JP2007177007A - インクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印字した記録材料のカール特性に優れ、さらに十分な光学濃度を与え、さらに室内に掲示した場合ににじみにくく変褪色しにくい画像を与えるインクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットにおいて、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷等、さまざまな印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御するインクジェット記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢等を飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェット画像記録システムでは、用いることのできる記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップ等が問題となる。
一方、オフィスにおいては、記録媒体(例えば、普通紙、コート紙、アート紙)の制約を受けずに高速でフルカラー印字が行えるシステムのニーズがますます高まりつつある。
特に記録媒体表面にインク受理層を有しない、いわゆる普通紙(例えば、PPC用紙、印刷用非塗工紙等)は、安価であること、また入手が容易であることから近年、使用量が急増していた。現在、この普通紙に対して高画質な印刷を高速に行うことが強く望まれているが、普通紙印刷では水性インクを使用した場合には印刷後のカール、コックリングが大きな課題となっていた。一方、油性インクを使用した場合にはカール、コックリングについては問題ないが、水性インクよりも浸透力が大きく文字画質、にじみ、低い反射濃度等の課題があった。これまで普通紙印刷の課題を解決するために記録液の組成を始めとして種々の検討が行われてきたが、カール、コックリング、画像濃度、文字品位の全てを満足するインクは得られていなかった。
水性インクを用いた普通紙記録時のカール、コックリングを防止する方法としては、インク中に特定のジオール類を添加する技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法でもインク打ち込み量の多い画像を印刷する場合には、カール及びコックリングが発生するという問題があった。あるいは、インク中にカゼイン類を添加することによりカール、コックリングを防止する技術が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法では顔料を含むインクに対しては分散安定性を劣化させるという問題があった。
普通紙を用いた場合のカール発生に着目した技術として、特定の有機溶剤を特定の比率で含有することにより、カールの発生を抑え、文字品質や出射性をあわせて改良する技術が公開されている(特許文献3〜5参照)。
これらの特許明細書中に公開されている技術はカール抑制に効果があることが確認されている。ここで、これらのインクにおいては色剤として顔料を用いられている。顔料を色剤として用いる場合、染料に比べ光学濃度、色再現性、透明感、光沢といった画質性能に劣る傾向があるため、デジタル写真の出力には染料インクが好まれていた。しかしながら上記特許文献には染料インクについての記載がないため、本発明者は上記特許文献に記載されている技術を染料インクへ応用する検討を行ってきた。
その結果、上記特許文献記載の技術を染料インクへ応用し、普通紙を用いて記録した場合、カール抑制効果は十分に得られるものの、期待されたほどの光学濃度は得られず、さらに室内に掲示した場合ににじみが発生し、しかも変褪色してしまう、という難点が存在することが分かった。
特開平6−157955号公報 特開平5−208547号公報 特開2005−220296号公報 特開2005−220297号公報 特開2005−220298号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、印字した記録材料のカール特性に優れ、さらに十分な光学濃度を与え、さらに室内に掲示した場合ににじみにくく変褪色しにくい画像を与えるインクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットにおいて、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセット。
2.前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤の25℃における蒸気圧が0.01〜133Paであることを特徴とする1記載のインクジェット用インクセット。
3.前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤として、水と混合した際にその混合比により粘度の極大部を示す水溶性有機溶剤を用い、かつ該極大部の近傍の混合比で水と該水溶性有機溶剤とが混合されていることを特徴とする1または2記載のインクジェット用インクセット。
4.少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットと、表面にインク受理層を有しない記録紙を用いて画像を記録するインクジェット記録方法において、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有するインクジェット用インクセットであり、該記録紙の、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100ml以上、50秒/100ml未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
5.前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤の25℃における蒸気圧が0.01〜133Paであることを特徴とする4記載のインクジェット記録方法。
6.前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤として、水と混合した際にその混合比により粘度の極大部を示す有機溶剤を用い、かつ該極大部の近傍の混合比で水と該水溶性有機溶剤とが混合されていることを特徴とする4または5記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、印字した記録材料のカール特性に優れ、さらに十分な光学濃度を与え、さらに室内に掲示した場合ににじみにくく変褪色しにくい画像を与えるインクジェット用インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明者は、上記課題鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットにおいて、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセットにより本発明の効果を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
また、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットと、表面にインク受理層を有しない記録紙を用いて画像を記録するインクジェット記録方法において、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセットであり、該記録紙の、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100ml以上、50秒/100ml未満であることを特徴とするインクジェット記録方法により目的とする効果を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るインクジェット用インクセットにおいては、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットにおいて、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録方法においては、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットと、表面にインク受理層を有しない記録紙を用いて画像を記録するインクジェット記録方法において、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセットであり、該記録紙の、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100ml以上、50秒/100ml未満であることを特徴とする。
全インク中の水の含有量が50質量%以上ではカール、コックリングが劣悪になる。また、10質量%未満では、他の溶剤組成をもってしても顔料の分散安定性が劣悪になる。
全インク中の水の含有量としては、20質量%以上40質量%未満であることがさらに好ましい。
本発明に係るインクはSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有する特徴を有する。この添加量が30質量%未満であると、普通紙記録時のカール、コックリングが極めて大きくなる。
また、この有機溶剤のSP値も16.5未満では、水との相溶性が悪くなり分離が生じる。逆にSP値が24.6以上の有機溶剤ではカール抑制効果が不十分である。
この有機溶剤のSP値の範囲は16.5以上22.5未満であることがさらに好ましい。
本発明でいう溶剤のSP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。
以下、SP値が16.5以上24.6未満に該当する水溶性有機溶剤の例をSP値と共に示す。いうまでもなく本発明はこれに限定されるものではない。
エチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:24.5)
エチレングリコールモノエチルエーテル(23.5)
エチレングリコールモノブチルエーテル(22.1)
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(22.3)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.0)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(16.8)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(22.1)
トリエチレングリコールモノエチルエーテル(21.7)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(23.0)
プロピレングリコールモノフェニルエーテル(24.2)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(20.4)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(21.8)
さらに、SP値が16.5以上24.6未満に該当する水溶性有機溶剤のうち20℃における蒸気圧が0.01〜133Paの水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することが好ましく、0.01〜66Paの水溶性有機溶剤を含有することがさらに好ましい。これに該当する水溶性有機溶剤の一例としては、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(3.99Pa)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(1.33Pa未満)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(1.33Pa未満)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(24.00Pa)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.33Pa)等がある。
本発明では上記の水溶性有機溶剤に加えて各種水溶性有機溶剤を併用することができる。
好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)が挙げられる。
本発明に係るインクにおける水溶性有機溶剤のうち、水と混合した際にその混合比により粘度の極大部を示す有機溶剤を用いることが好ましく、かつ該極大部の近傍の混合比で水と該水溶性有機溶剤とが混合されていることが出射性やデキャップの点でさらに好ましい態様の一つである。ここでいう近傍とは、水と水溶性有機溶媒との質量比の合計を100%としたとき、極大部を示す比率の上下10%以内をいう。例えば、水と有機溶媒との比率が50:50で極大部を示すとき、40:60〜60:40を近傍とする。
水と混合した際に、その混合比により粘度の極大部を示す溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類(例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等)、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等)、ジプロピレンリコールモノアルキルエーテル類(例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等)、トリプロピレンリコールモノアルキルエーテル類(例えば、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等)等を挙げることができ、好ましくはジアルキレングリコールモノアルキルエーテル類またはトリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられる。
本発明においては、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクに染料を用い、ブラックインクに顔料を用いることを特徴とする。
しばしば染料画像においては室内に掲示しておいた場合の褪色が問題となる。これは染料が大気中のオゾン等の酸化性ガスと反応し褪色するものと説明されている。本発明に至る過程で、4色とも染料を用いて作成した場合、画像濃度の濃い部分や文字画像部分において褪色が顕著にみられることが分かった。本発明者の検討の結果、そのような画像中に含まれるブラック染料が褪色しているため、前記現象が発現することが分かった。
今回その現象を回避するためブラックインクにのみ顔料を用いたところ、前記現象は抑えられることが分かった。顔料を用いることでブラック色剤の褪色が抑えられ、文字画像や画像濃度の濃い部分の褪色も抑えられる。またカラーインクの色剤は染料を用いているため、顔料特有の画質劣化も抑えられることが判明した。
さらにブラック顔料を用いることで、顔料が媒体表面近傍で定着されるため、十分な光学濃度を与えることも判明した。
本発明において使用できる染料としては、従来公知のものを特に制限なく使用できる。以下に代表的着色剤を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈直接染料〉
C.I.ダイレクトイエロー1、4、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、100、110、120、132、142、144;
C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、47、48、51、62、63、75、79、80、81、83、89、90、94、95、99、220、224、227、243;
C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、71、76、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、163、165、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、236、237;
C.I.ダイレクトブラック2、3、7、17、19、22、32、38、51、56、62、71、74、75、77、105、108、112、117、154
〈酸性染料〉
C.I.アシッドイエロー2、3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、99;
C.I.アシッドオレンジ56、64;
C.I.アシッドレッド 1、8、14、18、26、32、37、42、52、57、72、74、80、87、115、119、131、133、134、143、154、186、249、254、256;
C.I.アシッドバイオレット11、34、75;
C.I.アシッドブルー1、7、9、29、87、126、138、171、1 75、183、234、236、249;
C.I.アシッドグリーン9、12、19、27、41;
C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、48、52、58、60、94、107、109、110、119、131、155
〈反応性染料〉
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17、37、42、76、95、168、175;
C.I.リアクティブレッド2、6、11、21、22、23、24、33、45、111、112、114、180、218、226、228、235;
C.I.リアクティブブルー7、14、15、18、19、21、25、38、49、72、77、176、203、220、230、235;
C.I.リアクティブオレンジ5、12、13、35、95;
C.I.リアクティブブラウン7、11、33、37、46;
C.I.リアクティブグリーン8、19;
C.I.リアクティブバイオレット2、4、6、8、21、22、25;
C.I.リアクティブブラック5、8、31、39
〈塩基性染料〉
C.I.ベーシックイエロー11、14、21、32;
C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13;
C.I.ベーシックバイオレット3、7、14;
C.I.ベーシックブルー3、9、24、25
本発明に係るインクに用いることのできる染料としては、この他にキレート染料及びいわゆる銀色素漂白法感光材料(例えばチバガイギー製チバクローム)に用いられるアゾ染料を挙げることができる。
キレート染料に関しては例えば英国特許第1,077,484号の記載を参考にすることができる。
銀色素漂白法感光材料アゾ染料に関しては、例えば英国特許第1,039,458号、同1,004,957号、同1,077,628号、米国特許第2,612,448号の記載を参考にすることができる。
本発明に係るインクに用いられるイエロー水溶性染料としては、下記一般式(1)で表される染料を好ましく用いることができる。
Figure 2007177007
(式中、R11、R12はそれぞれ水素原子または置換基を表す。mは1〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。m及びnが複数の場合、R11、R12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、また互いに結合し環状構造を形成してもよい。L1はカルボニル基または下記一般式(2)で表される二価の連結基を表す。)
Figure 2007177007
(式中、R13、R14は水素原子または置換基を表す。R13、R14はそれぞれ互いに結合し環状構造を形成してもよい。)
上記一般式(1)で表される水溶性染料のうち、下記構造の染料を用いることが特に好ましい。
Figure 2007177007
本発明に係るインクに用いられるマゼンタ水溶性染料としては、下記一般式(3)〜(5)で表される染料を好ましく用いることができる。
Figure 2007177007
(式中、R31は水素原子または置換基を表す。Xはフェニル基またはナフチル基を表す。Zは−COR32、−SO233、または下記一般式(4)で表される二価の連結基を表す。R32、R33はアリール基を表す。)
Figure 2007177007
(式中、L2は二価の連結基を表す。X41、X42はハロゲン原子、−OH、−NR4142を表す。R41、R42は水素原子またはアルキル基を表す。)
Figure 2007177007
一般式(5)
(式中、R51、R52、R53、R54、R55はそれぞれ水素原子または置換基を表す。rは1〜4の整数を表し、sは1〜5の整数を表す。r、sが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また互いに結合し環状構造を形成してもよい。)
上記一般式(3)で表される水溶性染料のうち、下記構造の染料を用いることが特に好ましい。
Figure 2007177007
Figure 2007177007
本発明に係るインクに用いる水溶性染料の含有量は、インク全質量に対して、1〜15質量%であるのが好ましい。
本発明において使用できるブラック顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、好ましく用いることのできる具体的顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係るインクに含有する顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上200nm未満であることが好ましい。顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、記録液の保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度がよく多用される。
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。さらに、このビーズ径としては0.3〜3mmが好ましい。
本発明で用いられる分散剤としては、従来公知な高分子分散剤を好ましく用いることができ、中でもアクリル系高分子や、ウレタン系高分子が好ましく用いることができる。
また、本発明に係るインクにおいては、上記高分子分散剤と共に、あるいは単独で公知の顔料分散剤、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の界面活性剤等の使用することを妨げるものではない。
本発明のインクジェット記録方法の一つは、上記インクジェット用インクセットと同時にJIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100ml以上、50秒/100ml未満である面にインク受理層を有しない非塗工タイプの記録紙を用いる特徴を持つ。
上述の通り、染料インクを用いた場合鮮明な画像を形成することができるが、室内に掲示しておいた場合の褪色が問題となる。この現象は大部分の記録媒体において問題となるが、本発明者の検討により、いわゆる普通紙を用いた場合において製造元・銘柄の違いによりその程度は異なることが判明した。その要因について詳細に検討したところ、普通紙の通気性が大きく影響していることが明らかとなった。前述の通り褪色の原因物質は大気中の酸化性ガスであり、通気性の大きい普通紙では単位時間当たりの酸化性ガスの通過量が大きくなるため、褪色が速くなることが分かった。ここで通気性を表す因子としてJIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)を用いると、現象をうまく説明できる。この透気抵抗度(ガーレー)は100mlの空気が642mm2の面積の試験紙を通過するのに必要な時間を表し、数値が大きいほど、通気性が高いことを示す。
透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100mlよりも小さい場合、ガスの通過が非常に速くなるため、褪色も著しく速くなってしまう。一方、透気抵抗度(ガーレー)が50秒/100ml以上の場合には、インクの吸収性が低下してしまうため、鮮明な画像が得られなくなる。そこで記録紙として透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100mlから50秒/100mlの間とすることで、褪色が抑えられ、かつ鮮明な画像が得られることが分かった。
また、同様の理由で、通気性のよい普通紙を用いた場合、画像印字直後の耐水性は問題がない場合でも、高湿の大気に長期間さらされているうちに染料が移動してしまい、画像のにじみを発生してしまうことも判明した。この現象は特にブラック染料において顕著にみられることが分かり、本発明に至った。
普通紙において通気性は、原材料パルプの濾水度、紙に添加するサイズ剤種・量、プレス圧等、さまざまな製造条件により制御できることが知られている。本発明においてこれらの条件は重要ではなく、透気抵抗度(ガーレー)を所望の範囲に収めることができればどのような条件を用いてもよいことが分かった。
本発明に用いられる普通紙としては、上記透気抵抗度(ガーレー)以外については特に制限はないが、非塗工紙、特殊印刷用紙、及び情報用紙の一部に属する80〜200μmの非コート紙が望ましい。本発明に係る普通紙の構成は、LBKP及びNBKPに代表される化学パルプ、サイズ剤及び填料を主体とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙される。本発明に係る普通紙に使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙再生パルプを併用してもよいし、また、これらを主材としても何ら問題はない。
本発明に係る普通紙に内添されるサイズ剤としては、例えば、ロジンサイズ、AKD、アルニケル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、カチオン澱粉及びアクリルアミド等が挙げられる。
また、本発明に係る普通紙に内添される填料としては、例えば微粉珪酸、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、カオリン、カオリナイト、ハロイサイト、ナクライト、ディッカイト、パイロフィライト、セリサイト、二酸化チタン、ベントナイト等が挙げられる。
また、本発明に係る普通紙には、本発明に係るインクの裏抜けや着色剤の定着性を高める観点から、水溶性多価金属塩を含有していてもよい。
本発明に係る普通紙に用いることのできる水溶性多価金属塩としては、特に制限はないが、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛等の金属塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩といった塩として添加される。また、水溶性の多価金属イオンの塩として、ポリ塩化アルミニウムのような水溶性無機ポリマーを使用してもよい。水溶性は少なくとも0.1質量%を示すものが好ましく、より好ましくは1質量%を示すものである。中でも、アルミニウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛からなる水溶性塩はその金属イオンが無色なため好ましい。特に好ましいのは、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛である。
次いで、上記説明した以外の本発明に係るインクの各構成要素について説明する。
本発明に係るインクのpHは、7.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.05〜10.0であり、上記のpHとすることにより、出射安定性が良好で、かつ高濃度で好ましい光沢を有する画像を得ることができる観点から好ましい。
本発明に係るインクで用いられるpH調整剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
また、本発明に係るインクの表面張力は、25℃において25〜50mN/mであることが好ましい。より好ましくは25〜40mN/mであり、さらに好ましくは25〜35mN/mである。インクの表面張力が25mN/m未満になると、記録媒体への吸収速度が速くなり、顔料粒子同士による凝集を引き起こし、ブロンジングの発生や光沢、耐擦過性の低下を招く結果となる。また、インクの表面張力が50mN/mを超えると、記録媒体上に着弾したインク液滴が長い間留まることによる色濁りを引き起こし、高精細な画像を得ることができなくなる。
本発明でいう表面張力は、例えば、各種水溶性有機溶媒及び下記の各種界面活性剤を用いて、種類及び添加量を適宜調整することにより、所望の表面張力に調整することができる
また、表面張力の測定方法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができる。
上記表面張力を達成する手段の1つとして、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる各界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
本発明においては、界面活性剤として、アセチレン系界面活性剤を用いることが、出射安定性が良好で、かつ高濃度で好ましい光沢を有し、均一性にすぐれた画像を得ることができる観点から好ましい。
アセチレン系界面活性剤であれば特に制限はないが、例えば、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類等が挙げられ、さらに好ましくは、アセチレン基とアルキレンオキシド鎖とを有する界面活性剤であり、例えば、サーフィノール465(日信化学工業社製)を挙げることができる。
また、本発明に係るインクにおいて、インク粘度としては25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、さらに好ましくは5〜15mPa・sである。また本発明に係るインクにおいて、インク中の溶存酸素濃度は、25℃で2ppm以下であることが好ましく、この溶存酸素濃度条件とすることにより、気泡の形成を抑制することができ、高速印字においても出射安定性に優れたインクジェット記録方法を実現することができる。インク中に溶存している溶存酸素を測定する方法としては、例えば、溶存酸素測定装置DO−14P(東亜電波(株)製)を用いて測定することができる。
また、本発明に係るインク中には、インクの多価金属イオンであるカルシウムイオン、マグネシウムイオン及び鉄イオンの総含有量が、10ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5ppm、特に好ましくは0.1〜1ppmである。
インク中の多価金属イオンの含有量を、上記で規定した量とすることにより、高い分散安定性を有するインクを得ることができる。本発明に係る多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、有機アンモニウム塩、EDTA塩等に含有されている。
本発明に係るインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明に係るインクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクを装填したインクジェットプリンタ等により、デジタル信号に基づきインクジェット記録ヘッドよりインクを液滴として吐出させ記録媒体に付着させることでインクジェットプリントが得られる。
本発明に係るインクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェット記録ヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等等何れの吐出方式を用いても構わない。
その中でも、本発明に係るインクを用いる場合には、30μm以下のノズル径を有するピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、記録材料に記録を行うこと、さらに、30μm以下のノズル径を有するラインヘッド方式のピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、記録材料に記録を行うこと、また、30μm以下のノズル径を有するピエゾ型インクジェット記録ヘッドを用いて、20ppm以上の印字速度で、記録材料に画像記録することが好ましい。
インクジェットプリンタの印字方式として、シャトルヘッド方式の記録ヘッドに対し、ラインヘッド方式の記録ヘッドを用いて印字することにより、本発明に係るインクの印字特性を十分に引き出すことができ、その結果、インク液滴の記録材料への着弾時の極めて良好なドット形状(真円性)や印字精度を達成することができる。
また、本発明に係るインクは、出射安定性やデキャップ耐性に優れた特性を有しており、高速印字に優れた特性を持っており、印字速度として、20ppm以上の高速で印字することが好ましく、より好ましくは20〜100ppmであり、より好ましくは25〜50ppmである。なお、本発明でいうppmとは、A4サイズの記録材料の1分間当たりの印字枚数(Page Per Minute)を指す。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限りこれは「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
〔顔料分散体1の調製〕
以下に示す比率で各成分を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、その後ジルコニアビーズを除去して顔料分散体1を得た。
カーボンブラック 20部
ジョンクリル501 4部
分散媒(ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとイオン交換水の混合物:混合比率=80/20) 76部
〔インク1〜13の調製〕
表1に示す比率で各成分を混合し、減圧下、脱気処理を行って、インク1〜13を調製した。
Figure 2007177007
上記表1に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
〈溶剤〉
DPGmME:ジプロピレンプリコールモノメチルエーテル
MPDO:2−メチル−2,4−ペンタンジオール
〈溶剤単独の蒸気圧、粘度、及びSP値〉
DPGmME:粘度=3.3mPa・s、蒸気圧=53Pa、SP値=21.3
MPDO:粘度=30mPa・s、蒸気圧=2.7Pa
水:粘度=0.87mPa・s、蒸気圧=3.16kPa
上記特性値は、いずれも25℃における値である。
〈溶媒及び水の混合溶媒の粘度特性〉
上記各溶媒と水との溶媒セットについて、混合比を溶媒:水として、100:0〜0:100まで、10質量%ずつ変化させた各溶媒を調製し、それらの混合溶媒の粘度を測定し、得られた結果は下記の通りである。
DPGmME/水の溶媒組成:DPGmME:水が80:20の混合条件で、極大粘度(6.2mPa・s)を示した。
MPDO/水の溶媒組成:MPDOの比率が増えるにつれ、粘度は単調に増加した。MPDO/水が60:40の混合条件で、粘度は9.7mPa・sであった。
〈色剤〉
Y2、M1、M5
DB199:C.I.ダイレクトブルー199
FB2:Pro−Jet Fast Black 2(Avecia社製)
なお、DB199、FB2は水溶液として入手しており、インクの調整時にはその水分量を按分して表1の溶媒比率となるようにした。
(インクセット1〜4の調製)
上記調製したインク1〜13を用い、表2に示す通り組み合わせてインクセット1〜4を調製した。
Figure 2007177007
《インクの評価》
〔形成画像の評価〕
(印字後のカール特性の評価)
ノズル口径が25μm、吐出インク液滴量が4pl、ノズル数が256のシェアモードピエゾ型記録ヘッドを記録材料の幅手方向に10個並列に配置して、1色当たりのノズル解像度1440dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、ノズル総数が2560個のラインヘッドを4列配置したインクジェットプリンタ用い、このインクジェットプリンタに上記調製した各インクセットをそれぞれ装填し、液滴速度8m/sec、インク液滴量4plとなるように記録ヘッドの駆動電圧を調整した。
次いで、記録材料として、A4サイズのコニカミノルタビジネステクノロジー社製のビジネスクラス普通紙を用いて、搬送方向のAサイズの短辺長となるようにして、23℃、30%RHの環境下、10ppmの印字速度(1分間にA4サイズの普通紙を10枚プリントする速度)にて、解像度1440dpi×1440dpiで、イエロー/マゼンタ/シアン/ブラックからなる混合色で200mm×280mmのベタ画像を印字した。ここで各色のインク出射量はそれぞれ3ml/m2となるよう、各色出力画像の濃度信号を調整した。
次いで、この印字した普通紙を、23℃、20%RHの環境下で平らな台上で印字面を上にして1週間放置し、次いで四隅の浮き上がり高さを測定した。なお、中央部が浮き上がる負カールの試料については、上下を逆にしてさらに1日放置した後、四隅の浮き上がり高さを測定した。以上のようにして四隅の浮き上がり高さを測定し、下記の基準に従って、カール特性を評価した。
◎:ほとんど平坦で、四隅で最も浮いている箇所でも、浮き上がり高さが5mm未満である
○:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが5mm以上、10mm未満である
△:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが10mm以上、20mm未満である
×:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが20mm以上、または円筒状に丸まってしまい、測定不可である
(ガス褪色性の評価)
上記プリンターを用い、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラック各インクの出射量が等しくなるように出力画像の出力信号を調整し、これら4色の混合色からなる10段ステップのウェッジ画像を作成した。ここで最も濃度の高い画像部において各色のインク出射量はそれぞれ3ml/m2となるよう、各色出力画像の濃度信号を調整した。
上記作成したウェッジ画像をオゾンガス試験機(スガ試験器社製オゾンウェザーメーターOMS−H)にてオゾン濃度10ppmで12時間暴露した後、反射濃度約1.0の画像部のオゾン前後の反射濃度を測定し、濃度残存率を測定した。評価は以下の基準によって行った。
◎:濃度残存率が90%以上
○:濃度残存率が80〜90%
△:濃度残存率が70〜80%
×:濃度残存率が70%未満
評価の結果を表3に示す。
Figure 2007177007
表3に記載の結果から明らかな通り、本発明外のインクセットを用いた場合、カールが大きい、あるいは褪色性に劣っており、どちらも満足する結果は得られなかった。
これに対し、本発明に係るインクセットを用いた場合、カールに優れ、褪色性にも優れる結果となった。
実施例2
《記録紙の作製》
(原紙の調製)
以下に示す比率で各成分を混合し、さらに0.3%スラリーとした後、抄幅1,000mm、抄紙速度150m/min、ウェットプレス部でのトータル線圧1760N/cmの条件にて長網抄紙機により灰分5.0%、坪量63g/m2の原紙を抄造した。
LBKP(濾水度 450ml C.F.S.) 100部
炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製) 7部
硫酸アルミニウム 0.4部
両性澱粉(Cato3210:ナショナルスターチ社製) 1部
エマルジョンサイズ剤(サイズパイン903:荒川化学社製) 0.10部
(記録紙1の作製)
上記調製した原紙に対し、以下に示す比率で混合したサイズプレス液をサイズプレスにて固形分付着量2.0g/m2となるよう塗布し、記録紙1を作製した。
酸化澱粉(MS−3800:日本食品加工社製) 3部
表面サイズ剤(KN−500:ハリマ化成社製) 0.15部
水 96.85部
さらに各材料の添加比率、LBKPの濾水度、ウェットプレス部のトータル線圧を変更し、表4に示す透気抵抗度(ガーレー)を有する記録紙2〜5を作製した。
Figure 2007177007
〔形成画像の評価〕
(印字後のカール特性の評価)
実施例1記載の方法により、表5に示すインクセットと記録紙の組み合わせでカール特性を評価した。
(光学濃度の評価)
実施例1記載の方法により、表5に示すインクセットと記録紙の組み合わせで解像度1440dpi×1440dpiで、50mm×50mmのベタ画像を印字した。得られた画像について、光学濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて濃度測定を行い、最高反射濃度値を測定した。反射濃度(反射率係数濃度)を下記の基準に従い、評価した。
◎:濃度値が1.0以上
○:濃度値が0.9以上、1.0未満
△:濃度値が0.8以上、0.9未満
○:濃度値が0.9以上、1.0未満
×:濃度値が0.8未満
(にじみの評価)
実施例1記載の方法により、表5に示すインクセットと記録紙の組み合わせで4ポイント及び6ポイントのMS明朝体で漢字「口、四、日、回、因、困、固、国、目、図、國」の文字を印字した。次いで、この印字した普通紙を、23℃、20%RHの環境下で3日乾燥した後、40℃、80%RHの恒温恒湿器中に重なり合わないようにぶら下げ、1週間放置した。その後、恒温恒湿器より取り出した文字画像を目視観察し、下記の評価基準に従って文字品質の評価を行った。
◎:4ポイントの文字画像全てが、細部まで明瞭に記録されている
○:若干のにじみはあるが4ポイントの文字画像が判読可能である
△:にじみがあり4ポイントの文字画像の判読は難しいが、6ポイントの文字画像の判読可能である
×:にじみが強く6ポイントも文字画像の判読は難しい
(ガス褪色性の評価)
実施例1記載の方法により、表5に示すインクセットと記録紙の組み合わせでガス褪色性を評価した。
以上により得られた各評価結果を表5に示す。
Figure 2007177007
表5に記載の結果より明らかなように、本発明の範囲外であるインクセットと記録紙の組み合わせでは、全ての性能を満足する結果は得られなかった。
これに対し、本発明のインクセットと記録紙を用いた場合、カール特性に優れ、さらに十分な光学濃度と良好な文字品質が得られ、さらににじみ耐性とガス褪色性にも優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットにおいて、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することを特徴とするインクジェット用インクセット。
  2. 前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤の25℃における蒸気圧が0.01〜133Paであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  3. 前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤として、水と混合した際にその混合比により粘度の極大部を示す水溶性有機溶剤を用い、かつ該極大部の近傍の混合比で水と該水溶性有機溶剤とが混合されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット用インクセット。
  4. 少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色剤を含有し、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクが色剤として染料を含有し、ブラックインクが色剤として顔料を含有するインクジェット用インクセットと、表面にインク受理層を有しない記録紙を用いて画像を記録するインクジェット記録方法において、各インクにおける水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であり、該水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有するインクジェット用インクセットであり、該記録紙の、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が4秒/100ml以上、50秒/100ml未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤の25℃における蒸気圧が0.01〜133Paであることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤として、水と混合した際にその混合比により粘度の極大部を示す有機溶剤を用い、かつ該極大部の近傍の混合比で水と該水溶性有機溶剤とが混合されていることを特徴とする請求項4または5記載のインクジェット記録方法。
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