JP4038954B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真方式や静電記録方式などを応用した複写機やプリンター、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にカラーの画像形成装置において、各色の画像形成位置であるカラーレジストレーションを制御するためのカラーレジストレーションコントロールシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィス等において処理されるドキュメントは急速にカラー化が進み、これらのドキュメントを扱う複写機・プリンター・ファクシミリ等の画像形成装置も急速にカラー化されてきている。そして、現在これらのカラー機器は、オフィス等における事務処理の高品位化および迅速化に伴って、一層高画質化および高速化されてきている。かかる要求に応え得るカラー機器としては、例えば、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色毎に各々の画像形成ユニットを持ち、各画像形成ユニットで形成された色の異なる画像を、転写材上又は中間転写体上に多重に転写し、カラー画像の形成を行なういわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が種々提案されており、実際に商品化されてもいる。
【0003】
この種のタンデム型のカラー画像形成装置としては、例えば、次に示すようなものがある。このタンデム型のカラー画像形成装置は、図26に示すように、黒(K)色の画像を形成する黒色画像形成ユニット200Kと、イエロー(Y)色の画像を形成するイエロー色画像形成ユニット200Yと、マゼンタ(M)色の画像を形成するマゼンタ黒色画像形成ユニット200Mと、シアン(C)色の画像を形成するシアン色画像形成ユニット200Cの4つの画像形成ユニットを備えている。
【0004】
これら4つの画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cは、互いに一定の間隔をおいて水平に配置されている。また、上記黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cの下部には、当該各画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cで順次形成されるトナー像を、互いに重ね合わせた状態で転写する中間転写ベルト201が、矢印方向に沿って回転可能に配置されている。
【0005】
上記黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cは、すべて同様に構成されており、これら4つの画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cでは、上述したように、それぞれ黒色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像が順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cは、感光体ドラム202を備えており、この感光体ドラム202の表面は、一次帯電用のスコロトロン203によって一様に帯電された後、画像露光装置204によって像形成用のレーザ光が画像情報に応じて走査露光され、静電潜像が形成される。上記感光体ドラム202の表面に形成された静電潜像は、各画像形成ユニットの現像器205によってそれぞれ黒色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、転写帯電器206によって中間転写ベルト201上に互いに重ね合わせた状態で転写される。上記中間転写ベルト201上に多重に転写された黒色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色の各色のトナー像は、所定のタイミングで給紙される転写用紙207上に一括して転写された後、定着装置208によって定着処理を受け、カラー画像の形成が行なわれる。
【0006】
なお、図26中、209は感光体クリーナー、210は中間転写ベルトクリーナーをそれぞれ示すものである。
【0007】
ところで、このように構成されるタンデム型のカラー画像形成装置においては、普通紙以外に厚紙やOHPシートなどの転写材にも、カラー画像を形成することが可能となっており、厚紙やOHPシートなどの転写材にカラー画像を形成する場合には、転写性や定着性を良好とするため、プロセス速度を切り替えるように構成されている。その際、上記タンデム型のカラー画像形成装置では、普通紙にカラー画像を形成する場合、通常の相対的に速いプロセス速度に設定され、厚紙やOHPシートなどの転写材にカラー画像を形成する場合、通常のプロセス速度の例えば1/2の速度に切り替えられる。
【0008】
また、上記の如く構成されるタンデム型のカラー画像形成装置においては、図26に示すように、画像露光装置204を個々の画像形成ユニット200K、200Y、200M、200C毎に設けるのではなく、4つの画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cに共通の画像露光装置を1つのみ設けることにより、装置の構成を簡略化し、コストの低減及び装置の小型化を可能としたものも、既に提案されている。
【0009】
この種の画像露光装置としては、例えば、図27に示すように、1つのポリゴンミラー 300 に対して、各画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cに対応した図示しない4つの半導体レーザを設け、これらの4つの半導体レーザから出射された4本のレーザビームLB−K、LB−Y、LB−M、LB−Cを、2つの画像形成ユニット200K、200Yと他の2つの画像形成ユニット200M、200Cとで、ポリゴンミラー300のそれぞれ反対側に位置する面に照射して偏向走査し、f−θレンズ301や複数枚のミラー302〜305を介して4つの画像形成ユニット200K、200Y、200M、200Cの感光体ドラム202上に画像を露光するように構成した、”スプレーペイント方式”と呼ばれる画像露光装置がある。
【0010】
かかるスプレーペイント方式の画像露光装置の場合には、図27に示すように、図示しない4つの半導体レーザから出射された4本のレーザビームLB−K、LB−Y、LB−M、LB−Cを、2つの画像形成ユニット200K、200Yと他の2つの画像形成ユニット200M、200Cとで、ポリゴンミラー300の反対側に位置する面に照射して偏向走査するものであるため、ポリゴンミラー300の片側に位置する面で偏向走査されるレーザビームLB−K、LB−Yと、ポリゴンミラー300の反対側に位置する面で偏向走査されるレーザビームLB−M、LB−Cとでは、図4に示すように、感光体ドラム202上に走査露光されるレーザビームの走査方向が、互いに反対方向となる。
【0011】
その際、上記各レーザビームLB−K、LB−Y、LB−M、LB−Cが走査露光される感光体ドラム202は、所定の回転速度で回転しているため、当該感光体ドラム202の一方の端部から他方の端部に向けてレーザビームが走査露光される間に、感光体ドラム202の表面は、移動してしまうことになる。したがって、感光体ドラム202の軸方向に沿って一方の端部から他方の端部に向けて、そのままただ単にレーザビームを走査露光したのでは、当該レーザビームが感光体ドラム202の表面に、斜めに傾斜した状態で照射される。しかも、上記スプレーペイント方式の画像露光装置の場合には、画像形成ユニットによって、レーザビームLBの走査方向が互いに逆方向となっているため、感光体ドラム202によっては、レーザビームLBの照射角度が互いに逆方向に1/2ライン程度大きくずれてしまい、色ずれが顕著となるという問題点が生じる。
【0012】
そこで、上記スプレーペイント方式の画像露光装置の場合には、図4に示すように、予め、各感光体ドラム202の表面にレーザビームLBを、感光体ドラム202の回転方向の上流側に向けて、所定の角度だけ傾斜した状態で走査露光するように構成し、各感光体ドラム202が所定の速度で回転した状態で、各感光体ドラム202の軸方向に沿って傾斜することなく、レーザビームLBが精度良く露光され、中間転写ベルト201上で各色のトナー像が色ずれを生じることなく互いに重なって転写されるように構成されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記の如く構成されるタンデム型のカラー画像形成装置の場合には、転写材の種類が、普通紙か、あるいは厚紙やOHPシートなどかによって、プロセス速度を通常の速い速度と、通常の速度の1/2である遅い速度に切り換えるように構成されている。そのため、上記タンデム型のカラー画像形成装置においては、プロセス速度を、通常の速い速度から、通常の速度の1/2である遅い速度に切り換えたり、通常の速度の1/2である遅い速度から、通常の速い速度に切り換えた場合に、プロセス速度の切り換えに伴う設定速度との間の僅かなずれ(速度オフセット)が発生する。このプロセス速度の切り換えに伴う設定速度との間の僅かなずれ(速度オフセット)は、駆動源としてのモータの制御精度を、限界に近い程度にまで高めても、ある程度残るものである。
【0014】
このように、上記タンデム型のカラー画像形成装置において、プロセス速度の切り換えに伴って、設定速度と切り換え後の速度との間に、僅かな速度のずれ(速度オフセット)が存在すると、この僅かな速度のずれに起因して、最上流の画像形成ユニットと最下流の画像形成ユニットの色間で、プロセス方向のレジずれに起因する色ずれが発生するという問題点があった。この色ずれは、各画像形成ユニット間の間隔が大きい程、顕著になって現れる。
【0015】
また、色によってレーザビームLBのスキャン方向が異なるスプレーペイント方式の画像露光装置において、図28に示すように、プロセス速度を通常の速度から、1/n(例えば、n=2)の速度に切り換えたとき、ポリゴンミラー300の回転速度をそのままにして、(n−1)ライン(例えば、1ライン)毎に飛ばして書き込むように構成した場合には、図28に示すように、プロセス速度が通常の速度のときに、レーザビームLBが感光体ドラム202の軸方向に沿って、精度良く走査露光されるように設定されているため、プロセス速度が例えば1/2になると、走査方向が異なるレーザビームLBが、1/2ライン分だけ互いにずれた状態で、感光体ドラム202上に走査されることになる。そのため、中間転写ベルト201上に転写されるトナー像には、1/2ライン分の互いに傾斜した位置ずれ(スキュー)が発生するという問題点があった。
【0016】
さらに、上記タンデム型の画像形成装置の場合には、各画像形成ユニットの間隔や、最終段の画像形成ユニットから二次転写位置までの距離などによっては、中間転写ベルトの二次転写位置に転写用紙が突入した際に、最終段の画像形成ユニットでは、未だ、感光体ドラム上から画像を転写中である場合が起こり得る。
【0017】
このように、中間転写ベルトの二次転写位置に転写用紙が突入する際に、最終段の画像形成ユニットが未だ画像を転写中である場合には、中間転写ベルトの二次転写位置に転写用紙が突入する際の衝撃が、中間転写ベルトを介して最終段の画像形成ユニット等に伝わり、当該最終段の画像形成ユニット等から中間転写ベルト上に二次転写される画像が乱れるという問題点を有していた。この画像の乱れは、1枚の転写用紙の画像中において、最終段の画像形成ユニット等で形成される色の画像のみがずれるものであるが、当該最終色が黒色等の場合には、非常に目立ったものとなり、画質を大幅に低下させることになる。
【0018】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その第1の目的とするところは、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止可能な画像形成装置を提供することにある。
【0019】
また、この発明の第2の目的とするところは、画像形成ユニットによってレーザビームのスキャン方向が異なる画像露光装置を用いた画像形成装置において、プロセス速度を切り換えた場合に、レーザビームのスキューに伴うレジずれの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、中間転写体上又は転写材担持体に担持された転写材上に、異なった色のトナー像を多重に転写することにより、転写材上にカラーの画像を形成可能であるとともに、中間転写体又は転写材担持体の移動速度を、複数のプロセス速度に切り替え可能な画像形成装置であって、上記中間転写体上又は転写材担持体上に、色の異なる複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを順次形成し、前記中間転写体上又は転写材担持体上に形成された複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを、パターン検出手段によって検出することにより、カラー画像形成位置ずれを補正するように構成した画像形成装置において、所定のタイミングで、所定の各速度にてカラー画像形成位置ずれ量を検出し、通常のプロセス速度と他のプロセス速度とにおけるカラー画像形成位置ずれ量の差分を、記憶手段に記憶し、次回のカラー画像形成位置ずれ量の検出までの間、前記複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを形成せずに、プロセス速度を切り替える度に、上記カラー画像形成位置ずれ量の差分又は当該カラー画像形成位置ずれ量の差分に所定の演算を行なった結果を反映して、カラー画像形成位置ずれ量を補正するように構成したものである。
【0024】
また、請求項2に記載された発明は、所定の各速度における最初の画像形成動作時に、当該プロセス速度においてカラー画像形成位置ずれ検出用パターンの検出に伴うカラー画像形成位置ずれの補正動作を実行し、以降、プロセス速度の切り替え時に、所定の条件を満たせば、画像形成動作の最初にカラー画像形成位置ずれの補正動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0025】
さらに、請求項3に記載された発明は、環境条件とカラー画像形成位置ずれの相関関係と、プロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分とカラー画像形成位置ずれの相関関係の少なくとも一方をテーブル化し、環境条件の変化及びプロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分の検出結果の少なくとも一方に基づいて、カラー画像形成位置ずれをフィードフォワード補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
参考例1
図2はこの発明の参考例1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンターを示すものである。また、図3はこの発明の参考例1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示すものである。
【0031】
図2及び図3において、1はタンデム型のデジタルカラープリンター及び複写機の本体を示すものであり、デジタルカラー複写機の場合には、図3に示すように、本体1の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配設されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
【0032】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとしてIPS(Image Processing System)12に送られ、このIPS12では、原稿2の反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。また、IPS12は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、所定の画像処理を行なうようになっている。
【0033】
そして、上記の如くIPS12で所定の画像処理が施された画像データは、同じくIPS12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の原稿再現色材階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13KのROS(Raster Output Scanner)14に送られ、この画像露光装置としてのROS14では、所定の色の原稿再現色材階調データに応じてレーザビームLBによる画像露光が行なわれる。
【0034】
ところで、上記タンデム型のデジタルカラープリンター及び複写機本体1の内部には、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0035】
これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、すべて同様に構成されており、大別して、所定の速度で回転駆動される像担持体としての感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール16と、当該感光体ドラム15の表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置としてのROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像する現像器17と、感光体ドラム15の表面を清掃するクリーニング装置18とから構成されている。
【0036】
上記ROS14は、図2及び図3に示すように、4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の原稿再現色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記ROSは、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成して勿論よい。
【0037】
上記4つの半導体レーザから出射された各レーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、1つの回転多面鏡19に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。その際、上記4つの半導体レーザから出射された各レーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kのうち、レーザビームLB−YとレーザビームLB−Mは、回転多面鏡19の一方の側面に照射され、他のレーザビームLB−CとレーザビームLB−Kは、回転多面鏡19の反対側の側面に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。その結果、レーザビームLB−Y、LB−Mと、レーザビームLB−C、LB−Kとでは、回転多面鏡19によって偏向走査される方向が互いに逆方向となる。上記回転多面鏡19によって偏向走査されたレーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して、複数枚の反射ミラー201 〜203 によって反射され、各画像形成ユニットの感光体ドラム15上に、ウインドウ21を通して斜め下方から走査露光される。
【0038】
上記IPS12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通して設けられたROS14に、各色の画像データが順次出力され、このROS14から画像データに応じて出射されたレーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム15の表面に走査露光され、静電潜像が形成される。
【0039】
かかるスプレーペイント方式のROS14の場合には、図2に示すように、図示しない4つの半導体レーザから出射された4本のレーザビームLB−K、LB−Y、LB−M、LB−Cを、2つの画像形成ユニット13Y、13Mと他の2つの画像形成ユニット13C、13Kとで、回転多面鏡19の反対側に位置する面に照射して偏向走査するものであるため、回転多面鏡19の片側に位置する面で偏向走査されるレーザビームLB−Y、LB−Mと、回転多面鏡19の反対側に位置する面で偏向走査されるレーザビームLB−C、LB−Kとでは、図4に示すように、感光体ドラム15上に走査露光されるレーザビームの走査方向が、互いに反対方向となる。なお、図4では、便宜上、感光体ドラム15とROS14の位置関係が上下逆となっている。
【0040】
そこで、上記スプレーペイント方式のROS14の場合には、図4に示すように、予め、各感光体ドラム15の表面にレーザビームLBを、感光体ドラム15の回転方向の上流側に向けて、所定の角度だけ傾斜した状態で走査露光するように構成し、各感光体ドラム15が所定の速度で回転した状態で、各感光体ドラム15の軸方向に沿って傾斜することなく、レーザビームLBが精度良く露光されるように構成されている。
【0041】
そして、上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、図2及び図3に示すように、現像器17によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0042】
上記各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの上方にわたって配置された中間転写ベルトユニット22の中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26によって多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、バックアップロール28と、テンショロール24との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0043】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、圧接力及び静電気力で転写材としての転写用紙30上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された転写用紙30は、上方に位置する定着器31へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に位置しており、下方から上方に向けて搬送される転写用紙30上に、各色のトナー像を一括して二次転写するようになっている。そして、上記各色のトナー像が転写された転写用紙30は、定着器31によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール32によって本体1の上部に設けられた排出トレイ33上に排出される。
【0044】
上記転写用紙30は、図2及び図3に示すように、給紙カセット34から所定のサイズのものが、給紙ロール35及び用紙分離搬送用のロール対36により用紙搬送路37を介して、レジストロール38まで一旦搬送され、停止される。上記給紙カセット34から供給された転写用紙30は、所定のタイミングで回転するレジストロール38によって中間転写ベルト25の二次転写位置へ送出される。
【0045】
なお、上記デジタルカラープリンター及び複写機において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、片面に画像が定着された転写用紙30を、排出ロール32によって排出トレイ33上にそのまま排出せずに、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替え、用紙搬送用のロール対39を介して両面用搬送ユニット40へと搬送する。そして、この両面用搬送ユニット40では、搬送経路41に沿って設けられた図示しない搬送用のロール対により、転写用紙30の表裏が反転された状態で、再度レジストロール38へと搬送され、今度は、当該転写用紙30の裏面に画像が転写・定着された後、排出トレイ33上に排出される。
【0046】
図2及び図3中、44Y、44M、44C、44Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器17に、所定の色のトナーを供給するトナーカートリッジをそれぞれ示している。
【0047】
図5は上記デジタルカラープリンター及び複写機の各画像形成ユニットを示すものである。
【0048】
上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、図5に示すように、すべて同様に構成されており、これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、上述したように、感光体ドラム15を備えており、これらの感光体ドラム15の表面は、一次帯電用の帯電ロール16によって一様に帯電される。その後、上記感光体ドラム15の表面は、ROS14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LBが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15上に走査露光されるレーザ光LBは、当該感光体ドラム15の真下よりやや右側寄りの斜め下方から、所定の傾斜角度で露光されるように設定されている。上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17の現像ロール17aによってそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。
【0049】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15の表面は、クリーニング装置18によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記クリーニング装置18は、クリーニグブレード42を備えており、このクリーニグブレード42によって感光体ドラム15上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。また、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト25の表面は、図2及び図3に示すように、クリーニング装置43によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記クリーニング装置43は、クリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bを備えており、これらのクリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bによって、中間転写ベルト25上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0050】
ところで、この参考例1では、中間転写体上に、色の異なる複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを順次形成し、前記中間転写体上に形成された複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを、パターン検出手段によって検出することにより、カラー画像形成位置ずれを補正するように構成されており、前記中間転写体の移動速度を所定のプロセス速度に変更したとき、当該プロセス速度の変更に起因するカラー画像形成位置ずれ分を補正するように構成されている。
【0051】
すなわち、この参考例1では、中間転写ベルト25上に所定のタイミングで、カラーレジずれ検出用のパターン50を形成し、このカラーレジずれ検出用パターン50を検出して、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kのカラーレジずれを補正した後、カラー画像を形成するように構成されている。
【0052】
カラーレジずれ検出用パターン50としては、図6に示すように、第1の基準色からなる第1番目の山形マーク51KKと、第2の被測定色からなる第2番目の山形マーク51YYと、第1の色と第2の色からなる第3番目の山形マーク51KYマークを、1つの単位として被測定色のすべてを組み合わせたパターンが用いられる。図7に示すパターン50の組み合わせが基準色と対象色における1ブロックとする。このパターンを実際に用いる場合には、図6に示すように、数ブロック分繰り返して形成してサンプルする。ここでは、中間転写ベルト25の1周分のサンプルを仮定して、本発明の実施の形態1を説明する。
【0053】
図8は上記カラーレジずれ検出用のパターン検出器60を示す斜視構成図である。
【0054】
図8において、61はパターン検出器60の筐体であり、62a、62bは中間転写ベルト25上に形成されたカラーレジずれ検出用のパターン50をそれぞれ照明する2つの発光素子であり、63a、63b及び64a、64bは中間転写ベルト25上に形成されたカラーレジずれ検出用パターン50の異なった山型マーク51からからの反射光をそれぞれ受光する2組の各受光素子を示すものである。上記2つの発光素子62a、62bとしては、例えば、特定波長の光、あるいは所定の波長分布を持った光を出射するLEDなどが用いられ、これらの発光素子62a、62bは、中間転写ベルト25上の1つの検出位置を、互いに所定の角度だけ傾斜した反対側の斜め方向から照明するように配置されている。また、上記2組み受光素子63a、63b及び64a、64bは、中央部が互いに接触し、両端部が水平方向に対して所定の角度だけ下方に傾斜した状態で配置された、2つの受光素子63a、63bと64a、64bとを備えており、各受光素子63a、63bと64a、64bは、図8に示すように、反射光の検知タイミング及び検知角度が互いに異なるように設定されている。
【0055】
上記パターン検出器60は、図9に示すように、中間転写ベルト25上に形成されたカラーレジずれ検出用パターン50を検出すると、当該カラーレジずれ検出用パターン50の直線状のマーク51によって、一方の受光素子63bからは、図9(a)に示すように、先に滑らかな山型の波形が出力され、幾らか遅れて、他方の受光素子63aからも、図9(b)に示すように、滑らかな山型の波形が出力される。そして、これら2つの受光素子63b、63aから出力される波形を増幅してから差分をとるか、差分をとってから増幅することにより、図9(c)に示すように、一旦大きく山型に立ち下がってから、今度は大きく山型に立ち上がる出力波形が得られる。そこで、上記2つの受光素子63a、63bから出力される波形の差分をとることにより、CCD等の高精度のセンサーを使用しなくとも、図9(d)に示すように、カラーレジずれ検出用パターン50の直線状のマーク51を、高解像度で精度良く検出することが可能となる。
【0056】
図10はこの参考例1に係るカラーレジずれ補正装置の一態様を示すブロック図である。
【0057】
図10において、70はタンデム型のデジタルカラー複写機の画像形成動作、及びカラーレジずれの検出並びに校正動作などを制御するCPU、71はCPU70が実行する画像形成動作や、カラーレジずれの検出並びに校正動作などを制御するためのソフトウエアのプログラムを記憶したROM、72はパターン検出器60の発光素子62a、62bを構成するLEDを点灯するLEDドライバー、73はパターン検出器60の受光素子63a、63b及び64a、64bでデータをサンプリングする閾値を制御するPWM回路(パルス幅変調回路)、60は中間転写ベルト25の例えば幅方向の両端部と中央部の3箇所(必要に応じて、両端部のみ等でもよい)に形成されるカラーレジずれ検出用パターンを検出するパターン検出器、74はこれらのパターン検出器60から出力されるカラーレジずれ検出用パターン検出時の所定のパルス間(立ち上がり)の時間間隔を、基準クロックパルスに基づいて計測するカウンタ、75はCPU70からの指令にも基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13BKのROS14Y、14M、14C、14BKに、所定のタイミングで原稿2の画像情報あるいはカラーレジずれ検出用パターン50を形成するための画像情報を出力する画像出力回路、76はカラーレジずれ検出用パターン50の画像情報を予め記憶したレジパターン格納ROMをそれぞれ示すものである。
【0058】
図1はこの参考例1に係るタンデム型のデジタルカラープリンター及び複写機の制御回路を示すブロック図である。なお、図1では、便宜上、感光体ドラム15とROS14の位置関係が上下逆となっている。
【0059】
図1において、80はデジタルカラープリンター及び複写機の動作を制御するメインコントローラ、81はモータドライバ、82はベルト駆動モータ、83は画像書き込みタイミング制御部、14はROS、84はデジタルカラープリンター及び複写機本体1の温度を検知する温度検知センサ、60はパターン検出器をそれぞれ示すものである。
【0060】
以上の構成において、この参考例1に係る画像形成装置では、次のようにして、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止可能となっている。
【0061】
すなわち、この参考例1に係るタンデム型のカラー画像形成装置においては、図2及び図3に示すように、普通紙以外に厚紙やOHPシートなどの転写材30にも、カラー画像を形成することが可能となっており、厚紙やOHPシートなどの転写材30にカラー画像を形成する場合には、転写性や定着性を良好とするため、プロセス速度を切り替えるように構成されている。その際、上記タンデム型のカラー画像形成装置では、図11に示すように、普通紙にカラー画像を形成する場合、通常の相対的に速いプロセス速度(全速)に設定され、厚紙やOHPシートなどの転写材にカラー画像を形成する場合、通常のプロセス速度の例えば1/2の速度(半速)に切り替えられる。しかし、上記タンデム型のカラー画像形成装置では、プロセス速度を切り替えた際に、図11(b)に示すように、目標とするプロセス速度との間に僅かな速度の差(オフセット)ΔVが必然的に生じ、この速度の差(オフセット)ΔVがカラー画像の位置ずれの原因となる。
【0062】
なお、上記タンデム型のカラー画像形成装置においては、プロセス速度を、通常の相対的に速いプロセス速度と、通常のプロセス速度の例えば1/2の速度に、2段階に切り替える場合以外に、必要に応じて、厚紙を極厚い紙と中厚紙に分けたり、OHPシートを別のプロセス速度に設定するなど、3つ乃至4つ以上の複数のプロセス速度に切り替えるように設定しても勿論よい。
【0063】
そして、この参考例1では、上記CPU70によってタンデム型のデジタルカラー複写機の画像形成動作を制御するのは勿論のこと、当該タンデム型のデジタルカラー複写機のプロセス速度が切り替えられたときに、CPU70は、中間転写ベルト25上に図6及び図7に示すようなカラーレジずれ検出用パターン50を形成し、このカラーレジずれ検出用パターン50をパターン検出器60によって検出して、基準となる色のパターンに対して対象となる画像形成ユニット13Y、13M、13Cで形成されるカラーレジずれ検出用パターン50がどの程度ずれているかを検出して、このカラーレジずれを校正する制御を行なうようになっている。
【0064】
このように、上記参考例1では、プロセス速度が切り替えられたときに、中間転写ベルト25上にカラーレジずれ検出用パターン50を形成し、このカラーレジずれ検出用パターン50をパターン検出器60によって検出して、基準となる色のパターンに対して対象となる画像形成ユニット13Y、13M、13Cで形成されるカラーレジずれ検出用パターン50がどの程度ずれているかを検出して、このカラーレジずれを校正する制御を行なうように構成されているので、プロセス速度の切り替えに伴って、図12に示すように、プロセス速度の切り換えに伴う設定速度との間の僅かなずれ(速度オフセット)が発生した場合でも、当該設定速度との間の僅かなずれ(速度オフセット)に伴うカラーレジずれを校正することができ、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止することが可能となっている。
【0065】
実施の形態1
この実施の形態1について、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態1では、プロセス速度が切り替えられるたびに、中間転写ベルト上にカラーレジずれ検出用パターンを形成し、カラーレジずれを校正する制御を行なうのではなく、所定のタイミングでプロセス速度の切り換えに伴う設定速度との間のずれ(速度オフセット)を検出して、これを記憶手段に記憶しておき、画像形成動作を実行する際に、プロセス速度の切り替え動作に伴って、記憶手段に記憶された設定速度との間のずれ (速度オフセット)のデータに基づいて、画像形成タイミング等を制御し、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止するように構成されている。
【0066】
すなわち、この実施の形態1では、次に示すように、所定のタイミングでプロセス速度の切り替えに伴う感光体ドラム及び中間転写ベルトの設定速度との間のずれ(速度オフセット)を検出して、これを記憶手段に記憶するように構成されている。
(1) 画像形成装置の電源ONや、画像形成動作を一定時間以上実行しなかった場合に、省電力モードに自動的に切り替える所謂スリープモードからの復帰時に、レジストコントロールサイクルを実行し、当該レジストコントロールサイクル実行時
(2) 画像形成装置に予め設定された通常のレジストコントロールサイクル実行時(例えば、画像形成装置内の温度が所定の温度以上変化した場合や、所定枚数だけ画像形成動作を実行したとき、あるいは感光体ドラムの累積回転数が所定の値に達したときなどに、レジストコントロールサイクルを実行し、当該レジストコントロールサイクル実行時)
(3) (2) に示す通常のレジコンサイクルのn回に一度
(4) N日またはM時間に一度、あるいは最初の通常のレジストコントロールサイクル毎
(5) 画像形成装置の工場出荷調整時
(6) サービスエンジニアによる作業時
(7) 感光体ドラムや現像器などのキーパーツの交換時
(8) ユーザーからの要求等があったとき
(9) 所定枚数だけ画像形成動作を実行する毎
(10) (1) (9) のいくつかの複合タイミング
【0067】
そして、上記の所定のタイミングでプロセス速度の切り替えに伴う感光体ドラム及び中間転写ベルトの設定速度との間のずれ(速度オフセット)を検出して、これを記憶手段に記憶するようになっている。
【0068】
上記所定のタイミングでプロセス速度の切り替えに伴う設定速度との間のずれ(速度オフセット)の検出は、例えば、次のように行われる。
(1) 中間転写ベルト25上に所定周期で形成されたトナー像パターンの実際の間隔 (センサ検知ポイントをパターンが通過する時間間隔)を測定
(2) 中間転写ベルト25上に予め設けられたパターン(シール等)の間隔(センサ検知ポイントをパターンが通過する時間間)を測定
(3) 中間転写ベルト25や感光体ドラム15の駆動モーターに取り付けられたエンコーダ出力
(4) 中間転写ベルト25や感光体ドラム15に従動回転するローラに取り付けられたエンコーダ
(5) その他、中間転写ベルト25や感光体ドラム15の表面速度を非接触で測定できる測定検出手段
【0069】
この実施の形態では、例えば、図12に示すように、中間転写ベルト25と感光体ドラム15の回転速度を、中間転写ベルト25上に予め設けられたベルトホーム検知用のパターンと、中間転写ベルト25と感光体ドラム15の駆動モーターに取り付けられたエンコーダの出力によって検出するように構成されている。
【0070】
次に、上記の如く検出されたプロセス速度の切り替えに伴う感光体ドラム及び中間転写ベルトの設定速度との間のずれ(速度オフセット)を、記憶手段に記憶する。
【0071】
そして、上記画像形成装置において、プロセス速度を切り替える際に、記憶手段に記憶されたプロセス速度の切り替えに伴う設定速度との間のずれ(速度オフセット)の値に応じて、当該設定速度との間のずれ(速度オフセット)に伴うカラーレジストレーションのずれを予め補正するように、画像形成動作を実行するようになっている。
【0072】
このように、上記実施の形態1によれば、プロセス速度を切り替える毎に、中間転写ベルト上にカラーレジずれ検出用パターンを形成し、カラーレジずれを校正する制御を行なう必要がないので、画像形成装置の生産性を大幅に向上することができるとともに、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止することが可能となっている。
【0073】
その他の構成及び作用は、前記参考例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
実施の形態2
この発明の実施の形態2について、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、ユーザーのプロセス速度の使用頻度を学習し、その状況に応じて実施の形態1の (3) (4) のn、N、Mまたはどの速度への切り換え時において、レジ補正を行なうかを変更するように構成されている
【0075】
すなわち、上記の如く構成される画像形成装置において、プロセス速度を複数の速度に切り替え可能に構成した場合でも、ユーザーは、必ずしも、複数のプロセス速度にランダムに切り替えを行うわけではなく、ユーザーに応じて、頻繁に使用するプロセス速度は、大体決まっており、プロセス速度を切り替える頻度やタイミングも、大体決まっている場合が多い。
【0076】
そこで、この実施の形態2では、ユーザーのプロセス速度の使用頻度を学習し、この学習したユーザー毎のプロセス速度の使用頻度に応じて、上記実施の形態1(3) (4) に記載載されているように、(3) (2) に示す通常のレジコンサイクルのn回に一度や、(4) のN日またはM時間に一度、あるいは最初の通常のレジストコントロールサイクル毎において、n、N、Mまたはどの速度への切り換え時において、レジ補正を行なうかを変更するように構成されている。
【0077】
例えば、あるユーザーAは、通常のプロセス速度で画像形成動作を行ない、他のプロセス速度にほとんど切り替えない場合には、プロセス速度の切り替えに伴う設定速度との間のずれ(速度オフセット)を検出する動作は、行わなくても良い。
【0078】
また、あるユーザーBは、通常のプロセス速度と遅いプロセス速度との間で、頻繁にプロセス速度の切り替えを行う場合には、(3) (2) に示す通常のレジコンサイクルのn回に一度や、(4) のN日またはM時間に一度、あるいは最初の通常のレジストコントロールサイクル毎において、n、N、Mの値を相対的に小さい値に設定し、しかも、特定のプロセス速度間で切り替えを頻繁に行う場合には、当該特定のプロセス速度間での切り換え時においてのみ、レジ補正を行なうように構成しても良い。
【0079】
さらに、あるユーザーCは、通常のプロセス速度と遅いプロセス速度との間で、まれにプロセス速度の切り替えを行う場合には、n、N、Mの値を相対的に大きい値に設定し、しかも、特定のプロセス速度間で切り替えを頻繁に行う場合には、当該特定のプロセス速度間での切り換え時においてのみ、レジ補正を行なうように構成しても良い。
【0080】
その他の構成及び作用は、前記参考例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
実施の形態3
この実施の形態3について、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、環境条件とカラー画像形成位置ずれの相関関係と、プロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分とカラー画像形成位置ずれの相関関係の少なくとも一方をテーブル化し、環境条件及びプロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分の検出結果の少なくとも一方に基づいて、カラー画像形成位置ずれをフィードフォワード補正するように構成されている。
【0082】
すなわち、この実施の形態では、図13に示すように、環境条件としての温度とカラー画像形成位置ずれの相関関係と、図14に示すように、プロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分(プロセス速度オフセット量)とカラー画像形成位置ずれ(レジずれ量)の相関関係をテーブル化し、温度条件及びプロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分の検出結果の少なくとも一方に基づいて、カラー画像形成位置ずれをフィードフォワード補正するように構成されている。その際、「プロセス速度オフセット量とレジずれ量の関係」のテーブルは、例えば、過去N回の「カラー画像形成位置ずれ補正結果とプロセス速度モニター結果」を平均したデータに基づいて作成される。
【0083】
また、装置の電源ON、インターロックオープン時、スリープモード解除、既定値以上の衝撃検知時、CRU交換時またはジャム除去時等のタイミングでカラー画像形成位置ずれ補正サイクルが入った場合、それ以前の「プロセス速度オフセット量とレジずれ量の関係」のデータはクリアされるように構成しても良い。
【0084】
さらに、レジコンサイクルの結果、それ以前の「プロセス速度オフセット量とレジずれ量の関係」と最新のデータが所定の閾値以上異なっている場合、過去のデータをクリアする。
【0085】
また、プロセス速度検知のために、速度を切り換えた際、所定時間ベルトを空送り(ジョブ、用紙は流さない)する。その際、空送り中における各色の所定描画時間の平均速度をモニターし、速度切り換え後のカラーのファーストジョブのレジ制御にフィードバックする。
【0086】
さらに、「環境情報とカラーレジずれ」のFF補正テーブルを、通常のレジコン結果を元に書き換える(学習機能)ように構成するのが望ましい。
【0087】
また、「環境情報とカラーレジずれ」のテーブルを作成する際、過去N回のレジコン結果に基づく「環境情報とカラーレジずれ」テーブルデータを記録し、それらを平均することで補正テーブルを作成するように構成するのが望ましい。
【0088】
さらに、過去N回のレジ結果に基づく「環境情報とカラーレジずれ」テーブルデータを記録し、これらのばらつきが、ある閾値以上の場合、(1)環境条件に対するFF補正中止、または(2)同補正量を初期値にリセット、が選択可能なように構成するのが望ましい。
【0089】
また、過去N回のレジコン結果に基づく補正テーブル平均時、ある閾値を超える補正量を含むテーブルのデータを除去するように構成するのが望ましい。
【0090】
さらに、カラー画像形成位置ずれ補正サイクルが入るまでの間に、電源オフ・オン、インターロックオープン、スリープモード解除、設定値以上の衝撃検知時、CRU(画像形成ユニット)交換時、またはジャム解除時等のタイミングでカラー画像形成位置ずれ補正サイクルが入った場合、過去の補正テーブルをキャンセルするように構成するのが望ましい。
【0091】
また、機内に複数の環境情報(例えば、温度)センサを有し、その各々について「環境情報とカラーレジ」テーブルを作成するように構成するのが良い。
【0092】
このうち、「環境情報とカラーレジ」の関係が最も再現性良く、且つ通常環境(例:10〜40℃、湿度40〜80%、等)範囲における|Δレジずれ量/単位環境変化量|が大きい上位N個の環境センサを、レジ補正用に採用するのが補正精度を向上させる上で望ましい。
【0093】
また、上記の如く機内N箇所の環境情報データから、N次元「環境情報分布とカラーレジずれ」のテーブルを作成し、このN次元のテーブルを用いて、カラーレジずれの補正量を決定することにより、補正精度を向上させることが可能となる。
【0094】
環境条件、またはプロセス速度オフセット量に対するFF(フィードフォワード)補正は、インターイメージ間で(マシン生産性を落とさずに)実施するように構成するのが望ましい。
【0095】
また、環境条件、またはプロセス速度オフセット量に対するFF補正実施条件は、色毎に任意に設定できるように構成するのが望ましい。
【0096】
さらに、環境条件、またはプロセス速度オフセット量に対するFF補正実施条件は、補正内容(Yマージン、Xマージン、スキュー、倍率、倍率バランス、BOW、リニアリティー等)毎に設定可能で個別に補正できるように構成するのが望ましい。
【0097】
また、複数の環境情報センサの一部において、故障等により出力が所定の環境レンジを超えた場合、その出力を無視、あるいは、下記の何れかの方法で、当該センサ出力の代用とするように構成するのが望ましい。
(1) 最も近傍のセンサの出力
(2) 近傍の複数のセンサ出力の平均
(3) 近傍の1つまたは複数のセンサの出力に所定の演算を行なった結果の値
【0098】
さらに、機内N箇所の環境情報分布データを、各箇所のエアーフローの強さにFB(フィードバック)するするように構成するのが望ましい。
【0099】
また、白黒モード専用の速度時はレジコンサイクルを実施しないように構成されている。
【0100】
さらに、カラー画像形成位置ずれ補正は、カラージョブの直前でのみ実施し、白黒ジョブの前では実施しないように構成されている。
【0101】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0102】
実施の形態4
図15はこの発明の実施の形態4を示すものであり、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、像担持体を有する複数の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットの像担持体に、回転多面鏡の対向する面によって複数本のレーザビームを偏向走査することにより、画像露光を施して静電潜像を形成し、当該静電潜像を各色のトナーによって現像し、各画像形成ユニットの像担持体上に形成された色の異なるトナー像を、中間転写体上又は転写材担持体に担持された転写材上に多重に転写することにより、転写材上にカラーの画像を形成可能であるとともに、中間転写体又は転写材担持体の移動速度を、複数のプロセス速度に切り替え可能な画像形成装置であって、プロセス速度の変更時、回転多面鏡の回転速度を変更せず、各画像形成ユニットの像担持体へのレーザビームの書き込み線数を変更するように構成した画像形成装置において、前記プロセス速度の変更に伴う各画像形成ユニットの像担持体へのレーザビームの書き込み方向のずれが、画像上に現れないように各画像形成ユニットの像担持体へのレーザビームの書き込み方向を設定するように構成されている。
【0103】
すなわち、この実施の形態4では、スプレーペイント方式のROS14を使用した場合に、図4に示すように、予め、各感光体ドラム15の表面にレーザビームLBを、感光体ドラム15の回転方向の上流側に向けて、所定の角度だけ傾斜した状態で走査露光するように構成し、各感光体ドラム15が所定の速度で回転した状態で、各感光体ドラム15の軸方向に沿って傾斜することなく、レーザビームLBが精度良く露光されるように構成するのではなく、図15に示すように、感光体ドラム15の通常の回転速度(全速)において、図4に示す所定の角度よりも更に所定量だけ感光体ドラムの回転方向上流側に傾斜した状態で走査露光するように構成されている。
【0104】
このように構成することにより、感光体ドラム15が通常の回転速度(全速)で回転している場合には、レーザビームLBが感光体ドラム15の軸方向に沿って走査露光されずに、レーザビームLBが感光体ドラム15の軸方向よりも若干上流側に傾斜した状態で走査露光されるようになっている。そのため、レーザビームLBの走査方向が異なる感光体ドラム15上に書き込まれた直線は、図15に示すように、例えば1/4ラインだけ互いに傾斜した状態で重ね合わされるようになっている。
【0105】
また、上記の構成において、感光体ドラム15が通常の1/2の回転速度(半速)で回転している場合には、レーザビームLBが感光体ドラム15の軸方向に沿って走査露光されずに、レーザビームLBが感光体ドラム15の軸方向よりも若干下流側に傾斜した状態で走査露光されるようになっている。そのため、レーザビームLBの走査方向が異なる感光体ドラム15上に書き込まれた直線は、図15に示すように、例えば1/4ラインだけ互いに逆方向に傾斜した状態で重ね合わされるようになっている。
【0106】
その結果、感光体ドラム15が通常の1/2の回転速度(半速)で回転している場合でも、従来のように、レーザビームLBの走査方向が異なる感光体ドラム15上に書き込まれた直線を重ね合わせたときのずれ量は、1/2ラインとならずに、その半分の1/4ラインとなり、画像のずれをほとんど目立たないものとすることができる。
【0107】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
参考例2
この参考例2について、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この参考例2では、中間転写体上に異なった色のトナー像を多重に転写するとともに、当該中間転写体上に多重に転写された異なった色のトナー像を、転写位置で転写材に転写することにより、カラー画像を形成することが可能な画像形成装置において、前記転写位置に転写材が突入することによって中間転写体に速度変動が生じることに伴う、カラー画像形成位置ずれを予め予測して、当該カラー画像形成位置ずれを抑制するように、カラー画像形成位置を補正するように構成されている。
【0109】
すなわち、この参考例2では、図2及び図3に示すように、転写位置に厚紙からなる転写用紙30が突入することによって中間転写ベルト25に速度変動が生じると、第4の画像形成ユニット13Kにおいては、まだトナー像を感光体ドラム15上から中間転写ベルト25に転写中であるため、図16(a)に示すように、転写用紙30の後端部に転写される第4の画像形成ユニット13Kで形成される黒色のトナー像がずれてしまうことになる。
【0110】
そこで、この参考例2では、転写位置に厚紙からなる転写用紙30が突入することによって中間転写ベルト25に速度変動が生じることに伴う、カラー画像形成位置ずれを予め予測して、図16(b)に示すように、黒色のカラー画像形成位置ずれが目立たないように、黒色のカラー画像形成位置のずれを転写用紙30全面で分散させるように構成されている。
【0111】
なお、画像露光装置がLED等からなる場合には、転写用紙30の後端部近傍に転写される黒色のトナー像のみを、黒色のカラー画像形成位置ずれが目立たないように分散させるように構成しても良い。
【0112】
また、前記転写位置に転写材が突入することによって中間転写体に速度変動が生じることに伴うカラー画像形成位置ずれの程度が、ジョブ開始からのプリント枚数やプリント画像の色等によって変化する場合には、当該カラー画像形成位置ずれの程度に応じて、カラー画像形成位置の補正量を変更するように構成しても良い。
【0113】
その他の構成及び作用は、前記参考例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0114】
実施の形態5
この実施の形態5について、前記参考例1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態5では、画像露光装置のミラーの位置ずれ等に伴うカラー画像の位置ずれを自動的に補正可能となっているとともに、カラー画像の位置ずれを検出する検出手段の数を減らすことができ、コストダウンが可能となっている。
【0115】
すなわち、画像露光装置としてのROS14は、図2及び図3に示すように、図示しない4つの半導体レーザを備えており、当該4つの半導体レーザから出射された各レーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、1つの回転多面鏡19に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。上記回転多面鏡19によって偏向走査されたレーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して、複数枚の反射ミラー201 〜203 によって反射され、各画像形成ユニットの感光体ドラム15上に走査露光される。
【0116】
ところで、上記ROS14では、感光体ドラム15上にレーザビームLB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを走査露光する複数枚の反射ミラー201 〜203 等に、取り付け位置のずれがあると、感光体ドラム15上に形成される画像のずれとなり、結果的にカラー画像の位置ずれを生じさせる。
【0117】
このカラー画像の位置ずれは、大別すると、(1)画像の傾き(以下、単に「スキュー」という。)によるもの、(2)主走査倍率の違いによるもの、(3)主走査位置の違いによるもの、(4)副走査位置の違いによるもの、及び(5)像の湾曲(BOW)によるもの、(6)倍率バランスによるものに分けることができる。
【0118】
図17は説明を簡単にするために2色の画像についての色ずれの状態を各原因別に表したものである。この図では横軸方向が主走査方向であり、縦軸方向が副走査方向となっている。同図(1)はスキューによる色ずれの一例を示している。スキューによる色ずれは、感光体ドラム上における走査線の方向が各色によって微妙にずれることによるものであり、A色のライン90Aとこれとは異なるB色のライン90Bは副走査方向が異なるために色ずれを生じている。このような色ずれは、例えば、各画像形成ユニットのROSのミラーの傾きが微妙に異なっている場合に発生する。
【0119】
同図(2)は主走査方向の倍率の違いによる色ずれの一例を示している。両者が同一ライン上に位置決めされていたとしても、A色のライン91Aとこれとは異なるB色のライン91Bは主走査方向の倍率が異なるために1ラインの長さが異なる。したがって、一般に主走査方向の端の方ほど色ずれがひどくなる。このような色ずれは、例えば、1ラインの走査に際しての光学系における倍率が2つの画像形成ユニットで異なっているときに発生する。
【0120】
同図(3)は主走査位置の違いによる色ずれの一例を示している。A色のライン92AとB色のライン92Bはそれぞれのライン長は同じであるが、それぞれの始点がずれている。したがって、例えば2色を重ね合わせたラインを記録すると、両端にそれぞれの色が1色ずつ色ずれとして現れることになる。このような色ずれは、例えば画像の書き出し位置がずれたときに発生する。
【0121】
同図(4)は副走査方向の位置の違いによる色ずれの一例を示している。A色のライン93Aは、副走査方向の始点がずれている。したがって、例えば2色を重ね合わせたラインを記録すると、この図のように色ずれとして現れることになる。このような色ずれは、例えば2つの感光体ドラムの位置が微妙に異なる場合に発生する。
【0122】
同図(5)は像の湾曲による色ずれの一例を示している。A色のライン94Aは、湾曲が発生していないが、B色のライン94Bは、湾曲が図で上向きに発生している。このため、この例では2つのライン94A、94Bのほぼ中央で色ずれが顕著になる。このような色ずれは、例えばROSの光学レンズに湾曲が発生している場合に生じる。
同図(6)は倍率バランスによる色ずれの一例を示している。A色のライン94Aは、ラインの両端部から中央までの長さが互いに等しく、倍率バランスは良いが、B色のライン94Bは、ラインの左端部から中央までの長さの方が右端部から中央までの長さのよりも短く、倍率バランスがくずれている。このような色ずれは、例えばROSの回転多面鏡に速度変動等が発生している場合に生じる。
【0123】
そこで、この実施の形態5では、カラー画像の位置ずれとして、(1)画像の傾き(以下、単に「スキュー」という。)によるもの、(2)主走査倍率の違いによるもの、(3)主走査位置の違いによるもの、(4)副走査倍率の違いによるもの、(5)像の湾曲(BOW)によるもの、及び(6)倍率バランスによるものを検出し、これらの検出結果に基づいて、カラー画像の位置ずれを自動的に補正するように構成されている。
【0124】
この実施の形態5では、上記の(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれを検出するために、図18に示すように、黒色の画像形成ユニット13Kの側方に、カラーレジずれ検出用のパターン検出器60が配設されている。なお、このパターン検出器60の下方には、温度や湿度等の環境条件を検出する環境センサ84が配設されている。
【0125】
上記カラーレジずれ検出用のパターン検出器60は、図8に示すように構成されているが、(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれをすべて検出するためには、主走査方向及び副走査方向の画像の形成位置を、中間転写ベルト25の幅方向の両端部及び中央部の3個所で検出する必要がある。そのためには、パターン検出器60を中間転写ベルト25の幅方向の両端部及び中央部の3個所に配置する必要があり、そのままでは、パターン検出器60が3つ必要となる。
【0126】
そこで、この実施の形態5では、パターン検出器60の数を減らすため、中間転写ベルト25の幅方向の両端部に、それぞれパターン検出器60を配置し、一方の端部に配置されたパターン検出器60を、中間転写ベルト25の幅方向の中央部に移動可能に配設するように構成されている。その結果、パターン検出器60の数は、2つで済むことになる。
【0127】
上記2つのパターン検出器60A、60Bは、図19に示すように、パターン検出器ユニット100に取り付けられており、一方のパターン検出器60Aは、パターン検出器ユニット100に固定した状態で取り付けられている。また、他方のパターン検出器60Bは、ガイドレール101によって中間転写ベルト25の幅方向に沿って移動自在に取り付けられているとともに、ボールネジ102によって中間転写ベルト25の幅方向に沿って移動可能となっている。さらに、上記パターン検出器ユニット100の端部には、ボールネジ102を回動することによって、他方のパターン検出器60Bを中間転写ベルト25の幅方向に沿って移動するためのパターン検出器移動用ネジ103が設けられている。なお、上記ボールネジ102の内側の端部には、駆動モータMtを設けることにより、パターン検出器60Bの移動を自動的に行うように構成しても良い。
【0128】
そして、上記パターン検出器ユニット100では、他方のパターン検出器60Bを中間転写ベルト25の幅方向の端部と中央部に移動させることによって、2つのパターン検出器60A、60Bで(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれをすべて検出可能となっている。
【0129】
また、この実施の形態5では、(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれのうち、スキューや像の湾曲(BOW)を調整可能に構成されている。
【0130】
上記ROS14の感光体ドラム15上にレーザビームを走査露光する複数枚のミラー201 〜203 のうち、例えば最終段のミラー203 には、スキューを調整するためのスキュー調整機構104が設けられている。このスキュー調整機構104は、図20及び図21に示すように、最終段のミラー203 の一端を支持する部材に、当該最終段のミラー203 の側面に当接する偏心カム105が設けられており、この偏心カム105は、調整ネジ106によって回動可能となっている。
【0131】
また、ROS14の感光体ドラム15上にレーザビームを走査露光する複数枚のミラー201 〜203 のうち、例えば最終段の手前のミラー202 には、像の湾曲(BOW)を調整するための像湾曲調整機構107が設けられている。この像湾曲調整機構107は、図22及び図23に示すように、最終段の手前のミラー202 の一端部には、当該最終段の手前のミラー202 を湾曲させるための調整ネジ108が設けられている。
【0132】
さらに、この実施の形態5では、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、前記(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれを検出し、これらの(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれを自動的に補正するための自動レジ調整用治具を備えるように構成されている。
【0133】
この自動レジ調整用治具110は、図24に示すように、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、これらデジタルカラープリンターや複写機のフロントパネルを開いた状態で、当該デジタルカラープリンターや複写機本体1の前面に装着されるようになっている。この自動レジ調整用治具110は、デジタルカラープリンターや複写機本体1の前面に装着された状態で、デジタルカラープリンターや複写機本体1のパターン検出器移動用ネジ103と、ROS14の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに相当するスキュー用調整ネジ106と、像湾曲調整用ネジ108と結合し、これらのパターン検出器移動用ネジ103と、スキュー用調整ネジ106と、像湾曲調整用ネジ108を、所定量だけ所望の方向に回転駆動するための図示しない駆動モータを備えている。
【0134】
そして、上記自動レジ調整用治具110は、図24に示すように、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、当該デジタルカラープリンターや複写機本体1の前面に装着されるとともに、制御コード111を介してプリンターや複写機本体1の外部機器インターフェイス部112と接続され、デジタルカラープリンターや複写機本体1のCPU70とデータのやり取り行うことにより、補正動作を実行するように構成されている。
【0135】
図25は自動レジ調整用治具の内部に設けられた制御回路を、デジタルカラープリンターや複写機本体1の制御回路とともに示すブロック図である。
【0136】
図25において、120はデジタルカラープリンターや複写機本体1の制御回路のCPU70と通信を行い、カラー画像の位置ずれを自動的に補正するためのCPU、121は当該CPUの動作に基づいて警告等を表示する表示部、122はデジタルカラープリンターや複写機本体1のパターン検出器移動用ネジ103を回転駆動する駆動モータ、123は当該駆動モータ122をCPU120の指令に基づいて所定量だけ所望の方向に回転駆動するためのモータドライバ、124、125はデジタルカラープリンターや複写機本体1のROS14のスキュー用調整ネジ106と像湾曲調整用ネジ108を回転駆動する駆動モータ、126は当該駆動モータ124、125をCPU120の指令に基づいて所定量だけ所望の方向に回転駆動するためのモータドライバを、それぞれ示すものである。
【0137】
以上の構成において、この実施の形態5では、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、前記(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれを検出し、これらの(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれを自動的に補正するようになっている。
【0138】
すなわち、この実施の形態5では、図24に示すように、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、これらデジタルカラープリンターや複写機のフロントパネルを開いた状態で、当該デジタルカラープリンターや複写機本体1の前面に、自動レジ調整用治具110が装着されるとともに、当該自動レジ調整用治具110が制御コード111を介してデジタルカラープリンターや複写機本体1と接続される。
【0139】
そして、上記自動レジ調整用治具のCPUは、デジタルカラープリンターや複写機本体1のCPU70に信号を出力し、デジタルカラープリンターや複写機本体1を動作させて、図6に示すようなカラーレジずれ検出用パターン50が、中間転写ベルト25上の幅方向の両端部及び中央部に所定のタイミングで形成され、このカラーレジずれ検出用パターン50がパターン検出器60によって検出される。
【0140】
その際、上記中間転写ベルト25上の幅方向の両端部に形成されたカラーレジずれ検出用パターン50を検出する場合には、図20に示すように、初期状態として、パターン検出器ユニット100の両端部にパターン検出器60A、60Bが配置される。また、上記中間転写ベルト25上の幅方向の一端部及び中央部に形成されたカラーレジずれ検出用パターン50を検出する場合には、図20に示すように、パターン検出器移動用ネジ103を回転駆動して、一方のパターン検出器60Bが中間転写ベルト25上の幅方向の中央部に移動される。
【0141】
このように、中間転写ベルト25上の幅方向の両端部及び中央部に形成されたカラーレジずれ検出用パターン50が検出され、前記(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれ量が、デジタルカラープリンターや複写機本体1のCPU70によって検出される。
【0142】
次に、上記自動レジ調整用治具110のCPU120は、デジタルカラープリンターや複写機本体1のCPU70によって検出された(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれ量に基づいて、デジタルカラープリンターや複写機本体1のROS14のスキュー用調整ネジ106と像湾曲調整用ネジ108を回転駆動し、スキュー及び像湾曲を補正するようになっている。なお、スキュー及び像湾曲以外の(1)〜(6)のカラー画像の位置ずれ量は、ROS14の画像書き込みの開始タイミング等を調整することによって補正される。
【0143】
なお、上記実施の形態5では、自動レジ調整用治具110をデジタルカラープリンターや複写機本体1と別に設け、デジタルカラープリンターや複写機の組み立て調整時やメンテナンス時に、カラー画像の位置ずれの補正を行うように構成したが、比較的大型のプリンターや複写機においては、自動レジ調整用治具と同様の構成を、予めプリンターや複写機本体に内蔵し、所定のタイミングでカラー画像の位置ずれの補正を行うように構成しても良い。
【0144】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、プロセス速度の切り換えに伴うレジずれの発生を防止可能な画像形成装置を提供することができる。
【0146】
また、この発明によれば、画像形成ユニットによってレーザビームのスキャン方向が異なる画像露光装置を用いた画像形成装置において、プロセス速度を切り換えた場合に、レーザビームのスキューに伴うレジずれの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の参考例1に係る画像形成装置の制御系を示す構成図である。
【図2】 図2はこの発明の参考例1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンターを示す構成図である。
【図3】 図3はこの発明の参考例1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示す構成図である。
【図4】 図4は画像露光装置の露光状態を示す説明図である。
【図5】 図5は画像形成ユニットを示す構成図である。
【図6】 図6は画像位置ずれ検出パターンを示す説明図である。
【図7】 図7は画像位置ずれ検出パターンを示す説明図である。
【図8】 図8はパターン検出器を示す構成図である。
【図9】 図9はパターンの検出方法を示す説明図である。
【図10】 図10はカラーレジずれ補正装置を示すブロック図である。
【図11】 図11はプロセス速度の切り替え状態を示す説明図である。
【図12】 図12はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラー複写機におけるプロセス速度の検出方法を示すタイミングチャートである。
【図13】 図13は環境条件としての温度とレジずれとの関係をテーブル化した状態を示すグラフである。
【図14】 図14は環境条件としての温度とレジずれとの関係をテーブル化した状態を示すグラフである。
【図15】 図15は画像露光装置の露光状態を示す説明図である。
【図16】 図16は画像ずれの補正状態を示す説明図である。
【図17】 図17は画像露光装置の画像位置ずれを示す説明図である。
【図18】 図18はパターン検出器の配置を示す構成図である。
【図19】 図19はパターン検出器を示す外観斜視図である。
【図20】 図20は画像露光装置の画像位置ずれの補正手段を示す構成図である。
【図21】 図21は画像露光装置の画像位置ずれの補正手段を示す構成図である。
【図22】 図22は画像露光装置の画像位置ずれの補正手段を示す構成図である。
【図23】 図23は画像露光装置の画像位置ずれの補正手段を示す構成図である。
【図24】 図24はこの発明の実施の形態5に係る画像形成装置を示す斜視構成図である。
【図25】 図25は自動レジ調整用治具の制御回路を示すブロック図である。
【図26】 図26は従来の画像形成装置を示す構成図である。
【図27】 図27は従来の画像露光装置を示す構成図である。
【図28】 図28は画像露光装置における画像の露光状態を示す説明図である。
【符号の説明】
13Y、13M、13C、13K:イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各画像形成ユニット、14:ROS(画像露光装置)、15:感光体ドラム、25:中間転写ベルト、60:レジ検知センサ、80:メインコントローラ。

Claims (3)

  1. 中間転写体上又は転写材担持体に担持された転写材上に、異なった色のトナー像を多重に転写することにより、転写材上にカラーの画像を形成可能であるとともに、中間転写体又は転写材担持体の移動速度を、複数のプロセス速度に切り替え可能な画像形成装置であって、上記中間転写体上又は転写材担持体上に、色の異なる複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを順次形成し、前記中間転写体上又は転写材担持体上に形成された複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを、パターン検出手段によって検出することにより、カラー画像形成位置ずれを補正するように構成した画像形成装置において、
    所定のタイミングで、所定の各速度にてカラー画像形成位置ずれ量を検出し、通常のプロセス速度と他のプロセス速度とにおけるカラー画像形成位置ずれ量の差分を、記憶手段に記憶し、次回のカラー画像形成位置ずれ量の検出までの間、前記複数のカラー画像形成位置ずれ検出用パターンを形成せずに、プロセス速度を切り替える度に、上記カラー画像形成位置ずれ量の差分又は当該カラー画像形成位置ずれ量の差分に所定の演算を行なった結果を反映して、カラー画像形成位置ずれ量を補正することを特徴とする画像形成装置。
  2. 所定の各速度における最初の画像形成動作時に、当該プロセス速度においてカラー画像形成位置ずれ検出用パターンの検出に伴うカラー画像形成位置ずれの補正動作を実行し、以降、プロセス速度の切り替え時に、所定の条件を満たせば、画像形成動作の最初にカラー画像形成位置ずれの補正動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 環境条件とカラー画像形成位置ずれの相関関係と、プロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分とカラー画像形成位置ずれの相関関係の少なくとも一方をテーブル化し、環境条件の変化及びプロセス速度の切り替えに伴う目標速度との差分の検出結果の少なくとも一方に基づいて、カラー画像形成位置ずれをフィードフォワード補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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