JP4040417B2 - 印刷物製造方法および印刷物製造装置 - Google Patents

印刷物製造方法および印刷物製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物製造方法および印刷物製造装置に関し、詳しくは、印刷物における画像等の光沢を制御する印刷物製造方法および印刷物製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、印刷装置として多様なタイプが存在し、得られる印刷物における画像などの光沢感はそのタイプ毎に異なっている。色材としてトナーを用いる電子写真方式やインクリボンを用いる熱転写方式では、基本的に印刷媒体の表面にこれらの色材層が形成されることにより一定の平滑度を得て印刷画像に光沢を生じさせることができる。
【0003】
一方、液体インクを用いたインクジェット方式の印刷装置は、その取り扱いの手軽さなどの点から情報機器をはじめ各種機器の情報もしくは画像出力の用途において急速に普及している。この方式の装置は多色画像が容易に形成できることに加え、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印刷画像と比較して遜色のない印刷品位を得ることが可能であるため、フルカラー画像印刷分野にまで広く応用されるにいたっている。
【0004】
このインクジェット方式はインクが印刷媒体に浸透して画像を形成するものであって基本的に層を形成するものでないことから、その印刷画像は、印刷媒体の表面に色材層を定着させる他の方式と比べて光沢度が低いといえる。
【0005】
このような点から、印刷媒体に予めベーマイト構造のアルミナ水和物を用いた塗工層を設けたものが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に開示されている。これらのアルミナ水和物の塗工層を設けた印刷媒体は、アルミナ水和物が正電荷を持っているため、インク染料の定着が良く、発色の良い画像が得られること、更に、画質、特にフルカラー画像における画質及び光沢の点で従来の印刷媒体に比べ好ましいなどの長所を有している。そして、このアルミナ水和物が塗工されることにより予め光沢が付与された印刷媒体に、例えば染料系のインクを付与することによって、銀塩写真に匹敵した光沢度をもつ画質を得ることもできている。
【0006】
一方、以上のような光沢度に関して印刷画像に対する要求も多様化してきており、上記特許文献1から5に開示されるように一つの印刷媒体全体に一律に光沢が施されるのではなく、同一印刷媒体内で光沢部のある部分とない部分を混在させ画像を印刷したいとする要求もある。例えば、昨今の不動産物件販売などでは、WEBサイトやモニター上でCG(コンピューターグラフィック)にて作成した建物や部屋などを見ながら商談をすすめる場合が増えているが、モニターに表示されている建物の一部の材質が光沢によって表現されている場合に、これを印刷媒体に印刷出力するとその光沢を再現できず、印刷物で確認するなどの場合に不便を感じることがある。また、服飾分野などでも材質感の表現は重要な問題であり、これらの印刷出力においても同様な課題が生じている。これは、印刷媒体に印刷する際の光沢度がその媒体において一律であることに起因しており、同一印刷媒体内でも自在に光沢度を変えることができる印刷装置があれば上述の材質感などにおいてもより表現力豊かなものとなる。例えば、これから普及するであろうオンラインショッピングにおいても、モニターに表示された品物の材質を光沢を含めて忠実に表現できる印刷装置があれば、品物の確認などに便利であることは明らかである。
【0007】
これに対し、本出願人は、例えば、特許文献6において、同一印刷媒体内で部分的に光沢度を異ならせることができる画像形成装置を提案している。より詳細には、印刷媒体上に転写されたトナー像定着のための構成において、定着のための定着温度を印刷媒体の搬送方向において変化させ同方向における印刷媒体の領域ごとに光沢度を異ならせるものや、サーマルへッドを印刷媒体の領域に対応して分割しこの分割したヘッドごとに定着温度を異ならせて光沢度を異ならせることが記載されている。そして、この文献6には、光沢度を定着温度の制御によって複数段階に変化させることも記載されている。
【0008】
また、熱転写方式の装置では、特許文献7に同様な提案がなされている。この文献7には、インクリボンを用いて画像が形成された印刷媒体にオーバーコート層の転写を行うことが記載され、ここでは、サーマルヘッドによるその転写時の温度を、光沢を付す部分とそうでない部分とで異ならせることにより、同一の印刷媒体において部分的に光沢度を異ならせている。
【0009】
さらに、特許文献8には、熱転写方式の印刷について上記文献7と同様の技術を開示する他、無色もしくは透明の熱溶融インクを用いたソリッドインクジェット方式により、印刷媒体に液体インクを用いて印刷した画像上に層を形成し光沢を付与することが記載されている。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第4,879,166号明細書
【0011】
【特許文献2】
米国特許第5,104,730号明細書
【0012】
【特許文献3】
特開平2−276670号公報
【0013】
【特許文献4】
特開平4−37576号公報
【0014】
【特許文献5】
特開平5−32037号公報
【0015】
【特許文献6】
特開平5−19660号公報
【0016】
【特許文献7】
特開2001−212996号公報
【0017】
【特許文献8】
特開平5−208508号公報(第0048段落〜第0055段落、図13〜図15)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在最も普及しているインクジェット方式による印刷画像について、上述した特許文献6〜8に開示される技術をそのまま適用することはできないか、もしくは適用するには大きな困難を伴うなどの問題がある。
【0019】
すなわち、特許文献6に開示される定着温度の制御によって光沢度を変更する技術は色材としてのトナーに固有の適用可能な技術であり、インクによって印刷が行われた印刷媒体に適用できないことは明らかである。
【0020】
また、特許文献7、8に開示される技術は印刷媒体上に色材とは別の層を形成するものであり、インクジェット方式の印刷装置においてこのような層を設けるには、そのための装置を別途設ける必要があり、装置構成が煩雑になるなどの問題がある。つまり、特許文献7にあっては、オーバーコート層用のリボンを余分に備えればよく、熱転写のためのサーマルヘッドは印刷用のものをそのまま用いることができることから、装置構成が煩雑になることはない。これに対し、インクジェット方式ではサーマルヘッド等を別途設けなければならないことになる。文献8に開示される構成においても同様であり、例えば、同文献の図15に示されるように、印刷用と層形成用と2つのヘッド走査機構が必要になるなど、装置の構成が煩雑でまた大型化する場合がある。また、この特許文献8に開示される構成は、層を形成するためのヘッドが固体物をいったん溶融し液状にして吐出するものであるため、1つの装置に2つの方式のヘッドが存在し、上記の構成が煩雑もしくは大型化する他、ヘッドによる吐出のための制御の構成も煩雑となる。
【0021】
さらに、以上のような特許文献7、8に開示される技術をインクジェット方式に適用する場合には、インクジェット方式による印刷装置の取り扱いの簡便さなど種々の利点を損なうおそれもある。
【0022】
また、モニターで表示される画像やカメラで撮像される画像などでは、画像によって光沢は一様でなく、複数の異なる光沢度を有したものが多い。このため、それらの画像を印刷する場合においても複数段階の光沢度を表現できモニター等で表示される画像を忠実に再現できることが望ましい。しかしながら、上述した特許文献7、8では、単に、層を形成すること、または、しないことによって光沢の有る無し定めるだけであり、複数の光沢度の違いを得ることはできない。この点について、特許文献6には定着温度を変えることにより光沢度を複数段階で異ならせることが開示されているが、層形成により光沢を生じさせるものとそのメカニズムがそもそも異なり、インクジェット方式の印刷には適用できない。
【0023】
一方、インクジェット印刷の分野では、印刷物における画像保存性も比較的重要な課題である。インクジェット方式による印刷画像は大気中に存在する微量なオゾンなどによって劣化し易く、印刷時の画像品位を長期間維持できないことがあり、この場合には、印刷物の利用価値などが低下することになる。
【0024】
本発明は、以上説明した問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で複数段階の光沢感を表現でき、併せて画像保存性を向上させることも可能な印刷物製造方法および印刷物製造装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、印刷媒体に対し所定の液滴を付与して前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0026】
他の形態では、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体に対して走査させながら前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記層の形成に要する走査の回数を異ならせることにより、前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0027】
さらに他の形態では、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体の同一領域に対して複数回走査させるとともに前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記複数回の走査で用いられる相補的なマスクを異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0028】
また、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、印刷媒体に対し所定の液滴を付与して前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0029】
他の形態では、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体に対して走査させながら前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記層の形成に要する走査の回数を異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0030】
さらに他の形態では、光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体の同一領域に対して複数回走査させるとともに前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記複数回の走査で用いられる相補的なマスクを異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする。
【0035】
以上の構成によれば、印刷媒体の面に所定の液滴を付与して層を形成する場合、液滴を付与する際に印刷媒体に付与された複数の液滴が連結して一体となるときの、その形状および大きさを定めることができ、これにより、層表面の凹凸もしくは粗さを制御して光沢度を変更することができる。
【0036】
また、上記において、インクジェトヘッドを用い、このヘッドを走査させて所定の液滴を吐出して層を形成するに際して、走査の回数や各走査のデータを変えることによって、光沢度の変更が可能となる。
【0037】
さらに、印刷媒体の画像が印刷された面に上記の層が形成されることにより、画像を大気に対して密閉することもできる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0039】
最初に、本発明の実施形態による制御の対象であり、また、印刷画像の評価の基準となる光沢度およびヘイズについて説明する。高い光沢度の表面ではそれが白く濁って見える場合がある(これを本明細書ではヘイズ(haze;濁り)と呼ぶ)。このように、光沢があってもヘイズが伴って観察される場合は印刷画像における光沢感の印象も当然異なる。このため、本発明の実施形態では、印刷画像において光沢度とともにヘイズについても所望のものにすべく、後述するような制御を行なう。
【0040】
図1(a)〜(d)は、この光沢度とヘイズを説明する図である。
【0041】
図1(a)に示すように、光沢度およびヘイズは、印刷物表面で反射した反射光を検出器(例えば、BYK-Gardner社製のB-4632(日本名;マイクロ-ヘイズ プラス)によって検出することによりそれらの値を求めることができる。反射光はその正反射光の軸を中心にある角度で分布しており、図1(d)に示すように、光沢度は、例えば検出器中心の開口幅1.8°で検出され、ヘイズは、その外側の例えば±2.7°までの範囲で検出されるものである。
【0042】
すなわち、反射光が観察される場合、その分布の中心軸をなす正反射光の入射光に対する反射率が光沢度と定義され、この光沢度が大きいほど観測者は光沢感があると感じる。また、反射光の分布において正反射光の近傍に生じている散乱光を測定したものがヘイズもしくはヘイズ値と定義され、光沢度が高くてもヘイズ値が高い場合は白っぽくくすんで観察される。
【0043】
なお、上記検出器により測定される光沢度およびヘイズの単位は無次元で、光沢度はJIS規格のK5600に、ヘイズはISO規格のDIS13803に準拠している。
【0044】
図1(b)および(c)は、印刷画像表面の粗さに応じて正反射光の量が異なることを示す図である。これらの図に示されるように、一般に表面が粗くなるほど正反射光の量が減り、これによって光沢度もより小さく測定される。また、ヘイズ値は、光沢度に相関するとは一概には言えず、基本的には、光沢度が同じでもその表面状態によって異なるものである。
【0045】
図2は、上述した光沢度とヘイズとの関係の一例を示す図であり、測定角20°で測定される光沢度が69および80の場合について、異なる液体組成物A、B、Cごとにヘイズ値等との関係を示すものである。すなわち、同図の縦軸はヘイズ値を示している。また、横軸は以下の各実施形態で説明される、液体組成物の付与方法の違いを示しており、同図は6種類の付与方法について光沢度等を示すものである。なお、液体組成物の種類は、その組成などが異なることによるものである。
【0046】
同図から明らかなように、例えば、以下の各実施形態のように用いる液体組成物を1種類に固定した場合、液体組成物の付与方法が異ならせることにより、光沢度およびヘイズの何れも変化させることができる。例えば、液体組成物Aを用いる場合、付与方法3と4では光沢度69を実現でき、また、付与方法5と6では光沢度80を実現することができる。また、光沢度が69、80のいずれの場合も液体組成物の付与方法に応じて(方法3と4、または5と6)ヘイズ値が変化することがわかる。
【0047】
本発明の実施形態は、インクジェットプリンタの形態の印刷物製造装置であり、インクを吐出して画像を形成して画像を印刷し、その印刷した画像に液体組成物を吐出して不溶化層を形成し、光沢を施すものである。そして、以上説明したように液体組成物の付与方法を異ならせることにより、印刷画像表面の状態を制御することにより、光沢度およびヘイズを多段階に変化させることを可能とし、印刷画像の種々の光沢感およびそれに伴う濁り具合を表現する。具体的には、印刷媒体上で反応して固化もしくは不溶化する液体(本明細書では、「液体組成物」という)を、図5、図6、図7等で後述されるように、インクジェトヘッドと同じ構造のヘッドによって吐出するとともに印刷媒体上に着弾した液体組成物の液滴の結合具合を制御し、それらの液滴が不溶化したときに形成される層の凹凸の状態を定めるものである。
【0048】
なお、本発明を実施する形態によっては、ヘイズ値は一定として光沢度のみ変化するように付与方法を設定するようにしてもよいことはもちろんである。
【0049】
図3は、この液体組成物の固化に至る反応のメカニズムを説明する図である。
【0050】
本発明の実施形態で用いる液体組成物は、水性媒体と、下記一般式で表される構造(以下カルボン酸塩と表す)を有する高分子と、を含むものであり、この液体組成物が前記高分子が不溶化する表面pHを有する印刷媒体の表面にて反応して不溶化した高分子の層が形成される。
【0051】
同図に示すように、液体組成物として、例えばスチレン−アクリルポリマーの水溶液が用いられ、これが染料インクによって画像が印刷された印刷媒体(前記高分子が不溶化する表面pHを有する)上に吐出されると、印刷媒体表面のpHによって印刷画像の上に高分子の不溶化物の層(膜)が生成される。この際、本実施形態では、吐出された液体組成物が印刷媒体に着弾して形成される液滴相互の一体化の程度を制御し、これらが不溶化して最終的に形成される層の表面形状を定める。そして、この表面形状が持つ、図1にて説明したような反射特性に応じた光沢度およびヘイズを得ることができる。
式 −COOA
(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。)
次に、本発明の実施形態で用いることができる液体組成物、印刷媒体およびインクについて具体的に説明する。
【0052】
最初に、本発明の実施形態で用いることができる液体組成物は、上述したように、カルボン酸塩を有する高分子を少なくとも含む。そして、印刷媒体の表面pHの作用によって液体組成物中の高分子を瞬時に不溶化して固液分離し、溶媒成分のみを印刷媒体中に吸収させて、印刷媒体上に不溶化物の被覆層を形成させるものである。
【0053】
印刷媒体上に形成される被覆層の厚みは、液体組成物中の高分子量と単位面積あたりの吐出量によって決まり、好ましい範囲としては、被覆層の厚みが50〜1000nmの範囲、より好ましくは50〜500nmの範囲である。被覆層の厚みがこの範囲を超える場合には、後述する液体組成物中の高分子の固形分濃度を高めることが必要となり、固着性や吐出性に問題を生じる恐れがある。また、被覆層の厚みがこの範囲に満たない場合には充分なガスバリア性が得られないことがあり、画像保存性において劣るものとなる。なお、被覆層の厚みは、印刷物断面の走査型電子顕微鏡観察によって測定することができる。
液体組成物中のカルボン酸塩を有する高分子としては、液体組成物中に安定して溶解し、かつ画像の表面pHの作用によって不溶化して安定した層を形成し得るものであればよい。例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸のハーフエステル、イタコン酸等のアクリル酸系単量体の1種以上を用いて得られたビニル共重合体を塩基性物質の添加により可溶化したものが好ましい。
【0054】
この際の塩基性物質としては、特に制限されることなく水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール等があげられる。
【0055】
上記アクリル酸系単量体と共重合させることのできる単量体としては、目的とする特性を有する高分子を形成できるものであれば特に限定されないが、例えば、次のような単量体の少なくとも1種を用いることができる。すなわち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート単量体、更には、スチレンモノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、2−アントリル(メタ)アクリレート、2−(ベンゾイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(5−エチル−2−ピリジル)エチル(メタ)アクリレート、[1,1’−ビフェニル]−4−イル(メタ)アクリレート、7−オキソ−1,3,5−シクロヘプタトリエン−1−イル(メタ)アクリレート、8−キノリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、1−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−3−アゼチジニル(メタ)アクリレート、9−カルバゾリルメチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル(メタ)アクリレート、3−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、1−(3−ペリレニル)エチル(メタ)アクリレート、(3−メチルオキシラニル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらから選択された少なくとも1種を用いることができる。
【0056】
本発明における対イオン(式中 A)としては、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムが挙げられ、これらから選択された少なくとも1種を用いることができる。
【0057】
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、モノイソプロバノールアンモニウム、ジイソプロバノールアンモニウム、トリイソプロバノールアンモニウム、モノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、モノエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、等のアルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムがあげられる。
本発明では、高分子の酸価は、後述する印刷媒体の表面pHや表面状態、更には高分子を構成する単量体の種類によって変わり、印刷媒体上で不溶化するように適宜選択すればよい。具体的には、カルボン酸塩を有する高分子水溶液を、印刷媒体の表面pHに対応したpHの水溶液に滴下したときに、高分子が不溶化して固液分離するようにカルボン酸塩含有量を調整する。
【0058】
高分子の酸価は50から300の範囲が好ましい範囲としてあげられる。50に満たない場合には、固着性の点で問題が生じる場合があり、また、サーマル方式のインクジェットを使用する場合はヒーター上でのコゲの原因となり、安定した吐出性が得られないことがある。一方、300を超えると、紙面上での不溶化がおきにくくなり、被覆層を形成させるため印刷媒体のインク受容層中の多価金属イオン濃度を極端に上げなくてはならず、画像の色みが問題となる場合がある。なお、酸価は、JIS K0070に準拠した手法により実測した値に基づく。 また、本発明の液体組成物のpHは、塩基性物質の添加量やpH調整剤によって調整され、上述のカルボン酸塩を有する高分子が水溶化するpHである必要がある。好ましい液体組成物のpHとしては5.4から11.0の範囲が、より好ましくは6.0から11.0の範囲があげられる。液体組成物のpHが1.0を超えるとヘッド等の液体組成物と接触する部材の耐久性が問題となることがあり、液体組成物のpHが5.4に満たない場合には、後述するが、印刷媒体の表面pHを5.4以下に調整しなければならず、画像の色みを損ねる場合がある。
【0059】
本発明のカルボン酸塩を有する高分子の分子量としては特に制限されるものではないが、例えば塩基性物質の添加前の重量平均分子量で1000から100000の範囲、好ましくは1000から50000の範囲が使用できる。重量平均分子量が100000を超えると液体組成物の粘度が高くなる傾向があり、インクジェット記録方法での吐出安定性が得られないことがある。また、重量平均分子量が1000に満たないと、充分なガスバリア性を有する被覆層が得られないことがある。ここで重量平均分子量はGPC(Gel Permiation Chromatography)により、THF/DMF混合溶媒系でポリスチレン換算値を用いて表す。
また、液体組成物中のカルボン酸塩を有する高分子の含有量としては、液体組成物全量に対して、好ましくは1.0〜15重量%、より好ましくは1〜6重量%の範囲があげられる。液体組成物中の高分子の含有量が15重量%を超えると、液体組成物の粘度が高くなる傾向があり、インクジェット記録方法での吐出安定性が得られないことがある。また、1重量%に満たないと、充分なガスバリア性を有する被覆層が得られないことがある。
本発明における被覆層形成用の液体組成物に使用する溶媒は、水または水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であり、特に好適なものは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であって、水溶性有機溶剤として液体組成物の乾燥防止効果を有する多価アルコールを含有するものである。また、水としては、種々のイオンを含有する一般の水でなく、脱イオン水を使用するのが好ましい。
【0060】
水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4アルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0061】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましいものである。
【0062】
液体組成物中の前記水溶性有機溶剤の含有量は、液体組成物の全重量に対して重量%で0〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲である。また、水の含有量は、液体組成物の全質量に対して質量%で40〜99質量%の範囲でより好ましくは50〜95質量%の範囲で適宜選択すればよい。
【0063】
また、本発明に用いる液体組成物は前記の成分の外に必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防カビ剤、防錆剤等を添加しても良い。さらに、本発明の液体組成物には、例えば、装飾(薄いブルー等によるロゴ入れ等)等を目的として色材を含むこともできる。
次に、本発明の実施形態で使用される印刷媒体について説明する。
【0064】
本発明の実施形態では、前述したように印刷媒体上で、被覆層形成用の液体組成物中の高分子を固液分離させる。したがって、印刷媒体の表面pHは、液体組成物中の高分子を不溶化させうる値にコントロールしなくてはならない。不溶化させうる表面pHは液体組成物に用いる高分子によって適宜選択させればよいが、好ましい範囲としては表面pHが5.4〜7.0の範囲があげられる。表面pHがこの範囲を超えると、印刷媒体上で液体組成物の高分子を固液分離させるために高分子の酸価を小さくしなくてはならないため充分な吐出安定性が得られないことがある。また、表面pHがこの範囲に満たない場合には、記録画像の色みや耐光性、更には、記録液(染料インク)に対する吸収性が悪くなることがある。
【0065】
印刷媒体の表面pHの調整方法としては、公知の方法であらかじめ作製した所定の表面pHを有する印刷媒体に所望の表面pHとなるように硝酸、塩酸、硫酸などの酸水溶液や、アンモニアなどのアルカリ水溶液を塗工する方法や、インク受容層を形成するための塗工液のpHをあらかじめ所望のpHに調整して、基材上に塗工液を塗布乾燥してインク受容層を形成する方法等があげられる。なお、紙面pHはJAPAN TAPPI No.49-2(塗布法)に準じて測定を行った。
【0066】
本発明の実施形態で使用される印刷媒体の構成としては基材上に顔料を主体とする多孔質インク受容層が設けられたものが好適に使用される。
【0067】
基材としては、適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、レジンコート紙などの紙類、樹脂フィルムのようなシート状物質及び布帛が使用でき、特に制限はない。特に適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙を基材として用いた場合には後述する印刷媒体の表面pHと同じ表面pHが安定性の観点から好ましい。
本発明における印刷媒体のインク受容層は、その細孔容積が0.35〜1.0ml/gの範囲になるように形成されるのが好ましく、より好ましくは0.4〜0.9ml/gである。インク受容層の細孔容積が前記範囲より大きい場合は(インク受容層にクラック、粉落ちが発生し)、前記範囲よりも小さい場合には(インクの吸収が悪くなり、特に多色印字を行った場合にインク受容層からインクが溢れて画像に滲みが発生し易い場合がある)。
【0068】
また、インク受容層のBET比表面積については、50〜300m2/gの範囲が好ましく、より好ましくは100〜300m2/gである。この範囲より小さい場合、インク受容層の光沢性がなくなり、またヘイズが増加するため画像に白モヤがかかったようになる場合がある。また、前記範囲より大きい場合、インク受容層にクラックが生じ易くなる場合がある。
【0069】
前記BET比表面積及び細孔容積は、24時間、120℃で脱気処理した後、窒素吸着脱離方法により求めることができる。
【0070】
上記の物性を示すインク受容層を形成するための材料としては、特に限定されないが、下記一般式で表されるアルミナ水和物が好ましい例としてあげられる。Al23-n(OH)2n・mH2
式中、nは0、1、2または3の整数の内のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mH2Oは多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に達することがありうるが、mとnは同時に0とはならない。
【0071】
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBET比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が0.3〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.9ml/gである。この範囲の細孔容積を有するアルミナ水和物はインク受容層の細孔容積を前記規定範囲内にする上でより好適である。また、BET比表面積については、50〜350m2/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは100〜250m2/gである。この範囲のBET比表面積のアルミナ水和物は、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にする上でより好適である。
【0072】
分散液の塗布量は乾燥固形分換算で0.5〜60g/m2、より好ましくは5〜45g/m2とすることができ、インク受容層の層厚としては、良好なインク吸収性、解像性を得るには、例えば15μm〜60μm、好ましくは20μm〜55μm、特に好ましくは、25μm〜50μmとすることができる。
【0073】
以上説明した印刷媒体は、基本的に酸性を有するもの、すなわち、水素イオンを含むものとしたが、この酸性を呈するものに限らず、例えば、インク受容層中に高分子が不溶化する濃度の多価金属イオンを含むことにより、液体組成物と反応して高分子の不溶化物を生成できるものであることも好ましい態様の一つである。具体的には、印刷媒体のインク受容層中の多価金属イオン濃度が、液体組成物中の高分子を不溶化させうる値にコントロールされている印刷媒体である。この印刷媒体のインク受容層中の多価金属イオン濃度は、液体組成物に用いる高分子によって適宜選択させればよいが、好ましい範囲としてはインク受容層中の多価金属イオン濃度が0.01〜1.0(mol/L)、より好ましくは0.04〜0.8(mol/L)の範囲があげられる。インク受容層中の多価金属イオン濃度が0.01mol/L未満の場合には、印刷媒体上で液体組成物の高分子を不溶化させるために高分子の酸価を小さくしなくてはならないため充分な吐出安定性が得られないことがある。また、インク受容層中の多価金属イオン濃度が1.0mol/Lを超える場合には、印刷画像の色みや耐光性、更には、記録液(染料インク)に対する吸収性が悪くなることがある。
【0074】
なお、本発明においてインク受容層中の多価金属イオン濃度は、下記式により求められる。
【0075】
多価金属イオン濃度(mol/L)=W×V
上式中のWおよびVは、インク受容層1gあたりの多価金属イオン含有量(mmol/g)およびインク受容層1g中の空隙容積(mL/g)をそれぞれ表す。
【0076】
上記Wは、印刷媒体よりインク受容層を適宜取り出した後、蛍光X線測定装置などを用いて測定できる。またVは、印刷媒体上の単位面積あたりのインク受容層体積(V(ml/m))、印刷媒体上の単位面積あたりのインク受容層質量(H(g/m))、およびインク受容層の真密度(D1(ml/g))から、V=V/H−Dとして求められる。インク受容層の真密度は、印刷媒体よりインク受容層を適宜取り出した後、例えば乾式自動密度計((株)島津製作所製;アキュピック1330)などにより測定できる。
【0077】
本発明の実施形態においてインク受容層に含有させる多価金属イオンとしては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、イットリウム、ランタン、セリウムなどの希土類金属、ジルコニウムなどの遷移金属等の多価イオンがあげられ、被覆層形成用の液体組成物中の高分子を不溶化させうるものであれば良い。これらの多価金属イオンから選択した少なくとも1種を用いることができる。
【0078】
インク受容層への多価金属イオンの添加方法としては、作製した印刷媒体に所望の多価金属イオン濃度となるように水溶性多価金属塩の水溶液を塗工する方法や、インク受容層を形成するための塗工液中にあらかじめ所望の多価金属イオン濃度となるように金属塩を添加しておき、基材上に塗工液を塗付乾燥してインク受容層を形成する方法等があげられる。
【0079】
また、印刷媒体は、後述されるように、ヘッドからの吐出によって着弾した液体組成物が一定の滴形状を有して不溶化する程度の吸収性であることが望ましい。例えば、極端に液体組成物の吸収性が劣り、着弾した直後に液体組成物が印刷媒体上に広がってしまう場合は、好ましくないといえる。
【0080】
次に、本発明の実施形態で用いることができる印刷液としてのインクについて説明する。
【0081】
本発明の実施形態では、インクに含まれる色材の成分それ自体は公知のものでよく、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等に代表される水溶性染料がある。このような水溶性染料は、インク中において一般には約0.1〜20重量%を占める割合で使用されている。
【0082】
インクに使用する溶媒は、水または水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であり、前述した被覆層形成用の液体組成物にあげたものが好適なものとして使用される。インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインクの全重量に対して重量%で0〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲である。
【0083】
また、インクは上記の成分の外に必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防カビ剤、防錆剤等を含むこともできる。
【0084】
図4(a)および(b)は、本発明の実施形態に係わる印刷物製造装置としてのインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。
【0085】
図4(a)に示すプリンタは、いわゆるシリアルタイプのものであり、キャリッジ2には、インクおよび上述の液体組成物を貯留するそれぞれのタンクとこれらのインクおよび液体組成物を吐出するためのそれぞれのヘッドが搭載され、このキャリッジ2が軸3に案内されて付図示の駆動機構により、同図中矢印A方向に移動することによって各ヘッドの走査が行われる。そして、この走査でそれぞれのヘッドから上述した用紙などの印刷媒体5に対してインクまたは液体組成物が吐出され、また、この走査の後、印刷媒体5は同図中矢印B方向に所定量搬送される。この走査と印刷媒体搬送とを繰り返すことにより、例えば印刷媒体の1頁に印刷データに基づいた印刷が行われる。本実施形態では、インクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)およびマゼンタ、シアンについてそれぞれ染料濃度の薄いライトマゼンタ(LM)およびライトシアン(LC)の6種類のインクを用いる。このため、これらのインクに応じて6つのインクタンクおよびヘッドが用いられる。液体組成物は、1種類であり、液体組成物タンクおよびヘッドはそれぞれ1つが用いられる。
【0086】
図4(b)は、キャリッジ2に搭載される各ヘッドを印刷媒体側から見た概略図である。同図は、6つのインクヘッドと液体組成物ヘッドが所定の部材で相互に接続された一体の構造を示している。しかし、この形態に限られないことはもちろんであり、個々のヘッドがキャリッジに対して個別に着脱できる構造であってもよい。
【0087】
図4(b)において、符号8で示す6本の線は、それぞれのヘッドにおけるインク吐出口の列を表しており、それぞれの列は例えば256個の吐出口によって形成されている。一方、液体組成物のヘッドは、インクヘッドと同じ256個の吐出口からなる吐出口列9を備え、この液体組成物ヘッドは、6つのインクヘッドに対し印刷媒体の搬送方向Bに関してずれた位置に設けられる。
【0088】
上記のずれ量は、本実施形態の場合、各吐出口列における吐出口配列ピッチの1ピッチ分である。すなわち、同図において、インクヘッドの各吐出口列の最下端の吐出口と液体組成物ヘッドの吐出口列の最上端の吐出口とは1ピッチ分の距離である。一方、本実施形態のプリンタは、各インクのヘッドについて最大4パスのマルチパス印刷を行うことが可能なものである。このマルチパス印刷は、例えば4パスの場合、各インクヘッドの吐出口列を4等分した幅の走査領域ごとにそれぞれの分割された吐出口列を用いて印刷を完成させて行くものであり、この幅に対応した量の印刷媒体搬送とインクヘッドの走査を繰り返すことにより印刷を行なう。このようなマルチパス印刷によれば、各吐出口に対応した走査方向のそれぞれのインクドットのライン(ラスター)は複数回の走査でそれぞれ異なる吐出口から吐出されたインクによって形成されることになる。このため、ある画像を印刷するときのデータはその画像を印刷する複数回の走査相互で相補的なものであり、例えば、4パス印刷では4つの分割された相補的なデータとなる。一般には、これらのデータはマスク処理によって生成される。
【0089】
そして、液体組成物ヘッドは、図5以降で後述されるように、本発明の実施形態では、1パスの印刷、あるいは2パスまたは4パスのマルチパス印刷と同様の動作を行ない、液体組成物を吐出して印刷媒体上にポリマーの不溶化層を形成する。例えば、4パス動作を行うときは、全くインクヘッドと同様の動作となり、印刷媒体5が上記4等分した幅に応じた量で搬送されるのに伴い、吐出口列9を4等分した吐出口列が順次印刷媒体の各4等分の幅の領域に対応して行き、液体組成物吐出によるそれぞれの領域の層形成が完成する。また、1パスの場合は、例えば、インクヘッドの4パス印刷を行う走査のうち、4等分した4つの領域を1度に走査できる1回の走査で吐出口列9の全ての吐出口を用いて液体組成物の吐出を行い、それらの領域の層形成を行なう。2パス動作を行うときは、例えば、インクヘッドの4パス印刷を行う走査のうち、上記4等分した領域の2つの領域づつそれらを1度に走査できる1回の走査で、吐出口列9の半分の吐出口を用い、また、その用いる半分の吐出口を異ならせて液体組成物の吐出を行いそれらの領域の層形成を行なう。
【0090】
なお、本発明の実施形態のインクヘッドおよび液体組成物ヘッドは、吐出ヒータが発生する熱エネルギーを利用してインクまたは液体組成物に気泡を生じさせ、その気泡の圧力によって吐出口からインクまたは液体組成物を吐出する方式のものである。しかし、吐出方式はこれに限られないことはもちろんであり、ピエゾ方式等、印刷媒体に液体組成物を液滴として付与できる方式であればどのような方式であってもよい。
【0091】
また、一般には、インクおよび液体組成物のデータをパーソナルコンピュータなどのホスト装置が生成し、そのデータをプリンタへ転送して図5以降にて後述される各実施形態の印刷動作が実行される。この場合、データを受けとりそれに基づいて動作するプリンタ自体、また、データの生成および転送を含み、プリンタとこの生成等を行なうホスト装置からなるシステムは、少なくとも上記各実施形態の印刷動作を実行する構成を有することによりそれぞれ印刷物製造装置の一形態である。また、この印刷物製造装置の形態は、予め画像が印刷された印刷媒体に上記各実施形態の印刷動作における不溶化層の形成のみを行ない光沢等の制御を行なうことにより、光沢度などが調整された最終的な印刷物を製造する装置をも含む。例えば、液体組成物のヘッドのみを備え、図5等で後述される液体組成物の吐出動作を行なう装置も印刷物製造装置の一形態に含まれる。また、プリンタ等の印刷装置が印刷データおよび液体組成物データをホスト装置から受け取ることなく、メモリ媒体の装着などによって印刷データを直接入力し、これに基づいて液体組成物データの生成等を行なうとともに上記各実施形態の印刷動作を行なう形態も印刷物製造装置の一形態である。この場合、印刷装置におけるCPU等を有したデータ処理および制御の構成によって上記処理が行なわれることはもちろんである。
【0092】
(第1実施形態)
本発明の実施形態で用いる上述の液体組成物は、印刷媒体に着弾すると印刷媒体の酸により比較滴短い時間で不溶化するものであるが、図4に示した本発明の実施形態のプリンタにおいて、液体組成物ヘッドの一回の走査で吐出された液体組成物はそれらが印刷媒体上で接触すると完全に一体化し、その不溶化によってほぼ平坦な層を形成する。換言すれば、本発明の実施形態では、異なる走査で吐出された液体組成物はその時間差によって前の走査で吐出された液体組成物は既に不溶化が始まっており、それらが相互に接触しても一体化の度合いは小さくなる。従って、完全には一体化せず、それぞれの液滴の形状をある程度残したまま不溶化する。本発明の実施形態では、このような液体組成物の液滴の一体化の程度を制御することを介してそれらによって形成される層の表面状態を定め、印刷画像の光沢度およびヘイズを制御するものである。
【0093】
なお、このようなメカニズムでは、吐出により印刷媒体上に付与される液体組成物の液滴のサイズはその形状(曲率等)を定める要因であり、結果として、光沢度などを定める要因となる。従って、装置等のシステムごとに、その設定される所望の光沢度などを得るべく、液体組成物の吐出解像度および吐出量が適切に定められる。本実施形態では、解像度は1200dpi、吐出量は4.45ngであり、以下で示される光沢度等は、この解像度等による液滴サイズによってそれぞれ実現されるものである。
【0094】
図5(b)〜(d)は、液体組成物の付与方法を説明する図であり、1パス動作、および2パスまたは4パスのマルチパス動作で液体組成物を吐出したときの、それによる不溶化層(コート層)および反射光の様子を模式的に示す図である。同図(a)は、コート層が形成される前の印刷媒体の表面状態およびそれによる反射を示しており、印刷媒体の表層をなすインク受容層が凹凸の不規則な表面状態であることから、乱反射が多くなり光沢度は小さくなることを示している。
【0095】
これに対し、1パス動作によりコート層を形成する場合、図4に示した液体組成物ヘッドの吐出口列9の全ての吐出口を用い、層形成が必要なある大きさの部位に一回の走査で液体組成物の吐出を行なう。これにより、図5(b)に示すように、この一回の走査で印刷媒体上に着弾した液体組成物の個々の液滴は、上記部位の輪郭部を除いて隣接する吐出位置の全てに液体組成物の液滴が存在し、これにより、全ての隣接する液滴と連結して一体化することができ、平坦なコート層を形成する。なお、本明細書で「一体化」とは、印刷媒体上でほぼ球形の液滴がその形状を消失して個々の液滴が識別できないときを、完全に一体化したといい、換言すれば、その残存する形状に応じて一体化の程度が判別されるものである。
【0096】
図5(b)に示す完全な一体化の結果、表面状態はほぼ平坦になり、正反射光の量が多くなり、光沢度が大きくなる。
【0097】
図5(c)は、2パス動作により液体組成物を吐出する場合を示している。この場合は、図4(b)にて説明したように、液体組成物を吐出すべき領域は、2回の走査で相補的なデータによって液体組成物の吐出が行なわれる。従って、最初の走査で印刷媒体に着弾した液滴には、その隣接する吐出位置に液滴が存在しない液滴がある。このため、最初の走査で吐出された液体組成物は、用いるマスクパターンによってその程度は異なるものの連結する液体組成物の液滴が1パスの場合より少なく、このために完全な一体化が行なわれずに2回目の走査までに不溶化が始まる。また、2回目の走査では一回目の走査で吐出されなかった位置に吐出がなされるが、同様に完全な一体化は行なわれずに不溶化する。このように、個々の液滴は最初の形状をある程度残したまま不溶化することから、コート層は凹凸が多い表面状態となる。そして、この凹凸が多い表面は、乱反射の量が増して正反射量が減り光沢度が小さくなる。また、ヘイズは、前述したように、上記表面状態に応じた値となる。
【0098】
図5(d)は、4パス動作によるコート層の形成等を示しており、この場合も2パス動作と同様にコート層は一定の凹凸もしくは粗さを有した表面状態となる。4パス動作の場合は、各走査で吐出される液体組成物の液滴は、隣接して連結する液滴が2パスの場合よりさらに少なくなる。このため、より凹凸が多く乱反射量が増し、光沢度は小さくなる。加えて、一回の走査の着弾する液滴の密度がより低くなるため、液滴単位での溶剤成分の吸収や水分の蒸発が早くなり、より着弾直後の半球状に近い液滴形状を維持した層となる。そして、この場合も、ヘイズ値はその表面状態に応じた値となる。
【0099】
また、上記の4パス動作のように着弾する液滴の密度が低くなって不溶化の速度が増すと、形成された層の内部に各液滴の境界が擬似的な界面として観察される場合がある。この擬似界面は層表面の乱反射の量を増すものであり、このような擬似界面が観察される場合は、さらに光沢度が低下することになる。
【0100】
以上のように、1パスの場合を含み、マルチパスのパス数を変更することによって、コート層の表面状態を変化させて光沢度およびヘイズを制御することが可能となる。
【0101】
本発明の実施形態では、上記のパス数の変更に加え、液体組成物の付与方法として、さらにマルチパス動作で用いるマスクのクラスタサイズを変更する。これにより、光沢度およびヘイズをより細かに制御することができる。すなわち、パス数のみを変える場合は光沢度やヘイズが比較的大きく変化するため、光沢感が段階的に大きく変わる画像を形成する場合はよいが、ある程度光沢感が連続的に変化する画像を形成する場合は、さらに細かく光沢度およびヘイズを制御すべく、さらにマスクのクラスタサイズを変更し、そのサイズに応じて1回の走査で着弾する液滴が予め連結するようにし、その連結する個数を変更するようにするものである。
【0102】
図6(a)〜(c)は、マスクのクラスタサイズの違いにより光沢度が異なることを説明する図である。同図(a)〜(c)は、図5(c)にて説明した2パス動作の場合に、そのマスクのクラスタサイズを異ならせた場合の三例を示す図である。ここで、マスクのクラスタサイズとは、マスク処理の最小単位のサイズであり、1つのデータもしくは1つの吐出液滴が対応づけられる画素の数によって表すことができる。
【0103】
図6(a)は、2パス動作用マスクにおいて、クラスタサイズが1×1の場合を示している。同図左側にはマスクパターンが模式的に示され、このパターンは1回の走査分のものを示しており、2回目のものはこのパターンと相補的になることはもちろんである。図6(b)および(c)に示すクラスタサイズが2×2、および4×4の場合も同様である。また、マスクパターンは、2パス用のものはそれぞれ50%の吐出デューティーのものであり、4パス用の4つのマスクパターンは、同様に等分割した25%吐出デューティーのものである。
【0104】
クラスタサイズが1×1の場合、マスク処理によって得られる液体組成物の吐出データに基づいて印刷媒体に着弾する液滴は、基本的に1個であり(マスクパターンによっては、同図に示すパターンのように数個の液滴が連結することもあるが)、不溶化した後に残る液滴の形状がより1個の液滴の形状に近いものとなる。
【0105】
これに対し、図6(b)および(c)は、2パス動作のマスクにおいてクラスタサイズが2×2、および4×4の場合をそれぞれ示している。この場合、基本的に、それぞれ4個および16個の画素に対応した4個および16個の液滴が着弾して一つの液滴となった形状で不溶化する。このため、不溶化したときに残る形状は凹凸の一つ一つが大きなものとなり、クラスタサイズが大きいほどこの凹凸は大きくなる。そして、この凹凸が大きくなるほど乱反射量が増えて光沢度は低くなる。なお、ヘイズがこの凹凸の状態に応じた値をとることは上述したとおりである。
【0106】
なお、本発明の実施形態では、このクラスタサイズの変更による光沢度等が変化する範囲は、図5にて説明したパス数の変更による光沢度等の変化より小さく設計されている。
【0107】
図7は、本発明の第1実施形態に係わる光沢度等の制御において、パス数と用いるマスクのクラスタサイズの組合せに応じて、多段階に変化する光沢度およびヘイズを示す図である。なお、図に示す例は、光沢度の測定角度は20°である。
【0108】
本実施形態の制御では、パス数が増すほど光沢度が低下するとともに、同じパス数でもクラスタサイズが大きくなると光沢度が低くなる。そして、ヘイズはそのときの表面状態に応じた値となる。換言すれば、本実施形態の印刷システムで用いる光沢度およびヘイズの複数の組を実現するようなパス数およびクラスタサイズを予め調べ、それらのパス数およびクラスタサイズを制御パラメータとして設定する。
【0109】
同図に示すように、本実施形態では、1パス、2パスのクラスタサイズが1×1、2×2、4×4、および4パスのクラスタサイズが1×1、2×2、4×4の7通りのパス数およびクラスタサイズの組合せを設定可能であり、例えば、画像データごとに設定されている組合せ情報に基づきその画像に対する液体組成物の吐出を行なって不溶化層を形成することができる。これにより、印刷画像において所望の光沢度およびヘイズを得ることが可能となる。
【0110】
図8は、本実施形態による光沢度およびヘイズ制御の具体例を説明する図である。
【0111】
同図に示す例は、デジタルカメラで撮像した画像をアルバム形式で印刷する場合を示している。例えば、まず、パーソナルコンピュータ(PC)上でフォトアルバム作成アプリケーションなどを用いて撮像した画像を写真とし、また、コメント文や写真を撮影した日付を入力してこれらをレイアウトする。そして、このように作成されたPC上の画像データに基づいて、例えば、PC上のプリンタドライバを用いて印刷データ(インク吐出データ)と液体組成物の吐出データを作成する。この際、ユーザは、例えば、写真、コメント、日付、台紙ごとに、図7に示したパス数とクラスタサイズの組合わせあるいはこれらの組合せに対応した複数の光沢度およびヘイズ値の組合せの情報を設定する。図に示す例では、写真は光沢度を高くすべく1パス、コメントおよび日付は2パスでクラスタサイズが1×1、台紙がそれほど光沢度を必要とせず4パスでクラスタサイズが4×4にそれぞれ設定されている。
【0112】
プリンタドライバは、例えばPDL形態のデータにより各画像の種類ごとにそれらの位置を検知し、画像の種類ごとに上記のように設定されている情報に基づき、設定されているパス数およびクラスタサイズに対応したマスクを用いて液体組成物の吐出データを、走査ごとの液体組成物用ヘッドの吐出データとして作成する。そして、この作成した液体組成物の吐出データを印刷データとともに、走査ごとに本実施形態のプリンタに送り、図8に示す画像を印刷することができる。なお、各ヘッドの走査方向に例えば写真と台紙が混在し、それによって異なるパス数が混在するときは、少ないパス数のヘッドのデータをその分、所定の走査回では非吐出のデータとすることはもちろんである。
【0113】
なお、上記組合せ情報は、画像データごとに予め設定する形態の他、例えば、画像データが有する輝度データに基づき、上記組合せの中から適切な組合せを選んでもよい。
【0114】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、高い光沢度を施す形態であり、光沢度およびヘイズの調整を液体組成物の液滴の吐出デューティーによって行なうものである。図9(a)〜(d)は、本実施形態の液体組成物吐出方法の一例を示す図である。
【0115】
これらの図に示すように、本実施形態では、全ての吐出口を用い1パス(1回目の走査)で、すなわち、吐出デューティーが100%で液体組成物を吐出し、光沢度の高い層を形成する。そして、2パス目は吐出デューティーを異ならせることにより、光沢度およびヘイズを調整する。図9(a)〜(d)は、この順に、2パス目の吐出デューティーが0%、80%、70%、60%の場合を示している。ここで、吐出デューティーとは、書定領域、例えば1走査領域全体の画素に対して液体組成物が吐出される割合として表すことができ、全ての画素に1液滴づつ吐出されるときは100%デューティーということができる。
【0116】
同図(a)は、1回の走査(1パス目)でコート層を完成させる。これにより、図5(b)にて説明したように、平坦な層を得ることができ、高い光沢度約99.5を実現できる。そして、2パス目は液体組成物の吐出を行なわない(0%デューティー)ため、上記の高い光沢度を得ることができる。
【0117】
図9(b)〜(d)にそれぞれに示す場合は、画像データに合わせて光沢度を低下させたい部位に、その光沢度に対応した吐出デューティーで2走査(2パス)目の液体組成物吐出を行なう。この場合、1パス目による層の上に形成される層は、吐出デューティーが高い場合は(例えば80%)、主に層が形成されない凹の部分が反射率の低下に寄与する。逆に、吐出デューティーが低い場合は(例えば60%)、層が形成されない凹の部分に加えて、層が形成される凸の部分も反射率の低下に寄与する。そして、基本的に、1パス目の層によって高い光沢度が実現されることから、上記凹または凸の数に応じた全体的な光沢度の低下は少ない。この結果、これらの図に示す光沢度制御では、いずれの場合も比較的高い光沢度を維持しつつ、光沢度を制御することが可能となる。なお、この調整のための液体組成物データは、所定の吐出デューティーが得られるようにその吐出データを、例えばマスクを用いて生成することができる。
【0118】
また、この層形成は、特にガスバリア性の点で優れたものである。すなわち、1回目の走査でコート層を完成することから、印刷媒体におけるそのコート部位では印刷媒体上の画像を覆うことができ、オゾンなどの気体から印刷画像をほぼ完全に密閉することができる。これに対し、例えば、1パスでなく、図5(c)または(d)にて説明したようなマルチパスによってコート層を形成する場合は、各パスで形成される層の間に微小な隙間ができる場合があり、この場合は気体に対する密閉性は低下することになる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態では、パス数は変えずに液体組成物の打ち方のみを変えることによっても光沢度およびヘイズを多段階に変えるものである。図10は、本実施形態で設定可能な光沢度およびヘイズを示す図であり、図9(a)〜(d)に示した層形成方法を用いたものである。本実施形態の場合も、液体組成物の吐出の解像度は1200dpi、吐出量は4.45ngであり、図10に示される光沢度等は、この解像度等による液滴サイズによってそれぞれ実現されるものである。
【0120】
図10において、光沢度の高いほうから4つの層形成方法は、図9(a)〜(d)にこの順で対応するものである。この場合、ヘイズ値は、比較的小さなものとなりにごりのない光沢感の高い印刷物となる。
このように、2パスで液体組成物を付与する際の2パス目の吐出デューティーを制御することを介して光沢度およびヘイズを多段階に制御することができる。
【0121】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態は、上記第2実施形態に示した隣り合う液滴の数を増す代りにより大きなサイズの液体組成物の液滴を用いるものである。すなわち、サイズのより大きな液滴を用いる場合も、それが着弾して不溶化すると残存する形状によって形成される表面の状態は凹凸が大きなものとなり、光沢度を下げることができる。
【0122】
液滴サイズを変える構成は、一例として、吐出口のサイズを変えたり、あるいは熱エネルギーを発生する素子の数を変えることにより、吐出口ごとの吐出量を異ならせるものがある。そして、設定される光沢度に応じて液体組成物を吐出する吐出口を選択する。なお、上記第2実施形態にて説明した隣り合う液滴数を制御する構成を併せて用いることによりさらに細かな光沢度等の制御が可能となる。
【0123】
なお、液滴サイズを変える技術は上記の例に限られるものではなく、例えばピエゾ素子を利用したインクジェット方式であれば、素子の振動タイミングとノズル構造の固有振動数の相互作用を制御することにより吐出量を多段階に変えることができる。また、本実施形態で用いる熱エネルギーによる発泡方式では、気体の生成の速度等が液体の温度にも依存することから、液体組成物の温度を制御して吐出量を変えることもできる。
【0124】
(第4実施形態)
図11(a)〜(c)は本発明の第4実施形態を説明する図である。本実施形態は同図(c)に示すように、液体組成物を吐出するための吐出口列を2本(吐出口列A、B)備えたヘッドを用いるものである。この2列の吐出口それぞれの吐出量は同じであってもよく、また、異なっていてもよい。以下では、吐出量が同じ場合について説明する。
【0125】
本実施形態は、同じ液体組成物吐出データから吐出口列A、Bそれぞれの吐出データを重複して生成し、これに基づき2回の走査で液体組成物を重ねて吐出する。そして、この液体組成物吐出データの生成に際して、用いるマスクを異ならせることにより、光沢度を異ならせるものである。
【0126】
図11(a)および(b)は、マスクの違いによって2回の走査で吐出される液体組成物の重なり方の違いを説明する図であり、この重なりかたの違いによって光沢度が異なることになる。なお、図において、AおよびBの横に付された数字の1、2は何回目の走査であるかを示している。
【0127】
同図(a)に示す重なり方は、2パスの走査それぞれの吐出データ生成のためのマスクが、吐出口列A、Bについて同じである場合に対応する。このようにそれぞれ走査で2つの吐出口列について同一のマスクを使用すると、同図に示すように、各走査で吐出口A、Bから吐出された液体組成物は重なる。すなわち、同一走査で吐出口列Aの吐出口と吐出口列Bの吐出口から吐出された液体組成物の液滴は印刷媒体上で同一箇所に吐出されて重なり一体化したものが不溶化する。その後、2回目の走査では、上記と相補的なマスクを用いることから、同様に重なる吐出が行なわれる。すなわち、1回目の吐出で吐出されていない箇所に吐出口列Aの吐出口と吐出口列Bの吐出口から吐出された液体組成物が重なって吐出されて不溶化する。
【0128】
このようにそれぞれの走査で同じマスクを用いる場合、光沢度の特性は、基本的に第1実施形態で説明した2パスの場合と同じであるが、一回の走査で被覆される個所の液体組成物の量は比較的多くなることから、1走査目で覆う領域が大きくなり、その分光沢度が増す傾向にある。
【0129】
図11(b)は、各走査の吐出データ生成において、それぞれの吐出口列について相互に相補的な(マスクデータが反転した)マスクを用いた場合を示している。この場合は、同一の走査で吐出口列Aの吐出口から吐出された液滴と吐出口列Bの吐出口から吐出された液滴が補完関係にあるため、液滴は完全に一体化し平坦な層を形成できる。これは2パス目も同様であるため、1パス目に作成された層の上にさらに平坦な一層を形成することになる。この場合の光沢度は極めて高くなる。
【0130】
図12は、以上説明した層形成方法を用いた本実施形態の光沢度等の制御で設定可能な光沢度等を示す図である。
【0131】
図において、一番高い光沢度として設定されるのは、図11(b)で説明した各走査で2つの吐出口列についてマスクを反転する場合である。この場合は、2回の走査のそれぞれで吐出される液滴はほぼ完全に一体化し、これにより、平滑な不溶化層を形成して光沢度を極めて高いものとすることができる。なお、本実施形態では、液体組成物の解像度は1200dpi、吐出量は4.45ngであり、図12に示される光沢度等は、この解像度等による液滴サイズによってそれぞれ実現されるものである。
【0132】
図12において、次に高い光沢度は、図11(a)で説明した各走査で同じマスクを用いる方法において、1パス目と2パス目の被覆率の比(マスクのデューティー)を50:50としたものである。この場合、吐出口列の2列分の吐出量が同一走査で吐出されるため、印刷媒体上での着弾単位での余剰液体組成物が多くなる。このため、2パス目に液体組成物が吐出される時点では1パス目で着弾にした液滴が十分に不溶化されておらずある程度の一体化を生じ、一定の光沢度の増加がある。図12において、光沢度が3番目から5番目の層形成は、1パス目の被覆率が2パス目より大きい範囲で1パス目の被覆率を増していったものである。このように1パス目の被覆率の方を大きくすると、2パス目に被覆される個所が孤立点(他の液滴と連結できない点)になることが多くなる。そのため、パス間の着弾精度なども考慮すると孤立点近傍の表面粗さは比較的大きいものとなる。その結果、1パス目の被覆率が増すほど光沢度が低下していると考えられる。
【0133】
図12において、6番目〜8番目の光沢度は、2パス目の被覆率が1パス目より大きい範囲で2パス目の被覆率を増していったものである。1パス目の被覆率が50%より低い場合は、1パス目において上記の孤立点が多くなる。吐出口の2列分の吐出量が同一走査で吐出されているため印刷媒体上での着弾単位での余剰液体組成物が多くなるが、孤立したところでは液体組成物の吸収速度や蒸発速度が早いため2パス目までには十分に不溶化する。従って、このような孤立点が多くなるほど光沢度が低下し、1パス目と2パス目の被覆率の比が、30:70から20:80になると光沢度が低下する。しかし、この被覆率の比が10:90までになると、2パス目の被覆量が多くなることから、被覆率の比が90:10の場合との差がなくなり比較的近い光沢度となる。このように本発明の第4実施形態においても、光沢度を多段階に制御することができる。
【0134】
(第5実施形態)
本実施形態は、第4実施形態と同様に図11(c)に示すような2列の吐出口列より液体組成物が吐出できる構成であって、同じ液体組成物吐出データから吐出口列A、Bそれぞれの吐出データを重複して生成し、これに基づき1回の走査で液体組成物を重ねて吐出するものである。
【0135】
本実施形態では、これまでの第1〜4実施形態と異なり液体組成物の不溶化が非常に早く起こることを特徴としている。
【0136】
具体的には、吐出口列A、B間距離と走査速度より決定付けられる各々のノズル列より吐出された液体組成物が印刷媒体上に着弾する時間差より早く不溶化し始めるよう液体組成物を調整し、第1〜4実施形態で走査回数を変えることによって起きていた膜質変化が、前記時間差により起こるようにするものである。
【0137】
(第6実施形態)
図13(a)〜(c)は、本発明の第6の実施形態に係わる液体組成物吐出方法を説明する図である。本実施形態は、基本とする印刷方法がインターレース印刷であり、液体組成物もこの方法で吐出するものである。
【0138】
インタレース印刷では、隣接するラスター(走査方向のドットライン)が別の走査で形成される。この場合、光沢度を上げるには、液体組成物の液滴ができるだけ一体化できるよう、液体組成物の不溶化に要する時間が少なくとも数スキャン(走査)かかることが望ましい。また、そのためには液体組成物は印刷媒体に吸収されにくいものとしたほうがよい。
【0139】
図13(a)は、全てのラスターについて同じ吐出量の液体組成物を吐出して不溶化層を形成する場合を示している。上述のようなインク物性またはこれと印刷媒体の吸収特性であれば、液滴の一体化と液滴自体に形状または大きさの差がないことより、極めて平滑度の高い表面を得ることができる。
【0140】
図13(b)は、複数のラスターに吐出量が小さい走査が含まれる場合を示している。この場合、不溶化に要する時間が数スキャン分であって一体化が促進されても、ある程度は着弾時の液滴の形状が残り、これにより、走査方向に直線的なくぼみが形成され光沢度は若干落ちる。しかし、そのくぼみのピッチは極めて細かなため肉眼で見る限りではくぼみを認識し難いものといえる。
【0141】
図13(c)は、複数のラスターを吐出量が3種類の走査で形成した場合を示している。この場合も上記の同図(b)の場合と同様、くぼみは形成されて一定の光沢度の低下があるが、それによるスジは同様に認識し難いものである。
【0142】
さらに図14は、同様なインターレース印刷において、一回の走査において複数のサイズの液体組成物の液滴を吐出する例を示している。この場合も一体化はするものの、ある程度元の液滴の形状もしくは大きさを残し、不溶化層の表面は凹凸が多くなり光沢度は低下する。このように一回の走査における吐出量変調と変調割合を制御することによっても、多段階の光沢度制御が可能となる。
【0143】
以上、第1実施形態から第6実施形態では、印刷媒体上の酸によって液体組成物中の高分子を不溶化させることにより固液分離させ、溶媒成分のみを印刷媒体中に吸収させて、印刷媒体上に不溶化した固体層を形成する例について説明したが、不溶化層の形成はこれに限定されるものではない。例えば、液体組成物内に光硬化型樹脂を分散させ吐出後に光を照射して硬化層を形成する構成でもよく、また、液体組成物内に熱硬化型樹脂を分散し吐出後に加熱するものや、液体組成物内の樹脂成分がインクと接触したときに固液分離を起こすような反応形態であってもよい。
【0144】
また、印刷装置の形態としてインク吐出口と液体組成物吐出口が一体となっているインクジェットヘッドを用いたシリアルインクジェットプリンタを例に挙げたが、本発明が適用できる範囲であればこの構成に限定されるものではない。例えば,インク用と液体組成物用のヘッドが個別であってもよく、また、シリアルインクジェットプリンタでなくキャリッジ走査を必要としないフルラインヘッドを有するインクジェットプリンタであっても形態によっては用いることができる。
【0145】
以上説明した各実施形態によれば、印刷物の光沢度およびヘイズを良好に制御できる他、印刷画像のガスバリア性の向上に資することもできる。図9にて前述したように、同図に示す例が特にガスバリア性に優れるが、他の実施形態であっても、印刷画像の面を不溶化層によって覆うことにより印刷画像に対して一定のガスバリア性を発揮できる。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、印刷媒体の面に所定の液滴を付与して層を形成することにより、例えば印刷媒体に印刷された画像の光沢度を複数段階に変更するので、層形成に際する液滴の付与の仕方を変えるだけで光沢度を複数段階に変更することができる。
【0147】
また、他の形態によれば、印刷媒体の面に所定の液滴を付与して層を形成する場合に、層形成において付与する複数の上記所定の液滴の一体化の程度を制御して光沢度を変更するので、液滴を付与する際に印刷媒体に付与された複数の液滴が連結して一体となるときの、その形状および大きさを定めることができ、これにより、層表面の凹凸もしくは粗さを制御して光沢度を変更することができる。
【0148】
また、上記において、インクジェトヘッドを用い、このヘッドを走査させて所定の液滴を吐出して層を形成するに際して、走査の回数や各走査のデータを変えることによって、光沢度の変更が可能となる。
【0149】
さらに、印刷媒体の画像が印刷された面に上記の層が形成されることにより、画像を大気に対して密閉することもできる。
【0150】
この結果、印刷物において、簡易な構成で複数段階の光沢感を表現でき、併せて画像保存性を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、光沢度とヘイズを説明する図である。
【図2】上記光沢度とヘイズとの関係を示す図である。
【図3】本発明の実施形態で用いる液体組成物の固化に至る反応のメカニズムを説明する図である。
【図4】 (a)および(b)は、本発明の実施形態に係わる印刷物製造装置としてのインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。
【図5】 (a)〜(d)は、1パス動作、および2パスまたは4パスのマルチパス動作で液体組成物を吐出したときの、それによる不溶化層および反射光の様子を模式的に示す図である。
【図6】 (a)〜(c)は、マスクのクラスタサイズの違いにより光沢度が異なることを説明する図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係わる光沢度等の制御において、パス数と用いるマスクのクラスタサイズの組合せに応じて、多段階に変化する光沢度およびヘイズを示す図である。
【図8】本発明の実施形態による光沢度およびヘイズ制御の具体例を説明する図である。
【図9】 (a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態による液体組成物吐出方法の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態で設定可能な光沢度およびヘイズを示す図である。
【図11】 (a)〜(c)は本発明の第4実施形態を説明する図である。
【図12】図11にて説明した層形成方法を用いた光沢度等の制御で設定可能な光沢度等を示す図である。
【図13】 (a)〜(c)は、本発明の第6の実施形態に係わる液体組成物吐出方法を説明する図である。
【図14】図13に示す同様なインターレース印刷において、一回の走査において複数のサイズの液体組成物の液滴を吐出する例を示す図である。
【符号の説明】
2 キャリッジ
3 ガイド軸
5 印刷媒体
8 インク吐出口列
9 液体組成物吐出口列

Claims (13)

  1. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
    印刷媒体に対し所定の液滴を付与して前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、
    前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造方法。
  2. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
    所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体に対して走査させながら前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記層の形成に要する走査の回数を異ならせることにより、前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、
    前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造方法。
  3. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
    所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体の同一領域に対して複数回走査させるとともに前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記複数回の走査で用いられる相補的なマスクを異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成するステップを有し、
    前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造方法
  4. 前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれヘイズが異なることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  5. 前記所定の液滴は、水性媒体と、下記一般式で表される構造を有する高分子を含む液滴であり、前記印刷媒体の表面に付与されたとき当該高分子が不溶化することにより、前記印刷媒体の表面上にて当該液滴が固化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷物製造方法。
    式 −COOA
    (但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。)
  6. 前記印刷媒体は、前記高分子が不溶化する表面pHを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  7. 前記印刷媒体は、インク受容層中に前記高分子が不溶化する濃度の多価金属イオンを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  8. 前記層を形成するステップは、当該層が形成されるべき印刷媒体上の領域の全てに対し前記液滴を付与して第1の層を形成し、該第1の層上に前記所定の液滴を付与することにより、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  9. 前記層を形成するステップは、前記印刷媒体上の全ての領域に対し前記液滴を付与して第1の層を形成し、該第1の層上に前記所定の液滴を付与することにより、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  10. 前記層を形成するステップの前に、前記印刷媒体に対し色材を含有したインクを付与して印刷を行なうステップをさらに有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の印刷物製造方法。
  11. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、
    印刷媒体に対し所定の液滴を付与して前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、当該層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、
    前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造装置。
  12. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、
    所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体に対して走査させながら前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記層の形成に要する走査の回数を異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、
    前記表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造装置。
  13. 光沢度の異なる部分を有する印刷物を製造する印刷物製造装置であって、
    所定の液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドを前記印刷媒体の同一領域に対して複数回走査させるとともに前記所定の液滴を吐出することで前記印刷媒体の表面に層を形成するにあたり、前記複数回の走査で用いられる相補的なマスクを異ならせることにより前記層の表面状態を異ならせた複数の部分を形成する層形成手段を具え、
    前記層の表面状態を異ならせた複数の部分は、それぞれ光沢度が異なることを特徴とする印刷物製造装置。
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