JP4052409B2 - 断熱パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築、構築物に外断熱層を形成する断熱パネルに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、断熱性と気密性を有する断熱下地を形成する断熱パネルには、特開平6−294172号のように、軸組間に嵌め込められる方形の枠部材と、この枠部材に固定され軸組の屋外側面に当接される釘打ち部を周囲に有する耐力壁用面部材と、この面部材の枠部材で囲まれる屋内側面に設けられた断熱部材とから構成されるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような構造では、パネル体を軸組間に嵌挿する便宜上、枠部材は軸組よりも小さく形成するため枠体と軸組の間には隙間が生じるものであり、その隙間は枠部材の屋内側外周面に沿って配される断熱パッキンによって埋められることが記述されているが、枠部材と軸組の隙間が断熱パッキンを押し潰した状態の厚さよりも狭い場合は、パネル体の取り付けの際に断熱パッキンが擦られて脱落してしまい、また断熱パッキンの自己弾性力で復元した状態の厚さよりも広い場合は、枠部材と軸組の間を埋めることができず、いずれも断熱性、気密性の低下やその部位近傍への結露の発生を招くものであった。
【0004】
さらに、耐力壁用面部材は外部との間に、外壁材もしくは空気層を介するのみで外部の温度の変化の影響を受け易く、特に冬期の暖房使用時に於いて、耐力壁用面部材と断熱部材との境界部分に結露を生じる危惧があった。また、耐力壁用面部材と軸組が当接している部分および枠部材が熱橋になり易く、断熱性能に改善の余地があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような欠点を除去するために、略矩形の面材と、面材の表面における相対する少なくとも2辺の縁辺に沿った所定幅である釘打部を除いた範囲に面材と一体に配した断熱層と、一方の釘打部の表面において断熱層の側面と接するように載置し、所定幅に亘って釘打部の側方に突出し、断熱層と同一の厚みを有する副断熱部と、断熱層と副断熱部の表面を平滑に跨いだシート材とを有し、副断熱部はその表面全域を被覆するシート材と接着しかつ外側には表面側が突出する第1段差部を形成し、また副断熱部を配さない側の釘打部に隣接する断熱層の側面には表面側が欠切する第2段差部を形成した断熱パネルを提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて、本発明に係る断熱パネルについて詳細に説明する。図1(a)〜(c)は本発明に係る断熱パネルの一例であり、Aは断熱パネル、1は面材、2は断熱層、3〜5は副断熱部、6は第1段差部、7は第2段差部、8は第3段差部、9は第4段差部、10はシート材、11は副断熱部3を回動させる軸、12は副断熱部4を回動させる軸、13は副断熱部5を回動させる軸、14〜17は釘打部である。
【0007】
面材1は略矩形で所定の規格寸法を有し、耐力壁としての強度ないし機能を備えているもので、例えばJAS規格に適合する構造用合板やJIS規格に適合するパーティクルボード、MDF等からなり、所定の気密性、防湿性を有するもので、2種以上の複合板でも良い。また、各種鉄板を用いることもできる。
【0008】
断熱層2は、面材1の表面に縁辺に沿った所定幅である釘打部14〜17を除いた範囲に面材1と一体に配し、所定厚みを有するものであり、例えばスチレンフォーム(スチレンボード)、ポリウレタンフォーム(ウレタンボード)、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるものである。断熱層2は、予めボード状に形成されたものを接着剤等で貼着しても良いが、面材1と一体に発泡、形成したものを用いるのが面材1との接着力が高く、製造が容易で好ましい。
【0009】
副断熱部3は、断熱層2と同一の厚みを有し、面材1の表面における長手方向の端縁の所定幅に亘って形成した釘打部14の表面に、断熱層2の側面と接するように載置し、かつ所定幅に亘って釘打部14の側方に突出するものであり、例えばスチレンフォーム(スチレンボード)、ポリウレタンフォーム(ウレタンボード)、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるもので、断熱層2と同じ材質でも異なる材質でも良い。
【0010】
副断熱部3は、その表面全域を被覆するシート材10にのみ接着し、断熱層2の側面、および釘打部14とは接着しておらず、従って断熱層2とはシート材10によってのみ繋がっており、図1(b)に示すように、シート材10の断熱層2と副断熱部3との境界の軸11を中心として回動可能なものであって、所定幅に亘って釘打部14の側方に突出している。
【0011】
副断熱部3は、上述した構成により、断熱パネルAを躯体Bに釘打ちする際には図1(b)に示すように副断熱部4を回動させて釘打部14を露出させ、釘打ち終了後には図1(a)に示す状態に戻すことにより、釘打ちを容易に行うことができ、かつ釘打部14が断熱欠損部とならないようにすることができる。なお、点線で示した軸11の両端には、実線で示した切れ込み11aを有するものである。
【0012】
副断熱部4は、断熱層2と同一の厚みを有し、面材1の表面の幅方向の端縁の所定幅に亘って形成した釘打部16の表面に、断熱層2の側面と接するように載置し、釘打部16の端縁から外方には突出しないものであり、副断熱部3と同様、断熱層2と同じ材質でも異なる材質でも良い。
【0013】
副断熱部4は、その表面全域を被覆するシート材10にのみ接着し、断熱層2の側面、および釘打部16とは接着しておらず、従って断熱層4とはシート材10によってのみ繋がっており、図1(c)に示すように、シート材10の断熱層2と副断熱部3との境界の軸12を中心として回動可能なものである。上述した構成により、断熱パネルAを躯体Bに釘打ちする際には図1(c)に示すように副断熱部4を回動させて釘打部16を露出させ、釘打ち終了後には図1(a)に示す状態に戻すことにより、釘打ちを容易に行うことができ、かつ釘打部16が断熱欠損部とならないようにすることができる。
【0014】
副断熱部5は、断熱層2と同一の厚みを有し、面材1の表面の長手方向に沿った中央部の所定幅に亘って形成した釘打部17の表面に、その両側面を断熱層2の側面と接するように載置し、副断熱部3、4と同様、断熱層2と同じ材質でも異なる材質でも良い。
【0015】
副断熱部5は、その表面全域を被覆するシート材10にのみ接着し、断熱層2の側面、および釘打部17とは接着しておらず、従って断熱層2とはシート材10によってのみ繋がっており、図1(b)に示すように、シート材10の断熱層2と副断熱部5との境界の軸13を中心として回動可能なものである。上述した構成により、断熱パネルAを躯体Bに釘打ちする際には図1(b)に示すように副断熱部5を回動させて釘打部17を露出させ、釘打ち終了後には図1(a)に示す状態に戻すことにより、釘打ちを容易に行うことができ、かつ釘打部17が断熱欠損部とならないようにすることができる。なお、13aは切断線であり、シート材10は切断線13aにおいて切断されている。
【0016】
第1段差部6は、副断熱部3の側面に形成し、外側面において表面側を突出させ、裏面側に面した平滑面6aを形成するものである。
【0017】
第2段差部7は、断熱層2の副断熱部3と相対する側の幅方向の端縁に形成したもので、外側面において表面側を欠截し、面側に面した平滑面7aを形成するもので、隣接する断熱パネルAの第2段差部を形成した際に、平滑面6aと平滑面7aを施工時に重ね合わせ、接触させることで断熱欠損部を皆無とすることを可能とし、断熱下地の断熱性の向上に有効である。
【0018】
第3段差部8は、副断熱部5の一方側面に形成し、表面側を突出させて平滑面8aを有し、第4段差部9は、断熱層2の副断熱部5と当接する側に形成し、表面側を欠截して平滑面9aを有するものであり、第3段差部8と第4段差部9はそれぞれ合致する形状に形成する。第3段差部8と第4段差部9を、それぞれ合致する形状に形成することにより、副断熱部5を回動した際に、断熱層2、副断熱部5が擦れて削れたり、圧縮されたりして一部欠けることがあっても、釘打後に副断熱部5を回動させて平滑面8aと平滑面9aを接触させることにより、断熱欠損部を皆無とすることを可能とし、断熱下地の断熱性の向上に有効である。
【0019】
シート材10は、断熱層2と副断熱部3〜5を平滑に跨ぐシート状物からなり、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、遮音性シート、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物、もしくは通気性防水シート等からなるものである。
【0020】
シート材10は、断熱層2と副断熱部3〜5を表面において平滑に跨いでかつ断熱層2、副断熱部3〜5の全てと接着しており、かつ、副断熱部3〜5は面材1及び断熱層2と分離していることから、副断熱部3は軸11を、副断熱部4は軸12を、副断熱部5は軸13をそれぞれ中心として、回動可能となる。
【0021】
釘打部14〜17は、断熱パネルAを躯体Bに釘打ちする範囲であり、釘打部14〜17は面材1の表面に縁辺に沿った所定幅の部分、釘打部17は面材1の表面の長手方向に沿った中央部の所定幅の部分であって、断熱パネルAの釘打後は何れも副断熱部3〜5によって隠蔽される。
【0022】
ここで、断熱パネルAを躯体Bに取り付ける過程について図2〜図10を用いて説明する。まず、図2に示すように、軸11を中心として副断熱部3を、かつ軸13を中心として副断熱部5を回動させた断熱パネルA1 を、予め取り付けておいた断熱パネルA0 と隣接する位置に配し、図3に示すように釘打部14、15、17において釘、ビス等の固定具αによって躯体Bに固定する。次に、図4に示すように、副断熱部3、5を回動させ、図5に示すように釘打部14、17を隠蔽すると共に、断熱パネルA0 の第2段差部7の平滑面7aと断熱パネルA1 の第1段差部6の平滑面6aとを接触させる。
【0023】
次に、図6に示すように、軸12を中心として副断熱部4を回動させて露出させた釘打部16に固定具αを打ち込み、断熱パネルA1 を躯体Bに完全に固定し、図7に示すように、副断熱部4を回動させて釘打部16を隠蔽し、断熱パネルA1 の取り付けを完了する。上述した工程を繰り返して、断熱パネルA2 、A3 と連続して躯体Bに取り付けていくことにより、躯体Bの外側に図8に示すような断熱欠損部や熱橋のない外断熱層21を形成することができる。
【0024】
図8中の点線で囲んだa部の拡大図である図9に示すように、断熱パネルA1 の第2段差部7の側面と、断熱パネルA2 の第1段差部6の側面の間には、△Sの隙間が生じるが、断熱パネルA1 の第2段差部7の平滑面7aと断熱パネルA2 の第1段差部6の平滑面6aとを接触させることにより、断熱欠損部になることがない。また、平滑面6a、7aの幅の範囲において、断熱パネルAの取り付け位置の誤差を許容することができる。
【0025】
次に、図10に示すように外断熱層21の表面から、胴縁22を取り付け、任意の外装材を取り付けることによって外壁の形成を完了するものである。
【0026】
なお、本発明に係る断熱パネルは、図11(a)〜(c)〜図14(a)、(b)に示すような構成を採ることもできる。すなわち、図11(a)は、断熱層2と副断熱部5の両接面を斜めに形成し、軸13を中心とした副断熱部5の回動を容易ならしめた断熱パネルAの例である。図11(b)は、図11(a)に示した断熱パネルAにおいて、平滑面8a、9aを形成した例である。図11(c)は、図11(b)に示した断熱パネルAにおいて、軸13側の接面にも平滑面を形成した例である。
【0027】
図12(a)は、断熱層2と副断熱部5の軸13と相対する位置の接面を、軸13を中心とした円の部分的な線を型取ることにより、軸13を中心とした副断熱部5の回動を容易ならしめ、断熱層2と副断熱部5の摩耗や欠落を防止した断熱パネルAの例である。図12(b)は、図12(a)に示した断熱パネルAにおいて、平滑面8a、9aを形成した例である。図12(c)は、断熱層2と副断熱部5の軸13と相対する位置の接面のみを斜めに形成した例である。
【0028】
図13(a)は、第1段差部6、第2段差部7を2段とし、平滑面6a、7aを2つ形成することにより、施工後の気密性の向上を図った例である。図13(b)は、第1段差部6に凹部6bを、第2段差部7に凸部7bを形成し、凹部6b、凸部7bをそれぞれ合致する形状とすることにより、副断熱部6の回動時に凹部6bと凸部7bを嵌合させ、施工後の気密性の向上を図った例である。図13(c)は、平滑面6a、7aをそれぞれ斜めに形成した例である。
【0029】
図14(a)、(b)は、釘打部14〜17に接着性部材23を配した例であり、胴縁22の取り付け前に副断熱部3〜5を接着することによって浮かび上がるのを防止し、施工を容易ならしめるものである。ここでは、接着性部材23を釘打部14〜17の全域に配した例を示しているが、部分的であっても構わない。接着性部材23は、両面テープ等からなり、各釘打部14〜17における釘打前、もしくは釘打後に離型紙を剥して、接着可能とするものである。
【0030】
なお、本発明は、上述した各構成を任意に組み合わせることが可能である。
【0031】
さらに、面材1の外側に、遮音シート、あるいは遮音ボードを形成し、遮音性を向上した断熱パネルAとすることもできる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る断熱パネルには、▲1▼副断熱部は断熱層との境界部近辺のシート材を軸として回動可能となるため、一旦副断熱部を回動させて釘打部を露出させつつ釘打を行い、釘打完了後に釘打部を副断熱部を被覆することができ、さらに第1段差部と第2段差部を係合させることにより、断熱欠損部のない理想的な外断熱構造を形成することができる。▲2▼第1段差部と第2段差部の幅の範囲において、となり合う断熱パネル同士の間隔の誤差を吸収し、確実に外断熱構造を形成することができる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱パネルの説明図である。
【図2】施工順序を示す説明図である。
【図3】施工順序を示す説明図である。
【図4】施工順序を示す説明図である。
【図5】施工順序を示す説明図である。
【図6】施工順序を示す説明図である。
【図7】施工順序を示す説明図である。
【図8】施工順序を示す説明図である。
【図9】断熱パネル同士の接合部の部分拡大図である。
【図10】施工順序を示す説明図である。
【図11】本発明の断熱パネルの変形例である。
【図12】本発明の断熱パネルの変形例である。
【図13】本発明の断熱パネルの変形例である。
【図14】本発明の断熱パネルの変形例である。
【符号の説明】
α 固定具
A 断熱パネル
B 躯体
1 面材
2 断熱層
3 副断熱部
4 副断熱部
5 副断熱部
6 第1段差部
6a 平滑面
6b 凹部
7 第2段差部
7a 平滑面
7b 凸部
8 第1段差部
8a 平滑面
9 第2段差部
9a 平滑面
10 シート材
11 軸
11a 切れ込み
12 軸
13 軸
13a 切断線
14 釘打部
15 釘打部
16 釘打部
17 釘打部
21 外断熱層
22 胴縁
23 接着性部材

Claims (1)

  1. 略矩形の面材と、面材の表面における相対する少なくとも2辺の縁辺に沿った所定幅である釘打部を除いた範囲に面材と一体に配した断熱層と、一方の釘打部の表面において断熱層の側面と接するように載置し、所定幅に亘って釘打部の側方に突出し、断熱層と同一の厚みを有する副断熱部と、断熱層と副断熱部の表面を平滑に跨いだシート材とを有し、副断熱部はその表面全域を被覆するシート材と接着しかつ外側には表面側が突出する第1段差部を形成し、また副断熱部を配さない側の釘打部に隣接する断熱層の側面には表面側が欠切する第2段差部を形成することを特徴とする断熱パネル。
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