JP3762187B2 - カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタの製造装置およびカラーフィルタを備えた表示装置の製造方法 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタの製造装置およびカラーフィルタを備えた表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドにより基板に向けてインクを吐出して画素を着色することによりカラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法、その製造装置およびカラーフィルタを備えた液晶表示装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に液晶表示装置は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、パチンコ遊技台、自動車ナビゲーションシステム、小型テレビ等に搭載され、近年需要が増大している。しかしながら、液晶表示装置は価格が高く、液晶表示装置のコストダウンに対する要求は年々強まっている。
【0003】
液晶表示装置を構成するカラーフィルタは、透明基板上に赤(R)、緑(G)、青(B)などの各フィルタエレメントを配列して構成され、さらにこれらの各フィルタエレメントの周囲には表示コントラストを高めるために、光を遮蔽するブラックマトリックス(BM)が設けられている。また、フィルタエレメントを含む着色層の上には、平滑性の改善などのためにアクリル樹脂やエポキシ樹脂からなる厚さ0.5〜2μmのオーバーコート層(保護層)が形成され、さらにこの上に透明電極のITO(indium−tin−oxide)膜が形成される。
【0004】
カラーフィルタのフィルタエレメントを着色する方法としては、従来から種々の方法が知られており、これらには染色法、顔料分散法、電着法、印刷法等がある。
【0005】
染色法とは、ガラス基板上に染色用の材料である水溶性高分子材料を塗布し、この水溶性高分子材料をフォトリソグラフィ法により所定の形状にパターニングした後、これを染色液に浸漬し着色するという工程をR・G・Bの各色につき夫々1回づつ、合計3回繰り返すことにより、R・G・Bの3色のカラーフィルタ層を得る方法である。
【0006】
顔料分散法とは、基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得るという工程をR・G・Bの各色につき夫々1回づつ、合計3回繰り返すことによりR・G・Bのカラーフィルタ層を形成する方法である。
【0007】
電着法とは、基板上に透明電極をパターニングし、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第1の色(R)を電着し、同様の工程により第2の色(G)、第3の色(B)も電着することで、R、G、Bのカラーフィルタ層を形成し、最後に焼成する方法である。
【0008】
印刷法とは、顔料が分散された熱硬化型の樹脂をオフセット印刷法によりR・G・Bの各色につき夫々1回づつ、合計3回基板に印刷し、その後樹脂を硬化することで、R、G、Bのカラーフィルタ層を形成する方法である。
【0009】
これらの方法に共通している点は、R、G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になることである。また、工程が多いほど歩留りが低下するという問題を有している。
【0010】
これらの欠点を補うべく、特開昭59−75205号公報、特開昭63−235901号公報あるいは特開平1−217302号公報等には、インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造する方法が開示されている。これらの方法は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三色の色素を含有するインクをインクジェット方式で光透過性の基板上に噴射し、各インクを乾燥させて着色画像部を形成するものである。こうしたインクジェット方式では、R、G、Bの各フィルタエレメントの形成を一度に行うことが可能で大幅な製造工程の簡略化と、大幅なコストダウン効果を得ることが出来る。
【0011】
このようなインクジェット方式によりカラーフィルタの製造を行う場合、各フィルタエレメントを着色するためのR・G・Bの3種類のヘッドを用い、図39に示されるように、ヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)のフィルタエレメントの色が同一色となるように着色し、Y方向に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色することによりカラーフィルタを製造する方法がある。これは特開平9−138306号公報に開示されている。また、カラーフィルタを製造する別の方法として、図40に示されるように、ヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色することによりカラーフィルタを製造する方法がある。これは特開平9−101412号公報に開示されている。
【0012】
そして、各フィルタエレメントをRGBに着色するに際しては、特開平9―101410号公報に開示されているように、カラーフィルタの各フィルタエレメントを着色する直前において、カラーフィルタ基板上に予備吐出を行うことがある(図41)。図41に示されるように、カラーフィルタとして機能する着色領域(フィルタエレメント)と同一基板上であって前記着色領域外の額縁部に対して、予備吐出は行われる。このような予備吐出を行うことで、インクジェットヘッドの吐出状態を安定化させることができるので、吐出不良によって生じる各フィルタエレメントの着色不良(混色・白抜け・濃度ムラ等)を低減することが可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
通常、インクジェットヘッドでは、インク吐出を休止してから再開するまでの時間が長いと、メニスカスを形成する吐出口付近のインクの揮発成分(水分・有機溶剤等)が蒸発し、吐出口付近のインクが増粘する。すると、インクの吐出速度が遅くなる、吐出量が少なくなる、着弾精度が低下する等、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が低下してしまう。吐出安定性が低下すると、着色不良が発生する確率が高くなってしまうので好ましくない。そこで、上述したように、従来ではカラーフィルタ基板上に予備吐出を行っているのであるが、フィルタエレメントの着色前に予備吐出を行うだけでは、▲1▼混色をより低減させて歩留まりを更に向上させるという点・▲2▼カラーフィルタの額縁部分の幅を狭くして有効表示領域を広げるという点において、まだ改善すべき点があるということを本願発明者は見出した。これについて以下で詳述する。
【0014】
例えば、上述のようにインクジェットヘッドとカラーフィルタ基板とを相対走査させながら各フィルタエレメントを着色していく場合、図42に示すようにカラーフィルタ基板のフィルタエレメントが形成されている領域の外側部分、即ち額縁部分(予備吐出領域)からインクの吐出を開始し、一定量のインクを一定の間隔毎に吐出して各フィルタエレメントを着色していくことが考えられる。その際、前回インクを吐出してから予備吐出を行うまでの時間が長い場合、インク吐出が不安定になっているため、予備吐出の開始位置においてインク着弾位置にズレが生じる場合がある。図42では、一番端に吐出したインクI1・2番目に吐出したインクI2・3番目に吐出したインクI3の着弾位置がズレている場合を示している。すると、図43のK部のように、インクI1・インクI2・インクI3が混じり合い、その部分のインクが大きく広がってK部にて混色が生じる場合がある。このように一旦混色が生ずると、隣の異なる色のインク同士が表面張力により引っ張られるため、その混色部分はK部のみにとどまらず、図43にハッチングで示すように着色領域(フィルタエレメント)に向かって長く広がり、フィルタエレメント部分で混色を発生させる。そこで、混色部分がフィルタエレメントにかからない様にするために、インクの吐出開始位置をフィルタエレメントから大きく離すことが考えられるが、そうすると今度はカラーフィルタの額縁部分の幅が大きくなるという問題がある。カラーフィルタは年々その有効表示領域を広げるために、額縁部分を狭めようとする傾向にあり、上記のような問題を解決することは重要な課題である。このように、予備吐出時にインクが増粘していると上記ような現象が発生する場合があるので、これを改善することが望まれる。尚、基板が位置している場所とは別の場所に設けられているキャップ等の回復手段による回復動作、例えばノズルからインクを吸引する吸引動作を行うことで増粘したインクを正常な状態のインクに置換し、これによりメニスカスを再形成することで上記したインクの増粘に間する問題を解決することも可能である。しかしながら、回復手段による回復動作は、まず第1に回復動作に伴うインク消費量が多く、コストアップを生じさせてしまい、第2にカラーフィルタを着色する度(1回の走査毎、1枚のカラーフィルタの着色毎)に回復動作を行うこととすると、その度毎に回復手段までヘッドを移動させければならず、製造時間が長くなり、ひいてはスループットの低下を招くことになる。従って、回復手段を用いる回数は極力少なくし、カラーフィルタの着色中に生じるインクの増粘に関しては回復手段を用いずに行うことが望まれる。
【0015】
従って、本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェットヘッドからのインク吐出を安定化させ、混色の発生をより低減させることが可能なカラーフィルタの製造方法及び製造装置を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、カラーフィルタの額縁部分の幅を狭くすることができるカラーフィルタの製造方法及び製造装置を提供することである。
【0017】
また、本発明の他の目的は、額縁部分の幅を狭くしたカラーフィルタ及びそれを用いた表示装置及び表示装置を備えた装置を提供することである。
【0018】
また、本発明の他の目的は、インクジェットヘッドからのインク吐出を安定化させる装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することによりカラーフィルタを製造する方法であって、前記基板上の画素を着色する前に、前記画素の外側に位置する前記基板上の領域に対して前記インクジェットヘッドからインクを予備吐出する工程と、前記基板上の領域に対して予備吐出を行う前に、前記吐出口のインクのメニスカスを振動させる工程とを備え、前記メニスカス振動工程では、前記インクジェットヘッドのエネルギー付与手段に対し、前記吐出口からインクが吐出されない程度のエネルギーを与えることによりメニスカスを振動させることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明は、複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することによりカラーフィルタを製造する装置であって、前記基板上の画素を着色する前に、前記画素の外側に位置する前記基板上の領域に対して前記インクジェットヘッドからインクを吐出する予備吐出手段と、前記基板上の領域に対して前記予備吐出手段による予備吐出が行われる前に、前記吐出口のインクのメニスカスを振動させるメニスカス振動手段とを備え、前記メニスカス振動手段は、前記インクジェットヘッドのエネルギー付与手段に対し、前記吐出口からインクが吐出されない程度のエネルギーを与えるように制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することにより製造されたカラーフィルタを備えた表示装置を製造する方法であって、請求項1乃至12のいずれかに記載の製造方法により製造されたカラーフィルタを用意する工程と、前記用意されたカラーフィルタと、当該カラーフィルタに対向する対向基板との間に液晶化合物を封入する工程と、
を具備することを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明に於いて定義するカラーフィルタとは、カラーフィルタとして機能する着色領域(フィルタエレメント)を含み、入射光に対し、特性を変えた出力光を得ることができるものである。
【0026】
(第1の実施形態)
〔カラーフィルタ製造装置の概略構成〕
図1はインクジェット法によるカラーフィルタの製造装置の構成を示す概略図であり、図では着色工程の作業中の状態を示している。
【0027】
図1において、51は装置架台、52は架台51上に配置されたXYθステージ、53はXYθ52上にセットされたカラーフィルタ基板、54はカラーフィルタ基板53上に形成されるカラーフィルタ、55はカラーフィルタ54を着色するためのR(赤)・G(緑)・B(青)の各色のインクジェットヘッド120(120(R)・120(G)・120(B))とそれらを支持するヘッドマウントとからなるヘッドユニット、56はラインセンサを組み込んだカメラであり、各ヘッドからのインクの着弾位置を検出することができる。また、基板上に吐出されたインクによる描画パターンもしくは着色された各フィルタエレメントを読み取ることにより、各ヘッドに不吐出ノズルが存在するか否かを検出することができる。57はカメラ56により取り込んだデータを処理し、不吐出ノズルの有無や着弾位置等を検査する画像処理装置、58はカラーフィルタ製造装置90の全体動作を制御するコントローラ、59はコントローラ58の表示部及び入力部(操作部)を有するティーチングペンダント(パソコン)、60はコントローラの操作部であるキーボード、を示している。尚、ヘッドユニット55は、カラーフィルタ着色装置90の支持部90aに対して着脱自在に、かつ水平面内で回動角度を調節可能に装着されている。また、XYθステージ52の延長上に、各色のインクジェットヘッド120(R)・120(G)・120(B)のインク吐出ノズルからインクを吸引してノズルの吐出不良の回復を図るための回復ユニット(不図示)を配置してもよい。尚、この回復ユニットには、ノズルをキャッピングするキャップ部がある。
【0028】
図2は、本実施形態におけるカラーフィルタ製造装置90の制御コントローラの構成図である。パソコン59は制御コントローラ58の入出力手段として機能するものであり、表示部62は製造の進行状況やヘッド異常の有無等の異常に関する情報を表示するものである。また、操作部60はカラーフィルタ製造装置90の動作等を指示するものである。
【0029】
コントローラ58はカラーフィルタ製造装置90の動作を制御するものであり、インターフェース65はパソコン59とコントローラ58との間でデータの受け渡しを行うものである。66はカラーフィルタ製造装置90の制御を行うCPU、67はCPUを動作させるための制御プログラムを記憶しているROM、68はCPUのワークエリアとして使用され、各種データを記憶すると共に、異常に関する情報やメニスカスの振動を行うのに必要な情報(メニスカス振動を実行するタイミング・時間の長さ、ヘッドの駆動電圧、ヘッドに印加するパルスの印加時間(パルス幅)・パルスの印加間隔等)を記憶するためのRAM、70はカラーフィルタの各フィルタエレメント内へのインクの吐出を制御するための吐出条件制御部、71はカラーフィルタ製造装置90のXYθステージ52の動作を制御するためのステージ制御部、90はコントローラに接続され、その指示に従って動作するカラーフィルタ製造装置を示している。
【0030】
〔インクジェットヘッドの概略構成〕
次に、図3は、上記カラーフィルタ製造装置に使用されるインクジェットヘッド120の構造を示す図である。図1の装置においては、インクジェットヘッドはR・G・Bの3色に対応して3個設けられているが、これらの3個のヘッドは夫々同一の構造であるので、図3ではこれら3個のヘッドのうち、1つの構造を代表して示している。尚、図3ではエネルギー付与手段として、ヒーターを用いている。
【0031】
図3において、インクジェットヘッド120はインクを加熱するための複数のヒータ102が形成された基板であるヒータボード104と、このヒータボード104の上に被せられる天板106とから概略構成されている。天板106には複数の吐出口108が形成されており、吐出口108の後方にはこの吐出口108に連通するトンネル上の液路110が形成されている。各液路110は、隔壁112により隣の液路と隔絶されている。各液路110はその後方において1つのインク液室114に共通に接続されており、インク液室114にはインク供給口116を介してインク供給され、このインクはインク液室114から夫々の液路110に供給される。
【0032】
ヒータボード104と天板106とは、各液路110に対応した位置に各ヒータ102が来る様に位置合わせされて図3の様な状態に組み立てられる。図3においては2つのヒータ102しか示されていないがヒータ102は夫々の液路110に対応して1つずつ配置されている。図3の様に組み立てられた状態でヒータ102に所定の駆動パルス(駆動信号)を供給すると、ヒータ102上のインクが沸騰して気泡を形成する。この気泡の体積膨張によりインクが吐出口108から押し出されてインク吐出が行われる。従って、ヒータ102に加える駆動パルスを制御することにより気泡の大きさを調節し、吐出口から吐出されるインクの体積を自在にコントロールすることができる。尚、制御するパラメータとしては、ヒータに対して与える電力等がある。
【0033】
〔インク吐出量の制御方法〕
図4は、この様にヒータに加える電力を変化させてインクの吐出量を制御する方法を説明するための図である。
【0034】
この実施形態では、インクの吐出量を調整するために、ヒータ102に2種類の定電圧パルスを印加する様になされている。2つのパルスとは、図4に示す様にプレヒートパルスとメインヒートパルス(以下、単にヒートパルスという)である。プレヒートパルスは、実際にインクを吐出するに先立ってインクを所定温度に暖めるためのパルスであり、インクを吐出するために必要な最低のパルス幅t5よりも短い値に設定されている。従って、このプレヒートパルスによりインクが吐出されることはない。プレヒートパルスをヒータ102に加えるのは、インクの初期温度を、一定の温度にまで上昇させておくことにより、後に一定のヒートパルスを印加したときのインク吐出量を常に一定にするためである。また、逆にプレヒートパルスの長さを調節することにより、予めインクの温度を調節しておき、同じヒートパルスが印加された場合でも、インクの吐出量を異ならせることも可能である。また、ヒートパルスの印加に先立ってインクを暖めておくことにより、ヒートパルスを印加した時のインク吐出の時間的な立ち上がりを早めて応答性を良くする働きも持っている。
【0035】
一方、ヒートパルスは、実際にインクを吐出させるためのパルスであり、上記のインクを吐出するために必要な最低のパルス幅t5よりも長く設定されている。ヒータ102が発生するエネルギーは、ヒートパルスの幅(印加時間)に比例するものであるため、このヒートパルスの幅を調節することにより、ヒータ102の特性のバラツキを調節することが可能である。
【0036】
なお、プレヒートパルスとヒートパルスとの間隔を調整して、プレヒートパルスによる熱の拡散状態を制御することによってもインクの吐出量を調節することが可能となる。また、ヒーターに対して与える(印加する)電圧パスルの電圧値を変化させる、すなわちヘッドの駆動電圧を変化させることでインクの吐出量を調節することも可能である。
【0037】
上記の説明から分かる様に、インクの吐出量は、プレヒートパルスとヒートパルスの印加時間(パルス幅)を調節することによって制御することも可能であるし、またプレヒートパルスとヒートパルスの印加間隔を調節することによって制御することも可能であるし、ヘッドの駆動電圧を調整することによって制御することも可能である。従って、プレヒートパルス及びヒートパルスの印加時間、プレヒートパルスとヒートパルスの印加間隔、ヘッドの駆動電圧等を必要に応じて調整することにより、インクの吐出量やインクの吐出の印加パルスに対する応答性を自在に調節することが可能となる。特に、カラーフィルタを着色する場合、色ムラの発生を抑制する意味で、各フィルタエレメント間や1つのフィルタエレメント内での着色濃度(色濃度)を略均一することが望ましく、そのために各ノズルからのインク吐出量を同じにするように制御する場合がある。ノズル毎のインク吐出量が同じであれば、各フィルタエレメントに打ち込まれるインク量も同じになるので、フィルタエレメント間での着色濃度を略同一にできる。また、1つのフィルタエレメント内でのムラも低減できる。従って、各ノズル毎のインク吐出量を同一に調節したいときは、上記したインク吐出量の制御を行えばよい。
【0038】
次に、上記で示したインク吐出量の調整についてより具体的に説明する。
【0039】
例えば、図4に示す様に、各吐出口(ノズル)108a,108b,108cに対して同じエネルギーを与えたときに、各ノズルからのインク吐出量が異なる場合について説明する。詳しくは、一定温度で、一定エネルギーを印加したときに、ノズル108aのインク吐出量が36pl(ピコリットル)、ノズル108bのインク吐出量が40pl、ノズル108cのインク吐出量が40plであり、ノズル108aに対応するヒータ102a及びノズル108bに対応するヒータ102bの抵抗値が200Ω、ノズル108cに対応するヒータ102cの抵抗値が210Ωであるものとする。そして、それぞれのノズル108a,108b,108cの吐出量を全て40plに合わせたいものとする。
【0040】
それぞれのノズル108a,108b,108cの吐出量を同じ量に調整するためには、プレヒートパルスとヒートパルスの幅を調整すれば良いのであるが、このプレヒートパルスとヒートパルスの幅の組み合わせには種々のものが考えられる。ここでは、ヒートパルスにより発生するエネルギーの量を3つのノズルで同じになる様に設定し、吐出量の調整は、プレヒートパルスの幅を調整することにより行うものとする。
【0041】
まず、ノズル108aのヒータ102aとノズル108bのヒータ102bの抵抗値は同じ200Ωであるので、ヒートパルスにより発生するエネルギーを同じにするには、ヒータ102a,102bに同じ幅の電圧パルスを印加すればよい。ここでは、電圧パルスの幅を前述したt5 よりも長いt3 に設定する。一方、ノズル108aと108bとは、同じエネルギーを加えた時の吐出量が、36plと40plと異なるため、ノズル108aの吐出量を多くするために、ヒータ102aには、ヒータ102bのプレヒートパルスの幅t1 よりも長いt2 のプレヒートパルスを加える。このようにすれば、ノズル108aと108bの吐出量を同じ40plにそろえることができる。
【0042】
一方、ノズル108cのヒータ102cの抵抗値は、他の2つのヒータ102a,102bの抵抗値よりも高い210Ωであるため、ヒータ102cから、他の2つのヒータと同じエネルギーを発生させるためには、ヒートパルスの幅を長くする必要がある。そのため、ここでは、ヒートパルスの幅を前述したt3 よりも長いt4 に設定している。また、プレヒートパルスの幅に関しては、一定エネルギーを加えた時のノズル108bと108cの吐出量が同じであるため、ヒータ102bと同じにすればよく、t1 の幅のプレヒートパルスを加える。
【0043】
以上の様にして、抵抗値と一定エネルギーを加えた時のインク吐出量の異なる3つのノズル108a,108b,108cから同じ量のインクを吐出させることができる。また、同じ手法により、インクの吐出量を意識的に異ならせることも可能である。なお、プレヒートパルスを利用するのは、ノズルごとの吐出のバラつきを低減するためである。
【0044】
〔カラーフィルタの製造工程―▲1▼受容層タイプ〕
図5は、本実施形態において適用可能なカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図である。
【0045】
まず、光透過性の基板1上に、遮光部として機能するブラックマトリクス2を形成する。これにより、基板1上に光透過部7と遮光部2とが形成される(工程(a))。基板1としては、一般にガラスが用いられるが、カラーフィルタとしての光透過性を損なわず機械的強度などカラーフィルタ用途に応じた特性を有するものであればプラスチック等の樹脂材料でも使用可能である。尚、ブラックマトリクス2の形成は、スパッタリングもしくは真空蒸着などの薄膜生成法を用い、基板1上にクロム等の遮光性の高い金属薄膜を形成した後、フォトリソ法などによりパターン形成することにより行われる。また、感光性の黒色樹脂をパターン形成したブラックマトリクス2も使用可能である。
【0046】
次に、基板1上にインク受容層3を形成する(工程(b))。インク受容層3としては、(i)それ自身はインク受容性に乏しいが、ある条件下(例えば光照射、または光照射と加熱)で親インク化されると共に、ある条件下で硬化する特性を有するポジ型の樹脂材料、もしくは(ii)それ自身はインク受容性を有するが、ある条件下(例えば光照射、または光照射と加熱)でインク受容性が低下すると共に、ある条件下で硬化する特性を有するネガ型の樹脂材料を用いることができる。このインク受容層の形成は、スピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコートなどの塗布方法を用いて行われる。また、以下では、光照射により硬化し、その硬化部分のインク受容性が低下するネガ型の感光性樹脂材料を用いる場合について説明する。
【0047】
次に、フォトマスク4を用いてインク受容層3をパターン露光し、その一部を硬化させ、インク受容性の低下した撥インク部5を形成する。これによりインク受容性を有する部分6(未露光部)とインク受容性を有さない部分5(發インク部)とが形成される(工程(c))。図に示した形態のフォトマスク4は、インク受容層3としてネガ型の感光性樹脂材料を用いる場合に使用するものである。これに対し、インク受容層3としてポジ型の感光性樹脂材料を用いる場合は、図に示したフォトマスク4とは逆のフォトマスク、すなわち撥インク部5をマスクして光透過部7に対応する部位を感光させるフォトマスクを用いる。尚、図示した様に撥インク部5はブラックマトリクス2と重なる位置に形成される。また、ブラックマトリクス2に接する部分での着色剤の色抜けを防止するために、撥インク部5の幅はブラックマトリクスの幅より狭くなるように形成することが好ましい。
【0048】
その後、インクジェットヘッド120よりR(赤),G(緑),B(青)の各色のインク9をインク受容層3の未露光部6に吐出してカラーフィルタの着色を行う(工程(d)・(e))。更に、必要に応じてインクの乾燥を行う。尚、R、G、Bの各色に着色される部分のことをフィルタエレメントといい、このフィルタエレメントはカラーフィルタとして機能する部分である。また、インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット方式、あるいは圧電素子を用いたピエゾ方式等が挙げられるが、本発明ではいずれの方式も適用可能である。また使用するインクとしては、インクジェット用として用いることができるものであれば特に限られるものではなく、インクの着色材としては、各種染料あるいは顔料の中から、R,G,Bの各画素に要求される透過スペクトルに適合したものが適宜選択される。
【0049】
次いで、光照射または光照射と加熱処理を行って、その着色されたインク受容層3を硬化させ、必要に応じてその表面に保護層8を形成する(工程(f))。インク受容層3を硬化させるには、發インク部形成処理(工程(c))における条件とは異なる条件、例えば光照射における露光量を大きくするか、加熱条件を変えるか、もしくは光照射と加熱処理を併用する等の方法が採用できる。また保護層8としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの第2の樹脂組成物を用いて形成するか、あるいは無機材料を用いて蒸着またはスパッタによって形成することができ、カラーフィルタとした場合の透明性を有し、その後のITO形成プロセス、配向膜形成プロセス等に十分耐えうるものであれば使用可能である。
【0050】
尚、上記の図5の例では、ガラス基板上にインクを受容するためのインク受容層3を設けた場合を説明したが本発明はこれには限定されず、直接ガラス基板1上にインクを付与して各フィルタエレメントを形成してもよい(図6)。
【0051】
〔カラーフィルタの製造工程―▲2▼受容層レスタイプ〕
図6は、本実施形態に適用可能であって、上記カラーフィルタの製造方法とは異なる製造方法を示したものである。尚、図6において、図5と同符号のものは、図5の部材と同部材のものをさす。
【0052】
図6(a)は光透過性の基板1上に撥インク性を有する隔壁12を形成し、インクジェットヘッド120により硬化性インク14を付与する工程を示したものである。本実施形態において、隔壁12は硬化性インク14を受ける凹部を形成し、且つ隣接するカラーフィルタ間で異なる色のインクの混色を防止するために設けられる部材である。隔壁12は例えば感光性レジストをパターニングして容易に形成することができるが、該隔壁をブラックマトリクスやブラックストライプで兼用することもでき、その場合には黒色レジストをパターニングすれば良い。
【0053】
本実施形態において、隔壁12は光透過性基板1上に直接形成しても良いが、必要に応じて他の機能を有する層を形成した基板、例えばTFTアレイを作製したアクティブマトリクス基板上に形成しても良い。いずれの場合にも、硬化性インクの拡散性を高めるために、カラーフィルタ形成面表面に何らかの表面処理を施しても良い。
【0054】
本実施形態に用いられる硬化性インク14は、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によって硬化するインクである。硬化性インク14としては、液状インク、ソリッドインク共に使用可能であり、また、顔料系、染料系のいずれも用いることができる。インク14中には、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によって硬化する樹脂成分、色材、有機溶剤及び水を含有する。
【0055】
硬化成分としては、市販の樹脂や硬化剤を用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂等が好適に用いられる。
【0056】
次に、各フィルタエレメントに硬化性インク14を付与した後(図6(b))、必要に応じて乾燥処理を行い、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によってインクを硬化し、カラーフィルタを形成する(図6(c))。その後、必要に応じて保護膜8を形成する(図6(d))。
【0057】
〔カラーフィルタを組み込んだカラー液晶表示装置〕
図7乃至図9は、カラーフィルタを組み込んだカラー液晶表示装置30の表示用スクリーンの基本構成を示す断面図である。
【0058】
11は偏光板、1はガラスなどの透明基板、2はブラックマトリックス、3は樹脂組成物層(インク受容層)、8は保護層、16は共通電極、17は配向膜、18は液晶化合物、19は配向膜、20は画素電極、21はガラス基板、22は偏光板、23はバックライト光である。54はカラーフィルタ、24は対向基板である。
【0059】
本実施形態のカラー液晶表示装置30は、カラーフィルタ54と対向基板24をあわせ込み、液晶化合物18を封入することにより形成される。液晶表示装置における一方の基板21の内側には、TFT(不図示)と透明な画素電極20がマトリクス状に形成される。また、もう一方の基板1の内側には画素電極に対向する位置にR,G,Bの色材料が配列する様なカラーフィルタ54が設置され、その上に透明な対向電極16が一面に形成される。ブラックマトリクス2は通常カラーフィルタ基板1側に形成されるが(図7参照)、ブラックマトリクスオンアレイタイプの液晶パネルに於いては対向するTFT基板側に形成される(図8参照)。さらに、両基板の面内には配光膜19が形成されており、これをラビング処理することにより液晶分子を一定方向に配列させることができる。また、夫々のガラス基板の外側には偏光板11、22が接着されており、液晶化合物18はこれらのガラス基板の隙間(2〜5μm程度)に充填される。また、バックライトとしては蛍光灯と散乱板の組み合わせが一般的に用いられており、液晶化合物をバックライト光の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行う。
【0060】
また、カラーフィルタを構成する着色部(フィルタエレメント)は、ガラス基板上に形成されることに限定されるものでは無く、図9に示す様に画素電極20上に着色部(フィルタエレメント)を形成しカラーフィルタとして機能させる様にしても良い。
【0061】
このような液晶表示装置を情報処理装置に適用した場合の例を図10乃至図13を参照して説明する。
【0062】
図10は、上記の液晶表示装置をワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、複写装置としての機能を有する情報処理装置に適用した場合の概略構成を示すブロック図である。
【0063】
図中、1801は装置全体の制御を行う制御部で、マイクロプロセッサ等のCPUや各種I/Oポートを備え、各部に制御信号やデータ信号等を出力したり、各部よりの制御信号やデータ信号を入力して制御を行っている。1802はディスプレイで、この表示画面には各種メニューや文書情報及びイメージリーダ1807で読み取ったイメージデータ等が表示される。1803はディスプレイ1802上に設けられた透明な感圧式のタッチパネルで、指等によりその表面を押圧することにより、ディスプレイ1802上での項目入力や座標位置入力等を行うことができる。
【0064】
1804はFM(Frequency Modulation)音源部で、音楽エディタ等で作成された音楽情報をメモリ1810や外部記憶装置1812にデジタルデータとして記憶しておき、それらメモリ等から読み出してFM変調を行うものである。FM音源部1804からの電気信号はスピーカ1805により可聴音に変換される。プリンタ1806はワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、複写装置の出力端末として用いられる。
【0065】
1807は原稿データを光電的に読取って入力するイメージリーダで、原稿の搬送経路中に設けられており、ファクシミリ原稿や複写原稿の他各種原稿の読取りを行う。
【0066】
1808はイメージリーダ1807で読取った原稿データのファクシミリ送信や、送られてきたファクシミリ信号を受信して復号するファクシミリ(FAX)の送受信部であり、外部とのインターフェース機能を有する。1809は通常の電話機能や留守番電話機能等の各種電話機能を有する電話機である。
【0067】
1810はシステムプログラムやマネージャープログラム及びその他のアプリケーションプログラム等や文字フォント及び辞書等を記憶するROMや、外部記憶装置1812からロードされたアプリケーションプログラムや文書情報、さらにはビデオRAM等を含むメモリである。1811は文書情報や各種コマンド等を入力するキーボードである。1812はフロッピーディスクやハードディスク等を記憶媒体とする外部記憶装置で、この外部記憶装置1812には、文書情報や音楽あるいは音声情報、ユーザのアプリケーションプログラム等が格納される。
【0068】
図11は、図10に示す情報処理装置の模式的概観図である。
【0069】
図中、1901は上記の液晶表示装置を利用したフラットパネルディスプレイで、各種メニューや図形情報及び文書情報等を表示する。このディスプレイ1901上では、タッチパネル1803の表面を指等で押圧することにより座標入力や項目指定入力を行うことができる。1902は装置が電話機として機能するときに使用されているハンドセットである。キーボード1903は本体と着脱可能にコードを介して接続されており、各種文書機能や各種データ入力を行うことができる。また、このキーボード1903には各種機能キー1904等が設けられている。1905は外部記憶装置1812の1つであるフロッピーディスクの挿入口である。
【0070】
1906はイメージリーダ1807で読取られる原稿を載置する用紙載置部で、読取られた原稿は装置の後部より排出される。またファクシミリ受信等においては、インクジェットプリンタ1907によりプリントされる。
【0071】
上記情報処理装置をパーソナルコンピュータやワードプロセッサとして機能する場合、キーボード1903から入力された各種情報が制御部1801により所定のプログラムに従って処理され、プリンタ1907により画像として出力される。
【0072】
またファクシミリ装置の受信機として機能する場合、通信回線を介してFAX送受信部1808から入力したファクシミリ情報が制御部1801により所定のプログラムに従って受信処理され、プリンタ1907により受信画像として出力される。
【0073】
また、複写装置として機能する場合、イメージリーダ1807によって原稿を読取り、読取られた原稿データが制御部1801からプリンタ1907に送られ、複写画像として出力される。なお、ファクシミリ装置の受信機として機能する場合、イメージリーダ1807によって読取られた原稿データは、制御部1801により所定のプログラムに従って送信処理された後、FAX送受信部1808を介して通信回線に送信される。
【0074】
なお、上述した情報処理装置は図12に示すようにインクジェットプリンタ1907を本体に内蔵した一体型としてもよく、この場合は、よりポータブル性を高めることが可能となる。同図において、図11と同一機能を有する部分には、対応する符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
〔カラーフィルタの着色工程の概要〕
次に、カラーフィルタの着色工程の概要を図13〜図15を参照しながら説明する。尚、本実施形態では、メニスカス振動工程、予備吐出工程、着色工程を連続して行うことを特徴としている。
【0076】
まず、図13のステップS1において、カラーフィルタ製造装置90のXYθステージ52上にカラーフィルタ基板53をセットし、位置決めを行う。本実施形態では、図14(A)・(B)に示すようなカラーフィルタ基板を用いる。すなわち、1枚のカラーフィルタ基板から多数枚のカラーフィルタを取ることが可能な基板である。この図14(A)・(B)では、基板の大きさが360mm×460mmの場合を示しており、10インチサイズのカラーフィルタであれば、その中に4枚のカラーフィルタ54a、54b,54c,54dを形成することが可能である。尚、本実施形態では、予備吐出領域402とカラーフィルタとして機能するフィルタエレメント(画素)を含む領域404(有効画素部)とを有する基板を用いることとする。
【0077】
次に、ステップS2において、カラーフィルタ基板53とインクジェットヘッド120とを相対的に移動させて、基板53の予備吐出領域402(402a)の真上にインクジェットヘッド120を位置させる。この相対移動はXYθステージ52を移動させることにより実行しても良いし、インクジェットヘッドを移動させることにより実行しても良い。次に、ステップS3において、インクジェットヘッドからのインク吐出を安定化させるために、ノズルからインクが吐出されない(ノズルからインクが分離しない)程度のエネルギーをインクジェットヘッドに与え、吐出口のメニスカスを振動させる(メニスカス振動工程)。すなわち、インクを吐出するには不十分な量のエネルギーを与えるのである。
【0078】
ステップS3にてメニスカス振動を行った後、ステップS4において、インクジェットヘッド120から予備吐出領域402(402a)にインクを吐出する(予備吐出工程)。この予備吐出動作では、予備吐出領域402に対して、例えば図15中のF部分で示されるようなパターンが描画される。尚、予備吐出のパターンは、図15に示されるようなパターンには限らないことは言うまでもない。また、カラーフィルタとして機能する着色領域と、前記着色領域の外側にある予備吐出領域との位置関係は、図14(A)のように連続していても良いし、図14(B)のように連続していなくても良い。いずれにせよ、本実施形態ではフィルタエレメントを着色する直前に、カラーフィルタ基板上であってカラーフィルタとして機能しない領域(予備吐出領域402)に対して予備吐出を行っている。これは、予備吐出を行ってからフィルタエレメントを着色するまでの時間を短くするためである。予備吐出を行ってからフィルタエレメントを着色するまでの時間を短くすることで、インクの吐出を休止して吐出を再開するまでの時間が長くなることに起因して生じるインク吐出の不安定性を低減することができるとともに、フィルタエレメントの着色の際には常にインクの吐出状態を安定化させることができる。また、本実施形態のように、メニスカス振動を行った後に予備吐出動作を行うと、どちらか一方のみを行うよりも、一層インクの吐出状態を安定化させることができる。尚、この予備吐出領域は、カラーフィルタ基板がデスプレイに組み込まれたとき、ハウジングの縁の部分に隠れてしまう部分である。つまり、この予備吐出領域は額縁部分であるので、この額縁部分にインクを吐出したとしても、カラーフィルタの品質を低下させることはない。
【0079】
ステップS4にて予備吐出動作を行った後、ステップS5において、カラーフィルタ基板53とインクジェットヘッド120とを相対的に移動させながら、インクジェットヘッドから基板に対してインクを吐出して複数のフィルタエレメントを着色する。このステップS5では、基板とヘッドとの相対移動を1回行う。すなわち、図14における402aの位置からY2の位置までヘッドを基板に対して相対走査させるのである。その後、ステップS6へ進む。ステップS6において、予め設定された所定の回数だけ、ヘッドと基板とを相対移動させたかどうかを判定する。所定回数移動させたと判定されれば、ステップS7へ進み、そのカラーフィルタ基板の着色は終了する。一方、ステップS6において所定回数移動させていなければ、ステップS2へ戻り、ステップS2以降の工程を繰り返す。すなわち、今度はヘッドがY2に位置しているので、Y1の方向に向けてヘッドと基板とを相対走査させて、ヘッドが予備吐出領域402bの真上にくるようにし、そこでメニスカス振動を行った後、予備吐出領域402bに対して予備吐出を行い、その後、フィルタエレメントを着色していくのである。上記から分かるように、1回目・3回目…等の奇数回目の相対走査では、402aもしくは402cの予備吐出領域に対して予備吐出を実行するのに対し、2回目・4目…等の偶数回目の相対走査では、402bもしくは402dの予備吐出領域に対して予備吐出を実行する。このように1回走査する度に予備吐出を行っているので、走査と走査の間の休止によって生じる吐出安定性の低下を招くことがない。また、奇数回目の相対走査では基板に対してヘッドをY1からY2の方向へ移動するのに対し、偶数回目の相対走査では基板に対してヘッドをY2からY1の方向へ移動する。
【0080】
尚、上記ステップS3におけるメニスカス振動および上記ステップS4における予備吐出を実行するタイミングや位置は、上述したタイミングや位置に限られるものでない。上記ステップS3では、ヘッドが予備吐出領域の真上に位置したときにメニスカス振動を行うこととしているが、ヘッドが着色領域外(額縁部分)を移動している間にメニスカス振動を行ってもよい。ヘッドの移動中にメニスカス振動を行う場合、ヘッドを停止してメニスカス振動を行うよりも時間の浪費を伴わない。その一方で、ヘッドを停止してメニスカス振動を行う方が、ヘッドの移動による振動がないため、メニスカス振動を安定して行うことができる。
【0081】
また、上記ステップS4では、図14(A)・(B)に示すような位置に対して予備吐出動作を行っているが、本実施形態では図16(a)〜(d)に示すような位置に対して予備吐出を行ってもよい。すなわち、図16(a)・(b)に示すように複数のフィルタエレメントを含む有効画素部404の前後両側に予備吐出を行ってもいいし、図16(c)・(d)に示すように有効画素部404の前後・左右両側に対して予備吐出を行ってもいい。図16に示すような位置に対して予備吐出を行うと、以下のような効果がある。それを以下で説明する。
【0082】
インクが吐出された部分、即ち予備吐出領域402と有効画素部404の部分では、ガラス基板53上に形成された樹脂組成物層3がインクを吸収して僅かに盛り上がる。そのため、インクが吐出された部分と吐出されていない部分では、カラーフィルタにわずかに凹凸が生ずることとなる。このような場合、現状ではあまり問題になっていないが、今後大画面化、狭額縁化により接着部が縮小すると、予備吐出領域402を有効画素部404の片側にのみ設けると、上記のようにガラス基板53に対向基板を貼りあわせるときに、予備吐出領域402が形成されていない側の基板間隔が狭くなり、基板間の間隔が所々異なる可能性がある。そこで、例えば、図16に示すように、予備吐出領域402を有効画素部404の両側に形成し、有効画素部404を挟んだ両側の樹脂組成物層3の高さを同一にして、基板間の間隔ムラをなくすようにしても良い。このように、液晶パネルを製造するときの弊害の原因となり得る事項をより少なくするために、図16(a)・(b)に示すように複数のフィルタエレメントを含む有効画素部404の前後両側に予備吐出を行ってもよい。また、図16(c)・(d)に示すように左右両側にも予備吐出領域を形成するようにすれば、カラーフィルタ基板と対向基板の間隔を一定にするという点において更に有効である。
【0083】
尚、本実施形態における予備吐出パターンとしては、図16(a)・(c)に示すように有効画素部404の各画素の配列パターンと同一ピッチで予備吐出を行ってよいし、図16(b)・(d)に示すように予備吐出領域をベタ塗りするように予備吐出を行ってもよい。例えば、同一色の画素のピッチが300μmであり、インクジェットヘッドのノズルの間隔が70.5μmであるとすると、同一色の画素の着色を行うためには、例えば5ノズルおきの吐出ノズルが常時使用され他のノズルは通常使用されないこととなる。しかしながら、常時使用しているノズルに不吐出等の異常が発生した場合には、1ノズルずつ使用するノズルをずらして予備のノズルで着色を行う場合がある。この場合、通常使用していないノズルを使用することになるため不吐出等が発生する虞がある。その点、上記のように予備吐出において、全ノズルからインクを吐出させて、予備吐出領域をベタ塗り状態にすれば、すべてのノズルが即座に本吐出に対応できる状態となるため、使用するノズルを変更する場合でもすぐに対応することが可能である。さらには、図16に示すような予備吐出パターン以外に、後に液晶表示装置を構成するためにガラス基板53に対向基板を貼りあわせるときの位置決め用のアライメントマークを予備吐出により形成するようにしても良い。
【0084】
また、図17に示したように、ガラス基板53の端部に予備吐出領域を設け、その場所で吐出が安定するまでインクを吐出し続けた後、着色を開始しても良い。さらに、図18に示すように、ヘッドと基板の相対走査の方向において隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるような着色パターンを形成する場合でも、走査開始方向における走査開始領域に予備吐出領域を設ければ良いことになる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、カラーフィルタの有効画素部の脇の基板上に予備吐出を行うことにより、基板外の部分に予備吐出用の受けを用意する必要がなく、装置の構成を単純化することが出来る。また、予備吐出領域が有効画素部に近接しているので、予備吐出後すぐに本吐出に移ることができるので、予備吐出後のインクジェットヘッドの吐出安定性を高度に維持したまま有効画素部の着色が可能となる。
【0086】
尚、本実施形態では、図39に示されるように、ヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)のフィルタエレメントの色が同一色となるように着色し、Y方向に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色してもよいし、図40に示されるように、ヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色してもよい。
【0087】
また、本実施形態の予備吐出パターンとしては、図19〜図21に示すようなパターンでもよい。このようなパターンとすることで、上記図15、図16に比べ予備吐出領域における混色の発生確率をより低減することができ、それに伴い、フィルタエレメントでの混色の発生確率も低減することができる。その結果、歩留まりの向上が図れる。以下に、図19〜図21の説明をする。
【0088】
図19は、基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。図19において、赤色(R)のインクを吐出するヘッド120aと緑色(G)のインクを吐出するヘッド120bと青色(B)のインクを吐出するヘッド120cを有するインクジェットヘッド120は、図中矢印で示す走査方向にガラス基板53上を相対的に走査しながら、ガラス基板53上の各画素をR(赤)・G(緑)・B(青)の3色に着色していく。インクジェットヘッド120において丸印で示したものがインク吐出ノズルを示し、図中黒丸で示したノズルが着色に使用されるノズルである。
【0089】
この場合のインクの吐出動作を図19を用いて説明する。インクジェットヘッド120でガラス基板53の額縁部分から着色を開始する場合、インクの吐出開始位置では、一番端のインクが表面張力により隣のインクに引っ張られて、その部分にインクが集中する。そして、その部分のインクが大きく広がってしまい、A部として示すような大径の着色部分が形成される場合がある。このような大径の着色部分が形成されると、その部分で隣の異なる色のインクとの混色が起こる可能性がある。そこで、ここでは、図19に示す様に、R・G・Bの各画素列毎にインクの吐出開始位置を走査方向に順番にずらすことにより、大径の着色部分であるA部がそれぞれ隣の画素列同士で重ならないようにしている。このようにすれば、インクの吐出開始位置でインクが集中したとしても、隣の画素列と混色が起こることを防止できる。
【0090】
また、図20は、インクの吐出開始位置をずらす他の例を示したものであり、図示したように、隣の画素列同士でインクの吐出開始位置を交互にずらすようにしている。このようにすれば、図19の場合に比較して、ガラス基板53の額縁部分の幅をさらに狭くすることが出来る。
【0091】
以上説明したように、走査方向へのインクの吐出開始位置を画素列毎にずらした予備吐出パターン(図19・図20のパターン)を用いることにより、カラーフィルタの額縁部分を狭くしても高品質なカラーフィルタを製造することが出来る。
【0092】
図21は、基板上における予備吐出パターンの他の例を示した図である。図21において、赤色(R)のインクを吐出するヘッド120aと緑色(G)のインクを吐出するヘッド120bと青色(B)のインクを吐出するヘッド120cを有するインクジェットヘッド120は、図中矢印で示す走査方向にガラス基板53上を相対的に走査しながら、ガラス基板53上の各画素を、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に着色していく。インクジェットヘッド120において丸印で示したものがインク吐出ノズルを示し、図中黒丸で示したノズルが着色に使用されるノズルである。
【0093】
この場合のインクの吐出動作を図21を用いて説明する。上述したようにA部分では混色が起こる可能性がある。そこで、ここでは、図21(a)に示す様に、R・G・Bの各画素列毎に、インクの吐出開始位置付近でのインクの吐出密度を低下させている。即ち、インクの吐出開始位置付近においては、インクをガラス基板53上に疎らな間隔で吐出する。このとき、インクを疎らに吐出する手法として、後述のシェーディング補正の手法を用いることが可能である。このようにインクの吐出開始位置付近でのインク吐出密度をフィルタエレメント着色時のインク吐出密度より小さくすることにより、1ヶ所へのインクの過度の集中が無くなり、図21(b)に示す様にインクが大きく広がることがなく、隣の画素列の異なる色のインクとの混色が防止できる。なお、インクの吐出開始位置付近においてインクの吐出密度を低下させる長さbは、例えば、1つの画素の走査方向の長さaを264μmとすると、約50〜1300μm程度であり、画素の長さの0.2〜5倍の範囲とすることが好ましい。また、0.2倍以上とすることで、より混色の防止を達成することができ、5倍以下とすることで有効画素面積を大きくすることが出来る。
【0094】
以上説明したように、走査方向へのインクの吐出開始位置付近でのインク吐出密度を低下させた予備吐出パターン(図21のパターン)を用いることにより、カラーフィルタの額縁部分を狭くしても高品質なカラーフィルタを製造することが出来る。
【0095】
〔メニスカス振動についての説明〕
次に、図22〜図24を参照しながら、上記のメニスカス振動について詳述する。本実施形態では、着色開始時の初期吐出性の安定化させるためにメニスカス振動を行っており、このメニスカス振動を実行するタイミングは予備吐出を行う直前である。
【0096】
カラーフィルタを着色する際に使用されるインクジェットヘッドは、そのヘッドの吐出口付近にメニスカスを形成している。ヘッドからインクの吐出を行わず、かつキャッピングを施さない状態では、メニスカスは大気中に曝されているため、ヘッドの吐出口よりインクの揮発成分(インク中に含有する水分や有機溶剤等)が蒸発し、吐出口付近のインクが増粘あるいは固着する。このようにメニスカスの表面を形成するインクが増粘すると、着色開始時(インク初期吐出時)におけるインク吐出速度が低下してしまう(図22)。このことは図22に示されており、(a)はメニスカスの表面のインク粘度が正常な場合であり、(b)はメニスカスの表面のインクが増粘した場合である。インク粘度が正常な場合は、吐出速度も正常である。しかしながら、インク粘度が高くなると、インクが吐出されにくくなり、吐出速度が低下してしまう。インク吐出速度が低下すると、インク初期吐出時の着弾精度が悪くなり、その結果、隣接する画素間で色が混ざり合う混色現象が生じてしまう(図23)。
【0097】
図23は、着弾精度が低下して混色が発生した様子を示す図である。ここで、インク吐出速度の低下に伴い、着弾精度が低下する理由を簡単に説明する。カラーフィルタの着色は、基板を移動させながら、その基板へ向けてインクを吐出することで行っている。ここで、基板の速度は、吐出ノズルからインクが基板に着弾するまでの時間(インクの飛行時間)を考慮して決定される。従って、吐出速度が低下し、インクの飛行時間が所定の時間より長くなってしまうと、インクが所望の箇所に着弾しなくなる。このような理由で、吐出速度の低下が着弾精度の低下を招くのである。
【0098】
また、インクの増粘は、吐出口からインクが吐出できない不吐出現象等を引き起こす可能性もある。この不吐ノズルがあると、白抜けや濃度ムラのあるフィルタエレメントを発生させる可能性があるので好ましくない。
【0099】
以上から分かるように、フィルタエレメントを着色するときには、インクを増粘させないことが望ましい。そこで、本実施形態では、インクの吐出開示前に、ノズル内のインクに気泡を発生させない(発砲が生じない)程度のエネルギーのパルスをヒータに対して断続的に印加して、吐出口のメニスカスを微細振動させている。具体的には、インクジェットヘッドのヒータに印可する駆動電圧(電圧パルスの電圧値)の大きさを、インクを吐出するには不十分な大きさの電圧値V1〜V2(v)としている。尚、このメニスカス振動を実行するための電圧値V1〜V2(v)と、インクを吐出するために必要な電圧値V3との関係は、V1<V3、V2<V3である。
【0100】
このようなメニスカス振動が実行されると、ノズル内のインクが昇温し、このインクの昇温に伴ってインク体積の膨張/収縮が起こる。すると、図24に示されるように、ノズル内のインクとインク液室内のインクとが置換されるため、メニスカスを形成するインクが新しくなる。これにより、仮にメニスカス表面のインク粘度が高くなってしまっていたとしても、今まで大気中に曝されていなかった、インク液室内のインクによってメニスカスが再度形成されることになるので、インクの増粘による吐出不良を生じる虞がなくなる。つまり、メニスカスのインク粘度を、インク吐出に適正な粘度に保つことができるのである。以上のように、インク吐出開始前にメニスカス振動を行うことで、インク吐出に支障をきたす粘度のインクでメニスカス表面が形成されることがなくなり、インクの初期吐出を安定化させることが可能となる。
【0101】
尚、ノズル内のインクとインク液室内のインクの置換についてであるが、ここでは双方のインクを完全に置換させなくてもよい。メニスカスを形成するインクをリフレッシュし、インク吐出を適正に行うことができればよく、ノズル内のインクとインク液室内のインクの一部を置換するだけでもよい。さらに、上記の条件を満たすのであれば、双方のインクを全く置換させずに、ノズル内のインクを攪拌させるだけでもよい。この場合、撹拌させるだけでメニスカスを再形成することになる。しかしながら、インクを撹拌させるだけの場合、昇温したインクがノズル内に留まることになる。昇温によりインクの粘度が低下するだけであれば何ら問題ないのであるが、インクが高温になり過ぎると今度はインク中の揮発成分が蒸発し、インクの増粘を招く虞がないともいえない。従って、インクの粘度を確実に低下させるためには、双方のインクを一部でも置換した方が好ましい。
【0102】
一方、上述のようにノズル内のインクを撹拌させるだけの場合のメリットは、インク中の揮発成分が蒸発しない程度にインクを昇温させてノズル内のインク粘度をインク液室内のインク粘度より低くすることが可能であり、インク吐出量の制御がしやすくなることである。
【0103】
また、本実施形態ではパルスの電圧値を調整する方法に限定されるものではなく、ノズル内のインクに気泡を発生させない(発砲が生じない)程度のエネルギーとなる幅の短パルスをヒータに対して印加することによってメニスカス振動を行ってもよい。すなわち、インクジェットヘッドのヒータに印可する電圧パルスの印加時間を、インクを吐出するには不十分な時間t1〜t2(msec)とするのである。尚、このメニスカス振動を実行するための短パルスの印加時間t1〜t2(msec)と、インクを吐出するために必要なパルスの印加時間t3との関係は、t1<t3、t2<t3である。
【0104】
また、本実施形態におけるメニスカス振動は、インクジェットヘッドのヒータに印可する電圧パルスの周波数(ヘッドの駆動周波数)を調整することによっても行うことができる。すなわち、電圧パルスの周波数を長くするのである。
【0105】
また、本実施形態では、上記電圧パルスの電圧値、電圧パルスの印加時間(パルス幅)、電圧パルスの周波数の3つの要素うち2つを選択し、その2つの要素を調整することでメニスカス振動を行ってもよい。この場合、ヒータに印加するエネルギー量に関し、1つの要素のみを調整するよりも更に細かく調整することができるので効果的である。さらに、上記電圧パルスの電圧値、電圧パルスの印加時間(パルス幅)、電圧パルスの周波数の3つの全要素を調整するようにしてもよい。この場合、ヒータに印加するエネルギー量に関し、2つの要素を調整するよりも更に細かく調整することができる。一方、調整する要素が増加するとそれだけ制御が複雑になる。従って、幾つの要素を調整するかは、ヒータに印加するエネルギー量をどれだけ細かく制御するかということと制御の複雑さとの両方を考慮して決定すればよい。
【0106】
ここで、図24について簡単に説明する。図24は、発砲が生じない程度のエネルギーをヒータに印加することで、吐出口付近のメニスカスを微細振動させる様子を示した図である。まず、図24(a)はメニスカス制御を行っていないときのメニスカス99の初期位置を示しており、メニスカス99は吐出口付近で吐出方向に対し凹状に一定の曲率で保持されている。この状態を定常状態とする。この定常状態においてヒータに対し電圧パルスを印加(ヒータをON)すると、インクに熱エネルギーが付与されインク体積が膨張する。このときメニスカスは図24(b)の状態になる。すなわち、メニスカス99は吐出口部分で吐出方向に対し凸状に一定の曲率を形成する。また、インク体積の膨張に伴い、ノズル内のインクがインク液室内に入り込む。その後、ヒータに対するパルスの印加を中止(ヒータがOFF)すると、メニスカス99は後退し始める。このとき、ノズル内のインク体積が収縮するとともに、インク液室内のインクがノズル内に入り込み、インク液室内のインクとノズル内のインクとが置換される。尚、図24(c)はメニスカス99が最も後退したときの状態を示している。その後、後退したメニスカスが吐出方向へ押し戻され、図24(d)のような定常状態となる。図24(d)では、インク液室内のインクとノズル内のインクの両者のインクの少なくとも一部が置換されている。以上のようなメニスカス振動を行うことで、仮に、図24(a)のメニスカス表面のインクが増粘していたとしても、図24(d)ではメニスカスが再形成されるため、インク吐出動作を安定して行うことができる。
【0107】
尚、上記では、1回の走査毎にメニスカス振動と予備吐出動作の両方を行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、インク吐出動作を比較的安定して行うことができる場合は、1回の走査毎に予備吐出とメニスカス振動を交互に行うようにしてもよい。こうすれば、インクの消費を少なくすることができるとともに、予備吐出に要する時間分短縮できる。また、1回目の走査のときだけメニスカス振動と予備吐出の両方を行い、その他の走査ではメニスカス振動のみを行うようにしても良い。これにより、更にインクの消費を低減させ、カラーフィルタの作成に要する時間を削減できる。また、1回目の走査と最後の走査のときだけ予備吐出を行い、その他の走査はメニスカス振動のみを行うようにしても良い。最後の走査で行われた予備吐出によるインク部を光学的に検知することで、走査中に不吐ノズルが発生したか否かを検出でき、その結果着色されたカラーフィルタが良品か不良品かを自動検査することができる。このように、予備吐出とメニスカス振動を実行するタイミングや回数は、使用インクの粘度やカラーフィルタの製造条件に応じて適宜決定すればよい。
【0108】
〔カラーフィルタ着色用データの作成〕
次に、カラーフィルタの複数のフィルタエレメントを着色する場合に用いる、カラーフィルタ着色用データの作成方法について詳述する。尚、このカラーフィルタ着色用データは、図13のステップS5における着色工程で用いられるものである。また、ここで説明するカラーフィルタ着色用データは、図39に示されるようにヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)のフィルタエレメントの色が同一色となるように着色し、Y方向に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色する場合の着色方式のときに用いられるデータである。
【0109】
本実施形態におけるカラーフィルタ着色用データは、ヘッドシェーディング補正データの作成工程及びマルチパスデータの作成工程という2段階のデータ作成工程を経て作成される。
【0110】
まず、第1段階のヘッドシェーディング補正データの作成方法について説明する。本実施形態における具体的なデータ作成方法を示す前に、まず、ヘッドシェーディング補正の基本的な考え方について示す。ヘッドシェーディング補正とは、図25乃至図27に示すように、各インク吐出ノズルからのインク吐出密度を調整することにより、インクジェットヘッドの走査方向の濃度ムラを補正するものである。
【0111】
例えば、図25に示すように、インクジェットヘッドのノズル3のインク吐出量を基準としたときに、ノズル1のインク吐出量が-10%、ノズル2のインク吐出量が+20%であったとする。このとき、インクジェットヘッドIJHを走査させながら、図26に示すように、ノズル1のヒータには基準クロックの9回に1回ずつヒートパルスを加え、ノズル2のヒータには基準クロックの12回に1回ずつヒートパルスを加え、ノズル3のヒータには基準クロックの10回に1回ずつヒートパルスを加える。この様にすることにより、走査方向のインク吐出数を各ノズル毎に変化させ、図27に示すようにカラーフィルタのフィルタエレメント内の走査方向のインク密度を一定にすることができ、各フィルタエレメントの濃度ムラを低減することができる。すなわち、各フィルタエレメントの濃度ムラを低減させるためには、各フィルタエレメント間における着色濃度を略同一とする必要がある。そこで、各フィルタエレメント間における着色濃度が略同一なるように、各フィルタエレメントに対して打ち込むインクの吐出密度をノズル毎に設定するのである。このようにして、走査方向のインク吐出密度を補正することをヘッドシェーディング補正と呼ぶ。
【0112】
次に、ヘッドシェーディング補正を施して描画データを作成する具体的な方法を示す。まず、予め特定しておいた不良ノズルを使用しないことを決定する。次に、不良ノズル以外の全ノズルについて、以下の手順でヘッドシェーディング補正データを作成する。
(1)前もって測定しておいた、ノズル毎のインク吐出量に関するデータを用意する。
(2)1つのフィルタエレメントを1つのノズルで着色すると仮定した場合に、フィルタエレメント間の着色濃度が略同じになるように、フィルタエレメントへの打ち込みドット数を前記(1)のインク吐出量のデータに基づき決定する。換言すると、フィルタエレメントに打ち込むインクドットの吐出間隔を決定しているともいえる。具体的には、上述したように、ノズルからのインク吐出量が多い場合には、1つのフィルタエレメント内のドット数を少なくするか、もしくはドット間隔を広くする。一方、ノズルからのインク吐出量が少ない場合には、1つのフィルタエレメント内のドット数を多くするか、もしくはドット間隔を狭くする。このようにして、フィルタエレメントに対するインクの吐出密度を決定(設定)する。尚、このインク吐出密度の設定は全ノズルに対して行う。これにより、各ノズル毎のインク吐出密度のデータが作成される。これが、ヘッドシェーディング補正データとなる。
【0113】
ここで、更に具体的に、ノズルN1・N2・N3の各ノズルにおけるヘッドシェーディング補正データを作成する場合について説明する。
【0114】
まず、上記(1)のノズル毎のインク吐出量のデータから、3つのノズルN1・N2・N3の各インク吐出量を求める。例えばノズルN1の1回の吐出量が10ng(ナノグラム)、ノズルN2の1回の吐出量が20ng、ノズルN3の1回の吐出量が40ngであったとする。ここでは、説明を分かりやすくするためにノズル毎の吐出量のバラツキをかなり大きく設定したが、実際上のインクジェットヘッドにおけるインク吐出量のバラツキは±5%程度である。
【0115】
次に、1パスで画素列G1を着色する場合、例えば画素列の長さが約200mmで、ノズルN1では、画素列G1を着色するのに、2000発のインクが必要であると仮定する。このときの画素列G1を着色するためのインクの総量は、10(ng)×2000=20000ngである。尚、本実施形態におけるヘッドシェーディング補正では、上記(2)で示したようにフィルタエレメント列(画素列)間の着色濃度が略同一になるようにインク吐出密度の設定を行っているが、これには限られず、1画素列を着色するために必要なインクの総量が略同じになるようにインク吐出密度の設定を行ってもよい。ここでは、後者の方の設定方法を採用する。そのため、ノズルN2を使用して同じ画素列G1を着色する場合には、20000(ng)÷20(ng)=1000発のインクが必要となる。この場合、ノズルN1で画素列G1を着色する場合の1発毎のインクの間隔は、200(mm)÷2000発=100μmであり、ノズルN2で着色する場合には、1画素列を着色する弾数がノズルN1の1/2であるため、1発毎のインクの間隔は200μmとなる。また、同様に、ノズルN3を使用する場合には、インクの弾数は、20000ng÷40ng=500発となり、1発毎のインクの間隔は400μmとなる。
【0116】
言い換えれば、上記の吐出量の異なる3つのノズル(N1・N2・N3)を用いて、1パスで1画素列を着色する場合、ノズルN1では10ngのインク弾を100μm間隔200発吐出し、ノズルN2では20ngのインク弾を200μm間隔で1000発吐出し、ノズルN3では40ngのインク弾を400μm間隔で500発吐出することとなる。このようにして、ノズルN1・N2・N3の各ノズル毎のインク吐出密度の設定を行う。
【0117】
以上のようにしてヘッドシェーディング補正データが作成されたら、これを利用して、次はマルチパスデータの作成を行う。以下に、第2段階のマルチパスデータの作成について説明する。尚、以下では説明を簡単にするために、3パスにより各フィルタエレメントを着色し、その着色に際しては1パス毎に使用するノズルを変える場合について示す。
【0118】
まず、上記のような3つのノズル( N1・N2・N3)を用いて1パス毎にノズルを変更しながら3パスで1つの画素列G1を着色する場合を考える。この場合、3つのノズルで、夫々必要なインク総量の1/3ずつを吐出するのが一般的に考えられる方法である。そのため、ノズルN1からは、1パス目で2000(発)/3=667発のインクを吐出する。この667発のインクを画素列G1の走査方向に均等に配分するには、10ngのインク弾を100μmの3倍の300μmの間隔で吐出する必要がある。同様に、ノズルN2からは、2パス目で1000発/3=333発のインクを吐出することとなり、20ngのインク弾を600μmの間隔で吐出することとなる。更に、ノズルN3からは、3パス目で500発/3=167発のインクを吐出することになり、40ngのインク弾を1200μmの間隔で吐出することとなる。
【0119】
このように、各ノズルから吐出されるインク弾の吐出間隔が決定されるのであるが、仮に、これを単純にノズル毎に吐出開始位置を同じにして3パスで画素列の着色を行なうと仮定する。すると、図28に示すように、インクの吐出開始位置及びこの吐出開始位置から1200μm毎の位置では、10ngのインクと20ngのインクと40ngのインクが1ヶ所に集中し、吐出開始位置から600μm毎の位置では、10ngのインクと20ngのインクが1ヶ所に集中し、その他の位置では10ngのインクのみとなる。そのため、着弾したインクが図29のようにインクが集中する位置では大きく、集中しない位置では小さくガラス基板上に広がって、画素の着色ムラが発生してしまうこととなる。これを改善するために各パスの吐出開始位置をずらしたとしても、1パスのインクの吐出間隔の整数倍=(nパス目のインクの吐出間隔の整数倍+開始位置のずらし量)となる点が出てくるので、やはりインクが重なってしまう場合があり、上記の問題点の完全な解決策とはならない。
【0120】
そこで、本実施形態では以下のような方法をとることにより上記の問題を解決している。
【0121】
すなわち、1つの画素列を3パスで着色するのに必要な総インク弾数は、ノズルN1の667発とノズルN2の333発とノズルN3の167発を加えた、667+333+167=1167発である。本実施形態では、この総インク弾数1167発を単純に3等分して、ノズルN1、N2、N3の夫々の吐出インク着弾数を1167÷3=389発に揃えてしまう。そして各ノズルのインク吐出間隔を、画素列の長さ200mmを1167で割った200(mm)÷1167=171μmの等間隔とする。
【0122】
より詳しく説明すると、図30に示すように、まず吐出開始位置にノズルN1から10ngのインク弾を吐出し、その後はノズルN1からは、171μmの3倍の513μm間隔で10ngのインク弾を順次吐出する。また、ノズルN2からは、吐出開始位置から171μmずれた位置を始点として、同じく513μm間隔で20ngのインクを吐出する。さらに、ノズルN3からは、吐出開始位置から342μmずれた位置を始点として、同じく513μm間隔で40ngのインクを吐出する。このようにすれば、ノズルN1からの10ngのインクと、ノズルN2からの20ngのインクと、ノズルN3からの40ngのインクが、画素列上に全て171μmの等間隔で並ぶようになり、インクが重なって着弾することが無い。これにより、図28及び図29に示すような着色ムラが緩和されて、より高品位なカラーフィルタを製造することができる。
【0123】
なお、上記の説明では、本来1つの画素列を着色するインク弾数が、ノズルN1で667発、ノズルN2で333発、ノズルN3で167発であるところを、ノズルN1、N2、N3ともに389発で揃えてしまっているため、1つの画素列を着色するインク総量が、本来必要とされている量とは異なってくる。より詳しくは、本来必要なインク総量が、10(ng)×667+20(ng)×333+40(ng)×167=19890ngであるところが、10(ng)×389+20(ng)×389+40(ng)×389=27230ngとなってしまう。しかしながら、上記の実施形態では、説明をわかりやすくするために、各ノズルの吐出量のバラツキを10ng、20ng、40ngと大きく異なった値に設定したものであって、実際上は、インク吐出量バラツキは、例えば1番目のノズルの吐出量が10ngとすれば、2番目のノズルは9.5ng、3番目のノズルは10.5ngというように、せいぜい±5%程度の量であるため、上記の様なノズルの吐出インク着弾数を揃える処理を行ったとしても、1つの画素列を着色するインク総量にはほとんど影響が出ない。従って、本実施形態の様な方法を用いても、インク総量が異なってインクが溢れたりするような不都合は起こらず、着色ムラを軽減するという効果のみが得られることとなる。
【0124】
以上のようにして得られたマルチパスデータが、カラーフィルタ着色装置上で実際にカラーフィルタを製造する際に用いられるカラーフィルタ着色用データとなる。
【0125】
なお、図31は、本実施形態で作成したカラーフィルタ着色用データに基づき、BM基板上にインクを吐出して実際にカラーフィルタを着色する場合の着色方法を示した概念図である。詳しくは、1パス目、2パス目、3パス目で使用するノズルをずらしながら、インクの吐出間隔をすべて等間隔に揃えて着色を行なう様子を示している。実際には隣り合う画素列はR、G、Bの異なる色に着色されるのであるが、この図においては、説明の便宜上画素列の色が同じ色である場合を示している。また、インクの吐出量の差をノズルの直径の大きさを異ならせて示している。
【0126】
また、上記で説明したように本実施形態では、特定した不良ノズルを使用しないようにしている。従って、例えば、図32に示すように、No.3の画素列を本来は1番・3番・5番のノズルで形成する予定であったとしても、5番のノズルが不良ノズルであると判断された場合は、No.3の画素列は1番・3番のノズルで形成することとなる。同様に、No.5の画素列は3番・7番のノズルで、No.7の画素列は7番・9番のノズルで形成することとなる。しかしながら、No.3・No.5・No.7の画素列は、本来あるはずの5番ノズルからのインク打ち込みがなくなるため、打ち込まれるインク量が目標値より少なくなる。すると、これらの画素列は、カラーフィルタで必要とされる着色濃度より薄くなってしまう。そこで、5番ノズルからのインク打ち込み量の欠落を、3番・5番・9番のノズルで補充する。すなわち、3番・5番・9番のノズルからのインク打ち込み量を増やすのである。こうすることで、これらの画素列の着色濃度を、目標としていた着色濃度と同じすることができる。尚、不良ノズルを特定することによってどの画素列のインク打ち込み量が減少するかが分かるので、このようなインク打ち込み量の減少も考慮してどのノズルからのインク打ち込む量を増加させなければならないかということも計算し、カラーフィルタ着色用データを作成する必要がある。
【0127】
尚、上記では図39に示されるような着色方式で用いられるカラーフィルタ着色用データの作成方法について説明したが、図40に示されるような着色方式、すなわち、ヘッドと基板とをX方向に相対的に走査させて、X方向(主走査方向)に隣り合うフィルタエレメントの色が異なる色となるように着色する方式では、上記とは異なる方法によりカラーフィルタ着色用データを作成する。ここでは詳しい説明は省略するが、いずれにせよ、各フィルタエレメントに吐出されるインク量を略同じにして、複数のフィルタエレメント間において濃度ムラが発生しないようなデータを作成することになる。
【0128】
以上のように、本実施形態によれば、フィルタエレメントの着色工程の直前に、インク吐出を安定化させるためのメニスカス振動工程及び予備吐出工程を行っているので、フィルタエレメントの着色時には安定してインクを吐出することができ、その結果、濃度ムラや混色がないように各フィルタエレメントを着色することが可能となる。特に、予備吐出工程の前にメニスカス振動を行っているので、予備吐出領域でインクが混色して前記混色部分がフィルタエレメントまで伸びることによって発生するフィルタエレメントでの混色を低減することができる。
【0129】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、ノズル内のインクに気泡を発生させない程度のエネルギーをヒータに印加することでメニスカス振動を行っているが、この第2の実施形態ではノズル内のインクに気泡を発生させるが(発砲は生じるけれども)ノズルからインクを吐出するには不十分な量のエネルギーをヒータに印加することでメニスカス振動を行う。尚、その他は上記第1の実施形態と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0130】
図33は、小発砲は生じるけれどもノズルからはインクが吐出しない程度のエネルギーをヒータに印加することで、吐出口付近のメニスカスを振動させる様子を示した図である。まず、図33(a)はメニスカス制御を行っていないときのメニスカスの初期位置を示しており、メニスカスは吐出口付近で吐出方向に対し凹状に一定の曲率で保持されている。この状態を定常状態とする。この定常状態においてヒータに対し電圧パルスを印加(ヒータをON)すると、ノズル内のインク中に小発砲が発生する。このときメニスカスは図33(b)の状態になる。その後、ヒータに対するパルスの印加を中止(ヒータがOFF)すると、メニスカスは後退し始める。それに伴い、ノズル内のインクとインク液室内のインクが置換される。尚、図33(c)はメニスカスが後退している途中の状態を示している。その後、メニスカスが元の位置で再形成され、図33(d)のような定常状態となる。図33(d)では、インク液室内のインクとノズル内のインクの両者のインクの少なくとも一部が置換されている。以上のようなメニスカス振動を行うことで、仮に、図33(a)のメニスカス表面のインクが増粘していたとしても、図33(d)ではメニスカスが再形成されるため、インク吐出を安定して行うことができる。
【0131】
このように本実施形態では、ノズル内のインク中に小発砲を発生させているので、第1の実施形態に比べノズル内のインクを大きく移動させることができる。従って、上記第1の実施形態に比べ、より大きくメニスカスを振動させることができ、ノズル内のインクとインク液室内のインクとを確実に置換することが可能となる。これにより、より確実にインクの増粘を除去し、吐出不良が生じる確率をより低減することができる。尚、第1の実施形態と同様にこの第2の実施形態においても、ヒータに印加する電圧パルスの電圧値、電圧パルスの印加時間(パルス幅)、電圧パルスの周波数の3つのうちの少なくとも1つを調整することで、ヒータに与えるエネルギー量を調整することができる。
【0132】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、ノズルからインクが吐出されない程度のエネルギーをヒータに印加することでメニスカス振動を行っているが、この第3の実施形態ではインク供給系の供給圧力を断続的に増減させることでメニスカス振動を行う。尚、その他は上記第1の実施形態と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0133】
本実施形態では、ヘッドとインクタンクの差圧を利用する方法、もしくは加圧ポンプを利用する方法のいずれかの方法によりインク供給の圧力を増減させている。
【0134】
まず、ヘッドとインク供給タンクの差圧を利用してメニスカス振動を行う方法について説明する。図34は、インクタンクを含むインク供給系とインクジェットヘッド120の構成を示す図である。図34において、551はインクジェットヘッド外に配置されたインクタンク、552はインクチューブの脱着部、553a,553bはインクをインクタンクからインクジェットヘッド120に導くためのインクチューブ、554はインクチューブの途中に設けられた泡抜き用分岐弁、555は泡抜き用分岐弁を介してインクチューブ内からインクとともに泡を抜き出して排出するための排出チューブ、559はインクタンク551からインクジェットヘッド120にインクを供給するための加圧ポンプである。尚、図34では、インクジェットヘッド120とインクタンク551の間が一本のインクチューブ553で接続されているが、一本に限定されるものではない。
【0135】
この図34では、ヘッドの吐出口面よりもインクタンク内のインクの液面の方が高い位置となっている。すなわち、Z方向(垂直方向)において、インク液面の方が吐出口面よりも地面から離れているのである。この場合、吐出口面からインクを押し出す方向に対して力が作用していることになる。一方、インク液面を吐出口面よりも低い位置にすると、今度は逆の方向(インクを引き戻す方向)に対して力が作用することになる。
【0136】
本実施形態では、この原理(サイフォンの原理)を利用してメニスカス振動を行っている。つまり、タンク内の液面をヘッドの吐出口面より上げることによりメニスカスを押し出す方向の力を作用させることとと、タンク内の液面をヘッドの吐出口面より下げることによりメニスカスを引き戻す方向の力を作用させることとを繰り返すことで、吐出口からインクが漏れない程度にメニスカスを振動させるのである。インクタンク内のインク液面を上下させる方法としては、インクタンクを機械的に上下(+Z方向・−Z方向に移動)させる方法がある。
【0137】
次に、加圧ポンプを利用してメニスカス振動を行う方法について説明する。図34に示されるポンプ559を作動させると、インクタンク551からヘッド120にインクが供給されることになる。この場合、吐出口面からインクを押し出す方向に対して力が作用していることになる。一方、ポンプ559の作動を中止すると、今度は逆の方向(インクを引き戻す方向)に対して力が作用することになる。このように加圧ポンプの作動を断続的に行うと、インクタンク551内にインクが出し入れされ、それに伴いタンク内の液面が上下することになる。ここでは、これを利用してタンク内の液面を上下させ、吐出口のメニスカスを振動させている。
【0138】
以上のように本実施形態では、ヒータにパルスを印加することなしに、インク供給系の供給圧力を断続的に増減させてメニスカス振動を行っているので、ノズル内のインクが高温になり過ぎてインク中の揮発成分が蒸発し、インクが増粘するという弊害を招く虞がない。また、インクの初期吐出を安定化させることができる。尚、この第3の実施形態におけるメニスカス振動の方式を、第1の実施形態おけるメニスカス振動の方式もしくは第2の実施形態おけるメニスカス振動の方式のいずれかと組合せて用いることもできる。これにより、より細かい制御が可能となる。
【0139】
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態乃至第3の実施形態では、予備吐出を行う直前にメニスカス振動を行っているが、この第4の実施形態ではインクを吐出させずに(予備吐出動作を行なわずに)インクの吐出安定性を保つこととしている。従って、メニスカス振動の直後にフィルタエレメントの着色が行われることになる。尚、本実施形態におけるメニスカス振動は、上記第1の実施形態乃至第3の実施形態におけるいずれかの方式によって行うものである。以下、本実施形態について図35〜図36を用いて説明する。
【0140】
図35は第4の実施形態の処理手順を示すフローチャートであり、図36はヘッドと基板とを相対走査させてフィルタエレメントを着色する様子を示す図である。まず、図35のステップS11において、カラーフィルタ製造装置90のXYθステージ52上に1枚の基板53をセットする。次に、ステップS13において、ヘッド120と基板53との相対位置の関係が、図36のY1からY2の位置となるように、ヘッドと基板とを相対移動させる。すなわち、Y1からY2へ向かって、ヘッドを基板に対して相対走査させるのである。この相対走査を1回目の走査とする。
【0141】
次に、ステップS15において、1回目の走査中にノズルからインクが吐出されない程度のエネルギーをインクジェットヘッドに与え、吐出口のメニスカスを振動させるメニスカス振動を行う。その後、ステップS17において、ヘッドからインクを吐出してフィルタエレメントを着色する(1回目の走査による着色)。尚、このステップS17における着色は、メニスカス振動が終了した直後に実行することが好ましい。メニスカス振動の直後は、インク吐出を安定して行うことが可能であるからである。
【0142】
このようにして1回目の走査が終了したら(ステップS19)、ステップS21において、予め設定された所定の回数だけ、ヘッドと基板とを相対走査させたかどうかを判定する。所定回数走査させたと判定されれば、ステップS23へ進み、その基板の着色を終了とする。一方、ステップS21において所定回数走査させていなければ、ステップS13へ戻り、ステップS13以降の工程を繰り返す。すなわち、今度はヘッドがY2に位置しているので、Y1の方向に向けてヘッドと基板とを相対走査(2回目の相対走査)させながらメニスカス振動を行い、その直後にフィルタエレメントを着色(2回目の走査による着色)していくのである。
【0143】
上記から分かるように、1回目・3回目…等の奇数回目の相対走査では、基板に対してヘッドをY1からY2の方向へ移動するのに対し、2回目・4目…等の偶数回目の相対走査では、基板に対してヘッドをY2からY1の方向へ移動するのである。また、ここでは、走査方向に関わらず、1回の走査毎にメニスカス振動を行っている。
【0144】
尚、上記では、ステージ側を固定してインクジェットヘッドを移動させるように説明したが、インクジェットヘッドを固定してステージ側を移動させるようにしてもよい。また、上記ではヘッドと基板との相対走査中にメニスカス振動を行っているが、ヘッドと基板とを一時停止させ、その停止状態でメニスカス振動を行うようにしてもよい。
【0145】
このように1回の走査における着色前に必ずメニスカス振動を行うことで、フィルタエレメントの着色時における吐出安定性を確保することができる。また、本実施形態では基板上に予備吐出を行っていないので、製造されるカラーフィルタの額縁部にはインク部が全く残らない。従って、カラーフィルタ基板と対向基板とを貼りあわせて液晶パネルを製造する際に、このインク部が存在することによって貼り合わせが困難になるということも全くない。
【0146】
メニスカス振動を行うタイミングや回数は上記の例に限られることはない。使用するインクの粘性・走査と走査の間の時間等を考慮して決定すればよい。例えば、前回の吐出時からある程度長い時間が経過しても、インク吐出動作が不安定にならない場合は、基板が変更される度(新たな基板がセットされる毎)にメニスカス振動を行うこととしてもよい。この場合、メニスカス振動を行う回数が少なく、1回の走査毎に行う場合に比べて制御が簡単である。また、1枚の基板から複数枚のカラーフィルタを取得する場合、夫々のカラーフィルタの着色の直前に、メニスカス振動を行うようにしても良い。
【0147】
また、予め所定の時間を設定しておき、その時間が経過する毎にメニスカス振動を行うこととしてもよい。例えば、前回の吐出時から2分以上インクが吐出されない場合に、インクの吐出速度が低下してしまうようなインクを使用しているならば、2分毎にメニスカス振動を行うように制御すればよいし、その時間が10分ならば、10分毎にメニスカス振動を行うように制御すればよい。尚、インクの粘度・前回吐出してからの経過時間(吐出後経過時間)・メニスカス振動の有無等によって、インクの吐出速度がどのように変化するのかを図37に示す。この図37におけるインク吐出速度とは、吐出1発目のインクの速度である。この図からも分かるように、メニスカス振動を実行し、前回吐出してからの経過時間を短くしてインクを吐出した場合、インク吐出速度が低下させずにすむ。
【0148】
以上のように本実施形態によれば、フィルタエレメントの着色の直前にメニスカス振動を行っているので、インクジェットヘッドからのインク吐出を安定化させた状態でフィルタエレメントの着色を開始できる。その結果、1発目のインク吐出を安定させ、混色の発生確率を低減することが可能となる。また、予備吐出を行っていないので、インクを無駄に消費させることがなく、低コスト化にも寄与できる。さらに、予備吐出に要する時間分だけ製造時間を短縮でき、よりスループットの向上が図れる。
【0149】
(第5の実施形態)
この第5の実施形態では、インクジェットヘッドの複数のノズルのうち、どのノズルに対してメニスカス振動を行うかについて説明する。以下、図38を用いて本実施形態について説明する。他は、上記第1の実施形態〜第4の実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0150】
この第5の実施形態においては、インクジェットヘッドのノズルピッチとカラーフィルタの画素ピッチとの関係上、図38に示すようにインクジェットヘッドのノズルを4ノズルおきに使用するようにしている。従って、図38に示すように、本実施形態で使用するインクジェットヘッドには4つのノズル群が存在する。図38において、ノズル毎に付されている番号▲1▼〜▲4▼はノズル群の番号であり、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼に夫々対応して第1ノズル群、第2ノズル群、第3ノズル群、第4ノズル群である。尚、図から明らかなように、図38では第1ノズル群を使用している。
【0151】
このように複数のノズル群が存在するインクジェットヘッドを用いてカラーフィルタを着色する場合、一度に全てのノズルを使用するのではなく、1つのノズル群を選択し、その選択したノズル群で着色を行うようにしている。そして、ノズルの寿命や不良ノズルの発生等により現在使用しているノズル群で高精細なカラーフィルタを製造することが困難になったならば、使用するノズル群を変更する。例えば、現在使用しているノズル群が第1のノズル群であり、その第1のノズル群が使用できなくなれば、第2のノズル群に変更する。このようにして、順々に使用するノズル群を、第1のノズル群、第2ノズル群、第3ノズル群、第4ノズル群のように順々に変更していくようにする。こうすることで、使用しないノズルも活用することができ、使用中にノズルに不具合が発生しても、他ノズルによりカラーフィルタの製造を続けることが可能となる。その結果、スループットを低下させずに高精細なカラーフィルタの製造が可能となる。
【0152】
スループットを低下させないためには、1つのノズル群に不具合が発生した場合でも、使用するノズル群を切り替え、直ぐに他のノズル群を使用できるようにしておく必要がある。従って、次に使用する予定のノズル群の吐出状態も安定化させておく必要がある。そこで、ここでは、現在使用しているノズル群(第1のノズル群)と次に使用する予定のノズル群(第2のノズル群)の両方のノズル群に対してメニスカス振動を行うようにしている。こうすることで、現在使用しているノズル群が急遽使用できなくなったとしても、スループットを低下させずに、カラーフィルタの製造を続けることができる。
【0153】
また、全ノズルに対してメニスカス振動を行うように制御しても良い。この場合、全ノズルのインク吐出が安定化しているため、複数のノズル群が連続して不具合になったとしても,この事態に対処できるというメリットがある。
【0154】
また、1つのノズル群に対してのみメニスカス振動を行うように制御しても良い。この場合、現在使用しているノズル群に不具合が生じた場合には、次に使用するノズル群のインク吐出を安定化させる必要があるため、その分時間がかかってしまうが、その反面、ヒータに加えるエネルギー量は少なくて済むため、省エネ化できるというメリットがある。
【0155】
尚、図40に示されるような着色方式で着色を行う場合、ノズルピッチと画素ピッチとを一致させる必要がないため、複数のノズル群が存在しない場合がある。そのときは,全ノズルに対してメニスカス振動を行うように制御すればよい。
【0156】
(その他の実施形態)
尚、本発明では、その主旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。例えば、近年TFTアレイ側にカラーフィルタを設けたパネルも存在するが、本明細書で定義しているカラーフィルタは、色材により着色された被着色体でありTFT側にあるか否かに係らず、どちらも包括する。
【0157】
上記実施形態では4枚取りの基板を用いているが、本発明はこれには限定されず、どんな大きさの基板を用いてもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、エネルギー発生素子(エネルギー付与手段)として電気熱変換体を用いたバブルジェットタイプのものを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与えるピエゾジェットタイプ等も使用可能である。ピエゾジェットタイプのものを用いる場合は、ヒータに与えるエネルギー量を調整するのではなく、圧電素子に与えるエネルギー量を調整することによりメニスカス振動を行う。
【0159】
また、インクジェットヘッドにインクを供給するためのインク供給系に圧電素子を備え、その圧電素子を利用してインク供給系におけるインク配管の体積を変化させることでメニスカスを微細振動させてもよい。
【0160】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式のプリント装置について説明したが、かかる方式によれば記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0161】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0162】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0163】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0164】
さらに、カラーフィルタ基板の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0165】
加えて、カラーフィルタ製造装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0166】
また、本発明のカラーフィルタ製造装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0167】
以上説明した本発明の実施の形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0168】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0169】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、フィルタエレメントの着色前に吐出口のメニスカスを振動させることで、着色開始時のインク吐出を安定化させることができ、その結果、カラーフィルタの不良品の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーフィルタの製造装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】カラーフィルタの製造装置の動作を制御する制御部の構成を示す図である。
【図3】カラーフィルタの製造装置に使用されるインクジェットヘッドの構造を示す図である。
【図4】インクジェットヘッドのヒータに印加される電圧波形を示した図である。
【図5】カラーフィルタの製造工程の一例を示した図である。
【図6】カラーフィルタの製造工程の一例を示した図である。
【図7】一実施形態のカラーフィルタを組込んだカラー液晶表示装置の基本構成の一例を示す断面図である。
【図8】一実施形態のカラーフィルタを組込んだカラー液晶表示装置の基本構成の一例を示す断面図である。
【図9】一実施形態のカラーフィルタを組込んだカラー液晶表示装置の基本構成の一例を示す断面図である。
【図10】液晶表示装置を情報処理装置に適用した場合の概略構成を示すブロック図である。
【図11】液晶表示装置が使用される情報処理装置を示した図である。
【図12】液晶表示装置が使用される情報処理装置を示した図である。
【図13】カラーフィルタの着色工程を示すフローチャートである。
【図14】予備吐出領域とカラーフィルタ形成領域の位置関係を示した図である。
【図15】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図16】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図17】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図18】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図19】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図20】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図21】基板上における予備吐出パターンの一例を示した図である。
【図22】インク粘度の違いにより吐出速度が異なっている様子を示した図である。
【図23】着弾精度が低下して混色が発生した様子を示す図である。
【図24】発砲が生じない程度のエネルギーをヒータに印加することで、吐出口付近のメニスカスを微細振動させる様子を示した図である。
【図25】インクの吐出密度を変更する方法を説明するための図である。
【図26】インクの吐出密度を変更する方法を説明するための図である。
【図27】インクの吐出密度を変更する方法を説明するための図である。
【図28】インクが重なる様子を示した図である。
【図29】インクが重なったときのインクの広がり方を示す図である。
【図30】インクを等間隔で吐出した様子を示した図である。
【図31】本実施形態によるカラーフィルタの着色方法を概念的に示した図である。
【図32】不良ノズルを使用しないで着色した状態を示した図である。
【図33】小発砲は生じるけれどノズルからはインクが吐出しない程度のエネルギーをヒータに印加することで、吐出口付近のメニスカスを振動させる様子を示した図である。
【図34】インクタンクを含むインク供給系とインクジェットヘッドの構成を示す図である。
【図35】第4の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図36】ヘッドと基板とを相対走査させてフィルタエレメントを着色する様子を示す図である。
【図37】メニスカス振動の有無によってインク吐出速度が異なることを示す図である。
【図38】第5の実施形態におけるメニスカス振動の制御方法を説明するための図である。
【図39】カラーフィルタを着色する着色方式の一例である。
【図40】カラーフィルタを着色する着色方式の一例である。
【図41】カラーフィルタ基板上に予備吐出を行うことを示す図である。
【図42】予備吐出したインクの着弾位置がずれている様子を示した図である。
【図43】予備吐出領域においてインクが混色する様子を示した図である。
【符号の説明】
1 光透過性基板
2 ブラックマトリクス
3 樹脂組成物層
4 フォトマスク
5 非着色部
8 保護層
12 隔壁
14 硬化インク
52 XYZθステージ
53 ガラス基板
54 カラーフィルタ
55 ヘッドユニット
58 コントローラ
59 ティーチングペンダント(パソコン)
60 キーボード
65 インターフェース
66 CPU
67 RAM
68 ROM
70 吐出制御部
71 ステージ制御部
90 カラーフィルタ製造装置
99 メニスカス
120 インクジェットヘッド
402 予備吐出領域
404 フィルタエレメントを含む領域(有効画素領域)
551 インクタンク
552 脱着部
553 チューブ
554 泡抜き用分岐弁
555 排出チューブ
559 ポンプ

Claims (14)

  1. 複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することによりカラーフィルタを製造する方法であって、
    前記基板上の画素を着色する前に、前記画素の外側に位置する前記基板上の領域に対して前記インクジェットヘッドからインクを予備吐出する工程と、
    前記基板上の領域に対して予備吐出を行う前に、前記吐出口のインクのメニスカスを振動させる工程とを備え、
    前記メニスカス振動工程では、前記インクジェットヘッドのエネルギー付与手段に対し、前記吐出口からインクが吐出されない程度のエネルギーを与えることによりメニスカスを振動させることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 前記メニスカス振動は、前記相対走査の度毎に行われることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記メニスカス振動は、前記相対走査のうち1回おきの走査において行われることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 前記インクジェットヘッドは着色に使用するノズルと、前記着色に使用するノズルに不良が生じたときに使用される予備吐出ノズルとを備え、
    前記メニスカス振動は、前記着色に使用するノズルと前記予備吐出ノズルの双方に対して実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 前記インクジェットヘッドは着色に使用するノズルと、前記着色に使用するノズルに不良が生じたときに使用される予備吐出ノズルとを備え、
    前記メニスカス振動は、前記着色に使用するノズルに対してのみ実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記メニスカス振動は、基板が変更される度毎に行われることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 前記メニスカス振動は、予め設定した所定時間が経過する度毎に行われることを特徴とする請求項1に記載カラーフィルタの製造方法。
  8. 1枚の基板上に複数枚のカラーフィルタを形成する場合、前記メニスカス振動は、夫々のカラーフィルタにおける画素の着色前に行われることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  9. 前記エネルギー付与手段は、吐出のためのエネルギーとして熱エネルギーを発生し、当該熱エネルギーによりインクに気泡を生じさせ、該気泡の生成により前記吐出口からインクを吐出させるヒータであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  10. 前記メニスカス振動工程では、前記ヒータに対し、前記ノズル内のインクに気泡を発生させない程度のエネルギーを与えることにより前記メニスカス振動を行うことを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法。
  11. 前記メニスカス振動工程では、前記ヒータに対し、前記ノズル内のインクに気泡を発生させるがインクの吐出を伴わない程度のエネルギーを与えることにより前記メニスカス振動を行うことを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法。
  12. 前記エネルギー付与手段は、電気エネルギーが与えられることによって変位し、前記変位に伴う圧力変化によってインクを吐出させるピエゾ素子であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  13. 複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することによりカラーフィルタを製造する装置であって、
    前記基板上の画素を着色する前に、前記画素の外側に位置する前記基板上の領域に対して前記インクジェットヘッドからインクを吐出する予備吐出手段と、
    前記基板上の領域に対して前記予備吐出手段による予備吐出が行われる前に、前記吐出口のインクのメニスカスを振動させるメニスカス振動手段とを備え、
    前記メニスカス振動手段は、前記インクジェットヘッドのエネルギー付与手段に対し、前記吐出口からインクが吐出されない程度のエネルギーを与えるように制御することを特徴とするカラーフィルタ製造装置。
  14. 複数の吐出口を有するインクジェットヘッドと基板とを相対的に走査させながら前記基板に向けて前記複数の吐出口からインクを吐出して、カラーフィルタとして機能する画素を着色することにより製造されたカラーフィルタを備えた表示装置を製造する方法であって、
    請求項1乃至12のいずれかに記載の製造方法により製造されたカラーフィルタを用意する工程と、
    前記用意されたカラーフィルタと、当該カラーフィルタに対向する対向基板との間に液晶化合物を封入する工程と、
    を具備することを特徴とする表示装置の製造方法。
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