JP4054468B2 - インクジェット印刷方法及びカラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶素子の構成部材であるからーフィルタの製造に好ましく用いられている、印刷技術の一つであるインクジェット方式による印刷方法、及び、該印刷方法を用いたカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のためには、液晶ディスプレイのコストダウンが必要であり、特に、コスト的に比重の高いカラーフィルタのコストダウンに対する要求が高まっている。
【0003】
従来のカラーフィルタの製造方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などがあったが、いずれもR(赤)、G(緑)、B(青)の3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があった。そこで、最近では、1工程で3色を同時に着色できるインクジェット方式を用いたカラーフィルタの製造方法が注目されている。
【0004】
インクジェット方式は、印刷方法の一つとして開発されたものであり、所望の位置に所望量のインク液滴をノズルから着色媒体に向かって吐出させることによって、着色する方法である。インクジェット印刷方法は、上記したように、複数色の着色工程を1工程で行なうことができ、また用いるインクも少量の液滴で吐出させるため無駄がないことから、製造効率が良く、経済的でもある。
【0005】
通常、インクジェット印刷方法は、複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを用い、複数の着色領域を同時に着色する。その様子を図4に模式的に示す。図中、1はインクジェットヘッドで、N1 、N2 、N3 …の複数のノズルを有している。2は着色媒体であり、F1 、F2 、F3 …の複数の着色領域を有している。3は着色領域に着弾したインク液滴、Aは吐出開始位置である。
【0006】
図4(a)に示すように、平行して配列する着色領域に対して、ノズルの配列方向が着色領域の配列方向に交差するようにインクジェットヘッド1を配置し、図中の矢印4の方向にインクジェットヘッド1を着色媒体2に対して相対的に移動(走査)させながら、各ノズルからインク液滴を吐出し、着色領域に着弾させる。この走査により、複数の着色領域を同時に着色することができる。
【0007】
しかしながら、このような複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを用いて着色走査を行なった場合、ノズル毎に吐出される吐出インク量にはばらつきがあった。そのため、図4(a)に示すように、各ノズルを同じピッチP0 で吐出させると、吐出インク量のばらつきによって、各着色領域に付与されるインク量に差を生じ、着色濃度が異なってしまう。図4においては、吐出インク量の違いを液滴の大きさで模式的に示し、ノズルについても、吐出するインク量の違いをノズル口の大きさで模式的に示した。
【0008】
そこで、通常ヘッドシェーディングと呼ばれる補正を行なう。この補正は、図4(b)に示されるように、吐出インク量が設計値より多いノズルについては吐出ピッチを広げ、少ないノズルについては逆に狭めることによって、各着色領域に付与されるインク量を設計値に均一に補正するものである。図4においては、ノズルN4 、N7 を基準として、N1 、N3 の吐出するインク量が少なく、N2 、N5 、N6 が多い。そこで、吐出インク量に応じてそれぞれのピッチをPF1、PF2と補正することによって、全着色領域に同じ量のインクが付与され、ノズル列方向に着色むらのない均一な着色を行なうことができる。
【0009】
一方、インクジェット印刷方法においては、経時的な吐出インク量の変化による色むらを低減する方法の一つとして、マルチパス方式がある。この方式は、各着色領域に連続してインク液滴を付与するのではなく、着色工程を複数走査に分割し、各走査において所定の距離をおいてインク液滴を吐出し、走査毎に吐出位置をずらせる方式であり、例えば、本来吐出すべき位置を2つおきに飛ばしてインク液滴を吐出する走査を3回繰り返し、各走査において吐出位置を1つ分ずつずらせることによって、1回の走査で連続してインク液滴を吐出した場合と同様の着色を色むらを低減して行なうことができる。
【0010】
このマルチパス方式に前記したヘッドシェーディング補正を組み合わせた場合の着色工程の様子を図5に示す。図5は、着色工程を3回の走査に分割した場合を示す。この場合、各走査における吐出ピッチは1走査で連続してインクを吐出する場合の吐出ピッチに走査数を乗じた値(図5の場合は3)となる。
【0011】
単に、ヘッドシェーディング補正によって各ノズル毎に吐出ピッチを補正した場合、図5に示されるように、均一にインク液滴が着弾されない場合がある。即ち、N4 のノズルの吐出ピッチを基準とした場合、各走査における吐出ピッチは補正されているものの、吐出開始位置がいずれのノズルも同じであるため、いずれの着色領域においても1走査目〜2走査目及び2走査目〜3走査目のインク液滴の着弾ピッチがPF0であり、その結果、補正吐出ピッチが基準の吐出ピッチよりも大きいN2 から吐出されたインク液滴は、3走査目と1走査目の間の着弾ピッチが広く、逆に、基準の吐出ピッチよりも小さいN1 から吐出されたインク液滴は、3走査目が1走査目に重なって(着弾ピッチは0)しまう。着色領域に着弾したインクは徐々に広がり、浸透していくが、その広がり方には限界があるため、同じ量のインクを付与しても、インク液滴が偏って着弾した場合には、走査方向に着色むらを生じてしまう。
【0012】
そこで、図5のように、1つの着色領域を1つのノズルで着色するような場合には、吐出ピッチを補正するだけでなく、図6に示すように、インク液滴の着弾位置が一定値(補正吐出ピッチ/走査数)となるように、各走査において吐出開始位置をずらせることにより、各着色領域において均一にインク液滴が付与され、均一に着色される。即ち、図6においては、基準となるノズルN4 の着弾ピッチPF4に対して、補正吐出ピッチの大きいノズルN2 については着弾ピッチをPF2、補正吐出ピッチの小さいノズルN1 については着弾ピッチがPF1とそれぞれ補正吐出ピッチに対応するように、各走査における吐出開始位置を調整する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記マルチパス方式においては、さらに色むらを低減する手段として、走査毎に用いるノズルを変えるという方法がある。図7は、3回走査で着色を行なう場合の着色工程を示す模式図である。図中1a〜1cは同じインクジェットヘッドであり、1aは1回目、1bは2回目、1cは3回目の着色走査におけるインクジェットヘッドの位置を示す。即ち、走査毎に1個ずつノズルをずらせている。各ノズルの吐出ピッチは、前記したようにヘッドシェーディング補正を行なっている。よって、ノズルによって補正吐出ピッチ(PS1〜PS3)が異なっているが、各着色領域においては異なる3個のノズルを用い、さらに着色領域によってその組み合わせが異なるため、図7に示したように、インク液滴が偏って着弾し、且つ、その偏り具合が着色領域によって異なってしまう。従って、各着色領域内及び全体で大きな色むらを生じてしまう。
【0014】
本発明の目的は、このような問題点を解決し、ノズル毎の吐出インク量の差による着色むらを低減した、良好な印刷物を提供し得るインクジェット印刷方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、複数のノズルが配列されたインクジェットヘッドを媒体に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ相対的に走査させながら前記複数のノズルにより前記媒体上の各着色領域を着色するにあたり、単一の着色領域の着色に使用するノズルを1回の走査毎に変更しながら複数回の走査で前記単一の着色領域の着色を完成させるインクジェット印刷方法であって、
前記複数のノズル夫々について、単一の着色領域を着色するのに必要なインク量とノズルからの1回のインク吐出量に基づいて前記単一の着色領域を同じノズルで着色する場合の吐出ピッチを算出する工程と、
前記単一の着色領域の着色に使用するn個のノズルのうち、m個(n>m)のノズルについては他の(n−m)個のノズルからのインク吐出q回(qは2以上の整数)に対して1回の割合でインク吐出を行ない、且つ{m+(n−m)×q}個の吐出インクを繰り返し単位とし、且つ前記(n−m)個のノズルの吐出ピッチにそれぞれqを乗じた値と前記m個のノズルの吐出ピッチとの総和を前記単一の着色領域に対する走査の回数で除した値を繰り返し単位ピッチとし、前記繰り返し単位が該繰り返し単位ピッチで配列するように、前記複数回の走査で前記n個ノズルからインクを吐出して前記単一の着色領域を着色する工程と、
を有することを特徴とするインクジェット印刷方法である。
さらに本発明の第二は、複数のノズルが配列されたインクジェットヘッドを基板に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ相対的に走査させながら前記複数のノズルにより前記基板上の各着色領域を着色するにあたり、単一の着色領域の着色に使用するノズルを1回の走査毎に変更しながら複数回の走査で前記単一の着色領域の着色を完成させるカラーフィルタの製造方法であって、
前記複数のノズル夫々について、単一の着色領域を着色するのに必要なインク量とノズルからの1回のインク吐出量に基づいて前記単一の着色領域を同じノズルで着色する場合の吐出ピッチを算出する工程と、
前記単一の着色領域の着色に使用するn個のノズルのうち、m個(n>m)のノズルについては他の(n−m)個のノズルからのインク吐出q回(qは2以上の整数)に対して1回の割合でインク吐出を行ない、且つ{m+(n−m)×q}個の吐出インクを繰り返し単位とし、且つ前記(n−m)個のノズルの吐出ピッチにそれぞれqを乗じた値と前記m個のノズルの吐出ピッチとの総和を前記単一の着色領域に対する走査の回数で除した値を繰り返し単位ピッチとし、前記繰り返し単位が該繰り返し単位ピッチで配列するように、前記複数回の走査で前記n個ノズルからインクを吐出して前記単一の着色領域を着色する工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、基本的に、複数のノズルを直線状に配列してなるインクジェットヘッドを、平行配置した複数の長尺の着色領域に対して、上記ノズルの配列方向が該着色領域の配列方向に交差するように配置し、各着色領域に上記ノズルから複数個のインク液滴を直線状に吐出して、複数の着色領域を同時に同じ濃度で着色するインクジェット印刷方法であり、各着色領域に対して上記インクジェットヘッドを複数回着色走査し、走査毎に用いるノズルを変えるマルチパス方式である。
【0019】
本発明者が、当該マルチパス方式にヘッドシェーディング補正を組み合わせた場合、即ち、予め、各着色領域に必要なインク量と各ノズルが1回に吐出する吐出インク量より、各ノズルについて1着色領域を同じノズルで着色する場合の補正吐出ピッチを算出し、各着色走査において、各ノズル毎に該補正吐出ピッチでインク液滴を吐出させた場合に生じる、図7に示されるようなインク液滴の着弾位置の偏りについて、種々吐出ピッチを変えて検討したところ、各着色領域において、ノズルの補正吐出ピッチの最小公倍数が1mm以下、望ましくは0.25mm以下である場合には、上記偏りによる色むらが目視では確認できないほど細かくなるために、実質的に得られる印刷物が使用に耐えることがわかった。
【0020】
具体的には、例えば図7と同様、3回走査で着色する場合において、1回の吐出インク量が20.0plでその1走査における吐出ピッチが75μmのノズルを基準とすると、吐出インク量が21.3pl、18.7plの場合の補正吐出ピッチはそれぞれ、75μm×21.3/20.0=80μm、75μm×18.7/20.0=70μmである。
【0021】
3回の着色走査を、吐出インク量が21.3plと18.7plのノズルを用いて行なう場合(いずれか一方が2つ)には、その補正吐出ピッチ、80μmと70μmの最小公倍数が560μmで1mm以下であるから、このような場合には目視では着色むらは観察されない。
【0022】
本発明者は、さらに、上記補正吐出ピッチの最小公倍数の大小に関わらず、着色むらを低減し得る方法を鋭意検討した結果、本発明第2の方法に至った。即ち、各着色領域において用いるノズルの補正吐出ピッチの平均値を算出し、各ノズルとも該平均吐出ピッチでインク液滴を吐出させて各着色走査を行なうことにより、インク液滴の着弾位置の偏りが解消される。その一例の着色工程を図1に示す。
【0023】
図1中の符号は、先に説明した図4〜図7の符号と同じである。本発明第2の方法の各工程を示す。また、図中のAは着色開始位置であり、1走査目の吐出開始位置である。
【0024】
(1)各ノズルの吐出する吐出インク量に対応して、補正吐出ピッチを算出する。補正吐出ピッチは、基準ノズルの吐出ピッチ×(補正するノズルの吐出インク量/基準ノズルの吐出インク量)で求められるため、それぞれの吐出インク量の大小がそのまま反映された数値である。
【0025】
(2)各着色領域の着色に用いるノズルの組み合わせを決定する。
【0026】
(3)各着色領域において、用いるノズルの補正吐出ピッチを平均して平均吐出ピッチを算出する。得られた平均吐出ピッチが、その着色領域における各走査での各ノズルの吐出ピッチとなる。例えば、補正吐出ピッチが、70μm(ノズルA)、75μm(ノズルB)、80μm(ノズルC)の3個のノズルを用いる場合には、その平均吐出ピッチは75μmである。
【0027】
本発明においては、各着色領域において、吐出インク量の異なるノズルをいずれも同じ吐出ピッチで走査する。従って、吐出インク量の多いノズルの吐出回数が補正時よりも増え、吐出インク量の少ないノズルの吐出回数が減ることになるが、上記(1)に記載したように、それぞれの補正吐出ピッチは吐出インク量を反映した数値であるため、平均吐出ピッチは吐出インク量の平均値を反映しているため、各着色領域に付与されるインク量の合計は図7の場合と比べて増減はない。
【0028】
図1の工程は、各ノズルの吐出ピッチを一定とした上で、各走査の吐出開始位置をその前の走査の吐出開始位置から平均吐出ピッチの1/3だけずらしている。そのため、インク液滴3の着弾ピッチは一定となっている(P1 =P2 =P3 )。
【0029】
ここで、さらに均一な着色を図る手段として、図2に示すように、吐出インク量に対応して着弾ピッチを調整する方法がある。この方法は、上記本発明第2の方法の一例であり、走査吐出ピッチは同じであるが、隣接するインク液滴の吐出インク量に応じて着弾位置を調整する。例えば、図1の着色領域F1 においては、吐出インク量の少ないノズルN1 、N3 と吐出インク量の多いノズルN2 からインクを吐出する。そのため、ノズルN1 とN3 から吐出されたインク液滴はN2 から吐出されたインク液滴よりもインク量が少ないため、同じ着弾ピッチで着弾した場合には、細かなインク量の分布ができてしまう。そこで、隣接するインク液滴の着弾ピッチが、該隣接するインク液滴を吐出したノズルの補正吐出ピッチの和を2で除し、さらにこの値を走査数で除した値になるように、該当ノズルの吐出開始位置を調整する。例えば、先に挙げたような、補正吐出ピッチが70μm(ノズルA)、75μm(ノズルB)、80μm(ノズルC)の3個のノズルを用い、1走査目でノズルA、2走査目でノズルB、3走査目でノズルCを順次用いる場合、ノズルAとノズルBのインク液滴の着弾ピッチは(72.5/3)μm、ノズルBとノズルCは(77.5/3)μm、ノズルCとノズルAは(75.0/3)μmとなるように、2走査目では1走査目の吐出開始位置から(72.5/3)μmの位置から吐出を開始し、3走査目では2走査目の開始位置から(77.5/3)μmの位置から吐出を開始する。結果として、3走査目のインク液滴と1走査目のインク液滴との着弾ピッチは(75.0/3)μmとなる。
【0030】
図2においては、例えば着色領域F1 において着弾ピッチを調整した結果、吐出インク量の少ないインク液滴の着弾ピッチP3 が図1よりも狭くなり、その分P1 とP2 が広がる。尚、走査時の吐出ピッチは同じであるため、各着色領域に付与されるインク量の合計に変動はない。
【0031】
さらに、本発明にかかるマルチパス方式を実施する際に、例えば、インクや着色媒体の素材によっては1走査目のインク液滴と2走査目のインク液滴がつながって偏り易い場合があり、この場合には1走査目の吐出ピッチを2走査目以降よりも広げておいた方が好ましい。このように、任意の走査において吐出ピッチを広げる場合に対応するのが、本発明の第3の方法である。
【0032】
即ち、各着色領域において、用いるn個のノズルのうち、m個(n>m)のノズルについては他の(n−m)個のノズルからのインク吐出q回(qは2以上の整数)に対して1回の割合でインク吐出を行ない、{m+(n−m)×q}個のインク液滴を繰り返し単位として、上記(n−m)個のノズルの補正吐出ピッチにそれぞれqを乗じた値と上記m個のノズルの補正吐出ピッチとの総和を走査数で除した値を繰り返し単位ピッチとし、上記繰り返し単位が該繰り返し単位ピッチで配列するように、各着色走査において各ノズルからインク液滴を吐出する。その一例の着色工程を図3に示す。図中の符号は図1と同じである。
【0033】
図3は、1走査目の吐出を、2走査目及び3走査目の吐出2回につき1回とする(n=3、m=1、q=2)。従って、連続する合計5個のインク液滴が繰り返し単位となり、その繰り返し単位ピッチは、{1走査目のノズルの補正吐出ピッチ+(2走査目のノズルの補正吐出ピッチ+3走査目のノズルの補正吐出ピッチ)×2}/3で算出される。例えば、1走査目のノズルの補正吐出ピッチが75μm、2走査目のノズルが80μm、3走査目のノズルが70μmであった場合、{75μm+(80μm+70μm)×2}/3=125μmである。つまり、上記5個のインク液滴の繰り返し単位は、125μmピッチで配列される。
【0034】
尚、本発明においても、前記した図1と図2の例のように、インク液滴の着弾ピッチを一定とする方法と、インク液滴のインク量に対応して着弾ピッチを調整する方法が実施できる。図3は前者の場合(P1 =P2 =P3 =P4 =P5 )で、その実施方法としては、上記繰り返し単位ピッチをインク液滴数で除した値を着弾ピッチとすれば良い。また、後者の場合には第1の方法と同様で、隣接するインク液滴を吐出するノズルの補正吐出ピッチの和を2で除し、さらにその値を走査数で除した値を着弾ピッチとする。上記具体例で言えば、着弾ピッチを一定とする場合には、(125/5)μm=25μmが着弾ピッチとなり、2走査目及び3走査目の吐出をそれぞれ1走査目及び2走査目の吐出開始位置から25μmの位置から開始すれば良い。
【0035】
また、インク量により着弾ピッチを調整する場合には、1走査目と2走査目のインク液滴の着弾ピッチ(図3のP1 )が(75μm+80μm)/(2×3)=(77.5/3)μm、2走査目と3走査目のインク液滴の着弾ピッチ(図3のP2 、P3 、P4 )が(80μm+70μm)/(2×3)=(75/3)μm、3走査目と1走査目のインク液滴の着弾ピッチ(図3のP5 )が(70μm+75μm)/(2×3)=(72.5/3)μmである。よって、2走査目は1走査目の吐出開始位置から(77.5/3)μmの位置から吐出を開始し、3走査目は2走査目の吐出開始位置から(75/3)μmの位置から吐出を開始すれば良い。
【0036】
尚、図1〜図7においては、便宜上インクジェットヘッドのノズルが順に着色領域に対応して全ノズルを使用した形態を示したが、特に本発明がこの形態に限定されるものではない。通常は、図1〜図7のように着色領域のピッチに対応する様に、インクジェットヘッドを傾けて配置するが、それだけでは対応しきれないため、例えば1番目、6番目、11番目…のように選択的にノズルを着色領域に対応させて使用する。
【0037】
本発明のインクジェット印刷方法に用いられるインクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェットタイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能である。
【0038】
また、本発明のインクジェット印刷方法は、広く印刷或いは着色手段として適用可能であり、特に、カラー表示の液晶ディスプレイを構成するカラーフィルタの製造方法に好適である。カラーフィルタは透明基板上に着色部を有してなり、本発明のインクジェット印刷方法はこの着色部の形成工程に用いられる。具体的には、インク吸収性を有する感光性樹脂層を形成し、パターン露光してインク吸収性を有する着色領域と該着色領域を取り囲むインク吸収性を持たない非着色部を形成し、インクジェット印刷方法により、上記着色領域にインクを付与して着色(R、G、B)し、硬化して着色部を形成する。また、透明基板上にブラックマトリクス等隔壁部材を形成し、その開口部に本発明のインクジェット印刷方法により樹脂等を含有するインクを付与し、該インクを硬化して着色部を形成する方法もある。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェット印刷方法において着色むらのない良好な印刷物を提供することができる。特に、本発明第2及び第3の方法によれば、インクジェットヘッドのノズルの吐出インク量の違いを実質的に解消して着色むらの発生を大幅に低減できるため、ノズルに高精度な吐出を要求する必要がなく、また、特別な機構が不要であるため、既存の装置で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット印刷方法の第2の方法の一例の着色工程を示す模式図である。
【図2】本発明のインクジェット印刷方法の第2の方法において、吐出開始位置を吐出インク量に応じて微調整した場合の着色工程を示す模式図である。
【図3】本発明のインクジェット印刷方法の第2の方法の一例の着色工程を示す模式図である。
【図4】本発明にかかるヘッドシェーディング補正方法を示す模式図である。
【図5】従来のヘッドシェーディング補正を行なっただけの着色工程を示す模式図である。
【図6】従来のヘッドシェーディング補正を行なった上で、吐出開始位置を補正吐出ピッチに応じてずらせた場合の着色工程を示す模式図である。
【図7】従来の走査毎にノズルを変えるマルチパス方式にヘッドシェーディング補正を組み合わせた場合の着色工程を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1a〜1c インクジェットヘッド
2 着色媒体
3 インク液滴
4 走査方向
N1 〜N9 ノズル
F1 〜F7 着色領域
Claims (7)
- 複数のノズルが配列されたインクジェットヘッドを媒体に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ相対的に走査させながら前記複数のノズルにより前記媒体上の各着色領域を着色するにあたり、単一の着色領域の着色に使用するノズルを1回の走査毎に変更しながら複数回の走査で前記単一の着色領域の着色を完成させるインクジェット印刷方法であって、
前記複数のノズル夫々について、単一の着色領域を着色するのに必要なインク量とノズルからの1回のインク吐出量に基づいて前記単一の着色領域を同じノズルで着色する場合の吐出ピッチを算出する工程と、
前記単一の着色領域の着色に使用するn個のノズルのうち、m個(n>m)のノズルについては他の(n−m)個のノズルからのインク吐出q回(qは2以上の整数)に対して1回の割合でインク吐出を行ない、且つ{m+(n−m)×q}個の吐出インクを繰り返し単位とし、且つ前記(n−m)個のノズルの吐出ピッチにそれぞれqを乗じた値と前記m個のノズルの吐出ピッチとの総和を前記単一の着色領域に対する走査の回数で除した値を繰り返し単位ピッチとし、前記繰り返し単位が該繰り返し単位ピッチで配列するように、前記複数回の走査で前記n個ノズルからインクを吐出して前記単一の着色領域を着色する工程と、
を有することを特徴とするインクジェット印刷方法。 - 前記単一の着色領域内で隣接する着弾インクのピッチは一定であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記mは1であり、当該m個のノズルは前記単一の着色領域に対する1走査目で使用されるノズルであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷方法。
- 複数のノズルが配列されたインクジェットヘッドを基板に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ相対的に走査させながら前記複数のノズルにより前記基板上の各着色領域を着色するにあたり、単一の着色領域の着色に使用するノズルを1回の走査毎に変更しながら複数回の走査で前記単一の着色領域の着色を完成させるカラーフィルタの製造方法であって、
前記複数のノズル夫々について、単一の着色領域を着色するのに必要なインク量とノズルからの1回のインク吐出量に基づいて前記単一の着色領域を同じノズルで着色する場合の吐出ピッチを算出する工程と、
前記単一の着色領域の着色に使用するn個のノズルのうち、m個(n>m)のノズルについては他の(n−m)個のノズルからのインク吐出q回(qは2以上の整数)に対して1回の割合でインク吐出を行ない、且つ{m+(n−m)×q}個の吐出インクを繰り返し単位とし、且つ前記(n−m)個のノズルの吐出ピッチにそれぞれqを乗じた値と前記m個のノズルの吐出ピッチとの総和を前記単一の着色領域に対する走査の回数で除した値を繰り返し単位ピッチとし、前記繰り返し単位が該繰り返し単位ピッチで配列するように、前記複数回の走査で前記n個ノズルからインクを吐出して前記単一の着色領域を着色する工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。 - 前記基板は隔壁部材を有し、前記着色領域は、前記基板上の隔壁部材で区切られる開口部であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記単一の着色領域内で隣接する着弾インクのピッチは一定であることを特徴とする請求項4又は5に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記mは1であり、当該m個のノズルは前記単一の着色領域に対する1走査目で使用されるノズルであることを特徴とする請求項4又は5に記載のカラーフィルタの製造方法。
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