JP4046925B2 - セラミック体、触媒担持能を有するセラミック担体、セラミック触媒体およびその製造方法 - Google Patents

セラミック体、触媒担持能を有するセラミック担体、セラミック触媒体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の排気ガスを浄化する触媒を担持するコーディエライトハニカム構造体等のセラミック担体とこれを用いたセラミック触媒体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス浄化用触媒の触媒担体としては、従来より、耐熱衝撃性に優れたコーディエライトのハニカム構造体の表面をγ−アルミナで被覆(コート)したものが広く使用されている。これは、コーディエライトハニカム構造体が比表面積が小さく、そのままでは必要な量の触媒成分を担持させることができないためで、比表面積が大きいγ−アルミナをコーディエライトハニカム構造体のセル壁表面にコートした後、Pt等の触媒成分を担持させている。
【0003】
近年、排ガス規制が強化されるのに伴い、エンジンスタート直後の炭化水素排出量を低減するため、触媒の早期活性化が要求されている。この要求に対応する方法の1つとして、触媒担体の熱容量を下げて、触媒を速やかに活性温度まで昇温させることが挙げられる。このため、従来の触媒担体において、熱容量を低減する方法としてコーディエライトハニカム構造体のセル壁厚を薄肉とすることが検討されている。ところが、薄肉化により熱容量を低減することは可能であるが、セル壁表面へのγ−アルミナのコート量は同じであるため、熱容量の低減効果が小さくなってしまう不具合があった。
【0004】
また、コーディエライトハニカム構造体のセル壁厚を薄くすることにより、圧損を低減する効果も期待できるが、γ−アルミナのコートによって、熱容量の場合と同様に低減効果が小さくなってしまう。加えて、コーディエライトハニカム構造体自体の熱膨張係数は約0.5×10-6/℃程度と小さいものの、γ−アルミナをコートすると、触媒担体としての熱膨張係数は約1.5×10-6/℃程度に大きくなる。そのため、耐熱衝撃性がコーディエライトハニカム構造体のみの場合より大幅に低下する問題があった。
【0005】
そこで、コーディエライトハニカム構造体自体の比表面積を向上させ、γ−アルミナの塗布を必要としないコーディエライトハニカム構造体を得る方法が、種々検討されている。例えば、特公平5−50338号公報には、コーディエライトハニカム構造体を酸処理および熱処理することにより、比表面積を向上させる方法が開示されている。この方法により、比表面積が1m2 /g以下から約30m2 /g程度まで向上することが記載されているが、この方法では、コーディエライトハニカム構造体の強度が著しく低下する問題がある。これは、酸処理により、コーディエライトからMgO、Al2 3 を選択的に溶出させることにより比表面積を向上させているため、コーディエライトの結晶格子そのものが破壊されてしまうからで、その結果としてハニカム構造体としての強度が低下することになる。
【0006】
ハニカム構造体の強度は、排ガス浄化用触媒コンバータに組付けるためには、ハニカム構造体の流路方向の圧壊強度が10MPa以上であることが必要である。この要求を満たそうとすると、上記従来方法の処理を施したコーディエライトハニカム構造体は、セル密度400cpsiでセル壁厚を150μmより薄くすることができない。ところが、セル密度400cpsiでセル壁厚150μmのコーディエライトハニカム構造体の熱容量は、同じセル密度でセル壁厚120μmのコーディエライトハニカム構造体を180g/Lのγ−アルミナで被覆したものと同等の熱容量となる。また、セル密度400cpsiでセル壁厚85μmのコーディエライトハニカム構造体が製造可能な現状を踏まえると、上記従来方法では、触媒担体としての熱容量の低減に効果があるとはいえない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記実情から、排ガス浄化用触媒用のコーディエライトハニカム構造体には、セル壁厚が120μm以下で流路方向の圧壊強度が10MPa以上であり、しかもγ−アルミナで被覆することなしに必要量の触媒成分を担持させることが可能であることが要求される。すなわち、本発明の目的は、セラミック担体自体に必要量の触媒成分を担持可能とすることにより、比表面積増加のためにγ−アルミナでコートする必要をなくし、自動車の排ガス浄化用触媒等の触媒担体に用いられて、熱容量および圧損を低減できるとともに、熱膨張係数を低下させることができるセラミック担体とセラミック触媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、セラミック担体に触媒成分を直接担持するために必要な細孔の条件に着目し、セラミック表面に、担持する触媒成分イオンの直径の1000倍以下、好ましくは1〜1000倍の直径あるいは幅の細孔を有し、この細孔が1×1011個/L以上、好ましくは1×1016個/L以上、より好ましくは1×1017個/L以上存在するセラミック担体が、γ−アルミナ等をコートすることなく、必要量の触媒成分を担持可能であることを見出した。この細孔は、具体的には、セラミック結晶中の酸素欠陥や格子欠陥といった欠陥、セラミック表面に形成される微細なクラック、セラミックを構成する元素の欠損、等によって形成できる。これら細孔は、少なくとも1種類がセラミック担体に形成されていればよく、複数種類を組み合わせて形成することもできる。
【0009】
セラミック担体は、例えば、理論組成が2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 で表されるコーディエライトを主成分として含有し、ハニカム形状の担体形状を有するコーディエライトハニカム構造体が好適に使用される。触媒成分イオンの直径は、通常、0.1nm程度であるので、コーディエライトハニカム構造体の表面に形成される細孔の直径あるいは幅は、その1〜1000倍の0.1〜100nm、細孔の深さは、触媒成分イオンの直径の1/2倍以上、つまり0.05nm以上であることが好ましい。セラミック担体は、このような細孔を上記所定数以上有することにより、必要な強度を確保しながら、触媒成分の直接担持を可能にする。
【0010】
セラミック担体が、酸素欠陥や格子欠陥からなる細孔を有する場合、細孔の数はコーディエライトハニカム構造体中の酸素量に大きく関係し、細孔を上記所定数以上とするためには、コーディエライトハニカム構造体の酸素量が47重量%未満もしくは48重量%より多くなるようにする。また、コーディエライト結晶の結晶軸のうち、b0 軸の格子定数が1.699nmより大きいまたは1.699nmより小さくなるようにするとよい。具体的には、コーディエライトハニカム構造体が、酸素欠陥あるいは格子欠陥の少なくとも1種類を単位結晶格子に1個以上有するコーディエライト結晶を4×10-6%以上、好ましくは、4×10-5%以上含有する、あるいは、酸素欠陥あるいは格子欠陥の少なくとも1種類をコーディエライトの単位結晶格子当たり4×10-8個以上、好ましくは、4×10-7個以上含有すると、セラミック担体の細孔の数が、1×1016個/L以上、好ましくは1×1017個/L以上となる。
【0011】
一般に触媒成分を担持する場合、触媒成分イオンを溶媒に溶解し、この溶液にセラミック担体を浸漬することによって触媒を担持している。従来のγ−アルミナでコートしたコーディエライトハニカム構造体の場合、触媒成分が担持されるγ−アルミナの細孔径は、通常、2nm程度であるが、触媒金属粒子は、通常、5nm程度とγ−アルミナの細孔径より大きい。このことからγ−アルミナの細孔は触媒金属粒子を保持するというよりは、触媒担持時に触媒成分イオンを保持するために必要と考えられる。触媒成分イオンの直径と、直径あるいは幅が同等以上の細孔、すなわち0.1nm以上の直径あるいは幅を有する細孔であれば、触媒成分のイオンを保持することが可能である。ただし、ハニカム構造体の強度を確保するためには、細孔の直径あるいは幅が触媒成分イオンの直径の1000倍程度以下であることが必要で、これは直径が0.1nmの場合、100nm以下となる。また、細孔の深さは、担持する触媒成分イオンの直径の1/2倍以上あれば、触媒成分イオンを保持可能である。
【0012】
欠陥やクラックからなる細孔は極めて微細であり、通常の方法では比表面積を測定することができないため、本発明では、所定量の触媒成分を担持するに必要な細孔の数を規定する。現在使用されている三元触媒に担持されている触媒金属は、ハニカム構造体の容積1L当たりにおよそ1.5gである。触媒金属が排ガス浄化性能を現すためには、触媒金属粒子の直径が1000nm程度好ましくは20nm程度より小さい必要がある。ハニカム構造体(容積1L)に担持されている触媒金属重量がW(g)で、その触媒金属全てが半径r(cm)の球であると仮定すると、担持された触媒金属粒子の数N(個)は次式(1)で求められる。式中、ρは触媒金属の密度(g/cm3 )である。
【0013】
【数1】
Figure 0004046925
【0014】
現在使用されている三元触媒と同じ1.5g/Lの白金が担持され、その白金粒子の直径が全て1000nmであるとすると、担持された白金粒子の数は、上記式(1)から1.34×1011個/L、20nmであるとすると1.67×1016個/Lである。ここで、白金の密度ρは21.45g/cm3 として求めた。触媒金属を担持するためには、触媒金属粒子1個に対しておよそ1個の細孔が必要であるため、触媒金属粒子を直接担持するために必要な細孔の数は、少なくとも1×1011個/Lないしそれ以上、好ましくは1×1016個/Lないしそれ以上である。また、触媒金属粒子の平均直径が全て10nm程度になると、浄化性能は三元触媒と同等となる。この時の触媒金属粒子の個数は、上記式(1)から1.34×1017個/Lであり、必要とされる細孔の数は、1×1017個/L以上であるとより好ましい。
【0015】
一方、セル壁厚100μm、セル密度400cpsi(1平方インチ当たりのセル個数)のコーディエライトハニカム構造体の重量は、容積1L当たり約230gである。これが全てコーディエライト(Mg2 Al4 Si1518)からなっていると、コーディエライト結晶の数は次式(2)で求められる。
【0016】
【数2】
Figure 0004046925
【0017】
コーディエライトハニカム構造体に酸素欠陥または格子欠陥が1×1016個/Lあり、結晶1個には欠陥が1個しか形成されないとすると、コーディエライト結晶全体に対する欠陥を有する結晶の割合は次式(3)で求められる。
【0018】
【数3】
Figure 0004046925
となる。また、欠陥が1×1017個の場合には4×10-5%となる。
【0019】
コーディエライト結晶1個当たりに含有される欠陥の数も、上記(3)と同様に(欠陥の数/コーディエライト結晶の数)で求められる。すなわち、欠陥が1×1016個/Lの場合は、単位結晶格子当たりの欠陥の数が4×10-8個、欠陥が1×1017個/Lの場合には、単位結晶格子当たりの欠陥の数は4×10-7個となる。
【0020】
本発明では、コーディエライトハニカム構造体に触媒担持能を持たせるために、(1)コーディエライト結晶格子に酸素欠陥や格子欠陥(金属空格子点、格子歪)を形成する、(2)アモルファス相および結晶相の少なくとも一方に多数の微細なクラックを形成する、(3)液相法によりコーディエライト構成元素や不純物を溶出させて欠損を形成する、(4)気相法により化学的ないし物理的に欠損を形成する、(5)酸素吸蔵能を有する物質を含有させる、といった方法で細孔を形成する。本発明では、これら細孔を上記所定数以上形成することにより、γ−アルミナをコートすることなく直接触媒成分を担持可能である。また、これらの方法で形成される細孔は、従来のように、セラミック結晶格子を破壊することがないので、セル壁厚を薄くしても流路方向の圧壊強度を10MPa以上、熱膨張係数を1×10-6/℃以下とすることができる。これらの方法により触媒担持能を持たせたコーディライトハニカム構造体について以下に説明する。
【0021】
始めに、(1)のコーディエライトの結晶格子に酸素欠陥・格子欠陥(金属空格子点と格子歪)を有したコーディエライトハニカム構造体について説明する。触媒成分の担持を可能とする欠陥には、酸素欠陥と格子欠陥がある。このうち、酸素欠陥は、コーディエライト結晶格子を構成するための酸素が不足することにより生ずる欠陥で、酸素が抜けたことにより形成される細孔に触媒成分を担持できる。必要量の触媒成分の担持を可能とするには、ハニカム構造体中に含まれる酸素量が47重量%未満となるようにするのがよい。
【0022】
格子欠陥は、コーディエライト結晶格子を構成するために必要な量以上の酸素を取り込むことにより生じる格子欠陥で、結晶格子の歪みや金属空格子点によって形成される細孔に触媒成分を担持することが可能となる。具体的には、ハニカム構造体中に含まれる酸素量が48重量%より多くなるようにするのがよい。
【0023】
結晶格子に欠陥を有するコーディエライトハニカム構造体は、ハニカム構造体の焼成雰囲気を調整することによって、あるいは特定の出発原料を用いることによって、製造することができる。このうち、酸素欠陥については、▲1▼焼成雰囲気を減圧または還元雰囲気とする、▲2▼コーディエライト化原料の少なくとも一部に酸素を含まない化合物を用い、低酸素濃度雰囲気で焼成する、▲3▼酸素以外のコーディエライトの構成元素の少なくとも1種類について、その一部を該元素より価数の小さな元素で置換する、ことにより形成することができる。また、格子欠陥については、▲4▼酸素以外のコーディエライトの構成元素の一部を該元素より価数の大きな元素で置換する、ことにより形成することができる。以下、これらの形成方法について順に説明する。
【0024】
まず、▲1▼の方法により、酸素欠陥を有するコーディエライトハニカム構造体を製造する場合、出発原料としては、コーディエライト化原料として一般に用いられる材料、例えば、タルク(Mg3 Si4 10(OH)2 )、カオリン(Al2 Si2 5 (OH)4 )、カオリンの仮焼物(仮焼カオリン)、アルミナ(Al2 3 )、水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )等を使用することができる。これら化合物以外にも、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgのうち少なくとも1種類を含む酸化物、水酸化物等をSi源、Al源、Mg源として用いることができる。
【0025】
これらコーディエライト化原料を、上記理論組成となるように調合し、バインダ、潤滑剤、保湿剤等の成形助剤、および水を添加して混練し、押出成形することによりハニカム形状に成形する。この成形体を大気中で約500℃以上に加熱し、脱脂した後、減圧雰囲気または還元雰囲気で焼成してハニカム構造体とする。減圧雰囲気で焼成する場合、真空度は4000Pa(30Torr)程度ないしそれ以下とするのがよく、焼成は、通常、約1350℃以上で、2時間以上保持することによって行う。
【0026】
減圧雰囲気で焼成することにより、焼成時の反応過程で原料中に含まれる酸素が気体となって出ていくため、コーディエライト結晶を構成するための酸素が不足して、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される。また、還元雰囲気で焼成する場合も同様であり、水素等の還元ガス雰囲気中で、上記と同様の条件で焼成すると、焼成時の反応過程で原料中に含まれる酸素が還元ガスと反応して抜け出す。このため、コーディエライト結晶を構成するための酸素が不足して、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される。コーディエライト化原料として、酸化物のみを用いた場合には、原料中に含まれる酸素のみでコーディエライト結晶を構成するための酸素をまかなうことが可能であるため、減圧雰囲気または還元雰囲気として酸素を取り除く必要がある。
【0027】
▲2▼の方法により、酸素欠陥を有するコーディエライトハニカム構造体を製造する場合には、コーディエライト化原料となるSi源、Al源、Mg源の少なくとも一部に、Si、Al、Mgの少なくとも1種類を含み酸素を含まない化合物を使用する。これら化合物としては、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの少なくとも1種類を含む窒化物、フッ化物または塩化物等のハロゲン化物等が挙げられ、Si源、Al源、Mg源のうち、少なくとも1種類について、その一部または全部を酸素を含まない上記化合物とすればよい。その他のコーディエライト化原料は、上記▲1▼の方法と同様のものが使用できる。
【0028】
このコーディエライト化原料を上記理論組成となるように調合し、上記▲1▼の方法と同様にしてハニカム状に成形、脱脂した後、低酸素濃度雰囲気で焼成する。雰囲気中の酸素濃度は、0%以上3%未満、好ましくは0%以上1%以下とし、これにより、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される。コーディエライト化原料として酸素を含まない化合物を使用すると、原料中に含まれる酸素だけでは、コーディエライト結晶を構成するための酸素が不足する。そこで、不足する酸素を焼成雰囲気から補給しようとするが、焼成雰囲気の酸素濃度が低いため、反応過程においてコーディエライト結晶を構成するために必要とされるだけの酸素が十分に供給されず、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成されることになる。
【0029】
このようにコーディエライト化原料として酸素を含まない化合物を使用した場合において、低酸素濃度雰囲気で焼成する代わりに、▲1▼の方法のように、減圧雰囲気または還元雰囲気で焼成することもできる。この場合も、反応過程においてコーディエライト結晶を構成するために必要な酸素が十分に供給されないために、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される。
【0030】
▲3▼の方法では、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの少なくとも一部を、その元素より価数の小さい元素で置換することにより、酸素欠陥を形成する。この方法によりコーディエライトハニカム構造体を製造する場合は、Si源、Al源、Mg源の一部を、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの代わりにこれら元素より価数の小さな元素を含む化合物で置換したコーディエライト化原料を使用する。コーディエライトの構成元素の価数は、それぞれ、Si(4+)、Al(3+)、Mg(2+)であるので、このうち少なくとも1種類について、その一部を該元素より価数の小さな元素を含む化合物とすればよい。これら化合物は、酸化物、水酸化物、窒化物、ハロゲン化物等のいずれを用いてもよく、それ以外のSi源、Al源、Mg源は、通常の原料を用いて、コーディエライト化原料を調製する。これを、同様の方法でハニカム状に成形、脱脂した後、焼成する。焼成雰囲気は、減圧雰囲気、還元雰囲気、大気雰囲気等の酸素含有雰囲気あるいは酸素非含有雰囲気のいずれの雰囲気としてもよい。コーディエライトの構成に必要な酸素は原料中に含まれ、また酸素欠陥は元素置換によるため、酸素濃度に影響されず、酸素濃度0〜100%の範囲で酸素欠陥が形成される。
【0031】
コーディエライトの構成元素は、Si(4+)、Al(3+)、Mg(2+)と正の電荷を有する。これらを価数の小さな元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が不足し、結晶格子としての電気的中性を維持するため、負の電荷を有するO(2−)を放出する。このように、コーディエライトの構成元素を価数の小さな元素で置換することによっても、コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される。
【0032】
▲4▼の方法では、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの少なくとも一部を、その元素より価数の大きい元素で置換することにより、格子欠陥を形成する。この方法によりコーディエライトハニカム構造体を製造する場合は、Si源、Al源、Mg源の一部を、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの代わりにこれら元素より価数の大きな元素を含む化合物で置換したコーディエライト化原料を使用する。この場合も、Si、Al、Mgの少なくとも1種類について、その一部を該元素より価数の大きな元素を含む化合物とし、それ以外のSi源、Al源、Mg源は、通常の原料を用いて、コーディエライト化原料を調製する。これを、同様の方法でハニカム状に成形、脱脂した後、焼成する。▲4▼の方法における焼成雰囲気は、大気雰囲気のように、酸素が十分に供給される雰囲気とする必要がある。なお、焼成雰囲気は、大気雰囲気である場合には、焼成中に脱脂が可能であるので、脱脂工程を省略することもできる。
【0033】
逆に、コーディエライトの構成元素を価数の大きい元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が過剰となり、結晶格子としての電気的中性を維持するため、負の電荷を有するO(2−)を必要量取り込む。取り込まれた酸素が障害となって、コーディエライト結晶格子が整然と並ぶことができなくなり、格子欠陥が形成される。
【0034】
コーディエライト結晶格子に酸素欠陥が形成される場合、コーディエライトの単位結晶格子に含まれる酸素の量が、酸素欠陥を有しない単位結晶格子よりも少なくなる。また、酸素の抜けた部分がつぶれるように結晶格子が変形するため、コーディエライトの結晶軸のb0 軸の格子定数が小さくなる。一方、コーディエライト結晶格子に格子欠陥が形成される場合、コーディエライトの単位結晶格子に含まれる酸素の量が、格子欠陥を有しない単位結晶格子よりも多くなり、b0 軸の格子定数が変化する。具体的には、酸素欠陥が形成されることにより、ハニカム構造体の酸素量が47重量%未満になると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は、17.2より少なくなり、コーディエライトの結晶軸のb0 軸の格子定数は1.699nmより小さくなる。また、格子欠陥が形成されることにより、ハニカム構造体の酸素量が48重量%を越えると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は、17.6より多くなり、結晶軸のb0 軸の格子定数は1.699nmより大きくまたは小さくなる。
【0035】
以上のように、本発明では、コーディエライト結晶格子に形成される酸素欠陥または格子欠陥によって、コーディエライトハニカム構造体に必要な量の触媒成分を担持させることが可能となる。なお、これら欠陥の大きさは数オングストーム以下と考えられるため、窒素分子を用いたBET法のような通常の比表面積の測定方法では、比表面積として測定できない。
【0036】
次に、(2)のアモルファス相と結晶相の少なくとも一方に多数の微細なクラックを有するコーディエライトハニカム構造体について説明する。この微細なクラックは、コーディエライトハニカム構造体に▲1▼熱衝撃を与える、または▲2▼衝撃波を与える、ことによってアモルファス相または結晶相に形成されるもので、これにより形成される多数の細孔に触媒成分を担持できる。触媒成分を担持するには、クラックの幅が触媒成分イオンの直径と同程度以上、通常、0.1nm以上で、深さが触媒成分イオンの直径の1/2以上、通常、0.05nm以上であることが必要とされる。ハニカム構造体の強度を確保するためには、クラックは小さい方が好ましく、通常、幅が100nm程度以下、好ましくは幅が10nm程度ないしそれ以下とする。
【0037】
▲1▼の熱衝撃を与える方法としては、コーディエライトハニカム構造体を加熱した後、急冷する方法が用いられる。熱衝撃を与えるのは、コーディエライトハニカム構造体内に、コーディエライト結晶相およびアモルファス相が形成された後であればよく、通常の方法で、Si源、Al源、Mg源を含むコーディエライト化原料を成形、脱脂した後、焼成して得られたコーディエライトハニカム構造体を、所定温度に再加熱し、次いで急冷する方法、あるいは、焼成して冷却する過程で、所定温度から急冷する方法のいずれを採用することもできる。熱衝撃によるクラックを発生させるには、通常、加熱温度と急冷後の温度の差(熱衝撃温度差)が約80℃以上であればよく、クラックの大きさは熱衝撃温度差が大きくなるのに伴い大きくなる。ただし、クラックが大きくなりすぎると、ハニカム構造体としての形状の維持が困難になるため、熱衝撃温度差は、通常、約900℃以下とするのがよい。
【0038】
コーディエライトハニカム構造体において、アモルファス相は結晶相の周りに層状に存在している。コーディエライトハニカム構造体を加熱した後、急冷することにより熱衝撃を与えると、アモルファス相と結晶相では熱膨張係数に差があるために、この熱膨張係数の差と熱衝撃の温度差に相当する熱応力が、アモルファス相と結晶相の界面付近に作用する。この熱応力にアモルファス相あるいは結晶相が耐えられなくなると、微細なクラックが発生する。また、微細なクラックの発生量は、コーディエライトハニカム構造体中に存在するアモルファス相の量により制御できる。微細なクラックは、アモルファス相と結晶相の境界付近に形成されるため、アモルファス相が多くなれば、それに伴い、形成される微細なクラックも多くなる。
【0039】
コーディエライトハニカム構造体中に存在するアモルファス相は、コーディエライト原料中に微量に含まれるアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素が、ハニカム焼成時にフラックスの働きをしてアモルファス相を形成すると考えられる。そのため、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を添加することによって、アモルファス相の量を増加させて熱衝撃を与えた時の微細なクラックの発生量を増加させることができる。また、この際のアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素の添加量によって、微細なクラックの量を制御することが可能となる。添加による効果を得るには、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を、原料中に不純物として含まれる以上の量、通常、コーディエライトハニカム構造体中にアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素が、合計で、0.05重量%以上含有されるようにするとよい。なお、これらアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素は、コーディエライト化原料の調製時に、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を含む化合物、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩として添加することができる。
【0040】
熱衝撃の代わりに、▲2▼の衝撃波を与える方法によってもアモルファス相または結晶相に微細なクラックを形成することができる。この場合は、ハニカム構造体内の強度の低い部分が衝撃波のエネルギーに耐えられなくなったときに、微細なクラックが発生する。衝撃波を与える方法としては、超音波や振動等があり、微細なクラックの発生量は、衝撃波のエネルギー等により制御可能である。
【0041】
上記(1)のようにしてコーディエライト結晶格子に酸素欠陥や格子欠陥を形成したハニカム構造体に、さらに、(2)のようにしてアモルファス相および結晶相の少なくとも一方に多数の微細なクラックを形成することもできる。この場合は、上記(1)に示した方法で酸素欠陥や格子欠陥を有する、酸素量が47重量%未満または48重量%を越え、結晶軸のb0 軸の格子定数が1.699nmより大きくまたは小さいハニカム構造体を焼成した後、(2)に示した方法で熱衝撃または衝撃波を与えることにより、酸素欠陥と格子欠陥の少なくとも1種類と、多数の微細なクラックを有するコーディエライトハニカム構造体を得ることができる。必要量の触媒成分を担持するには、酸素欠陥や格子欠陥と微細なクラックが、合計で1×107 個/L以上、好ましくは1×108 個/L以上となっていればよい。熱衝撃または衝撃波を与える方法のいずれによってもアモルファス相または結晶相に微細なクラックを形成することができる。
【0042】
(3)の液相法によりコーディエライト構成元素や不純物を溶出させて欠損を形成したコーディエライトハニカム構造体について説明する。この欠損は、コーディエライト結晶中のMg、Alといった金属元素、アモルファス相に含まれるアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素、またはアモルファス相自身が、高温高圧水、超臨界流体、あるいはアルカリ溶液等の溶液に溶出することによって形成されるもので、これら元素等の欠損により形成される細孔に触媒成分を担持できる。
【0043】
コーディエライトハニカム構造体は、通常の方法で、Si源、Al源、Mg源を含むコーディエライト化原料を成形、脱脂した後、大気中で焼成することにより得られ、このコーディエライトハニカム構造体を、高温高圧水、超臨界流体、あるいはアルカリ溶液に浸漬する。これにより、コーディエライト結晶中のMg、Alといった金属元素、アモルファス相に含まれるアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素、またはアモルファス相自身がこれら溶液に溶出して細孔が形成される。細孔の大きさは、溶液の温度、圧力、溶媒等により制御可能で、具体的には、10MPa、300℃の高温高圧水、CO2 等の超臨界流体、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液といった溶液が用いられる。また、上述したように、コーディエライト化原料にアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を添加することにより、形成されるアモルファス相を調整することができるため、これらの添加量を調整することによっても、細孔の制御が可能である。
【0044】
(4)の気相法により化学的ないし物理的に欠損を形成したコーディエライトハニカム構造体について説明する。コーディエライトハニカム構造体をドライエッチングあるいはスパッタエッチングすることにより細孔が形成される。ドライエッチングの場合、反応ガスを高周波等により放電させて、反応ガスを励起状態にする。この反応ガスとコーディエライト構成元素のSi、Al、Mgとが反応すると揮発性物質を形成し、この物質が揮発して排気されることにより、コーディエライトがエッチングされる。このように、コーディエライトが化学的にエッチングされた欠損部分が細孔となり、触媒担持が可能となる。反応ガスとしてはCF4 等が用いられ、これがコーディエライト構成元素と反応してSiF4 等の揮発性物質が形成される。ドライエッチングの程度は、エッチング時間、反応ガス種類、供給エネルギー等により制御できる。
【0045】
スパッタエッチングの場合、高周波等で励起したAr等のプラズマ内にコーディエライトハニカム構造体をおくと、Arイオン等がコーディエライト表面に衝突し、コーディエライト構成元素の単原子あるいは複数個の原子の塊が吹き飛ばされて、コーディエライトがエッチングされる。このように、コーディエライトが物理的にエッチングされた欠損部分が細孔となり、触媒担持が可能となる。スパッタエッチングの程度は、エッチング時間、励起ガス種類、供給エネルギー等により制御できる。
【0046】
次に、(5)の酸素吸蔵能を有する物質を含有させたコーディエライトハニカム構造体について説明する。酸素吸蔵能を有する物質、例えばCeO2 は、雰囲気の酸素濃度の変化に伴い、下記式(4)
【0047】
【数4】
Figure 0004046925
で表される可逆反応により酸素の出し入れをする。つまり、雰囲気の酸素濃度が高い場合にはCeの価数が4+であるが、酸素濃度が低下すると価数が3+となり、価数の変化により電気的中性が崩れるため、酸素を放出または吸収することにより電気的中性を維持する。このような酸素吸蔵能を有する物質は、従来は三元触媒における助触媒として用いられ、排ガス中の酸素濃度の変動に応じて酸素を出し入れして空燃比を理論空燃比近傍に調整する作用を有している。
【0048】
このように複数の価数を取り得るCeをコーディエライトの構成元素と置換する形でコーディエライトハニカム構造体に含有させると、上記(1)の場合と同様に価数の変化を補うために酸素の過不足が生じて、コーディエライトの結晶格子に酸素欠陥または格子欠陥が形成される。この酸素欠陥または格子欠陥が細孔となり、触媒担持が可能となると同時に、コーディエライトハニカム構造体に酸素吸蔵能を付与することができる。すなわち、γ−アルミナをコートすることなく触媒を直接担持でき、しかも、酸素吸蔵能を有する助触媒を別途担持することなく酸素吸蔵能を発現できる。酸素吸蔵能を持たせるには、コーディエライトハニカム構造体中のCeO2 含有量を0.01重量%以上とすることが望ましい。
【0049】
CeO2 を含有するコーディエライトハニカム構造体を得るには、Ceをコーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgのうち、少なくとも1種類の一部と置換させる。置換方法は、上記(1)の場合と同様で、Si源、Al源、Mg源の一部を、Si、Al、Mgの代わりにCeを含む化合物で置換したコーディエライト化原料を用いればよい。大気雰囲気では、通常、Ceの価数は4+であるので、これより価数の小さいMg(2+)、Al(3+)と置換した場合に、上記(1)の▲4▼と同様にして格子欠陥が形成されるのはもちろん、Si(4+)と置換しても、通常Ceの一部は価数が3+となっているため、酸素欠陥による細孔が形成される。
【0050】
このように置換元素としてCeを用いることで、触媒担持能および酸素吸蔵能を有するコーディエライトハニカム構造体を得ることができる。助触媒としてのCeO2 を担体に担持させた場合には、CeO2 が熱劣化により粒成長して酸素吸蔵能を低下させるおそれがあるが、CeO2 をコーディエライト構造中に含有させた場合には粒成長が起こらないので、酸素吸蔵能が低下することもない。また、コーディエライトハニカム構造体を焼成した後、上記(2)で示したようにして熱衝撃または衝撃波を与えることによって、微細なクラックを発生させてもよい。これにより、形成される細孔の数が増加し、触媒担持能の向上させることができる。あるいは、上記(1)で示した方法と組み合わせて、Ce以外の置換元素を用いたり、焼成雰囲気を調整して、形成される酸素欠陥または格子欠陥の数を調整することもできる。
【0051】
なお、上記(1)〜(4)の方法で触媒担持能を持たせたコーディエライトハニカム構造体に、CeO2 等の酸素吸蔵能を有する助触媒を担持させて酸素吸蔵能を付与することもできる。この場合、γ−アルミナをコートすることなく、コーディエライトハニカム構造体が有する細孔を利用して助触媒を担持できるので、能媒担持能に加えて酸素吸蔵能を有するコーディエライトハニカム構造体を容易に得ることができる。酸素吸蔵能を有する助触媒を担持させる場合、イオンや錯体のような助触媒の前段階物質を担持させて熱処理することによって担持してもよい。
【0052】
以上の各方法により製作した触媒担持能を有するコーディエライトハニカム構造体は、内燃機関の排ガス浄化用触媒等に用いられるセラミック担体として好適に使用される。このセラミック担体は、コーディエライトハニカム構造体が有する細孔に、γ−アルミナのコートなしに、0.1g/L以上の触媒成分を担持することができ、これにより、低熱容量、高耐熱衝撃性、低圧損なセラミック触媒体が得られる。触媒成分としては、触媒能を有する金属、および触媒能を有する金属の酸化物の少なくとも1種類を用いる。触媒能を有する金属としては、Pt、Pd、Rh等の貴金属が、触媒能を有する金属の酸化物としては、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pb等の金属のうち少なくとも1つ以上の金属を含む酸化物が使用される。
【0053】
触媒成分を担持する方法としては、触媒成分を溶媒に溶解して、コーディエライトハニカム構造体に含浸させ、欠陥やクラック等の細孔内に触媒成分を担持させる液相法の他、CVD法、PVD法等の気相法、超臨界流体を使用する方法等がある。本発明では、コーディエライトハニカム構造体に形成される欠陥やクラック等の細孔が微細であるため、気相法や超臨界流体を使用する方法のように微細な細孔の内部まで入り込みやすい媒体を用いる方法がより望ましい。液相法では、溶媒として水を用いることもできるが、水よりも表面張力の小さな溶媒、例えばメタノール等のアルコール系溶媒を用いることが好ましい。水よりも表面張力の小さな溶媒を用いることで、細孔内に十分浸透させることができる。この際、振動を与えながらあるいは真空脱泡しながら浸漬させると、溶媒が細孔内に入り込みやすくなる。また、触媒成分を同一組成または異なる組成で複数回に分けて、必要な量となるまで担持させるとよい。これらの方法により、細孔をより効果的に活用して、0.5g/L以上の触媒成分を担持することが可能である。
【0054】
このようにして得られる本発明のセラミック触媒体は、セラミック担体表面にγ−アルミナのコート層を形成することなしに、必要量の触媒成分が直接、かつ狭い間隔で担持される、浄化性能に優れたセラミック触媒体となる。具体的には、触媒成分を担持した触媒体中の、触媒成分となる金属元素の含有量が0.01重量%以上となるまで担持可能であり、かつセラミック担体表面上に担持されている触媒成分粒子(触媒成分イオンや触媒金属の粒子等)間の平均間隔は0.1〜1000nm、好ましくは0.1〜100nmと狭い。これは、同じ触媒担持量であれば、触媒成分粒子の大きさがより小さくなり、数はより多くなることを示し、セラミック担体全面に高密度で分布して触媒性能を効果的に発揮できる。
【0055】
さらに、本発明では、触媒能を有する金属をコーディエライトハニカム構造体の構成元素と置換することによって、触媒成分を含有するセラミック触媒体を得ることができる。この場合には、Si源、Al源、Mg源の一部を、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの代わりに触媒能を有する金属、好適にはPt、Pd、Rh等の貴金属を含む化合物で置換したコーディエライト化原料を用い、該コーディエライト化原料を、上記(1)に示したのと同様の方法で、成形、脱脂した後、焼成することによってセラミック触媒体を得る。焼成雰囲気は、真空度が4000Pa以下の減圧雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、酸素含有または酸素非含有雰囲気とする。また、触媒能を有する金属に加えて、Ce等の酸素吸蔵能を有する金属を置換金属として用いれば、触媒成分と同時に、酸素吸蔵能を有する助触媒を担持することができる。
【0056】
【実施例】
(実施例1、比較例1)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、および水酸化アルミニウムの各粉末を使用し、これら出発原料をコーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、混練して粘土状としたものを、押し出し成形機を用いて、セル壁厚100μm 、セル密度400cpsi(1平方インチ当たりのセル個数)、直径50mmのハニカム形状に成形した。このハニカム構造体を大気雰囲気で800℃まで加熱して脱脂した後、真空度6.7×10-4Pa(5×10-6Torr)まで減圧して、1390℃で2時間保持することにより焼成した(実施例1)。
【0057】
得られたハニカム構造体の酸素量、コーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数、コーディエライト結晶の結晶軸のb0 軸の格子定数、Pt担持量、ハニカム構造体の流路方向の熱膨張係数、および流路方向の圧壊強度を測定して、結果を表1に記した。ここで、ハニカム構造体の酸素量は、酸素・窒素同時分析装置で測定し、コーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数は、ハニカム構造体の酸素量から計算により求めた。コーディエライト結晶の結晶軸のb0 軸の格子定数は、X線回折の粉末法でのコーディエライト(020)面の回折ピーク位置から求めた。この際、回折ピーク位置の補正のためMn2 3 を測定サンプルに添加し、Mn2 3 (112+面)を基準とした。
【0058】
Pt担持量は、Ptを担持させたハニカム構造体を粉砕して蛍光X線装置で測定した。この際、Ptを担持させるための溶媒として、水またはエタノールを用い、塩化白金酸を水とエタノールにそれぞれ0.1mol/Lの濃度で溶解した溶液に、ハニカム構造体を含浸、乾燥させた後、大気雰囲気中で800℃、2時間の熱処理を行って、Ptを担持させた。また、熱膨張係数の測定は押棒式熱膨張計法で行い、25℃から800℃の間の平均の熱膨張係数で評価した。ハニカム構造体の流路方向の圧壊強度は、直径1インチで長さ1インチの円柱を切り出し、流路方向に荷重を加えて破壊された時点の圧力を圧壊強度とした。
【0059】
次に、比較のため、大気雰囲気で1390℃で2時間保持することにより焼成を行った以外は同様の方法でコーディエライトハニカム構造体を得た(比較例1)。このハニカム構造体についても同様の評価を行い、結果を表1に併記した。表1に明らかなように、減圧雰囲気で焼成した実施例1では、比較例1に比べて、ハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶の結晶軸のb0 軸の格子定数は小さくなっている。これにより、コーディエライト結晶から酸素が抜け出し、酸素欠陥が形成されていることがわかる。
【0060】
【表1】
Figure 0004046925
【0061】
また、Pt担持量は、比較例1では溶媒に水、エタノールのいずれを用いた場合も、定量できないほど微量にしかPtを担持できなかったが、実施例1では、溶媒が水の場合で1.00g/L、溶媒がエタノールの場合は13.79g/LのPtを担持することができた。これはハニカム構造体中の酸素欠陥が微小であるために、水のように表面張力が高い溶媒を用いると酸素欠陥近傍にPt溶液が接近しにくく、酸素欠陥中にPtイオンが取り込まれにくいためと考えられる。また、実施例1の熱膨張係数は0.92×10-6/℃と触媒担体に必要とされる1.0×10-6/℃以下を満足し、流路方向の圧壊強度は、11.92MPaと触媒コンバータへの組付け荷重に耐えるのに必要とされる流路方向の圧壊強度10MPaを越えている。
【0062】
ここで、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて実施例1で形成されたハニカム構造体中の酸素欠陥を観察したところ、酸素欠陥の細孔としての大きさ(直径)は、およそ0.4nmであった。これは担持するPtイオン(0.1nm程度)の約4倍であるので、上記方法による担持時にPtイオンを十分保持できる大きさである。
【0063】
また、実施例1で形成されたハニカム構造体中の酸素欠陥の量は、次のようにして算出される。実施例1で形成された酸素欠陥の数は、通常の製造方法により製作された比較例1の酸素量と実施例1の酸素量の差に相当する分となるので、これに基づいて算出することができる。酸素数の差は2.0重量%で、これはコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数として0.7個分に相当する。コーディエライトハニカム構造体中に含まれるコーディエライト単位結晶格子数は、2.36×1023個/Lであるので、酸素欠陥の数は、次式に示すように、1.65×1023個/Lになる。
0.7×2.36×1023=1.65×1023個/L
これは、上述した触媒成分の担持に必要な細孔の数である1×1011個/L(好ましくは1×1016個/L)をはるかに越える数である。
【0064】
これに対し、比較例1のコーディエライトハニカム構造体には、数百nm程度のマイクロクラックと呼ばれる亀裂が多数存在している。しかし、上述したように、比較例1のコーディエライトハニカム構造体のPt担持量は定量できない程微量であった。これは、マイクロクラックが担持するPtイオンの数千倍の幅を有しているため、Pt担持時にPtイオンを保持することができないために、Pt担持量が小さくなったものと考えられる。
【0065】
(実施例2)
実施例1と同様の方法でコーディエライト化原料をハニカム形状に成形し、脱脂を行った後、還元ガスである水素雰囲気中において、1390℃で2時間保持することにより焼成した。得られたハニカム構造体の評価を同様にして行い、結果を表1に併記した。
【0066】
表1に明らかなように、還元雰囲気で焼成することにより、比較例1に比べて、ハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数は小さくなっており、酸素欠陥が形成されていることがわかる。このコーディエライトハニカム構造体にPtを担持させたところ、溶媒が水の場合で1.14g/L、溶媒がエタノールの場合は14.81g/LのPtを担持することができた。また、熱膨張係数は0.99×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.2MPaで、ともに目標値を満足している。
【0067】
また、実施例2で形成された酸素欠陥の数を、同様にして算出した。実施例2で形成されたハニカム構造体中の酸素欠陥の数は、比較例1の酸素量と実施例2の酸素量の差に相当する。酸素数の差は4.5重量%で、これはコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数として1.7個分に相当する。コーディエライトハニカム構造体中に含まれるコーディエライト単位結晶格子数は、2.36×1023個/Lであるので、酸素欠陥の数は、次式に示すように、4.01×1023個/Lになる。
1.7×2.36×1023=4.01×1023個/L
このように、本発明によれば、触媒成分の担持に適当な大きさの細孔を、触媒成分の担持に十分な数形成したコーディエライトハニカム構造体を得ることができる。
【0068】
(実施例3〜5、比較例2〜7)
コーディエライト化原料のうち、Si源の10%を酸素を含まないSi3 4 とし、その他のSi源、Al源、Mg源としてタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料を、実施例1と同様の方法で、ハニカム形状に成形し、脱脂した後、酸素濃度1%とした雰囲気で、1390℃で2時間保持することにより焼成した(実施例3)。また、コーディエライト化原料として、Al源の10%を酸素を含まないAlF3 とし、さらにタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して同様の方法で焼成したもの(実施例4)、コーディエライト化原料として、Mg源の10%を酸素を含まないMgCl2 とし、さらにタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して同様の方法で焼成したもの(実施例5)を製作し、得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
Figure 0004046925
【0070】
また、比較のため、上記実施例3〜5と同じコーディエライト化原料を用いてハニカム成形体を製作し、それぞれ酸素濃度3%、12%の雰囲気で焼成した(比較例2〜7)。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表2に併記した。
【0071】
表2に明らかなように、酸素濃度1%で焼成した実施例3〜5では、比較例2〜7に比べて、ハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数が小さくなって、酸素欠陥が形成されていることがわかる。これにPtを担持させたところ、溶媒が水の場合で0.21〜0.35g/L、溶媒がエタノールの場合は2.88〜3.44g/LのPtを担持することができた。また、熱膨張係数は0.89〜0.94×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は12.8〜14.3MPaで、ともに目標値を満足している。
【0072】
(実施例6〜10)
上記実施例3〜5と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を低酸素濃度雰囲気とする代わりに、真空度6.7×10-4Pa(5×10-6Torr)の減圧雰囲気とした以外は同様の方法で、それぞれハニカム構造体を製作した(実施例6〜8)。また、上記実施例4と同じコーディエライト化原料を使用し、あるいは、上記実施例5と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を還元ガスである水素雰囲気として、同様の方法で焼成したものをそれぞれ製作した(実施例9、10)。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表2に併記した。
【0073】
これら実施例6〜10においても、比較例2〜7に比べて、ハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数の減少、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数の減少が見られ、酸素欠陥が形成されていることがわかる。また、Ptの担持量は溶媒が水の場合で1.01〜3.10g/L、溶媒がエタノールの場合は5.56〜14.62g/Lであり、熱膨張係数は0.85〜0.98×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.7〜15.1MPaで、ともに目標値を満足している。
【0074】
(実施例11〜18)
コーディエライト化原料として、Si源の10%をSiより価数の小さい元素の酸化物である、Fe2 3 またはGa2 3 とし、さらにタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料を、実施例1と同様の方法で、ハニカム形状に成形し、脱脂した後、大気雰囲気で、1390℃で2時間保持することにより焼成した(実施例11、12)。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表3に記した。
【0075】
【表3】
Figure 0004046925
【0076】
また、コーディエライト化原料として、Al源の10%をAlより価数の大きい元素の酸化物である、GeO2 またはMoO3 とし、さらにタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合したもの(実施例13、14)、Mg源の10%をMgより価数の大きい元素の酸化物である、Fe2 3 、Ga2 3 、GeO2 、MoO3 とし、さらにタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合したもの(実施例15〜18)についても、実施例11と同様の方法で成形、脱脂、焼成を行ってコーディエライトハニカム構造体を製作した。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表3に併記した。
【0077】
実施例11、12では、コーディエライトの構成元素であるSiを価数の小さな元素で置換しているため、比較例1よりハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数が小さくなって、酸素欠陥が形成されていることがわかる。また、Pt担持量は、溶媒が水の場合で0.15〜0.23g/L、溶媒がエタノールの場合は2.62〜5.31g/LのPtを担持することができ、熱膨張係数は0.86〜0.89×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は12.5〜16.7MPaで、ともに目標値を満足している。
【0078】
実施例13〜18では、コーディエライトの構成元素であるAl、Mgを価数の大きな元素で置換しているため、比較例1よりハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が増加するとともに、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数が変化しており、格子欠陥が形成されていることがわかる。このハニカム構造体のPt担持量は、溶媒が水の場合で0.27〜1.24g/L、溶媒がエタノールの場合は0.67〜3.96g/Lであり、結晶格子中に格子欠陥が形成されることによっても、Ptを担持量を増大可能であることがわかる。また、熱膨張係数は0.57〜0.95×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.8〜14.8MPaで、ともに目標値を満足している。
【0079】
(実施例19〜22)
実施例11、12と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を大気雰囲気とする代わりに、真空度6.7×10-4Pa(5×10-6Torr)の減圧雰囲気とした以外は同様の方法で、それぞれハニカム構造体を製作した(実施例19、20)。また、実施例11、12と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を還元ガスである水素雰囲気とした場合についても、同様にしてハニカム構造体を製作した(実施例21、22)。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表3に併記した。
【0080】
実施例19〜22では、コーディエライトの構成元素であるSiを価数の小さな元素で置換しているため、比較例1よりハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数が小さくなって、酸素欠陥が形成されていることがわかる。このハニカム構造体のPt担持量は、溶媒が水の場合で0.25〜0.68g/L、溶媒がエタノールの場合は2.77〜10.15g/Lであった。また、熱膨張係数は0.91〜0.98×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.0〜11.0MPaで、ともに目標値を満足している。
【0081】
(実施例23、24)
実施例11と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を大気雰囲気とする代わりに窒素雰囲気(酸素濃度:0%)とした以外は同様の方法でハニカム構造体を製作した(実施例23)。また、実施例12と同じコーディエライト化原料を使用し、焼成雰囲気を大気雰囲気とする代わりに酸素雰囲気(酸素濃度:100%)とした以外は同様の方法でハニカム構造体を製作した(実施例24)。得られたハニカム構造体の各特性を同様の方法で評価し、結果を表3に併記した。
【0082】
実施例23、24では、コーディエライトの構成元素であるSiを価数の小さな元素で置換しているため、比較例1よりハニカム構造体の酸素量およびコーディエライト単位結晶格子に含まれる酸素数が減少し、コーディエライト結晶のb0 軸の格子定数が小さくなって、酸素欠陥が形成されていることがわかる。ここで、実施例23、24を比較すると、焼成雰囲気の酸素濃度が異なるにもかかわらず、これらの特性には大きな違いはない。このことから、焼成雰囲気の酸素濃度は、これら特性には影響を与えないことがわかる。このハニカム構造体のPt担持量は、溶媒が水の場合で0.20〜0.25g/L、溶媒がエタノールの場合は3.01〜4.98g/Lであった。また、熱膨張係数は0.85〜0.90×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は12.4〜16.6MPaで、ともに目標値を満足している。
【0083】
(実施例28〜36)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、実施例1と同様の方法で、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、ハニカム形状に成形した後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。得られたコーディエライトハニカム構造体を室温まで冷却した後、熱衝撃温度差+水温の温度まで再加熱して水中に投入することにより熱衝撃を与えた。熱衝撃温度差は表4に示すように150〜900℃の範囲で変化させた(実施例25〜30)。また、コーディエライトハニカム構造体を焼成した後の冷却過程において、熱衝撃温度差+室温の温度まで冷却されたところでハニカム構造体の流路方向に空気を吹き付けることにより熱衝撃を与えた。熱衝撃温度差は表4に示すように150〜900℃の範囲で変化させた(実施例31〜36)。
【0084】
【表4】
Figure 0004046925
【0085】
この熱衝撃を与えたハニカム構造体をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察したところ、コーディエライト結晶層とアモルファス層の境界部において、幅10nm以下の微細なクラックが多数形成されているのが確認された。さらに、得られたハニカム構造体の、Pt担持量、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を同様の方法で評価し、結果を表4に併記した。表4に明らかなように、Pt担持量は、溶媒が水の場合で0.88〜1.64g/L、溶媒がエタノールの場合は3.18〜4.77g/Lであり、微細なクラックの形成が、Ptの担持を可能にしていることがわかる。また、熱膨張係数は0.28〜0.39×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は13.0〜17.0MPaで、ともに目標値を満足している。
【0086】
(実施例37〜39)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用し、Si源の10%をSiより価数の小さい元素の酸化物であるGa2 3 として、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、実施例1と同様の方法で、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、ハニカム形状に成形した後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。得られたコーディエライトハニカム構造体を室温まで冷却し、320℃まで再加熱した後、水(温度:20℃)中に投入して急冷させることにより熱衝撃を与えた(実施例37)。このコーディエライトハニカム構造体にCVD法によりPtを担持した。まず、キャリアガス(N2 :20L/min)を流しながら、白金アセチルアセトナートを180℃で加熱昇華させることにより、ハニカム構造体に1持間吸着させ、大気雰囲気中、800℃で2時間の熱処理を行った後、Pt担持量を測定したところ、Pt担持量は1.22g/Lであった。
【0087】
また、コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用し、Al源の10%をSiより価数の大きい元素の酸化物であるGeO2 として、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、実施例1と同様の方法で、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、ハニカム形状に成形して、加熱、脱脂を行った後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。得られたコーディエライトハニカム構造体を室温まで冷却する過程において、320℃になった時点で水(温度:20℃)中に投入して急冷させた。このコーディエライトハニカム構造体にPVD法(スパッタリング)を用いて(実施例38)、または超臨界流体を用いて(実施例39)、Ptを担持した。実施例26では、ターゲットにPt、スパッタガスにArを用い、反応室圧力を1.3Pa、周波数を13.56MHz、供給電極を100Wとして、10分間スパッタリングを行った。また、実施例27では、超臨界流体としてCO2 を用い、5分間浸漬することにより、Ptを担持させた。これら各実施例につき、Pt担持量を測定したところ、実施例38は1.01g/L、実施例39は1.55g/Lであった。
【0088】
実施例37〜39のハニカム構造体の特性を同様の方法で評価した結果を表5に示す。表5の酸素量、酸素数、格子定数から実施例37では酸素欠陥が、実施例38、39は格子欠陥が形成されていることがわかる。また、これら各実施例につき、ハニカム構造体のコーディエライト結晶層とアモルファス層の境界付近をTEMで観察したところ、いずれも幅数nm以下の微細なクラックが多数形成されているのが確認された。以上より、コーディエライトの構成元素を価数の異なる元素で置換し、かつ熱衝撃を与えることで、酸素欠陥または格子欠陥による細孔と微細なクラックによる細孔の両方が形成される。また、これら各実施例の熱膨張係数は0.59〜0.75×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.1〜10.6MPaで、ともに目標値を満足している。
【0089】
【表5】
Figure 0004046925
【0090】
(実施例40〜42)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。このコーディエライト化原料に対して、アルカリ金属元素の化合物としてNa2 CO3 を0.05重量%添加し、さらに、実施例1と同様にバインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加してハニカム形状に成形し、加熱、脱脂を行った後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。次いで、コーディエライトハニカム構造体を冷却する過程において、320℃になった時点で水(温度:20℃)中に投入し、急冷させることにより熱衝撃を与えた(実施例40)。また、焼成雰囲気を、真空度4000MPaの減圧雰囲気(実施例41)あるいは還元雰囲気である水素雰囲気(実施例41)とした以外は、実施例40と同様にして焼成したコーディエライトハニカム構造体を、室温まで冷却した後、325℃まで再加熱し、エアー(温度:25℃)を吹き付けることによって熱衝撃を与えた。得られたハニカム構造体の熱膨張係数と流路方向の圧壊強度を評価し、結果を表6に示した。
【0091】
【表6】
Figure 0004046925
【0092】
得られたハニカム構造体のコーディエライト結晶層とアモルファス層の境界付近をTEMで観察したところ、いずれも幅数nm以下の微細なクラックが多数形成されているのが確認された。また、表6に示されるように、実施例37〜39の熱膨張係数は0.42〜0.52×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.8〜12.1MPaで、ともに目標値を満足している。
【0093】
さらに、このハニカム構造体を塩化白金酸0.07mol/L、塩化ロジウム0.05mol/Lを含むエタノール溶液に、超音波をかけながら、10分間浸漬させた。その後、1×10-5Pa(1kgf/cm2 )のエアーで余分な溶液を取り除いて乾燥させ、大気雰囲気中で800℃、2時間焼成した。蛍光X線により担持されたPtおよびRhの定量を行ったところ、実施例40はPt担持量1.2g/L、Rh担持量0.2g/L、実施例41はPt担持量1.3g/L、Rh担持量0.3g/L、実施例42はPt担持量1.1g/L、Rh担持量0.2g/Lであった。
【0094】
一方、Na2 CO3 を添加せずに熱衝撃を与えた実施例29、35に、同様の方法でPtおよびRhを担持させたところ、実施例29はPt担持量0.7g/L、Rh担持量0.2g/L、実施例35はPt担持量0.5g/L、Rh担持量0.2g/Lと、実施例40〜42より担持量が少なかった。これは、実施例40〜42のように、Na2 CO3 を添加した場合には、アモルファス相が多くなり、熱衝撃によって微細なクラックがより多く形成されたため考えられる。
【0095】
(実施例43)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。このコーディエライト化原料に、実施例1と同様にバインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加してハニカム形状に成形した後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。このコーディエライトハニカム構造体に、周波数が29kHz、出力が100Wの集束超音波を、衝撃波として与えた。得られたハニカム構造体に実施例40〜42と同様の方法で触媒成分(PtおよびRh)を担持させ、その担持量を調べた。また、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価し、結果を表6に併記した。
【0096】
表6のように、実施例43において、触媒成分の担持量は、Pt担持量1.9g/L、Rh担持量0.2g/Lであった。熱膨張係数は0.38×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.6MPaで、目標値を満足している。また、コーディエライト結晶層とアモルファス層の境界部近傍をTEMで観察したところ、幅数nm程度の微細なクラックが確認できた。
【0097】
(実施例44〜46)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。このコーディエライト化原料に、実施例1と同様にバインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加してハニカム形状に成形した後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。このコーディエライトハニカム構造体を、10MPa、300℃の高温高圧水に1時間浸漬する処理を行った(実施例44)。また、同様にして得たコーディエライトハニカム構造体を、超臨界状態のCO2 に30分浸漬し(実施例45)、あるいは水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1mol/L、温度:60℃)に5時間浸漬する処理を行った(実施例46)。それぞれにつき、触媒(PtおよびRh)担持量、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価した結果を表7に示す。
【0098】
【表7】
Figure 0004046925
【0099】
実施例44〜46において、触媒成分の担持量は、Pt担持量1.5〜2.3g/L、Rh担持量0.2〜0.3g/Lであり、これらの処理によっても触媒担持を可能とする細孔が形成されていることが確認された。また、表7のように、熱膨張係数は0.35〜0.39×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は11.2〜12.2MPaで、目標値を満足している。
【0100】
(実施例47、48)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。このコーディエライト化原料に、実施例1と同様にバインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加してハニカム形状に成形した後、大気雰囲気中、1390℃で2時間保持することにより焼成した。このコーディエライトハニカム構造体を、CF4 を用いてドライエッチングした(実施例47)。エッチング条件は、CF4 流量を150ml/min、反応室圧力を13.3Pa、周波数を13.56MHz、供給電力を300Wとし、10分間のエッチングを行った。また、同様にして得たコーディエライトハニカム構造体を、Ar4 を用いてスパッタエッチングした(実施例47)。エッチング条件は、反応室圧力を1.3Pa、周波数を13.56MHz、供給電力を100Wとし、10分間のエッチングを行った。それぞれにつき、触媒(PtおよびRh)担持量、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価した結果を表8に示す。
【0101】
【表8】
Figure 0004046925
【0102】
実施例47、48において、触媒成分の担持量は、Pt担持量1.1〜1.3g/L、Rh担持量0.2〜0.3g/Lであり、これらの処理によっても触媒担持を可能とする細孔が形成されていることが確認された。また、表8のように、熱膨張係数は0.45〜0.46×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は11.7〜12.7MPaで、目標値を満足している。
【0103】
(実施例49〜51)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用し、Si源の5%をCeO2 に置換して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、実施例1と同様のハニカム形状に成形した。この成形体を、大気雰囲気で800℃まで加熱して脱脂を行った後、4000MPaの減圧雰囲気で、1390℃で2時間保持することにより焼成した(実施例49)。また、Al源の5%をCeO2 に置換したコーディエライト化原料を用い、焼成雰囲気を還元雰囲気である水素雰囲気としたもの(実施例50)、Mg源の5%をCeO2 に置換したコーディエライト化原料を用い、焼成雰囲気を大気雰囲気としたもの(実施例51)を同様にして製作し、それぞれ熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価した。表9のように、熱膨張係数は0.78〜0.98×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.8〜12.1MPaで、目標値を満足している。
【0104】
【表9】
Figure 0004046925
【0105】
また、実施例49〜51のハニカム構造体に、同様の方法で触媒(PtおよびRh)を担持させたところ、触媒成分の担持量は、Pt担持量1.5〜2.3g/L、Rh担持量0.2〜0.3g/Lであり、コーディエライトハニカム構造体にCeO2 を含有させることによって触媒担持を可能とする細孔が形成されていることが確認された。この触媒担持量は、三元触媒(触媒担持量:1.5g/L)と同等である。また、表9のように、熱膨張係数は0.78〜0.98×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.8〜12.1MPaで、目標値を満足している。
【0106】
これら実施例49〜51のコーディエライトハニカム構造体の酸素吸蔵能を評価した。酸素吸蔵能の評価は、TG−DTA(リガク:TAS−200)のよって行った。製作したCe置換のハニカム構造体を粉砕した粉末20mgを500℃に保持し、O2 :50%(N2 バランス)の酸素雰囲気と、H2 :2%(N2 バランス)の還元雰囲気を2回繰返した時の酸化雰囲気と還元雰囲気での重量変化から、放出された酸素量を求めた。この酸素量を評価サンプルに含まれるCeO2 量で割ることにより、Ce置換したコーディエライトハニカム構造体に含まれるCeO2 の1mol当たりのO2 放出量として、酸素吸蔵能を求めた。結果を表9に併記する。
【0107】
ここで、比較のために、Ce置換していないコーディエライトハニカム構造体と、CeO2 を担持した三元触媒についても酸素吸蔵能を評価した。三元触媒のCeO2 担持量は、通常の1.25倍の75g/Lとした。その結果、Ce置換していないコーディエライトハニカム構造体では、酸素吸蔵能が見られず、三元触媒の酸素吸蔵能は1.5×10-22 mol/CeO2 molであった。これに対し、実施例49〜51の酸素吸蔵能は、3.1〜9.6×10-22 mol/CeO2 molであり、三元触媒より大きい。
【0108】
酸素吸蔵能の最も高い実施例51におけるCeO2 含有量は約2重量%である。実施例51のハニカム構造体1Lで吸蔵可能な酸素量と、三元触媒(CeO2 担持量:75g/L)1Lで吸蔵可能な酸素量がほぼ同等である。酸素吸蔵能の最も高い実施例51と同様に、MgをCeで置換してCeO2 含有量が異なるハニカム構造体を製作したところ、CeO2 含有量が0.01重量%未満である場合、酸素吸蔵能が評価できないほど僅かであり、実質的に酸素吸蔵能を有していないといえる。以上より、CeO2 による酸素吸蔵能を付与するためには、CeO2 含有量が0.01重量%以上必要である。
【0109】
(実施例52、53)
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用し、Mg源の1.2%をPtの酸化物に置換して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、実施例1と同様のハニカム形状に成形した。この成形体を、大気雰囲気で1390℃で2時間保持することにより焼成した(実施例52)。得られたコーディエライトハニカム構造体中のPtの含有量は、1.7g/Lであった。また、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価したところ、表10のように、熱膨張係数は0.85×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.9MPaで、目標値を満足している。
【0110】
【表10】
Figure 0004046925
【0111】
また、Mg源の1.2%をPtの酸化物で、Al源の5%をCeO2 で置換したコーディエライト化原料を用いて同様に焼成したものを、室温まで冷却した後、320℃に再加熱し、水(温度:20℃)中に投入して急冷させた(実施例53)。得られたコーディエライトハニカム構造体中のPtの含有量は、1.6g/Lであり、酸素吸蔵能は、3.9×10-22 mol/CeO2 molであった。また、熱膨張係数、流路方向の圧壊強度を評価したところ、表10のように、熱膨張係数は0.85×10-6/℃、流路方向の圧壊強度は10.9MPaで、目標値を満足している。
【0112】
以上のようにして得たコーディエライトハニカム構造体の性能を評価するために、炭化水素の浄化試験を行った。実施例1、11〜18、25〜33、40〜53において製作したコーディエライトハニカム構造体に触媒を担持させたセラミック触媒体を、直径15mm、長さ10mmの円柱状に切り出し、モデルガスベンチで各設定温度での浄化率を測定した。モデルガス条件は、C3 6 が500ppm、O2 が5%のN2 バランスとし、SV=10000として測定を行い、C3 6 の浄化率が50%に達した温度を50%浄化温度として、測定結果を表11に示した。
【0113】
【表11】
Figure 0004046925
【0114】
この時、比較のため、評価装置にセラミック触媒体を入れない場合(比較例8)、コーディエライトハニカム構造体にγ−アルミナを150g/Lコートしたものに、Pt1.25g/L、Rh0.25g/Lと、助触媒としてCeO2 を75g/L担持した三元触媒(比較例9)についても、浄化性能の評価を行い、結果を表11に併記した。
【0115】
表11に明らかなように、セラミック触媒体を入れない比較例8の場合は、浄化温度は約500℃と高いが、比較例9の三元触媒では、184℃に低くなっている。これに対し、実施例では、比較例9の三元触媒と同程度の触媒担持量において、50%浄化温度が187〜263℃と、三元触媒と同等かやや高い程度であり、セラミック触媒体を入れない比較例8の半分程度となっていて、高い浄化性能を有していることがわかる。
【0116】
さらに、セラミック触媒体において担持された触媒金属粒子の状態と、浄化性能との関係を調べるために、以下の試験を行った。まず、評価サンプルとして、Si源の10%をSiと価数の異なる元素の酸化物(Ga2 3 )で置換したコーディエライト化原料を成形、焼成(大気雰囲気、1390℃、2時間)して得たコーディエライトハニカム構造体に、塩化白金酸0.07mol/L、塩化ロジウム0.05mol/Lを含むエタノール溶液を用いて触媒成分を担持させたセラミック触媒体を作製した。この時、超音波をかけながら、エタノール溶液に浸漬(10分間)し、乾燥、焼成(大気雰囲気中、800℃、2時間)したものをサンプル1、超音波をかけずに、エタノール溶液に浸漬、乾燥、焼成したものをサンプル2、サンプル2をさらに熱処理(1000℃、50時間)して熱劣化させたものをサンプル3とした。
【0117】
また、サンプル1〜3と同じコーディエライトハニカム構造体を担体とし、塩化白金酸0.005mol/L、塩化ロジウム0.003mol/Lを含む水溶液を用いて、触媒成分を担持させたセラミック触媒体を作製し、サンプル4とした。同様に、塩化白金酸0.0025mol/L、塩化ロジウム0.0015mol/Lを含む水溶液を用いて、触媒成分を担持させたセラミック触媒体を作製し、サンプル5とした。この時、超音波をかけなかった以外は同様の方法で、浸漬、乾燥、焼成した。
【0118】
これら評価サンプル1〜5のセル壁表面をTEM観察し、触媒金属粒子の担持状態を調べた。TEM観察は、サンプル1〜3は20万倍;サンプル4〜5は5万倍の倍率で観察し、1視野当たり30点について触媒金属粒子間の間隔を測定した。これを5視野で測定して、触媒金属粒子の平均間隔を求めた。結果を表12に示す。また、これら評価サンプル1〜5について、上記したのと同様の方法でC3 6 の50%浄化温度を測定したところ、それぞれ254℃、336℃、460℃、472℃、484℃であった。
【0119】
【表12】
Figure 0004046925
【0120】
表12において、平均間隔が1000nmを越えているサンプル5は、C3 6 の50%浄化温度が484℃であり、上記表11のように触媒担持なしの比較例8における50%浄化温度とほとんど同じで、ほとんど浄化性能を有していないといえる。これに対し、平均間隔が1000nm以下の850℃であるサンプル4は、50%浄化温度が472℃と若干の浄化性能が見られる。また、熱劣化させたサンプル3は、触媒金属粒子の平均間隔が108nmと、サンプル4、5に比し小さくなっており、C3 6 の50%浄化温度も460℃と低くなっている。サンプル2は、50%浄化温度が336℃で触媒金属粒子の平均間隔が74nm、サンプル1は、50%浄化温度が254℃で平均間隔が23nmであり、触媒金属粒子の平均間隔が小さくなるほど50%浄化温度が低くなっている。以上より、所望の浄化性能を有するには、触媒金属粒子の平均間隔が1000nm以下、好ましくは100nm以下であることが必要であり、平均間隔が小さいほど浄化性能が向上する。また、サンプル1のように、担持時に超音波を用いると、触媒成分が細孔に入り込みやすくなり、平均間隔をより小さくできることがわかる。

Claims (20)

  1. セラミック担体表面に、直径または幅が0.1〜100nmの細孔を有し、コート層を形成することなしに上記細孔に触媒成分を直接担持してなり、触媒成分となる金属元素の含有量が0.01重量%以上で、かつ上記担体表面上における触媒成分粒子間の平均間隔が0.1〜1000nmである排ガス浄化用セラミック触媒体であって、
    上記セラミック担体は、コーディエライト組成を有するハニカム構造体よりなり、ハニカム構造体中に含まれる酸素量が47重量%未満、かつアモルファス相と結晶相の少なくとも一方に幅100nm以下の多数の微細なクラックを有し、これら微細なクラックに0.1g/L以上の触媒成分の担持が可能なセラミック担体であることを特徴とする排ガス浄化用セラミック触媒体。
  2. 上記セラミック担体表面の細孔の数が1×1011個/L以上で、これら細孔に0.1g/L以上の触媒成分の担持が可能である請求項1記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  3. 上記セラミック担体は、コーディエライト組成を有するセラミック表面に上記細孔を1×1011個/L以上有し、この細孔として酸素欠陥および格子欠陥の少なくとも1種類をコーディエライトの単位結晶格子に1個以上有するコーディエライト結晶の割合が4×10-6%以上のセラミック担体である請求項1記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  4. 上記触媒成分粒子間の平均間隔が0.1〜100nmである請求項1ないし3いずれか記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  5. コーディエライト組成を有するハニカム構造体よりなり、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgのうち、少なくとも1種類の一部を触媒能を有する金属で置換するとともに、上記コーディエライトハニカム構造体が、アモルファス相と結晶相の少なくとも一方に幅が100nm以下である微細なクラックを有し、コーディエライト結晶格子中に酸素欠陥および格子欠陥の少なくとも1種類を有して、これら微細なクラックおよび欠陥に触媒成分を担持しており、上記触媒能を有する金属が貴金属、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pbのうち少なくとも1つ以上の金属であることを特徴とする排ガス浄化用セラミック触媒体。
  6. 上記触媒成分が触媒能を有する金属および触媒能を有する金属酸化物の少なくとも1種類である請求項1ないし5いずれか記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  7. 上記触媒能を有する金属が貴金属であり、上記触媒能を有する金属酸化物がV、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pbのうち少なくとも1つ以上の金属を含む酸化物である請求項6記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  8. 上記触媒能を有する金属を0.01重量%以上含有する請求項7記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  9. 上記触媒能を有する金属を0.01重量%以上、CeO 2 を0.01重量%以上含有する請求項7記載の排ガス浄化用セラミック触媒体。
  10. コーディエライト組成を有するハニカム構造体を担体とするセラミック触媒体を製造する方法において、コーディエライト化原料となるSi源、Al源、Mg源の一部を、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの代わりに貴金属を含む化合物で置換し、該コーディエライト化原料を成形、脱脂した後、真空度が4000Pa以下の減圧雰囲気、還元雰囲気、酸素含有雰囲気または酸素非含有雰囲気中で焼成することを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  11. コーディエライト組成を有するハニカム構造体を担体とするセラミック触媒体を製造する方法において、コーディエライト化原料となるSi源、Al源、Mg源の一部を、コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの代わりに貴金属を含む化合物およびCeを含む化合物で置換し、該コーディエライト化原料を成形、脱脂した後、真空度が4000Pa以下の減圧雰囲気、還元雰囲気、酸素含有雰囲気または酸素非含有雰囲気中で焼成することを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  12. コーディエライトハニカム構造体を焼成した後、所定温度に加熱し、次いで急冷する請求項10または11記載のセラミック触媒体の製造方法。
  13. コーディエライトハニカム構造体を焼成した後、冷却する過程で、所定温度から急冷する請求項10または11記載のセラミック触媒体の製造方法。
  14. 上記所定温度と急冷後の温度の差が900℃以下である請求項12または13記載のセラミック触媒体の製造方法。
  15. コーディエライトハニカム構造体を焼成した後、衝撃波を与える請求項10または11記載のセラミック触媒体の製造方法。
  16. 上記衝撃波を超音波あるいは振動で与える請求項15記載のセラミック触媒体の製造方法。
  17. 請求項1ないし4記載のセラミック触媒体を製造する方法であって、セラミック担体に触媒成分および/または触媒成分の前段階物質をCVD法またはPVD法を用いて直接担持するセラミック触媒体の製造方法。
  18. 請求項1ないし4記載のセラミック触媒体を製造する方法であって、セラミック担体に触媒成分および/または触媒成分の前段階物質を超臨界流体を用いて直接担持するセラミック触媒体の製造方法。
  19. 請求項1ないし4記載のセラミック触媒体を製造する方法であって、セラミック担体に触媒成分および/または触媒成分の前段階物質を水よりも表面張力の小さな溶媒を用いて担持させるセラミック触媒体の製造方法。
  20. 請求項1ないし4記載のセラミック触媒体を製造する方法であって、セラミック担体に触媒成分および/または触媒成分の前段階物質を水よりも表面張力の小さな溶媒を用いて振動を与えながらまたは真空脱泡しながら担持させるセラミック触媒体の製造方法。
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