JP2006336001A - インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録用顔料インクセット - Google Patents

インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録用顔料インクセット Download PDF

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Abstract

【課題】シアン顔料インクを用いて画像を形成した際に生じるブロンズ現象の発生を抑制し、シアン顔料インクを他の色の顔料インクとともに用い、複数の顔料インクで画像を形成した際に生じる画像の違和感を軽減することができるインクジェット記録用顔料インク、及び該インクを組み合わせてなるインクジェット記録用顔料インクセットの提供。
【解決手段】シアン顔料粒子及び水性媒体を含有するインクジェット記録用顔料インクにおいて、更に該シアン顔料粒子よりも高い屈折率を有する微粒子を含有するインクジェット記録用顔料インク、該インクを組み合わせてなるインクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録用顔料インクセットに関し、更に詳しくは、インクジェット記録において、ブロンズの発生が極めて少ない画像形成を実現する技術に関する。
近年、デジタルカメラやコンピューターの普及に伴い、画像データを紙等の記録媒体に記録するための記録技術が急速に普及している。これらの記録技術の究極の目標は、銀塩写真にどこまで近づけるかにあり、特に、色再現性・色濃度・質感・解像度・光沢性・耐候性等を銀塩写真に近づけることが開発の目標となっている。
記録技術には、電子写真方式やインクジェット方式、昇華型感熱転写方式等様々な方式があるが、特にインクジェット方式のプリンタは、比較的安価であり、モノクロ高速印刷から高画質カラー印刷まで幅広くこなせるという汎用性の高さから、近年急速に普及している。このインクジェット記録方法の技術革新はめざましく、写真画質の印刷に適した専用紙を用いることで、銀塩写真並みの高画質を出力することが可能なまでになっている。この際に使用される写真画質の印刷に適した専用紙としては、膨潤型記録媒体や空隙間型記録媒体のような、光沢型記録媒体が好ましく用いられている。
一方、インクジェット記録方法に用いられるインクは、色材が水性媒体に溶解している染料インクと、色材が水性媒体中に分散している顔料インクの2つに大別される。このうち染料インクは、水性媒体に溶解していることから、発色性がよく、彩度も高い傾向にあるため、写真画質の印刷に好ましく用いられている。しかし、染料インクによって形成された画像は、一般的に光やオゾン等のガスによる退色を起こしやすいため、看板やポスターのような、ある期間に渡って掲示を行う用途においては、画像の表面にラミネート処理等を施す必要があった。これに対し、顔料インクによって形成された画像は、一般的に光やオゾン等のガスによる退色が起こりにくいため、ポスター等の掲示物において好ましく用いられている。以前における顔料インクは、分散安定性の観点から粒径を大きくせざるを得ず、精緻な銀塩写真調の印刷には不向きなものであった。しかし、近年の分散技術の向上により、顔料の粒径を小さくすることが可能となり、銀塩写真調の印刷にも顔料インクを用いることが行われるようになった。
しかしながら、顔料インクを用いて前記した光沢型記録媒体に印字した場合、膨潤型記録媒体のように孔が開いていないか、或いは空隙間型記録媒体のように孔が開いていても、孔径と比較して色材である顔料粒子の粒径が大きいため、色材の大部分は記録媒体のインク吸収層内部に侵入できず、記録媒体表面に露出することになる。この結果、顔料インクによって形成された記録部分には、記録媒体に露出した色材によって新たな表面が形成されることとなる。
このとき、記録媒体に露出した色材によって、ブロンズが発生する。ブロンズとは、顔料を色材として用いた時に現れる特有の現象であり、色材の表面に生ずる顔料本来の色とは異なる色の光沢のことを言う。このブロンズの色相としては、通常は、顔料本来の色の余色が浮き出る。このことから、Blue→Red、Green→Violet、Red→Yellow、Yellow→Bluish Greenのようなブロンズが発現する。
このようなブロンズは、顔料粒子表面における光の選択的反射によって、反射光の中に顔料の吸収帯の波長成分の割合が大きくなる結果生じる現象である。このブロンズ現象は、特に、シアン顔料を用いた場合に顕著に現れる。このため、複数の色の顔料インクを用いて画像を形成した場合、シアン顔料インクが付与された領域だけが強いブロンズを発生するため、強い違和感を生じる。
こうしたブロンズを軽減するための手段として、画像面に透明フィルムをラミネートする方法が一般に知られている。しかし、この方法は、ラミネートの操作上、あまり薄いフィルムを用いることはできず、ある程度の厚みのあるフィルムを使用するので、得られた画像の厚みが厚くなるという問題があった。
又、ブロンズを軽減するための手段として、上記ラミネート方法に代えて種々の提案がなされている。例えば、支持体上にインク受理層を設けた記録媒体を用い、該インク受理層上に、顔料インクを透過し、熱可塑性樹脂を有する表面層を設け、該表面層を加熱することで可塑化して平滑にし、これによってブロンズ現象の発生を防止する方法が開示されている(特許文献1参照)。又、熱可塑性樹脂微粒子を含有する記録媒体を用い、該記録媒体に顔料インクを付与した後、加熱及び加圧を同時に行うことにより、上記熱可塑性樹脂層を透明化する方法が開示されている(特許文献2参照)。
更に、支持体上に、硬化して樹脂になり得る放射線硬化性化合物を含有した層を剥離可能に設けてなる保護層付与材料を用い、画像表面に上記層を転写し、放射線で硬化して、画像表面に保護層を形成する画像記録済材料の作成方法が開示されている(特許文献3参照)。この方法によれば、保護層が薄くてもブロンズ現象の発生を低減させることができ、比較的低コストでブロンズ現象を抑制することができる。
特開2001−205918公報 特開2002−178651公報 特開2002−254795公報
以上、述べてきたように、ブロンズ現象の発生を低減して画像の品位を改善する手段として、画像表面に後処理を行う方法が数々提案されている。しかし、何れの方法を用いても、画像表面に、画像面とは異なる新たな層を形成することになるため、当初の画像表面の風合いが失われたり、本来必要のない部分にまで、不要な光沢が発生してしまうということがあった。又、後処理行程を設けることによる装置の複雑化やコストアップをもたらすという課題が生じていた。
従って、本発明の目的は、シアン顔料インクを用いて画像を形成した際に生じるブロンズ現象の発生を抑制し、シアン顔料インクを他の色の顔料インクとともに用い、複数の顔料インクで画像を形成した際に生じる画像の違和感を軽減することができるインクジェット記録用顔料インク、及び該インクを組み合わせてなるインクジェット記録用顔料インクセットを提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、シアン顔料粒子及び水性媒体を含有するインクジェット記録用顔料インクにおいて、更に該シアン顔料粒子よりも高い屈折率を有する微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録用顔料インクである。
又、本発明の別の形態は、シアン顔料粒子及び水性媒体を含有するシアン顔料インクと、該シアン顔料インク中の顔料とは異なる色の顔料と水性媒体とを含有する少なくとも1種の顔料インクとを有するインクジェット記録用顔料インクセットにおいて、該シアン顔料インクが、上記のインクジェット記録用顔料インクであることを特徴とするインクジェット記録用顔料インクセットである。
本発明に係るインクジェット記録用のシアン顔料インク及び、該シアン顔料インクを、他の色のインクと組み合わせてなるインクジェット記録用顔料インクセットを用いることで、画像形成後に、従来のような複雑な後処理工程を設けることなく、シアン顔料インクの使用に起因するブロンズ現象の発生を有効に抑制できる。この結果、シアン顔料を組み合わせた複数の顔料インクからなる顔料インクセットを用いて画像を形成した際に生じていた画像の違和感を有効に軽減させ、高品位な画像形成が可能となる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明に係るインクジェット記録用顔料インクは、シアン顔料粒子を含むインク中に、該シアン顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子を含有させたことを特徴とするものである。係る構成のインクを用いることによって、シアン顔料を用いて画像を形成した際に顕著に現れるブロンズ現象を有効に軽減することができる。本発明においては、シアン顔料粒子と併用する微粒子に、該顔料粒子よりも屈折率の高い微粒子を用いることで、画像に生じるブロンズ現象の発生の抑制を達成しているが、本発明者らは、その理由を次のように推測している。
シアン顔料粒子と、該シアン顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子とを含有してなる本発明のシアン顔料インクを用いることで、該シアン顔料インクによって形成された画像の表面で反射が起こる場合、屈折率の高い微粒子からの反射の寄与が大きくなり、相対的に、ブロンズ発生の原因となるシアン顔料粒子からの反射の寄与が相対的に小さくなる。この結果、上記の構成のインクを用いることで、ブロンズ現象を軽減させることができたものと考えられる。
ここで、本発明で使用する微粒子及び顔料粒子の屈折率は、市販の屈折率計を用いて測定することができる。用いることができる屈折率計としては、例えば、デジタルアッベ屈折計DR−A1(アタゴ社製)や、MODEL 2010 PRISM COUPLER(メトリコン社製)等が挙げられる。
本発明に係るシアン顔料インクの好ましい形態としては、インク中に含有させる微粒子の1次粒径と、シアン顔料粒子の1次粒径の比(微粒子:シアン顔料粒子)が、1:10〜1:1であることが挙げられる。即ち、本発明では、使用する微粒子の1次粒径が、シアン顔料粒子の1次粒径よりも小さく、シアン顔料粒子の10分の1の粒径であるものから、大きくても同等の大きさのものを使用することが好ましい。これは、シアン顔料粒子と併用する微粒子の1次粒径が大きくなるに従って微粒子の隠蔽性が上がるため、特に、微粒子として酸化チタン等の白色の微粒子を用いた場合には、画像濃度を低下させたり、全体的に白みがかった画像となってしまう恐れがある。
更に、シアン顔料粒子と併用する微粒子の1次粒径が、上記した範囲よりも大きくなると、微粒子が沈降しやすくなるため、インクとしての保存安定性に欠けたり、インクジェット記録方法に用いた場合に、インクの吐出不良を生じさせる恐れがある。
一方、微粒子の1次粒径が、上記した範囲よりも小さいものの場合は、ブロンズ現象を軽減させる効果が十分に発揮されない場合がある。尚、本発明で使用する微粒子の1次粒径が、上記で規定した範囲内であれば、上述したような問題は生じない。
ここで、一般的なインクジェット記録用顔料インクに用いられる顔料の粒径を考慮すると、本発明に用いられる微粒子の1次粒径は、5〜200nm程度となるが、本発明者らの検討によれば、本発明の目的を十分に満足させるためには、1次粒径が5〜100nm程度の微粒子を用いることがより良好である。
本発明に係るシアン顔料インクの好ましい形態としては、シアン顔料粒子と併用する微粒子が酸化チタンであることが挙げられる。これは、下記に述べるように、顔料粒子よりも屈折率の高い微粒子は多数存在するが、その中でも、比較的屈折率の高い微粒子である二酸化チタンを用いることで、インクに使用する量が少量であっても効果的にブロンズ現象の発生を抑制する効果が得られるからである。
以下に、本発明に係るシアン顔料インクに含有させることのできる、微粒子について説明する。本発明では、シアン顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子を用いることを特徴としている。シアン顔料粒子の屈折率については、前述したように、市販の屈折率計を用いて測定することが可能であるが、一般的なインクジェット記録用の顔料インクに用いられる顔料の屈折率の値は、おおむね2以下である。
一方、このような顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子としては、二酸化チタン(屈折率2.52)、チタン酸鉛(2.70)、チタン酸カリウム(屈折率2.68)、酸化ジルコニア(2.40)硫化亜鉛(2.37)、酸化アンチモン(2.09)酸化亜鉛(屈折率2.03)等が挙げられる。これ以外のものであっても、インクジェット用インクとして用いられるシアン顔料と同時に安定に分散するものであればよい。
又、本発明で好適に使用することのできる二酸化チタン微粒子の種類は、特に限定されるものではないが、特に、その表面を、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛等の超微粒子でコーティング処理した、二酸化チタン表面が不活性化されているものが好ましい。又、その形状が球状であるものを好ましく用いることができる。尚、本発明で使用される微粒子は、後述する方法で顔料粒子を分散させて顔料分散体を作成する際に、顔料粒子と同時に分散を行って、顔料インク中に含有させるようにしてもよいし、既に分散処理がなされている二酸化チタン微粒子等の分散液を用いてもよい。
本発明に好ましく用いられる二酸化チタン微粒子としては、例えば、境化学工業(株)超微粒子酸化チタンSTRシリーズや、シーアイ化成(株)チタニウムオキサイドG240等が挙げられる。
本発明に係るインクジェット記録用の顔料インクセットは、上記で説明した、インク中にシアン顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子を含有させてなるシアン顔料インクを、他の色調の顔料インクと組み合わせたことを特徴とする。このように構成することで、複数の顔料インクを用いて画像を形成した際における、シアン顔料インクに起因して生じるブロンズ現象の発生が軽減され、画像全体の違和感をなくすことができる。本発明では、特に、画像形成に使用する複数の顔料インクのうちのシアン顔料インクにのみに、インク中の顔料粒子よりも高い屈折率をもつ微粒子を含有させることによって、シアン顔料インクに起因するブロンズ現象の発生を選択的に軽減させ、全体として違和感の少ない画像形成を達成させる。
次に、本発明に係る顔料インクセットで使用される顔料インクについて説明する。本発明で使用する顔料インクの構成は、シアン顔料インクが、前記したような特定の微粒子を更に含む構成であること以外は、従来公知の顔料インクと同様である。インク中における顔料の含有量としては、顔料インクの全質量に対して、質量比で1〜20質量%、好ましくは2〜12質量%の範囲で用いる。本発明において使用できる顔料としては、以下に挙げるものがある。
イエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83等を使用することができる。
マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122等を使用することができる。
シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等を使用することができる。
勿論、本発明は、これらに限られるものではない。又、以上の他、自己分散型顔料等、新たに製造された顔料も、勿論、使用することが可能である。
又、本発明で使用する顔料インクは、上記したような顔料を下記に挙げる分散剤によって分散してなるものを用いることができる。分散剤としては、水溶性樹脂ならどのようなものでもよいが、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは、3,000〜15,000の範囲のものを使用する。
このような分散剤としては、具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性の重合性単量体)からなるブロック共重合体、或いは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。或いは、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。尚、これらの顔料分散剤として用いられる水溶性樹脂は、顔料インクの全質量に対して0.1〜5質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
特に、前記したような顔料が含有されている顔料インクの場合には、顔料インクの全体が中性又はアルカリ性に調整されていることが好ましい。このようなものとすれば、顔料分散剤として使用される水溶性樹脂の溶解性を向上させ、長期保存性に一層優れた顔料インクとすることができるので好ましい。但し、この場合、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくは、7〜10のpH範囲とするのが望ましい。
この際に使用されるpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等が挙げられる。上記したような顔料及び分散剤である水溶性樹脂は、水性液媒体中に分散又は溶解される。
本発明で使用される顔料インクは、前記したような顔料を、上記したような分散剤によって水性媒体中に分散させることで得られる。本発明において好適に使用される水性液媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である。水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
上記したような水溶性有機溶剤の顔料インク中の含有量は、一般的には、顔料インクの全質量の3〜50質量%の範囲、より好ましくは3〜40質量%の範囲で使用する。又、使用される水の含有量としては、顔料インクの全質量の10〜90質量%、好ましくは30〜80質量%の範囲とする。
又、本発明を構成する顔料インクは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つ顔料インクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を適宜に添加することができる。特に、浸透促進剤として機能する界面活性剤は、記録媒体に顔料インクの液体成分を速やかに浸透させる役割を担うため、適量を添加させることが好ましい。これらの添加剤の添加量の例としては、顔料インクの全質量の0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
上記で使用するアニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩型、硫酸エステル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般に使用されているものを何れも好ましく使用することができる。
本発明を構成する顔料が含有された顔料インクの作製方法としては、始めに、分散剤としての水溶性樹脂と水とが少なくとも含有された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、この顔料分散液に、水性媒体を加え、更に上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌して本発明で使用する顔料インクとする。
尚、分散剤として前記したようなアルカリ可溶型樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することが必要であるが、この際の塩基類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましく使用される。
又、顔料が含有されている顔料インクの作製方法においては、顔料を含む水性媒体を攪拌し、分散処理する前に、プレミキシングを30分間以上行うのが効果的である。即ち、このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル及びサンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
又、顔料が含有されている顔料インクをインクジェット記録方法では、耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いるが、所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、吐出速度を遅くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」又は「%」とあるものは、特に断らない限り質量基準である。先ず、下記に述べるようにして、本実施例に係るシアン顔料インクを得た。
(シアン顔料インクの調製)
<顔料分散液の作製>
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量=5,000)
1.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・イオン交換水 81.5部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作されたピグメントブルー15を10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去してシアン顔料分散液とした。
<顔料インクC1の作製>
上記で得たシアン顔料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料が水性媒体に分散されてなるインクを作製してシアン顔料インクC1とした。
・上記シアン顔料分散液 30.0部
・チタニウムオキサイドG240(シーアイ化成社製
15%) 20.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・N−メチルピロリドン 5.0部
・エチルアルコール 2.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)
1.0部
・イオン交換水 27.0部
(顔料インクM1、Y1)
上記で調製したシアン顔料インクC1における顔料分散液の作製の際に使用したピグメントブルー15を、それぞれ、ピグメントレッド15と、ピグメントイエロー74の各顔料に代えたこと、又、シアン顔料インクC1のインク組成中に微粒子として含有させたチタニウムオキサイドをイオン交換水に代えたこと以外は、顔料インクC1の調製と同様にして顔料インクM1及びY1を調製した。
[実施例1]
上記で得たシアン顔料インクC1に、顔料インクM1及び顔料インクY1を組み合わせて用いて、下記の方法で、高精細カラーデジタル標準画像データ(ISO/JIS−SCID)の画像名称ポートレート画像の認識番号N1)を印刷し、印字物1を作成した。ここで用いた記録ヘッドは、1,200dpiの記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数15kHzとした。又、1ドット当たりの吐出体積は、夫々4plのヘッドを使用した。又、印字テストの際の環境条件は、25℃/55%RHに統一してある。
[比較例1]
シアン顔料インクC1の調製の際に使用した、インク組成中に微粒子として含有させたチタニウムオキサイドG240(シーアイ化成社製15%)を、シリコンオキサイドG360(シーアイ化成社製10%)に代えた以外は、シアン顔料インクC1の調製と同様にしてシアン顔料インクC2を調製した。
上記で作成したシアン顔料インクC2に、実施例1で使用した顔料インクM1及び顔料インクY1を組み合わせて用いて、実施例1と同様の方法で印字物2を作成した。
[比較例2]
シアン顔料インクC1の調製の際に使用した、インク組成中に微粒子として含有させたチタニウムオキサイドG240(シーアイ化成社製15%)を、イオン交換水に代えた以外は、シアン顔料インクC1の調製と同様にしてシアン顔料インクC3を調製した。
上記で作成したシアン顔料インクC3に、実施例1で使用した顔料インクM1及び顔料インクY1を組み合わせて用いて、実施例1と同様の方法で印字物3を作成した。
[各粒子の屈折率の測定]
表1に、実施例及び比較例で用いたシアン顔料粒子及び微粒子の屈折率を示した。この際、微粒子の屈折率の測定には、デジタルアッベ屈折計DR−A1(アタゴ社製)を用いた。又、ピグメントブルー15の屈折率は、MODEL 2010 PRISM COUPLER(メトリコン社製)を用いて測定した。
Figure 2006336001
[評価]
実施例及び比較例のそれぞれの顔料インクセットを用いた方法で作成した印字物1〜3について、ブロンズ現象の発生状態及び画像全体に対する違和感について目視で観察し、評価を行った。評価は、ブロンズ及び違和感を総合的に下記の判定基準で評価した。そして、結果を表2に示した。
○:ブロンズが全く発生しておらず、画像全体に対する違和感がない。
△:ブロンズがいくらか発生しており、画像全体に対して、やや違和感がある。
×:ブロンズが発生しており、画像全体に対する違和感が大きい。
Figure 2006336001
表2に示した通り、シアン顔料粒子とともに、該シアン顔料粒子よりも高い屈折率を有する微粒子を含有するシアン顔料インクを用いて形成した実施例1の印字物1は、上記と同様のシアン顔料粒子とともに、該シアン顔料粒子よりも低い屈折率を有する微粒子を含有するシアン顔料インクを用いて形成した比較例1の印字物2よりも、ブロンズ現象の発生及び画像の違和感についての総合評価において、明らかに優れたものであることが確認できた。

Claims (6)

  1. シアン顔料粒子及び水性媒体を含有するインクジェット記録用顔料インクにおいて、更に該シアン顔料粒子よりも高い屈折率を有する微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録用顔料インク。
  2. 前記微粒子の1次粒径と前記シアン顔料粒子の1次粒径との比(微粒子:シアン顔料粒子)が、1:10〜1:1である請求項1に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  3. 前記微粒子が、酸化チタンである請求項1又は2に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  4. シアン顔料粒子及び水性媒体を含有するシアン顔料インクと、該シアン顔料インク中の顔料とは異なる色の顔料と水性媒体とを含有する少なくとも1種の顔料インクとを有するインクジェット記録用顔料インクセットにおいて、該シアン顔料インクが、更に該シアン顔料粒子よりも高い屈折率を有する微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録用顔料インクセット。
  5. 前記微粒子の1次粒径と前記シアン顔料粒子の1次粒径との比(微粒子:シアン顔料粒子)が、1:10〜1:1である請求項4に記載のインクジェット記録用顔料インクセット。
  6. 前記微粒子が、酸化チタンである請求項4又は5に記載のインクジェット記録用顔料インクセット。
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