JP2683590B2 - 酵素変換リン脂質の製造法 - Google Patents

酵素変換リン脂質の製造法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、医薬製剤(リポソーム、マイクロスフェア
など)、化粧品および食品用途のホスファチジルコリン
(以下、PCと略す)含量を高めた卵黄リン脂質(ただ
し、本発明において、PC含量を高めた卵黄リン脂質とは
PC純品をも含む)の製造法に関する。
(従来の技術) 従来、動物、植物由来のリン脂質混合物からPC含量を
高めたリン脂質を分画精製するには、溶剤分別、カラム
分画、誘導体化による分画などが知られている。
溶剤分別は単一溶剤による抽出から混合溶剤による再
結晶まで様々な方法がある(特公昭59−51253、特開昭6
3−119489)。例えば、エタノール、メタノール、さら
に超臨界CO2などを用いてPCを分別する方法がある。
カラム分画には、シリカゲル〔Biochemical J.,60,35
3(1955)、特公昭56−23997、特開昭57−123194、特開
昭57−123196〕、アルミナ〔J.Lipid Res.,,181(196
2)〕、イオン交換樹脂(特開昭59−152392、特開昭60
−197696、特開昭62−281884)を用いる方法が知られて
いる。例えば、シリカゲルカラムにリン脂質混合物を供
給し、クロロホルム−メタノールで脱離させていく方法
があり、メタノールの比率が増加するにしたがってホス
ファチジルエタノールアミン(以下、PEと略す)、PCが
順次溶出させ分画できる。
PCあるいは他のリン脂質の誘導体化による分画法とし
ては、Cd、Znなどの金属塩複合体を利用する方法が知ら
れている〔J.Biol.Chem.,188,471(1951)、特公昭59−
51252、特公昭60−16〕。さらに、リン脂質混合物中のP
Eをアシル化してアセトン可溶としたのち、アセトン処
理して高濃度PCを得る方法が知られている〔Fette Seif
en Anstrichmittel,73,643(1971)〕。
以上の技術は、全てリン脂質混合物中にもともと存在
するPC画分を分画しようとするものであり、リン脂質混
合物中にもともと存在するPEなどのリン脂質は、PC含量
を高めたリン脂質を製造するときには、利用されないの
みでなく夾雑物ととらえられ、製造工程を複雑にしてい
る問題点がある。
次に、ホスホリパーゼD使用の酵素変換法によるPEか
らのPC生成の報告例がある〔Phytochemistry,19,1661
(1989)〕。本報告では、ホウレン草から調製したホス
ホリパーゼDを使用して、卵黄PEと塩化コリンとからPC
生成が認められ、塩化コリンの濃度が35%(w/v)、反
応3hrのときに変換率は最高となり、PEからPCの変換率
は28%であったとある。
上記技術は、ホスホリパーゼDの起源、調製法や反応
条件に由来するものと考えられるが、使用する塩化コリ
ン濃度が著しく高いにもかかわらず、反応最適条件にお
いても未反応PEが36%であり、また、加水分解物ホスフ
ァチジン酸(以下、PAと略す)が36%副生し、上記のよ
うにPEからPCの変換率はわずかに28%のすぎなく、工業
的安価なPCの製造法を提供するものではない。
さらに、上記技術は、反応基質としてPE純品を使用し
ており、本発明のような商業的に流通しているリン脂質
混合物を反応基質として使用する場合と全く異なり、工
業的安価なPC含量を高めリン脂質の製造法を提供するも
のではない。
他にホスホリパーゼD使用のリン脂変換については、
特開昭62−36195、特開昭63−36790、特開昭63−3679
1、特開昭63−36792に記載されている。特開昭62−3619
5では、コメ、大豆、ナタネ、ヒマワリなど植物由来の
酵素を使用している。しかし、植物由来の酵素では、反
応で加水分解物(PA)が副生しやすく、また、この酵素
自体も不安定で取扱いが難しく。実施例記載の使用溶媒
はエーテルあるいはn−ヘキサン−エーテル(1:1)で
あるが、エーテルは過酸化物をつくり爆発性があり、工
業的使用溶媒として問題がある。
他に反応原料は特定リン脂質あるいはリン脂質の混合
物に関してであり、中性脂質を著量含んだような工業的
安価な卵黄リン脂質原料を用いても、有用な酵素変換技
術を提供しているものではない。
以上より特開昭62−36195は、リン脂質混合物からPC
含量を高めたリン脂質の工業的製法を提供するものでは
ないといえる。
特開昭63−36790では、Streptomyces属由来の酵素を
用いて、反応リン脂質原料PCより種々の酵素変換リン脂
質を製造する方法が記載されているが、卵黄リン脂質混
合物からの酵素変換の記載はない。
特開昭63−36791では担体に吸着させた酵素(植物起
源が主体)を用いての種々のリン脂質原料の酵素変換に
ついて記載している。上記発明の実施例には、卵黄リン
脂質(リン脂質純度97%)よりPEを取得する例はある
が、PC含量を高めたリ脂質製造の例はない。
特開昭63−36792では、酵素(植物起源が主体)を含
む水相を逆ミセル中に封入した形態で添加して、リン脂
質の酵素変換反応を行う方法が記載されている。上記発
明には、卵黄リン脂質混合物からの酵素変換やPC含量を
高めたリン脂質製造の実施例はない。
(発明が解決しようとする課題) リン脂質混合物からPC含量を高めたリン脂質(PC純品
を含む)の分画取得する従来技術は、全てリン脂質混合
物中にもともと存在するPC画分を分画するものであり、
リン脂質混合物中にもともと存在するPEが有効利用され
ていない問題点がある。
また、PEから酵素変換によりPCを製造しようとする従
来技術では、純PEを用いる必要があるため、反応原料を
工業的に大量に得ることが困難である。
本発明では、リン脂質混合物中のPEをPCに高収率で酵
素変換し、反応前原料と目的取得物との間でリン脂質の
総量(PCとPEの和)を変えることなく、すなわち、リン
脂質総量のロスがなく、PC含量を高めたリン脂質を製造
しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、卵黄リン脂質混合物とコリンとをストレプ
トマイセス属菌株の生産するホスホリパーゼDの存在下
に反応させることを特徴とするPC含量を高めたリン脂質
の製造法である。以下、本発明について詳しく説明す
る。
本発明に用いるリン脂質混合物は、PC,PEがリン脂質
の主体を成すが、リゾホスファチジルコリン、リゾホス
ファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンなど
の他のリン脂質やコレステロールが含まれていてもよ
い。さらに、トリグリセライドなどの中性脂質は、酵素
反応を阻害せず、必要に応じて酵素反応後の精製におい
て容易に除去可能なため、リン脂質混合物中に中性脂質
が含まれていてもよい。
本発明で用いるホスホリパーゼDは、ストレプトマイ
セス属菌体の生産するホスホリパーゼDであり、卵黄リ
ン脂質混合物に含まれるPEに対して作用するものが良
く、Streptcmyces sp.70S生産酵素(杉山産業化学研究
所製)、Streptomyces prunicolor生産酵素(ヤクルト
本社製)、Streptomyces sp.AA586 FERM−P 6100生産酵
素(東洋醸造製)などが好適である。
本発明で用いるコリンは、塩化コリン、コリン、重酒
石酸コリン、酒石酸水素コリン、重炭酸コリン、臭化コ
リンおよびよう化コリンなど特に限定されないが、工業
的に流通している塩化コリンが好適である。
本発明では、基質であるリン脂質混合物を可溶化し酵
素反応を進行させるために、有機溶媒が使用される。
本発明で用いる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチ
ル、酢酸メチルなどのエステル類、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲ
ン化炭化水素類、n−プロピルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテルなどのエーテル類、n−ヘキサン、n−オク
タン、n−ペンタンなどのアルカリ類、ベンゼン、トル
エンなどの芳香族炭化水素類などの溶媒、またはこれら
の混合溶媒系、またはこれらにイソプロピルアルコー
ル、アセトン、アセトニトリルなどの極性溶媒を配合し
た混合溶媒系が挙げられる。
本発明で用いるホスポリパーゼDの使用量は、卵黄リ
ン脂質1gあたり0.01単位以上、好ましくは1〜100単位
である。なお、ここでいう1単位とは、1μmolのPCを3
0℃、1分間で水解する酵素量である。
使用するホスホリパーゼDの種類によっては、塩化カ
ルシウムなどの水溶性カルシウム塩類を添加することに
より反応は促進される。
反応pHは3〜9であり、Streptomyces sp.70SおよびS
treptomyces sp.AA586生産酵素の場合は4〜7、Strept
omyces prunicolor生産酵素の場合は5〜9が望まし
い。
反応温度は20〜70℃が良く、反応時間は0.5〜8hr、通
常1〜4hrが適当である。
このようにして得られたPC含量を高めたリン脂質は、
分液法やシリカゲルクロマトグラフィーなどにより簡便
に精製することができる。
さらに、本発明によって得られたPC含量を高めたリン
脂質は、常法によりナトリウム塩、カリウム塩などにす
ることができる。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明では、ホスホリパーゼDを
用いることにより、PC含量を高めたリン脂質の製造を選
択的かつ簡便に行うことができるようになり、従来の分
画精製法では除去廃棄されていたリン脂質混合物中のPE
の利用が可能になると共に、PC含量を高めたリン脂質、
特にPCの大量製造を提供するものと言える。
(実施例) 以下に本発明の実施例を挙げて、本発明について具体
的に述べるが、本発明は、これらの実施例によって限定
されるものではない。
実施例1 ジャケット付ガラス製反応容器(1.6cmφ×3.1cm)を
反応に用いた。反応温度はジャケット内を30℃の水を循
環させて維持した。反応組成液の撹拌にはマグネチック
・スターラーを用いた。
精製卵黄リン脂質(PC75%,PE25%)30mgを酢酸エチ
ル2gに添加し、冷氷条件下で超音波処理により溶解し
た。1.75M塩化コリン、80mM CaCl2およびStreptomyces
sp.70S生産酵素(杉山産業化学研究所製)0.2単位を含
む0.2M酢酸緩衝液(pH5.6)1gを反応容器に移し、次
に、上記精製卵黄リン脂質溶液を添加し、3hr反応させ
た。
反応液の一部をFolch溶液に溶解し、クロロホルム抽
出液について、高速流体クロマトグラフィー(本体:日
本分光製 JASCO BIP−1、分離カラム:和光純薬製Wa
kosil 5 SIL)でリン脂質組成の分析を行った結果は、
表1のとおりであった。
実施例2 実施例1に準じて実施した。
精製卵黄リン脂質30mgを酢酸エチル2gに添加し、冷氷
条件下で超音波処理により溶解した。2.5M塩化コリンお
よびStreptomyces prunicolor生産酵素(ヤクルト本社
製)1単位を含む0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)1gを反応
容器に移し、次に、上記精製卵黄リン脂質溶液を添加
し、30℃で3hr反応させた。
反応液の一部についてリン脂質組成の分析を行った結
果は、PC98%、PE2%であった。
実施例3 実施例1記載の反応容器を用いて実施した。
精製卵黄リン脂質(PC78.4%、PE17.4%、リゾホスフ
ァチジルコリン0.6%、スフィンゴミエリン0.6%、コレ
ステロール1.7%、中性脂質1.3%)30mgをジクロロメタ
ン2gに添加し、冷氷条件下で超音波処理により溶解し
た。2.5M塩化コリンおよびStreptomyces sp.AA586生産
酵素(東洋醸造製)1単位を含む0.2M酢酸緩衝液(pH5.
6)1gを反応容器に移し、次に、上記精製卵黄リン脂質
溶液を添加し、45℃で1hr反応させた。
反応液の一部をFolch溶液に溶解し、クロロホルム抽
出液について、TLC−FIDアナライザー(ヤトロン製IATR
OCAN TH−10)で脂質組成の分析を行った結果は、PC93.
8%、PE2.0%、リゾホスファチジルコリン0.6%、スフ
ィンゴミエリン0.6%、コレステロール1.7%、中性脂質
1.3%であった。
実施例4 実施例3と同様にし、精製卵黄リン脂質の代わりに卵
黄リン脂質(PC64.2%、PE14.3%、リゾホスファチジル
コリン0.5%、スフィンゴミエリン0.5%、コレステロー
ル6.8%、中性脂質13.7%)を用いた場合、反応後、脂
質組成の分析を行った結果は、PC77.5%、PE1.0%、リ
ゾホスファチジルコリン0.5%、スフィンゴミエリン0.5
%、コレステロール6.8%、中性脂質13.7%であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】卵黄リン脂質混合物とコリンとをストレプ
    トマイセス属菌株の生産するホスホリパーゼDの存在下
    に反応させることを特徴とするホスファチジルコリン含
    量を高めたリン脂質の製造法。
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