JP4045100B2 - リゾホスファチジルエタノールアミンの製造方法 - Google Patents

リゾホスファチジルエタノールアミンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、リン脂質混合物(phospholipid mixture)から高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを精製する方法に関する。より詳しくは、リン脂質混合物を酵素処理した後、溶媒分画(solvent fractionation)することにより、カラム精製法を用いることなく、高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを精製する方法に関する。
【0002】
(背景技術)
リゾホスファチジルエタノールアミン(lysophosphatidylethanolamine)は、動植物の細胞に天然的に存在し、特に卵黄や脳細胞に多く含有されている。リゾホスファチジルエタノールアミンは、細胞膜で発見されるリン脂質の一種であるホスファチジルエタノールアミンから誘導される。卵黄や大豆レシチンに豊富なホスファチジルエタノールアミンは、リン脂質の一種で、2つの脂肪酸を分子内に含有している。生体内では、ホスファチジルエタノールアミンがリン脂質加水分解酵素であるホスホリパーゼ(Phospholipase)A2作用を受けて、sn−2位置にある1つの脂肪酸が除去されることによって、リゾホスファチジルエタノールアミンに変換される。
【0003】
リゾホスファチジルエタノールアミンは、果実の熟成と老化に非常に重要な役目をすると知られている。リゾホスファチジルエタノールアミンの処理は、トマトの葉と果実の老化を抑制すると知られていて、収穫されたトマトをリゾホスファチジルエタノールアミンで処理する場合、果実の貯蔵期間を延長させる役割をもすると知られている(USP 5,110,341、USP 5,126,155)。また、りんごをリゾホスファチジルエタノールアミンで処理すると、皮にアントシアニン形成を促進し、収穫されたりんごの貯蔵中には、軟化抑制作用をすると知られている。こういう作用は、りんご、クランベリー(cranberry)、トマト等のような果実の呼吸速度(respiration rate)を低くする役目、及びエチレンガス形成を促進したり抑制する機能と関連があると知られている(Farag, K. M. and J.P. Palta, "Stimulation of Ethylene Production by Erea, Thidiazoron, and Lysophosphatidylethanolamine and Possible sites of this stimulation" Annual meeting of the American Society of Plant Physiologists, April 1989)。
【0004】
適当な濃度に調節されたリゾホスファチジルエタノールアミン溶液は、切花(Cut flower)の寿命を延長する手段として用いられることがある(HortScience 32(5):888-890, 1997)。一般的に糖を含有するシルバーチオスルフェート(Silver thiosulfate)溶液は、この溶液を、収穫した花に約20時間以上処理する場合、花の老化を抑制させるため、このような用途に最近まで使用されてきた。しかしながら、この溶液中に含有された銀イオンが環境汚染を招くという問題があり、最近米国では使用を回避している。また、天然で精製したリゾホスファチジルエタノールアミンは、シルバーチオスルフェート溶液と同様に、切花の花瓶内における貯蔵性を増加させる役目をすると知られていて、この分野においてリゾホスファチジルエタノールアミンの利用が活発に推進されている。
【0005】
今まで工業的に高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを生産できる方法は開発されていない実情であり、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法を用いた少量規模の分離精製が実験室で行われている。これは、Avanti Polar Lipids、IncやSigma社によりただ試薬用として少量販売されており、非常に高価である。さらに、カラムクロマトグラフィーを用いたリゾホスファチジルエタノールアミンの生産は、リゾホスファチジルコリンとリゾホスファチジルエタノールアミンがカラム内において類似の移動パターンを示すため、リゾホスファチジルエタノールアミンの分離が非常に難しいという問題点を有する。また、ヘキサンやエタノールのような低毒性の有機溶媒を単独溶媒として用いてカラムクロマトグラフィーを行う場合には、リゾホスファチジルエタノールアミンが有機溶媒に非常に低い溶解度を持つから、精製が非常に難しいという短所がある。一方、クロロホルム、ベンゼン、メタノールのように非常に毒性が高いと知られた溶媒系を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する時にだけ良い結果を得ることができるが、収率も悪くて、精製に多くの費用がかかる。
【0006】
(発明の開示)
従って、本発明の目的は、高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを大量で高収率で生産する方法を提供することである。
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、ホスファチジルエタノールアミンが含有されているリン脂質混合物を、ホスホリパーゼで処理して、ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンに転換させて、次いで、このリゾホスファチジルエタノールアミンが含有されているリゾリン脂質混合物を、特定の溶媒混合物で処理して、リゾホスファチジルエタノールアミンを結晶化する段階を含む方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、リン脂質混合物中のホスファチジルエタノールアミンの含量を高めるために、リン脂質に多量存在するホスファチジルコリンを、リン脂質転換酵素であるホスホリパーゼDで処理して、リン脂質内のホスファチジルエタノールアミンの含量を高める段階をさらに含む方法を提供する。
【0009】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明の方法に使われる出発物質であるリン脂質混合物は、ホスファチジルエタノールアミンを10〜99重量%、好ましくは30〜99重量%の量で含有するもので、例えば、大豆レシチン、粗大豆レシチン、卵黄レシチンなどを挙げることができる。
【0010】
しかしながら、自然界に存在するリン脂質混合物中のホスファチジルエタノールアミンの含量は、ホスファチジルコリンの含量より少ない。より効率的な工程のためには、リン脂質中のホスファチジルエタノールアミンの含量を高めることが良い。
【0011】
例えば、大豆油の製造工程中に副産物として生産される粗大豆レシチン(crude soybean lecithin、粗レシチンともいう)は、60〜70%の極性脂質(リン脂質/糖脂質)、27〜39%の大豆油、1〜3%の水、0.5〜3%のその他成分で構成されている。これらのうち極性脂質は、粗レシチンに含まれた中性脂質である大豆油を除去することによって精製されるが、精製された状態の組成は、ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine、以下PCともいう)22−30%、リゾホスファチジルコリン(lysophosphatidylcholine、以下LPCともいう)22−30%、ホスファチジルエタノールアミン(以下PEともいう)16−22%、リゾホスファチジルエタノールアミン(以下LPEともいう)0.5−2%、ホスファチジン酸(Phosphatidicacid、以下PAともいう)0.5−8%、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)0.1−3%、ホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol)6−15%などで構成されている。卵黄レシチンは、73〜83%のPC、2〜5%のLPC、13〜17%のPE、1〜3%のLPEなどで構成されている。リン脂質中には非常に少量のリゾホスファチジルエタノールアミンが含有されているため、これらレシチンから直接リゾホスファチジルエタノールアミンを分離して商業的に使用することはほとんど不可能である。
【0012】
このため、リン脂質混合物に多量含まれているPCをPEに転換させた後、必要に応じてこのように処理されたリン脂質混合物から一次的にホスファチジルエタノールアミンを精製したり又は濃縮法を用いてPEの含量を高めたものを出発物質として使用することができる。PEの含量を高めるために、リン脂質の溶媒に対する溶解度差異を用いた分画法、カラムクロマトグラフィー方法による分画法、またはリン脂質転換酵素を用いたホスファチジルエタノールアミンの濃縮法などが用いられる。
【0013】
カラムクロマトグラフィーによるホスファチジルエタノールアミンの濃縮は、主としてシリカゲルやフロリシル(Florisil)のような吸着剤、又はDEAEセルロース、TEAEセルロースのようなイオン交換樹脂などを用いて、分画、濃縮する方法が知られている(G. Rouser, G. Krichevsky, A.Yamamoto, "Lipid Chromatographic Analysis" ed by G. V. Marinetti, Vol.1, p99, Dekker, New York(1967), D.J.Hanahan, J.C.Dittmer, E.Warashina, J, Biol. Chem. 228, 685(1957))。溶解度差異を用いた分画法としては、アルコールを用いた分画方法(V.H. Pardon, Fette Seifen Anstrichmittel 86, 55(1984) , J.Holzl and H, Wangner, Z. Naturforsch., 26b, 1151(1971))、遠心分配クロマトグラフィー法(centrifugal partition chromatography, Bio Industry 2(8) 40 1985)等が知られている。
【0014】
リン脂質中のホスファチジルエタノールアミンの含量を高める他の方法としては、酵素(特にホスホリパーゼD又はホスファチジルコリンホスファチドヒドロラーゼE.C.3.1.1.4)が用いられる。リン脂質は、sn−グリセロール−3−リン酸塩の骨格と、1番及び2番炭素のヒドロキシル基に結合された脂肪族アシル鎖とからなる。ホスホリパーゼA1とA2は、各々sn−1位置と、sn−2位置のアシル基の加水分解に触媒として作用する。ホスホリパーゼCは、グリセロール骨格部でホスホジエステル結合を加水分解させる。リン脂質は、ホスフェート基でヘッド部置換基の種類によって分類されるが、コリンやエタノールアミンのようなヘッド部は、ホスホリパーゼDにより加水分解されることができる。ホスホリパーゼDは、加水分解活性及びホスファチジル転換活性により、いろいろな種類のホスファチジン酸誘導体の製造に有用である。大豆や卵黄のリン脂質に、リン脂質転換酵素(すなわちホスホリパーゼD)と適量のエタノールアミンを添加すると、ホスファチジル転換(transphosphatidylation)反応により、ホスファチジルエタノールアミンが多量含有されたリン脂質を得ることができる[S.F. Yang, et al., J. Biol. Chem., 242(3), 477-484(1967), R.M.C. Dawson, Biochem. J., 102 205-210(1967)]。
【0015】
したがって、上記の公知された方法を用いて高濃度でホスファチジルエタールアミンが濃縮されたリン脂質混合物を本発明の出発原料として使用することができる。
【0016】
本発明の一実施例では、リン脂質中のホスファチジルエタノールアミンの含量を高めるために、リン脂質転換酵素であるホスホリパーゼDを使用しているが、この酵素は、微生物や植物から得られることができる。キャベツ(Cabbage)からホスホリパーゼDを得る一般的な方法は、Yang等によりよく知られている[S.F. Yang, et al., J. Biol. Chem., 242(3), 477-484(1967)]。また、ピーナッツや綿実(cotton seeds)、大豆などから抽出されたホスホリパーゼDを、部分的又は完全精製して本発明に使われることもできる。微生物から生産されたホスホリパーゼDとしては、主としてストレプトマイセス(Streptomyces)属由来の酵素を発酵反応により生産して使用することができる。一般的に、微生物から生産されたホスホリパーゼDは、植物から抽出したものより、リン脂質転換反応の効率が高くて、転換反応に一層有利である。
【0017】
この転換酵素反応は、通常の条件で実施することができ、この転換酵素反応後に得られた混合物は、そのまま後続の加水分解酵素反応を行うか、又はこの混合物からホスファチジルエタノールアミンを一次的に精製して使用することができる。
【0018】
本発明の方法によれば、リン脂質転換酵素で処理されたり又は処理されないリン脂質混合物を、リン脂質加水分解酵素、例えばホスホリパーゼA2で処理して、リン脂質混合物中のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンに転換させることによって、多量のリゾホスファチジルエタノールアミンを得ることができる。
【0019】
本発明に用いられるリン脂質加水分解酵素は、牛や豚のすい臓から抽出したホスホリパーゼA2、或いはホスホリパーゼA2の活性を有するリパーゼ、又はプロテアーゼとリパーゼを不活性化させた牛や豚のすい臓パンクレアチンを利用することが可能である。また、微生物から発酵により生産されたホスホリパーゼA2をも利用することができる。ホスホリパーゼA2は、リン脂質のsn−2位置にあるグリセロールと脂肪酸とのエステル結合を加水分解する酵素であり、主にヘビ毒や動物のすい臓に広く分布し、工業的には豚のすい臓から抽出して濃縮したものが販売され使用されている。本発明の一実施例で使用したホスホリパーゼA2は、豚のすい臓から抽出して精製したもので、商業用で開発したNovo Nordisk社の製品を使用した。
【0020】
一般に、リン脂質の酵素的加水分解反応は、リン脂質又はリン脂質混合物を5〜100倍の水又は有機溶媒に溶かし、ここに酵素を添加した後、一定温度で激しく攪拌することによって行われる。酵素反応温度は、室温乃至70℃程度の穏やかな反応条件で主に行われるが、略25〜50℃の温度範囲であることが好ましい。
【0021】
また、酵素反応に有機溶媒を使用する場合、工程及び作業安全性のために、溶媒の沸騰点及び引火点を考慮することが好ましい。添加する酵素の量は、種類、純度、原料状態、価格及び基質内リン脂質の含量などを考慮して決定される。一般的な酵素投与量は、リン脂質kg当り10,000〜50,000ユニットの酵素を使用する(レシターゼ、Novo Nordisk社推奨量)。加水分解の反応時間は、添加された酵素の量、反応温度、リン脂質の含量及び攪拌速度等により決定される。本発明に用いられる酵素反応は、酵素供給メーカが推薦した一般的な反応法を使用した。但し、一定の加水分解反応のために、酵素の量と反応時間を適切に調節し、リン脂質の可溶化のために有機溶媒を添加した。
【0022】
酵素反応のための有機溶媒としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート等を挙げることができる。
【0023】
この反応後に残存する水と有機溶媒は、必要に応じて除去せずに、次の有機溶媒分画段階にそのまま用いられることができる。特に、水は、後続の有機溶媒分画段階で必要である。したがって、後述する有機溶媒分画段階において、水は、別途に反応系に添加された水が使用されるか、又は加水分解の酵素反応段階で使われてから残存する水が使用される。
【0024】
一方、上記のようで酵素的リン脂質転換反応を実施しても、100%の転換率を期待し難くて、副産物としてホスファチジン酸(PA)、リゾホスファチジン酸(Lysophosphatidic acid)等が生成されることを避けられない。そして、酵素反応により生成されたリゾリン脂質が界面で強い親水性傾向を持つため、リゾリン脂質の回収が容易でなく、収率が低下する。溶媒抽出によりリゾリン脂質を回収する場合、多くの水を含有するから、濃縮時、気泡を発生させるため、濃縮工程が難しい。こうしてリゾリン脂質を生産しても、リゾリン脂質からリゾホスファチジルエタノールアミンだけを選択的に分離することは、容易でない。リゾリン脂質の主要構成成分であるリゾホスファチジルエタノールアミンとリゾホスファチジルコリンが水と有機溶媒に対する溶解性向が類似しているため、分離が難しい。
【0025】
本発明では、このような問題点を解決し、高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを得るために、低級アルコール、炭化水素、アルキルエステルなどから選択された1つ以上の有機溶媒と、水との混合物を用いて、前記LPE−含有リゾリン脂質混合物を処理し結晶化することで、リゾホスファチジルエタノールアミン以外の不純物(すなわち、反応後に生成されるリゾホスファチジルエタノールアミン以外のリン脂質(例えば、PC、LPC、PE、PA等)や中性脂質、脂肪酸、コレステロール等)を除去して、高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを製造することができる。
【0026】
本発明の方法で、リゾホスファチジルエタノールアミン以外の不純物を除去するための溶媒分画方法に用いられる溶媒は、炭素数1−4の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等);1つ以上の炭化水素群(炭素数6−12の脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン等);またはカルボン酸のアルキルエステル(たとえば、炭素数2−6の、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルブチレート、メチルカプロエート等)から選ばれた1種以上の有機溶媒と、水との混合物である。
【0027】
溶媒分画段階で使われる溶媒の総量は、リン脂質に対して0.5〜20倍(重量比)の範囲で選ばれる。
【0028】
本発明に好ましく使われることができる有機溶媒は、低級アルコールの場合には、メタノール又はエタノールであり、炭化水素の場合には、ヘキサン、シクロヘキサン又はヘプタンであり、アルキルエステルの場合には、エチルアセテートを挙げることができる。
【0029】
水と有機溶媒との混合比率は、0.5〜80:20〜99.5(体積比)の範囲にある。前述した通り、加水分解の酵素反応段階に使われた水や有機溶媒が残存する場合には、溶媒分画段階では別途の水又は有機溶媒を添加したり添加しないことによって、上記の範囲値を持つように調整することができる。そして、2種以上の有機溶媒を共に使用する場合には、その比率は特に限定されない。低級アルコールを含有する有機溶媒混合物を使用する場合、アルコールは、10〜99%(体積)の量で含有されることができる。
【0030】
有機溶媒及び水の混合物を用いて前記リン脂質加水分解の酵素反応物を処理し、−10℃乃至50℃程度の低温で結晶化した後、遠心分離やろ過又は上澄み液の除去等の方法により、リゾホスファチジルエタノールアミン以外の不純物を除去することにより、高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを精製することができる。結晶化段階は、溶媒分画段階以後に別途に温度を調節することで行なうことができ、又は溶媒分画段階と同時に行うこともできる。
【0031】
本発明において、リン脂質を溶媒分画する反応系の温度は、非常に重要な因子中の一つである。有機溶媒でのリゾホスファチジルエタノールアミンとリゾホスファチジルコリンは、溶解度が温度に非常に依存的である。したがって、選択的なリゾリン脂質の分画のための温度は、−10℃乃至50℃程度の穏やかな条件に設定されるが、略−10℃乃至30℃の温度範囲であることが好ましく、より好ましくは−5℃乃至6℃である。
【0032】
本発明で、反応系のpH調節は、効率的な分画のために非常に重要である。本発明で、反応系のpHは、3−9の範囲であることが好ましい。より好ましくは、pH4−8の範囲である。
【0033】
有機溶媒分画及び結晶化段階で形成されたLPE結晶は、通常の方法、例えばろ過、遠心分離、又は上澄み液の除去などの方法で回収することができる。
【0034】
上記で説明した有機溶媒分画/結晶化/結晶回収の段階は、1回実施してもよいが、LPEの純度を高めるために、2回以上繰り返して実施することができる。この場合、各段階に使われる有機溶媒の種類又は混合比率は、互いに同じであるか、異なることができる。
【0035】
本発明によるリゾホスファチジルエタノールアミン生産工程は、研究室、又は産業的規模で高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンの生産に效率的に適用することができ、何らの付加的な困難無しに高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンを得ることができる。このように得られた安価の高純度リゾホスファチジルエタノールアミンは、製薬や農業分野において汎用的に使われることができる。
【0036】
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。しかし、これらの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。
【0037】
実施例1
精製卵黄リン脂質(Doosan Serdary Research Labs.製、ホスファチジルコリン75%、ホスファチジルエタノールアミン14%、その他11%)80gを80mLのクロロホルムに溶かす。シリカゲル(Merck、70−230mesh)450gを1,000mlのクロロホルムに加えた後、70mmx700mmのガラスカラムに充填する。このカラムに、上記で溶解したリン脂質溶液を投入した後、クロロホルム500ml、クロロホルム:メタノール混合溶液(≒95:5)1000ml、クロロホルム:メタノール混合溶液(≒90:10)1,500ml、クロロホルム:メタノール混合溶液(≒85:15)2,000mlで溶出しながら、溶出されるリン脂質を薄層クロマトグラフィーで調べる。ホスファチジルエタノールアミンが溶出される分画だけを集めて、回転式真空エバポレータ(rotary vacuum evaporator)で50℃で濃縮する。得られたホスファチジルエタノールアミンをHPLC(Shimazu、Japan)で分析した結果、純度76%のホスファチジルエタノールアミン(ホスファチジルコリン11%含有)18.5gが得られることが分かる。
【0038】
得られた純度76%のホスファチジルエタノールアミン(ホスファチジルコリン11%含有)15gを150mlのジエルエーテルに溶かした後、ここにCaCl2が100mM含有された酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6、100mM)20mLを添加する。この溶液に5mlのレシターゼ(10,000IU/ml、Novo Nordisk社)を添加し、30℃で13時間激しく攪拌しながら反応させる。溶液を静置させた後、上澄み液の分離(decantation)を行い、溶媒及び生成された脂肪酸を除去する。沈殿部分を常温で200mLのヘキサン:エタノール:水(≒1:1:0.3)の混合溶液で抽出する。下部の水層を除去し、ここに50mlのエタノールを添加して、常温でろ過する。ろ過物にさらにヘキサン:エタノール(≒1:1)溶液を100mL処理し、ろ過し、乾燥する。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度98%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン4.5gが得られることが分かる。
【0039】
実施例2
純度99%のホスファチジルエタノールアミン(Doosan Serdary Research Labs.)4gを50mlのエチルアセテートに溶かした後、ここにCaCl2が100mM含有された酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6、100mM)50mLを添加する。この溶液に1mlのレシターゼ(Novo Nordisk社)を添加し、30℃で6時間激しく攪拌しながら反応させる。溶液を1時間常温で静置させた後、上済み液の分離を行い、溶媒及び生成された脂肪酸を除去する。沈殿部分を20mLのヘキサン:エタノール:水(≒1:1:0.3)の混合溶液で抽出する。下部の水層を除去し、ここに5mlのエタノールを添加し、−5℃で3時間放置した後、ろ過する。ろ過物にさらにへキサン:エタノール(≒1:1)溶液を15mL処理し、ろ過し、乾燥する。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度98%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン0.85gが得られることが分かる。
【0040】
実施例3
精製卵黄リン脂質DS−PL95E(Doosan Serdary Research Labs.製、ホスファチジルコリン75%、ホスファチジルエタノールアミン14%、その他11%)100gをエチルアセテート500mLに溶解させた。Yangの方法[S.F. Yang, et al., J. Biol. Chem., 242(3), 477-484(1967)]により作られたキャベツホスホリパーゼD8,000unitを、80mMのCaCl2とエタノールアミン25gが含有された500mlの酢酸ナトリウム(100mM、pH5.6)緩衝溶液と混合した後、上記で溶解したリン脂質溶液と混合し、室温で300rpmで攪拌しながら13時間反応させた。これをHPLCで分析したところ、反応液内のリン脂質中のホスファチジルエタノールアミン含量は62%であり、ホスファチジルコリン含量は22%であった。反応液中から500mLを取り出して、実施例4のための原料として使用した。
【0041】
反応溶液500mLに10mLのレシターゼ(10,000IU/mL、Novo Nordisk社)を添加し、30℃で6時間激しく攪拌しながら反応させる。溶液を5時間静置させた後、上済み液の分離を行い、溶媒及び生成された脂肪酸を除去する。残りの反応液を1,000mLのヘキサン:エタノール(≒1:1、v/v)の混合溶液で常温で抽出する。上澄み液を除去してから残った液に200mLのエタノールを添加し、4℃で12時間保管した後、ろ過し、沈殿物を回収する。回収された固体に200mLのヘキサン:エタノール:水(≒1:1:0。3、v/v/v)を添加して抽出し、1時間静置する。また、下部の水層を除去し、エタノール100mLを添加した後、ろ過する。ろ過物にさらにヘキサン:エタノール(≒1:1、v/v)溶液を200mLで処理し、4℃で8時間保管した後、ろ過し、乾燥する。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、リン脂質中の純度が99%以上であるリゾホスファチジルエタノールアミン10.7gが得られることが分かる。
【0042】
実施例4
実施例3で得られた溶液500mLに5mlのレシターゼ(10,000IU/ml、Novo Nordisk社)を添加し、30℃で10時間激しく攪拌しながら反応させる。溶液を静置させた後、上済み液の分離を行い、溶媒及び生成された脂肪酸を除去する。残りの溶液を1,000mLのヘキサン:メタノール(≒1:1)の混合溶液で抽出する。上澄み液であるヘキサン層を除去し、ここに200mLのメタノールを添加し、2時間静置した後、ろ過する。ろ過ケーキにさらにヘキサン:メタノール:水(≒1:1:0.3、v/v/v)溶液を200mL処理して、2時間静置した後、ろ過し、60℃で減圧乾燥する。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度98%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン8.5gが得られることが分かる。
【0043】
実施例5
ジパルミトイルホスファチジルコリン(Dipalmitoylphosphatidylcholine、Doosan Serdary Research Labs.製、ホスファチジルコリン99%)10gをジエチルエーテル500mLに溶解させた。ストレプトマイセス属由来のホスホリパーゼD500unit(Sigma製)を、80mMのCaCl2とエタノールアミン6gが含有された500mlの酢酸ナトリウム(100mM、pH5.6)緩衝溶液と混合した後、上記で溶解したリン脂質溶液と混合し、室温で300rpmで攪拌しながら48時間反応させた。反応液をHPLCで分析したところ、反応液内のリン脂質中のホスファチジルエタノールアミン含量は82%であり、ジパルミトイルホスファチジルコリン含量は16%であった。この溶液に5mlのレシターゼ(10,000IU/ml、Novo Nordisk社)を添加し、30℃で10時間激しく攪拌しながら反応させる。クロロホルム/メタノール混合溶液(2/1、v/v)300mLを処理して抽出し、下部のクロロホルム層を回転式真空エバポレータを用いて50℃で濃縮して溶媒を除去した後、8.2gの濃縮物が得られた。濃縮物を100mLのヘキサン:エタノール:(≒1:1)の混合溶液で加温しながら溶解し、ここに60mLの水を添加する。下部の水層を除去し、ここに50mlのエタノールを添加して、試料を−8℃で4時間保管後、ろ過する。ろ過物にさらにヘキサン:エタノール(≒1:1)溶液を100mL処理してろ過した後、乾燥する。この作業を2回繰り返す。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度97%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン3.5gが得られることが分かる。
【0044】
実施例6
大豆リン脂質であるホスホリポン90(Phospholipon90G、Natterman Phospholipid GMBH製、ホスファチジルコリン94%、リゾホスファチジルコリン2%、その他4%)5gをエーテル100mlに溶解させた。ストレプトマイセス属のホスホリパーゼD(Sigma)40unitを、40mMのCaCl2とエタノールアミン2.4gが含有された100mlの酢酸ナトリウム(100mM、pH5.6)緩衝溶液と混合した後、上記で溶解したリン脂質溶液と混合し、室温で300rpmで攪拌しながら36時間反応させた。反応液をHPLCで分析したところ、反応液内のリン脂質中のホスファチジルエタノールアミン含量は72%であり、ホスファチジルコリン含量は18.3%であった。
【0045】
この溶液に2mlのレシターゼ(10,000IU/ml、Novo Nordisk社)を添加し、30℃で5時間激しく攪拌しながら反応させる。クロロホルム/メタノール混合溶液(2/1、v/v)300mLを処理して抽出し、下部のクロロホルム層を回転式真空エバポレータを用いて50℃で濃縮して、4.5gの反応物を得た。反応物を2回にかけて80mLの冷アセトン(cold acetone)で沈殿させて、アセトン不溶物を得る。ここに50mLのヘキサン:エタノール:(≒9:1)の混合溶液で加温しながら溶解し、ここに15mLの水を添加する。2時間静置した後、下部の水層を除去し、ここに50mlのエタノールを添加して、試料を−8℃で4時間保管後、−8℃でろ過する。ろ過物にさらにヘキサン:エタノール(≒1:1)溶液を100mL処理してろ過した後、乾燥する。この作業を2回繰り返す。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度86%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン0.9gが得られることが分かる。
【0046】
実施例7
精製卵黄リン脂質DS−PL95E(Doosan Serdary Research Labs.製、ホスファチジルコリン75%、ホスファチジルエタノールアミン14%、その他11%)30gをエチルアセテート60mLに溶解させた。ストレプトマイセス属由来のホスホリパーゼD800unit(Sigma製)を80mMのCaCl2とエタノールアミン8gが含有された100mlの酢酸ナトリウム(100mM、pH5.6)緩衝溶液と混合した後、上記で溶解したリン脂質溶液と混合し、35℃で300rpmで攪拌しながら13時間反応させた。反応液をHPLCで分析したところ、反応液内のリン脂質中のホスファチジルエタノールアミン含量は79%であり、ホスファチジルコリン含量は16%であった。
【0047】
この溶液に3mlのレシターゼ(10,000IU/ml、Novo Nordisk社)を添加し、35℃で6時間激しく攪拌しながら反応させる。反応溶液の中で50mLを取り出して、100mLの無水エタノールを処理し、−2℃で30分間放置した後、ろ過する。得られた5.7gのろ過物に50mlの80%エタノールを添加し、30分間300rpmで攪拌する。試料を−2℃で4時間保管した後、ろ過し、50mLの80%エタノール溶液を用いて上記操作を2回さらに進行した後、ろ過物を乾燥する。得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調らべたところ、純度97%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン1.5gが得られることが分かる。
【0048】
実施例8
実施例7で得られた反応溶液から50mLを取り出して、回転式真空エバポレータを用いて40℃で減圧濃縮し、溶媒であるエチルアセテートを除去した後、実施例7の操作を繰り返した。得られた乾燥物を、液体クロマトグラフィーにより調べたところ、純度95%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン1.9gが得られることが分かる。
【0049】
実施例9
実施例7で得られた反応溶液から50mLを取り出して、250mLの丸いフラスコに入れ、回転式真空エバポレータを用いて40℃で減圧濃縮して、溶媒であるエチルアセテートを除去した後、100mLの無水エタノールを処理して、−2℃で1時間30分間放置した後、ろ過する。得られた8.7gのろ過物に、100mLのエタノール:エチルアセテート:水混合溶液(=1:0.5:0.5、v/v/v)を処理し、60℃で徐々に攪拌しながら30分間加熱する。この液をろ過し、不純物を除去し、ろ過液を−2℃で3時間冷蔵保管する。結晶化された溶液をろ過し、4.8gのろ過物を得る。得られたろ過物に、80mLのエタノール:エチルアセテート:水混合溶液(=1:0.5:0.5、v/v/v)を処理し、60℃で徐々に攪拌しながら30分間加熱した後、−2℃までゆっくり冷却し、ろ過する。ろ過物を上記混合溶液で同様に2回にかけて処理した後、30℃で真空乾燥した後、得られた乾燥物を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、リン脂質純度97%以上のリゾホスファチジルエタノールアミン1.6gが得られることが分かる。
【0050】
比較例1
実施例7で得られた反応溶液から10mLを取り出して、50mLのクロロホルム/メタノール混合溶液(≒2/1、v/v)で抽出する。上層の水とメタノール層を除去し、下層にエタノール(又はメタノール)を10mLずつ添加した後、−5℃で1−3時間放置した。得られた試料を調べたところ、リゾホスファチジルエタノールアミンの結晶が全く形成されていないし、下層部には、反応生成物として、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、脂肪酸、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸などが混入されていることが分かる。
【0051】
比較例2
実施例7で得られた反応溶液から10mLを取り出して、30mLのクロロホルムで抽出する。2,000rpmで5分間遠心分離して、上層の水層を除去し、下層の試料を薄層クロマトグラフィーで調べる。リゾホスファチジルエタノールアミンの結晶が全く形成されていないし、下層部には、中性脂質と反応生成物である脂肪酸が大部分であり、極少量のリゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンなどが混入されていることが分かる。
【0052】
比較例3
実施例7で得られた反応溶液から10mLを取り出して、30mLのエチルアセテート(又はヘキサン)で抽出する。2,000rpmで5分間遠心分離して、上層の試料を薄層クロマトグラフィーで調べる。リゾホスファチジルエタノールアミンの結晶が全く形成されていないし、上層部には中性脂質と反応生成物である脂肪酸が大部分であり、極少量のリゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンなどが混入されていることが分かる。
【0053】
(産業上の利用可能性)
本発明の方法により製造された高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンは、安価であり、且つ食品、医薬品、化粧品及び農業用途に用いられることができる。

Claims (8)

  1. (1)ホスファチジルエタノールアミンを含有するリン脂質混合物をリン脂質加水分解酵素で処理して、混合物中のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンに転換させることで、リゾリン脂質(lysophospholipid)混合物を得る段階と、
    (2)ヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれた1種以上と炭素数1〜3の低級アルコールとを含む有機溶媒と、水とを、水と有機溶媒との比率が0.5〜80:20〜99.5体積%で混合した混合溶媒で、前記段階(1)で得られたリゾリン脂質混合物を抽出する溶媒分画段階と、
    (3)前記段階(2)で得られた反応混合物を、−2〜30℃の温度で静置させて、リゾホスファチジルエタノールアミン結晶を沈殿させる段階と、
    (4)前記段階(3)で生成された沈殿を回収する段階とを含み、
    前記段階(3)の終了後、前記段階(2)及び段階(3)を繰り返して行うことを特徴とする高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンの製造方法。
  2. 前記段階(1)のリン脂質混合物は、ホスファチジルエタノールアミンを10〜99重量%の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記リン脂質混合物は、ホスファチジルエタノールアミンを30〜99重量%の量で含有することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記段階(1)のリン脂質混合物は、大豆リン脂質又は卵黄リン脂質であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記段階(1)のリン脂質混合物は、エタノールアミンが添加された状態で、リン脂質転換酵素で処理されて、混合物中のホスファチジルコリンがホスファチジルエタノールアミンに転換されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記段階(1)のリン脂質加水分解酵素は、ホスホリパーゼA2であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記段階(2)及び段階(3)は、同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. (1)ホスファチジルエタノールアミンを含有するリン脂質混合物をリン脂質加水分解酵素で処理して、混合物中のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンに転換させることで、リゾリン脂質 (lysophospholipid) 混合物を得る段階と、
    (2)前記段階(1)で得られたリゾリン脂質混合物を、水と炭素数1〜3の低級アルコールとの混合溶媒で抽出する溶媒分画段階と、
    (3)前記段階(2)で得られた反応混合物を、−2〜30℃の温度で静置させて、リゾホスファチジルエタノールアミン結晶を沈殿させる段階と、
    (4)前記段階(3)で生成された沈殿を回収する段階とを含むことを特徴とする高純度のリゾホスファチジルエタノールアミンの製造方法。
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