JP4045378B2 - ゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールに関し、更に詳述すると、コアと中間層とカバーとの間の硬度バランスを最適化すると共に、ディンプル要素を適正化することにより、ヘッドスピードに拘わりなく打感及び飛び性能が向上したゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、ゴルフ人口の増大により、プレーヤーのゴルフボールに対する要望も多様かつ個性化してきており、特に、ゴルフボールには飛距離のアップと打感の向上が強く望まれている。かかる要望に応えるべくボール構造及びディンプル要素などについて様々な検討が試みられている。
【0003】
例えば、ゴルフボールの構造については、現在、種々の構造のゴルフボールが市場にでているが、中でもゴムを基材とするコアをアイオノマー樹脂等からなるカバーで被覆したツーピースソリッドゴルフボールと、ソリッド又はリキッドセンターに糸ゴムを巻回した糸巻きコアをカバーで被覆した糸巻きゴルフボールとが市場の大半を占めている。
【0004】
上記ツーピースソリッドゴルフボールは、優れた飛び性能及び耐久性を有することから、多くの一般ゴルファーに使用されているが、打感が非常に硬く感じられ、また、打撃時の球離れの速さからコントロール性能に劣るという欠点を有し、このためプロゴルファーや上級者は、ツーピースソリッドゴルフボールよりも糸巻きゴルフボールを使用する人が多い。一方、糸巻きゴルフボールは、フィーリング、コントロール性に優れる反面、飛距離、耐久性の点でツーピースソリッドゴルフボールに劣るという欠点がある。
【0005】
このようにツーピースソリッドゴルフボールと糸巻きゴルフボールとは、互いに相反する性能を有しており、プレーヤーは自分の技倆や好みにより使用するゴルフボールを選択しているのが現状である。
【0006】
このため、ソリッドゴルフボールにおいて、糸巻きゴルフボールに近いフィーリングを実現するため、軟らかいタイプのツーピースソリッドゴルフボールが種々提案されている。このような軟らかいタイプのツーピースソリッドゴルフボールを得るためには、軟らかいコアを用いることになるが、コアを軟らかくすると、反発性が低下して飛び性能が劣化すると共に、耐久性も著しく低下し、ツーピースソリッドゴルフボールの特徴である優れた飛び性能及び耐久性が得られないばかりでなく、実際の使用に耐え難くなってしまう場合もある。
【0007】
更に、これらのゴルフボールは通常、高ヘッドスピードのプロ、上級アマチュアプレーヤーに適合するように作られており、かかるボールを初心者、シニア、レディースなどの低ヘッドスピードのプレーヤーが使用した場合には、飛距離、打感ともに満足し得るものではなかった。
【0008】
他方、ディンプル要素、例えば形状(深さ、直径等)、ディンプル配列態様、各種ディンプルパラメーターなどについても種々検討が試みられているが、なお改良の余地を残しており、多様かつ個性化するプレーヤーの要望には十分に応えきれていない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、コアと中間層とカバーとの間の硬度バランスを最適化すると共に、ディンプル要素を適正化することにより、ヘッドスピードに拘わりなく打感、飛び性能が向上したゴルフボールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、ボール構造、特にコアと中間層とカバーとの間の硬度バランスを最適化すると共に、ディンプル要素、特にディンプル総数、ディンプル表面占有率、ディンプル総表面積指数Dst値などを適正化することにより、ヘッドスピードに拘わりなく飛距離が増大し、打感が良好になることを知見した。
【0011】
即ち、ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、上記コアの表面硬度をショアDで48以下とし、中間層硬度をショアDで53以上60以下で、かつコア表面硬度より8以上高く、カバー硬度をショアDで55以上65以下で、かつ中間層硬度より高く形成することにより、ヘッドスピードにかかわらず最適な硬度バランスを有するボール構造が得られると共に、上記ボール構造のボール表面に直径及び/又は深さの異なる少なくとも2種類のディンプルを形成し、これらディンプルの総数を370〜450個、ディンプル表面占有率を63%以上、ディンプル総表面積指数Dst値を4以上とし、更にディンプル断面形状係数V0値を0.37〜0.55とすることにより、ディンプル要素が適正化され、上記最適なボール構造と相俟って、ヘッドスピードの高低にかかわらず飛距離が飛躍的に増大し、打感も良好なゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
従って、本発明は、
(1)単一層のゴム製ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、上記コアの表面硬度がショアDで48以下であり、中間層硬度がショアDで53以上59以下で、かつコア表面硬度より8以上高く、カバー硬度がショアDで55以上65以下で、かつ中間層硬度より高く形成されると共に、中間層は、アイオノマー樹脂,エチレン−不飽和カルボン酸アルキル共重合体の無水マレイン酸変性物,エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸アルキルエステルの三元共重合体,ポリアミドエラストマー及び結晶性ポリエチレンブロックを有する熱可塑性エラストマーの群から選ばれる1種又は2種以上を主成分として形成され、その中間層の厚さが0.5〜2.5mmであり、かつ上記ディンプルが直径及び/又は深さの異なる少なくとも2種類からなり、ディンプル総数が370〜450個、ディンプル表面占有率が63%以上、ディンプル総表面積指数Dst値が4以上であることを特徴とするゴルフボール、
(2)ディンプル断面形状係数V0値が0.37〜0.55である(1)記載のゴルフボール、及び
(3)カバーがアイオノマー樹脂を主材とする熱可塑性樹脂である(1)又は(2)記載のゴルフボール
を提供する。
【0013】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明のゴルフボール1は、図1に示すように、軟らかく形成されたソリッドコア2と、このコア2の表面より硬い中間層3と、この中間層3より硬いカバー4とからなり、このカバー4の表面には多数のディンプル(図示せず)が形成されている。
【0014】
上記ソリッドコアの表面硬度は、ショアD硬度計での測定(以下、ショアDという)で48以下であり、特に45以下が好ましく、少なくとも30以上である。表面硬度が48を超えると、コアが硬くなりすぎ、特に低ヘッドスピードのプレーヤーにおいて飛距離がのびず、打感が硬くなる。この場合、ソリッドコアの表面硬度とはソリッドコアの表面、具体的にはコア球状表面の5点測定の平均値である。
【0015】
また、コアの外径、比重、重量などは、本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができ、コアの外径は好ましくは30〜39mm、より好ましくは33〜38mm、コアの比重は好ましくは1.10〜1.30、より好ましくは1.13〜1.25、コアの重量は好ましくは25〜35g、より好ましくは26〜33gである。
【0016】
本発明においてソリッドコアを形成するためのコア用組成物としては、特に制限されず、通常ソリッドコアの形成に用いられる基材ゴム、架橋剤、共架橋剤、不活性充填剤等を用いて形成することができる。この場合、基材ゴムとしては従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴム及び/又は合成ゴムを使用することができるが、本発明においては、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4−シス−ポリブタジエンが特に好ましい。この場合、所望により該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等を適宜配合してもよい。また、架橋剤としてはジクミルパーオキサイドやジ−t−ブチルパーオキサイドなどのような有機過酸化物等が例示される。この架橋剤の配合量は通常、基材ゴム成分100重量部に対して通常0.5〜1.8重量部程度とされる。
【0017】
上記共架橋剤としては、特に制限されず、不飽和脂肪酸の金属塩、特に、炭素原子数3〜8の不飽和脂肪酸(例えばアクリル酸、(メタ)アクリル酸等)の亜鉛塩やマグネシウム塩が例示されるが、アクリル酸亜鉛が特に好適である。なお、架橋剤の配合量は適宜設定され、通常は基材ゴム成分100重量部に対して、0.5〜3重量部程度とされる。更に、不活性充填剤としては酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛等が例示されるが、酸化亜鉛、硫酸バリウムが一般的であり、その配合量はコアとカバーの比重、ボールの重量規格等に左右され、特に制限されないが、通常は基材ゴム100重量部に対して40重量部以下である。なお、本発明においては上記架橋剤や酸化亜鉛、硫酸バリウム等の充填剤の配合割合を適宜調整することにより、コア全体の硬度及び重量を最適値に調整することができる。
【0018】
上記成分を配合して得られるコア用組成物は通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール等を用いて混練し、コア用金型を用いて上記硬度のソリッドコアを形成することができる。
【0019】
上記コア2を被覆する中間層3は、その硬度がショアDで53以上59以下であり、好ましくは54〜59である。中間層硬度が53未満では反発性を損ない、60を超えると打感が悪くなる。この場合、中間層硬度は上記コアの表面硬度よりショアDで8以上高く形成され、より好ましくは9〜30高く形成される。この硬度差が8未満では打感が悪くなり、反発性を十分得ることができない。
【0020】
中間層の厚みは0.5〜2.5mmの範囲内に調整され、好ましくは1.0〜2.3mmである。比重は、本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができ、好ましくは0.90〜1.18、より好ましくは0.91〜1.16である。なお、中間層は1層に限られず、2層以上の複数層に形成することもできる。
【0021】
上記中間層3は、軟らかく形成したコアの反発性の低下を補うためのものであり、上述した硬度範囲内で、反発性に優れた材料、例えばハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(米国デュポン社製)等のアイオノマー樹脂が好適に用いられ、上記アイオノマー樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、エチレン−不飽和カルボン酸アルキル共重合体の無水マレイン酸変性物(HPR AR201(三井・デュポンポリケミカル社製)等)、エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸アルキルエステルの三元共重合体(ニュークレルAN4311、同AN4307(三井・デュポンポリケミカル社製)等)、ポリアミドエラストマー(PEBAX3533(アトケム社製)等)、及び結晶性ポリエチレンブロックを有する熱可塑性エラストマー(ダイナロンE6100P、同E4600P(日本合成ゴム(株)製)等)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。この場合、上記アイオノマー樹脂を10〜100重量%、好ましくは30〜95重量%、アイオノマー樹脂以外の熱可塑性樹脂を0〜90重量%、好ましくは5〜70重量%の割合で配合することが好ましい。
【0022】
なお、中間層には、上記樹脂組成物に加えて重量調整剤として酸化亜鉛、硫酸バリウム等の無機充填剤や着色のために二酸化チタン等の添加剤を添加することができる。
【0023】
この中間層3をコア2に被覆する方法は、制限されず、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップでコアを包み加熱加圧成形するか、中間層用組成物を射出成形によりコアを包みこんでもよい。
【0024】
上記中間層3を被覆するカバー4は、中間層よりも硬く形成され、その硬度はショアDで55以上65以下であり、より好ましくは56〜63である。カバー硬度が55未満では十分な反発性を得られず、65を超えると打感、コントロール性が劣ってくる。この場合、カバーと中間層との硬度差はショアDで好ましくは1〜10、より好ましくは2〜8である。カバー硬度が中間層硬度より軟らかいと十分な反発性が得られなくなったり、打感が悪くなったりする。
【0025】
なお、カバーの厚み、比重等は、本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができ、厚みは0.5〜3.0mm、特に1.0〜2.3mm、比重は0.90〜1.18、特に0.91〜1.15であることが好ましい。なお、カバーは1層に限られず、2層以上の複数層に形成することもできる。
【0026】
上記カバー組成物としては特に制限されず、ゴルフボールのカバー材として好適な性能を有する公知の材料で形成することができ、特にアイオノマー樹脂を主材とする熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ハイミラン1557、同1605、同1855、同1856(三井・デュポンポリケミカル社製)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
更に、上記カバー組成物には必要に応じてUV吸収剤、酸化防止剤、金属石鹸等の分散助剤などを添加することもできる。なお、中間層の周囲にカバーを被覆する方法は特に制限されず、通常は予め半殻球状に成形した2枚のカバーで中間層を包み加熱加圧成形するか、カバー用組成物を中間層の周囲に射出成形してもよい。
【0028】
このようにして得られたゴルフボールは、通常のゴルフボールと同様に多数のディンプルを表面に形成してなるものである。これらディンプルは直径及び/又は深さが異なる少なくとも2種類以上であり、好ましくは2〜6種類である。ディンプル直径は好ましくは2.0〜5.0mm、より好ましくは2.2〜4.5mm、ディンプル深さは好ましくは0.10〜0.28mm、より好ましくは0.11〜0.25mmである。またディンプル総数は370〜450個であり、好ましくは380〜440個である。なお、ディンプル形状は、平面円形状が好ましいが、特に制限されず楕円、長円、花びら、多角形などの非円形ディンプルとすることもできる。
【0029】
本発明のゴルフボールは、ゴルフボールを球状とみなして仮想球面とした際、個々のディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の表面積が仮想球面の全面積に対する割合であるディンプル表面占有率が63%以上であり、好ましくは65〜79%である。ディンプル表面占有率が63%未満では十分な飛距離が得られない。
【0030】
本発明において上記ディンプルは、各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積を、前記平面を底面としかつこの底面からの各ディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値の平均値であるディンプル断面形状係数V0値が好ましくは0.37〜0.55、より好ましくは0.39〜0.53となるように形成する。
【0031】
このV0値は個々のディンプルのゴルフボールに占める実質的な体積の割合を示すものであり、更に詳しく説明すると、ディンプル平面形状が円形状の場合、図2に示したようにディンプル5上にボール直径の仮想球面6を設定すると共に、ボール直径より0.16mm小さい直径の球面7を設定し、この球面7の円周とディンプル5との交点8を求め、該交点8における接線9と前記仮想球面6との交点10の連なりをディンプル縁部11とする。この場合、上述したディンプル縁部の設定は、通常ディンプル5の縁部は丸みを帯びているため、このような設定がないとディンプル縁部の正確な位置がわからないためである。そして、図3,4に示したように前記縁部11によって囲まれる平面(円:直径Dm)12下のディンプル空間13の体積VPを下記式より求める。一方、前記平面12を底面とし、この平面12からのディンプル最大深さDPを高さとする円柱14の体積VQを下記式より求める。これにより、円柱体積VQに対するディンプル空間体積VPの比を算出し、ボール表面の全ディンプルについての平均値を求めこれをV0値とする。
【0032】
なお、ディンプルの平面形状が円形状でない場合は、このディンプルの最大直径(若しくは平面最大長さ)を求め、ディンプル平面がこの最大直径(最大長さ)を有する円形状であると仮定し、以下上記と同様にしてV0値を算出することができる。また、直径及び/又は深さの異なる複数種類のディンプルの場合は、各種類ごとのV0値を求め、これらを平均してディンプル断面形状係数V0値とする。
【0033】
【数1】
【0034】
更に、本発明のゴルフボールはボール表面に形成されるディンプル種類数をnとし、各種ディンプルの径をDmk、最大深さをDPk、個数をNkとした場合(但し、k=1,2,3,…n)、下記式で示されるディンプル総表面積指標Dst値を4.0以上、より好ましくは4.2〜10.0に形成することが好ましい。このDst値は種々のディンプルパラメータを適正化するものであり、Dst値が4.0未満では本発明の狙いとする最適なボール構造とディンプル要素の適正化による相乗効果が得られず、飛び性能が劣る。
【0035】
【数2】
ここで、式中Rはボール半径、V0は上記ディンプル断面形状係数V0値と同義であり、Nkはディンプルkの個数である。
【0036】
以上説明したように、本発明のゴルフボールは、ボール構造、特にコアと中間層とカバーとの間の硬度バランスを最適化すると共に、上記ボール構造のボール表面に形成されるディンプルのディンプル要素、特にディンプル総数、ディンプル表面占有率、ディンプル総表面積指数Dst値などを適正化することにより、ヘッドスピードに関わらず、飛距離が飛躍的に増大し、打感が良好となるものである。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、コアと中間層とカバーとの間の硬度バランスを最適化し、ディンプル要素を適正化することにより、ヘッドスピードの高低にかかわらず、飛距離が飛躍的に増大し、打感が良好なものである。
【0038】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0039】
〔実施例、比較例〕
表1に示したコア組成物を混練し、モールド内で155℃において約20分間加硫することによりa〜fのソリッドコアを得た。なお、コアの表面硬度はコア表面の任意の5点をショアD硬度計で測定した平均値である。
【0040】
次に、表2に示したA〜Hの中間層材料、カバー材料を、表4に示したコア、中間層、カバーの組み合わせに従って、コアの表面に中間層を、該中間層の周囲にカバーを順次射出成形した。この場合、カバー表面には表3に示した態様のディンプルが形成されている。得られた実施例1〜4、比較例1〜5のゴルフボールの性状及び諸性能を調べた。結果を表4に示す。なお、表4中、飛距離、打感は下記の方法で評価した。得られた製品ボールの重量は45.20±0.20g、ボール直径は42.70±0.05mmの範囲内にすべて入っていた。
飛距離
ツルー・テンパー社製の打撃ロボットを用いて、ドライバー(#W1)にてヘッドスピード45m/sec(HS45)、35m/sec(HS35)でショットした時の落下距離(キャリー)、到達距離(トータル)を測定した。なお、ドライバーは、HS45の場合、PRO230チタン,ロフト角10°、HS35の場合、PRO230チタンLD,ロフト角13°(いずれもブリヂストンスポーツ株式会社製)を用いた。
打感
ヘッドスピード45m/sec(HS45)、35m/sec(HS35)のプレーヤー各3名に実打してもらい、下記基準により判定した。
◎:軟らかい
○:やや軟らかい
△:やや硬い
×:硬い
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
*1:三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
*2:米国デュポン社製のアイオノマー樹脂
*3:日本合成ゴム(株)製のブロックコポリマーポリブタジエンの水素添加物E−EB−E系
*4:三井・デュポンポリケミカル社製のエチレン・メタクリル酸・アクリル酸エステルの三元共重合体
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表4の結果から、比較例1は、実施例4とディンプル要素以外は共通し、打感は良好であるが、ディンプル総数が多すぎ、Dst値が小さいために飛距離が十分にでないものである。比較例2は、コアの表面硬度が高く、コアと中間層との硬度差が小さいために、特に低ヘッドスピードの場合の飛距離、打感が劣るものである。比較例3は、Dst値が極端に小さい以外は本願発明の条件を満たしているため打感は良好であるが、飛距離が十分でないものである。比較例4は、中間層が極端に硬く、中間層がカバーよりも硬い上に、ディンプル要素もディンプル総数が多く、Dst値が小さいために飛距離、打感共に劣るものである。比較例5は、コアが極端に硬く、コアが中間層よりも硬い上に、Dst値も小さいために飛距離が十分でず、打感が硬いものである。
【0046】
これに対して、本発明のゴルフボールは、ヘッドスピードによらず飛距離が十分にでて、打感も良好なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるゴルフボールの概略断面図である。
【図2】ディンプル断面形状係数V0値の計算方法を説明するための説明図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】同概略断面図である。
【符号の説明】
1 ゴルフボール
2 コア
3 中間層
4 カバー
5 ディンプル
6 仮想球面
7 球面
8 交点
9 接線
10 交点
11 ディンプル縁部
12 平面
13 ディンプル空間
Claims (3)
- 単一層のゴム製ソリッドコアと中間層とカバーとからなり、該カバーの表面に多数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、上記コアの表面硬度がショアDで48以下であり、中間層硬度がショアDで53以上59以下で、かつコア表面硬度より8以上高く、カバー硬度がショアDで55以上65以下で、かつ中間層硬度より高く形成されると共に、中間層は、アイオノマー樹脂,エチレン−不飽和カルボン酸アルキル共重合体の無水マレイン酸変性物,エチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸アルキルエステルの三元共重合体,ポリアミドエラストマー及び結晶性ポリエチレンブロックを有する熱可塑性エラストマーの群から選ばれる1種又は2種以上を主成分として形成され、その中間層の厚さが0.5〜2.5mmであり、かつ上記ディンプルが直径及び/又は深さの異なる少なくとも2種類からなり、ディンプル総数が370〜450個、ディンプル表面占有率が63%以上、ディンプル総表面積指数Dst値が4以上であることを特徴とするゴルフボール。
- ディンプル断面形状係数V0値が0.37〜0.55である請求項1記載のゴルフボール。
- カバーがアイオノマー樹脂を主材とする熱可塑性樹脂である請求項2又は3記載のゴルフボール。
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