JPH028716B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH028716B2
JPH028716B2 JP58063305A JP6330583A JPH028716B2 JP H028716 B2 JPH028716 B2 JP H028716B2 JP 58063305 A JP58063305 A JP 58063305A JP 6330583 A JP6330583 A JP 6330583A JP H028716 B2 JPH028716 B2 JP H028716B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phospholipase
phospholipid
formula
secondary alcohol
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP58063305A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS59187786A (ja
Inventor
Sumitaka Kokusho
Shigeaki Kato
Haruo Machida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meito Sangyo KK
Original Assignee
Meito Sangyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meito Sangyo KK filed Critical Meito Sangyo KK
Priority to JP58063305A priority Critical patent/JPS59187786A/ja
Priority to EP84302444A priority patent/EP0122151B1/en
Priority to DE8484302444T priority patent/DE3476770D1/de
Priority to US06/598,697 priority patent/US4783402A/en
Publication of JPS59187786A publication Critical patent/JPS59187786A/ja
Publication of JPH028716B2 publication Critical patent/JPH028716B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、酵素法によるリン脂質二級アルコー
ル誘導体の製法に関し、従来酵素法によつて製造
できないとされていたリン脂質二級アルコール誘
導体を包含して広い範囲のリン脂質二級アルコー
ル誘導体の製造を可能とした酵素法リン脂質二級
アルコール誘導体の製法に関する。更に詳しく
は、従来酵素法で使用されたキヤベツ由来のホス
ホリパーゼD(至適温度40℃以下、至適PH5.4〜
5.6)とは異なつて、至適温度60〜70℃、至適PH
7付近のホスホリパーゼDMの存在下で、リン脂
質と二級アルコールとを反応させるリン脂質二級
アルコール誘導体の製法に関する。 尚、本発明に於て、リン脂質二級アルコール誘
導体とは、出発物質であるリン脂質のリン酸構造
部分とアルコール構造部分とのエステル結合を、
ホスホリパーゼDMの作用で加水分解すると同時
に、上記反応に用いる二級アルコールへ転移させ
て誘導した、出発物質とは異なる新しいリン脂質
を意味する。 特に、本発明は、下記式() 但し式中、Aは下記(i)又は(ii) を示し、ここで、R1及びR2は共に−O−COR11
であるか、もしくは共に−O−R12であるか、も
しくは式(i)においてR1とR2は一緒になつて
【式】〔ここで、nは11〜19の数 を示す〕を表わし、上記に於て、R11及びR12
同一でも異つていてもよく、夫々、C7〜C21の飽
和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、 Bは−(CH22N+(CH33、−(CN22NH2、−
CH2CH(NH2)COOH、−CH2CH2NH(CH3)、−
CH2CH2N(CH32、−CH2CHOHCH2OHもしく
は−(CH2nH〔ここで、mは1〜5の数を示す〕
を示す、 で表わされるリン脂質と、 ハロゲン、アミノ、アセチル、水酸基、C3
下のモノ−もしくはジ−アルキルアミノ及びフエ
ニルより成る群からえらばれた置換基で置換され
ていてもよいC3〜C10の直鎖もしくは分岐アルキ
ル基R又は上記置換基で置換されていてもよい
C4〜C8の脂環式炭化水素基Rを有する二級アル
コール とを、ホスホリパーゼDMの存在下に反応させる
ことを特徴とする下記式() 但し式中、A及びRは上記したと同義である、 で表わされるリン脂質二級アルコール誘導体の製
法に関する。 従来、ホスホリパーゼDが、リン脂質たとえば
ホスフアチジルコリンのコリン塩基−リン酸エス
テルを加水分解し、遊離塩基とホスフアチジン酸
を生ずる反応を触媒することが知られている
〔M.Kates Can J.Biochem.physiol32、571
(1954)〕。 更に、リン脂質たとえばレシチンとエチルアル
コールとをホスホリパーゼDの存在下に反応させ
ると、リン脂質のリン酸構造部分と該リン脂質の
塩基もしくはアルコール構造部分とのエステル結
合が加水分解されると同時にホスフアチジル基転
移作用により、ホスフアチジルエタノールを生成
することが報告されている〔R.M.C.Dawson;
Biochem.J.、102、205(1967)〕:〔Yang;J.Biol.
Chem.、242、477(1967)〕。 上述のようなホスホリパーゼDのホスフアチジ
ル基転移作用が知られて以来、この分野における
研究が進められ、英国特許No.1581810(対応西ドイ
ツ国公開No.2717547)の提案が知られている。 この提案によれば、この提案の一般式で示され
たリン脂質と、水酸基、ハロゲン、アミノその他
の置換基で置換されていてもよいC5までの直鎖
もしくは分枝のアルキル基を有する一級アルコー
ルとの前記キヤベツ由来のホスホリパーゼDの酵
素作用を利用した一級アルコール転移反応につい
て開示されている。そして、該反応は、5を超え
る炭素原子を含有しない一級アルコールでのみ起
り、若し、5を超える炭素原子を含有する該アル
コールの場合には、反応の主生成物は対応するホ
スフアチジン酸であると記載されている。更に、
該提案にはアルコール成分の選択は、上記の要求
を満した一級アルコールである限りとくべつな制
約のないことも記載されている。 更に、R.M.Dawsonは、リン脂質としてレシチ
ンを用い、二級アルコールとして2−プロパノー
ルを用い、キヤベツ由来の公知ホスホリパーゼD
による実験の結果、レシチン基質のホスフアチジ
ル基の二級アルコールへの転移は起らなかつたこ
とを報告している〔Biochem.、J.、vol.102、205
(1967)〕。 上述のように、従来ホスホリパーゼDによるリ
ン脂質とアルコールとの間の転移反応には一級ア
ルコールとくに炭素原子数の比較的小さな一級ア
ルコールの場合にしか生起せず、二級アルコール
との間には生じないというのが技術常識であつ
た。 本発明者等は、従来公知のホスホリパーゼDと
は、その至適温度、至適PH等で異なるホスホリパ
ーゼD生産能を有する微生物の存在を発見して、
既に、特願昭56−161076号、特願昭56−163475号
に提案した。 更に研究を進めた結果、該ホスホリパーゼD生
産性微生物の生産する酵素は、従来、リン脂質二
級アルコール誘導体は形成できないとなされてい
たにも拘わらず、広い範囲のリン脂質と二級アル
コール間の転移反応を可能とする酵素的触媒作用
を示すという驚くべき事実を発見した。 本発明者等の研究によれば、リン脂質とたとえ
ばC4二級アルコール2−ブタノールとの間にお
けるリン脂質二級アルコール誘導体の形成を触媒
する本発明に於て新たにホスホリパーゼDMと呼
称する酵素が存在し、このホスホリパーゼDMの
存在下に、前記式()で表わされるリン脂質と
前記の二級アルコールとを反応させることによ
り、従来製造できないと云われていたリン脂質二
級アルコール誘導体を包含して新しい誘導体が製
造できることが発見された。 斯くて、煩雑且つ不利益な化学的合成手段を要
することなしに、温和且つ容易な条件及び手段
で、幅反応を伴うおそれもなしに、酵素法によつ
て新しいリン脂質二級アルコール誘導体を好収率
で製造できることがわかつた。 従つて、本発明の目的は新しい酵素法リン脂質
二級アルコール誘導体の製法を提供するにある。 本発明の上記目的及び更に多くの他の目的なら
びに利点は、以下の記載から一層明らかとなるで
あろう。 本発明方法で利用する原料リン脂質は下記式
()で表わされる。 但し式中、Aは下記(i)又は(ii) を示し、ここで、R1及びR2は共に−O−COR11
であるか、もしくは共に−O−R12であるか、も
しくは式(i)においてR1とR2は一緒になつて
【式】〔ここで、nは11〜19の数 を示す〕を表わし、上記に於て、R11及びR12
同一でも異つていてもよく、夫々、C7〜C21の飽
和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、 Bは−(CH22N+(CH33、−(CN22NH2、−
CH2CH(NH2)COOH、−CH2CH2NH(CH3)、−
CH2CH2N(CH32、−CH2CHOHCH2OHもしく
は−(CH2nH〔ここで、mは1〜5の数を示す〕
を示す。 上記式()原料リン脂質は公知化合物であつ
て、市場でも入手可能であり、それ自体公知の方
法によつて天然物より抽出採取又は合成すること
ができる。例えば動植物組織から公知の手段で抽
出して得られるレシチン、ケフアリン、ホスフア
ジルセリン、ホスフアチジル−N−メチルエタノ
ールアミン、ホスフアチジルグリセロール、ホス
フアチジル−N,N−ジメチルエタノールアミ
ン、ホスフアチジン酸アルキルエステル等の単独
或いは混合物をそのまま若しくは精製して用いる
ことができるし、β型リン脂質やアルキルエーテ
ル型リン脂質についても、それ自体公知の方法に
よつてその構造の一部もしくは全部を化学合成し
て利用することができる。 本発明方法に於て、上記式()原料リン脂質
とホスホリパーゼDMの存在下に反応せしめる二
級アルコールは、C3〜C10の直鎖もしくは分岐ア
ルキル基R又はC4〜C8の脂環式炭化水素基Rを
有する二級アルコールであつて、これらは更に、
ハロゲン、アミノ、アセチル、水酸基、C3以下
のモノ−もしくはジ−アルキルアミノ及びフエニ
ルより成る群からえらばれた置換基で置換されて
いてもよい。 このような二級アルコールの具体例としては、
下記のような二級アルコールを例示することがで
きる。 すなわち、脂肪族アルコールとしては、2−プ
ロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタ
ノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、
1−ヘキセン−3−オール、2−ヘプタノール、
3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナ
ノール、3−ノナノール、2−デカノール、3−
デカノール、2,3−ブタンジオール、2−メチ
ル−2,4−ペンタンジオール、1−クロロ−2
−プロパノール、1−ブロモ−2−ブタノール、
1−アミノ−2−プロパノール、ジイソプロパノ
ールアミン、1−アミノ−2−ブタノール、3−
ヒドロキシ−2−ブタノン、乳酸エチル、β−ヒ
ドロキシ酪酸、ジプロピレングリコールなど、が
例示でき、又、芳香族アルコールとしては1−フ
エニルエタノール、1−フエニル−2−プロパノ
ール、p−クロロフエニルメチルカルビノール、
α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジ
ルアルコール、ジフエニルメタノール等が例示で
き、更に、脂環式アルコールとしてはシクロブタ
ノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、シクロオクタノール、2−クロロシクロヘキ
サノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン
などが例示できる。 上記例示の如き二級アルコールは、天然物、合
成品のいずれでも利用できるが、目的とする二級
アルコール以外のアルコールを含まないように予
め適当な公知手段を利用して精製して利用するの
が好ましい。このような精製手段の例としては、
たとえば、蒸留、再結晶、アルミナ、シリカゲ
ル、活性炭などによるカラムクロマトグラフイ
ー、薄層クロマトグラフイー及びこれらの適当な
組み合わせ精製手段を例示できる。 本発明方法によれば、前記例示の如き式()
リン脂質と上記例示の如き二級アルコールとをホ
スホリパーゼDMの存在下に反応させる。 この際利用するホスホリパーゼDMとしては、
従来公知のキヤベツから抽出されたホスホリパー
ゼDの至適温度40℃以下、至適PH5.4〜5.6に対し
て、至適温度60〜70℃、至適PH7付近である点で
公知ホスホリパーゼDと区別できるホスホリパー
ゼDM生産菌の生産するホスホリパーゼDMが例
示できる。該ホスホリパーゼDMは、C4二級アル
コール2−ブタノールと式()リン脂質例えば
レシチンとの間におけるリン脂質二級アルコール
誘導体の形成を触媒する点でも公知ホスホリパー
ゼDと区別できる。 このようなホスホリパーゼDM生産菌の例とし
ては、同一出願人の出願に係わる特願昭56−
161076号に開示されたノカルデイオプシス
(Nocardiopsis)属に属するホスホリパーゼDM
生産菌たとえばノルカデイオプシス属NO779株
〔FERM−PNo.6133〕、同一出願人の出願に係わ
る特願昭56−163475号に開示されたアクチノマデ
ユーラ(Actinomadura)属に属するホスホリパ
ーゼDM生産菌たとえばアクチノマデユーラ属
NO362株〔FERM−PNo.6132〕等を挙げること
ができる。至適温度及び至適PHの相違と共にいく
つかの相違点と共に、下掲第1表に、本発明方法
で利用するホスホリパーゼDMと公知ホスホリパ
ーゼDとの酵素学的性質の差異を示した。
【表】 公知ホスホリパーゼDを用いては得られなかつ
たリン脂質二級アルコール誘導体が、本発明方法
で形成できる理由には、この酵素的触媒反応に関
与する公知ホスホリパーゼDと本発明方法で用い
るホスホリパーゼDMとの上記の如き酵素学的性
質の差異が関与しているものと推測される。勿
論、本発明方法は、このような作用の推測によつ
て何等の制約もうけるものではない。 本発明方法で利用できるホスホリパーゼDMを
生産する前記ホスホリパーゼDM生産菌ノカルデ
イオプシス属NO779株[FERM−P NO.6133]
及びアクチノマデユーラ属NO362株[FERM−
P NO.6132]の菌学的性状及びそれらが生産す
るホスホリパーゼDMの力価測定法、理化学的性
質について以下に述べる。 ノカルデイオプシス属NO779株[FERM−P
NO.6133]の菌学的性状:− (a) 形態 グルコースアスパラギン寒天、グリセリンア
スパラギン寒天、酵母麦芽寒天培地等では良好
に、また澱粉無機塩培地では中程度に生育して
気菌糸の集落を着生する。 胞子を着生した菌叢の色は培地の種類、観察
時期により若干変化するが、おおむね白色ない
し灰白色から明るい灰色を呈する。 シユークロース硝酸塩寒天、栄養寒天、オー
トミール寒天培地では気菌糸を着生しないか、
貧弱にしか着生しない。 寒天培地上に生育させた本菌株を顕微鏡で観
察すると、気菌糸は0.5〜0.8μで直鎖状でゆる
く波形又は屈曲を混じえながら分枝をもつて長
く伸び、気菌糸全体は数10から100ケ以上のす
べて胞子からなる連鎖によつて形成されてい
る。 胞子の大きさは0.5〜0.8×0.7×1.0μで、ほぼ
短円筒状で大きさはやや不規則である。 基生菌糸は巾0.5〜0.8μで分枝をもつて伸長
し、寒天培地上ではかならずしも分断しない
が、液体培養することによりほとんどの場合細
かく分断する。 しかし遊走胞子、胞子のう、菌核等は形成さ
れない。 (b) 各種培地上での性状 以下に記載する実験方法は主としてイー・ビ
ー・シヤーリング(Int.J.Syst.Bacteriol.16巻、
313〜340、1966年)の方法にしたがつて行つ
た。 色調は「色の標準」(財団法人日本色彩研究
所、1964年)を用いて決定し、色相名とともに
括弧内に色相名、彩度番号、明度番号の順に色
相記号を記入した。 培養は25℃で行い、最も生育の旺盛な2〜3
週間目の各培地上における観察結果を第2表に
示した。但し第2表中、生育項目に記載した基
生菌糸表面の色は胞子着生前の培養一週間目に
おける観察結果を示しており、胞子着生が早く
基生菌糸表面の色の判定困難な培地について
は、記載していない。
【表】 (c) 生理的性質 1 生育温度:5℃〜30℃附近で生育し、20〜
30℃で最もよく生育する。 2 ゼラチンの液化:液化しない(グルコー
ス・ペプトン・ゼラチン培地上、25℃、3週
間培養)。 3 スターチの加水分解:分解する(スターチ
寒天培地上、25℃、3週間培養)。 4 脱脂牛乳の凝固、ペプトン化:凝固、ペプ
トン化共にせず(30℃、3〜4週間培養)。 5 メラニン様色素の生成:ペプトンイースト
鉄寒天、チロシン寒天で生成する(25℃、2
〜4日間)。 (d) 炭素源の同化性(30℃、10〜16日培養) L−アラビノース − シユークロース − D−キシロース − イノシトール − D−グルコース + L−ラムノース − D−フラクトース − ラフイノース − (e) 細胞の化学分析 本菌株のデイアミノピメリン酸はメソ型であ
り、ヒドロキシデイアミノピメリン酸を含まな
い。細胞壁の糖組成は、アラビノース、キシロ
ース、マデユロース、ラムノース等を有せず、
ガラクトース、マンノース等を有する。又本菌
株はノカルドミコール酸を有しない。 以上の分析結果についてBergey′s Manual of
the Determinative Bacteriology第8版、657頁
〜658頁(1974年)や、レシエバリエ(Inter.J.
System.Bacteriol.20巻、435頁〜443頁、1970
年)、メイヤー(Int.J.Syst.Bacteriol.26巻、487
頁〜493頁1976年)らの分類法にしたがつて判定
すると、本菌は細胞壁類型(cell wall type)
型、糖組成類型(cell wall sugar pattern)C
型となる。 以上本菌は、細胞壁類型が、糖組成類型がC
であることから、レシエバリエの分類法によれば
ダソンビレイタイプのアクチノマデユーラ属、サ
ーモアクチノミセス属、アクチノビイフイダス
属、ゲオダーマトフイラス属のいづれかに属す
る。 しかし本菌は、その形態において気菌糸のすべ
てが胞子の長い連鎖から成り、基生菌糸を細かく
分断するが、内生胞子、遊走胞子、胞子のうが見
い出されないことより、ダソンビレイタイプのア
クチノマデユーラ属(Genus Actinomadura
dassonvillei type)に固定するのが分類上妥当で
ある。なお、近年ダソンビレイタイプのアクチノ
マデユーラ属はメイヤーの提起した新属ノカルデ
イオプシス属に統合され、ノカルデイオプシス属
の名称で取り扱われることが一般的である。 そこで本菌は、ノカルデイオプシス属NO779
(Genus Nocardiopsis sp NO779)と称するこ
とにした。そして本菌は工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託されており、その受託番号は「微
工研菌寄第6133号(FERM−PNo.6133)」であ
る。本菌は昭和59年3月21日に微工研条寄第512
号(FERM BP−512)としてブダペスト条約に
基づく国際寄託に移管された。 本発明で用いるホスホリパーゼDMを生産する
のに用いる使用菌としては、ノカルデイオプシス
属NO779および本菌株を変異処理した変異株だ
けでなく、ノカルデイオプシス属(旧属名アクチ
ノマデユーラ ダソンビレイタイプ属)に属しホ
スホリパーゼDMを生産する菌であれば全て利用
できる。 アクチノマデユーラ属NO362株[FERM−
PNO.6132]の菌学的性状:− (a) 形態 澱粉無機塩寒天、チロシン寒天、酵母・麦芽
寒天、オートミール寒天培地等では良好に、ま
たグリセリンアスパラギン寒天では中程度に生
育して気菌糸の集落を着生する。 胞子を着生した菌叢の色は培地の種類、観察
時期により若干変化するが、おおむねやや紫味
を持つた灰白色から灰色を呈する。 シユークロース硝酸塩寒天、栄養寒天、グル
コースアスパラギン寒天では気菌糸を着生しな
いか、貧弱にしか着生しない。 寒天培地上に生育させた本菌株を顕微鏡で観
察すると、気菌糸は巾0.8〜1.2μで分枝し、一
部ループ状は螺旋状をなし、屈曲を混じえなが
ら主として直線状に長く伸び、先端はループ状
にゆるく巻いている場合が多い。 胞子は数10から100以上の連鎖状をなして着
生し、ほぼ気菌糸全体を形成する。 胞子の大きさは0.8〜1.2×1.2〜1.7μで、短円
筒又は卵形で、大きさ形ともやや不規則であ
る。 基生菌糸は巾0.6〜1.0μで、不規則な分枝を
もつて屈曲しながら伸長し、遊走胞子、胞子の
う、菌核等は形成されない。 また通常、隔壁、菌糸の分断は見られない
が、液体培養により菌糸の分断が見られること
もある。 (b) 各種培地上での性状 以下に記載する実験方法は、主としてイー・
ビー・シヤーリング(Int.J.Syst.Bacteriol.16
巻、313〜340、1966年)の方法にしたがつて行
つた。 色調は、「色の標準」(財団法人日本色彩研究
所、1964年)を用いて決定し、色相名とともに
括弧内に色相名、彩度番号、明度番号の順に色
相記号を記入した。 培養は25℃で行い。最も生育の旺盛な2〜3
週間目の各培地上における観察結果を第3表に
示した。但し第3表中、生育項目に記載した基
生菌糸表面の色は胞子着生前の培養一週間目に
おける観察結果を示しており、胞子着生が早く
基生菌糸表面の色の判定困難な培地については
記載していない。
【表】 (c) 生理的性質 1 生育温度:10℃〜37℃附近で生育し、20〜
30℃で最もよく生育する。 2 ゼラチンの液化:液化しない(グルコー
ス・ペプトン・ゼラチン培地上、25℃、3週
間培養)。 3 スターチの加水分解:分解する(スターチ
寒天培地上、25℃、3週間培養)。 4 脱脂牛乳の凝固、ペプトン化:凝固せず、
ペプトン化する(30℃、3〜4週間培養)。 5 メラニン様色素の生成:ペプトンイースト
鉄寒天、チロシン寒天で生成する(25℃、2
〜4日)。 (d) 炭素源の同化性(30℃、10〜16日培養) L−アラビノース + シユークロース − D−キシロース + イノシトール ± D−グルコース + L−ラムノース − D−フラクトース − ラフイノース − (e) 細胞の化学分析 本菌株のデイアミノピメリン酸はメソ型であ
り、細胞壁の糖組成は、アラビノース、キシロ
ース、ラムノース等を有せず、マデユロース、
ガラクトース、マンノース等を有する。 以上の分析結果についてBergey′s Manual of
the Determinative Bacteriology第8版、657頁
〜658頁(1974年)や、レシエバリエ(Inter.J.
System.Bacteiol.20巻、435頁〜443頁、1970年)
等の分類法にしたがつて判定すると、本菌は細胞
壁類型(cell wall type)型、糖組成類型
(cell wall sugar pattern)B型となる。 以上本菌は、細胞壁類型が、糖組成類型がB
であることから、ミクロピスポラ属、ストレプト
スポランギウム属、スピリロスポラ属、ブラノモ
ノスポラ属、デルマトフイラス属、アクチノマデ
ユーラ属のいづれかに属する。しかし本菌はその
形態において多数の胞子から成る胞子連鎖を着生
し、菌核、胞子嚢、遊走胞子が見い出されないこ
とより、アクチノマデユーラ属(Genus
Actinomadura)に同定するのが分類学上、最も
妥当である。 そこで本菌は、アクチノマデラーラ属NO362
(Actinomadura sp NO362)と称することにし
た。そして本菌は工業技術院微生物工業技術研究
所に寄託されており、その受託番号は「微工研菌
寄第6132号(FERM P−6132)」である。本菌
は昭和59年3月21日に微工研条寄第511号
(FERM BP−511)としてブダベスト条約に基
づく国際寄託に移管された。 本発明で用いるホスホリパーゼDMを生産する
のに利用する使用菌としては、上記したアクチノ
マデユーラ属NO362、及び本菌株を変異処理し
た変異株だけでなく、アクチノマデユーラ属に属
しホスホリパーゼDMを生産する菌であれば全て
用いる事ができる。 本発明方法で利用するホスホリパーゼDMを、
上記例示の如きホスホリパーゼDM生産菌を用い
て製造するには、上記例示の如きホスホリパーゼ
DM生産菌を培地に培養し、培養物よりホスホリ
パーゼDMを採取すればよい。その培養形態とし
ては、液体培養、固体培養いづれも用いることが
出来るが、工業的には深部通気撹拌培養を行うの
が有利である。 また使用する培養源としては、一般に微生物培
養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩、及びそ
の他の微量栄養素の他、ノカルデイオプシス属や
アクチノマデユーラ属に属するホスホリパーゼ
DM生産微生物の利用することの出来る栄養源で
あれば、すべて使用することが出来る。 培地の炭素源としては、例えばブドウ糖、果
糖、シヨ糖、乳糖、澱粉、グリセリン、デキスト
リン、糖蜜、ソルビトール等の他、脂肪酸、油
脂、粗レシチン、アルコール、有機酸などを例示
でき、これらは単独でまたは組合せて用いること
ができる。 窒素源としては、無機窒素源、有機窒素源いづ
れでも利用可能であり、無機窒素源としては、例
えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿
素、硝酸ソーダ、燐酸1アンモニウム、燐酸2ア
ンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられ、ま
た有機窒素源としては、大豆、米、とうもろこ
し、綿実、菜種、小麦などの粉、糖、脱脂粕をは
じめ、コーンスチープリカー、ペプトン、酵母エ
キス、肉エキス、カゼイン、アミノ酸等が例示で
きる。 無機塩及び微量栄養素としては、例えばリン
酸、マグネシウム、カリウム、鉄、アルミニウ
ム、カルシウム、マンガン、亜鉛等の塩類の他、
ビタミン、非イオン界面活性剤、消泡剤等菌の生
育やホスホリパーゼDMの生産を促進する適当な
物質を例示でき、必要に応じて使用出来る。 培養は好気的条件で行なわれる。培養温度は菌
が発育し、ホスホリパーゼDMを生産する温度範
囲で適宜変更選択できるが、特に好ましいのは約
20〜約35℃である。 培養時間は条件により異なるが、ホスホリパー
ゼDMが最高生成量に達するまで培養すればよ
い。液体培養の場合は例えば1〜3日程度であ
る。 培養物中に生成したホスホリパーゼDMは、液
内培養では主として培養液中に溶けているので、
培養終了液より固形物を別して得られる培養
液よりホスホリパーゼDMを採取できる。 培養液中よりホスホリパーゼDMを採取する
に当つては、通常酵素精製に用いられるあらゆる
方法が利用出来る。例えば硫安、食塩等による塩
析、アセトン、エタノール、メタノール等の有機
溶剤による沈澱、透析、イオン交換クロマトグラ
フイー、吸着クロマトグラフイー、ゲル過、吸
着剤、等電点沈澱等の方法が使用出来る。さらに
これ等の方法を適当に組み合せることによつて、
ホスホリパーゼDMの精製効果が上る場合には、
組合せて行うことが出来る。 上述のようにして得ることのできる本発明方法
で利用できるホスホリパーゼDMは、たとえば安
定化剤として各種塩類、糖質、蛋白質、脂質、界
面活性剤等を加えるか、もしくは加えることな
く、減圧濃縮、減圧乾燥、凍結乾燥等の方法によ
り液状又は固形のホスホリパーゼDMの形態にす
ることが出来る。本発明方法で利用するホスホリ
パーゼDMの酵素活性測定法は、基質グリセロ燐
脂質に作用してリン酸と含窒素塩基とのエステル
結合を分解して生ずる塩基の量を測定して求め
る。ホスホリパーゼDMの活性は、特に記載しな
いかぎり、以下に記載するコリンオキシダーゼ法
により測定した。 力価測定法: 1%卵黄精製レシチンエマルジヨン(0.1gレ
シチン、1mlエチルエーテル、10ml蒸留水の超音
波乳化液)0.1mlに、0.2MPH7.2トリス−塩酸緩衝
液0.1ml、0.1M CaCl2水溶液0.05ml、蒸留水0.15
mlを混合し、これに酵素液0.1mlを加え、37℃で
20分反応後、50mM EDTM−2Naを含む1Mト
リス−塩酸緩衝液(PH8.0)0.2mlを加え、直ちに
5分間煮沸して反応を完全に停止する。次にコリ
ンエステラーゼ測定用試薬〔日本商事(株)製造〕の
キツトに含まれるコリン呈色剤を呈色溶解液に溶
解した溶液4mlを加え、37℃で20分間反応させた
後、500nmの吸光度を測定する。 対照としては、あらかじめ熱失活した酵素液を
用いて同様に反応させたものの吸光度を測定す
る。 そして1分間に1μモルのコリンを遊離する酵
素活性を1単位とする。 前述したノカルデイオプシス属NO779株及び
アクチノマデユーラ属NO362株の夫々を用い、
後記9精製方法に記載した方法より精製した酵素
標品を用いた本発明方法で利用できるホスホリパ
ーゼDMの理化学的性質について以下にのべる。 1 作用 グリセロリン脂質のリン酸と含窒素塩基との
エステル結合を分解してホスフアチジン酸と塩
基を遊離する。 2 基質特異性 基質としてレシチン、リゾレシチン、スフイ
ンゴミエリンのいづれか1つを0.5μモル含むエ
マルジヨン0.1mlを用い、蒸留水の代りに1%
Triton X−100を含む水溶液を用いる以外は、
上記力価測定法と同様にして反応させ遊離した
コリン量を測定し、各基質に対するホスホリパ
ーゼDM活性を測定した。その結果、レシチン
に対する活性を100とした時の相対活性は、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− リゾレシチン4.9;スフインゴミエリン0.3、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− リゾレシチン3.6:スフインゴミエリン0.3、 であつた。 3 至適PH 力価測定法において用いる緩衝液の代りにPH
3.0〜4.0では蟻酸・蟻酸ソーダ緩衝液、PH4.0〜
5.5では酢酸・酢酸ソーダ緩衝液、PH5.5〜8.5で
はトリス・マレイン酸・苛性ソーダ緩衝液、PH
7.0〜9.0ではトリス・塩酸緩衝液、PH9.0〜10.0
ではグリシン・苛性ソーダ緩衝液を用いてホス
ホリパーゼDMの活性を測定し、至適PHを求め
た。また同測定法で用いる蒸溜水0.15mlの代り
に1%Triton X−100(和光純薬)水溶液0.15
mlを用いた時の至適PHについても求めた。 その結果、蒸留水を用いた場合、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 至適PH7付近(6.5〜7.0)、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 至適PH7付近、 であり、1%Triton X−100水溶液を用いた
場合、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 至適PH5付近、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 至適PH5.5付近、 であつた。 4 至適温度 力価測定法において、反応温度条件を10、
20、25、37、40、50、55、60、70、80および90
℃で酵素活性を測定した。その結果、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 至適温度60℃〜80℃、とくには60℃〜70℃、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 至適温度55℃〜80℃、とくには60℃〜70℃、 と認められた。 5 PH安定性 酵素溶液0.1mlに、ノカルデイオプシス属ホ
スホリパーゼDMの場合は0.2mlのアクチノマ
デユーラ属ホスホリパーゼDMの場合には0.9
mlの0.1Mの各種緩衝液、すなわちPH3.0〜3.5で
はグリシン・塩酸緩衝液、PH3.5〜7.0では酢
酸・酢酸ソーダ緩衝液、PH5.0〜8.0ではトリ
ス・マレイン酸・苛性ソーダ緩衝液、PH7.0〜
9.0ではトリス・塩酸緩衝液、PH9.0〜9.5ではグ
リシン・苛性ソーダ緩衝液を夫々加え、25℃で
2時間保つた。その後、これら酵素緩衝溶液に
0.5Mトリス・塩酸緩衝液(PH7.2)を、ノカル
デイオプシス属ホスホリパーゼDMの場合には
1.2ml、アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼ
DMの場合には9.0ml加え、PHを7.0〜7.3とし
た。この溶液0.1mlを用い、力価測定法に従つ
て力価を測定し、安定PH範囲を調べた結果、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 特に安定なPH4.0〜7.0、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 特に安定なPH4.0〜8.0、 と認められた。 また、力価測定法で用いる蒸溜水0.15mlの代
りに1%Triton X−100水溶液0.15mlを用いる
他は、上記と同様に操作してPH安定範囲を調べ
たが、結果は上記したところと殆んど変らなか
つた。 6 熱安定性 酵素溶液0.1mlに0.1Mトリス−塩酸緩衝液
(PH7.2)を、ノカルデイオプシス属ホスホリパ
ーゼDMの場合には4ml、アクチノマデユーラ
属ホスホリパーゼDMの場合には9.9mlを加え、
20、30、37、40、50、60および65℃に30分間放
置した後、残存する酵素活性を測定した。その
結果、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 30℃で30分の熱処理で殆んど失活せず、50℃
で30分の熱処理で80%の活性が残存、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 30℃で30分の熱処理では殆んど失活せず、50
℃で30分の熱処理で60%の活性が残存、 という結果であつた。 7 各種物質による影響 力価測定法においてCaCl2水溶液の代りに各
種物質の水溶液を0.05ml加え、酵素反応系中で
1mM濃度に成るようにして活性を測定した。
その結果は水添加の時の活性を100とし、相対
活性として賦活作用のあつたものは、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 例えば、AlCl3、CuSO4、ZnSO4、CoCl2
CaCl2、FeCl3、FeSO4、MgCl2、SnCl2、デ
オキシコール酸ソーダ、エタノール、イソプ
ロパノール、t−ブタノール、Triton X−
100、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 例えば、AlCl3、CaCl2、FeSO4、FeCl3
MgCl2、SnCl2、デオキシコール酸ソーダ、
エタノール、イソプロパノール、t−ブタノ
ール、 で、一方、阻害作用のあつたものは、 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 例えば、ドデシル硫酸ソーダ、セチルピリジ
ニウムクロライド、 アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 例えば、セチルピリジニウムクロライド、 であつた。 8 力価の測定法 前述したとおりである。 9 精製方法 きな粉3.0g、コーンスチープリカー1.0%、
ペプトン0.5g、粉末酵母エキス0.1%、グルコ
ース1.0g、NH4NO30.25%、K2HPO40.4%、
MgSO4・7H2O0.01%、ツウイン(Tween)−
85 0.1%から成る培地(PH6.0)約15を30
ジヤーフアーメンターに入れ、120℃で15分間
減菌後、シード培養液1.5を植菌し、27℃で
40時間培養を行つた。尚、上記シード培養液
は、澱粉1%(NH4)H2PO40.25%、ペプトン
0.25%、K2HPO40.2%、MgSO4・7H2O0.01%
を含む水溶液培地(PH6.8)100mlを500ml坂口
フラスコに入れ、蒸気殺菌後、ノカルデイオプ
シス属NO779株[FERM−P NO.6133]又
はアクチノマデユーラ属NO362株[FERM−
P NO.6132]の胞子を一白金耳接種し、培養
温度30℃、120回転/分の条件で2日間振盪培
養して調製した。 培養後、菌体固形物を遠心分離により除去
し、遠心上清13(ノカルデイオプシス属
[FERM−P NO.6133株を用いた場合は
0.54u/ml;アクチノマデユーラ属FERM−P
NO.6132株を用いた場合は1.7u/mlであつ
た。)を得た。この遠心上清を5℃に冷却した
後、−20℃のアセトンを加えてアセトン濃度30
〜70%画分に相当するホスホリパーゼDMを含
む沈澱物を遠心分離により集めた。この沈澱物
を、ノカルデイオプシス属FERM−P
NO.6133株を用いた場合にはPH6.0、アクチノ
マデユーラ属FERM−P NO.6132株を用い
た場合はPH6.5のトリス−マレイン酸緩衝液に
溶解し、0.02Mの同緩衝液に対して透析した
後、同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロース
に通塔し、通過区分を集めた。次に堀内等の方
法〔J.Biochem.81、1639(1977)〕で調整した
パルミトイルガーゼをカラムに充填し、充分に
水洗してから上記DEAE−セルロース通過液を
注入し、活性を吸着した。これを0.05Mトリス
−塩酸緩衝液(PH7.2)で洗浄後、0.2%Triton
X−100を含む同緩衝液を加え活性を溶出した。
活性区分を集めてバイオエンジニアリング社製
の限外過膜(Type G−10T)を用いて濃縮
した後、ゲル過担体としてトヨパールHW−
55F〔東洋曹達(株)製〕充填カラムに注入し、蒸
留水を用いて通塔し、活性区分を集めて凍結乾
燥を行つた。 この乾燥粉末を、ノカルデイオプシス属ホス
ホリパーゼDMの場合には0.025Mイミダゾー
ル−塩酸(PH7.4)に溶解後、アクチノマデユ
ーラ属ホスホリパーゼDMの場合には0.025M
トリス−酢酸(PH8.3)に溶解後、フアルマシ
ア・フアインケミカルス社製のポリバツフア交
換体PBETN94(20ml)充填カラムに通塔して活
性を吸着後、同社製の溶出用ポリバツフア(PH
5.0)を用いてPH勾配により溶出した。溶出し
たホスホリパーゼDMの活性区分を集めて限外
過膜にて濃縮し、セフアデツクスG−75充填
カラムに通塔し、ホスホリパーゼDM活性区分
を集めて凍結乾燥した。 斯くて、ノカルデイオプシス属ホスホリパー
ゼDMの場合には、約40%の活性回収率で、比
活性178.3u/mg蛋白質として、アクチノマデユ
ーラ属ホスホリパーゼDMの場合には約43%の
活性回収率で、比活性218.3u/mg蛋白質とし
て、ホスホリパーゼDMが回収された。 等電点 ノカルデイオプシス属ホスホリパーゼDM:− 4.85±0.1(アンホライン電気泳動法により
測定) アクチノマデユーラ属ホスホリパーゼDM:− 6.4±0.1(アンホライン電気泳動法より測
定) 転移作用 従来公知のホスホリパーゼDは、既述のよう
に、レシチンからホスフアチジン酸を生成し、
これを炭素数1から5までの直鎖の1級アルコ
ールに転移してエステルを形成するが、2級ア
ルコールとの間には形成しないことが知られて
いる。ホスホリパーゼDMについても同様に転
移作用を調べた結果、本酵素では、公知ホスホ
リパーゼDでは転移を生じないことの記載され
た1級アルコールを包含して、更に広範囲のア
ルコールに転移が起りエステルが形成するほか
に、前記2級アルコールの転移してエステルを
形成することが判明した。 本発明方法で利用するホスホリパーゼDMは、
後記転移作用の実験方法〔TLCによる転移生成
物の生成確認方法〕に従つて反応を行つて、C4
二級アルコール2−ブタノールとリン脂質例えば
レシチンとの間におけるリン脂質二級アルコール
誘導体形成反応を触媒して、該リン脂質の該二級
アルコール誘導体を形成する。公知ホスホリパー
ゼDは、上記誘導体を形成しない。 本発明方法によれば、前記例示の如き式()
リン脂質と前記例示の如き二級アルコールとを、
上記に詳しく述べたホスホリパーゼDMの存在下
に反応させることにより、下記式() 但し式中、A及びRは前記したと同義である、 で表わされるリン脂質二級アルコール誘導体を製
造することができる。この際、ホスホリパーゼ
DMは精製品として使用する必要はなく粗製品で
あつてもよい。更に、適当な固定化担体たとえば
ポリプロピレン膜、セライト粒、ガラスビーズな
どの如き各種の重合体樹脂類や無機材料の粒状物
やフイルム状物に担持固定化して利用することも
できる。 反応は、ホスホリパーゼDMの存在下で、好ま
しくは溶媒の存在下に、式()リン脂質と二級
アルコールとを接触せしめることにより行うこと
ができる。利用する溶媒の例としては、水性溶媒
及び水性溶媒と有機溶媒との混合溶媒を例示する
ことができる。二級アルコールそれ自体に溶媒の
役目を兼ねさせることもできる。また、ホスホリ
パーゼDMの酵素学的触媒作用を阻害しない任意
の他の添加剤を含む溶媒も利用でき、たとえば該
作用を促進したり、酵素の安定化に役立つ適当な
添加剤を含有した溶媒であることができる。例え
ば、酢酸、クエン酸、リン酸などの緩衝剤を含有
したり、塩化カルシウムその他の中性塩を含有し
たりした水性溶媒であることができる。更に、有
機溶媒の例としては、前記二級アルコールそれ自
体を包含して、例えば、n−ヘプタン、n−ヘキ
サンなどの如き脂肪族炭化水素類;シクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの如き脂
環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの如き芳香族炭化水素類;アセトン、メチル
イソプロピルケトンなどの如きケトン類;ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピル
エーテルなどの如きエーテル類;酢酸メチル、酢
酸エチルなどの如きエステル類;四塩化炭素、ク
ロロホルム、塩化メチレンなどの如きハロゲン化
炭化水素類;ジメチルホルムアミドの如きアミド
溶媒類;ジメチルスルホキシドの如きスルホキシ
ド溶媒類などを例示することができる。 水性溶媒と有機溶媒との混合溶媒の形で利用す
る場合の両者の混合比は適当に選択できるが、例
えば水性溶媒:有機溶媒(V/V比)の比で50:
1〜1:10の如き混合比を例示することができ
る。 反応モル比、ホスホリパーゼDMの使用量、溶
媒の使用量などは、適宜に選択できるが、例え
ば、式()リン脂質1モルに対して式()二
級アルコール約1:1〜約1:1000、好ましくは
約1:10〜約1:100モルの反応モル比を例示す
ることができる。また、ホスホリパーゼDMの使
用量としては、例えば、式()リン脂質1g当
り約10〜約100000、好ましくは約100〜約1000単
位程度の使用量を例示することができる。さら
に、溶媒の使用量としては、例えば、式()リ
ン脂質に対して約10〜約500容量倍程度の使用量
を例示できる。 反応は、室温で進行するので、とくに冷却或は
加熱の必要はないが、所望により適宜に冷却もし
くは加温条件を採用することができる。例えば、
約0℃〜約90℃、好ましくは約20〜約60℃の如き
反応温度を例示することができる。また反応時間
も適宜に選択できるが、例えば約1分〜約10日、
好ましくは約0.1時間〜約72時間、更に好ましく
は約1時間〜約72時間、とくに好ましくは約1時
間〜約24時間の如き反応時間を例示することがで
きる。所望により、たとえばTLC(薄層クロマト
グラフイー)などの手法を利用して反応経過を追
跡し、所望の目的物の形成を確認することにより
反応時間を適宜に変更することができる。 ホスホリパーゼDMの存在下で式()リン脂
質と前記二級アルコールとを接触せしめる態様は
適宜に選択できるが、撹拌もしくは振盪条件下で
行うのが普通である。又、前記のように適当な粒
状物やフイルム状物担体に担持固定化した固定化
酵素の形でホスホリパーゼDMを利用する場合に
は、例えば、固定化酵素膜もしくは固定化酵素粒
子層を介して反応組成液を循環ポンプを用いて通
過させる態様で行うことができる。 上述のようにして反応を行つた後、形成された
式()リン脂質二級アルコール誘導体は、その
まま又は塩の形で沈殿分離して利用することがで
きる。更に、ケイ酸カラムクロマト、アルミナカ
ラムクロマト、高速液体クロマト、向流分配、ゲ
ル過、吸着クロマト等の適当な公知の方法を利
用して分離精製することができる。 本発明方法によれば、上述したようにして、式
()リン脂質と前記二級アルコールとを、ホス
ホリパーゼDMの存在下に反応させて式()リ
ン脂質二級アルコール誘導体を製造することがで
きる。 得られる式()リン脂質二級アルコール誘導
体は、すぐれた界面活性作用を有し細胞膜の透過
性に大きな影響を持つ。この意味から、該式
()誘導体はリポソーム形成基材として、又、
化粧品たとえばクリーム、乳液に配合して皮膚生
理に役立つ乳化剤として、更に脂肪系薬剤の乳化
剤、殺虫剤、除草剤などの如き農薬の乳化剤など
の広い乳化剤用途に有用である。 更に、多くの場合、リン脂質はそれぞれ特異な
生理活性を有することが知られているが、本発明
方法で得られる式()誘導体の多くは、その近
似的構造を有するところから、各種の生理活性が
期待できる。又、二級アルコール水酸基を有する
或は二級アルコール水酸基を導入した薬理活性化
合物を、リン脂質に転移させることによつて、該
化合物の薬理的副作用を弱めたり或は薬理効果を
高めてその投与量を低減させたりすることも期待
できる。さらに又、上記薬理活性化合物をリン脂
質に転移させて、該化合物を患部に的確に集中さ
せるための薬理活性化合物のキヤリヤーとして、
さらには、薬理活性化合物の保護層として有用な
役割をはたすことも期待できる。 又更に、各種医薬品をはじめとする化学合成の
中間体として有用であり、例えば、反応性の高い
ハロゲンやアミノ置換基を有するアルコールを転
移させた誘導体を利用出来る。更に又三重水素や
14Cでラベルした二級アルコールを転移すること
によつてラベルされたリン脂質誘導体が得られ、
リン脂質の代謝経路の解明に利用する事も出来
る。 以下、実施例により本発明方法実施の数態様に
ついて、更に詳しく例示する。 参考例 1 ホスホリパーゼDMの調製 前記精製方法の項に従つて、ノカルデイオプ
シス属NO779株〔FERM−P No.6133〕及びア
クチノマデユーラ属NO362株〔FERM−P No.
6132〕の夫々を用いて、該項に記載したとおりの
活性回収率及び比活性でホスホリパーゼDMを得
た。 実施例 1(RunNo.1〜No.21) 後掲第4表に示した下記式()リン脂質 基質:L−α−レシチン,β,γ−ジミリスト
イル(シグマ社) (1,2−ジテトラデカノイル−sn−グリセ
ロール−3−ホスホリルコリン) 基質:L−α−レシチン,β,γ−ジヘキサデ
シル(カルビオケム−ベーリング社) (1,2−ジヘキサデシル−sn−グリセロー
ル−3−ホスホリルコリン) 基質:L−α−レシチン,β,γ−ヘキサデシ
リジン(同上) (1,2−シクロヘキサデシリデン−sn−グ
リセロール−3−ホスホリルコリン) 基質:β−レシチン,α,γ−ジパルミトイル
(同上) (1,3−ジヘキサデカノイル−グリセロー
ル−2−ホスホリルコリン) と、後掲第4表に示した多数種の二級アルコール
とを、後記TLCによる転移生成物(リン脂質二
級アルコール)の生成確認方法に従つて、ホスホ
リパーゼDMの存在下で反応させて、転移生成物
の形成を確認した。そのRf値を後掲第4表に示
した。 TLCによる転移生成物の生成確認方法:− 下記組成 1%リン脂質乳化液 0.1ml 0.4M酢酸緩衝液(PH5.7) 0.1ml 0.1M塩化カルシウム水溶液 0.05ml 蒸留水 0.1ml 10%二級アルコール溶液 0.1ml の反応後に、ホスホリパーゼDM水溶液0.1ml
(0.2〜1.2μ/0.1ml)を加え、37℃で1〜5時間静
置した。 尚、上記1%リン脂質乳化剤はリン脂質100mg
にジエチルエーテル1ml及び蒸留水10mlを加え、
氷冷条件下に、600W、20KHzの条件で5分間超
音波処理して形成する。上記反応液の形成に際し
て、必要な場合には、水又はジエチルエーテル、
アセトン等の有機溶媒を加えて上記10%二級アル
コール溶液を調製した。 上記静置後、50mMのEDTA(エチレンジアミ
ン四酢酸)水溶液0.2mlを加え、更にクロロホル
ム−メタノール混液(2:1V/V)5mlを加え
て激しく撹拌し、脂質(生成物)を抽出した。こ
の懸濁液を2000×gの条件で10分間遠心処理し、
下層のクロロホルム層を分取し、30℃で減圧乾固
した後、クロロホルム−メタノール混液(1:
1V/V)75μに溶解してTCLの試料とした。
このうち10μをシリカゲル薄層(フナゲル60
Å、20cm×20cm、フナコシ薬品)にスポツトし、
ジイソブチルケトン−酢酸−水(40:25:5)を
展開溶媒として展開した。スポツトの検出には下
記の試薬を用いた。検出されたスポツトで未分解
の基質、及びその加水分解物(ホスフアチジン酸
及びその類縁体)以外のリン脂質のスポツトが検
出された場合、これを転移生成物と認めた。 検出試薬 リン酸の呈色:Zinzadeの試薬(Beiss.U.J.
Chromatog.13 104、1964) 一級アミンの呈色:ニンヒドリン試薬(ニンヒド
リンの0.25%アセトン溶液) 二級アミンの呈色:次亜塩素酸−ベンジジン試薬
(Bischel M.C.らBiochim.Biophys.Acta70
598 1963) 比較例 1 実施例1に於て、ホスホリパーゼDMの代り
に、キヤベツ由来の公知ホスホリパーゼD(P−
L Biochemicals Inc.)を用いるほかは、実施
例1と同様に行つた。その結果、後掲第4表に示
したすべての二級アルコールについて転移生成物
の生成は認められなかつた。
【表】
【表】 実施例 2(RunNo.1〜No.7) L−α−レシチン,β,γ−ジミリストイル
(シグマケミカルカンパニー製、純度98%)400mg
ジエチルエーテル1ml、蒸留水10mlを超音波用セ
ルに入れ、氷冷しながら600W、20KHzで5分間
超音波処理をし、乳白色の乳化液を得た。 このレシチン乳化液2ml(レシチン80mg)、
0.4M酢酸緩衝液(PH5.7)2ml、0.1M塩化カルシ
ウム水溶液1ml及び10%1−アミノ−2−プロパ
ノール塩酸塩水溶液2mlを共栓付試験管中に入
れ、ホスホリパーゼDM水溶液(5u/ml)2mlを
加えてよく混合した後、37℃で4時間静置した。
反応液に0.5N塩酸を0.5ml加えて、反応を停止し
たクロロホルム−メタノール(2:1)混液15ml
を加えて激しく混和し、リン脂質を抽出した。こ
の混合液を2000×g10分間遠心し、下層のクロロ
ホルム層を分取した。上層の水には更にクロロホ
ルム10mlを加えて、同様の抽出操作を行ない、ク
ロロホルム層を合わせ、次いで、これに10mlの
0.02N塩酸を加えて洗浄した。この混合液から遠
心によつて再びクロロホルム層を分取し、減圧乾
固した後、1mlのn−ヘキサン−2−プロパノー
ル−水(60:80:7)混液に溶解した。 この試料20μをシリカゲル薄層(フナゲル、
フナコシ薬品)にスポツトし、ジイソブチルケト
ン−酢酸−水(40:25:5)の溶媒系で展開した
ところ、3種類のリン脂質が検出された。そのう
ち最もRf値の大きなスポツトは、ホスフアチジ
ン酸とRf値が一致し、一方、最もRf値の小さな
スポツトはレシチンとRf値が一致した。また、
真中のスポツトのみがニンヒドリン試薬で発色し
た。 この試料を高速液体クロマトグラフイーによつ
て精製した。カラムはラジアルパツクカートリツ
ジシリカ8mm×10cm(ウオーターズ社製)、溶離
液は上述したn−ヘキサン−2−プロパノール−
水(60:80:7)、流速は2ml/分であつて、ピ
ークの検出には441型紫外線検出器(ウオーター
ズ社)による214mmの吸収、及びR401型示差屈折
計(同)を用いた。試料は4回に分け、0.25mlず
つ注入した。 この操作によつてホスフアチジン酸と、ホスフ
アチジン酸の1−アミノ−2−プロパノールエス
テルの2種類のリン脂質を分画することができ
た。次いで溶離液をn−ヘキサン−2−プロパノ
ール−水(60:80:14)に変えて、カラムに吸着
している未分解のレシチンを溶出した。得られた
3種類のリン脂質は、TCL及び高速液体クロマ
トグラフイーによつていずれも単一であることが
確認された。3種類のリン脂質はホスフアチジン
酸約30%転移生成物約30%、レシチン約40%(モ
ル比)であつて、約20mgのホスフアチジン酸の1
−アミノ−2−プロパノールエステルが得られ
た。この化合物のIRスペクトルは、日本分光
A202型赤外分光光度計を用い、液膜法で測定し
た。その結果を第5表に示した(RunNo.4)。 第5表に示した他の二級アルコールを用いて、
上記と同様に行つた。その結果を第5表に示した
(RunNo.1〜3及び5〜7)。ただし、反応液に該
二級アルコールを加える際、そのアルコールの溶
解性に応じて、適宜、水又はジエチルエーテルあ
るいはアセトン溶液として加えた。
【表】 実施例 3(RunNo.1〜No.7) L−α−レシチン,β,γ−ジヘキサデシル
(カルビオケム−ベーリング社製)400mg、ジエチ
ルエーテル1ml及び蒸留水10mlの混合物を実施例
2と同様の方法で乳化させ、この乳化液2mlを用
いて、以下、実施例2と同様の方法で反応を行な
つた。ただし、二級アルコールとして、シクロヘ
キサノールの10%ジエチルエーテル溶液を用い
た。この反応液を実施例2と同様に処理して、転
移生成物18mgを得た。この化合物のIRスペクト
ルを第6表に示した(RunNo.7)。第6表に示し
た他の二級アルコールを用いて、上記と同様に行
つた。その結果を第6表に示した(RunNo.1〜
6)。
【表】
【表】 実施例 4(RunNo.1〜No.7) L−α−レシチン,β,γ−ヘキサデシリジン
(カルビオケム−ベーリング社製)400mgを実施例
2と同様の方法で乳化し、80mg相当の乳化液を用
い、転移反応の受容体として1−フエニル−2−
プロパノールを加え、以下実施例2と同様の方法
で、反応、抽出、精製も行なつた。その結果転移
生成物22mgを得た。この化合物のIRスペクトル
を第7表に示した(RunNo.6)。 第7表に示した他の二級アルコールを用いて、
上記と同様に行つた。その結果を第7表に示した
(RunNo.1〜5及び7)。
【表】 実施例 5(RunNo.1〜No.7) β−レシチン,α,γ−ジヘキサデカノイル
(カルビオケム−ベーリング社製)400mgを実施例
2と同様に乳化し、80mg相当の乳化液を用い、転
移反応の受容体として1−アミノ−2−プロパノ
ールを加えて、以下実施例2と同様の方法で、反
応、抽出、精製を行なつた。その結果、転移生成
物10mgを得た。この化合物のIRスペクトルを第
8表に示した(RunNo.4)。 第8表に示した他の二級アルコールを用いて、
上記と同様に行つた。その結果を第8表に示した
(RunNo.1〜3及び5〜7)。
【表】 実施例 6(RunNo.1〜No.5) L−α−ホスフアチジルエタノールアミン,
β,γ−ジミリストイル()、L−α−ホスフ
アチジルN−メチルエタノールアミン,β,γ−
ジミリストイル()、L−α−ホスフアチジル
−DL−グリセロール,β,γ−ジミリストイル
()(以上、いずれもカルビオケム−ベーリング
社)、L−α−ホスフアチジルセリン()(シグ
マ社)、及びS.F.Yangら(J.Biol.Chem.242、
477、1967)の方法で調整したL−α−ホスフア
チジルエタノール,β,γ−ジミリストイル
()を、実施例2と同様の方法で乳化した。各
リン脂質50mgを含む乳化液1.5mlを、それぞれ別
の共栓付試験管に入れ、アルコールとして1−フ
エニル−2−プロパノールの10%ジエチルエーテ
ル溶液1ml、0.4M酢酸緩衝液1ml、蒸留水1ml、
0.01M塩化カルシウム水溶液0.5mlを加えて、更
に、この反応液を600W、20KHz、1分間超音波
処理した。次いで各反応液にホスホリパーゼDM
水溶液(8u/ml)1mlずつ加え、37℃で6時間
静置した。以下、リン脂質の抽出及び精製は実施
例2と同様に処理し、共通の転移生成物であるホ
スフアチジン酸−1−フエニル−2−プロパノー
ルエステルを得た。収量はに対して6mg、に
対して8mg、に対して7mg、に対して8mg、
に対して10mgであつた。そのIRスペクトルを
第9表に示した。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記式() 但し式中、Aは下記式(i)又は(ii) を示し、ここで、R1及びR2は共に−O−COR11
    であるか、もしくは共に−O−R12であるか、も
    しくは式(i)においてR1とR2は一緒になつて
    【式】〔ここで、nは11〜19の数 を示す〕を表わし、上記に於て、R11及びR12
    同一でも異つていてもよく、夫々、C7〜C21の飽
    和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、 Bは−(CH22N+(CH33、−(CN22NH2、−
    CH2CH(NH2)COOH、−CH2CH2NH(CH3)、−
    CH2CH2N(CH32、−CH2CHOHCH2OHもしく
    は−(CH2nH〔ここで、mは1〜5の数を示す〕
    を示す、 で表わされるリン脂質と、 ハロゲン、アミノ、アセチル、水酸基、C3
    下のモノ−もしくはジ−アルキルアミノ及びフエ
    ニルより成る群からえらばれた置換基で置換され
    ていてもよいC3〜C10の直鎖もしくか分岐アルキ
    ル基R又は上記置換基で置換されていてもよい
    C4〜C8の脂環式炭化水素基Rを有する二級アル
    コール とを、ホスホリパーゼDMの存在下に反応させる
    ことを特徴とする下記式() 但し式中、A及びRは上記したと同義でであ
    る、 で表わされるリン脂質二級アルコール誘導体の製
    法。
JP58063305A 1983-04-11 1983-04-11 酵素法リン脂質二級アルコ−ル誘導体の製法 Granted JPS59187786A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58063305A JPS59187786A (ja) 1983-04-11 1983-04-11 酵素法リン脂質二級アルコ−ル誘導体の製法
EP84302444A EP0122151B1 (en) 1983-04-11 1984-04-10 Production of primary or secondary alcohol derivatives of phospholipids by the enzymatic technique
DE8484302444T DE3476770D1 (en) 1983-04-11 1984-04-10 Production of primary or secondary alcohol derivatives of phospholipids by the enzymatic technique
US06/598,697 US4783402A (en) 1983-04-11 1984-04-10 Production of primary or secondary alcohol derivatives of phospholipids by the enzymatic technique

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58063305A JPS59187786A (ja) 1983-04-11 1983-04-11 酵素法リン脂質二級アルコ−ル誘導体の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS59187786A JPS59187786A (ja) 1984-10-24
JPH028716B2 true JPH028716B2 (ja) 1990-02-26

Family

ID=13225445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP58063305A Granted JPS59187786A (ja) 1983-04-11 1983-04-11 酵素法リン脂質二級アルコ−ル誘導体の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS59187786A (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61291593A (ja) * 1985-06-19 1986-12-22 Res Dev Corp Of Japan コレステロ−ルエステル分解活性促進効果を有する物質
DE3778626D1 (de) * 1986-09-27 1992-06-04 Toyo Jozo Kk Nukleosid-phospholipid-konjugat.
AU2003270087B2 (en) * 2002-09-03 2009-04-23 Georgetown University Akt inhibitors, pharmaceutical compositions, and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JPS59187786A (ja) 1984-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0378115B2 (ja)
US4783402A (en) Production of primary or secondary alcohol derivatives of phospholipids by the enzymatic technique
Choojit et al. Efficient phosphatidylserine synthesis by a phospholipase D from Streptomyces sp. SC734 isolated from soil‐contaminated palm oil
JPH028717B2 (ja)
Nakajima et al. A facile transphosphatidylation reaction using a culture supernatant of actinomycetes directly as a phospholipase D catalyst with a chelating agent
JPH027633B2 (ja)
JPH028716B2 (ja)
JPH0387191A (ja) ホスファチジルイノシトールの製造方法
Moyed et al. Studies on the adenosine triphosphate-propionate reaction in extracts of an unidentified bacterium
JPH0279990A (ja) ホスファチジルセリンの製造方法
JPS6362195B2 (ja)
JP2011211921A (ja) 環状ホスファチジン酸の製造方法
JP2731852B2 (ja) リゾホスファチジルコリンの新規な製造法
JPS63123389A (ja) 酵素法リン脂質−d−セリン誘導体の製造法
JPH1045738A (ja) 抗生物質エポキシキノマイシンcおよびdとその製造法ならびに抗リウマチ剤
JPH0117675B2 (ja)
JP4426664B2 (ja) ホスホリパーゼdおよびその製造法
JP2799621B2 (ja) ホスホリパーゼdの製造法
JPS6188886A (ja) 酵素法リン脂質長鎖アルコ−ル誘導体の製法
JPH075615B2 (ja) リン脂質誘導体
JP2009022220A (ja) セラミドの製造方法
JPH088866B2 (ja) ホスホリパ−ゼdおよびその製造法
JP2799622B2 (ja) ホスホリパーゼdおよびその製造法
JPS6336790A (ja) リン脂質の塩基交換反応法
WO1993024643A1 (en) Farnesyltransferase inhibitors oh-4652 and production thereof