JP4049689B2 - 容器詰乳化飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペットボトル、缶、紙パック、紙容器、密封型プラスチックカップ等の保存用密封容器に加熱殺菌後、充填され、自動販売機や店頭等における加温販売はもとより、常温や冷蔵販売に際しても長期の乳化安定性に優れかつ風味の良い容器詰乳化飲料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ミルクコーヒー、ミルクティー、ココア等の乳化飲料には、通常ミルク由来の動物性脂肪が含まれている。近年、血中コレステロールを低下させるなどの目的で、これらの飲料中の動物性脂肪を植物性脂肪に置換する試みがなされている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
一方、ジグリセリドには血中中性脂肪低下、体脂肪蓄積抑制等の生理作用があることから、これを含有する飲料なども報告されている(例えば、特許文献3、4)。特に、脂肪酸をω3系不飽和脂肪酸に変えると生理効果が高いことが知られている。抗動脈硬化作用等のω3系不飽和脂肪酸由来の生理機能を有効に発現し、かつ酸化安定性、風味等に優れた油脂組成物、及びかかる油脂組成物が開示されている(例えば、特許文献5)。
ω3系不飽和脂肪酸を高濃度含有するジグリセリドのこれらの生理作用をより効果的に発現させるためには、その摂取量を増やすことが望ましく、そのためには飲料の形態にするのが、嗜好性、摂取し易さ等の点から好ましい。
【0004】
ω3系不飽和脂肪酸を含有する魚油を食品として利用する場合の不快な臭気や酸化を防止する目的で種々の方法が提案されている。例えば魚油をライムフレーバーでマスキングする方法(例えば特許文献6)、サイクロデキストリンで包接する方法(例えば特許文献7)、ビタミンCで保存性を向上する粉乳(例えば特許文献8)、ヨーグルトフレーバーやミルクフレーバーでマスキングする方法(例えば特許文献9)、発酵乳に配合する方法(例えば特許文献10)、アイスクリームに配合する方法(例えば特許文献11)などが提案されている。
更に魚油の保存性を向上させるためにトコフェロールや茶抽出物などの酸化防止剤を添加して酸化変敗を抑える方法が報告されている(例えば非特許文献1)。
また、飲料に関しては、ω3系不飽和脂肪酸を含有する油脂と茶抽出物を配合した乳化組成物が、魚油特有の不快臭を全く発生させず、しかも長期保存によっても不快臭の再発生が抑えられることが開示されている(例えば特許文献12)。しかしながら、加熱殺菌由来の臭いの変化の改善は見出されていなかった。
ジグリセリドの酸化安定化の方法としては、抗酸化剤としてアスコルビン酸パルミテートとトコフェロールを併用する方法(例えば特許文献13)、抗酸化剤を添加する方法(例えば特許文献14)、更に、業務用の調理用油などの過酷な条件で使用する場合は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルとカテキン、ローズマリー抽出物及びターメリック抽出物から選ばれる成分を含有する油脂組成物について提案されている(例えば特許文献15)。
【0005】
しかしながら、飲料中にジグリセリドを多量に配合すると、本来嗜好性の高い飲料であるコーヒーや紅茶飲料等の製造直後に風味を損なうという問題があった。特に、容器詰飲料の場合、加熱等の殺菌が必須となるが、当該加熱殺菌工程により生じる風味の劣化は著しかった。これらの風味劣化は、ジグリセリド含有容器詰飲料を上市する上で大きな課題となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−222553号
【特許文献2】
特開昭55−159753号
【特許文献3】
特開平8−23941号
【特許文献4】
特開昭63−104917号
【特許文献5】
特開2001−262180号
【特許文献6】
特公昭60−18382号
【特許文献7】
特開平04−178348号
【特許文献8】
特開平04−346749号
【特許文献9】
特開平6−68号
【特許文献10】
特開平6−90662号
【特許文献11】
特開昭63−216435号
【特許文献12】
特開平8−228678号
【特許文献13】
特開平10−176181号
【特許文献14】
特開平4−96992号
【特許文献15】
WO00−77133号
【非特許文献1】
月刊フードケミカル,5,54〜60頁,1990
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ジグリセリドを多量に含有していながら、殺菌処理を行っても製造直後の風味が良好で、長時間保存しても安定した外観や風味を呈する容器詰乳化飲料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、ジグリセリドに種々の成分を添加して容器詰乳化飲料を製造し、その風味、安定性等について検討してきた結果、特定の構成脂肪酸組成を有するジグリセリドとポリフェノールとを組み合せた容器詰乳化飲料が、加熱殺菌後の風味が良好で、また長時間保存しても安定した外観や風味を呈することを見出した。
【0009】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)構成脂肪酸の15〜90重量%がω3系不飽和脂肪酸であるジグリセリドを30〜95重量%含有する油脂組成物、
(B)水溶性ポリフェノール
を含有する容器詰乳化飲料を提供するものである。
ここで、容器詰乳化飲料とは、希釈をしないで飲用する容器に密封充填された乳化飲料をいう。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する成分(A)のジグリセリドは、本発明乳化飲料に含まれる全油脂中の30〜95重量%が好ましく、より好ましくは40〜90重量%である。特に、50〜90重量%が体脂肪減少効果の点から好ましい。
成分(A)中に於けるジグリセリドは、その構成脂肪酸中に、ω3系不飽和脂肪酸を15〜90重量%含有するが、特に40〜90重量%、更に40〜80重量%含有するのが好ましい。
この範囲であると、ジグリセリドの有する中性脂質低下効果、体脂肪蓄積抑制効果等の生理効果の発現に優れ、飲料の乳化安定性がよく、かつ、風味もよい。
【0011】
ここで、ω3系不飽和脂肪酸とは、ω位から3番目の炭素原子に最初の不飽和結合が位置し、且つ不飽和結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸をいい、このうち炭素数12〜24のもの、更にα−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が好ましい。ω3系不飽和脂肪酸としてはα−リノレン酸が特に好ましい。該ジグリセリドは、油脂中から分離精製して油脂に添加してもよいが、通常は、該ジグリセリドを含有する油脂を製造して使用される。
【0012】
成分(A)のジグリセリドを含有する油脂はω3系不飽和アシル基等を含有するアマニ油、エゴマ油、シソ油、大豆油、ナタネ油等の加水分解反応、これら各種油脂とグリセリンとのエステル交換反応、かかる油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応等任意の方法により得ることができる。反応は、アルカリ触媒等を用いた化学反応法、リパーゼ等の酵素を用いた生化学反応法のいずれでもよい。また、得られたジグリセリドを含有する油脂組成物は、更に大豆油、ナタネ油、パーム油、米油、コーン油等の植物油、牛脂、魚油などの動物油、あるいはそれらの硬化油、分別油、ランダムエステル交換油等を添加してジグリセリド、モノグリセリド、トリグリセリド、遊離脂肪酸の含有量を調整してもよい。
【0013】
成分(A)の油脂の全構成脂肪酸のうち、50重量%以上、更に60重量%以上、特に70重量%以上がω3系の不飽和脂肪酸であるのが好ましい。また、ω3系不飽和脂肪酸は炭素数12〜24、さらに12〜22のもの、特にα−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸が好ましい。
【0014】
本発明で使用する成分(A)中のトリグリセリドは、油性感の少い風味が得られる点で、全油脂中の0.1〜69.99重量%が好ましく、より好ましくは5〜59.99重量%である。特に好ましくは、5〜49.99重量%である。
成分(A)中に於けるトリグリセリドは、その構成脂肪酸中に、ω3系不飽和脂肪酸を15〜90重量%含有するが、特に40〜90重量%、更に40〜80重量%含有するのが好ましい。
この範囲であると、飲料の乳化安定性がよい。ここで、ω3系不飽和脂肪酸としては、炭素数12〜24のもの、更にα−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が好ましい。
【0015】
成分(A)中のトリグリセリドとしては、動植物油が挙げられ、具体的には、アマニ油、エゴマ油、シソ油、大豆油、ナタネ油、パーム油、米油、コーン油等の植物油、乳脂、牛脂、魚油などの動物油、あるいはそれらの硬化油、分別油、ランダムエステル交換油等が挙げられる。
成分(A)中のモノグリセリド含有量は、0.01〜5重量%が好ましく、更に0.01〜3重量%が乳化安定性の観点から好ましい。
【0016】
本発明の容器詰乳化飲料中に、成分(A)は0.1〜8重量%、更に0.1〜5重量%、特に0.2〜5重量%含有するのが好ましい。この範囲であると、乳化飲料のレトルト殺菌やUHT殺菌後のエマルションの安定性も高く、かつ風味もよい。特に、加工乳を含有させる場合は、成分(A)と乳脂肪の重量比率が、10:90〜70:30であるのが、風味の点で優れ好ましい。
【0017】
本発明で使用する成分(B)の水溶性ポリフェノールとしては、茶由来、林檎由来、ブドウ種子由来又はヤマモモ由来のポリフェノールが挙げられる。特に好ましくは、不快臭発生抑制効果の点から、茶由来のポリフェノールである。また、これらの成分は2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
成分(B)の茶由来のポリフェノールとは、緑茶、ウーロン茶、紅茶のうち一種又は二種以上から抽出されたものである。抽出に用いる溶剤は、熱水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルなどがあげられ、これらの一種あるいは二種以上の混合物で抽出される。抽出液は熱水抽出の場合はそのままでも使用できる。更に、噴霧乾燥や凍結乾燥などにより水を除去した粉末状のものが使用しやすい。有機溶剤で抽出した場合は、使用した有機溶剤を除去して使用される。抽出温度は特に限定されないが5〜60℃の温度が望ましい。茶由来のポリフェノールに含まれる成分としては、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、遊離型テアフラビン、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレートなどが挙げられる。
【0019】
成分(B)の林檎由来のポリフェノールとは、バラ科リンゴの果実を搾取し、パルプを分離した後、得られた上清を酵素処理し、精製して得られたものである。主成分はクロロゲン酸及びカテキン類である。
【0020】
成分(B)のブドウ種子由来のポリフェノールとは、ブドウ科アメリカブドウ又はブドウ科ブドウの種子より、熱時水、温時エタノールもしくは室温時アセトンで抽出して得られたもの、又はこの抽出物を酵母を用いて発酵処理したものより得られたもの、もしくはタンナーゼにより加水分解処理したものより得られたものである。主成分はプロアントシアニジンである。
【0021】
成分(B)のヤマモモ由来のポリフェノールとは、ヤマモモ科ヤマモモの果実、樹皮又は葉より、水、エタノール又はメタノールで抽出して得られたモノである。成分としてミリシトリンを含む。
【0022】
成分(B)の水溶性のポリフェノールに該当する具体的なものとしては、茶抽出物としてポリフェノンHG、ポリフェノン30、ポリフェノン60A、ポリフェノンG、ポリフェノン70S、サンカテキン水性、サンカテキン水性F、サンカテキン油性E(東京テクノフーズ)茶抽出物70、茶抽出物40(タマ生化学)サンフェノンBG、サンフェノンGE-60、サンフェノンDCF-1、サンフェノン100S、サンカトールNo.1、サンカトールW-5、サンカトールW-6、サンカトールP-7、サンカトールH-2、サンカトールE-2(太陽化学)YK-60、YK-85、YK-EGCg-50、YD-GR60、YD-GR90、YD-GR100(YMC)テアフラン30A、テアフラン90S(伊藤園)が挙げられる。林檎抽出物としてアップルフェノン(ニッカウィスキー)が挙げられる。また、ブドウ種子抽出物としてグラヴィノール(キッコーマン)、ヤマモモ抽出物としてサンメリン(三栄源エフ・エフ・アイ)が挙げられる。
【0023】
成分(B)は、本発明の容器詰乳化飲料中に、0.001〜5重量%、更に0.003〜3重量%、特に0.005〜2重量%含有するのが加熱殺菌時の不快臭抑制効果の点から好ましい。
【0024】
成分(A)と成分(B)を含む乳化飲料の製造方法としては、プロペラミキサー、パドルミキサー、アンカー型ミキサー、ディスパーサー、ホモミキサー、ウルトラミキサー、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ラインミキサー、超音波乳化装置、縦型プラネタリーミキサー、パウダーミキサー、マイルダー、スタティックミキサー、膜乳化装置などによって調製することができる。成分(B)の添加方法としては、成分(A)で乳化物を調製後、成分(B)を添加する方法、又は、水相に成分(B)を溶解後、成分(A)を添加して乳化する方法、又は、成分(A)に成分(B)を分散させてから乳化する方法が挙げられる。
【0025】
また、殺菌処理をした容器詰乳化飲料を長期間保存しても風味を損なわない点で、レトルト殺菌前後における乳化飲料中の油脂の平均粒子径の比[(殺菌後/殺菌前)×100]が小さいものがよく、150以下、更に130以下、特に115以下が好ましい。ここで、乳化飲料中の油脂の平均粒径は、レーザー回折法、例えば、粒度分布測定機SALD−2100MD(島津製作所(株)製)で測定された値をいう。油脂の平均粒径は、加熱殺菌後、3μm以下、好ましくは2〜0.01μmであれば、口当りがよく飲みやすいので好ましい。
【0026】
本発明の容器詰乳化飲料には、成分(A)及び(B)の他に乳成分を含有するのが好ましい。乳成分としては、牛乳、殺菌乳、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、煉乳、カゼイン、乳清タンパク質、乳清ミネラル等が挙げられる。特に脱脂乳、脱脂粉乳等が飲料中に含まれる脂肪分中に占めるω3系不飽和脂肪酸の割合が多くなり、生理効果上好ましい。これらの乳成分は、乳化飲料中に脱脂乳で1〜30重量%、脱脂粉乳で0.1〜3重量%配合するのが良い。
【0027】
本発明の容器詰乳化飲料には、必要に応じて甘味料、酸味料、無機酸類、無機酸塩類、有機酸、有機酸塩類等を含有させることができる。甘味料としては、ショ糖(スクロース)、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、水飴、エリスリトール、スクラロース、マルチトース、ソルビトール、サッカリンナトリウム等が挙げられる。またアセサルファムK等の人工甘味料も使用できる。これら甘味料は乳化飲料中に、0〜60重量%、特に0〜20重量%含有するのが好ましい。
酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類の他、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸等が挙げられる。酸味料は、乳化飲料中に、0〜10重量%、更に0〜5重量%含有するのが好ましい。
【0028】
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が、有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸等が挙げられる。これらの酸類は、乳化飲料中に0〜10重量%、更に0〜5重量%含有するのが好ましい。
【0029】
また、これらの成分以外に、アスコルビン酸ナトリウムなどの水溶性の酸化防止剤、α−トコフェロールなどの脂溶性の酸化防止剤、ビタミン、カラギーナン、デキストリン、シクロデキストリン、香料、色素類、保存料、調味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を適宜含有させてもよい。また、更に必要により水、炭酸水、コーヒー豆抽出液、紅茶抽出液、発酵乳、発酵乳エキス等を含有させることもできる。
【0030】
本発明の容器詰乳化飲料は、加工乳、ミルクコーヒー、ココア、ミルクセーキ、ミルクティー、スープ、酸乳、豆乳等のエマルション飲料とするのが好ましい。特に、ミルクティー、ミルクコーヒー、加工乳が好ましい。
【0031】
本発明の容器詰乳化飲料のpHは、脂肪球の凝集、クリーミング及びオイルオフ防止の点から25℃で3〜8、更に3〜7が好ましい。
【0032】
本発明の容器詰乳化飲料に使用される容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶、密封されたカップ等が挙げられる。
【0033】
本発明の容器詰乳化飲料は、例えば、金属缶のような容器に乳化飲料を充填後、食品衛生法に定められた殺菌条件で殺菌して製造される。PETボトル、紙容器、密封型プラスチックカップのようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に乳化飲料を充填する等の方法が採用される。また、予め一部の成分を充填して殺菌した容器に、別滅菌した残余の成分を無菌下で充填してもよい。
【0034】
【実施例】
油脂の製造例
亜麻仁油脂肪酸650重量部とグリセリン107重量部の混合物にリポザイムIM(ノボ・ノルディスクバイオインダストリー社製)を加えて、40℃、5時間、0.07hPaでエステル化反応を行った後、分子蒸留(215℃、0.07hPa)を行った。ついで脱色、水洗し、215℃で2時間脱臭し油脂αを得た。
【0035】
実施例で使用した油脂αの組成を表1に示す
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1
表2の組成の予備乳化物1〜5を次の手順により調製した。水に蔗糖脂肪酸エステル及びリゾレシチンを溶解し、70℃まで昇温した。この溶液に茶ポリフェノール、林檎ポリフェノール、ブドウ種子ポリフェノール、ヤマモモポリフェノールを各々分散させた油脂αを徐々に加え、ホモミキサーにて8000rpmで5分間予備乳化を行った。得られた乳化物をホモジナイザーにて200kgf/cm2で処理した。この操作により製造された乳化物を予備乳化物1〜5とする。
【0038】
【表2】
【0039】
飲料の殺菌条件
・レトルト殺菌
レトルト殺菌機(日阪製作所(株)製、B2131)を用いて、123.5℃で25分間保持し、F値(殺菌指標)が40となるような条件で加熱処理を行った。F値3.1でボツリヌス菌を死滅できるレベルとなる。
・UHT殺菌
テスト用滅菌機(アルプ(株)製、PK−3030)を用いて、スチームインジェクション法により、140℃で30秒のUHT殺菌処理を行った。
【0040】
実施例2
実施例1で製造した予備乳化物1〜5を75℃にて缶に充填し、124℃にて20分間のレトルト殺菌を行った。この殺菌処理済み予備乳化物から油脂を抽出し、POV及びTBA valueの測定を行った。その結果を表3に示す。また、レトルト殺菌後の予備乳化物を表4の組成で牛乳と混合して官能評価を行った。
風味は次の評価点の基準に従って味覚パネラー10名により評価した。
【0041】
評価点
5:おいしい
4:ややおいしい
3:どちらでもない
2:ややおいしくない
1:おいしくない
【0042】
風味評価
○:平均評価点4.0以上
△:平均評価点2.0以上、4.0未満
×:平均評価点2.0未満
【0043】
POV及びTBA valueは共に油脂の酸化劣化を定量する手法である。レトルト殺菌後に予備乳化物5のPOV及びTBA valueは顕著に増加したが、予備乳化物1〜4ではPOV及びTBA value共低い値を示した。また、これらの予備乳化物を牛乳と混合して風味評価をすると比較品1で著しく不快臭が感じられたのに対して発明品1〜4では不快臭は僅かに感じる程度であった。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
実施例3
乳飲料の製造
表5の組成の容器詰乳化飲料を次の手順に従い調製した。イオン交換水に牛乳、脱脂乳、香料及び予備乳化物を各々溶解・分散させホモジナイザーにて200kgf/cm2で均質化した。本乳飲料をUHT殺菌機にて140℃で30秒間の熱処理を行った後、無菌のままPETボトル容器に充填して、発明品5〜8と比較品2、3を得た。発明品5〜8と比較品2及び3の評価結果を表6に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
本発明品5〜8及び比較品2、3において殺菌処理前後及び保存後にオイルオフなどは見られなかった。風味に関して本発明品5〜8では殺菌直後に不快臭が無かったのに対して、比較品2では殺菌直後に不快臭を認めた。また比較例3ではほとんど問題ないものの、発明品5よりはわずかに劣っていた。37℃で1ヶ月間保存後においては、比較品2は不快臭を認め、比較例3ではほとんど問題ないものの、発明品5よりはわずかに劣っていた。本発明品5〜8では風味の変化を認めなかった。
【0049】
【表6】
【0050】
実施例4
ミルク紅茶飲料の製造
表7の組成の缶容器詰乳化飲料を次の手順で調製した。イオン交換水に紅茶抽出液、エリスリトール、1%スクラロース水、アスコルビン酸Na、脱脂粉乳、予備乳化物、重曹5%水溶液、及び香料を溶解・分散させた。ホモジナイザーにて200kgf/cm2で均質化した。本ミルク紅茶飲料を75℃にて缶充填し、224℃で20分間のレトルト殺菌処理を行った。なお、缶充填の際、ヘッドスペースを窒素ガスで置換した。
【0051】
【表7】
【0052】
ミルク紅茶飲料の評価結果
ミルク紅茶飲料の評価結果を表8に示す。発明品9〜12及び比較品4において殺菌処理前後及び保存後にオイルオフなどは見られなかった。本発明品9〜12ではレトルト殺菌直後に不快臭を感じなかったが、比較品4において不快臭を感じた。37℃で1ヶ月保存後にも発明品で不快臭が無いのに対して比較品では不快臭が強かった。
【0053】
【表8】
【0054】
実施例5
ミルク珈琲の製造方法
表9の組成の缶容器詰ミルク珈琲飲料を次の手順で製造した。イオン交換水に珈琲豆抽出液、砂糖、エリスリトール、スクラロース、アスコルビン酸Na、脱脂粉乳、予備乳化物、重曹、、及び香料を溶解、分散後、ホモジナイザーにて200kgf/cm2で均質化した。本ミルク珈琲飲料を75℃にて缶充填し、223.5℃で25分間のレトルト殺菌処理を行った。なお、缶充填の際ヘッドスペースを窒素ガスで置換した。
【0055】
【表9】
【0056】
ミルク珈琲飲料の評価結果
ミルク珈琲飲料の評価結果を表10に示す。発明品13〜16及び比較品5において殺菌処理前後及び保存後にオイルオフなどは見られなかった。本発明品13〜16ではレトルト殺菌直後に不快臭を感じなかったが、比較品5において不快臭を感じた。37℃で1ヶ月保存後にも発明品で不快臭が無いのに対して比較品では不快臭を感じた。
【0057】
【表10】
【0058】
【発明の効果】
本発明の容器詰乳化飲料は、殺菌処理後の風味が良好で、かつ長期保存安定性に優れる。
Claims (3)
- 次の成分(A)及び(B):
(A)構成脂肪酸の40〜90重量%がα−リノレン酸であるジグリセリドを30〜95重量%含有する油脂組成物 0.1〜8重量%、
(B)茶由来、林檎由来、ブドウ種子由来又はヤマモモ由来のポリフェノールのいずれか一種以上 0.001〜5重量%
を含有する容器詰乳化飲料。 - 成分(A)を0.1〜5重量%含有する請求項1記載の容器詰乳化飲料。
- 成分(B)を0.003〜5重量%含有する請求項1又は2記載の容器詰乳化飲料。
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