JP2010064478A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットヘッドを用いたインクジェットプリンターで印刷用紙に画像を記録する際、ビーディングやカラーブリード、インクの滲み等の発生がない高品質の画像記録が出来るインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】加熱手段と、乾燥手段とを有するインクジェットプリンターで、1回の走査で記録媒体に記録するシングルパス方式のインクジェット記録方法において、前記記録媒体は印刷用紙であり、少なくとも2種のインクを使用し、前記2種のインクの表面張力が27mN/mから32mN/mで、且つ、表面張力の差が1.0mN/m以下を有する水系インクであり、前記インクのブリストウ法で求められる印刷用紙に対するインク吸収係数Ka(ml/m−2・msec−1/2)が0.10から0.20であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録媒体にライン型インクジェットヘッドを用いたライン型インクジェットヘッドプリンターによるインクジェット記録方法に関するものである。
インク液滴をインクノズルから記録紙などの記録媒体上に直接噴射して記録するインクジェット記録方法は、インク液滴を必要時にのみ噴射するオンデマンド方式であるため、インクの回収機構などが不要、低価格化、小型化が容易であり、比較的簡単な装置で高精な画像の記録が可能である特徴を有しているため、各方面で急速な発展を遂げている。記録媒体に対するインクジェット記録方法を印字方式により分類すると、シリアル方式とライン方式の2種が知られている。シリアル方式は、インクジェットヘッドを記録媒体の送り方向と直角に往復させつつ、ヘッド上のノズル幅分の印刷を行い、ヘッドの往復と紙送りを合わせて用紙全体に印刷する方式である。
又、ライン方式は、記録媒体の全幅に対応して、インクジェットノズルが並んでいるため、シリアル方式より印字速度が速いという利点を有している。
特に、近年では、インクジェット記録方式の高速化と高画質化が大きな注目を集めている。高速化の面では、例えば特開平6−183029号公報、同7−60957号公報、同7−60958号公報、同8−310049号公報、同11−348279号公報、特開2002−86725号公報、同2002−273878号公報、同2005−178202号公報、同2007−276132号公報、同2008−19021号公報、同2008−49573号公報等に記載されている様に、記録媒体(記録紙)の全幅に渡って複数のインクノズルが配列されているライン型インクジェットヘッドを使用したライン型インクジェットプリンターが知られている。この様なライン型インクジェットの採用により、記録速度の大幅な向上がみられ、軽印刷用途にも耐え得る性能を備えたライン型インクジェットプリンターの開発も行われている。
一方、高画質化の面では、これまでインクジェット用の専用光沢紙が広く使用されていた。この様な専用紙を用いれば光沢の高い、高精細な記録物を得ることが出来るが、反面、インクジェット専用紙の価格は汎用の印刷用紙に比べ非常に高価であるため、用途が限定されてしまい、高画質な記録物を低価格で大量に出力する様な産業印刷ではあまり使用されていない。そこで、近年、汎用の印刷用紙を使用して、インクジェットで従来の印刷物に近い画質を実現するための検討がなされている。
しかしながら、普通紙やインクジェット専用紙などに比べインク吸収性の乏しい印刷用塗工紙に通常の水系インクで高速に記録を行うと、色相の異なるインク液体同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こす、いわゆるカラーブリード、滲み等の問題を有している。
この記録媒体に対するカラーブリード、滲み等に対してこれまでに検討がされてきた。例えば、米国特許第4,228,438号明細書、特開2004−2531号公報、同2004−10526号公報、同2005−179416号公報、同2008−12743号公報にインクが記録媒体に着弾した後、硬化させることでカラーブリード、滲み等を防止する活性エネルギー線硬化型インクを使用する方法が記載されている。これらの方法はシリアル方式のインクジェット記録方法の場合には有効であるが、ライン方式の場合は速度が速いため不十分な対応となっている。
ライン方式の場合の記録媒体に対するカラーブリード、滲み等に対しては、例えば、ライン型インクジェットプリンターによるインクジェット記録時に記録紙を加熱することでインクの溶媒を蒸発し、粘度を増加させると共に、紙の表面部でのインクの膨潤を促進させインクの浸透を制御することで滲みを防止する方法が知られている(特許文献1参照。)。
ライン型インクジェットプリンターによるインクジェット記録時に記録紙を加熱することでインクの溶媒を蒸発し着弾したインク滴を高濃度にすることで、インクの滲みを防止すると共に高濃度の印字を得る方法が知られている(特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1〜特許文献2に記載されている技術は、以下に示す如き問題点を有している。
1.文献1に記載の様に、記録紙にインク吸収性が高い普通紙を使用すれば、加熱によるインク中の水分を蒸発させて、インクの粘度を上げ境界滲み等ブリードを起こり難く出来ると考えられるが、記録紙にインクの吸収性の少ない印刷用紙を用い、特に高速で印字した場合、加熱時間が短いこと、記録紙へのインク溶媒の浸透が少ないことから、加熱によるインクの粘度上昇だけではブリードや滲みを防ぐことは出来ない。
2.文献2に記載の様に、中間転写媒体手段を用いインクを加熱して溶媒を蒸発させることで滲みの少ない画像を得ることが出来るが、中間転写体から記録紙に転写させる必要があるため、記録紙の種類が限定され、特に表面に凹凸の印刷用紙などには転写不良が起きてしまう。又、中間転写手段により装置コストが掛かるという問題もある。
この様な状況から、ライン型インクジェットヘッドを用いたラインヘッド型インクジェットプリンターで印刷用紙に画像を記録する際、ビーディングやカラーブリード、インクの滲み等の発生がなく画像記録をすることが出来るインクジェット記録方法の開発が望まれている。
特開平11−129460号公報 特開2000−334983号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ライン型インクジェットヘッドを用いたラインヘッド型インクジェットプリンターで印刷用紙に画像を記録する際、ビーディングやカラーブリード、インクの滲み等の発生がない高品質の画像記録が出来るインクジェット記録方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.記録幅全域に配置したライン型インクジェットヘッドと、加熱手段と、乾燥手段とを有するラインヘッド型インクジェットプリンターで、1回の走査で記録媒体に記録するシングルパス方式のインクジェット記録方法において、前記記録媒体は印刷用紙であり、少なくとも2種のインクを使用し、前記2種のインクの表面張力が各々27mN/mから32mN/mで、且つ、表面張力の差が1.0mN/m以下の水系インクであり、前記インクのブリストウ法で求められる前記印刷用紙に対するインク吸収係数Ka(ml/m−2・msec−1/2)が0.10から0.20であることを特徴とするインクジェット記録方法。
2.前記加熱手段により前記印刷用紙の表面温度を40℃から70℃に加熱して記録することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法。
3.前記ラインヘッド型インクジェットプリンターによる印刷用紙への記録速度が30mm/secから600mm/secであることを特徴とする前記1又は2に記載のインクジェット記録方法。
4.前記印刷用紙に記録するインクの付与量の合計が、0.03g/mから25g/mであることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
5.前記乾燥手段により、記録を行った後の印刷用紙を乾燥することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
我々は、ライン型インクジェットヘッド(以下、インクジェットヘッドとも言う)を用いたラインヘッド型インクジェットプリンター(以下、インクジェットプリンターとも言う)で水系インクを使用し印刷用紙に画像記録を行った際、ビーディング(メディア上で隣接するドットが不規則に繋がる現象)やカラーブリード(色混ざり)、インクの滲み等が発生し、高品質な画像が得られない原因について検討した結果次のことが判った。
従来の印刷で使用されている印刷用紙は、クレー(カオリン)や炭酸カルシウム等の白色顔料を紙基材の上に塗工しており、表面(印刷する面)は、塗工層を持たない普通紙に比べ、水系インクの吸収性が低い上、表面エネルギーが小さい。そのため、表面張力の高い水性インクではドットが印刷用紙の上で濡れ拡がらず、隣接するドット同士で合一して画像の劣化が生じる。これは、印刷用紙の表面エネルギーに対して、インクの表面張力(表面エネルギー)が高いため、インクが印刷用紙表面に拡がるよりも表面張力の近いインク同士で引き寄せ合うために生じていると推定している。
又、印刷用紙上では、インク吸収性の高いインクジェット専用紙等に比べてカラーブリードが発生し易くなる。これは、先に打たれたインクがメディアに吸収される、若しくは乾燥する前に他色のインクが打たれること、又、先に打たれたインクの上で後から打たれる他色のインクが拡がり過ぎたり、逆に弾き易くなったりすることが原因だと推定している。これらの現象は、ライン型インクジェットプリンターで水系インクを高速記録する場合、特に顕著に現れることが判った。
そこで、ライン型インクジェットプリンターで水系インクを、印刷用紙に高速で記録を行った際に発生する故障を防止するためには、1.使用する水系インクの表面張力を調整すること、2.色の異なる水系インク同士の表面張力のバランスを調整すること、3.使用する印刷用紙にインクが適度に吸収されること、以上の1から3が同時に揃った時に効果が得られることが判明し本発明に至った次第である。
ライン型インクジェットヘッドを用いたラインヘッド型インクジェットプリンターで印刷用紙に画像を記録する際、ビーディングやカラーブリード、インクの滲み等の発生がない記録が出来るインクジェット記録方法を提供することが出来た。
インクジェットヘッドを用いたインクジェットプリンターの概略図である。 図1に示す記録部4の概略上面図である。 図1に示すインクジェットプリンターの概略断面図である。
本発明の実施の形態を図1から図3を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1はインクジェットヘッドを用いたインクジェットプリンターの概略斜視図である。
図中、1はインクジェットプリンターを示す。インクジェットプリンター1は、印刷用紙2の供給部3と、記録部4と、搬送部5と、回収部6とを有している。
供給部3は印刷用紙2の巻出し装置(不図示)と、カール矯正ロール301と、第1カッター302とを有している。印刷用紙2は巻出し装置(不図示)により記録部4に供給される(図中の矢印方向)。尚、本図は印刷用紙2がロール状の場合を示しているが、枚葉シートの場合は、巻出し装置(不図示)と、カール矯正ロール301と、第1カッター302は不要となり枚葉シート用供給装置(不図示)が必要となる。
印刷用紙2がロール状の場合、巻出した時に巻き癖が残り、カールして記録部4での平面性の維持が難しくなるため、印刷用紙2を巻き方向とは逆の方向に巻き回すことでカールを矯正するのにカール矯正ロール301が使用される。カール矯正ロール301はカールを矯正するのに加熱手段を有していることが好ましい。
第1カッター302は印刷用紙2を枚葉シートで記録部4にて記録する時に、必要とする長さに断裁するために配設されている。尚、記録部4で記録した後に断裁する場合、及び印刷用紙2が枚葉シートの場合は不要となる。
第1カッター302から記録部4の間に印刷用紙2の上に付着している異物を除去するため除塵装置(不図示)を配設することが好ましい。又、除塵装置(不図示)は回収部6の前にも配設することが好ましい。
記録部4はインクジェットヘッド401と、インクジェットヘッド401の上流側に配設された加熱装置402と、インクジェットヘッド401の下流側に配設された乾燥装置403とを有している。乾燥装置403は、印刷用紙2の上に画像記録を形成した後、回収時の積み重ねに伴う印刷用紙2の裏面への転写防止、取り扱い性等を考慮し、インクを乾燥するために配設されている。
インクジェットヘッド401は印刷用紙2の最大幅に対する長さを有する各色の複数のインクジェットヘッド401をインクジェットヘッドキャリッジ401Aに印刷用紙2の搬送方向と直交方向(主走査方向)に固定配置したいわゆるフルライン型のインクジェットヘッドとなっている。
尚、使用するインクジェットヘッド401の形状は特に限定はなく、例えば記録媒体の幅以上の長尺のインクジェット記録ヘッドであり、多数のノズル数を有する長尺のヘッドであっても、複数のインクジェットヘッドをユニット化して長尺化したヘッドであっても好ましく用いることが出来る。本図は複数のインクジェットヘッドを記録幅以上にユニット化したフルライン型のインクジェットヘッドの場合を示している。
搬送部5は、印刷用紙2を搬送するベルト501と、ベルト501を懸架する2つのロール502a、502bと、吸引装置503とを有している。吸引装置503は、吸引箱503aと吸引ポンプに繋がった吸引管503bとを有している。ロール502a、502bのどちらか一方が駆動用となっている。ベルト501の幅は、印刷用紙2の幅に対して、搬送性、ベルト上での印刷用紙2の保持性等を考慮し、5%から20%広いことが好ましい。又、ベルト501は印刷用紙2への画像記録の際、付着インクを除去するために清掃装置(不図示)を配設することが好ましい。
回収部6は使用する印刷用紙2の状態に合わせ、適宜配設することが可能である。例えば、ロール状の印刷用紙2を使用し、画像記録後もロール状で回収する場合は巻き取り装置(不図示)を配設する必要がある。画像記録後に枚葉シートで回収する場合は、枚葉シート受け取り装置(不図示)を配設する必要がある。
本図に示すインクジェットプリンター1は、印刷用紙2がインクジェットヘッド401を1度通過することでインク出射及び定着を行ってすべての画像が記録される、いわゆる、シングルパス型のインクジェットプリンターである。
本図に示すインクジェットプリンターで、例えば印刷用紙2の上に着弾した液滴の拡がりにバラツキがあったり、積重した各液滴同士が混ざり合ったりした場合、程度によりビーディングやカラーブリード等が発生し高画質の画像記録が出来なくなる。本発明は、ライン型インクジェットヘッドを用いたラインヘッド型インクジェットプリンターで印刷用紙に画像を記録する際、これらの画像欠陥の発生を防止するシングルパス方式のインクジェット記録方法に関するものである。
図2は図1に示す記録部4の概略上面図である。尚、インク供給管は省略してある。
インクジェットヘッド401は、黒色インク用のインクジェットヘッド401K、黄色インク用のインクジェットヘッド401Y、赤色用のインクジェットヘッド401M、青色用のインクジェットヘッド401Cとを有している。複数のインクジェットヘッド401K、401Y、401M、401Cはインクジェットヘッドキャリッジ401Aに印刷用紙2の全幅をカバーする様にして、複数個、固定配置されている。尚、インクジェットヘッド401の数は被記録体の色に合わせ増減することは可能である。本図は4色の場合を示している。
各色のインクジェットヘッド401K、401Y、401M、401Cの配置は特に限定はなく、本図の場合は各色のインクジェットヘッド401K、401Y、401M、401Cの各々が4個のインクジェットヘッドを千鳥状に印刷用紙2の全幅をカバーする様にして、複数個、固定配置されている。他の符号は図1と同義である。
図3は図1に示すインクジェットプリンターの概略断面図である。図3(a)は図1(a)に示すA−A′に沿った概略断面図である。図3(b)は図3(a)のQで示される部分の拡大概略図である。
印刷用紙2は、原紙201と、原紙201の上に形成された塗工層202とを有している。塗工層202の上にインクジェットプリンターにより画像が記録される。塗工層202の画像を記録する面へのインクの吸収係数Kaは0.10から0.20である。インクの吸収係数Kaが0.1未満の場合、印刷用紙へのインクの吸収が非常に少ないため、記録速度が速いと印刷用紙上でインクが溢れた状態となり、印字部のまだらや色混ざりが発生し易くなるので好ましくない。吸収係数Kaが0.2を超える場合、印刷用紙の吸収性によりインクが印刷用紙内部にまで吸収されることにより、印字部の画像濃度が低下するため好ましくない。
吸収係数Kaは、ブリストウ法により求めた値を示す。本発明で言うブリストウ法とは、短時間での紙及び板紙の液体吸収挙動を測定する方法であり、詳しくは、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51の液体吸収性試験方法(ブリストウ法)に準じて測定し、吸収係数Kaは(ml/m−2・msec−1/2)で表される。
加熱装置402では、インクジェットヘッド401で記録が行われる印刷用紙2の表面の温度が、40℃から70℃となる様に加熱が行われる。40℃未満では、着弾後のインクの乾燥速度が遅くなり、ビーディングやカラーブリード、画線や文字などの滲みが防止されず高画質が得られなくなるため好ましくない。
70℃を超える場合は、着弾後のインクの乾燥速度は速くなるものの、印刷用紙中の水分が蒸発し易くなることにより、印刷用紙の変形が大きくなるので好ましくない。
印刷用紙2の表面の温度は、非接触温度計(IT−530N形 (株)堀場製作所社製)により測定した値を示す。
加熱する手段としては特に限定はなく、例えば加熱風、ハロゲンランプ、赤外ランプ等が挙げられ、適宜選択して使用することが可能である。
401aはインクジェットヘッド401K用のインク供給管を示す。401bはインクジェットヘッド401Y用のインク供給管を示す。401cはインクジェットヘッド401M用のインク供給管を示す。401dはインクジェットヘッド401C用のインク供給管を示す。各インク供給管401aから401dは各インク供給タンク(不図示)に繋がっている。
複数のインクジェットヘッド401K、401Y、401M、401Cに使用するインクの表面張力は27mN/mから32mN/mで、且つ各インクの表面張の差が1.0mN/m以下である。
表面張力が27mN/m未満の場合、ノズルからインクが溢れ出し易くなったり、印刷用紙上でドット径が濡れ拡がり過ぎて所望の光学濃度が得られないなど画像品質の低下に繋がる。又、表面張力が32mN/mを超える場合、インク液滴が印刷用紙上ではじき易くなってしまう。
各インクの表面張力の差が1.0mN/mより大きい場合、積重したドットの表面エネルギー差が離れることによりにより、他色での色混ざりが発生し易くなり画像品質が低下するため好ましくない。
表面張力は、協和界面科学社製の表面張力計CBVP−Zを使用し、白金プレート法により温度25℃で測定した表面張力値(mN/m)を示す。
本発明で用いられる各インクの粘度は特に制限はないが、25℃において、2mPa・sから15mPa・s以下であることが好ましい。又、本発明で用いられる各インクの粘度は、シェアレート依存性がない方が好ましい。
インク粘度(mPa・s)は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って25℃で測定した粘度値を言う。粘度測定装置としては、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることが出来、例えば、トキメック製、円錐平板型E型粘度計、東機産業製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器製のB型粘度計BL、山一電機製のFVM−80A、Nametore工業製のViscoliner、山一電気製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等を挙げることが出来る。
各インクの固形分としては、記録後の画像の耐候性、インクの保存安定性、吐出安定性等を考慮し、1%から10%のインク溶解性樹脂を含有するインクを使用すること好ましく、2%から6%の樹脂を含有するインクがより好ましい。
インクジェットヘッド401による印刷用紙2への記録速度は、生産性、画像形成や記録後のインクの乾燥性、画像品質等を考慮し、30mm/secから600mm/secが好ましく、50mm/secから400mm/secがより好ましい。
インクジェットヘッド401による印刷用紙2へ記録するインクの付与量の合計は、普通紙に比べ吸収性の低い印刷用紙に高速で記録することを考慮し、0.03g/mから25g/mであることが好ましい。インクの付与量の合計は、インクの比重を1とし、液滴量と画像解像度から算出した。
乾燥装置403に使用する乾燥手段としては特に限定はなく、例えば、加熱ローラ、フラットヒーター、加熱風、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等が挙げられるが、記録画像へのスリキズ、ゴミの付着等を考慮し非接触式で行うことが好ましい。又、使用したインクの揮発成分をより早く除去するには乾燥装置を減圧にして上記乾燥手段を併用することも可能である。乾燥温度は、使用するインクの組成、付与量等により変わるため一義的に決めることは出来ないが、回収時の積み重ねに伴う印刷用紙2の裏面への転写防止、取り扱い性等を考慮し適宜設定することが好ましい。
搬送部5は、印刷用紙2を搬送するベルト501と、ベルト501を懸架する2つのロール502a、502bと、吸引装置503とを有している。ロール502a、502bのどちらか一方が駆動用となっている。ベルト501の幅は、印刷用紙2の幅に対して、搬送性、ベルト上での印刷用紙2の保持性等を考慮し、5%から20%広いことが好ましい。
ベルト501の回転する周速度はインクジェットヘッド401による印刷用紙2への記録速度に合わせ駆動用ロールの周速度を調整することが可能となっている。
吸引装置503は、吸引箱503aと吸引ポンプに繋がった吸引管503b(図1参照)とを有している。吸引箱503aのベルト501と接触する面は、微細な吸引用の孔が空けられており、ベルト501の平面性を保ちインクジェットヘッド401のノズルと平行に搬送する様にインクジェットヘッド401と対向する位置に配設されている。
ベルト501は印刷用紙2の平面性を保持しながらベルト501吸引装置503によりに印刷用紙2の平面性を保持するため、微細孔、メッシュ構造等の通気性を有していることが好ましい。その他の符号は図1と同義である。
図1から図3に示す記録幅全域に配置したインクジェットヘッドを使用したインクジェットプリンターで、1回の走査で印刷用紙に画像を記録するシングルパス方式のインクジェット記録方法において、使用する2種以上のインクの表面張力が27mN/mから32mN/mで、且つ、表面張力の差の絶対値が1.0mN/m以下の水系インクで画像を記録することで、印刷用紙に水系インクで高速に画像を記録してもビーディングやカラーブリード、インクの滲み等の発生がない高品質な画像を得ることが出来、生産性を上げることが可能となった。
以下、本発明を構成している各部材に付き説明する。
(印刷用紙)
本発明で用いることが出来る印刷用紙は、図2(b)に示す様に原紙の表面にクレー(カオリン)や炭酸カルシウムなどの白色顔料と、デンプンなどの接着剤を混合して作製下した塗料を塗工し形成した塗工層を有する構成となっている。使用する原紙は晒し化学パルプ、機械パルプが挙げられる。
本発明で用いることが出来る印刷用紙は、アート紙(使用原紙:化学パルプ100%、塗工量片面20g/m前後)、上質コート紙(使用原紙:化学パルプ100%、塗工量片面10g/mから20g/m)、中質コート紙(使用原紙:化学パルプ70%以上、塗工量片面10g/mから20g/m)、上質軽量コート紙(使用原紙:化学パルプ100%、塗工量片面7g/m前後)、中質軽量コート紙(使用原紙:化学パルプ70%以上、塗工量片面7g/m前後)、微塗工紙(塗工量片面6g/m以下の印刷用紙)が挙げられ、塗工面はグロス系でもマット系でもあってもよく、上市品の中から適宜選択して使用することが出来る。
上市品のアート紙としては例えば、OK金藤N(王子製紙(株)製)サテン金藤N(王子製紙(株)製)、SA金藤(王子製紙(株)製)、ウルトラサテン金藤N(王子製紙(株)製)、OKウルトラアクアサテン(王子製紙(株)製)、OK金藤片面(王子製紙(株)製)、Nアートポスト(日本加工製紙(株)製)、NK特両面アート(日本加工製紙(株)製)、雷鳥スーパーアートN(日本加工製紙(株)製)、雷鳥スーパーアートMN(日本加工製紙(株)製)、雷鳥アートN(日本加工製紙(株)製)、雷鳥ダルアートN(日本加工製紙(株)製)、ハイマッキンレーアート(五条製紙(株)製)、ハイマッキンレーマット(五条製紙(株)製)、ハイマッキンレーピュアダルアート(五条製紙(株)製)、ハイマッキンレースーパーダル(五条製紙(株)製)、ハイマッキンレーマットエレガンス(五条製紙(株)製)、ハイマッキンレーディープマット(五条製紙(株)製)等が挙げられる。
上市品のコート紙としては例えば、PODグロスコート(王子製紙(株)製)、OKトップコート+(王子製紙(株)製)、OKトップコートS(王子製紙(株)製)、オーロラコート(日本製紙(株)製)、ミューコート(北越製紙(株)製)、ミューホワイト(北越製紙(株)製)、雷鳥コートN(中越パルプ工業(株)製)、ユトリロコート(大王製紙(株)製)、パールコート(三菱製紙(株)製)、ホワイトパールコート(三菱製紙(株)製)、PODマットコート、ニューエイジ(王子製紙(株)製)、ニューエイジW(王子製紙(株)製)、OKトップコートマットN(王子製紙(株)製)、OKロイヤルコート(王子製紙(株)製)、OKトップコートダル(王子製紙(株)製)、Zコート(王子製紙(株)製)、シルバーダイヤ(日本製紙(株)製)、ユーライト(日本製紙(株)製)、ネプチューン(日本製紙(株)製)、ミューマット(北越製紙(株)製)、ホワイトミューマット(北越製紙(株)製)、雷鳥マットコートN(中越パルプ工業(株)製)、ユトリログロスマット(大王製紙(株)製)、ニューVマット(三菱製紙(株)製)、ホワイトニューVマット(三菱製紙(株)製)等が挙げられる。
上市品の微塗工紙としては例えば、ペガサスハイパー8(日本製紙(株)製)、ペガサスWX(日本製紙(株)製)、OK微塗工スーパーエコG100(王子製紙(株)製)、OKロイヤルライトSグリーン(王子製紙(株)製)OKスターライトグリーン(王子製紙(株)製)等が挙げられる。
(ライン型インクジェットヘッド)
本発明で用いることが出来るライン型インクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることが出来るが、何れの吐出方式を用いても構わない。
(水系インク)
本発明で用いられる水系インクの構成成分について説明する。
(着色剤)
本発明に用いる水系インクの着色剤は染料でも顔料でも構わないが、画像の耐候性の観点から顔料が好ましく用いられる。顔料は溶媒成分に安定に分散出来るものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することが出来る。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂としては水溶性のものを用いることが出来る。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等の様な水溶性樹脂である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることが出来る。顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
又、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合、水不溶性樹脂とは弱酸性乃至弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくはpH4〜10の水溶液に対する溶解度が2%未満の樹脂である。
この様な樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることが出来る。
又、樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを共重合した樹脂を用いることが出来る。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸の様な酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることが出来る。
樹脂の分子量としては、重量平均分子量で3000から500000のものを用いることが出来る。好ましくは7000から200000のものを用いることが出来る。樹脂のTgは、−30℃から100℃程度のものを用いることが出来る。好ましくは−10℃から80℃程度のものを用いることが出来る。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることが出来る。重合は予め顔料と別途合成してもよいし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して、重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては公知の種々の方法を用いることが出来るが、好ましくは展相乳化法や酸析法の他に顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、更に塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し、調製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/40から100/150の範囲で選択することが出来る。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60から100/110の範囲である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80nmから150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
又、自己分散顔料としては表面処理済みの市販品を用いることも出来、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)製)等を挙げることが出来る。
使用出来る顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用出来る。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーン又はシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
(高分子化合物)
本発明に用いる水系インクは記録媒体へのインクの定着性や記録物の耐候性の観点から、高分子化合物を添加することが好ましい。インクに含有する高分子化合物はインク溶解性の樹脂でも、分散型のポリマー微粒子でも、両方を併用しても構わない。
インク溶解性樹脂としては、画像の耐久性向上のためのバインダー樹脂としての機能があるため、インク中では安定に溶解しているが、メディア上で乾燥後は耐水性が付与される樹脂が好ましい。
この様な樹脂としては、樹脂中に疎水性成分と親水性成分をあるバランスで有するものを設計して用いる。この際、親水性成分としてはイオン性のもの、ノニオン性のものどちらを用いてもよいが、より好ましくはイオン性のものであり、更に好ましくはアニオン性のものである。特に、アニオン性のものを揮発可能な塩基成分で中和することで水溶性を付与したものが好ましい。特に、インク溶解性樹脂の少なくとも1種は酸性基としてカルボキシル基、又はスルホン酸基を有しており、且つ酸価が80から300である樹脂が本発明の効果発現上好ましい。酸価としては、90から200程度のものを特に好ましく用いることが出来る。酸価とは樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。
この様な樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各樹脂を挙げることが出来る。樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを含有する樹脂を用いることが出来る。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸の様な酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることが出来る。
樹脂の分子量としては、平均分子量で3000から30000のものを用いることができる。好ましくは7000から20000のものを用いることが出来る。
樹脂のTgは−30℃から100℃程度のものを用いることが出来る。好ましくは−10℃から80℃程度のものを用いることが出来る。
重合方法としては、溶液重合を用いることが好ましい。
樹脂の酸性モノマー由来の酸性基は部分的、あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。この場合の中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等や、アミン類(アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等を用いることが出来る)を用いることが出来る。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像耐久性向上の観点から特に好ましい。
ポリマー微粒子としては、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することが出来る。
本発明に用いる水系インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点からポリマー微粒子の分散形態として活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。好ましい水系分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。尚、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
前記アルカリはアンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール及び2−メチルアミノエタノールが水系分散型ポリマー微粒子の分散安定性において得に好ましい。前記のアクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(登録商標)などが市販されている。
水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。尚、水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。又、水系分散型ポリマー微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することも出来る。
本発明に用いる水系インクには水系分散型ポリマー微粒子の含有量は、0.7%〜6%が好ましく、良好な定着性とインクの長期保存安定を得やすい。
(溶媒)
本発明に用いる水系インクは、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を含有しており、インク吸収性の少ない印刷用塗工紙にも良好な濡れ性を得やすく、インクはじきのない良好な画質が得られる。具体的には、グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチル、エチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノブチル、トリエチレングリコールモノブチル、プロピレングリコールモノプロピル、ジプロピレングリコールモノメチル、トリプロピレングリコールモノメチル等が挙げられる。又、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。
添加量としては、質量部として、5%から40%の範囲で用いることが好ましい、より好ましくは10%から30%の範囲である。10%以上であると、良好な画像が得られ、且つ画像耐久性もよく、40%以下でインクの保存安定性が確保出来る。
本発明に用いる水系インクには、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール以外にも溶剤を添加することが出来る。具体的には、水性液媒体が好ましく用いられ、前記水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明に用いる水系インクにはシリコン系もしくはフッ素系の界面活性剤を好ましく用いることが出来る。これらの活性剤により種々の印刷用塗工紙に対して濡れ性を得ることが出来る。シリコン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物があり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348などが挙げられる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、又、ファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
又、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることが出来る。又、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることが出来る。シリコン系もしくはフッ素系の界面活性剤以外にも活性剤を添加することが出来る。具体的にはアルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
(退色防止剤)
本発明に用いる水系インクでは、従来インクジェットインクで公知の退色防止剤を用いることが出来る。この退色防止剤は、光照射による退色及びオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。その様な退色防止剤としては、例えば、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報の各公報に記載の酸化防止剤、特開昭57−74193号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭61−154989号公報に記載のヒドラジド類、特開昭61−146591号公報に記載のヒンダードアミン系酸化防止剤、特開昭61−177279号公報に記載の含窒素複素環メルカプト系化合物、特開平1−115677号公報、同1−36479号公報の各公報に記載のチオエーテル系酸化防止剤、特開平1−36480号公報に記載の特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤、特開平7−195824号公報、同8−150773号公報の各公報に記載のアスコルビン酸類、特開平7−149037号公報に記載の硫酸亜鉛、特開平7−314882号公報に記載のチオシアン酸塩類など、特開平7−314883号公報に記載のチオ尿素誘導体など、特開平7−276790号公報、同8−108617号公報の各公報に記載の糖類、特開平8−118791号公報に記載のリン酸系酸化防止剤が、特開平8−300807号公報に記載の亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩等が、又、特開平9−267544号公報に記載のヒドロキシルアミン誘導体等を退色防止剤として挙げることが出来る。更に、特開2000−263928号公報等に記載のジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物なども、インクジェットにおける有効な退色防止剤の一つである。
(pHバッファー剤)
本発明に用いる水系インクでは、pHバッファー剤を水系インク中に添加してもよい。例えば、有機酸や無機酸である。有機酸としては、例えば、非揮発性のフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、安息香酸、セバチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、蓚酸、ポリアクリル酸、ベンジル酸等各種の有機酸を挙げることが出来る。
(消泡剤)
本発明に用いる水系インクでは消泡剤を添加することが出来、消泡剤としては特に制限なく、市販品を使用することが出来る。その様な市販品としては、例えば、信越シリコーン製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F等が挙げられる。
これら化合物の配合量に特に制限はないが、水系インク中に、調製時の泡の発生、発生した泡の除去、印字品質等を考慮し、0.001質量%から2質量%配合されることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に用いる水系インクには、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることが出来、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオン、又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報の各公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報の各公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報の各公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることが出来る。
(脱気処理)
本発明に用いる水系インク中の溶存酸素濃度は、インク吐出時のキャビテーションの発生、吐出性等を考慮し、2ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1ppm以下である。溶存酸素濃度を調節する方法に関しては特に制限はないが、インクジェットインクを減圧下で脱気する方法、超音波を照射して脱気する方法、特開平11−209670号公報に記載の如く、脱気用中空糸膜による脱気方法等が挙げられる。特に脱気用中空糸膜による脱気が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
(インクの調製)
(シアン顔料分散体の調製)
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215)3質量部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合し溶解した。
次いで、前記溶液にC.I.ピグメントブルー15:3を15部添加しプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15%のシアン顔料分散体を調製した。
(マゼンタ顔料分散体の調製)
シアン顔料分散体の調製において、C.I.ピグメントブルー15:3に代えて、C.I.ピグメントレッド122を用いた以外は同様にして、マゼンタ顔料分散体を調製した。
(水溶性高分子化合物の合成)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチルを40g、スチレンを40g、アクリル酸を20g、メチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、更に6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解した液に上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調整し固形分20%の、水溶性高分子化合物水溶液を得た。
<シアンインクの調製>
表1に示す組成の化合物を添加してインク組成物を調整後、0.8μmのフィルターによりろ過して表面張力が異なるシアンインクを調製しNo.1−Aから1−Fとした。各調製したシアンインクNo.1−Aから1−Fの表面張力を合わせて表1に示す。表面張力はプレート法で測定した値を示す。
Figure 2010064478
界面活性剤
*オルフィンe1010 日信化学社製
*BYK−347:ビックケミー社製
*KF−351A:日信化学社製
<マゼンタインクの調製>
表2に示す組成の化合物を順に添加してインク組成物を調整後、0.8μmのフィルターによりろ過して表面張力が異なるマゼンタインクを調製しNo.1−Gから1−Lとした。各調製したマゼンタNo.1−Gから1−Lの表面張力を合わせて表2に示す。表面張力はプレート法で測定した値を示す。
Figure 2010064478
界面活性剤
*オルフィンe1010 日信化学社製
*BYK−347:ビックケミー社製
*KF−351A:日信化学社製
(印刷用紙の準備)
印刷用紙は、OK金藤N、OKオプトグロス、OKエバーロイヤル、OKノンリンクルDL、OKブライト(ラフ)(王子製紙(株)製)の5種を準備し、前記各インクについてブリストウ法にて吸収係数Kaを求めた。
(吸収係数の測定方法:ブリストウ法)
各記録媒体を、25℃、50%RHの雰囲気下で12時間放置した後、熊谷理機工業株式会社製の液体動的吸収性試験機であるBristow試験機II型(加圧式)を用いて、前記各インクの転移量を測定し、吸収係数を求めた。各インクの吸収係数を表3に示す。
Figure 2010064478
(インクセットと印刷用紙の準備)
前記シアンインクNo.1−A〜1−F、マゼンタインクNo.1−Gから1−Lを組合せて10種類のインクセットを調整し、各インクセットについて3種の印刷用紙と組合せ、表4から7に示す様に印刷用紙と各インクセットの組合せをNo.1−1から1−36とした。
Figure 2010064478
印刷用紙:OK金藤N
Figure 2010064478
印刷用紙:OKオプトグロス
Figure 2010064478
印刷用紙:OKエバーロイヤル
Figure 2010064478
(画像記録)
図1に示すインクジェットプリンターの記録部をシアンインク、マゼンタインクの2色用にして、シアンインク用のインクジェットヘッドとマゼンタインク用のインクジェットヘッドの2色のインクジェットヘッドを図2に示す様に配列したインクジェットプリンターを用いた。使用したインクジェットヘッドは、ノズル口径25μm、駆動周波数20kHz、ノズル数512、液滴量4pl、ノズル密度180dpi(尚、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型のインクジェット記録ヘッドを紙搬送方向に垂直に印字幅をカバーする様に並べて、ラインヘッド方式のインクジェット記録ヘッドを形成した。この様にして、最大記録密度が1440×1440dpiであるラインヘッド型のインクジェット記録装置を作製した。
準備した各インクセットと印刷用紙の組合せNo.1−1から1−36において、記録速度を350mm/secで記録した後、加熱ファンを用いて乾燥した。
尚、前記画像記録では、表4から7に示したインクセットと印刷用紙のそれぞれの組合せに付き、印刷用紙の幅40mmに幅100μmのシアン細線1本と、マゼンタベタ地と、そのベタ地の一部の上に幅200μmのシアン細線1本とが含まれる画像を印字し、これを試料No.101から136とした。
(評価)
作製した各試料No.101から136に付き、ビーディング耐性、カラーブリード耐性、インクの滲み耐性を以下に示す方法で測定し、以下に示す評価ランクで評価した結果を表8に示す。
(ビーディングの評価方法)
作製した各試料のマゼンタベタ地について、目視でビーディング(画像の斑)の発生の有無を確認し、ビーディング耐性の評価とした。
ビーディング耐性の評価ランク
◎:何れの濃度でも画像の斑は生じておらず、均一な画像が得られている
○:中間領域の濃度で画像の斑が僅かに生じているが、概ね均一な画像が得られている
△:中間領域の濃度で画像の弱い斑が生じているが、許容範囲にある
×:ほとんどの濃度領域で画像の斑が生じており、全体的に均一性に欠ける画像となっている
(カラーブリード耐性の評価方法)
作製した各試料のマゼンタベタ地上の幅200μmのシアン細線について、目視でカラーブリードの有無を確認し、カラーブリード耐性の評価とした。
カラーブリード耐性の評価ランク
◎:細線とベタの境界線がはっきりしている
○:僅かに境界が滲んでいる箇所があるが、問題ない品質である
△:境界部に滲みが認められるが、許容限界内の品質である
×:細線とベタ部の境界が不明瞭な品質であり、ブリード耐性が極めて乏しい。
(インクの滲みの評価方法)
作製した各試料のシアン細線について、目視でインクの滲みの発生の有無を確認し、インクの滲み耐性の評価とした。
インクの滲み耐性の評価ランク
◎:細線がはっきり確認出来る
○:僅かにインクの滲みが確認されるが、細線画像への影響は小さい
△:ややインクの滲みの発生が認められるが、許容出来る範囲にある
×:インクの滲みの発生がひどく、許容範囲外の品質である
Figure 2010064478
以上の結果から、ラインヘッド型インクジェットプリンターで、印刷用紙にシングルパスで記録する場合、使用する2種のインクの表面張力が27mN/mから32mN/mで、且つ、表面張力の差が1.0mN/m以下であり、インクのブリストウ法で求められる印刷用紙に対するインク吸収係数Ka(ml/m−2・msec−1/2)が0.10から0.20であると、記録物のビーディング、カラーブリード、インクの滲みが抑制出来ることが確認出来た。本発明の有効性が確認された。
実施例2
(印刷用紙の準備)
実施例1と同じOK金藤Nを準備した。
(インクセットの準備)
実施例1で準備したインクセットNo.1−3と同じインクセットを準備した。
(画像記録)
実施例1と同じプリンターを使用し、準備した各インクセットと印刷用紙で、印刷用紙の表面温度が25℃、35℃、40℃、50℃、70℃、75℃になる様にヒーターで制御し、各印刷用紙の表面温度に付き、記録速度を100mm/sec、300mm/sec、400mm/sec、600mm/secとして記録した後、加熱ファンを用いて乾燥した。前記印刷用紙の表面温度と記録速度の組合せを表9に示す。印刷用紙の表面温度は、非接触温度計(IT−530N形(株)堀場製作所社製)にて測定を行った。
尚、前記印刷用紙の表面温度と記録速度の組合せに付き、印刷用紙の幅40mmにマゼンタベタ地と、そのベタ地の一部の上に幅200μmのシアン細線1本とが含まれる画像を印字し、これを試料No.201から224とした。
(評価)
作製した各試料No.201から24に付き、ビーディング耐性、カラーブリード耐性を実施例1と同様の方法で評価した結果を表9に示す。
Figure 2010064478
本発明の有効性が確認された。
1 インクジェットプリンター
2 印刷用紙
201 原紙
202インクジェットプリンター
301 カール矯正ロール
302 第1カッター
4 記録部
401、401K、401Y、401M、401C インクジェットヘッド
401a〜401d インク供給管
402 加熱装置
403 乾燥装置
5 搬送部
501 ベルト
503 吸引装置

Claims (5)

  1. 記録幅全域に配置したライン型インクジェットヘッドと、加熱手段と、乾燥手段とを有するラインヘッド型インクジェットプリンターで、1回の走査で記録媒体に記録するシングルパス方式のインクジェット記録方法において、前記記録媒体は印刷用紙であり、少なくとも2種のインクを使用し、前記2種のインクの表面張力が各々27mN/mから32mN/mで、且つ、表面張力の差が1.0mN/m以下の水系インクであり、前記インクのブリストウ法で求められる前記印刷用紙に対するインク吸収係数Ka(ml/m−2・msec−1/2)が0.10から0.20であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記加熱手段により前記印刷用紙の表面温度を40℃から70℃に加熱して記録することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ラインヘッド型インクジェットプリンターによる印刷用紙への記録速度が30mm/secから600mm/secであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記印刷用紙に記録するインクの付与量の合計が、0.03g/mから25g/mであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記乾燥手段により、記録を行った後の印刷用紙を乾燥することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
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