JP2799621B2 - ホスホリパーゼdの製造法 - Google Patents

ホスホリパーゼdの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、水中または各種有機溶媒を含有する反応系
において高いホスファチジル基転移活性を有するホスホ
リパーゼDの製造法に関するものである。
ホスホリパーゼDは、大豆や卵黄等に含まれるホスフ
ァチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等の
リン脂質と各種アルコール性水酸基を有する化合物か
ら、乳化剤、分散剤、農薬、医薬、工業用試薬等に有用
な、リン脂質誘導体を製造するのに使われる。また血清
中に含まれるリン脂質の定量用試薬にも利用される。
従来の技術 ホスホリパーゼD(EC3.1.4.4)は、グリセロリン脂
質のホスファチジル基と塩基との間のエステル結合を加
水分解してホスファチジン酸および塩基を遊離される酵
素であるが、その起源によって加水分解反応以外に、グ
リセロース、セリン、エタノーロ等のアルコール性水酸
基を有する化合物の共存下でグリセロリン脂質のホスフ
ァチジル基を上記アルコール性水酸基を有する化合物に
転移させ、新たなリン酸エステルを生成する反応(ホス
ファチジル基転移反応)を生起させる。
この酵素は、キャベツ、ニンジン、ホウレンソウ、綿
実等の植物体からの抽出あるいはストレプトマイセス
属、ミクロノスポラ属、ノルカディオプシス属、アクチ
ノマデューラ属、ノカルディア属等の微生物を用いた発
酵法により製造できる(特公昭52−39918号、特公昭58
−52633号、特開昭58−63388号、特開昭58−67183号、
特開昭60−164483号)。また市販品では、植物起源のも
のとしてキャベツ、ピーナッツ、微生物起源のものとし
てStreptomyces chromofuscus等がある。
しかしながら、これら従来の製造法により得られるホ
スホリパーゼDはホスファチジル基転移活性が低く、ま
た加水分解反応も速やかに進行し、ホスファチジン酸が
生成するため、効率よく転移反応を行わせることができ
ないという問題点があった。
最近、ホスホリパーゼDは微生物利用製造法で、酵素
の安定性、生産性などに関しては改良が試みられている
例もあるが、高いホスファチジル基転移活性を有するホ
スホリパーゼDの製造法の開発については未だ満足でき
るものが無いのが現状である。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、ホスファチジル基転移活性を有する従来の
ホスホリパーゼDが上述のような欠点を持つことに鑑
み、高いホスファチジル基転移活性を示し、反応生成物
中にホスファチジン酸が全く無いかあるいは簡単な精製
操作で除去できる程度しか生成しないホスホリパーゼD
の効率良い製造法を提供しようとするものである。
問題を解決するための手段 本発明者らは、自然界中の土壌より広く微生物を分離
し、多数のホスホリパーゼD生産菌を得た。更に、それ
らの生産するホスホリパーゼDについて精査し、高いホ
スファチジル基転移活性を示すホスホリパーゼDを生産
する菌株を探索した。その結果、神奈川県横浜市で採取
した土壌から分離されたストレプトマイセス属に属する
菌株(ストレプトマイセス属D−121株と称する)がす
ぐれた性能を有することを知り本発明を完成するに至っ
た。
すなわち本発明は上記ストレプトマイセス属D−121
株を用いるホスホリパーゼDの製造法およびそれにより
得られる高いホスファチジル基転移活性を有するホスホ
リパーゼDの製造方法を提供するものである。
本発明の製造において使われるストレプトマイセス属
D−121株は、次のような菌学的性質を示す。
細胞壁成分 a.アミノ酸:LL−ジアミノピメリン酸を含有する。
b.脂肪酸組成:イソC15:0、アンテイソC15:0、イソC
17:0、アンテイソC17:0が主である。
ミコール酸の生成:なし 胞子鎖(spore chain)の形態:直鎖状が主であ
る。
色調 a.気菌糸:灰色 b.基生菌糸:赤/オレンジ c.可溶性色素の生産:なし 窒素源の利用性: DL−α−アミノ−酪酸 − L−フェニルアラニン + L−システィン − L−ヒスチジン + L−バリン − L−ヒドロキシプロリン + 炭素源の利用性: スクロール − ラフィノース + アドニトール − マンニトール + キシリトール − L−ラムノース − メソ−イノシトール + 各種物質に対する性質: キサンチン 分解する アルブチン 分解する ペクチン 分解しない エラスチン 分解しない 脂肪分解活性 あり レシチナーゼ活性 あり 硝酸の還元 なし 硫化水素の生成 なし 生育阻害: 45℃培養 + アジ化ナトリウム(0.01%W/V) ± NaCl(7%W/V) + フェノール(0.1%W/V) − ネオマイシン(50μg/ml) + リファンピシリン(50μg/ml) − オレアンドマイシン(100μg/ml) + ペニシリンG(10i.u.) − 他の微生物に対する抗生: Bacillus subtilis NCIB 3610 + Micrococcus luteus NCIB 169 − Candida albicans CBS 562 + Saccharomyces cerevisvae CBS 1171 + Streptomyces murinus ISP 5091 − Aspergillus niger LIV 131 + この菌株がストレプトマイセス属に属することは、上
述の性質をBergey's Manual第8版、第657〜659頁、Pro
ceedings of the 1st International Conference on Cu
ltere Collections、第457〜475頁等の各記載と照合す
ることにより確認された。また、上述〜の性質はS.
T.Williamsらの数値分類法[J.Gen.Microbiol.129,1815
(1983)]に従い試験したが、その結果によればWillco
x probability 0.999でストレプトマイセス・リディカ
ス(streptomyces lydicus)に分類されるものである。
ストレプトマイセス属D−121株は、工業技術院微生
物工業技術研究所に寄託されており、その寄託番号は、
11423号である。
本発明のホスホリパーゼDを製造するための上記スト
レプトマイセス属D−121株の培養は放線菌一般の培養
に通常採用される方法に従って行うことができる。すな
わち、培地には炭素源として、例えばブドウ等,果糖,
デンプン,糖蜜,グリセリン等を単独で、または組み合
わせて適宜用いることができる。また窒素源として、例
えば硫酸アンモニウム,塩化アンモニウム,尿素,ペプ
トン,肉エキス,酵母エキス,コーンスチープリカー,
脱脂大豆粉,大豆蛋白等を用いることができる。培地に
は、ほかにリン酸,マグネシウム,カリウム,鉄,アル
ミニウム,カルシウム等の塩類や、各種ビタミン類,消
泡剤等、菌の生育やホスホリパーゼDの生産促進に有効
な物質を適宜添加することができる。好ましい培地pHは
5〜8で、特に好ましくは6〜8である。培養法として
は通常液体培養で行うが、工業的には深部撹拌通気培養
で行うのが有利である。培養温度は、菌が生育し、ホス
ホリパーゼDを生産する温度範囲で適宜変更できるが、
特に好ましいのは25〜35℃である。培養時間は条件によ
り異なるが、ホスホリパーゼDの生産が最大になるまで
培養すればよい。液体培養では通常1〜5日程度であ
る。
培養物中に生成したホスホリパーゼDは、液体培養で
は主として培養液中に存在するので培養終了液から固形
物を濾別し、ホスホリパーゼDを採取する。
濾液からさらにホスホリパーゼDを濃縮するにあたっ
ては、各種酵素の分離精製に通常採用される方法を適宜
組み合わせて使用できる。例えば、塩析、有機溶媒沈
殿、透析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、
吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過、凍結乾燥、等電点
電気泳動等の方法を、後述する本発明のホスホリパーゼ
Dの理化学的性質を考慮した条件下で採用すればよい。
ストレプトマイセス属D−121株の生産する本発明の
ホスホリパーゼDは、次のような理化学的性質を有する
ものである。
(a)作用 加水分解反応 下記一般式[I] (但し、式中R1,R2はアシル基またはアルキル基、Xは
水酸基を含有する塩基の水酸基1個を除いた後に残る有
機基を示す)で表されるリン脂質を加水分解し、ホスフ
ァチジン酸と塩基とを遊離させる。
ホスファチジル基転移反応 上記一般式[I]で表されるリン脂質のホスファチジ
ル基を下記一般式[II] R3−OH ………[II] (但し、R3はアルコール性水酸基に結合した有機基を示
す)で表されるグリセロール、セリン、エタノール等の
アルコール性水酸基を有する化合物の共存下、アルコー
ル性水酸基にホスファチジル基を転移させ、 下記一般式[III] (但し、R1,R2,R3は前記と同様の基を示す)で表される
リン脂質誘導体を生成する。
(b)基質特異性 ホスファチジルコリンに対する加水分解活性を100と
した場合の相対活性は、リゾホスファチジルコリンに対
し1.5、スフィンゴミエリンに対しては0.8である。
(c)至適pH:約6.0 (d)pH安定性:pH4〜8で安定 (e)至適温度:約55℃ (f)熱安定性 pH6.0において60℃、30分間の熱処理で全く失活せ
ず、70℃、30分間でも約50%の活性が残存する。
(g)種々の物質の影響 濃度1mMの種々の物質を共存させた場合、加水分解活
性は塩化セチルピリジニウムのとき約40%阻害される
が、CaCl2,FeCl3,FeSO4,BaCl2,MnCl2,MgCl2,CuCl2,ZnCl
2,SnCl2,AlCl3,CoCl2,CdCl2,LiCl,KCl,NiCl,コール酸ナ
トリウム,デオキシコール酸ナトリウム,エチレンジア
ミン四酢酸・二ナトリウムのときは阻害されない。
(h)分子量 5.6万(SDS・PAGE法による)。
(i)等電点 pH7.4〜7.5(等電点電気泳動法による)。
なお、ホスホリパーゼDの酵素活性は基質であるリン
脂質に作用してリン酸と塩基との間のエステル結合を分
解したときに生じる塩基を定量することによって求め
る。この明細書に記載した酵素活性は、ホスファチジル
コリンを基質として用いる下記の方法により測定された
ものであって、1分間に1μmolのコリンを遊離する酵
素活性を1ユニット(U)としている。
[ホスファチジルコリン分解活性測定法] ホスファチジルコリン0.5gに対してジエチルエーテル
1ml、蒸留水10mlを添加し、超音波処理によって得られ
たエマルジョン100μlと、0.1M塩化カルシウム溶液50
μl、0.1Mトリス−マレイン酸−水酸化ナトリウム緩衝
液(pH5.5)100μl、7.5%W/VトリトンX−100水溶液1
50μlとの混合液に酵素溶液100μlを加え、37℃で10
分間反応させる。その後、0.05Mエチレンジアミン四酢
酸・二ナトリウムを含む1.0Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)200μlを添加し、直ちに100℃で5分間煮沸して完
全に反応を停止させる。室温まで冷却した後、コリン測
定用試薬(コリンオキシダーゼ100U、パーオキシダーゼ
100U、4−アミノアンチピリン50mg、フェノール25mg、
トリトンX−100 500mgをpH8.0の0.01Mトリス−塩酸緩
衝液100mlに溶解したもの)4mlを添加し、37℃で20分間
反応させた後、あらかじめ熱失活させた酵素を用いて同
様に反応させたものを対照とし、500nmの吸光度を測定
する。
実 施 例 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれによって制限されるものではない。
実施例 1 培地として、ブドウ等0.5%、酵母エキス0.5%、コー
ンスチープリカー溶液(10%W/Vコーンスチープリカー
懸濁液をpH7.0に調整し不純物を濾別したもの)20%を
含むpH7.0のものを用意し、その100mlを500ml容の坂口
フラスコに入れ、上記滅菌後D−121株の前培養液5mlを
植菌し、30℃で3日間振とう培養した。
培養終了後菌体を濾別し、酵素活性が9.8U/mlの培養
濾液100mlを得た。これを蒸留水で2倍に希釈し、酢酸
でpH4.0とし、陽イオン交換体CM−トヨパール650M[東
ソー(株)製]を加えて撹拌することによりホスホリパ
ーゼDをCM−トヨパールに吸着させた。CM−トヨパール
を回収し、0.3M NaClを含む0.01M酢酸緩衝液(pH4.0)
により活性画分を溶出し、凍結乾燥して茶褐色のホスホ
リパーゼD47mg、617Uを得た。培養濾液からのホスホリ
パーゼDの活性回収率は63%であった。
実施例 2 実施例1で用いた倍地51で、実施例1と同様の操作を
経てCM−トヨパールから活性画分を溶出した。
この溶出液に10%飽和となるように硫酸アンモニウム
を加え、同じく10%飽和とした0.01M酢酸緩衝液(pH4.
0)で平衡化した疎水性クロマト用担体ブチル−トヨパ
ール650M[東ソー(株)製]のカラムに通液し、ホスホ
リパーゼDを吸着させた。
0.01Mリン酸緩衝液(pH6.8)で活性画分を溶出し、限
外濾過膜(10 PM10)[アミコン社製]により同緩衝液
に置換した。次に、同緩衝液で平衡化した陰イオン交換
体DEAE−トヨパール650M[東ソー(株)製]のカラムに
通し、非吸着部を回収した。これを、同緩衝液で平衡化
したハイドロキシアパタイトHA−ウルトロゲル[ファル
マシア・ファインケミカルス社製]のカルムに通し、0.
05Mリン酸緩衝液(pH6.8)で活性画分を溶出した。
この溶出液を0.025Mイミダゾール−酢酸緩衝液(pH7.
4)に置換後、ポリブッファ交換体PBETM94[ファルマシ
ア・ファインケミカルス社製]のカラムに通し、同社製
ポリバッファ(pH6.0)を用いpH勾配により溶出した。
さらに活性画分をゲル濾過用担体トヨパールHW−55F
[東ソー(株)製]のカラムに通し、活性画分を回収し
た。
かくしてSDS電気泳動で単一なホスホリパーゼD1150U
を得た。上記精製操作におけるホスホリパーゼDの活性
回収率は約5%で、得られた精製品の比活性は958U/mg
タンパクであった。
次に、精製品について下記のような理化学的性質の試
験を行った。
至適pH 前述の酵素活性測定法における緩衝液を、他の種々の
緩衝液にかえて酵素活性を測定することにより、本酵素
のpH依存性を調べた。その結果は第1図のとおりであ
り、至適pHは6.0付近にある。
pH安定性 本酵素を0.1M濃度の種々pHの緩衝液に溶解し、37℃で
2時間静置した。その後、各pHの試料に対して20倍容の
0.1トリス−マレイン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
5.6)を加え、酵素活性を測定した。結果は第2図のと
おりであり、本酵素はpH4〜8で安定であることがわか
る。
至適温度 前述の酵素活性測定法における酵素反応の温度を種々
に変更して酵素活性を測定することにより、本酵素の温
度依存性を調べた。その結果は第3図のとうりであり、
至適温度は55℃付近にある。
熱安定性 本酵素を0.05Mクエン酸緩衝液(pH6.0)中で、25〜75
℃で30分間静置した後、共存する酵素活性を測定した。
その結果は第4図のとうりであり、55℃まで安定である
ことがわかる。
種々の物質の影響 前述の酵素活性測定法において、塩化カルシウム溶液
を他の金属塩等の各種の水溶液にかえて、酵素反応系中
の物質濃度が1mMになるようにして、酵素活性を測定し
た。各種物質無添加のときの活性と比較すると、CaCl2,
FeCl3,FeSO4,BaCl2,MnCl2,MgCl2,CuCl2,ZnCl2,SnCl2,Al
Cl3,CoCl2,CdCl2,LiCl,KCl,NaCl,コール酸ナトリムウ,
デオキシコール酸ナトリウム,エチレンジアミン四酢酸
・二ナトリウムでは、活性の変化は認められなかった。
塩化セチルピリジニウムでは、約40%の活性が阻害され
た。
分子量 濃縮ゲル4.5%T、分離ゲル10%TのSDS−ポリアクリ
ルアミドで電気泳動をおこなった。分子量マーカーとし
てAlbumin(bovine),Catalase,Ovalbumin,Glyceraldeh
yde−3−phosphate dehydrogenase,Lactete dehydro−
genaseも同時に泳動し、Coomssie Brilliant Blue G−2
5により染色した。各分子量マーカーの移動度と分子量
の関係から算出した結果、本酵素の分子量は5.6万であ
った。
等電点 本酵素を、『蛋白質・酵素の基礎実験法』(南江堂)
III.3.7に従いゲル等電点電気泳動にかけ泳動終了後デ
ィスクを等間隔に切断し、得られた切片の蒸留水による
抽出液について、pHおよび酵素活性を測定した。その結
果、本酵素の等電点はpH7.4〜7.5であった。
実施例 3 大豆製ホスファチジルエタノールアミン2.5mg、ジエ
チルエーテル170μl、グリセロール79mg、1M CaCl26.8
μl、0.8M酢酸緩衝液(pH5.6)17μl、実施例1で得
たホスホリパーゼD 1Uを含む0.1%牛血清アルブミン
(BSA)溶液83.5μlを混合し、室温で撹拌しながら12
時間反応した。ジエチルエーテル:エタノール(3:2)2
10μlを添加してよく混合し、上層中のリン脂質組成を
日本油化学協会編基準油脂分析試験法2.2.8.4a−86に従
い分析した。その結果は第1表のとおりで、97.3%のホ
スファチジルグリセロールを生成した。
また第1表には、キャベツ,Streptomyces chromofusc
us(S.C.),Streptomyces hachijoensis(S.H.)を起源
とするホスホリパーゼDを同条件下で用いたときの分析
値も合わせて示した。
実施例 4 大豆製ホスファチジルコリン2.5mg、ジエチルエーテ
ル163μl、グリセロール79mg、1M CaCl26.5μl、0.8M
酢酸緩衝液(pH5.5)16.1μl、実施例1で得たホスホ
リパーゼD 1Uを含む0.1%BSA溶液81.2μlを混合し、
撹拌しながら3時間反応した。以下、実施例3と同様に
リン脂質組成を分析した。その結果、95.8%のホスファ
チジルグリセロールが生成し、ホスファチジン酸は0.4
%以下であった。
発明の効果 本発明の製造法により得られたホスホリパーゼDは、
上述のように従来の製造法により得られるものと比較し
て、高いホスファチジル基転移活性を有している。また
本酵素によるホスファチジル基転移反応では、ホスファ
チジン酸とはほとんど生成せず、リン脂質誘導体を効率
よく製造することができる。本酵素を使用してホスファ
チジル基転移反応を行えば、目的のリン脂質誘導体を、
従来よりはるかに高い収率で製造でき、極めて簡易な精
製操作で製品の純度を向上させることができるという利
点がある。
本発明に使用されるストレプトマイセス属D−121株
は、安価な倍地成分で十分量の本酵素を生産することが
でき、培養物から、本酵素を簡単に採取することができ
る。また、本酵素は特に精製を必要とせず、培養濾液そ
のままでもよいし、必要に応じて、単に濃縮するだけで
も使用できる。すなわち、低コストで、高いホスファチ
ジル基転移活性を有する本酵素を生産することが可能で
ある。
また、本酵素はpH、温度等に対する安定性が良好で、
工業的な利用に有利である。
以上のように、本発明は、ホスファチジル基転移反応
でリン脂質誘導体を従来より効率的に、しかも低コスト
で製造できるようにする優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図:本発明の酵素のホスファチジルコリン分解活性
のpH依存性を示すグラフ。 第2図:本発明の酵素の安定性に及ぼすpHの影響を示す
グラフ。 第3図:本発明の酵素のホスファチジルコリン分解活性
の温度依存性を示すグラフ。 第4図:本発明の酵素の安定性に及ぼす温度の影響を示
すグラフ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストレプトマイセス属に属するD−121株
    を培養し、培養物からホスホリパーゼDを採取すること
    を特徴とする下記の理化学的性質を有するホスホリパー
    ゼDの製造法: (a)作用 加水分解反応 下記一般式[I] (但し、式中R1、R2はアシル基またはアルキル基、Xは
    水酸基を含有する塩基の水酸基1個を除いた後に残る有
    機基を示す)で表わされるリン脂質を加水分解し、ホス
    ファチジン酸と塩基とを遊離させる; ホスファチルジン基転移反応 上記一般式[I]で表されるリン脂質のホスファチジル
    基を下記一般式[II] R3−OH ・・・・・・[II] (但し、R3はアルコール性水酸基に結合した有機基を示
    す)で表されるグリセロール、セリン、エタノール等の
    アルコール性水酸基を有する化合物の共存下、アルコー
    ル性水酸基にホスファチジル基を転移させ、下記一般式
    [III] (但し、R1、R2、R3は前記と同様の基を示す)で表され
    るリン脂質誘導体を生成する; (b)基質特異性 ホスファチジルコリンに対する加水分解活性を100とし
    た場合の相対活性は、リゾホスファチジルコリンに対し
    1.5、スフィンゴミエリンに対しては0.8である; (c)至適pH:約6.0 (d)pH安定性:pH4〜8で安定 (e)至適温度:約55℃ (f)熱安定性 pH6.0において60℃、30分間の熱処理で全く失活せず、7
    0℃30分間でも約50%の活性が残存する; (g)種々の物質の影響 濃度1mMの種々の物質を共存させた場合、加水分解活性
    は塩化セチルビリジニウムのとき約40%阻害されるが、 CaCl2,FeCl3,FeSO4,BaCl2,MnCl2,MgCl2,CuCl2,ZnCl2,Sn
    Cl2,AlCl3,CoCl2,CdCl2,LiCl,KCl,NaCl,コール酸ナトリ
    ウム,デオキシコール酸ナトリウム,エチデンジアミン
    四酢酸・ニナトリウムのときは阻害されない; (h)分子量 5.6万(SDS・PAG法による)。 (i)等電点 pH7.4〜7.5(等電点電気泳動法による)。
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