JP2804067B2 - 新規なホスホリパーゼd―k及びその製造法 - Google Patents

新規なホスホリパーゼd―k及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は新規なホスホリパーゼD−K及びその製造法
に関する。本酵素をリン脂質に作用させることにより優
れた食品用乳化剤を得ることができる。
従来の技術 ホスホリパーゼDとしては種々のもの、例えば植物、
微生物、動物由来のもの〔酵素ハンドブック、朝倉書店
(1982)〕、ストレプトミセス属微生物由来のもの〔特
開昭48−99386号公報、ジャーナル・オブ・バイオケミ
ストリー(Journal of Biochemistry)85,79−95(197
9)〕、ミクロモノスポラ属微生物由来のもの(特開昭5
4−44094号公報)、ノカルディオプシス属微生物由来の
もの(特開昭58−63388号公報)、〔アグリカルチャル
・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultur
al & Biological Chemistry),48(9),2181〜2188
(1984)〕,ニンジン由来のもの〔ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biologica
l Chemistry),231,703(1958)〕、ストレプトミセス
・プルニカラーSK・02・81株由来のもの(特開昭63−21
9373号公報)等が知られている。さらに、ホスホリパー
ゼD−Pとして、ストレプトミセス属微生物由来のもの
が知られている〔特開昭58−152481号公報〕。
発明が解決しようとする課題 従来のホスホリパーゼD及びホスホリパーゼD−Pは
Caイオンを要求したり、Caイオン、Triton X−100で活
性化されたり、EDTAで阻害されたり、広範囲のpH域で熱
安定性が悪い。
従来のホスホリパーゼDを使用して、食品用乳化剤と
しての改質レシチンを製造する際には幾多の問題点を存
在している。従来の酵素の要求するCaイオンは、使用さ
れる食品の物性に好ましいからざる影響を与えることが
知られている。例えば多くの食品乳化物がCaイオンの存
在によってその乳化安定性が極めて低下すること〔フー
ドケミカル、Vol.14,54(1988)、特開昭61−199749号
公報〕、各種の食品蛋白質がCaイオンにより凝集するこ
とと〔ジャーナル・オブ・フード・サイエンス(Journa
l of Food Science),Vol.38,1139(1973),ジャーナ
ル・オブ・デーリー・サイエンス(Journal of Dairy S
cience)Vol.63,223(1980)〕などが知られている。ま
た、活性化因子として界面活性剤を用いて製造した改質
リン脂質は食品に使用する場合、反応後に界面活性剤を
除去するために極めて煩雑な操作が必要である。このた
め、広範囲のpH域で熱安定性が高く、Caイオンを要求し
ない、Caイオンや界面活性剤で活性化されないホスホリ
パーゼDが求められている。
課題を解決するための手段 本発明は下記の性質を有する新規なホスホリパーゼD
−K及びその製造法を提供する。
(a) 作用 リン脂質に作用してリン酸と塩との間のエステル結合
を加水分解し、ホスファチジン酸と塩基とを遊離する。
(b) 基質特異性 ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールア
ミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロ
ール、リゾホスファチジルコリンに対して作用する。
(c) 至適pH:7.5〜8.5 (d) pH安定性及び熱安定性 pH4.0−8.5の範囲で、温度50℃で1時間加熱処理して
も活性はほぼ100%残存する。
pH7で60℃まで安定である。
(e) 阻害及び活性化 Caイオンキレート剤により阻害されない。又、Caイオ
ン又は界面活性剤により活性化されない。
(f) 至適温度:50〜75℃ (g) 分子量:約54,000(SDSアクリルアミドゲル電
気泳動による) 次にホスホリパーゼD−Kの活性を測定法、性質につ
いて説明する。
1. 酵素活性測定法 酵素活性を含む50mMトリス塩酸緩衝液0.5mlと50mM精
製卵黄レシチン(シグマ社製)エマルジョン0.5mlを37
℃のプレインキュベーション後、混合し反応を開始し
た。10分後に15%トリクロロ酢酸0.5mlを添加した反応
を停止させた後、1規定水酸化ナトリウム0.44mlを添加
して中和した。次にデタミナーChE(コリンエステラー
ゼ測定試薬:協和メデックス(社)製)を用いて、反応
液中に生成したコリンを定量した。対照としてあらかじ
め熱失活した酵素を用いて同様に反応させた物を定量し
た。そして1分間に1μmolのコリンを遊離する酵素活
性を1単位とする。
2. Caイオンによる活性化 CaCl2濃度 相対活性 0mM 100 10mM 72 50mM 83 本酵素はCaイオンによって活性化されない 3. Caイオンキレート剤による阻害 濃度 相対活性 無添加 − 100 EDTA 2mM 100 クエン酸ナトリウム 500mM 100 本酵素はCaイオンキレート剤であるEDTA,クエン酸ナ
トリウムによって阻害されない。
4. 各種金属イオンによる活性化 濃度 相対活性 無添加 − 100 MgCl2 10mM 78 MnCl2 10mM 95 KCl 50mM 109 NaCl 50mM 107 本酵素はCaイオン以外の上記金属イオンによって活性
化されない。
5. 各種界面活性剤による活性化 濃度(%) 相対活性 無添加 − 100 Triton X−100 0.5 102 ラウリル硫酸ナトリウム 0.1 35 ツイン20 0.5 103 コール酸ナトリウム 0.5 98 本酵素は上記界面活性剤によって活性化されない。
6. 至適pH 前記の酵素活性測定法における50mMトリス塩酸緩衝液
の代わりに、クエン酸・リン酸二ナトリウム緩衝液(pH
3−8)、トリス・マレイン酸ナトリウム緩衝液(pH7−
9)、アンモニア・塩化アンモニウム緩衝液(pH8−
9)を用いて、ホスホリパーゼD−Kのリン脂質に対す
る酵素活性を測定した。その結果は第1図に示す。乃適
pHは7.5〜8.5の範囲であると認められた。
7. pH安定性及び熱安定性 本酵素をクエン酸・リン酸二ナトリウム緩衝液(pH3
−8)及びトリス・マレイン酸ナトリウム緩衝液(pH7
−9)に溶解し、37℃と50℃の各温度で1時間処理し、
その後水冷して前記の酵素活性の測定法に従ってホスホ
リパーゼD−Kの酵素活性(残存活性)を測定した。そ
の結果を第2図に示す。37℃ではpH4−9において50℃
ではpH4−8においてほぼ100%残存した。また、クエン
酸・リン酸二ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した本
酵素を5,40,50,60,70及び80℃の各温度で1時間処理
し、その後水冷し残存活性を測定した。その結果を第3
図に示す。本酵素は60℃まで安定であった。
8. 至適温度 酵素活性測定において、反応温度30,40,50,60,70,80
及び90℃で10分間反応した際の酵素活性を測定した。そ
の結果を第4図に示す。至適温度は50〜75℃の範囲であ
ると認められた。
次にホスホリパーゼD−Kの製造法について説明す
る。
ホスホリパーゼD−Kはストレプトミセス属に属し、
ホスホリパーゼD−K生産能を有する微生物を培地に培
養し、培養物中にホスホリパーゼD−Kを生成蓄積さ
せ、該培養物よりホスホリパーゼD−Kを採取すること
によって得られる。
用いられる微生物としてはストレプトミセス属に属
し、ホスホリパーゼD−K生産能を有するものであれば
いずれも用いることができる。具体的には、ストレプト
ミセス・ラヴェンデュラー(Streptomyces lavendula
e)IFO3125(以下、IFO3125と称す)が用いられる。
用いられる培地としては、炭素源、窒素源、無機塩等
を程よく含有する培地ならば、合成培地又は天然培地の
いずれでもよい。
炭素源としては、グルコース、シュクロース、乳糖、
麦芽糖、スターチ、糖蜜、グリセリン等が用いられる。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩
化アンモニウム、ペプトン、酵母エキス、コーン・ステ
ィープ・リカー、カザミノ酸、肉エキス等が用いられ
る。
無機塩としては、リン酸一カリウム、リン酸二カリウ
ム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一
鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、塩化カリウム、硝酸カリ
ウム、塩化ナトリウム等があげられる。
培養は温度20〜35℃、好ましくは25〜30℃で10〜48時
間行う。
培養終了後、培養液からホスホリパーゼD−Kを採取
するには、通常の方法が用いられる。本酵素は水に易溶
性であって、主として培養液中に存在する。培養液
中に存在するホスホリパーゼD−Kは培養液を濃縮す
るか、硫安などで飽和沈澱させるか、メタノール、エタ
ノール、アセトン等の有機溶媒を添加することによって
沈澱させること等により得ることができる。
濃縮物あるいは沈澱物は水に溶解し半透膜で透析する
ことによって低分子の不純物を除去することが出来る。
各種イオン交換クロマトグラフィー、ゲル過クロマト
グラフィー等を利用して培養液中の不純物を除去しさ
らに精製することが可能である。
以下に実施例を示す。
実施例1. グリセロール2%、ペプトン2%、硝酸カリウム0.1
%、リン酸二カリウム0.05%、硫酸マグネシウム0.05%
及び食塩0.05%の組成を有する培地(pH7.0)15を30
のジャーファメンターに入れ、加熱滅菌(120℃、20
時間)後、これに前記と同組成の培地で培養(28℃、20
時間)したIFO3125の種培養液の500mlを接種し、28℃で
通気撹拌培養(通気量:15/分、撹拌:250r.p.m)を行
った。約20時間後に酵素活性の最大値が得られた(1.2U
/ml)。
ついで、得られた培養液15を遠心分離(10000r.p.
m,10分間)して菌体を除去した。得られた上澄15を3
まで減圧濃縮した。この濃縮液に3のエタノールを
添加し沈澱画分を除去した後、7のエタノールをさら
に添加し静置後上澄を除去した。得られた沈澱物を1
の50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解した。これを1
5の同緩衝液に対して透析を行い低分子の夾雑物質を
除去した。透析終了後、本酵素液を濃縮してセファデッ
クスG−100〔Pharmacia Fine Chemicals Inc.〕を用い
たゲル過クロマトグラフィーを行ってさらに精製し酵
素標品(活性収率:75%)を得た。
発明の効果 ホスホリパーゼD−Kは広範囲のpH域で熱安定性が良
く、Caイオン又は界面活性剤により活性化されず、Caイ
オンキレート剤により阻害されない新規酵素である。本
酵素をリン脂質に作用させることにより優れた食品用乳
化剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図はホスホリパーゼD−Kの至適pHを示す。 第2図はホスホリパーゼD−KのpH安定性及び熱安定性
を示す。 第3図はホスホリパーゼD−Kの熱安定性(pH7.0)を
示す。 第4図はホスホリパーゼD−Kの至適温度(反応時間10
分)を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の性質を有する新規なホスホリバーゼ
    D−K。 (a)作用 リン脂質に作用してリン酸と塩基との間のエステル結合
    を加水分解し、ホスファチジン酸と塩基とを遊離する。 (b)基質特異性 ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
    ン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロー
    ル、リゾホスファチジルコリンに対して作用する。 (c)至適pH:7.5〜8.5 (d)pH安定性及び熱安定性 pH4.0−8.5の範囲で、温度50℃で1時間加熱処理しても
    活性はほぼ100%残存する。 pH7で60℃まで安定である。 (e)阻害及び活性化 Caイオンキレート剤により阻害されない。又、Caイオン
    又は界面活性剤により活性化されない。 (f)至適温度:50〜75℃ (g)分子量:約54,000〔ドデシル硫酸ソーダ(SDS)
    アクリルアミドゲル電気泳動による〕
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し、請求項1記載
    のホスホリバーゼD−K生産能を有する微生物を培地に
    培養し、培養物中に請求項1記載のホスホリバーゼD−
    Kを生成蓄積させ、該培養物より請求項1記載のホスホ
    リパーゼD−Kを採取することを特徴とする発酵法によ
    る請求項1記載のホスホリパーゼD−Kの製造法。
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