JPH0761276B2 - 酵素法リン脂質−d−セリン誘導体の製造法 - Google Patents

酵素法リン脂質−d−セリン誘導体の製造法

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JPH0761276B2
JPH0761276B2 JP26972386A JP26972386A JPH0761276B2 JP H0761276 B2 JPH0761276 B2 JP H0761276B2 JP 26972386 A JP26972386 A JP 26972386A JP 26972386 A JP26972386 A JP 26972386A JP H0761276 B2 JPH0761276 B2 JP H0761276B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酵素法によるリン脂質−d−セリン誘導体の製
造法、更に詳しくは基質となるリン脂質と受応体と成る
非天然型の−d−セリンとを従来酵素法で使用されたキ
ャベツ由来のホスホリパーゼD等では生起しない転移反
応をホスホリパーゼDMの存在下に転移反応させ非天然型
のリン脂質−d−セリン誘導体を製造する方法に関す
る。
尚、本発明に於いて、リン脂質−d−セリン誘導体と
は、出発基質であるリン脂質のリン酸構造部分と該リン
脂質の塩基、若しくはアルコール構造部分とのエステル
結合をホスホリパーゼDMの作用で加水分解すると同時に
上記反応に用いるd−セリンへ転移させて誘導した新し
いリン脂質誘導体を意味する。
〔従来の技術〕
ホスファチジールセリンはアミノ酸含有リン脂質として
特に脳、神経系、赤血球膜等に分布していることがよく
知られているが天然に存在するホスファチジールセリン
は全てホスファチジール−l−セリンであり、このこと
は天然に存在するアミノ酸が全てl型であることと一致
している。従って天然には非天然型のd−セリンを含有
するホスファチジール−d−セリンの存在は知られてい
ない。ホスファチジール−l−セリンを得る方法として
は上記したごとき生体より分離する以外にはキャベツ由
来のホスホリパーゼD転移反応によるレシチンとl−セ
リンからの酵素合成法が知られている。(P.COMFURIUS
and R.F.A.ZWAAL,Biochim.Biophys.Acta,488,36(197
7)),(TAKAO TAKI,TAKASHI MIURA,and JULIAN N.KAN
FER.,Adv.Exp.Med.Biol,101,301(1978))これに対し
てこれまで非天然型のd−セリン含有リン脂質に関して
は何も報告されておらず自然界に於いてはその存在は確
認されてはいないし、又酵素によって合成されたと言っ
たこと例も知られていない為、d−セリン含有リン脂質
は生化学的には生起しないものと考えられてきた。本出
願人は既にキャベツ由来のホスホリパーゼDとはその性
質に於いて著しく異なるホスホリパーゼDを生産する微
生物を発見しそのホスホリパーゼDの製造法に関して特
開昭58−63388,特開昭58−67183,特開昭60−164483に開
示した。更に同出願人は、上記した微生物ホスホリパー
ゼDがキャベツ由来のホスホリパーゼDとはアルコール
化合物にリン脂質を転移反応させる能力において著しく
異なることを発見しこのホスホリパーゼDを特にホスホ
リパーゼDMと命名しこのホスホリパーゼDMを用いたリン
脂質誘導体の製造法に関して特開昭59−187786,特開昭5
9−187792,特開昭59−187787,特開昭60−41494,特開昭6
1−88886,特開昭61−88887,特開昭61−88888,特開昭61
−88890,特開昭61−88891に開示した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、従来天然には無く、又酵素合成でも生
起することが全く知られていないリン脂質−d−セリン
誘導体を効率よく製造する方法を提供することにある。
近年リン脂質誘導体の界面化学特性や生理的、薬理的効
果が注目されており従来天然にはないリン脂質を酵素合
成することはリン脂質の新たな利用分野を開くものとし
て大変大きな意味がある。
〔問題を解決する為の手段〕
本発明者らはリン脂質のセリン誘導体として非天然型の
d−セリンを塩基に持つ非天然型の新規リン脂質−d−
セリン誘導体を効率よく製造する方法について鋭意研究
を重ねた結果、既に本発明者らによって発見されその製
造法に関して上記公報に開示したホスホリパーゼDMが、
従来知られるキャベツ由来ホスホリパーゼDでは生起し
ない非天然型のリン脂質−d−セリン誘導体を多量生成
することを発見し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記式(1) 〔但し式中、Aは下記(i),(ii)又は(iii) を示しここで、R1,R2及びR3は−OCOR11であるか若しく
は−OR12であるか、若しくはR1とR2,R1とR3は一緒にな
って 〔ここでnは11〜19の数を示す〕を表わし、上記に於い
て、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、R11はR
1及びR3においてC5〜C21,R2においてC1〜C21,R12はR1
及びR3においてC6〜C22、R2においてC1〜C22のそれぞれ
飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、A′は
オキシドアニオン若しくはヒドロキシを示し、Bは−(C
H2)2N+(CH3)3,-(CH2)2NH2,-CH2CH2NH(CH3),-CH2CH2N(CH
3)2,-CH2CHOHCH2OH,若しくは−(CH2)mH〔ここで、mは
1〜5の数を示す〕、で表わされるリン脂質と、d−セ
リンとをホスホリパーゼDMの存在下に反応させることを
特徴とする下記式(2) (但し式中、Aは上記したと同義であり、MはH+▲,NH
+ 3▼,又は金属イオンを示し、Sはd−セリン残基)で
表わされるリン脂質d−セリン誘導体の製法に関する。
かくして、繁雑かつ不利益な化学的合成手段を用いずに
極めて温和で容易な反応条件下において副反応を伴う恐
れもなしに、酵素法によってリン脂質−d−セリン誘導
体を製造出来る。
本発明方法で基質として利用する原料リン脂質は、市場
でも入手可能である他、公知の方法によって天然物より
抽出又は合成することが出来る。そのような物としては
例えば卵レシチン、大豆レシチン、オキアミレシチン、
などの動植物組織から得られる混合リン脂質を初めこれ
等から公知の手段で抽出分離、又は合成されるリン脂質
であってもよく例えば、ジアシル型のリン脂質としては
レシチン、ケファリン、ホスファチジールグリセロー
ル、ホスファチジン酸アルキルエステル等のリン脂質
が、又グリセロリン脂質のアシル結合の一つがアルキル
エーテル結合やアルケニルエーテル結合であるモノエー
テルモノアシル型リン脂質としては、例えば1−o−ア
ルキル−2−アセチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル
コリン、プラスマローゲン等が、又ジエーテル型リン脂
質としては、例えばL−α−レシチン−β,γ−ジヘキ
サデシルが又シクロアルキルエーテル型リン脂質として
例えばL−α−レシチン−β,γ−ヘキサデシリジンな
どのα型やβ型のリン脂質を例示出来、又モノエーテル
型リゾリン脂質としては例えば、L−α−リゾレシチン
−γ−ヘキサデシルが、又モノアシル型リゾリン脂質と
しては例えばリゾレシチン、リゾケファリンなどを例示
出来る。
本発明に於いて、上記式(1)原料リン脂質とホスホリ
パーゼDMの存在下に転移反応せしめる受応体アルコール
のd−セリンは合成品が市販されているのでそのd,l−
混合体、望ましくはd−体を使用すればよい。
本発明方法で用いることの出来るホスホリパーゼDMとし
ては例えば特開昭59−187786に開示されたノカルデオプ
シス(Nocardiopsis)属に属するホスホリパーゼDM生産
菌、例えばノカルデオプシス属No.779株(FERM−BP 51
2〕や特開昭58−67183に開示されたアクチノマヂューラ
(Actinomadura)属に属するホスホリパーゼDM生産菌例
えばアクチノマヂューラ属No.362(FERM−BP 511〕等を
挙げることが出来る。本発明で利用するホスホリパーゼ
DMはリン脂質例えばレシチンとセリンとの転移反応に於
いてd−セリン、l−セリンいずれにも転移し誘導体を
形成するのに対してキャベツ由来のホスホリパーゼDな
どはl−セリンにしか転移せずこの点でも本発明で用い
るホスホリパーゼDMとその他のホスホリパーゼDとを区
別することができる。
本発明方法によれば、前記式(1)リン脂質とd−セリ
ンとを特開昭58−63388,特開昭58−67183、などにすで
に詳しく述べたホスホリパーゼDMの存在下に反応させる
ことにより、前記式(2)で表わされるリン脂質−d−
セリン誘導体を製造することが出来る。
この際用いるホスホリパーゼDMは精製品でも粗製品でも
利用でき、更に適当な固定化担体例えばプロピレン膜、
各種強,弱イオン交換体吸着法、光硬化樹脂等による包
括法により固定化して利用することも出来る。
反応は、ホスホリパーゼDMの存在下で、好ましくは溶媒
の存在下に式(1)リン脂質とd−セリンとを接触せし
めることにより行なうことが出来る。利用する溶媒の例
としては、水性溶媒及び水性溶媒と有機溶媒との混合溶
媒を例示することが出来る。又ホスホリパーゼDMの酵素
的触媒作用を阻害しない任意の他の添加剤を含む溶媒も
利用出来、例えば該作用を促進したり、酵素、誘導体の
安定化に役立つ適当な添加剤を含有した溶媒であること
が出来る。その様なものとしては、例えば牛血清アルブ
ミン蛋白、でんぷん等の糖質、酢酸、クエン酸等の有機
酸及びその塩類、アミノ酸及びその塩類、塩酸、硫酸、
リン酸等の無機塩であり、そしてこれら上記の塩として
はアンモニウム塩、Na+2,K+1等のアルカリ金属塩、M
g+2,Ca+2,Ba+2,等のアルカリ土類金属塩、その他Fe
+2〜+3,Mn+2,Zn+2,Al+2〜+3,Cu+2等の塩であることを例
示することが出来る。そしてこれらの塩類の添加濃度は
リン脂質1モルに対して約0.1モル以上含有した水性溶
媒であるこが出来る。更に有機溶媒の例としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどのごとき芳香族炭化水素
類;アセトン、メチルイソプロピルケトン、などのごと
きケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ
イソプロピルエーテルなどのごときエーテル類;酢酸メ
チル、酢酸エチルなどのごときエステル類;四塩化炭
素、クロロホルム、ジクロロメタンなどのごときハロゲ
ン化炭化水素類;第三級ブチルアルコール、第三級アミ
ルアルコールなどのごとき第三級アルコール類などを例
示することが出来る。水性溶媒を有機溶媒と混合溶媒の
形で利用する場合の両者の混合比は適当に選択出来る
が、例えば水性溶媒:有機溶媒(v/v比)の比で50:1〜
1:10のごとき混合比を例示することが出来る。
反応モル比、ホスホリパーゼDMの使用量、溶媒の使用量
などは適宜に選択出来るが、例えば、前記式(1)リン
脂質1モルに対しd−セリン約1:1〜1:100モル比を例示
することが出来る。又、ホスホリパーゼDMの使用量とし
ては、例えば、式(1)リン脂質1g当り約10〜1000単位
程度の使用量を例示することが出来る。更に溶媒の使用
量としては、例えば、式(1)リン脂質に対して約2〜
500倍(容量)程度の使用量を例示出来る。反応は室温
程度で進行するので特に加熱、冷却の必要はないが例え
ば20℃〜約60℃のごとき反応温度を例示することが出来
る。又反応時間も適宜に選択出来るが、例えば約1〜約
96時間のごとき反応時間を例示することが出来る。必要
なら、例えばTLC(薄層クロマトグラフィー)などの手
法を利用し反応経過を追跡し、誘導体の生成を確認して
反応時間を適宜決めてもよい。
ホスホリパーゼDMの存在下で式(1)リン脂質とd−セ
リンとを接触せしめる態様は適宜に選択出来るが、攪
拌、もしくは振とう条件下で行なうのが普通である。
又、固定化酵素としてホスホリパーゼDMを利用する場合
にも固定化酵素膜、固定化酵素粒子層を介して反応組成
液を接触、循環させる態様により行なうことが出来る。
上述の反応において形成される式(2)リン脂質d−セ
リン誘導体は塩、又は遊離の形で回収、利用することが
出来る。誘導体の塩形成は反応時、水性溶媒に目的の上
記無機塩等を溶解することによっても形成させることが
出来る他、反応後反応液に塩を加えることでも形成出来
る。リン脂質誘導体は溶媒分画、ケイ酸カラムクロマ
ト、アルミナカラムクロマト、高速液体クロマト、遠心
向流分配抽出、ゲル濾過、吸着クロマト等の適当な方法
を用いて分離、精製することが出来る。本発明によれ
ば、上述した様にして、式(1)リン脂質とd−セリン
とを、ホスホリパーゼDMの存在下に反応させて式(2)
リン脂質d−セリン誘導体を製造することが出来る。
以下、実施例により本発明方法実施の態様について、更
に詳しく例示する。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより何
等制限されるものではない。
なお、ホスホリパーゼDMの活性測定法としては、下記の
方法を用いた。
5%卵黄レシチンエマルジョン(0.5g卵黄レシチン10ml
蒸留水の超音波乳化液)0.1ml,0.1MCaCl20.05ml,7.5%T
ritonX100溶液0.15ml,pH5.50.1M Tris−maleate緩衝液
0.1mlを混合し、これに酵素液0.1mlを加え、37℃で10分
間反応後、0.05MEDTA−2Naを含む1M Tris−HC1緩衝液
(pH8.0)0.2mlを加え、直ちに5分煮沸して反応を完全
に停止した。次にコリンエステラーゼ測定用試薬〔日本
商こと(株)製造〕のキットに含まれるコリン呈色溶解
液に溶解した溶液4mlを加え、37℃で20分間反応後、500
nmの吸光度を測定した。対照としては、あらかじめ熱失
活した酵素液を用いて同様に反応させたものの吸光度を
測定した。そして、1分間に1μmolのコリンを遊離す
る酵素を1単位とした。
また、アクチノヂューラ属No.362株およびノカルデオプ
シス属No.779株の生産するホスホリパーゼDMは、本発明
者らによって特開昭59−187792参考例1に示したと同様
な方法で培養及び精製を行った。
かくしてアクチノマヂューラ属ホスホリパーゼDMの場合
には15lの培養液(10u/ml)から100mlの精製ホスホリパ
ーゼDM(560u/ml)を得、ノカルデオプシス属ホスホリ
パーゼDMの場合には、15lの培養液(3u/ml)から30mlの
精製ホスホリパーゼDM溶液(560u/ml)を得た。
これらの精製ホスホリパーゼDMを下記実施例に使用し
た。
実施例1 下記(1)〜(10)のリン脂質とd−セリンとを後掲TL
Cによる転移物確認方法に従って、ホスホリパーゼDMの
存在下で反応させ、リン脂質d−セリン誘導体の形成を
確認した。そのRf値を後掲第一表に示した。
基質(リン脂質) (1)L−α−レシチン、卵黄由来、(シグマ社) (2)L−α−レシチン−β,γ−ジヘキサデカノイル
(同上) (3)L−α−ホスファチジルエタノールアミン、卵黄
由来、(同上) (4)L−α−ホスファチジルグリセロール、卵黄由
来、(同上) (5)L−α−リゾレシチン−γ−ヘキサデカノイル
(同上) (6)L−α−レシチン−β,γ−ジヘキサデシル(カ
ルビオケム−ベーリング社) (7)L−α−レシチン−β,γ−ヘキサデシリジン
(同上) (8)β−レシチン−α,γ−ジヘキサデカノイル(同
上) (9)ホスファチジルコリンプラスマローゲン(フナコ
シ薬品) (10)1−o−ヘキサデシル−2−o−アセチル−sn−
グリセロ−3−ホスホリルコリン(同上) TLCによるリン脂質d−セリン誘導体の生成確認法 下記組成 リン脂質 10 mg ジエチルエーテル 0.5 ml 0.1M酢酸緩衝液(pH5.5) 0.43ml 0.5MCaCl2 0.05ml d−セリン 0.4 g の反応液にホスホリパーゼDM水溶液0.02ml(11.2u)を
加え、30℃で24時間振とう反応した。反応後0.05M EDTA
2Na溶液1mlを加え更にクロロホルム−メタノール混液
(2:1v/v)5mlを加え激しく攪拌し生成物を抽出し静置
した後、下層のクロロホルム層を分取しTLCの試料とし
た。このうち20μlをシリカゲル薄層(メルク社シリカ
ゲル60TLCプレートNo.5721)にスポットし、クロロホル
ム−アセトン−メタノール−酢酸−水(70:20:10:10:3v
/v)を展開溶媒として展開した。スポットの検出には、
Zinzade試薬(リンの呈色、Beiss U.,J.Chromatog.,13,
104,1964)とニンヒドリン試薬(ニンヒドリンの0.25%
アセトン溶液、d−セリンのアミノ基の呈色)を用い
た。検出されたスポットで未分解の基質及びその加水分
解物以外のスポットでニンヒドリン呈色したスポットを
リン脂質d−セリン誘導体と認めそのRf値を第一表に示
した。
実施例2 L−α−レシチン、卵黄由来(シグマ社)200mg、ジエ
チルエーテル2ml、蒸溜水2ml、NaC180mg、d−セリン0.
6gにホスホリパーゼDM溶液0.1ml(56u)を加え、30℃で
24時間振とう反応を行った。反応後15mlのクロロホルム
−メタノール(2:1v/v)を加え激しく振ってリン脂質を
抽出し、静置した後、下層のクロロホルム層を分取し
た。このクロロホルム層を減圧乾固化した後1mlのヘキ
サンに溶解した。この試料5μlをシリカゲル薄層(メ
ルク社シリカゲル60TLCプレートNo.5721)にスポット
し、クロロホルム−アセトン−メタノール−酢酸−水
(70:20:10:10:3v/v)の溶媒系で展開したところ、3種
類のリン脂質が検出され、その2つはホスファチジン酸
及びレシチンとRf値が一致し、残りはニンヒドリン試薬
で呈色したのでホスファチジルd−セリンであるとし
た。そこで、このリン脂質混合物を高速液体カラムクロ
マトグラフィーによる精製に供した。カラムはラジアル
パックカートリッジシリカ8mm×10cm(ウオーターズ
社)溶離液はヘキサン−イソプロパノール−水(60:80:
12v/v)ピークの検出には441型紫外線検出器及びR401型
示差屈折計(いずれもウオーターズ社)を用いた。試料
は0.2mlづつ5回に分け注入し、ホスファチジン酸、レ
シチン、ホスファチジルd−セリンの3成分を分取し
た。得られたホスファチジルd−セリンはもう一度同様
な操作により精製し、精製ホスファチジルd−セリン3m
gを得た。得られたホスファチジルd−セリンはTLC上か
らは単一であった。
この化合物のIRスペクトルは日本分光A202型赤外分光光
度計を用い液膜法で測定した。この結果を第二表に示し
た。(Run No.1) 次にL−α−レシチン卵黄由来の代りにL−α−レシチ
ン−β,γ−ジヘキサデカノイル(シグマ社)又はL−
α−レシチン−β,γ−ジヘキサデシル(カルビオケム
−ベーリング社)を用いて上記と同様に行い、精製L−
α−ホスファチジルd−セリン−β,γ−ジヘキサデカ
ノイル及びL−α−ホスファチジルd−セリン−β,γ
−ジヘキサデシルを得た。そのIRスペクトルを第2表に
示した。(Run No.2,3) 実施例3 L−α−レシチン、卵黄由来(シグマ社)20mg、ジエチ
ルエーテル0.5ml、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)0.43ml、0.
05MCaCl20.05ml、d−セリン0.4gの反応液にホスホリパ
ーゼDM水溶液0.02ml(11.2u)を加え30℃で24時間振と
う反応した。反応後0.05M EDTA2Na溶液1mlを加え更にク
ロロホルム−メタノール混液(2:1v/v)5mlを加え激し
く攪拌し生成物を抽出し静置した後、下層のクロロホル
ム層を分取しホスファチジルd−セリン生成量を求めそ
の生成量を第三表に示した。
(Run No.1) 次にL−α−レシチン、卵黄由来の代わりにL−α−レ
シチン−β,γ−ジヘキサデカノイル(シグマ社)又は
L−α−ホスファチジルエタノールアミン、卵黄由来、
(同上)、L−α−ホスファチジルグリセロール、卵黄
由来、(同上)、L−α−レシチン−β,γ−ジヘキサ
デシル(カルビオケム−ベーリング社)、1−o−ヘキ
サデシル−2−o−アセチル−sn−グリセロ−3−ホス
ホリルコリン(コナコシ薬品)用い上記と同様に行いリ
ン脂質d−セリン誘導体の生成量を求めた。その生成量
を第三表に示した。(Run No.2〜6) さらに、上記に於いてホスホリパーゼDMの代りに公知の
キャベツ由来ホスホリパーゼD(ベーリンガー社0.3u/m
g)5mgを用いる他は上記と同様に行いリン脂質d−セリ
ン誘導体の生成量を求めた。その生成量を第三表に示し
た。(Run No.1〜6) 尚、ホスファチジルd−セリン及びリン脂質d−セリン
誘導体の生成量はイアトロスキャンにより求めた。即
ち、クロマロッドS2(ヤトロン社シリカゲルロッド)に
リン脂質の2%クロロホルム溶液1μlをスポットし、
クロロホルム−アセトン−メタノール−酢酸−水(70:2
0:10:10:3v/v)を展開溶媒として約10cm展開し、イアト
ロスキャン(ヤトロン社イアトロスキャンTH10)にか
け、ピーク面積比から成分の重量比を求めた。
第三表のイアトロスキャン分析の結果から、ホスファチ
ジルd−セリン誘導体はホスホリパーゼDMでは生成する
が、公知のキャベツ由来ホスホリパーゼDでは生成しな
いことが分かる。
実施例4 卵黄レシチン(キューピー社)10g、ジエチルエーテル1
00ml、NaCl 4g、d−セリン30g、蒸溜水100ml、ホスホ
リパーゼDM水溶液3ml(1680u)を共栓付き三角フラスコ
に取り30℃にて24時間攪拌反応を行いホスファチジルd
−セリンを調製し、ホスファチジルd−セリン生成量を
求めたところ70%だった。
尚、ホスファチジルd−セリンの生成量及び鈍度は実施
例3に示したイアトロスキャンにより求めた。
反応後静置しエーテル層を分取し、減圧下エーテルを除
去し、メタノールにてホスファチジルd−セリンを沈澱
させ、粗ホスファチジルd−セリン8gを得た。このホス
ファチジルd−セリンの純度は92%だった。次に粗ホス
ファチジルd−セリン1gを10mlのヘキサン−アセトン
(2:1v/v)に溶解し10mlのメタノールを加え遠心分離を
行い沈澱を得る操作を3回繰り返し、乾固し、精製ホス
ファチジルd−セリン0.4gを得た。この精製ホスファチ
ジルd−セリンの純度は99%だった。このようにホスフ
ァチジルd−セリンはヘキサン等に溶解し、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等のホスフ
ァチジルd−セリンを溶解しないアルコールを加え沈澱
させることにより精製できる。又ホスファチジルl−セ
リンも同様な方法により精製出来る。
〔発明の効果〕 本発明方法によれば、上述した様にして、式(1)リン
脂質とd−セリンとを、ホスホリパーゼDMの存在下に反
応させて、他のホスホリパーゼDでは生起したことがな
い式(2)リン脂質d−セリン誘導体を製造することが
できる。
上記リン脂質誘導体はその構造からリポソーム形成基材
の他、乳化剤、分散剤、可溶化剤として食品、化粧品、
医薬品、農薬等に利用出来る。更に多くのリン脂質は特
異な生理活性を有することが知られているが、特にリン
脂質セリン誘導体にのみ認められ他のリン脂質では代用
出来ない薬理としてヒスタミン遊離作用(A.Goth,H,RAd
ams,M.Knoohuizen,Science,173,1034(1971)),(J.
L.Monger,P.Svec,Br.J.Pharmacol.,46,741(1972)),
(A.Burni,E.Bigon,A.Battistella,E.Boarats,L.Miett
o,G.Toffano,Agents Actions,14,619(1984)),脳エ
ネルギー代謝調節作用、又はエネルギー消費抑制作用
(E.Bigon,E.Boarato,A.Le−onG Toffano,Br.J.Pharma
c,67,611(1979),66,167(1979)),脳機能改善作用
(G.Calderini,G.To−ffano,International Society fo
r Neurochemist−ry Satellite Meeting,Page36,May26
−29(1985),Italy)その他γ−アミノ酪酸の脳への取
込みを促進することによる抗けいれん作用(ChwehA.Y,L
escieS.W.,J.Neurochem.38,691(1982)),(Taffano
G,Mazzari S,Zanotti A,Bruni A.,Neurochem.Res.,9,10
65(1984))などが知られている。これらの作用はいず
れも天然型のl−セリン誘導体において知られているこ
とではあるがその異性体である非天然型のd−セリン誘
導体においても同様の生理作用が期待できる。又、d−
セリン誘導体は生体内に於いての代謝変換として例えば
血液中でのホスホリパーゼA2の作用の受け方がl−セリ
ン誘導体とは同一ではなく緩慢であることも考えられl
−セリン誘導体とは異なる効果が加わることも予想され
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1) 〔但し式中、Aは下記(i),(ii)又は(iii) を示しここで、R1,R2及びR3は−OCOR11であるか若しく
    は−OR12であるか、若しくはR1とR2,R1とR3は一緒にな
    って 〔ここでnは11〜19の数を示す〕を表わし、上記に於い
    て、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、R11はR
    1及びR3においてC5〜C21,R2においてC1〜C21,R12はR1
    及びR3においてC6〜C22、R2においてC1〜C22のそれぞれ
    飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、A′は
    オキシドアニオン若しくはヒドロキシを示し、Bは−(C
    H2)2N+(CH3)3,−(CH2)2NH2,−CH2CH2NH(CH3),−CH2C
    H2N(CH3)2,−CH2CHOHCH2OH,若しくは−(CH2)mH(ここ
    で、mは1〜5の数を示す)を示す〕、で表わされるリ
    ン脂質と、d−セリンとをホスホリパーゼDMの存在下に
    反応させることを特徴とする下記式(2) (但し式中、Aは上記したと同義であり、MはH+,▲NH
    + 3▼,又は金属イオンを示し、Sはd−セリン残基)で
    表わされるリン脂質d−セリン誘導体の製法。
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