレメントe,・・・に緑色のインクGが充填された後のウェハWfは、所定の温度(例えば70℃程度)で乾燥処理される。この時、インクGの溶媒が蒸発すると、図2(c)に示すようにインクGの体積が減少するので、体積減少が激しい場合には、カラーフィルタ基板として充分なインク膜厚が得られるまで、インク滴Gの供給作業と乾燥作業とが繰り返される。この処理により、インクGの溶媒が蒸発して、最終的にインクGの固形分のみが残留して膜化する。
【0046】
なお、この緑色パターンの形成工程における乾燥作業は、図1で示したベーク炉8によって行われる。そして、乾燥作業後のウェハWfは、加熱状態にあるため、同図に示すロボット9bにより冷却器10aへと搬送され、冷却される。冷却後のウェハWfは、バッファ10cに一時的に保管されて時間調整がなされた後、ウェハ回転台10bへと移載され、これから青色のインク滴を供給する前準備として、その描画方向と位置決めとがなされる。そして、ロボット13aが、ウェハ回転台10b上のウェハWfを吸着保持した後、今度はインクジェット装置11へと移載する。
【0047】
このインクジェット装置11では、図2(b)に示すように、所定のパターンを形成するための所定位置のフィルターエレメントe,・・・内に、青色のインク滴Bを供給する。この時の各インク滴Bの量は、加熱工程におけるインクBの体積減少量を考慮した充分な量となっている。なお、このインクジェット装置11によるインク滴Bの供給の詳細については、後述する。
【0048】
このようにして所定の全てのフィルターエレメントe,・・・に青色のインクBが充填された後のウェハWfは、図2(c)に示すように所定の温度(例えば70℃程度)で乾燥処理される。この時、インクBの溶媒が蒸発すると、インクBの体積が減少するので、体積減少が激しい場合には、カラーフィルタとして充分なインク膜厚が得られるまで、インク滴Bの供給作業と乾燥作業とが繰り返される。この処理により、インクBの溶媒が蒸発して、最終的にインクBの固形分のみが残留して膜化する。
【0049】
なお、この青色パターンの形成工程における前記乾燥作業は、図1で示したベーク炉12によって行われる。そして、乾燥作業後のウェハWfは、ロボット13bによりウェハ回転台14a,14bの何れか一方に移載され、その後、一定方向を向くように回転位置決めがなされる。回転位置決め後のウェハWfは、ロボット13bによりマガジンアンローダ15a,15bの何れか一方に収容される。
【0050】
以上により、RGBパターン形成工程が完了する。そして引き続き、図2(d)以降に示す後工程が行われる。
すなわち、図2(d)に示す保護膜形成工程では、インクR,G,Bを完全に乾燥させるために、所定の温度で所定時間加熱を行う。乾燥が終了すると、インク膜が形成されたウェハWfの表面保護及び表面平坦化を目的として、保護膜cが形成される。この保護膜cの形成には、例えばスピンコート法や、ロールコート法や、リッピング法などの方法を採用することができる。
【0051】
続く図2(e)に示す透明電極形成工程では、スパッタ法や真空蒸着法等の処方を用いて、透明電極tが保護膜cの全面を覆うように形成される。
続く図2(f)に示すパターニング工程では、透明電極tが、画素電極としてパターニングされる。なお、液晶の駆動にTFT(Thin Film Transistor)等を用いる場合ではこのパターニングは不用である。
【0052】
以上説明の各製造工程により、図2(f)に示すカラーフィルタ基板CKが製造される。
そして、このカラーフィルタ基板CKと対向基板(図示せず)とを対向配置させて製造した液晶装置を備えて製造されることにより、例えば図4に示すノート型パソコン20(デバイス)が製造されることとなる。同図に示すノート型パソコン20は、筐体21と、該筐体21内に収容された前記液晶装置(符号22参照)と、入力部であるキーボード23と、図示されない表示情報出力源、表示情報処理回路、クロック発生回路等の様々な回路と、これら回路に電力を供給する電源回路等からなる表示信号生成部とを備えて構成されている。液晶装置22には、例えばキーボード23から入力された情報に基づいて前記表示信号生成部により生成された表示信号が供給され、表示画像が形成されるようになっている。
【0053】
本実施形態に係るカラーフィルタ基板CKが装備されるデバイスとしては、前記ノート型パソコン20に限らず、携帯型電話機、電子手帳、ページャ、POS端末、ICカード、ミニディスクプレーヤ、液晶プロジェクタ、エンジニアリングワークステーション(EWS)、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオレコーダ、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、タッチパネルを備えた装置、時計、ゲーム機器等、様々な電子機器が挙げられる。
【0054】
[製膜装置及びヘッドクリーニング方法の説明]
続いて、図5〜図18を参照しながら、上記デバイス製造装置に備えられている製膜装置としての前記各インクジェット装置3,7,11の詳細説明を行うものとする。なお、各インクジェット装置3,7,11は同じ構造を有しているため、インクジェット装置3についての説明を以下に行い、他のインクジェット装置7,11は同様であるとしてその説明を省略するものとする。
【0055】
図5〜図7に示すように、本実施形態のインクジェット装置3は、その主要構成機器として、インクジェットユニット30と、キャップユニット60と、ワイピングユニット70(ヘッド清掃機構)と、重量測定ユニット90(図5では省略)と、ドット抜け検出ユニット100(図5では省略)とを備えている。
なお、図5は、同インクジェット装置の主要機器を示す概略構成図である。また、図6は、同インクジェット装置の一部を示す図であって、図1の矢印Aより見た側面図である。また、図7は、同インクジェット装置を示す図であって、図6の矢印Bより見た平面図である。
【0056】
(1)インクジェットユニット30の説明
インクジェットユニット30は、インクをインクジェットヘッド53に供給すると共に、インク滴Rを前記ウェハWfに向けて吐出するユニットである。図5に示すように、このインクジェットユニット30では、まず、窒素ガス等の不活性ガスgをエアフィルタ31に供給し、ここで不活性ガスg中に含まれる不純物の除去を行った後、さらにミストセパレータ32を通すことで不活性ガスg中に含まれるミストの除去が行われる。ミスト除去後の不活性ガスgは、インクを圧送する系統と、洗浄液を圧送する系統との2系統に分岐され、作業内容に応じてこれら系統をどちらか一方に、後述のインク・洗浄液圧送圧力切替弁35によって切り替えることができるようになっている。
【0057】
すなわち、インクを圧送する系統を選択した場合には、ミストセパレータ32を経た不活性ガスgは、インク圧送圧力調整弁33へと供給され、ここで適切に調圧された後、インク側残圧排気弁34及びインク・洗浄液圧送圧力切替弁35及びエアーフィルタ36を通過し、さらに、不活性ガス圧力検出センサ37で供給圧チェックがなされてから、インク圧送タンク38内へと供給されるようになっている。
【0058】
一方、洗浄液を圧送する系統を選択した場合には、ミストセパレータ32を経た不活性ガスgは、洗浄液圧送圧力調整弁39へと供給され、ここで適切に調圧された後、洗浄液側残圧排気弁40及びインク・洗浄液圧送圧力切替弁35及びエアーフィルタ71を通過し、さらに、不活性ガス圧力検出センサ72で供給圧チェックがなされてから、洗浄液圧送タンク73内へと供給されるようになっている。この系統における流れの続きは、後述のワイピングユニット70(ヘッド清掃機構)の説明において述べるものとする。
【0059】
前記インク圧送タンク38には、脱気インクボトル41内のインクが、インク圧送用ポンプ42により補充されるようになっており、そのインク有無の確認は、インク有無検出荷重センサ45による荷重検出でなされるようになっている。したがって、インク圧送タンク38内のインク残量が所定レベルを下回った場合には、インク有無荷重検出センサ45がこれを検知してインク圧送用ポンプ42を起動させ、所定レベルに至るまでインクの補充がなされるようになっている。なお、符号43は、脱気インクボトル41に装備されたエアーフィルタであり、また符号44は、タンク排圧弁である。
【0060】
インク圧送タンク38内に不活性ガスgが供給された場合には、その内圧が高まるためにインク液面が下方に押し下げられ、これにより押し出されたインクが、液圧送圧力検出センサ46で測圧されてから液圧送ON/OFF切替弁47を通過し、さらにサブタンク48へと圧送されていく。なお、符号49は、静電気を逃がすための流路部アース継手を示している。
【0061】
サブタンク48には、エアフィルタ50及びサブタンク部上限検出センサ51及びインク液面制御用検出センサ52が備えられている。サブタンク部上限検出センサ51は、サブタンク48内のインク液面が所定レベルを超えた場合に、該サブタンク48へのインク供給を停止させるための検出センサである。また、インク液面制御用検出センサ52は、複数のインクジェットヘッド53(その配置については、図6を参照。なお、図5では、説明のためにインクジェットヘッド53を単体として説明している)の各ノズル面53aに対するサブタンク48内のインク液面の水頭値headを所定の範囲(例えば25mm±0.5mm)内に調整するための検出センサである。
【0062】
このサブタンク48から供給されたインクは、ヘッド部気泡排除弁54を経てからインクジェットヘッド53へと供給されるようになっている。なお、符号55は、静電気を逃がすための流路部アース継手を示している。
ヘッド部気泡排除弁54は、インクジェットヘッド53の上流側流路を閉じることにより、該インクジェットヘッド53内のインクを後述のキャップユニット60で吸引する際の吸引流速を高め、インクジェットヘッド53内の気泡を速く排気することができるようになっている。
【0063】
各インクジェットヘッド53の詳細について、図8〜図12を参照しながら以下に説明する。
なお、図8は、同インクジェット装置のヘッドユニットを示す平面図である。また、図9は、同ヘッドユニットを図8の矢印Cより見た側面図である。また、図10は、同ヘッドユニットに備えられているインクジェットヘッドの、インクを吐出する機構を説明する説明図である。また、図11は、同インクジェットヘッドの一部分を示す図であって、(a)はノズル面に対向する側から見た図,(b)は(a)のD−D断面図である。また、図12は、同インクジェットヘッドを説明する図であり、(a)はスキャン方向を示す説明図,(b)はノズルピッチの変更を示す説明図である。
【0064】
図8及び図9に示すように、本実施形態の各インクジェットヘッド53は、6個づつを互いに斜めに重なるようにして1列配置した第1ヘッド列121A及び第2ヘッド列121Bを、ヘッド保持板122に対して固定することで、ヘッドユニット120を構成している。第1ヘッド列121A及び第2ヘッド列121Bは、互いに平行をなしており、なおかつ、それぞれの軸線c1,c2が、後述のワイピングシート75の送り方向(図8の矢印S方向)に対して交差するように配置されている。
【0065】
図10に示すように、各インクジェットヘッド53は、たとえば、ピエゾ素子(圧電素子)を用いたヘッドであり、本体53bの前記ノズル面53aには、複数のノズル53cが形成されている。そして、これらノズル53cのそれぞれに対してピエゾ素子53dが設けられている。
このピエゾ素子53dは、ノズル53cとインク室53eに対応して配置されており、印加電圧Vhが印加されることで、矢印P方向に伸縮し、インク室53e内を加圧して所定量のインク滴Rを各ノズル53cから吐出させるようになっている。
【0066】
図11(a),(b)に示すように、各インクジェットヘッド53のノズル面53aには、複数列(本実施形態では2列)の溝53a1,53a2が互いに平行に形成されており、さらに、これら溝53a1,53a2の内部に、前記各ノズル53cが等ピッチ間隔で穿設されている。
前述のように、これらインクジェットヘッド53は互いに斜めに重なった状態に配置されている。これは、図12(a)のようにウェハWf上を各インクジェットヘッド53を通過させながらインク滴Rの吐出を行う際に、図12(b)のようにスキャン方向(進行方向)に対して各インクジェットヘッド53を適切な角度に傾けることで、製造するカラーフィルタ基板の画素ピッチp1に応じて見かけのノズル間隔p2を一致させるためである。
【0067】
(2)キャップユニット60の説明
以上説明のインクジェットユニット30に続き、キャップユニット60の説明を以下に行う。図5に示すキャップユニット60は、前記各インクジェットヘッド53のノズル面53aに対して真下よりそれぞれ押し当てられる複数のキャップ61(その配置については、図6及び図7を参照)により、インク吸引ポンプ62の吸引力を利用してインク廃液タンク65へとインク廃液を吸引することができるようになっている。なお、符号63は、各インクジェットヘッド53内のインクを吸引する際に、各インクジェットヘッド53と吸引側との圧力バランス(=大気圧)をとるための時間短縮を目的としてキャップ61の近傍に設けられたバルブであり、また、符号64は、吸引異常を検出するためのインク吸引圧検出センサである。
【0068】
インク廃液タンク65には、廃液タンク上限検出センサ66が備えられており、該インク廃液タンク65内の液面高さが所定レベルを超えたと検出された場合に、インク廃液ポンプ67を起動してインク廃液ボトル68に廃液を移すことができるようになっている。
そして、このキャップユニット60によれば、各インクジェットヘッド53からのインク滴Rの吐出開始前にこれらインクジェットヘッド53の各ノズルに負圧を加えてノズル面53aまでインクを充填させたり、各ノズルの目詰まりを取るために各インクジェットヘッド53の各ノズルに負圧を加えて吸引したり、または製造を行わない待機時に、各ノズル内のインクが乾燥することのないようにキャップ61でノズル面53を覆って保湿したりすることができるようになっている。
【0069】
(3)ワイピングユニット70の説明
以上説明のキャップユニット60に続き、図5及び図13〜図18を参照しながら前記ワイピングユニット70(ヘッド清掃機構)を以下に説明する。
なお、図13は、同ワイピングユニット70のワイピングシート供給ユニットを示す斜視図である。また、図14は、同ワイピングシート供給ユニットを示す図であって、巻き出しローラ及び巻き取りローラの軸線に垂直をなす断面より見た縦断面図である。また、図15は、ワイピングユニット70のローラユニットを示す斜視図である。また、図16は、同ローラユニットを、そのローラの軸線に垂直な断面より見た縦断面図である。また、図17は、ワイピングユニット70による各ノズル面の清掃を説明する平面図である。また、図18は、同ワイピングユニット70による各ノズル面の清掃を説明する側面図であり、(a)はワイピングシートをノズル面に対して押し付ける前の状態を示し、(b)は押し付け状態を示している。
【0070】
ワイピングユニット70は、定期的あるいは随時に、前記各インクジェットヘッド53の各ノズル面53aを一括清掃するものであり、図5に示すように、各ノズル面53aを拭うワイピングシート75と、該ワイピングシート75を各ノズル面53aに向けて押し付けるローラ76と、ワイピングシート75に対して洗浄液を吹き付け供給する洗浄液供給部77と、ワイピングシート75を各ノズル面53aに向かって巻き出して供給する巻き出しローラ78と、各ノズル面53aを拭った後のワイピングシート75を巻き取る巻き取りローラ79と、該巻き取りローラ79を回転駆動する電動モータ153とを備えて構成されている。なお、ワイピングシート75としては、例えばポリエステル100%の織布が好適に用いられる。また、ローラ76はゴムローラであり、その周面に対する押圧力に対して反発する弾性を備えている。
【0071】
そして、このワイピングユニット70によれば、巻き出しローラ78から巻き出されるワイピングシート75を各ノズル面53aに向かって供給しながらローラ76で押し付けていくことで、ワイピングシート75の新しい清掃面を絶えず各ノズル面53aに対して供給することができるようになっている。しかも、ローラ76の押し付け力によりワイピングシート75を各ノズル面53aに押し付ける構成であるため、各ノズル面53aに対して清掃面を確実に当てることもできるようになっている。
【0072】
ところで、例えば製造するカラーフィルタ基板がサイズ等の仕様変更をした場合、この仕様変更に応じて各インクジェットヘッド53間のピッチ寸法等を変更する必要が生じることとなる。このとき、例えば各インクジェットヘッド53毎に個別のワイピングユニットを設けて各ノズル面53aをそれぞれ清掃させるように構成させてしまうと、各インクジェットヘッド53間のピッチ寸法等の変更に対応するように、各ワイピングユニットの配置等も全て変更させる必要が生じてしまうことになる。これに対し、本実施形態のワイピングユニット70は、1台で各ノズル面53aを纏めて一括清掃する構成を採用しているので、各インクジェットヘッド53間のピッチ寸法等の変更による影響を受けることがないようになっている。
【0073】
図13及び図14に示すように、前記巻き出しローラ78及び巻き取りローラ79は、それぞれの軸線回りに回動可能な状態で、ローラケーシング151に固定されており、巻き取りローラ79を回転駆動させることで、巻き出しローラ78からワイピングシート75(図示略)を巻き出すことができるようになっている。ここで、巻き取りローラ79の回転駆動は、該巻き取りローラ79の回転軸79aの端部に同軸に取り付けられたプーリ79bを、ベルト152を介して電動モータ153により駆動することで行われる。
【0074】
同図に示すガイドローラ154は、ワイピングシート75の流れを正しくガイドするためのものであり、その端部に備えられた回転速度計155(エンコーダ)がガイドローラ154の回転速度を検出することにより、ワイピングシート75の送り速度を検出することができるようになっている。
そして、以上説明の巻き出しローラ78と、巻き取りローラ79と、ローラケーシング151と、ワイピングシート75と、電動モータ153と、ガイドローラ154と、回転速度計155(エンコーダ)とを備えて、ワイピングシート供給ユニット150が構成されている。
【0075】
図15及び図16に示すように、ローラ76は、その軸線回りに回動可能な状態でローラケーシング161に固定されており、前記ワイピングシート供給ユニット150から繰り出されてくるワイピングシート75の送り速度に同期して回転駆動されるようになっている。ここで、ローラ76の回転駆動は、該ローラ76の回転軸76aの端部に同軸に取り付けられたプーリ76bを、ベルト162を介して電動モータ163により駆動することで行われる。
【0076】
そして、このローラ76に隣接して、前記洗浄液供給部77のノズルユニット171が配置固定されている。このノズルユニット171は、ローラ76の軸線に平行かつその長手方向に沿って複数のノズル孔171aが上向きに穿設された棒状の配管であり、その真上を通過していくワイピングシート75に対して裏面側から洗浄液を適量吹き付けることで、これから各ノズル面53aを拭うワイピングシート75の清掃面を直前に湿らせることができるようになっている。
【0077】
このようにして洗浄液供給部77でワイピングシート75を予め湿らせる理由は、洗浄液の洗浄効果により各ノズル面53をよりきれいに拭き取ることは勿論であるが、これに加えて下記理由も有している。すなわち、例えば乾いたワイピングシート75を各ノズル面53aに対して押し付けた場合(乾式の場合)、ワイピングシート75の吸い込みにより、各インクジェットヘッド53内のインクをノズル面53a側に余計に引き出してしまう恐れがある。これに対し、本実施形態のように、洗浄液供給部77からの洗浄液により予めワイピングシート75の清掃面を湿らせておく(湿式とする)ことで、余分なインクをインクジェットヘッド53内部から抜き出すことなく、かつ、確実に各ノズル面53aの付着インクを拭い取ることができるようになる。
そして、以上説明のローラ76と、ローラケーシング161と、電動モータ163と、洗浄液供給部77とを備えて、ローラユニット160が構成されている。このローラユニット160を備える前記ワイピングユニット70は、図6に示すように共通の架台200上に一体に据付固定されており、基台201に対して同図の紙面左右方向に相対移動可能となっている。
【0078】
図17に示すように、ワイピングシート75及びローラ76は、これらワイピングシート75及びローラ76と、各ノズル面53aとの間の相対的な幅寸法W1,W2が、それぞれ、全ての各ノズル面53aがなす総和幅寸法W3以上とされている。同様に、ノズルユニット171の各ノズル孔171aがなす総和幅寸法W4も、前記総和幅寸法W3よりも長くされている。
このように構成することにより、ワイピングシート75の清掃面の範囲や、ローラ76の押し付け範囲や、ノズルユニット171からの洗浄液塗布範囲から外れるノズル面53aが生じないので、全てのノズル面53aを確実に残さず拭い取ることができるようになる。
【0079】
ところで、各ノズル面53aへのワイピングシート75の押し付け圧は、100〜1000gfの範囲内の所定圧となるように設定されている。これは、前記押し付け圧を適正に保つことにより、ワイピングシート75を強く押し付けすぎて各ノズル面53aを傷付けたり、もしくは、押し付け力が弱すぎて各ノズル面53aの付着インクが拭いきれずに残ったりするのを防止するためである。より具体的に言うと、前記所定圧が100gfよりも小さいと、押し付け力が弱すぎて各ノズル面53aの付着インクが拭いきれずに残る恐れがあり、また、前記所定圧が1000gfよりも大きくなると、強く押し付けすぎて各ノズル面53aを傷付けたりする恐れがあるので、前記所定圧を100〜1000gfの範囲内に収まるように設定しているのである。この所定圧は、ワイピングシートの材料及びローラ76の硬度に応じて設定されることがより好ましい。例えば、ワイピングシート75としてポリエステルを用い、ローラ76として硬度20〜70度程度のゴム部材を用いる場合にあっては、200〜400gfの範囲内の所定圧となるように設定されることが好ましい。
【0080】
この押し付け圧の設定に際しては、押し付け圧を直接計測する方法もあるが、本実施形態では、図18(a),(b)に示すように、ワイピングシート75を介してローラ76を各ノズル面53aに押し付けた際に、ワイピングシート75及びローラ76の変位量(つぶれ量)これらノズル面53aの押し退け量(上昇移動量)が所定寸法となるようにすることで設定してもよい。より具体的に言うと、上記の変位量は、ワイピングシート75の材料や厚さ及びローラ76の硬度に応じて適正範囲が規定される。例えば、ワイピングシート75としてポリエステル繊維による厚さ0.6mmのシートを用い、ローラ76として硬度30〜60度のゴムを用いた場合、ノズル面53a、ワイピングシート75及びローラ76が接した状態のローラ76の回転軸の位置と、押し付け後の回転軸の位置の押し付け方向における変位量が、0.1〜1mmの範囲内となるように設定されている。
【0081】
すなわち、図18(a)に示す押し付け前では、各インクジェットヘッド53から離れた位置にローラユニット160が位置しており、そのときのワイピングシート75の上面(洗浄面)の鉛直方向高さをH1とする。そして、各インクジェットヘッド53のノズル面53aの鉛直方向高さをH2とした場合に、H2−H1が、0.1〜1mmの範囲内となるように設定されている。
これにより、図18(b)に示すように、ヘッドクリーニングのためにローラユニット160のローラ76を、ノズルユニット120の真下に来るようにローラユニット駆動機構(図示せず)で水平移動させたときに、ワイピングシート75及びローラ76が、定位置に固定された各インクジェットヘッド53の各ノズル面53aにより下方に押されて変形する。そして、この変形量をGとした場合に、変形量Gが、0.1〜1mmの範囲内となるように設定されている。
【0082】
この変位量Gが0.1mmに満たない場合には、ワイピングシート75による押し付け圧が不十分であるとして判断し、逆に、1mmを越える場合には、ワイピングシート75による押し付け圧が強すぎるとして判断することができるようになる。したがって、変位量Gを0.1〜1mm内に収めるようにすることで、各ノズル面53aに加わる押し付け圧を直接測定せずとも、ワイピングシート75の押し付け圧が前記所定圧内に収まるように容易に設定することができるのである。
【0083】
(4)重量測定ユニット90の説明
以上説明のワイピングユニット70に続き、図7を参照しながら前記重量測定ユニット90を以下に説明する。
この重量測定ユニット90は、各インクジェットヘッド53の各ノズルから吐出されたインク滴Rの一滴あたりの重量を測定して管理するためのものである。例えば、重量測定を目的として各インクジェットヘッド53から、2000滴分のインク滴Rを受けた後、この2000滴のインク滴Rの重量を2000の数字で割ることにより、一滴のインク滴Rあたりの重量を正確に測定するようになっている。このインク滴Rの重量測定結果は、各インクジェットヘッド53から吐出するインク滴Rの量を最適にコントロールするのに用いられる。
【0084】
(5)ドット抜け検出ユニット100の説明
続いて、前記ドット抜け検出ユニット100の説明を以下に行う。
図7に示すこのドット抜け検出ユニット100は、各ノズルユニット53の各ノズルの目詰まりを調べるためのものであり、この上方位置に各インクジェットヘッド53を移動させた後、ここに備えられている図示されないレーザ装置からのレーザ光を遮るようにして各インクジェットヘッド53から吐出させて検査を行う。そして、吐出の指示をしたにもかかわらずレーザ光が遮られなかった場合には、ノズルが目詰まりを起こしてインクが出ておらず、製造品にドット抜けが生じる恐れがあるとして判断され、前記キャップユニット60により問題となっているインクジェットヘッド53のノズルが吸引され目詰まりが除去されるようになっている。
【0085】
本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、各インクジェットヘッド53のノズル面53aを一括清掃するワイピングユニット70を備えた構成/方法を採用した。これによれば、製造するカラーフィルタ基板のサイズ等の仕様変更に対応すべく、各インクジェットヘッド53間のピッチ寸法等を変更した場合においても、ワイピングユニット53側の構成を大幅に変えることなく、各ノズル面53aの充分な清掃作業を行うことができる。したがって、製造するカラーフィルタ基板の仕様変更等に柔軟に対応しながらも確実に各ノズル面53aを清掃することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、ワイピングユニット70に、各ノズル面53aを拭うワイピングシート75と、該ワイピングシート75を各ノズル面53aに向けて押し付けるローラ76とを備えた構成/方法を採用した。これによれば、ワイピングシート75の新しい清掃面を絶えず各ノズル面53aに供給することができるので、各ノズル面53aへのインク残りを生じることなく、確実に清掃することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11は、ワイピングシート75及びローラ76の幅寸法が、全ノズル面53aの総和幅寸法以上である構成/方法を採用した。これによれば、ワイピングシート75の清掃面から外れるノズル面53aが生じないので、全てのノズル面53aを確実に残さず清掃することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、ワイピングユニット70に、ワイピングシート75に対して洗浄液を供給する洗浄液供給部77を更に設けた構成/方法を採用した。これによれば、余分なインクを各インクジェットヘッド53内部から抜き出すことなく、かつ、確実に各ノズル面53aの付着インクを拭い取ることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、各ノズル面へのワイピングシート75の押し付け圧を、所定圧に設定する構成/方法を採用した。これによれば、押し付け圧を予め適切な所定圧に設定しておくことで、各ノズル面の傷付けや、各ノズル面における付着インクの取り残しを防止することが可能となる。
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、前記所定圧を、100〜1000gfの範囲内とする構成/方法を採用した。これによれば、各ノズル面53aの傷付けや、各ノズル面53aにおける付着インクの取り残しを確実に防止することが可能となる。
【0090】
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、前記所定圧が、ワイピングシート75を介してローラ76を各ノズル面53aに押し付けた際に、これらワイピングシート及びローラのつぶれ量すなわち変位量Gが所定寸法となるように設定する構成/方法を採用した。これによれば、各ノズル面53aに加わる押し付け圧を直接測定せずとも、ワイピングシート75の押し付け圧が前記所定圧内に収まるように容易に設定することが可能となる。
また、本実施形態のインクジェット装置3,7,11及びヘッドクリーニング方法は、前記所定寸法を、0.1〜1mmの範囲内とする構成/方法を採用した。これによれば、ワイピングシート75の押し付け圧が前記所定圧内に収まるように確実に設定することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態のデバイス製造装置は、上記各インクジェット装置3,7,11及び上記ヘッドクリーニング方法を含む製造工程により、デバイスを製造する構成を採用した。この構成によれば、製品の仕様変更等に柔軟に対応することができるようになっているので、多種多様な幅広い仕様範囲のデバイスを製造することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態のデバイスは、上記各インクジェット装置3,7,11及び上記ヘッドクリーニング方法を含む製造工程により、製造される構成を採用した。この構成によれば、製品の仕様変更等に柔軟に対応することができるようになっているので、多種多様な幅広い仕様範囲のデバイスとすることが可能となる。なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができ、例えば、上記実施形態においては、最初にR(赤色)のパターン形成を行い、続いてG(緑色)のパターン形成、そして最後にB(青色)のパターン形成を行うものとしたが、これに限らず、必要に応じてその他の順番でパターン形成するものとしても良い。
また、本発明のデバイス製造装置は、たとえば液晶表示デバイス用のカラーフィルターの製造に限定されるものではなく、たとえば、EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。こうしたEL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々を本発明のデバイス製造装置を用いて、TFT等の素子基板上にパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイスの範囲にはこのようなELデバイスをも含むものである。
この場合、例えば、上記のカラーフィルタのブラックマトリクスと同様に樹脂レジストを用いて1ピクセル毎に区画する隔壁を形成した後、下層となる層の表面に吐出された液滴が付着しやすいように、且つ、隔壁が吐出された液滴をはじき隣接する区画の液滴と混じり合うことを防止するため、液滴の吐出の前工程として、基板に対し、プラズマ、UV処理、カップリング等の表面処理を行う。しかる後に、正孔注入/電子輸送層を形成する材料を液滴として供給し製膜する第1の製膜工程と、同様に発光層を形成する第2の製膜工程とを経て製造される。こうして製造されるELデバイスは、セグメント表示や全面同時発光の静止画表示、例えば絵、文字、ラベル等といったローインフォメーション分野への応用、または点・線・面形状をもった光源としても利用することができる。さらに、パッシブ駆動の表示素子をはじめ、TFT等のアクティブ素子を駆動に用いることで、高輝度で応答性の優れたフルカラー表示デバイスを得ることが可能である。
また、本発明の製膜装置に金属材料や絶縁材料を供すれば、金属配線や絶縁膜等のダイレクトな微細パターニングが可能となり、新規な高機能デバイスの作製にも応用できる。
なお、上記の実施形態では、便宜的に「インクジェット装置」ならびに「インクジェットヘッド」と呼称し、吐出される吐出物を「インク」として説明したが、このインクジェットヘッドから吐出される吐出物は所謂インクには限定されず、ヘッドから液滴として吐出可能に調整されたものであればよく、例えば、前述のELデバイスの材料、金属材料、絶縁材料、又は半導体材料等様々な材料が含まれることはいうまでもない。
また、上記の実施形態において、圧電素子を用いたインクジェットヘッドについて説明したがこれに限るものではなく、発熱素子により液体内に気泡を発生させこの圧力により液滴を吐出するインクジェットヘッドを用いることも可能である。
さらに、これらのインクジェットヘッドに限らず、液滴を定量吐出する手段として、ディスペンサーを用いることも可能である。
【0093】
【発明の効果】
本発明の製膜装置は、各ヘッドのノズル面を一括清掃するヘッド清掃機構を備えた構成を採用した。この構成によれば、製造する基板のサイズ等の仕様変更に対応すべく、各ヘッド間のピッチ寸法等を変更した場合においても、ヘッド清掃機構側の構成を大幅に変えることなく、各ノズル面の充分な清掃作業を行うことができる。したがって、製造する基板の仕様変更等に柔軟に対応しながらも確実に各ノズル面を清掃することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット装置を備えたデバイス製造装置の一実施形態を示す図であって、同デバイス製造装置における各構成機器の配置を示す平面図である。
【図2】 同デバイス製造装置によるRGBパターン形成工程を含めた一連のカラーフィルタ基板製造工程を示す図であり、(a)〜(f)の順に製造される流れを示す。
【図3】 同デバイス製造装置の各インクジェット装置により形成されるRGBパターン例を示す図であって、(a)はストライプ型を示す斜視図,(b)はモザイク型を示す部分拡大図,(c)はデルタ型を示す部分拡大図である。
【図4】 同デバイス製造装置により製造された液晶表示装置を備えて製造されたデバイスの一例であるノート型コンピュータを示す斜視図である。
【図5】 同デバイス製造装置のインクジェット装置の主要機器を示す概略構成図である。
【図6】 同インクジェット装置の一部を示す図であって、図1の矢印Aより見た側面図である。
【図7】 同インクジェット装置を示す図であって、図6の矢印Bより見た平面図である。
【図8】 同インクジェット装置のノズルヘッドユニットを示す平面図である。
【図9】 同ノズルヘッドユニットを図8の矢印Cより見た側面図である。
【図10】 同ノズルヘッドユニットに備えられているインクジェットヘッドの、インクを飛ばす機構を説明する説明図である。
【図11】 同インクジェットヘッドの一部分を示す図であって、(a)はノズル面に対向する側から見た図,(b)は(a)のD−D断面図である。
【図12】 同インクジェットヘッドを説明する図であり、(a)はスキャン方向を示す説明図,(b)はノズルピッチの変更を示す説明図である。
【図13】 同インクジェット装置のワイピングユニットのワイピングシート供給ユニットを示す斜視図である。
【図14】 同ワイピングシート供給ユニットを示す図であって、巻き出しローラ及び巻き取りローラの軸線に垂直をなす断面より見た縦断面図である。
【図15】 同ワイピングユニットのローラユニットを示す斜視図である。
【図16】 同ローラユニットを、そのローラの軸線に垂直な断面より見た縦断面図である。
【図17】 同ワイピングユニットによる各ノズル面の清掃を説明する平面図である。
【図18】 同ワイピングユニットによる各ノズル面の清掃を説明する側面図であり、(a)はワイピングシートをノズル面に対して押し付ける前の状態を示し、(b)は押し付け状態を示している。
【符号の説明】
3,7,11・・・インクジェット装置(製膜装置)
20・・・ノート型コンピュータ(デバイス)
53・・・インクジェットヘッド(ヘッド)
53a・・・ノズル面
70・・・ワイピングユニット(ヘッド清掃機構)
75・・・ワイピングシート
76・・・ローラ
77・・・洗浄液供給部
CK・・・カラーフィルタ基板(基板)
R・・・インク
Claims (14)
- 液滴を吐出するヘッドを複数備えた製膜装置において、
前記各ヘッドのノズル面を一括清掃するヘッド清掃機構が備えられ、
前記ヘッド清掃機構は、前記各ノズル面を拭うワイピングシートと、
前記ワイピングシートに対して洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記ワイピングシートを前記各ノズル面に向けて押し付けるローラと、
を有し、
前記洗浄液供給部は、前記ワイピングシートに対して前記ワイピングシートの裏面から前記洗浄液を供給することを特徴とする製膜装置。 - 請求項1に記載の製膜装置において、
前記ワイピングシート及び前記ローラは、それぞれの幅寸法が、全ての前記各ノズル面の総和幅寸法以上とされていることを特徴とする製膜装置。 - 請求項1または請求項2に記載の製膜装置において、
前記各ノズル面への前記ワイピングシートの押し付け圧が、所定圧に設定されていることを特徴とする製膜装置。 - 請求項3に記載の製膜装置において、
前記所定圧は、100〜1000gfの範囲内であることを特徴とする製膜装置。 - 請求項3または請求項4に記載の製膜装置において、
前記所定圧は、前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付けた際に、前記ワイピングシート及び前記ローラの変形量が所定寸法となるようにすることで、設定されていることを特徴とする製膜装置。 - 請求項5に記載の製膜装置において、
前記所定寸法は、0.1〜1mmの範囲内であることを特徴とする製膜装置。 - 液滴を吐出する複数のヘッドを清掃するヘッドクリーニング方法おいて、
前記各ヘッドのヘッド面を、共通のヘッド清掃機構により一括清掃し、
前記ヘッド清掃機構に、ワイピングシート及びローラを備え、
前記ワイピングシートに対して前記ワイピングシートの裏面から洗浄液を供給して湿らせてから、
前記ローラを前記ワイピングシートを介して前記ノズル面に押し付けることで、前記各ノズル面を拭うことを特徴とするヘッドクリーニング方法。 - 請求項7に記載のヘッドクリーニング方法において、
前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付ける際の押し付け圧を、所定圧に保持することを特徴とするヘッドクリーニング方法。 - 請求項8に記載のヘッドクリーニング方法において、
前記所定圧を、100〜1000gfの範囲内とすることを特徴とするヘッドクリーニング方法。 - 請求項8または請求項9に記載のヘッドクリーニング方法において、
前記所定圧を、前記ワイピングシートを介して前記ローラを前記各ノズル面に押し付ける際の前記ワイピングシート及び前記ローラの変形量が所定寸法となるようにすることで、設定することを特徴とするヘッドクリーニング方法。 - 請求項10に記載のヘッドクリーニング方法において、
前記所定寸法を、0.1〜1mmの範囲内とすることを特徴とするヘッドクリーニング方法。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の製膜装置を製膜装置として含むことを特徴とするデバイス製造装置。
- 請求項12に記載のデバイス製造装置により製造されたデバイス。
- 請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載のヘッドクリーニング方法をヘッドクリーニング工程として含むデバイス製造方法。
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