JP3944142B2 - 金属粒子分散酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス改質、ガス合成、もしくは燃焼等において触媒として使われる金属粒子分散酸化物製造方法に関する。
従来の燃料改質触媒は、セラミック焼結体の表面に触媒金属粒子を共沈法などの手段により形成して製造されていた。共沈法は、触媒担体の上に触媒元素を含有する微粒子を沈降させた後に微粒子を還元して、触媒担体上に金属微粒子からなる触媒粒子が分散した触媒系を得るものである。この方法によれば、触媒金属の粒径は細かくすることができるものの、分散状態を制御するのが困難であった。さらに、沈降した金属微粒子と担体としてのセラミック焼結体との界面における強度が弱いために密着性が悪い。したがって、加熱環境下での運転中に粒子が凝集成長して、触媒効率が低下するという問題があった(例えば、非特許文献1参照)
また、セラミック焼結体は、触媒の分散性・密着性を良好にするために比表面積が高められている。このため破壊が起こりやすく、使用中に破壊・粉化するという問題がしばしばみられた。
こうした問題のため、寿命や活性度等の点で十分満足できる性能を有する燃料改質触媒は、未だ開発されていない。
従来の触媒担体構造体は、製造上の問題を有しているため、例えば、燃料電池用燃料ガスである水素の二酸化炭素改質用触媒、あるいは水蒸気改質用触媒などにおいても触媒性能の点で充分満足できるものが得られていなかった。
一方で、Ni−Mg−O系あるいはFe−Al−O系等のセラミックス固溶体相を還元雰囲気下で還元処理して、NiやFeといった金属粒子を析出させることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。これらの材料は、金属粒子が、固相反応によりセラミックス内部から析出するため、母相であるセラミックス相との整合性が高く、分散性に優れている。また、析出する金属粒子は、Ni系等遷移金属系触媒と共通の材料系であるため、触媒材料としての適用が期待される。しかしながら、こうした方法により作製された材料は、セラミックス内部への金属粒子の析出が過剰であり、触媒として適用できないという問題があった。
Journal of Catalysis, 208, 54-63 (2002) J. Narayan et al. Philosophical Magazine A, 49 (1984) 287-300
本発明は、金属粒子が担体としての金属酸化物粒子の表面に均一で高密度に形成され、しかも、高い強度を有する金属粒子分散酸化物製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態にかかる金属粒子分散酸化物の製造方法は、炭酸水酸化化合物相を含有する難還元性金属酸化物粉末と、還元性金属酸化物粉末とを混合して混合粉末を得る工程、
前記混合粉末を反応容器に充填して焼結し、酸化物固溶体を得る工程、および
前記酸化物固溶体を還元雰囲気下で熱処理することにより前記還元性金属酸化物を還元して、前記酸化物固溶体の表面および内部に金属粒子を析出させる工程
を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、金属粒子が担体としての金属酸化物粒子の表面に均一で高密度に形成され、しかも、高い強度を有する金属粒子分散酸化物製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物は、還元性酸化物と難還元性酸化物との固溶相からなる酸化物粒子の表面および内部に、還元性酸化物構成元素である金属粒子が分散析出したものである。酸化物粒子表面とは、単一酸化物粒子同士の粒子界面、粒子表面および前記粒子表面から200nm未満の内部をさす。これは、表面からミクロに発達した亀裂に沿って析出した金属粒子を表面に含めるためである。また、酸化物粒子内部とは、具体的には、前記粒子表面から200nm以上内部をさす。
還元性金属酸化物とは、室温〜1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元され得る金属酸化物をさす。具体的には、Cu,Co,Fe,Ni、Mn,Zn、Sn、Cd,Pd、Ag、Ru、Rh、Mo、W、およびIn等の酸化物が挙げられる。特に、Cu,Co,Fe,Ni、Mn,Zn、SnおよびCdの酸化物は、PH2O/PH2=10-4以下の水素分圧の下、600℃以下で金属に還元される。ガス改質やガス合成等のための触媒として用いる場合には、触媒効率が高いことから、ニッケル酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、および銅酸化物が好ましく、ニッケル酸化物が最も好ましい。
上述したような還元性金属酸化物は、単独でも2種以上を併用して用いてもよい。還元性酸化物を2種類以上併用することによって、特に触媒として用いる場合には、還元後の触媒機能性を高められるので好ましい。この場合、還元性金属酸化物の1種として、母相の酸化物より融点が低いもの用いることが望まれる。この添加還元性金属酸化物が焼結助剤として作用することにより焼結性が促進され、高強度な骨格を形成させることができる。焼結助剤として作用し得る還元性金属酸化物としては、酸化銅および酸化銀等を挙げることができる。
特に酸化銅は、焼結性の向上に加えて、還元析出する金属粒子の粒径微細化の効果もある。この効果は、0.1モル%以上5モル%以下の範囲の量で酸化銅が含有された場合に最も発揮される。酸化銅の含有量は、より好ましくは0.1モル%以上1%モル以下であり、最も好ましくは0.1モル%以上0.5モル%以下である。
一方の難還元性金属酸化物とは、室温〜1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元されない金属酸化物をさす。具体的には、Al、Mg、Si、Zr、Ti、Hf、Ce等の酸化物が挙げられる。難還元性金属酸化物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。こうした難還元性金属酸化物のなかでも、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、およびセリウム酸化物が安定な固溶体を形成する点で好ましく、マグネシウム酸化物が最も好ましい。
なお、これらの酸化物の詳細は、例えば、日本金属学会(1974年、第13巻)、第277頁に記載される「金属酸化物及び硫化物の水素還元について」という論文を参照することができる。
上述したような還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物との固溶体から、本発明の実施形態における酸化物粒子が構成される。固溶体としては、例えば、NiO−MgO、CoO−MgO、FeO−MgO、およびNiO−CoO−MgO等の酸化物同士の全率固溶体が挙げられる。あるいは、ZrO2−NiOやMgO−CuO、MgO−CuO−ZnOのように、難還元性金属酸化物に対する還元性金属酸化物の固溶限が、水素還元温度において1原子%以上である系であってもよい。また、還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物との複合酸化物の固溶体でもよく、特に限定されない。
上述した組み合わせに対して、さらに別の還元性金属酸化物を固溶させることも可能である。この場合には、酸化物粒子の表面および内部に析出する金属粒子を合金化できるという利点が得られる。
本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物においては、上述したような固溶体からなる酸化物粒子の表面および内部に金属粒子が存在する。この金属粒子は、水素還元により金属酸化物固溶体から析出されたものである。すなわち、本発明の実施形態における金属粒子は、金属酸化物を水素ガス還元して、この構成成分である還元性金属酸化物の金属成分を固溶体の表面および内部に析出させることにより得られる。固溶体の表面および内部に析出した金属粒子は、共沈法等により金属酸化物粒子の外部から沈着させて得られた金属粒子と比べて、金属酸化物粒子に対して密着性が高く、密接かつ安定に担持される。すなわち、担体としての金属酸化物粒子と、触媒金属としての金属粒子との界面の構造が、物理的および化学的に安定なものとなる。このため、例えば触媒として用いる場合には、金属粒子の凝集・粒成長を抑制して、触媒効率の長寿命化を図ることができる。
このように、本発明の実施形態における金属粒子は、還元性金属酸化物が還元されて得られるものであるから、その組成も還元性金属酸化物に依存する。したがって、上述した還元性金属酸化物と同様、Cu,Co,Fe,Ni,Zn,Sn,Cd,Pd,Hg,およびAg等が、金属粒子を構成する金属として好ましい。
本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物をガス改質、ガス合成等のための触媒として用いる場合には、高い触媒効率が得られる点で、Ni,Co,Fe,Pd,Cuが金属粒子として好ましい。具体的には、これらの金属を主成分として、その少なくとも一つを50原子%以上含有する金属粒子とすることが望まれる。また、主成分金属以外の添加金属としては、Sn、Ag,Zn等が挙げられる。
本発明の金属粒子分散酸化物においては、酸化物粒子の内部に存在する内部金属粒子の体積率(B)は1%以下である。1%を越えると、金属粒子の熱膨張等の影響が大きく強度低下につながる。ただし、内部金属粒子の体積率が0.01%未満では、亀裂抑制の効果を十分に得ることが困難となるため、0.01%以上であることが望まれる。
表面金属粒子は、次のように規定することができる。まず、任意の量の金属粒子分散酸化物の重量(W1(g))を測定し、ついで酸洗して表面金属粒子を溶出させ、再び重量を測定する(W2(g))。この重量差を使って表面金属粒子の重量((W1−W2)=Ws(g))を求める。また、金属粒子の密度(ρ(m3/g))を使って、表面金属粒子の体積(V1(m3))を算出する。
一方で、酸洗後のサンプルを乾燥させた後、窒素ガス吸着によりBET法で比表面積(S=m2/g)を測定し、W2(g)のサンプル表面積S(m2)を求める。こうした作業により、サンプル表面積あたりの体積(A=V1/S)を求める。
表面金属粒子の表面積当たりの体積は、0.001cc/m2以上0.1cc/m2以下とすることが好ましい。表面金属粒子の表面積当たりの体積が0.001cc/m2未満の場合には、表面金属粒子の存在量が不十分となり、触媒としての効果が低減するおそれがある。一方、0.1cc/m2を越えると、粒子間の凝集粒成長が大きくなるおそれがある。
内部金属粒子は、次のような手法により規定することができる。まず、表面金属粒子酸洗後の金属粒子分散酸化物の体積(V2)をアルキメデス法等で測定する。また、磁化測定にかけて、内部の金属粒子体積(V3(m3))を測定する。これらの値を用いて、酸化物の体積Vo=V2−V3(m3)を算出する。内部金属粒子の体積率は、(V3/V2)により求められる。
酸化物粒子の表面に存在する金属粒子の平均粒径は、10nm以上100nm以下が好ましい。こうした範囲内の場合、金属粒子を最も効率よく分散させることができる。表面に析出する金属粒子の平均粒径が10nm未満の場合には、表面の金属粒子の存在量が不十分となるおそれがある。一方、100nmを越えると、表面金属粒子の表面積が不十分となる。さらに、また、酸化物粒子の表面における金属粒子の数密度は、1×1013個/m2以上1×1015個/m2以下であることが望ましい。こうした条件を備えた場合に、触媒として用いる際の粒成長を効果的に抑制することができる。
数密度の測定方法は特に制限されるものではないが、例えば、電子顕微鏡で表面写真を撮影した時に、100nm×100nmから1μm×1μmの面積の中の数密度を測定することが好ましい。
金属粒子の間隔は特に制限されるものではないが、粒成長を抑制するために、粒径の1/2倍以上が好ましく、1倍以上がより好ましい。
酸化物粒子の表面および内部に析出した金属粒子の体積比は、次のような方法により求めることもできる。金属粒子の磁化を測定して、比率を求める方法である。この場合、まず、酸化物粒子と金属粒子とからなる複合材料全体の磁化を測定し、これにより、酸化物粒子の内部および表面に担持されている金属粒子全体の体積を算出する。次いで、金属粒子のみを選択的に酸洗できる酸によって、複合材料全体を酸洗する。ここで用いられる酸としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の水溶液等が挙げられる。酸洗後、再び複合材料の磁化を測定する。こうして、酸化物粒子の内部に存在している金属粒子の体積を算出する。複合材料全体に存在する金属粒子の体積から酸化物粒子内部の金属粒子の体積を差し引いて、表面析出金属粒子の体積が求められる。
上述したような金属粒子分散酸化物は、本発明の実施形態にかかる方法により製造することができる。
この製造方法には、原料粉末の調製と前駆体の作製、固溶反応、および水素還元といった3つの工程が含まれる。
本発明者らは、炭酸水酸化化合物を利用することにより、酸化物粒子表面への金属イオンの拡散、核生成・成長が助けられることを見出した。炭酸水酸化化合物を利用することによって、内部金属粒子の体積率を0.01%以上1%以下とすることができる。
予備工程においては、難還元性金属酸化物粉末に炭酸水酸化化合物相を形成させる。炭酸水酸化化合物相の形成は、水蒸気または炭酸ガスが存在する雰囲気下で、難還元性金属酸化物粉末の表面を改質することによって行なうことができる。この際の雰囲気の分圧等は特に限定されるものでなく、難還元性金属酸化物粉末に対する炭酸水酸化化合物相の割合が、5wt%以上20wt%以下の範囲に入るように調整すればよい。こうした範囲内の量で炭酸水酸化化合物相が存在していれば、表面での金属粒子の析出密度が向上する。炭酸水酸化化合物の割合が5wt%未満の場合には、この効果を充分に得ることができない。一方、20wt%を越えた場合には、反応焼結性が不良になり均質なセラミックスが製造できないおそれがある。より効率よく目的とする複合組成を達成するためには、炭酸水酸化化合物の割合は、10wt%以上15wt%以下であることがより好ましい。
炭酸水酸化化合物の組成は特に限定されず、炭酸基(CO)と水酸基(OH)とが同時に含有されている物質であればよい。例えば、水酸化物の結晶相に炭酸化合物が含有されている化合物、および炭酸化合物の結晶相に水酸化化合物が含有されて化合物が挙げられる。炭酸水酸化化合物としては、例えば、ヒドロキシ炭酸マグネシウム(3MgCO3・Mg(OH)2・3H2O)が挙げられる。
本発明者らは、難還元性金属酸化物としてマグネシアを使う場合には、Al成分が0.001〜0.1mol%程度されている原料を使うとさらに効果的であることを見出した。0.001mol%未満では、添加効果が得られず、0.1mol%を越えると、固溶範囲を越えた添加物が過剰に析出する。Al成分の添加量は、より好ましくは、0.01〜0.05mol%である。Al成分は、炭酸水酸化化合物と共存する場合に、よりいっそう効果を発揮するが、単独でも本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物を製造するのに効果的であることが確認されている。また、前述のAl成分前述の範囲で含有された金属粒子分散酸化物を触媒として使った場合、触媒として分散されている金属の活性を向上させる効果があることが分かった。
また、原料として用いられる難還元性金属酸化物粉末の粒径は、平均粒径が10nm以上100nm以下であることが好ましい。この粒径の時に効率よく反応を起こすことができるからである。また、還元性金属酸化物粉末の粒径は、100nm以上10μm以下であることが好ましい。この範囲より大きい場合には均一な混合物が得られ難く、焼結体中の還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物とが不均一系になりやすい。その結果、生成する金属粒子も不均一になって触媒寿命の短縮を招く。一方、金属酸化物粉末の平均粒径が前述の範囲を下回った場合には取り扱いが困難になり、生産性が低下する。
上述したような還元性金属酸化物粉末と、炭酸水酸化化合物を有する難還元性金属酸化物粉末とを混合して、混合粉末が得られる。金属酸化物粉末の混合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、それぞれの粉末を用途に応じて適量秤量し、次いでボールミル等を用いて混合することにより行なうことができる。ボールミルの材質は特に限定されないが、アルミナ等が好ましく用いられる。
混合粉末における難還元性金属酸化物粉末の割合は、60mol%以上であることが好ましい。難還元性金属酸化物粉末が少なくとも60mol%含有されていれば、焼結・水素還元後の焼結体強度を維持して、より高温環境下での使用が可能となる。難還元性金属酸化物粉末の割合は、より好ましくは70mol%以上であり、最も好ましくは80mol%以上である。
混合後、混合粉末に有機バインダーを添加して、混練機で混練する。この際に添加する有機バインダーは特に限定されず、一般のセラミック成型体の押し出し成型において採用されている条件を適宜選択することができる。具体的には、PVA(ポリビニルアルコール)、およびエチルセルロース等を採用することができる。また、この有機バインダーの添加量も、特に制限されるものではなく、5wt%以上20wt%以下の量で使用することができる。
有機バインダーを添加して混練された混練物は、そのまま金型を使って成型することができる。ハニカム型等のセラミックスモノリスを作製する場合は、適切な形状の口金を有する押し出し成型機に導入して、口金を通して押し出し成型する。この際、押し出し速度等は特に規定されないが、押し出し時に破壊されないよう、条件を選択することが望まれる。
成型後は、脱脂炉に成型体を導入し、加熱して脱脂、すなわち有機バインダー成分の除去を行なう。脱脂の条件は、有機バインダーの種類等によって異なるが、500℃程度まで毎分1℃程度でゆっくり昇温した後、数時間保持し、急冷せずに炉冷するのが好ましい。これらの工程により、本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物の前駆体が得られる。
金属粒子分散酸化物の前駆体を大気炉内に導入し、加熱焼成することによって、固溶体からなる酸化物が作製される。焼成温度は、好ましくは1000℃以上1400℃以下であり、より好ましくは1100℃以上1400℃以下である。焼成温度が1000℃未満の場合には、焼結が不完全で機械的強度が不十分となる。一方、1400℃を越えると、原料である還元性金属酸化物の分解・溶融が生じるおそれがある。また、昇温・降温速度には特に制限されるものではないが、熱歪みによる破壊を防ぐために、毎分1〜5℃程度の条件で行なうことが望まれる。
得られた固溶体を水素炉等の還元炉内に導入して、還元処理を行なうことにより、その内部および表面に金属粒子が析出する。
モノリス形状に成型されているものは、成型体形状のまま還元を行なう。一体的には、例えばハニカム形状を成型、焼結して、その後、還元することによりモノリスを製造することができる。こうして得られるのが、本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物焼結体である。上述したような金属粒子分散酸化物は、本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物焼結体の表面部位に存在する。表面部位とは特に規定しないが、100μm以内であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以内である。なぜなら、焼結体に適用する場合は、表面近傍のみが触媒として利用されるためであり、この範囲が本発明である、金属粒子分散酸化物で構成されることが、焼結体全体の強度維持に適当だからである。
本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物は、他のセラミックスの表面層とすることもできる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、アルミニウムとケイ素との複合酸化物等が挙げられる。本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物は、例えば、所定の組成に混合した粉末と、エタノールまたは水と、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩系)を1%程度とを混合し、適切な粘度に調整してスラリーとして用いられる。こうしたスラリーを、他のセラミックスの表面に塗布し、乾燥し、その後焼結、還元を行なう。スラリー中に異材(例えば、コージエライト:アルミナとシリカとマグネシアからなる複合酸化物)からなるハニカムをディッピングすることにより被覆してもよい。
その際、コーティング層の厚さは、10〜100μmと薄いことが好ましい。このコーティング層が厚い場合には、剥離・割れが起こりやすくなる。表面部位は、すべてにおいて10μm以下であることが望まれる。なぜなら、この部分の熱伝導は金属粒子が分散することにより低下する。熱伝導が低下すると、触媒部分の熱応答性が悪くなる、加熱冷却時に時間がかかる、触媒の発熱・吸熱に対する応答性が不良になるといった不都合が生じるおそれがある。
一方、粉末形状にして適用する場合には、固溶反応後の焼結体を破壊・粉砕後、分級して、適用形状にした粉末とすればよい。
例えば、固溶体としてNiO−MgOを採用した場合は、その一部が還元されて、還元性金属であるNi相が表面および内部に析出する。また、モノリス型の焼結体の場合には、上述したように、固溶体表面から10μmの深さの領域において、酸化物粒子の表面にNi相が析出する。こうして、金属粒子を酸化物粒子の表面に、高密度かつ均一に分散させることができる。しかも、焼結体内部から金属が拡散して析出するため、偏析が少なく良好な分散状態の焼結体が得られる。
一方で、金属酸化物の内部にも一定量のNi相が析出する。しかしながら、本発明の実施形態においては、内部の析出量は従来の選択還元法と異なり、非常に僅かに抑えることができ、破壊の根源となる亀裂伝播の抑制に効果的な量とすることができる。また、難還元性金属酸化物粉末中に存在していたAl成分は、セラミックス相内にも残留して、触媒性能に効果的に寄与する。
金属粒子を析出させるための還元条件は、特に制限されるものではないが、金属酸化物の表面に優先的に金属粒子が析出するような条件を選択することが好ましい。一般的には、水素炉内の水素分圧を一定にした後に、昇温・還元・冷却を行なう方法が挙げられる。こうした方法以外に、水素炉内をAr等の不活性ガスでパージした後、還元温度まで昇温して、還元温度到達後、水素分圧を徐々に上昇させて還元する方法を採用してもよい。この場合、焼結体表面より徐々に還元が進行するため、焼結体表面に優先的に金属粒子を析出させることが可能となる。2種類以上の還元性金属酸化物を使用している場合にも、上述した方法が有効となる。還元反応開始温度の異なる2種類以上の還元性金属酸化物が含まれている場合でも、これらの金属析出の時間差を短縮してほぼ同時に金属粒子を析出させて、均一な複合金属粒子を得ることができる。
前述したように、金属酸化物の表面における金属粒子の平均粒径は、10nm以上100nm以下であることが好ましく、50nm以下がより好ましい。また、酸化物の表面における金属粒子の数密度は、1×1013個/m2以上1×1015個/m2以下であることが好ましい。
生成する金属粒子の性状は、還元性金属酸化物と非還元性金属酸化物との混合比率、水素還元処理時の水素分圧、および水素還元処理時の処理温度によって制御することができる。還元性金属酸化物の比率が低いほど生成する金属粒子の粒径が小さくなり、数密度が増加する。水素分圧が低いほど、あるいは還元処理温度が低いほど、金属粒子の粒径が小さくなって、かつ数密度も大きくなる傾向にある。したがって、反応系に応じて最適な反応条件を選択することによって、上述した範囲の金属粒子を、金属酸化物粒子の表面および内部に析出させることができる。
特に、メタン、天然ガス、都市ガス用改質触媒として用いる場合には、還元反応開始温度は、800℃以上とすることが好ましい。こうした温度で十分に還元しておくことによって、触媒としての使用中に還元反応が進行することを防ぐことができる。
還元処理によって金属酸化物粒子の表面に析出させた金属粒子は、ディッピング法等の従来の方法によって形成した金属粒子と異なって極めて均一性の高いものとなる。
このように上述の製造工程を経て、金属粒子分散酸化物を製造することができる。共沈法等の湿式法と比較してプロセスが単純化されるので、本発明の実施形態にかかる方法は、低コストで操業できるというメリットがある。
以上のような工程によって、触媒担体としての金属酸化物の表面に触媒金属が均一で高密度に形成され、しかも酸化物の強度を向上させた金属粒子分散酸化物が製造される。また、このような酸化物上に触媒金属が均一かつ高密度に分散した材料を用いて、異方性複合多孔体を製造することができる。
このような本発明の実施形態にかかる方法によれば、共沈法等のプロセスで、触媒を多孔体の内壁に担持させる場合と比較して、微細で数密度の制御性が高く、単純で安価なコストで触媒部材が製造できる。しかも、得られる金属粒子分散酸化物は、均一で粒子の偏った担持が起こらない。このため、従来法で見られていた、セル内、特に角部の不均一性を防ぐことができ、触媒を有効に利用することができる。
さらにまた、大部分の金属粒子は、金属酸化物骨格の表面のくぼみに、線または面で接触した形態を有している。これに対し、従来法の触媒における金属粒子は、点で多孔体の壁面に接触しているため、経時的な粒の凝集や成長が避けられなかった。本発明の実施形態により、こうした凝集や成長を防ぐことができる。しかも、触媒担持体である酸化物粒子内部にも、微細な金属粒子を適当に分散しているため、担体が亀裂伝播に強く、経時的劣化を抑制することが可能となった。
[実施例]
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
難還元性金属酸化物としてのMgO粉末(平均粒径50nm)を、水蒸気および炭酸ガスが含まれる雰囲気中、50℃で熱処理をした。熱処理後の粉末をX線回折法により分析したところ、11wt%の炭酸水酸化MgOが観察された。また、このMgO粉末には、Alが0.04mol%、Feが0.02mol%含有されていた。
一方、還元性金属酸化物としては、NiO粉末(平均粒径1μm)を用意し、モル比でMgO:NiO=2:1となるように秤量した。原料粉末は、アルミナ製ボールを使った遊星ボールミルにより乾式で12時間均一に混合して、混合粉末を得た。
混合後は、エチルセルロース系のバインダーを加えて混練し、この混練物を用いて直径15mm、高さ10mmの成型体を作製した。
次いで、成型体を脱脂炉内に導入し、350℃まで5時間かけて昇温して、350℃で1時間脱脂した。脱脂後は、大気炉内に試料を移し、1300℃まで10時間で昇温して1300℃で5時間焼結した。
得られた焼結体を粉砕し、325メッシュアンダーの篩を用いて粉砕粉を分級した。得られた粉砕粉を還元炉に導入してアルゴンガスで置換した後、100ml/分の水素ガスでさらに置換し、1000℃まで10℃/分の速度で昇温した。さらに、1000℃で10分間還元して、金属粒子分散酸化物(複合材料)を製造した。材料を分析したところ、Alが0.13mol%含有されていた。
こうして得られた金属粒子分散酸化物の組織形態を、FE−SEMにより観察した。その結果、MgO−NiOからなる粒径1〜5μmの金属酸化物(セラミックス)単一粒子の表面には、平均直径が50〜100nmのNi微粒子が存在していた。
この粒子を1g秤量して、硝酸水溶液で酸洗して表面のNiを溶出させた。酸洗後、水洗して乾燥させた後の重量は、4.5wt%減少していた。この値より表面金属粒子の重量を計算したところ、45mgであった。また、Niの密度(8.9g/cc)を使って表面金属粒子の体積を計算したところ、0.0051ccであった。一方で、BET法で酸洗後の粉末の比表面積を測定したところ、0.45m2/gであった。この結果より、表面金属粒子の表面積あたりの占有空間を算出すると、0.0113cc/m2であった。
また、酸洗後の酸化物粒子の体積を密度計より求めたところ、0.23ccであった。一方で、酸洗後の酸化物粒子を磁化測定にかけたところ、3×10―4 ccのニッケル粒子に相当する磁化が測定された。この結果より、内部金属粒子の体積率を求めたところ、0.0013であった。
続いて、前述の混合粉末を用いて、以下のような手法によりハニカム焼結体を作製した。まず、混合粉にエチルセルロース系のバインダーを加えて混練した。これを、セルの一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのハニカム用口金を通して、押し出し成型器で成型体を作製した。次いで、成型体を脱脂炉内に導入し、350℃まで5時間かけて昇温して350℃で1時間脱脂した。脱脂後は、大気炉内に試料を移し、1300℃まで10時間で昇温して1300℃で5時間焼結した。
得られたハニカム焼結体の寸法は設計通りであり、単位セル(孔)の一辺が1mmで、壁厚が0.5mmであった。
このハニカム焼結体をメタン改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した。その後、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、1000℃まで10℃/分の速度で昇温した。さらに、l000℃で5分間還元して、金属粒子分散酸化物の成型体を製造した。
製造後、引き続き、温度を750℃まで下げて、水素ガスを停止し、50ml/分のメタンガスと50ml/分の二酸化炭素ガスとを流しながら、改質反応を行なった。改質反応は、5時間連続で行なって反応開始前後の残存メタン濃度を測定することにより、改質効率を求めた。
残存メタンの濃度が少ないほど改質効率が高く、また、反応前後の変化量が少ないほど経時劣化が少ないことになる。さらに、改質前後における金属粒子の平均粒径を、組織観察により調べ、得られた結果を下記表1にまとめる。なお、改質後には、セラミックス担持体の破壊は確認されなかった。
その結果を、下記表1に示す。
(実施例2)
平均粒径1μmの酸化銅(CuO)粉末をさらに原料粉末として用いて、混合組成がMgO:NiO:CuO=2:1:0.1(mol比)の混合粉末を調製した以外は、前述の実施例1と同様の条件で焼結体を製造した。
得られた焼結体を粉砕し、325メッシュアンダーの篩を用いて粉砕粉を分級した。得られた粉砕粉を還元炉に導入してアルゴンガスで置換した後、100ml/分の水素ガスでさらに置換し、1000℃まで10℃/分の速度で昇温した。さらに、1000℃で5分間還元して、金属粒子分散酸化物(複合材料)を製造した。この材料には、0.14mol%のAlが含有されていた。
こうして得られた金属粒子分散酸化物の組織形態を、FE−SEMにより観察した。その結果、MgO−NiOからなる粒径1〜10μmの金属酸化物(セラミックス)単一粒子の表面に、平均直径が10〜50nmのNi−Cu微粒子が存在していた。
この粒子を1g秤量して、硝酸水溶液で酸洗して表面のNi−Cuを溶出させた。酸洗後、水洗して乾燥させた後の重量は、2.4wt%減少していた。この値より表面金属粒子の重量を計算したところ、24mgであった。さらに、酸洗後の酸内に存在するNiおよびCuの濃度を分析したところ、Niに対して15原子%のCuが存在していた。また、Ni−Cuの密度(8.9g/cc)を使って表面金属粒子の体積を計算したところ、0.0027ccであった。一方で、BET法で酸洗後の粉末の比表面積を測定したところ、0.30m2/gであった。この結果より、表面金属粒子の表面積あたりの占有空間を算出すると、0.009cc/m2であった。
また、酸洗後の酸化物粒子の体積を密度計より求めたところ、0.22ccであった。一方で、酸洗後の酸化物粒子を磁化測定にかけたところ、1.5×10-4ccのNi−15%Cuに相当する磁化が測定された。この結果より、内部金属粒子の体積率を求めたところ、0.0007であった。
さらに、前述の原料粉末を用いて、以下のような手法によりハニカム焼結体を作製した。まず、混合粉にエチルセルロース系のバインダーを加えて混練した。これを、セルの一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのハニカム用口金を通して、押し出し成型器で成型体を作製した。次いで、成型体を脱脂炉内に導入し、350℃まで5時間かけて昇温して350℃で1時間脱脂した。脱脂後は、大気炉内に試料を移し、1300℃まで10時間で昇温して1300℃で5時間焼結した。
得られたハニカム焼結体の寸法は設計通りであり、単位セル(孔)の一辺が1mmで、壁厚が0.5mmであった。
このハニカム焼結体をメタノール改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した。その後、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、1000℃まで10℃/分の速度で昇温した。さらに、1000℃で5分間還元して、金属粒子分散酸化物の成型体を製造した。
製造後、引き続き、温度を400℃まで下げて、水素ガスを停止し、30ml/分のメタノールガスと120ml/分の水蒸気とを流しながら、改質反応を行なった。改質反応は、5時間連続で行なって反応開始前後の残存メタノール濃度を測定することにより、改質効率を求めた。
残存メタノールの濃度が少ないほど改質効率が高く、また、反応前後の変化量が少ないほど経時劣化が少ないことになる。さらに、改質前後における金属粒子の平均粒径を、組織観察により調べ、得られた結果を下記表1にまとめる。なお、改質後には、セラミックス担持体の破壊は確認されなかった。
その結果を、下記表1に示す。
参考例3)
難還元性金属酸化物としてのMgO粉末(平均粒径100nm)を、一方、還元性金属酸化物としては、NiO粉末(平均粒径1μm)を用意し、モル比でMgO:NiO=1:2となるように秤量した。原料粉末は、アルミナ製ボールを使った遊星ボールミルにより乾式で12時間均一に混合して、混合粉末を得た以外は、前述の実施例1と同様の条件で焼結体を製造した。
得られた焼結体を粉砕し、実施例1と同じ条件で金属粒子分散酸化物(複合材料)を製造した。材料を分析したところ、Alが0.06mol%含有されていた。
こうして得られた金属粒子分散酸化物の組織形態を、FE−SEMにより観察した。その結果、MgO−NiOからなる粒径1〜5μmの金属酸化物(セラミックス)単一粒子の表面に、平均直径が100〜200nmのNi微粒子が存在していた。
この粒子を1g秤量して、硝酸水溶液で酸洗して表面のNiを溶出させた。酸洗後、水洗して乾燥させた後の重量は、8wt%減少していた。この値より表面金属粒子の重量を計算したところ、80mgであった。また、Niの密度を使って表面金属粒子の体積を計算したところ、0.009ccであった。一方で、BET法で酸洗後の粉末の比表面積を測定したところ、0.5m2/gであった。この結果より、表面金属粒子の表面積あたりの占有空間を算出すると、0.018cc/m2であった。
また、酸洗後の酸化物粒子の体積を密度計より求めたところ、0.24ccであった。一方で、酸洗後の酸化物粒子を磁化測定にかけたところ、2×10-4ccのNiに相当する磁化が測定された。この結果より、内部金属粒子の体積率を求めたところ、0.00083であった。
それ以外の結果は、下記表1に示す。
参考例の場合でも、炭酸水酸化化合物を用いていないものの、Niイオンの拡散・核生成・成長を助けるような効果を得ることが可能である。それは、Alが拡散促進、核生成・成長を助ける機能を果しているからである。
(比較例1)
実施例1と同一形状のマグネシア製ハニカムを作製し、硝酸ニッケル溶液中に浸漬後、引き上げて炭酸アンモニウム中に浸漬した。これを引き上げて、110℃の乾燥機内で乾燥した後、水素中、400℃に加熱して還元処理を施すことにより、複合材料を作製した。この複合材料においては、マグネシアからなる骨格上にNi粒子が分散されている。
還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、Ni粒子の粒径は、100nmであり、数密度は5×1012個/m2であった。また、ハニカムの隔壁交差部(角)には、Ni粒子の凝集が見られ、交差部より0.5μm以内における体積当りの数密度は、隔壁中央部の3倍以上と大きかった。
得られたハニカムを用いて実施例1と同様の改質実験を行ない、残存メタン濃度、金属粒子の平均粒径の変化を調べた。得られた結果を下記表1にまとめる。なお、改質後には、Ni粒子の脱落が多く見られた他、マグネシア担持体のひび割れ脱落が見られた。
改質実験前のハニカムを硝酸水溶液に浸漬して、表面のNiを溶出させた。酸洗後の酸化物粉末粒子の磁化を測定したところ、Niは検出されなかった。
(比較例2)
硝酸ニッケル溶液を、硝酸ニッケルと硝酸銅とを含有する溶液に変更した以外は、前述の比較例1と同様の手法により、複合材料を製造した。この複合材料においては、マグネシアからなる骨格上にNi−Cu粒子が分散されている。
還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、Ni−Cu粒子の粒径は100nmであり、数密度は、5×1012個/m2であった。また、ハニカムの隔壁交差部(角)には、Ni−Cu粒子の凝集が見られ、交差部より0.5μm以内における体積当りの数密度は、隔壁中央部の3倍以上と大きかった。
得られたハニカムを用いて実施例1と同様の改質実験を行ない、残存メタン濃度、金属粒子の平均粒径の変化を調べた。得られた結果を下記表1にまとめる。なお、改質後には、マグネシアのひび割れ脱落が見られた。
改質実験前のハニカムを硝酸水溶液に浸漬して、表面のNiを溶出させた。酸洗後の酸化物粉末粒子の磁化を測定したところ、Niは検出されなかった。
Figure 0003944142
上記表1に示されるように、本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物は、触媒として用いた際に改質効率が高く、経時劣化も少ない。これは、担体としての金属酸化物が、還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物との固溶体からなること、金属粒子が析出により生じたものであることに起因する。しかも、本発明の実施形態においては、金属酸化物の表面に析出した金属粒子の体積が、内部に析出した金属粒子の体積よりも大きいことから、触媒としての機能を良好に維持することが可能となった。
本発明の実施形態にかかる金属粒子分散酸化物は、メタンの改質触媒あるいはメタノールの改質触媒として、さらには、例えば、エタノール、灯油、ガソリン等の高級炭化水素液体の改質、エタン、プロパン等の高級炭化水素ガスの改質にも好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 炭酸水酸化化合物相を含有する難還元性金属酸化物粉末と、還元性金属酸化物粉末とを混合して混合粉末を得る工程、
    前記混合粉末を反応容器に充填して焼結し、酸化物固溶体を得る工程、および
    前記酸化物固溶体を還元雰囲気下で熱処理することにより前記還元性金属酸化物を還元して、前記酸化物固溶体の表面および内部に金属粒子を析出させる工程
    を具備することを特徴とする金属粒子分散酸化物の製造方法
  2. 前記難還元性金属酸化物粉末は、前記炭酸水酸化化合物を5重量%以上の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の金属粒子分散酸化物の製造方法
  3. 前記難還元性金属酸化物粉末は、0.001〜0.1mol%のAlを含有するMgO粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属粒子分散酸化物の製造方法。
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