JP4030582B2 - 植物における鱗翅目制御のための修飾バチルス・サーリンジェンシス遺伝子 - Google Patents

植物における鱗翅目制御のための修飾バチルス・サーリンジェンシス遺伝子 Download PDF

Info

Publication number
JP4030582B2
JP4030582B2 JP51530097A JP51530097A JP4030582B2 JP 4030582 B2 JP4030582 B2 JP 4030582B2 JP 51530097 A JP51530097 A JP 51530097A JP 51530097 A JP51530097 A JP 51530097A JP 4030582 B2 JP4030582 B2 JP 4030582B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sequence
gene
dna
plant
plasmid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP51530097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000507808A (ja
Inventor
マーロ,ドナルド,ジェイ.
フォーカーツ,オットー
Original Assignee
ダウ アグロサイエンスイズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ダウ アグロサイエンスイズ リミテッド ライアビリティ カンパニー filed Critical ダウ アグロサイエンスイズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
Publication of JP2000507808A publication Critical patent/JP2000507808A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4030582B2 publication Critical patent/JP4030582B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8216Methods for controlling, regulating or enhancing expression of transgenes in plant cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/32Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Bacillus (G)
    • C07K14/325Bacillus thuringiensis crystal protein (delta-endotoxin)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • C12N15/8279Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for biotic stress resistance, pathogen resistance, disease resistance
    • C12N15/8286Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for biotic stress resistance, pathogen resistance, disease resistance for insect resistance
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/146Genetically Modified [GMO] plants, e.g. transgenic plants

Description

本発明は特定の昆虫に有害なバチルス・サーリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)タンパク質をコードするDNA配列の設計、合成、植物での発現に関する。さらに詳しくは、本発明は植物での発現に最適化した合成DNA配列、植物を形質転換するのに適した合成DNA配列を含むベクター、および合成DNA配列によってコード化されたタンパクを安定して発現する植物に関する。
発明の背景
広く使用されている微生物殺虫剤は単一の菌株Bacillus thuringiensis(Bt)に由来する。Btはグラム陽性芽胞菌で周芽胞結晶タンパク質の封入を特徴とする。結晶タンパク質はδエンドトキシンとも呼ばれることがあり2種類の態様を有する:分子量(MW)約130キロダルトン(kD)程度の非毒性プロトキシンと分子量約68kDの毒性体である。結晶タンパク質の封入は多数の昆虫種の幼虫消化管で活性化するプロトキシンタンパク質を含んでいる。活性化の途中で、プロトキシンが切断され、有毒成分がアミノ先端領域58〜68kDポリペプチドに残留する。生体内(in vivo)においては、結晶は昆虫消化管のアルカリ性とプロテアーゼによって溶解することで毒性型に変わり活性化する。
Btにより生産されるタンパク質の毒性は特定の昆虫種に極めて特異的であり脊椎動物に対しては安全であると分かっている。多くの報告で、Btの多くの菌株から単離した芽胞内結晶タンパク質は鱗翅目幼虫や鞘翅目幼虫に対して特異的に極めて高い毒性レベルを有し、50%の幼虫の成長を阻害するのに必要な有効濃度が多くの感受性昆虫で餌の1ng/mlの範囲であるとされている(MacIntosh et al.,J.Invert.Pathol.565(1990)258)。
他の微生物宿主でのBtタンパク質遺伝子のクローニング、シーケンシング、発現は説明されている(国際公開番号第WO93/04587号、ヨーロッパ特許出願第89300388.9号、ヨーロッパ特許出願第90304993号、米国特許第5,286,485号)。しかしBt由来の殺虫タンパク質遺伝子の植物における発現は極めて難しく、代表的には遺伝子組換え植物において低いレベルのタンパク質が得られているのみである(Vaeck et al.,Nature,328(1987)33;Barton et al.,Plant Physiol.,85(1987)1103;and Fischoff et al.,Bio/Technology,5(1987)807)。
遺伝子組換え植物における本来のBt遺伝子の低い発現に関して1つの考えられる説明は本来のBtタンパク質遺伝子でのコドン使用法が代表的な植物遺伝子の使用法と有意に異なること(ヨーロッパ特許出願第89309069.6号)である。コドン使用法は翻訳、転写、またはmRNA処理レベルで遺伝子発現に影響する。
遺伝子組換え植物で本来のBt遺伝子の低い発現レベルについて考えられる別の理由は、異常な形状のmRNAを発生する偶発的転写処理部位によるものかも知れない(国際公開番号第WO93/07278号)。考えられる処理部位としては、ポリアデニル化部位、イントロン・スプライシング部位、転写終了シグナルおよび転位シグナルが含まれる。コード領域におけるこのような処理部位の偶発的発生は遺伝子組換え宿主における遺伝子発現に入り込む可能性がある。
殺虫遺伝子の植物における発現を最適化するために、本来のBt遺伝子を変更して、遺伝子組換え使用とする宿主植物に本来含まれている遺伝子と出来る限り似せるようにする試みが行われて来た。たとえば、Adang et al.への米国特許第5,380,831号では、Bt本来の殺虫タンパク質と機能的に等価な殺虫タンパク質を遺伝暗号化し、本来のBt遺伝子より高いレベルで植物に発現されるように設計されている化学合成遺伝子を開示している。合成遺伝子は本来のBtの殺虫遺伝子タンパク質とすくなくとも85%が同等でありコドン使用の分布頻度が高度に発現する植物遺伝子の25%を越えて逸脱しないまた望ましくは10%を越えないように設計される。合成遺伝子は、10〜15%を越えない程度まで宿主植物の配列から逸脱しないように宿主遺伝子配列の頻度に基づいてGCとTAの対(ダブレット(doublet))回避指標を有しており、GC組成は45%を有している。
国際公開番号第WO93/07278号ではコドン使用法を変更してトウモロコシでの遺伝子発現を増加させた合成Bt結晶タンパク質遺伝子を開示している。合成遺伝子はBtの本来の殺虫タンパク質遺伝子と少なくとも66%が相同で純粋なトウモロコシの最適化遺伝子に対しては98%まで相同である、合成遺伝子は50〜64%のGC組成を有し配列の3’末端にプロリンを含まない。
発明の要約
本発明は鱗翅目昆虫に対して有毒なBacillus thuringiensis HD73タンパク質をコードする植物の最適化したDNA配列の微生物および植物細胞両方における設計、合成、発現に関する。本発明はさらに、合成遺伝子の設計方法にも関する。植物の最適化DNA配列は、589ないし619個のアミノ酸を有する殺虫植物タンパク質(以下ではICPと称する)をコードするのに有効なコドンを含む。ICPを遺伝暗号化するヌクレオチド配列は70ないし71%が本来のBtヌクレオチド配列コード化ICPに対して相同で純粋なトウモロコシヌクレオチド配列に対して63%相同である。植物の最適化ヌクレオチド配列でのコドン使用法は宿主植物のそれから0.23ないし3.48、望ましくは1.075の偏差を有する。
本発明は植物細胞たとえばトウモロコシで発現させることの可能な植物発現ベクターにも関する。植物発現ベクターは、5’から3’への配列に、植物細胞での転写開始に有効なプロモーター配列、トウモロコシに特異的な翻訳エンハンサ配列、第一のベクターにユニークな制限酵素切断部位、620アミノ酸以下が代表的でBtICPのアミノ近位部分と実質的に相同とするのが望ましいタンパク質を遺伝暗号化するための遺伝暗号配列、第2のベクターにユニークな制限酵素切断部位、およびポリアデニル化配列を含む。
本発明の別の態様は、遺伝子組換え植物および遺伝子組換え植物の種子に関する。遺伝子組換え植物および遺伝子組換え植物からの種子は、そのゲノムに本明細書で説明する遺伝性合成Bt遺伝子を含む。このBt合成遺伝子は鱗翅目昆虫の制御に充分な量で、植物細胞または遺伝子組換え植物の種子から成長した植物の細胞に発現する。
本発明はまた、植物特にトウモロコシで最適に発現するようにあらゆる構造化遺伝子を操作する方法も提供する。遺伝子コードの冗長性による可塑性(即ちある種のアミノ酸が1つ以上のコドンで指定される)のため、本発明では何らかの遺伝子の遺伝子配列を修飾して得られた発現されるタンパク質が変化しないが、特定の植物または昆虫でタンパク質の発現を最適化するようにコドンが変更されるようにする。
本発明の方法を実施する際に、植物のコドン・バイアスを決定する。コドン・バイアスは植物がタンパク質を遺伝暗号化するために使用している統計的なコドン分布である。バイアスを決定した後、問題とする遺伝子たとえば本来のBacillus thuringiensisでのコドンのパーセント頻度を決定する。問題のタンパク質のアミノ酸配列順序を逆転写して、本来の遺伝子と同じタンパク質のものについて得られたヌクレオチド配列暗号を暗号化するが、得られたヌクレオチド配列は所望の植物の第1の好適なコドンに対応するようにする。新規配列は変更によって作り出されたであろう制限酵素部位について分析する。識別された部位はコドンを第2または第3の選択肢の好適なコドンで置き換えることによりさらに変更する。問題の遺伝子の転写または翻訳に影響すると思われる配列内の他の部位はエクソン:イントロン5’または3’結合部、ポリA追加シグナル、またはRNAポリメラーゼ末端シグナルである。シーケンスはTAまたはGC対の頻度を下げるようにさらに分析し変更する。対に加えて4個以上の同一であるアミノ酸残基を有するGまたはC配列ブロックは配列の転写に影響することがある。したがってこれらのブロックも第1または第2の選択肢のコドン等を次の好適な選択肢のコドンで置き換えることによって変更する。上述の方法によって当該技術の熟練者であれば特定の植物にとって異質な遺伝子を変更して当該遺伝子が植物で最適に発現するように出来る。
本発明の包括的目的は昆虫による損傷から植物を保護する手段を提供することにある。さらに詳しく説明すると、本発明の特定の目的は配列識別番号1においてヌクレオチド配列を有するBtから殺虫タンパク質を遺伝暗号化するトウモロコシの最適化したヌクレオチド配列を提供することである。
本発明はさらに、35Sまたは19Sプロモーターよりさらに効率的なBt結晶タンパク質またはBt殺虫結晶タンパク質ならびに他のプロモーターで使用するようにさらに修飾できるMSVリーダー配列を含め、異種タンパク質を発現させる2重拡張35Sまたは19Sプロモーターを提供する。
別の態様において、本発明は何らかのプロモーターの発現を拡張するために使用できるリーダー配列を提供する。
本発明のその他の態様、利点、特徴および特性は以下の説明と添付の請求項を勘案することで一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1はPCR合成法を示す。図1Aは修飾ICP遺伝子のグラフ表現でバーの上に重要な制限部位を示し、その下の数字は遺伝子での位置を表わす。別々に合成された3角遺伝子部分が遺伝子の下に図示してあり、各々の部分の末端に組み込まれるクローニング部位は各々のフラグメントの末端に図示してある。図1BはICP遺伝子の5’末端フラグメントのPCR合成を説明している。合成に用いる12オリゴヌクレオチドが矢印で示してある。矢印の方向は新生DNAストランドの合成極性に対応する。遺伝子フラグメントにおける各オリゴヌクレオチドの位置は括弧の間に示してあり、一番下のオリゴヌクレオチドの組のヌクレオチド位置の逆順が遺伝子の一番上の(遺伝暗号化)ストランドへの逆相補性を表わす。
図2はPAGE変性によるICPオリゴヌクレオチドの生成から得られたゲルを示す。ICPオリゴヌクレオチドBt6からBt10を実施例1に説明するような12%変性PAGE上の電気泳動で分画化した。オリゴヌクレオチドの同一性は各々のレーンの上に図示してあり、各々の(ヌクレオチドの)サイズがレーンの下に図示してある。追跡染料キシレン・シアノール(XC)とブロムフェノールブルー(BPB)の易動性は右側に示してある。
図3はICP遺伝子の3つの部分の合成の進行状況を示すゲルを示す。各々のセクションで、PCRステップ1〜6(5’および3’セクション)または1〜5(中央セクション)の生成物が1〜6または1〜5と表記してある各々のレーンに図示してある。各々のレーンは直前のPCRステップから生成したDNAゲル5μlを含む。ゲルの外側で印のついていないレーンは100bpラダーDNAサイズ標準(GIBCO/BRL)を含む。
図4は大腸菌E.coliにおけるICP発現を表わすゲルを示す。細胞質発現ベクターからE.coli細胞に発現したICPを、実施例4で説明するSDS−PAGEおよびウェスタンブロット法で分析した。レーン1は細胞質発現ベクターを発現するE.coli細胞からのタンパク質抽出物の約50ngペレットに対応するE.coli全細胞タンパク質量を含む。レーン2は細胞質発現ベクター抽出ペレット約50ngを含む。レーン3はペレット抽出物約10ngを含む。陰性コントロールのレーン4はpET−9dを発現するE.coli細胞の抽出物ペレット100ngを含む。レーン5,6,7は各々精製した本来のBtICPを各々20,50,100ng含む。
図5はManduca sextaバイオアッセイの結果を説明するグラフ表現である。アッセイにはE.coli抽出タンパク質(pET−9dペレット)を各々500ng供給し、ICP細胞質発現プラスミド細胞質発現ベクター(CEVペレット)、細胞質発現ベクター発現セル(CEVセル)、本来のICP(Btタンパク質)を含む細胞からの抽出物のペレットタンパク質は実施例6に説明してあるように実施した。幼虫の重量と死亡率は新生幼虫を食事制限してから4日後にスコア化した。
図6は実施例7でさらに説明するプラスミド・ベクターpDAB910のマップを示す。
図7は実施例7でさらに説明するプラスミド・ベクターpDAB911のマップを示す。
図8は実施例7でさらに説明するプラスミド・ベクターpDAB917のマップを示す。
図9は遺伝子組換えMSDカルスでのICP発現を示すゲルである。MSDカルス単離で発現したICPは実施例8で説明するようにSDS−PAGEおよびウエスタンブロット法で検出した。レーン1からレーン7はMSDライン#4のプラスミドpDAB911による形質転換で得られたとうもろこし単離のカルス抽出物を含み、レーン8は非形質転換MSDライン#4のカルス抽出物を含み、レーン9とレーン10は各々10ngと1ngの精製ICPを含む。
図10は実施例7でさらに説明するプラスミド・ベクターpDAB303のマップを示す。
図11はプラスミドpKA882、PDAB305、pDAB310、pDAB348、pDAB353で調べたプロモーターの幾つかのマップを示す。さらに詳しくは、pKA882は、CaMVnts6605から7439(MCASTRAS)で実施される本来の35Sプロモーターを含み、これにリンカー配列A(配列識別番号3)が続き、
Figure 0004030582
NcoI認識配列内にコード化されたATG(下線部分)がGUS翻訳開始コドンである。このプロモーターからの転写は5’未翻訳リーダー配列として基本的に上記のポリリンカー配列を含む。
pDAB348は追加3’配列がありCaMVDNAの7093から7344として実現される拡張35Sプロモーター、リンカー配列CATCGATG、CaMVのヌクレオチド7093から7439を含み、上記のリンカー配列Aが続く。
pDAB305は追加3'配列がありCaMVDNAのヌクレオチド7093から7344として実現される拡張35Sプロモーター、リンカー配列CATCGATG、CaMVのヌクレオチド7093から7439、リンカー配列GGGGACTCTAGAGGATCCAG(配列識別番号4)、MSVのヌクレオチド167から186、MSVのヌクレオチド188から277、C残基とこれに続くトウモロコシAdh1.sのヌクレオチド120から210、トウモロコシAdh1.sのヌクレオチド555から672、リンカー配列GACGGATCTG(配列識別番号5)、MSVのヌクレオチド278から317、NcoI認識配列CCATGGの最終基部を表わすG残基を含む。前述の通りGUS翻訳開始コドンはNcoI部位の一部である。このプロモーターからの転写は5’未翻訳リーダーとして基本的にMSV被毛タンパク質リーダー配列を含み、これにはトウモロコシAdh1.Sイントロン1の欠失されたバージョンが挿入されている。
pDAB310は追加3’配列がありCaMVDNAの7093から7344として実現される拡張35Sプロモーター、リンカー配列CATCGATG、CaMVのヌクレオチド7093から7439、リンカー配列GGGGACTCTAGAGGATCCAG(配列識別番号6)、MSVのヌクレオチド167から186、MSVのヌクレオチド188から317、NcoI認識配列CCATGGの最終基部を表わすG残基を含む。前述の通りGUS翻訳開始コドンはNcoI部位の一部である。このプロモーターからの転写は5’未翻訳リーダーとして基本的にMSV被毛タンパク質リーダー配列を含む。
pDAB353は追加3’配列がありCaMVDNAの7093から7344として実現される拡張35Sプロモーター、リンカー配列CATCGATG、CaMVのヌクレオチド7093から7439、リンカー配列GGGGACTCTAGAG(配列識別番号7)、トウモロコシAdh1.sのヌクレオチド120から210、トウモロコシAdh1.sのヌクレオチド555から672、配列CCGTCGACCATGG(配列識別番号8)を含む。前述のように、GUS翻訳開始コドンはNcoI部位の一部である。このプロモーターからの転写は5’未翻訳リーダーとして基本的MにトウモロコシAdh1.Sイントロン1の欠失されたバージョンを含む。
発明の詳細な説明
定義
以下の定義は本明細書および請求項における意図または使用範囲として明確さを提供するために設けたものである。本明細書で参照する全ての特許および公開は本明細書の参照に含まれる。
「結晶タンパク質」または「殺虫結晶タンパク質(ICP)」または「結晶毒素」はBt菌株に形成される傍芽胞結晶の主要なタンパク質成分を表わす。このタンパク質成分はさまざまな昆虫種に対して選択毒性を呈する。傍芽胞結晶から分離した主タンパク質の分子サイズは由来するBtの菌株によって変化する。分子量132,65,28キロダルトンの結晶タンパク質が報告されている。132kDaのタンパク質が65kDaのアミノ基昆虫毒素形成に付随するプロトキシンであると分かっている。
「結晶タンパク質遺伝子」は遺伝子が由来するBtの菌株によって、全長プロトキシンまたは毒素のどちらかで殺虫結晶タンパク質をコードするDNA配列を表わす。
本明細書で用いている術語ヌクレオチドは、糖成分(ペントース)、リン酸、窒素ヘテロサイクリック塩基から構成されるDNAまたはRNAのモノマー単位を表わす。塩基はグリコシド炭素(ペントースの1位炭素)を介して糖に結合する。塩基と糖の組み合わせがヌクレオシドと呼ばれ、塩基はヌクレオチドを特徴付ける。4つあるDNA塩基はアデニン(A)グアニン(G)シトシン(C)チミン(T)である。RNAでの4塩基はA、G、Cとウラシル(U)である。
「構造化遺伝子」はタンパク質、ポリペプチドまたはその一部をコードするDNAセグメントを含み、転写開始を指示する5’配列を含まない遺伝子の部分を指す。構造化遺伝子は細胞内で普通に見られる遺伝子か、またはこれが導入された細胞内の位置で普通には見られない遺伝子で、導入された場合には「異種」遺伝子と呼ばれる。異種遺伝子は全体または一部が従来技術で分かっている何らかの供給源に由来するもので、供給源は菌ゲノムまたはエピソーム、真核生物、核またはプラスミドDNA、cDNA、ウィルスDNA、または化学合成DNAを含む。構造化遺伝子は遺伝暗号または非翻訳領域のどちらかに1つまたは2つ以上の変更を含むことがあり、これが発現生成物の生物学的活性または化学構造、発現率または発現制御の方法に影響することがある。このような変更には、1つまたは2つ以上のヌクレオチドの突然変異、挿入、欠失、置換を含みこれだけに制限されない。構造化遺伝子は中断されない(uninterrupted)遺伝暗号配列を構成するか、または適切なスプライス結合部で区切られた1つまたは2つ以上のイントロンを含むことが出来る。構造化遺伝子は複数の供給源(自然発生的または合成、ただし合成は化学的に合成されたDNAを表わす)に由来するセグメントの複合体であることがある。構造化遺伝子は融合タンパク質をコードすることもある。
「動作的に結合(operably linked)」は成分がその通常の機能を実行するように構成された近位を表わす。つまり、遺伝暗号配列に動作的に結合した制御配列は遺伝暗号配列の発現に影響を与えることが出来る。
植物組織(plant tissue)は植物の分化および未分化組織を含み、これには根、茎、葉、花粉、種子、腫瘍組織や培養でのさまざまな態様の細胞たとえば単細胞、プロトプラスト、胚芽、カルス組織を含みこれらに限らない。植物組織は植生または器官、組織、または細胞培養とすることが出来る。
本明細書で用いている植物細胞には植生の植物細胞および培養された植物細胞やプロトプラストを含む。
「配列相同性」はヌクレオチドまたはアミノ酸配列順序の同一性または近同一性を表わす。当該技術で考えられているように、ヌクレオチドの不一致はコドンで第3のまたは揺らぎ塩基において発生することがあり最終的ポリペプチド配列でのアミノ酸置換を起さない。また、遺伝子配列のある種の領域で僅かなヌクレオチド変更(たとえば置換、挿入、または欠失)はこのような変更によって最終生成物の機能を変更しないようなアミノ酸配列順序の変化が得られる場合には許容することが出来る。遺伝子配列全体またはその一部の化学合成したコピーが遺伝子機能の損失なしに天然遺伝子の対応する領域を置換できることが示されている。特定DNA配列の相同性は従来技術で良く理解されているように当該技術の熟練者には厳密な条件下で核酸のクロスハイブリダイゼーションの試験を用いて識別できる(Hames et al.,Nucleic Acid Hybridisation,(1985)IRL Press,Oxford,UKに記載されている)。相同性の範囲は比較する配列間の同一性の比率として測定されることが多い。
「好適なコドン」または「好適コドン使用頻度」はヌクレオチドコドンの使用に際して任意のアミノ酸を指定するために特定の宿主細胞が呈する選択性を表わす。遺伝子内の特定コドンの使用頻度を決定するには、遺伝子内でそのコドンの発生回数を、遺伝子内の同じアミノ酸を指定する全てのコドンの発生総数で除算する。宿主細胞が呈する好適コドン使用頻度はその宿主細胞で発現した多数の遺伝子での好適コドンの使用頻度を平均化することによって計算できる。
合成遺伝子について好適コドンの使用頻度の宿主細胞で使用される頻度からのパーセント偏差は、第1に宿主細胞の使用頻度から単一コドンでの使用頻度のパーセント偏差を決定し、続けて全コドンに対する平均偏差を求めることで計算できる本明細書で定義しているように、この計算にはユニークなコドン(即ちATGとTGG)を含む。一般的な意味で、宿主細胞の使用頻度からの合成遺伝子のコドン使用の平均合計偏差は次式を用いて計算する:
Figure 0004030582
ここで、Xn=宿主細胞におけるコドンnの使用頻度;Yn=合成遺伝子におけるコドンnの使用頻度とし、nはアミノ酸を指定する個別のコドンを表わし、コドンの総数はZである。
術語「純粋に植物に最適化したヌクレオチド配列」は特定のポリペプチドについて宿主植物に好適なコドン配列を100%含む遺伝子またはDNA配列を表わす。「純粋にトウモロコシに最適化した配列」はトウモロコシの好適コドン配列を100%含む遺伝子またはDNA配列である。
本明細書で用いている「植物に最適化したヌクレオチド配列」は純粋に植物に最適化した配列の変化から産生された遺伝子またはDNA配列を表わす。ここで説明しているような変化には、遺伝子操作を許容する純粋に植物に最適化したヌクレオチド配列の変更、たとえばヌクレオチドを変更して制限部位の作成または除外する等と、潜在的に有害な処理部位たとえば潜在的なポリアデニル化部位またはイントロン・スプライシング認識部位を排除する変化が含まれる。「トウモロコシに最適化したヌクレオチド配列」は純粋にトウモロコシに最適化した配列の変化から産生した遺伝子またはDNA配列を指す。本発明の1つの態様において、植物に最適化したヌクレオチド配列は本来のBtヌクレオチド配列をコードするICPと70%から71%が相同であり、第1選択コドン使用に基づくと63%が相同、また純粋にトウモロコシに最適化したヌクレオチド配列に対しては83%が相同である。
「由来する」は(化学的および/または生物学的)供給源から取る、取得する、受け取る、追従する、複製する、または受け継ぐことを表わすために用いる。派生物はオリジナル供給源の化学的または生物学的操作(置換、追加、挿入、欠失、抽出、単離、突然変異、複製を含みこれに限定されない)により産生される。
DNAの配列に関して「化学合成」は要素ヌクレオチドが試験管内で組み立てられたことを表わす。DNAの用手的化学合成は充分に確立された手順を用いて実施される(Caruthers,Methodology of DNA and RNA Sequencing,(1983),Weissman(ed.),Praeger Publishers,New York,Chapter 1)。自動的化学合成は多数の商業的に入手可能な装置の1つを用いて行うことが出来る。
本明細書で用いている術語「高度に発現するように設計された」は、全長特異mRNA転写産生量がノーザンブロット法で定量するのに充分な量になるような設計遺伝子の発現レベルを表わし、言うなればポリ(A)+mRNAのおよそ0.001%より多いかまたは等しい量に対応する発現特異mRNAのレベルを表わしている。本発明以前に、天然Bt遺伝子は産生全長特異mRNAの量がノーザンブロット法を用いて推定するには不十分なレベルでしか転写されなかった。しかし、本発明では、高度に発現するように設計されトウモロコシに最適化した合成BtICP遺伝子の転写は供給した昆虫を殺滅するまで充分に高いレベルのICPが蓄積する範囲に増加している。
トウモロコシに最適化したBtICP遺伝子配列の設計
本明細書に記載する設計および合成の方針は植物、特にトウモロコシに最適化したICP遺伝子の設計および合成のための一般に好適な方法を表わす。本プロトコルへの変更が他の植物種における発現のためのICP遺伝子の設計および合成に向けて甚だしい経験がなくとも可能であることが当該技術の熟練者には理解されよう。
Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki HD73由来ICP遺伝子のDNA配列を、Adang et al.,Gene,36,(1985)289で報告されているように、トウモロコシに最適化したBtICP遺伝子の設計の開始配列として用いた。得られたトウモロコシに最適化したBtICP遺伝子は配列識別番号1として識別される。トウモロコシに特異的な最適化殺虫遺伝子配列は63%の第1選択コドンと、22%から37%の間の第2選択コドンと、15%から0%の間の第3および/または第4選択コドンとを含み、合計比率が100%となる。さらに詳しく説明すると、トウモロコシに特異的な最適化殺虫遺伝子配列は63%の第1選択コドン、22%から37%の間の第2選択コドン、15%から0%の間の第3選択コドンを含み、合計比率が100%となる。もっとも望ましくは、トウモロコシに特異的な最適化殺虫遺伝子配列は、63%の第1選択コドン、少なくとも22%の第2選択コドン、7.5%の第3選択コドン、7.5%の第4選択コドンを含み、これで合計比率が100%となる。
さらに詳しくは、B.thuringiensis CrylA(c)を開始材料に使用した。自然遺伝子の基本組成の分析により、トウモロコシ遺伝子との有意な不同性が明らかになった。たとえば、自然ICP遺伝子のグアノシン+シトシン(G+C)組成は37%、これに対してトウモロコシ遺伝子はG+Cの範囲が45%〜75%だった(表1)。
Figure 0004030582
表1のデータから、遺伝子の暗号化領域がGenBank(Release 71)エントリから抽出され、MacVector(tm)プログラム(IBI,New Haven,CT)を用いて基本組成を計算した。イントロン配列は計算上無視した。グループIとグループIIストレージタンパク質遺伝子配列はこれらの基本組成で顕著な差によって識別した。
自然BtICP遺伝子の非常に低いG+C組成(結果的に高いA+T組成に向って歪む)によって非常に多くA+Tを含むことが分かっている植物遺伝子制御配列の模倣または複製を行う配列を生成する。導入遺伝子のDNA内部で何らかのA+Tが高濃度の配列の存在は(たとえば遺伝子プロモーターに通常見られるようなTATAボックス領域等)によって遺伝子の異常な転写が行われる。一方で、転写されるmRNAに残存する他の調節配列の存在(たとえばポリアデニル化シグナル配列AAUAAAまたはプレmRNAスプライシングに関係する小さい各RNAに相補的な配列)がRNAの不安定を招来する。したがってトウモロコシに最適化したBtICP遺伝子設計の1つの目標は高いG+C組成を有するDNA配列を生成することであり、望ましくは代謝酵素について暗号化するトウモロコシ遺伝子の配列に近い配列を生成することである。トウモロコシに最適化したBtICP遺伝子設計の別の目標は高いG+C組成を有するだけではなく、配列の変更によって翻訳を既存しないように変更が行われるべきDNA配列を生成することである。
遺伝子コードの冗長性によって影響される可塑性のため(即ちある種のアミノ酸が1つ以上のコドンで指定される)、異なる生物または生物クラスのゲノムの進化は冗長コドンの異なる使用方法をもたらした。この「コドンバイアス」はタンパク質暗号化領域の平均基本組成に反映されている。たとえば、比較的低いG+C組成の生物は冗長コドンの第3位にAまたはTを有するコドンを使用し、高いG+C組成を有する生物では第3位にGまたはCを有するコドンを使用する。遺伝子のmRNA内部の「マイナー」コドンの存在は、特にそのマイナーコドンに対応するチャージtRNAの相対量が低い場合に、そのmRNAの絶対翻訳レートを減少することがある。この延長範囲は、個別のマイナーコドンによる翻訳レートの減少が少なくとも複数のマイナーコドンで加算的になる。したがって、高い相対量のマイナーコドンを有するmRNAはこれに対応して低い翻訳レートとなる。このレートはコードされるタンパク質の低レベルの合成によって反映されることになる。
BtICP遺伝子のコドン組成とトウモロコシ遺伝子のコドン組成との比較(表2)ではコドン・バイアスの大きな離散が明らかになる。
Figure 0004030582
例外なく、Bacillus遺伝子に存在する何らかの冗長コドンが好適ではないトウモロコシ・コドンである。コドン・バイアスに見られるこれらの相違は2つのコドン選択しか存在しないような場合に特に顕著である(即ちGlu,Asp,Lys,Asn,Cys,Tyr,Phe,Gln,His)。
トウモロコシに最適化したBtICP遺伝子の設計において、トウモロコシ遺伝子DNA配列について編集したコドンバイアスの表から設定した非冗長性汎用コードを用いてICPのアミノ酸配列順序をDNA配列に逆翻訳した。得られたDNA配列は、コドン使用で完全に相同だったが、5箇所の反復配列をさらに変更して、高度のコドン多様性を有する以外にも、意図的に配置された制限酵素認識部位と望ましい基本組成と遺伝子の転写または産生mRNAの翻訳を阻害するかも知れない配列の欠除とを含むDNA配列を作成した。
Mze HD73 #1 trnc:好適なトウモロコシ・コドンを含むICP遺伝子の合成
新規のICP遺伝子配列を作成する開始点として、「トウモロコシ遺伝コード」を作成し、各々のアミノ酸が表2からもっとも共通に発生するトウモロコシ・コドンに基づいて選択されたユニークなコドンで指定されるようにした(「トウモロコシ%」のカラムで下線のついた数値としての頻度)。未変性BtICP・DNA配列をこれに対応するタンパク質配列に翻訳し、アミノ末端610アミノ酸(ICPで最小限の殺虫性ペプチドを含む)はトウモロコシ遺伝コードに基づいた新規のDNA配列へ逆翻訳した。この配列は、Mze HD73 #1 trncと呼ばれ、全体として「好適な」トウモロコシコドンから構成されることになり、G+C組成が66%で、「代表的な」トウモロコシ遺伝子より幾分高い(表1参照)。新しいDNA配列は未変性BacillusICPDNA配列から624箇所の塩基を変更している。
Mze HD73 #2 trnc:酵素認識部位の除外
制限酵素BamH I、Bgl II、Bcl I、Nco Iは遺伝子発現カセットの構成に日常的に用いられている。そのため問題のタンパク質をコードするDNA配列がこれらの酵素の認識部位を含まないことが望ましい。Mze HD73 #1 trncのDNA配列分析によって3箇所のBcl I部位、3箇所のBgl I部位、2箇所のBgl II部位、1箇所のBamH I部位、1箇所のNco I部位の認識配列が明らかになった。これらの部位を除外するような方法でのDNA配列の変更によって「好適な」トウモロコシ・コドンではなくむしろ第2選択またはそれ以下のコドンであるようなコドンの使用が必須になる。たとえば、配列の内のヌクレオチド249はGからCへ変更し、CTGから(好適なトウモロコシ・コドン、31%存在する。表2)CTCへ(第2に高頻度で使用されるロイシン・コドン、28%の出現率)ロイシン・コドンを変更した。この単一の変更でBcl I認識部位を除外し重複するPvu II部位も除外される。12箇所のその他の変更とそれらの理論的根拠を表3に掲載する。
Figure 0004030582
得られた配列はMze HD73 #2 trncと呼ばれ、Mze HD73 #1 trncと同一のタンパク質をコードした。
配列の分析ではBamH I、Bgl II、Bcl I、Nco I、または幾つかのその他共通に使用される酵素の認識部位は見付からなかった。また分析では、Mze HD73 #2 trncのICP暗号化ストランドが読み込みフレーム1と3でオープン・リーディング・フレーム(ORF)全体を含むことが分かった。フレーム1のORFはICPのそれに対応し、配列に行った変更によって停止コドンが不用意に生成されることはないと確認している。フレーム3での単一のORFはICP開始コドンのGではじまり、配列の最後まで中断されることなく継続する。
Mze HD73 #3 trnc:合成を容易にする酵素認識部位の変更
現行技術(自動化と酵素DNA合成の組み合わせを使用する)では、試験管内で合理的に合成することの出来るフラグメントのサイズについて数百塩基対の範囲が上限となっている。したがって、ICPでDNA配列の1830塩基対を幾つかのセクションに分割し、各々のセクションが適当な制限酵素認識配列によって区切られるようにする必要がある。これらの部位の間隔は、対応するDNAフラグメントが試験管内で簡単に合成また操作できるようなサイズとなるようにする。部位の導入は、Mze HD73 #2の配列に6塩基の変更を導入して実現した(表4に要約してある)。
Figure 0004030582
これらの変更は3か所のSst II部位のうちの2か所を排除し(適切に配置されたユニークなSst II部位を残す)、また適当な間隔で制限酵素認識部位を新たに作成するために行った。またこれらの変更はコードされたタンパク質のアミノ酸配列順序を変更しておらず、何らの非常に低い頻度のトウモロコシ・コドンも使用していない。新規の部位の位置を同定するために用いた戦略はコドン使用頻度の分析に基づいたものだった(表2)。並置した時に制限部位を生成した好適な、または頻繁に使用されるトウモロコシ・コドン対を選択した。たとえば、コドンCTC(Leu)とGAG(Glu)のコドン対はXho I認識部位を形成し(CTCGAG)、GTC(Val)とGAC(Asp)のコドン対はSal I部位(GTCGAC)を形成する。ICP配列の分析では残基215/216にLeu/Glu対を同定し、残基407/408にVal/Asp対を同定した。適当な塩基置換を行ってこれらの部位で認識配列を生成した(表4)。この遺伝子(Mze HD73 #3 trunc)の配列分析でバージョン#2と同じORFが見出だされた。
エクソン:イントロン5’結合(AG:GTAAGT)で植物のコンセンサス配列を用いたMze HD73 #3 trncのDNA配列の検索では、629〜632で4/8の一致[GGTA]、また他の8箇所の位置で3/8一致[GGT]が見られた。629での(T)GGTA(C)はコードされたアミノ酸を変化させることなく変更できなかったが、これは遺伝コードがユニークなTrpコドン(TGG)を使用しているためと、後続のTyrの両方のコドンがTAで始まる[TACとTAT]ためである。しかし、配列GGTAは、コンセンサス配列の5’A残基が植物と動物RNA両方でのスプライス認識部位で高度に保存されるためとGGTA配列がE.coliβグルクロニダーゼ遺伝暗号化領域(植物細胞でうまく発現する)に発生し、またトウモロコシ・アルコール脱水素酵素(Adh)1のエクソン1に発生するため、スプライス認識部位として用いるには恐らく充分であるとは言えない。さらに、GGTAはある種の植物遺伝子で自然発生的に見付かるKpn I認識部位[GGTACC]全体の一部と見られるので、それ自体が潜在的にスプライス・ドナー部位を表わすことはないと思われる。
Mze HD73 #3 trncのDNA配列を、ポリA追加部位シグナルコンセンサスAATAAAに類似またはこれと同一の配列について検索した。自然ICP遺伝子配列では完全な一致が発見できたが、工学配列またはMze HD73 #3 trncでこれの短縮板(AATAまで)には相同性が見付からなかった。
テンプレートCAN ATGNNAAを用いてRNAポリメラーゼII末端配列の配列類似性を検索した。ここでNはDNAに見られる4塩基のいずれかを表わす。Nを7から9に設定したいずれのレベルでも一致が見られなかった。
mRNAでストランド内自己相補構造(ヘアピン)の形成が翻訳中にmRNAに沿ったリボゾームの進行を阻害すると考えられ、ヘアピン形成CTTCGGとこれの相補的同一ストランドCCGAAGが特に不利であると考えられる。CTTCGGの完全な一致が2箇所Mze HD73 #3 trncに見付かった(201〜206と1707〜1712)。しかし、CCGAAG、CCGAA、CGAAG、またはCGAAへの一致は見られなかった。ヘアピンの重要性は不確定であるため、ICP配列は他のいずれかの自己相補性配列ブロックで検証されなかった。
Mze HD73 #3 trnc:TAまたはGC対の排除
真核生物遺伝子はヌクレオチド対TAとGCで比較的不完全であり、ヌクレオチド対TGとCTが豊富である。2つの「好適な」トウモロコシ・コドン(表2)だけがTAまたはCG対を含んでいる:TAC(Tyr)とCGC(Arg)である。合成配列でこれらのコドンを使用すると排除しようと思っている対の生成が必要になる。したがって、好適コドンを用いる利点は過剰の「禁止」対を作成する弊害に対して均衡しなければならない。Tyrの場合、第2選択コドンによる置換はTA対を排除しないが、これはそのコドンの組成でもあるため(TAT)である。しかしArgの場合には、第2選択コドン(AGG)がトウモロコシでは第1選択コドンより僅かに少ない頻度で用いられているので(26%に対して40%の箇所)CGCのAGGによる置換が完了した。TAまたはCG対を含むその他のコドン[GTA(Val);ATA(Ile);TAG、TAA(End);TTA、CTA(Leu);GCG(Ala);CGG、CGA、CGT(Art);ACG(Thr);CCG(Pro)]は暗号化領域での使用(たとえば停止コドン)に受け入れられないか、コドン・バイアス配列に含めるのに好適でないほどまれにしかトウモロコシ遺伝子に見られないか、または受け入れられるシノニムを有するコドンのセットの構成要素であるかのいずれかである(表2)。
単一コドン内での発生に加えて、CGとTA対はCまたはTで終るコドンとGまたはAで始まるコドンの並置によって生成される。トウモロコシの好適なコドンのいずれもTで終っていないことから、好適なコドンだけを使用する遺伝子バージョンでは、T/A並置は単一コドンの内部にある対によるものである。アミノ酸対によって生成したCG対は、Cで終るトウモロコシの好適コドンによって表わされ、トウモロコシの好適コドンによって表わされるアミノ酸がGで始まるアミノ酸の並置についてタンパク質配列を参照することにより特定される。Cで終る配列は、Gly(GGC)Asp(GAC)Ala(GCC)Arg(CGC)Ser(AGC)Asn(AAC)Ile(ATC)Thr(ACC)Cys(TGC)Tyr(TAC)Phe(TTC)His(CAC)Pro(CCC)、Gで始まる配列はGly(GGC)Glu(GAG)Asp(GAC)Val(GTG)Ala(GCC)である(表5)。
Figure 0004030582
このようなアミノ酸対を識別すると、コドンのどちらかを変更してCG対の発生を最小限に抑さえ、かつ過剰量のコドン・バイアスを犠牲にしないように試みることが出来た。しかしGで始まる好適コドンの代替コドンの全部がやはりGで始まるため、これらCG対のGは変更できず、適切な代替コドンが存在する場合に対の第1のアミノ酸についてコドンの変更に限られる。幾つかの場合で(たとえば、ASP:GAC(76)>GAT(24);Asn:AAC(81)>AAT(19);Cys:TGC(79)>TGT(21);Tyr:TAC(86)>TAT(14);Phe:TTC(80)>TTT(20);His:CAC(71)>CAT(29)で)、代替コドンは置換が選択肢とならないほど好適コドンより有意に低い頻度でトウモロコシ遺伝子に見られる。そのためこれらの並置によって生成した対は無視できる。
したがって、Mze HD73 #3 trncタンパク質配列でCGを生成する上記のアミノ酸の並置を含むような128対のリストを作成した(表6)。アミノ酸対(表6では位置番号に下線をつけた)の74個に対応するコドンの配列への変更はCG塩基対を排除するように行われた。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
好適コドンについてどの代替コドンで置換するかの選択は代替コドンが非常にまれに用いられるコドンのクラスに含まれるべきではないと言う事実によってほとんど決定される。考慮すべき要因の1つは好適なトウモロコシコドンだけから構成されるDNA配列が発現の問題を起し得ることで、これは各々のアミノ酸で単一コドンに対する不自然な依存がそのコドンに対するtRNAまたはアミノアシルtRNAシンテターゼのプールを枯渇させるためである。トウモロコシ遺伝子での未変性コドン使用が選択に対応すると思われる範囲で、第2選択(または第3選択)コドンを使用することにより、コドン組成に何らかの多様性を導入するのが有利であろうと考えられる。この点について、何らかの生物遺伝子でのコドン発生頻度が普遍的な遺伝コードに見られる特定のアミノ酸に存在する同義コドンの数に対して重み付けされなければならないことには注意しなければならない。たとえばトウモロコシでのPheコドンTTT(20%)の相対使用頻度は明らかに、ProコドンCCT(20%)の同一の相対頻度より多量のカウンターセレクション(コドンバイアス)を反映している。これは、2種類のPheコドンと4種類のProコドンしかないためである(表2)。好適コドンの代わりとしての代替コドンの認容性は簡単な選択ではないことになる。
容認される代替コドンの選択を行ってCG対の個数を減少させる場合には別の要因が絡んでくる。たとえば、好適なArgコドンCGC(40%)がCGCGの前後関係で発生する場合、第2選択のArgコドンAGG(26%)による置換で2個のCG対が同時に排除される。明らかにこのような置換はCG塩基対を減少させる観点とコドンの多様性を生成する観点の両方から望ましい。もっと細かい点では、ACCGの前後関係で好適なThrコドンACC(47%)の第2選択コドンACG(26%)による置換、またはAGCGの前後関係で好適なSerコドンAGC(28%)の第3選択コドンTCG(16%)による置換が、CG塩基対の総数を変化させないが、望まれるコドンの多様性を発生する。最後に、AGCGの前後関係で好適なSerコドンAGC(28%)の第4選択コドンTCT(14%)での置換はCG塩基対を排除し、コドンの多様性を生成し、CT塩基対総数も増加させる。
表7はMze HD73 #4 trnc生成のためにMze HD73 #3 trnc配列に対して行ったこれらとその他の変更を要約した表である。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
Figure 0004030582
2個のプロリン・コドンと停止コドン(TAG)が配列の最後に追加され(ここでアミノ酸総数は612になる)、これによってMze HD73 #4 trnc+を生成する。末端プロリン残基の存在は、カルボキシ末端のタンパク質分解を減少させると考えられる。得られた配列を制限部位についてスキャンした。Sal I部位を位置1219で排除して新規に位置181に作成し、Nar I部位を位置158で排除して新規にKpn I部位を位置1217に作成するために塩基変更を行った。ORF検索ではフレーム1でICPORFが見られ、フレーム2と3では各々小さなORFが1つ見られた。遺伝子の直前のバージョンで存在していた長いフレーム3ORFは塩基78で停止コドンにより中断されていた。ATGで始まり25アミノ酸より長いその他のORFはフレーム3に存在していなかった。
Mze HD73 #5 trnc+:GC組成の減少とコドン多様性の増加
バージョン#4trnc+と直前のバージョンの配列(表3)の間で塩基対の出現頻度を比較した結果、CG塩基対が減少する方向で、またTGとCT塩基対が増える方向で塩基組成が変更されたことが分かった。しかし、バージョン#4trnc+はトウモロコシ遺伝子での目標55%〜60%に比較するとまだ比較的高いG+C組成(62%)を有している。このパラメータを減少するにはAおよび/またはTを含む代替コドンをさらに使用する必要があった。
表8はMze HD73 #4 trnc+配列からMze HD73 #5 trnc+を生成するために行った変更を要約した表である。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
表の基底コードで示してあるように、これらの変更はDNAのG+C組成を減少させてさらなるコドンの多様性を導入し、過剰な量のコドンバイアスを犠牲にしないように行った。可能なところでは高いG+C配列のブロックをTまたはA置換基の追加によって遮断した。またユニークなEcoR I部位を遺伝子の3’末端付近に作成して将来考えられる配列の追加に備えた。GC組成を減少させるために有用な置換コドン選択は表9に記載した通りである。
Figure 0004030582
置換(表9に記載)は以下にレーン挙したような根拠に基づいて行った:
i)全てのProコドンは相互に許容される置換基であるが、CCTがCT塩基対を生成しG+C組成を減少する。
ii)2種類のGlnコドンがトウモロコシ遺伝子でほぼ等しい頻度で存在しており、そのため互いに簡単に入れ換えることが出来る。同様に、SerコドンAGCとTCCは相互に交換可能であると考えられる。同様な頻度の類似性がValコドンGTGとGTC、LeuコドンCTGとCTC、AlaマイナーコドンGCTとGCGについても存在している。
iii)LeuとSerのマイナーコドンTTG、TCTはCで終るコドンが後続する場合に許容できるので、追加のCT塩基対が生成される。TTGはTG塩基対カウントを増加させる別の特徴を提供する。
iv)ArgコドンAGGは好適なコドンCGCで置換できる(前節での議論を参照)。AGGは好適なコドンより実質的に低い頻度でトウモロコシ遺伝子に発生するが、第3選択コドンの2倍の頻度で見付かっている。
v)GAT(Asp)、GAA(Glu)、ATT(Ile)、ACT(Thr)、GTT(Val)などのマイナーコドンは、可能であれば控え目に使用すべきである。CTまたはTG塩基対の形成に関与することになるコドンの前または後ろにこれらを配置するのが望ましい。これらのコドンは未変性トウモロコシ遺伝子の特徴であるため、合成遺伝子への組み込みを全体的に回避する必要がない。
Mze HD73 #6 trnc+:
Mze HD73 #5 trnc+配列に幾つかの変更だけを行って最終板遺伝子であるMze HD73 #6 trnc+を生成した(表10に要約)。
Figure 0004030582
表11に要約してあるように、Mze HD73 #5 trnc+Mze HD73 #6 trnc+をもたらす変更はほぼ50%までCG塩基対の個数を減少し、明らかにTGとCTを増加させた。さらにG+C組成56%がトウモロコシ代謝遺伝子の範囲内に充分に納まった。
Figure 0004030582
Perlak et al.(PNAS,88(1991)3324)が遺伝子植物に発現成功させたDNA配列の検証によって、自然ICPの615アミノ酸を(Mze HD73 #5 trnc+でコードされた610ではなく)遺伝子がコードしたことが分かった。追加の5個のアミノ酸のコドンはコドン610とバージョン#4で追加した2個のProコドンの間に追加されたことになる。Mze HD73 #6 trnc+は未変性HD73ICPの615個のアミノ酸と2個のカルボキシ末端プロリン残基をコードしている(配列識別番号1)。
表12は未変性Bacillus HD73遺伝子、Mze HD73 #1 trnc+遺伝子、Mze HD73 #6 trnc+遺伝子のコドン使用パターンをレーン挙したものである。
Figure 0004030582
Mze HD73 #6 trnc+の分析および双子葉植物とトウモロコシ遺伝子との比較を表13に記載する。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
Figure 0004030582
微生物の配列と比較した場合、Mze HD73 #6 trnc+はICP遺伝暗号領域で1845塩基対の内538塩基の変更(538/1845×100=29%の差)、また2個のProコドンの追加によるさらなる6箇所の変更で、1851塩基対のうち、合計544塩基の差を有している。Perlak et al.,(PNAS,88(1991)3324)が発表したDNA配列との比較では、本発明によるトウモロコシに最適化したBtICP遺伝子が1845のうち422配位が異なり(23%の差)、コードされたタンパク質はアミノ酸206,227,245,254,289,313で異なっている(615アミノ酸のうち6箇所の変更、これは末端プロリンを含まない)ことが分かった。
以下に掲載する表14は好適および好適でないトウモロコシ・コドンを用いて遺伝子を変更し植物に最適化したヌクレオチド配列を作成する方法の教示をさらに示したものである。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
Mze HD73 #6 trnc+において、トウモロコシ・コドンの選択は次のように配分してある:
20個の第1選択コドンのうちで19個を用い、考えられる618箇所のうちの合計389箇所、または63%に使用する。
18個の第2選択コドンのうちで13個を用い、考えられる618箇所のうちの合計136箇所に、または22%に使用する。
10個の第3選択コドンのうちで5個を用い、考えられる618箇所のうちの46箇所、または7.5%に使用する。
8個の第4選択コドンのうちの6個を用い、考えられる618箇所のうちの47箇所、または7.5%に使用する
3個の第5選択コドンのうちの0個を使用する。
3個の第6選択コドンのうちの0個を使用する。
第1選択のトウモロコシ・コドンの使用頻度に基づくと、Mze HD73 #6 trnc+は純粋に植物に最適化したヌクレオチド配列に対して63%が相同である。
トウモロコシの最適化されたBtICP遺伝子の合成
Mze HD73 #6 trc+に対応するヌクレオチド配列を、Mullisの米国特許第4,683,202号およびMullisらの米国特許第4,683,195号の開示にもとづいて、重複したオリグヌクレオチドを段階的に添加する一連のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を用いて合成した。手順は、中間合成産物のPCR増幅、その後のクローニングに先立つ広範囲にわたって修飾された大きいDNAフラグメントを増殖をたよりにする。増殖がワン・ラウンド終了した後に、中間生成物を精製し、つぎの重複プライマーに対してアニーリングし、さらに重複する。したがって、遺伝子全体をアニーリング、リゲーション、形質転換、および中間反応生成物の選択なしに合成するこができ、これらの工程は他のアプローチ法を必要としない。
PCR増幅で使用される酵素であるTaqポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠如しており、新生配列をプルーフリーディングし、誤読み取りされたヌクレオチドを除去することができない。ある条件下(55℃アニーリング温度および200μMデオキシヌクレオチド濃度)では、ポリメラーゼは計算によれば5x10−6の頻度でヌクレオチドの誤読み取りする(Gelfl and et al.,PCR Protocols,(1989),Academic Press,Inc.,San Diego,CA)。ある配列で誤りが生ずる確率は、増幅周期の数が増大するのにしたがって高くなるので、より大きな遺伝子をいくつかの中ぐらい大きさ(500〜700ヌクレオチド)の部分にわけて合成するのが最良であり、それらの部分はその後PCR増幅によって播種(sown)されるか、あるいは従来の末端のリゲーションによって結合される。この戦略によってもまた、異なる部分を遺伝子の配列全体が影響を受けることなく修飾または交換することが可能となる。
Bt ICP遺伝子を設計するための本発明の一つの態様では、いくつかの独特の制限酵素認識部位が配列に導入され、別々に合成された部分の結合がなされる(配列識別番号1)。また、完全なICP遺伝子がいくつかのベクターのNco I部位とBamH I部位との間に挿入することができるように、配列識別番号1に示される配列の5’末端に2つのC残基を加えてNco I部位を生成し、さらにBamH I部位を遺伝子の3’末端(コード領域の下流)に加えた。1854nt ICP配列をほぼ同程度の大きさの3つの部分に分割した。合成完了と同時に独特の制限部位が各部分の末端の各々に含まれるように各部分を設計した。これらの部位を用いて個々の部分を結合して617アミノ酸をコードする連続配列を構成した。5’部分は独特の5’Nco I部位および3’Xho I部位を末端に有するように、中央部分は独特の5’Xho I部位および3’Kpn I部位を末端に有するように、さらに3’部分は独特の5’Kpn I部位および3’Bam I部位を持つように設計した(図1A参照)。
本発明の別の態様では、6個のPCR工程で653塩基対(bp)からなる5’−最大IPC遺伝子フラグメントを長さが61ないし86塩基の12本の重複オリゴヌクレオチドから合成した。すべてのオリゴヌクレオチドは、PCR工程を連続して行うことで18ないし20塩基の重複を形成するように設計された。それぞれの場合において、図1Bに示すようにフラグメントの合成は「裏返し(inside−out)」から実行した。合成の第1のステップでは、オリゴヌクレオチドBt1およびBt2のアニーリングによって開始された。この2つの重複部分の中央領域のみがアニーリングされた二重鎖分子であった。分子の残りの部分は30重複サイクルの間にTaqポリメラーゼによる延長によって二重鎖が作られた。第2のステップでは、この二重鎖となった分子を編成させ、その後アニーリングさせるとともにオリゴヌクレオチドBt3およびBt4による再重複を行った。第3のステップでは、この二重鎖分子(Bt3、Bt1、Bt2、およびBt4の配列に対応)を再変成、アニーリング、およびオリゴヌクレオチドBt5およびBt6による増幅を行った。このプロセスを繰り返して行い、配列がBt遺伝子の5’部分の全配列に一致する653bpの二重鎖分子にまで伸長するまで続けた(図1B参照)。同様に、584bpの中央フラグメントを長さが重複75ないし83塩基である10本のオリゴヌクレオチドを用いて5つのPCRステップで合成した。合成後、pBlueScript(”pBS”、Strategene,LaJolla,CA)ベクターでクローン化された遺伝子部分の各々を、配列分析によってたしかめた。必要に応じて、PCR突然変異誘発アプローチを用いて行った。個々のフラグメントを完全な遺伝子に結合させる前に訂正した部分を再び配列決定し直した。
Bt ICP遺伝子を大きさが59ないし86ヌクレオチドの範囲内にある合計で34のオリゴヌクレオチドから合成した。全34のオリゴヌクレオチドの配列を表15に示す。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
Figure 0004030582
オリゴヌクレオチドの設計に際して、いくつかの条件に従った。すなわち、(i)オリゴヌクレオチド重複部分はどれも最小の18ヌクレオチドとした。(ii)各オリゴヌクレオチドの3’側のほとんどの塩基をGまたはCとした。(iii)反対側の鎖の3’末端でA残基の無鋳型添加による問題を避けるために、各オリゴヌクレオチドの5’側のほとんどの塩基を配列のT残基に隣接の下流とした(Clark et al., Nucl. Acids Res., 16(1988)9677)。(iv)各オリゴヌクレオチドにおける広範囲にわたる内部塩基対形成を可能な限り避けた。さらに、(v)各フラグメントに対して第1のステップ(オリゴヌクレオチド・アニーリングを除くすべてのステップで使用されたオリゴヌクレオチド間の塩基対形成もまた可能なかぎり避けた。
大腸菌(E.coli)での遺伝子発現
適切な大きさ、抗原性、および鱗翅目の昆虫に対する毒性を有する機能性タンパク質が合成ヌクレオチド配列によってコードされていることを示すために、植物の形質転換に先立ってE.coliを用いて発現実験を行った。この終わりに、ICP遺伝子をコードするトウモロコシ最適化DNA配列をT7発現プラスミドに挿入し、ICP遺伝子産物がかなり濃縮されたE.coli抽出物を調整した。SPS−PAGEおよび免疫ブロット分析によると、遺伝子産物は適切な大きさのもので精製さらた天然のB. thuringiensisデルタ・エンドトキシンに対する抗血清と交差反応した(図4)。タンパク質の生物学的さようをM. sexta食餌アッセイで示した(図5)。エンジニアリングおよび合成戦略の成功をさらに確かめるために、形質転換したトウモロコシのカルス細胞で適切な大きさの抗原的に活性なタンパク質をICPタンパク質が生産することを示した(図6)。H.virescens幼虫による食餌バイオアッセイによって、設計(エンジニアリング)タンパク質の殺虫活性を明らかにした。同時に、それらのデータはトウモロコシの最適化されたヌクレオチド配列が自然から単離された野生型ICPといくつかの生物学的特徴(例えば、抗原性、大きさ、生物学的活性)を共有することを示している。
トウモロコシの合成最適化BtICP遺伝子を含む組換えDNAベクターの調製
BtICPをコードするトウモロコシの最適化されたヌクレオチド配列は、天然のBt構造遺伝子で観察されたものと比較してかなり高いレベルで植物において発現された。トウモロコシの最適化ヌクレオチド配列の発現は、適当なベクターによる植物の形質転換を必要とする。BtICPに対するトウモロコシの最適化ヌクレオチド配列を植物で機能的なプロモーターと結合させた。この際、構造遺伝子およびプロモーターは、該プロモーター領域がアクティブである細胞内で該構造遺伝子が発現されるような位置および配置にあり、それによって機能遺伝子を形成する。プロモーター領域には、限定されるものではないが、細菌および植物プロモーター領域が含まれる。本発明の別の態様では、プロモーターは誘導プロモーター、構成プロモーター、時間的または発生的調節プロモーター、組織優先的または組織特異的プロモーターからなる群から選択される。
本発明の重要な態様では、ベクターはMSV(トウモロコシ条斑病ウイルス)のリーダー配列、35Sプロモーター、およびトウモロコシに特異的なエンハンサー、例えば実施例で説明するようなAdhイントロン1またはAdhイントロン6が含まれる。
プロモーター領域/構造遺伝子の組み合わせを発現するために、この組み合わせを持つDNAセグメントを細胞に含有させる。植物プロモーター領域を含む組み合わせを植物細胞に含有させ、その結果として植物または種子に含有させることができよう。細菌プロモーター領域を含む組み合わせをBtまたはE.coli等の細菌に含ませる。当業者に理解されることと思われるが、細菌以外の微生物での発現は、ある環境下では必要かもしれず、試みることがないとしても本発明の開示によって実行可能であろう。
トウモロコシの最適化されたBtICP遺伝子が組み合わさる適当な組換えDNAベクターを以下の実施例でさらに説明する。
合成ICP遺伝子ベクターによるトウモロコシの形質転換と、二重にエンハンスされたプロモーターによるすべての植物の形質転換
プロモーター制御下のトウモロコシ最適化BtICP遺伝子を持つ組換えDNA分子を当業者に既知の任意の方法でもって導入することができる。任意の植物種または植物組織の特定の型に対して使用される技術は、既知の成功している技術に依存する。外来遺伝子を植物細胞に安定的に挿入するために、さらに修飾された細胞を操作するために開発されることから、当業者は所望の結果を達成するために既知の手段から選択することが可能であろう。
二重にエンハンスされたプロモーターは、双子葉植物または他の単子葉植物と同様にトウモロコシにおいて外来遺伝子を発現させるために使用することができる。より特異的には、双子葉植物としては、限定されるものではないが、大豆、豆果、ナタネ、綿、ヒマワリ、トマト、ポテト、テンサイ、アルファルファ、チョウジノキ、および落花生が挙げられる。単子葉植物としては、もちろん限定されるものではないが、トウモロコシ、小麦、モロコシ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、米、キビ、スイートコーン、および牧草が挙げられる。
二重にエンハンスされたカリフラワーモザイクウイルス由来35Sまたは19Sプロモーターの使用に加えて、他のプロモーターもここで議論される方法によって修飾してもよい。特に、MSVリーダー配列、adh1、adh6、または他のイントロン(配列識別番号43、44、45、46、および47)によって修飾することができるプロモーターとしては、限定されるものではないが、オクトピン合成酵素プロモーター、ノパリン合成酵素プロモーター、およびモノピン合成酵素プロモーターが挙げられる。
植物プロモーターもまた、ここの示唆によってさらに修飾することができ、限定されるものではないが、リボロース−1,6−ビホスフェート(RUBP)カルボキシラーゼ小サブユニット(ssu)、ベータ−コングリシニン・プロモーター、ファセオリン・プロモーター、ADHプロモーター、アクチン、ユビキチン、ゼイン、オレオシン、ナピン、ACP、ヒート・ショック・プロモーター、および組織特異的プロモーターまたは花粉特異的プロモーター、胚特異的プロモーター、トウモロコシの毛に特異的、綿繊維特異的、根特異的、種子内胚乳特異的プロモーター等が挙げられる。
外来遺伝物質を植物細胞に導入する技術や、導入された遺伝子を安定維持して発現させる植物を得るための技術はいくつか知られている。そのような技術には、微粒子上に被覆された遺伝物質が細胞に取り込まれるのを促進させることが含まれる(Cornellの米国特許第4,945,050号、DowElancoの米国特許第5,141,131号)。植物はアグロバクテリウム(Agrobacterium)技術を用いて形質転換することが可能であり、トレド(Toledo)の大学の米国特許第5,177,010号、テキサスA&Mに対する米国特許第5,104,310号、Schilperootに対する欧州特許出願0131624B1、欧州特許出願120516,欧州特許出願159418B1および120516,欧州特許出願159418B1および176,112、Schilperootに対する米国特許第5,149,645号、第5,469,976号、第5,464,763号、および第4,940,838号および第4,693,976号、マックスプランク(MaxPlanck)に対する欧州特許出願116718、290799,320500、日本たばこに対する欧州特許出願604662および627752、さらにチバガイギー(Ciba Geigy)に対する欧州特許出願0267159および0292435や米国特許第5.231,019号、さらにCalgeneに対する米国特許第5,463,174号および米国特許第4,762,785号、さらにAgracetusに対する米国特許第5,004,863号および第5,159,135号を参照せよ。他の形質転換技術としては、例えばZenecaに対する米国特許第5,302,523号および第5,464,765号のウィスカー技術等が挙げられる。
また、電気穿孔法(エレクトロポレーション),もまた植物の形質転換に使用されている。Boyce Thompson Instituteに対するWO 87/06614、Dekalbに対する5,472,869および5,384,253、PGSに対するWO9209696およびWO9321335を参照せよ。このような形質転換植物および刊行物のすべてを本願では援用する。植物を形質転換させるための数多くの技術に加えて、外来遺伝子と接触する組織の種類もどうように変化の激しいものである。そのような組織としては、もちろん限定されるものではないが、胚形成組織、カルス組織型IおよびII、胚軸、分裂組識等が挙げられる。ほとんどすべての植物組織は、当業者に既知の適当な技術を用いて脱分化の間に形質転換されよう。
他に変えることができるものは、選択可能なマーカーを選ぶことである。特定のマーカーの選択は当業者の自由裁量ではあるが、以下の選択可能なマーカーのいずれも選択可能なマーカーとして機能することが可能な本願にはリストされていない他の遺伝子のいずれかとともに使用してもよい。そのような選択可能なマーカーとしては、限定されるものではないが、抗生物質カナマイシン、ネオマイシン、およびG418に対する耐性をコードするトランスポゾンTn5(AphII)のアミノグリコシドフォスホトランスフェラーゼ遺伝子、同様にグリホサート;ヒグロマイシン;メトトレキセート;ホスフィノスリシン(バー);イミダゾリノン、スルホニルウレア、およびトリアゾロピリミジン除草剤、例えばクロロスルフロン;ブロモキシニル、ダラポン等が挙げられる。
選択可能なマーカーに加えて、レポーター遺伝子を使用することが望ましい。いくつかの例では、レポーター遺伝子は選択可能なマーカーなしで使用される。レポーター遺伝子は、一般にレシピエント器官または組織に存在しないか、あるいは発現しない遺伝子である。リポーター遺伝子は一般にある種の表現型の変化または酵素的特性を与えるタンパク質をコードする。そのような遺伝子の例は、K. WeisingらのAnn. Rev. Genetics, 22, 421(1988)に開示されており、本願ではこの文献を援用する。好ましいレポーター遺伝子はグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子である。
ひとたび植物組織に導入されると、構造遺伝子の発現を当業者に既知の任意の方法でもってアッセイすることができ、また発現はmRNAの転写またはタンパク質の合成として測定することができよう。植物組織のin vitro培養についてはすでに知られており、多くの場合、完全な植物の再生に関する(欧州特許8810309.0)。導入された発現複合体を市販の有効な栽培品種に移す方法は当業者に知られている。
ひとたび植物発現可能プロモーターの制御下で遺伝子を発現する植物細胞が得られると、当業者に既知の方法および技術を用いて該植物細胞から植物組織および完全な植物を再生することができる。再生植物は、さらに従来の手段を用いて再生産され、導入された遺伝子は従来の植物育種技術によって他の株や栽培品種に移される。
トウモロコシ細胞におけるICP遺伝子の発現
植物細胞内におけるトウモロコシ最適化Bt ICP遺伝子の機能性は、ブラック・メキシカン・スウィート(Black Mexican Sweet)(BMS)プロトプラストで、さらに安定な形質転換されたトウモロコシ・カルス培養でトウモロコシの形質転換系を用いた試験が行われてきた。これらの研究によれば、設計されたICP遺伝子はトウモロコシで十分に発現され、また蓄積されたICPの濃度はin vitroの食餌アッセイで昆虫制御するのに十分なものであることが示された。
米国特許第5,141,131号に記載されているようにしてヘリウム・ブラスト・トランスフォーメーションによる再生可能なトウモロコシ培養への遺伝子導入によって、その遺伝子を発現する稔性植物が得られた。遺伝子組換えトウモロコシ植物の種子から成長した植物もまたその後の世代でICP遺伝子を発現した。
以下の実施例は本発明を実施するための方法を説明するためのものであって、該実施例によって特許請求の範囲に定められた本発明の範囲が限定されるものではない。
実施例
実施例1:オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドの合成は、アプライド・バイオシステムズ社(APPlied Biosystems Inc.)のDNA合成装置のモデル380Aまたはモデル390のいずれかを用いて行った。この際、0.2μMカラムおよびFODホスフォラミジト(phosphoramidites)および標準シアノエチル化学を用いた。合成はトリチル−オフ・モードで行った。モデル380A合成装置で合成を行った後、各オリゴヌクレオチドをカラムから採取し、50℃、1時間でもって脱保護(deprotect)し、さらに50℃での蒸発によって乾燥させた。オリゴヌクレオチドを300μlのTE緩衝液(10ml Tris HCl pH8.0、1mM EDTA)に再懸濁し、さらに濃度を260nmにおける吸光度を測定することで決定した。
オリゴヌクレオチドの精製は、12%変性ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)で行った。30mlの10xトリス・ほう酸塩EDTA緩衝液(TBE;1 x TBEは0.9Mトリス・ほう酸塩、2ml EDTA)および90mlの40%アクリルアミドのストック溶液に126gの尿素を溶解し、HOでもって溶液の堆積を合わせることで、PAGEゲルのストック溶液300mlを調製した。40mlのPAGEストック溶液を使用し、ホッファー・スツルジエール(Hoeffer Sturdier)ゲル装置を用いて5穴ゲルに流し込んだ。流し込みに先立って350μlの10%過流酸アンモニウムおよび35μlのTEMEDを添加することで重合を誘導した。
各オリゴヌクレオチドは以下のように調製した。すなわち、300ないし500μgのオリゴヌクレオチドをTE緩衝液で60μlに希釈し、つづいて60μlのホルムアミドゲル充てん緩衝液(10mlホルムアミド、10mgキシレンシアノールFF、10mgブロモフェノール・ブルー、200μlの0.5M EDTA pH8.0)を添加し、さらに試料を5分間沸騰させて、氷上で冷却した。シークエンシング・ピペット・チップを用いて試料をゲルに充てんした。電気泳動は1 x TBE中で300ボルト、3時間にわたって行った。
アクリルアミドゲル上を試料が移動した後に、該ゲルをサランラップ(SaranWrap:登録商標)に移して白の背景(例えば、X線増感紙)上に置き、さらに短波長紫外線を照射した。DNAバンドの存在、同様にキシレンシアノールおよびブロモフェノール青色色素マーカーを白の背景上の影として可視化した。
適当な大きさのDNAバンドをゲルから切り取り、拡散によってDNAを溶離した。各ゲル・スライスをガラス棒でもって細断し、37℃、16時間、回転ドラム中でコンスタントに攪拌しながら1.5mlのオリゴ溶離緩衝液(100mM tris HCl pH8.0、500mM NaCl、5mM EDTA)中でインキュベートした。グラスウールのプラグを有し、かつ0.2μmフィルターが付いた3ccのシリンジを使ってポリアクリルアミド・スラリーをろ過した。溶離したオリゴヌクレオチドを、セントリコン(Centricon)10スピン・カラム(分子量カット・オフ10,000D)で3000xg、室温、2時間にわたって遠心することで濃縮し、さらに同一の管を用いて上記のように遠心することで2mlのTE緩衝液で洗浄した。精製されたオリゴヌクレオチドは最終容量30ないし40μlとして回収した。濃度は、260nmでの吸光度を測定することで決定した。
オリゴヌクレオチド合成の結果の例として、オリゴヌクレオチドBt6−Bt10のゲル精製を図2に示す。また、図2は38−0A合成装置による成功した2件の合成(Bt9およびBt10)と390合成装置による成功した2件の合成(Bt6およびBt7)を示している。
実施例2:PCR増幅
PCR増幅はすべて100μlの反応液中で行った。この反応液は、20mMのTris HCl pH8.3、1.5mM MgCl、25mM KCl、各々が200μMのdATAP、dGTP、dCTP、およびdTTP、さらに5単位のTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)。テンプレートおよびPCRプライマーの濃度はプロトコルのステップに応じて変えた。第1のPCRステップでは、テンプレートは、第1の組(図1参照)からなるプライマーの各々0.5μMによって増幅することで各フラグメントのテンプレートを以下の通りにして生成した。すなわち、94℃で1分間変性、55℃で2分間アニーリング、および72℃で3分間伸長を30周期、つづいて72℃で7分間の追加伸長を行う。反応生成物を5%純ポリアクリルアミド・ゲル上にのせ、1xTBE中で40ボルト、1時間にわたり電気泳動した。平行なレーンとして走るBRL123bpの梯子を大きさの標準として使用した。電気泳動の後に、0.5μg/mlエチジウムブロミドを含む水のなかで1時間にあたってゲルを染色した。予想される大きさのフラグメントをゲルから切り離し、グラスウールおよび0.2μmフィルターを介して濾過を行った後にDNAを2.5容量のエタノール、20μgのグリコーゲン、および0.05容量の8MLiClを用いて沈降させることで濃縮した点を除いてオリゴヌクレオチド精製のところで説明(既に記述されたことを参照)したようにゲル・スライスから精製した。DNAを40μlのTE緩衝液に再懸濁した。各フラグメントの合成における第2のPCRステップはステップ1のゲル精製生成物5μlをテンプレートとして使用し、またオリゴヌクレオチド濃度は0.2μMであった点を除いて第1のステップと同様の反応混合物を用いて行った。PCR反応全体を1%アガロース・ゲル上で電気泳動し、予想される大きさのバンドを切り出し、DNAをジーンクリーン・キット(GeneCleanKit(Bi0101))を用いてゲル・スライスから精製し、さらに最終容量が50μlのTEに溶離した。続く反応のすべてはステップ2の記載通りに行われた。
個々のPCRステップによって予想される大きさの生成物が大量に得られた。また、多くの場合において他のマイナーなバンドと同様に予想の大きさを倍にしたバンドを見ることができた。適当な大きさのDNA生成物のすべてをゲル濾過し、図3に示すゲル上に泳動させた。この図は、連続的なPCRステップにおけるDNA配列の段階的添加を示している。各レーンにおける2量体の大きさとなったバンドは電気泳動の際に人為的に生じたものである。なぜなら、ゲル上に再度泳動させた場合にモノマーの大きさのバンドからゲル精製DNAもまたこの二量体の大きさのバンドが生ずるからである。遺伝子フラグメントの各々の最終生成物を、各フラグメントの末端に設けられた制限部位を認識する酵素によって消化し、同一の酵素で切断されたpBSDNAにリゲーションする。このリゲーション生成物をコンピテント大腸菌(E.coli)DH5α細胞に形質転換させ、適当なフラグメントを持つpBSプラスミドを運ぶ分離菌を同定した。このようなプラスミドのICP遺伝子部分のDNA配列を決定し、Mze HD76 #6 trnc+配列由来の5つのヌクレオチドの違いを見つけた。このような変化は、(1)ヌクレオチド(nt)630にある5’フラグメントにおける保存的な塩基変化(GからT)(ATG開始コドンのAを塩基#1とする)。(2)ヌクレオチド(nt)の中央フラグメントにおける保存的な塩基変化(AからG)。(3)コード化されたポリペプチドにフレームシフトを起させるヌクレオチド(nt)657−658での中央フラグメントにおける2つのGの欠失。(4)セリンからプロリンへの変化を生ずるヌクレオチド(nt)877における中央フラグメントの塩基変化(TからG)。(5)フレームシフトを生ずるヌクレオチド(nt)1401の3’フラグメントにおける一つのCヌクレオチドの欠失。後の3つのエラーは実施例3(下記)に説明するPCR突然変異誘発によって訂正されるPCR修復に続いて、中央および3’フラグメントを消化し、pBSにクローン化し、さらに結果として得られるプラスミドのインサートの配列を決定して修正プロセスの間に何らかの他の変化が取り込まれていないことを確かめた。すでに存在している5’および中央フラグメントにおける保存的な塩基変化(修正していない)は別として、配列は設計された配列識別番号1のICP配列(Mze #6 trnc+)と同一であった。
実施例3:ICP遺伝子フラグメントの修正
DNA操作およびE.coli形質転換はすべて標準的な手順にもとづいて行った(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laborator Manual,(1989)2ndEd.,COld Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel et al.,Current Protocools in Molecular Biology,(1987)John Wiley and Aons,New York,NY)。個々のICP遺伝子フラグメント3つをpBluescriptにクローニングした後、修飾ICP配列にもとづいたシークエンシング・プライマーあるいは上記したPCR合成プライマーのいくつかを使用するシークエナーゼキット(Sequenase Kit)(US Biochemical,Cleveland,OH)を用いて決定した。
ICP遺伝子フラグメント中のエラーはPCR突然変異誘発によって修正された。各修正に対して、2種類のPCR反応をセット・アップした。1つのPCR反応は、エラー修正オリゴヌクレオチドおよび5’末端オリゴヌクレオチドを用いてフラグメントの5’半分を増幅させた。もう一方のPCR反応は、3’末端オリゴヌクレオチドと相補的エラー修正オリゴヌクレオチドとを用いてフラグメントの3’半分を増幅させた。5’および3’修正済みフラグメントをゲル精製し、5’末端および3’末端オリゴヌクレオチドのみをプライマーとする増幅で第2のPCRステップの反応において結合させた。エラー修正に使用されるオリゴヌクレオチドを合成し、上記のようにしてゲル精製した。PCR反応条件はアニーリングを50℃で行い、25周期を採用した点が異なる意外は既に述べた通りである。Bi0101から入手可能であるGeneCleanKitを用いてフラグメントのゲル精製を行った。
実施例4:大腸菌(E.coli)発現
R.coli発現用に、細胞質発現ベクターpET−9d(Novagen,Madison,WI.)のNcoIおよびBamH I部位に1862塩基対Nco I BamH I DNAフラグメントとしてICPを挿入した。1マイクログラムのプラスミドをE.coliのBL21株(Novagen,Madison,WIから購入可能)からなるコンピテント細胞0.2ml中に形質転換させ、25μg/ml(プラスミドpET−9dについて)のカナマイシンを含有するLBプレート上に播種した。37℃で一晩インキュベートした後、コロニーをプレートから採取し、適当な抗生物質とイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を1mM含む10mlのLBブロスに再懸濁した。3時間にわたって37℃で強く浸透している間に細胞がタンパク質を発現できるようにし、つぎに10分間、4℃でもって1,000xgの遠心を行うことで回収した。
pET−9d構成の発現について、可溶で、かつ凝集性のタンパク質分画を以下のようにして調製した。細胞ペレットを凍結させ、2回解凍状態にして細胞の溶解(溶菌)を助け、溶解物を1mlの溶解緩衝液(10mM Tris HCl pH8.0、1mM EDTA、150mM NaCl、0.1%TritonX100、100g/ml DNasel、100μg/ml RNaseH、1mg/mlのリソチーム)に再懸濁し、粘性がなくなるまで37℃でインキュベートした。
凝集した変性タンパク質から4℃、10分間の遠心によって可溶性タンパク質が分離された。不溶性のペレットを約300μlの上記溶解緩衝液に再懸濁した。両分画とも最終容量が0.5mlである。
両抽出物からなるペレット分画に分子の大きさが69kDである豊富なタンパク質が、細胞質発現ベクターを含むE.coli細胞から生成される両抽出物のペレット分画中に存在した。B.thuringiensis CrylA(C)から精製した天然のデルタ・エンドトキシンに対する抗血清と交差反応し、典型的なタンパク質ゲル・イムノブロットが図4に示されている。
E.coliに産生された抗ICP交差反応性タンパク質の大きさは、ICP遺伝子の配列から予想された68kDの大きさにかなり一致する。未変性のICPは修飾ICP遺伝子産物と比較してわずかながら小さい(Mw66kD)(レーン5、6、および7)。B.thuringiensisでは、毒素は130kDプロトキシンとして産生される。鱗翅目の昆虫によって経口摂取されると同時に、たんぱく質が可溶化し、タンパク質分解によって活性化される。タンパク質分解は、B.thuringiensisの株に依存して60−70kDの活性毒素部分を産生する。Cryl ICPのすべてにおいて、タンパク質分解処理がプロトキシンの中央部分で生じ、C末端ドメインから毒素部分を切り離す。処理は、アミノ酸Arg28とIle29との間の最大(extreme)N末端でも生じ、このような処理はセリン型のプロテアーゼによって実行されると思われる。CrylA(b)およびCrylCのトリプシン活性プロトキシンのアミノ末端タンパク質塩基配列決定はN−末端として位置29のイソロイシンを同定した(Hofte et al.,Micorbiological Rev.,53(1989)242)。Mze HD73 #6 trnc+遺伝子の配列にこの推定されるセリン・プロテアーゼ部位が含まれるので、E.coli抽出物内でセリン・プロテアーゼ活性によるこの部位の切断はN−末端の28アミノ酸を除去する。その結果、遺伝子の配列から予想された遺伝子産物よりも約3KD程度小さい生成物が得られる。この大きさのタンパク質は未変性のICP毒素と一緒に移動するぼんやりとしたバンド(約66kD)として認められる。抽出タンパク質の数量化は行っていない。なぜなら、タンパク質それ自体が不溶性であり、また細胞片と凝集するからである。
実施例5:大腸菌(E.coli)によって発現されたタンパク質濃度
タンパク質濃度をバイオラド(BioRad)プロティン・アッセイを用いて決定した。タンパク質は、製造元の忠告にしたがってホッファー・マイティ(HoefferMighty)スモール・ミニゲル装置またはダイイチ(Daiichi)ミニゲルに設けられた12.5%のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・ゲル(SDS−PAGE)上で分析した。タンパク質の染色は記載通りに行った(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(1989),2nd Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY)。また、ECLウエスタン・ブロッティングおよび検出システム(Amersham,Arlington Heights,IL)を用いて精製B.thuringiensis HD73毒素のウサギ抗血清によりICPはプロティン・ゲル・ブロット分析(ウエスタン・ブロッティング)によって特異的に検出した。ホッファー・セミドライ(Hoeffer SemiDry)ブロッタを用い、0.9mA/cm、90分でもってタンパク質をゲルからハイボンド(Hybond)−ECLニトロセルロース膜(Amersham)に移した。膜をブロッキング試薬TBS−Tween−Milk(TBTM:25mM Tris HCl pH7.4、136mM NaCl、2.7mM KCl、0.1%Tween20、5%ノンファット・ドライミルク)とともに室温で1時間にインキュベートした。つぎに、膜をブロッキング試薬中で1:500の希釈率でもって一次抗血清とインキュベートし、続いて室温、10分間、100ml TBS−Tween(ミルクなし)中で3回洗浄した。膜を二次抗血清(西洋わさびペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ウサギIgG;Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)を含むブロッキング試薬中で1時間インキュベートとし、つづいて室温、10分間、100mlのTBS−Tweenで3回洗浄を行った。フィルタを10mlの試薬A+B(1:1、ECLキット)中で1分間インキュベートとし、過剰な液体を排出し、さらに膜をハイバーフィルム(Hyperfilm)−ECLフィルムに10秒ないし1分間さらした。ECLフィルムを標準的な現像液および固定液を用いて処理した。ICPシグナルをモデル620ビデオ・デンシトメトリ(Bio−Rad)を用いて走査し、1−Dアナリスト・ソフトウエア(Analyst Software)(Bio−Rad)を用いて同一ゲル上で電気泳動されたICP標準の走査と比較して濃度を決定した。図4は、E.coliのけるICPの発現とそのような発現の濃度とを示すものである。
実施例6:食餌アッセイ
E.coliで発現され、かつ実施例4に示されたようにして抽出されたICPを用いてManducasexta(タバコイモムシ)における食餌アッセイを行った。新生幼虫に対してICPまたは対照資料が含まれた人工食餌を与えた。4日後、幼虫の体重および死亡率を決定した。
M.sexta食餌アッセイにおけるE.coli抽出物の試験結果(図5)によれば、Mze HD73 #6 trnc+によってコードされたICPは鱗翅目に対する毒性を有する。ICPを発現する細胞と同様に、E.coli抽出物のペレット分画は、顕著な成長阻害と死亡率とを示した。しかし、ICP含有E.coli抽出物および細胞はManduca幼虫に対する毒性が精製された非変性ICPのものよりも低かった。このことは、E.coliに産生されたICPの不溶性度が高いという事実によって説明されよう。凝集によって、効果的なICP濃度がタンパク質濃度よりもかなり低いことが示される可能性がある。
実施例7:植物発現プラスミドの構成
A.二重にエンハンスされた(doubly−enhanced)CaMV35Sプロモーターの構成:
このセクションは植物プロモーターの発現エンハンサー・エレメントの重複(duplication)を生ずる分子操作について述べる。タバコ植物において、この重複によって、修飾プロモーターによって発現が制御されたマーカー遺伝子の発現が増大することが示されている(Kay et a1.,Science236(1987)1299)。[注:この記述に関係する配列は、カリフラワー・モザイク・ウイルス(Cauliflower Mosaic Cirus(CaMV))のcabbS株由来のものである。GenBankのMCASTRAS配列として入手可能であり、またFranckらによって公表(Cell21(1980)285)されている。DNA配列のすべてが型通りの5’から3’方向に与えられている。この開始物質はOdellらによって記載(Nature313(1985)810)されたようなプラスミドPUC13/35S(−343)である。このプラスミドはpUC13のSma I部位の3’末端の起始点(Messing,Methods in Enzmology101(1983)20)、およびpUC13のlacZ遺伝子の非コード鎖に隣接する鎖上のリーディング、CaMVのヌクレオチド6495から6972、それに続くリンカー配列CATCGATG(Cla I認識部位をコードする)、それに続くヌクレオチド7089から7443、それに続くリンカー配列CAAGCTTGを含み、また後者の配列はHind IIIの認識部位を含み、さらにその後にpUC13プラスミドDNAの残りの部分が続く。
1.pUC13/35S(−343)DNAは、Cla IおよびNco Iによって消化され、3429塩基対(bp)のラージ・フラグメントがアガロース電気泳動によって66bpのスモール・フラグメントから分離され、標準的な方法でもって精製された。
2.pUC13/35S(−343)DNAは、Cla Iによって消化され、突出した末端はT4DNAポリメラーゼによる処理でもって取り除かれた。ブラントエンド化されたDNAを、Nco I認識部位を持つCCCATGGGの配列を有する合成オリゴヌクレオチド・リンカーにリゲーションした。リゲーション反応は、コンピテントEscherichia coli細胞に形質転換され、さらに形質転換体は前のCla I部位に位置するNCP I部位を持つプラスミド(p00#1と命名)含むものとして同定された。p00#1のDNAをNco Iで消化し、ラージ・フラグメントのコンパチブルな末端を再度リゲーションすることで、p00#1から70bpの欠失が生じ、中間のプラスミドp00#1Nco△が生じた。
3.p00#1Nco△ DNAをEcoR Vによって消化し、sらにブラント・エンドをCATCGATG配列を有するCla Iリンカーにリゲーションした。前のEcoR V部位の位置に新しいCla I部位を持つプラスミドを有するE.coli形質転換体を同定し、プラスミドをpoo#1Nco△RV>Claと命名した。
4.poo#1Nco△RV>Cla DNAのDNAをCla IおよびNco Iによって消化し、スモール(268bp)フラグメントをアガロース・ゲルから精製した。このフラグメントをつぎに上記のステップ1で調製したpUC13/35S(−343)の3429bp Cla I/Nco Iフラグメントにリゲーションし、さらにCla I/Nco Iフラグメント3429および268bpを持つプラスミドを有するE.coli形質転換体を同定した。このプラスミドをpUC13/35Enとする。
5.pUC13/35S En DNAをNco Iで消化し、T4DNAポリメラーゼ処理することで突出した末端をブラントにした。処理されたDNAをSma Iで切断し、CAGATCTG配列を有するBgl IIリンカーにリゲーションした。416bpのSma I/Nco Iフラグメントが少なくとも2つのコピーからなるBgl IIリンカーによって置換されているプラスミドを有するE.coli形質転換体を同定し、p35S Enと命名した。[注:Bgl II認識部位を除くこれらのBgl IIリンカーのタンドミザーション(tandomization)も、またPst I認識部位、CTGCAGを作る]
P35SEnのDNA構造は以下の通りである。すなわち、pUC13のlacZ遺伝子の非コード鎖に隣接した鎖上のSma I部位の第3のC残基の次にくるヌクレオチドによる開始;リンカー配列CAGATCTGCAGATCTGCATGGGCGATG(配列識別番号48)、その後にCla Iリンカー配列CATCGATG、その後にCaMVヌクレオチド709から7443、その後にHind IIIリンカー配列CAAGCTT、その後にpUC13配列の残りの部分が続く。この構造の特徴は、ウイルスゲノム(7090から7344ヌクレオチド)のEcoR V部位の上流にある領域に広がるCaMV 35S プロモーターのエンハンサー配列が重複していることである。このプロモーター構成は非変性の35S転写開始部位を取り込むもので、Hind III部位の最初のA残基の上流11ヌクレオチドに広がっている。
実施例7B
35SプロモーターおよびアグロバクテリウムNOSポリA配列を利用するプラスミド:第一の構築物の出発物質は、CLONTECH(カリフォルニア州パロアルト所在)から購入したプラスミドpBI221である。このプラスミドは、Bevanら(1985)、Baulcombeら(1986)、Jeffersonら(1986、1987)、およびJefferson(1987)に記載してあるように、CaMV 35Sプロモーターを若干修飾したコピーを含む。pUC19(Yanisch-Perronら、1985)のPst I部位の3’末端から始めて、pUC19のlacZ遺伝子をコードするのと同じ鎖を読むと、この配列は、リンカーヌクレオチドGTCCCC、次いでCaMVの第6605〜第7439番のヌクレオチド(実施例7Aに記載)、次いでリンカー配列GGGGACTCTAGAGGATCCCCGGGTGGTC AGTCCCTT(配列番号49)(下線した塩基は、BamH I認識配列を表す)を含む。次いでこれらの塩基に、ベータ−グルクロニダーゼ(GUS)タンパクをコードする大腸菌uidA遺伝子のコード領域を含む1809bpと、大腸菌ゲノム(Jefferson、1986)に由来する55bpの3’ブランキング塩基が続き、次いでSac Iリンカー配列GAGCTC、そしてリンカー配列GAATTTCCCC(配列番号50)が続く。これらの塩基に、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのノパリン(nopaline)シンターゼ(NOS)遺伝子に由来する、RNA転写/停止/ポリアデニル化シグナル配列が続き、そして、DePickerら(1982)の第1298〜第1554番ヌクレオチドに対応する、256bpのSau3A I断片が含まれ、次いで2個のC残基、EcoR I認識配列GAATTC、そしてpUC19の残りの部分が続く。
1.pBI221のDNAをEcoR IおよびBamH Iで消化し、その3507bpの断片をアガロースゲルを用いて精製した。pRAJ275(CLONTECH社、Jefferson、1987)のDNAをEcoR IおよびSal Iにより消化し、その1862bpの断片をアガロースゲルを用いて精製した。これら2本の断片を共に混合し、配列GATCCGGATCCG(配列番号51)および配列TCGACGATCCG(配列番号52)を有する、相補的合成オリゴヌクレオチドを加えた。(これらのオリゴヌクレオチドは、アニーリングした場合、BamH IとSal Iにより生じた付着末端に親和性のある、一本鎖の付着末端を有している。)これらの断片を連結し、制限酵素分析により、適当なDNA構造を有するプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドのDNAでpKA881と命名したものを、Bal IおよびEco RIで消化し、その4148bp断片をアガロースゲルを用いて単離した。上記p〜BI221のDNAを同様に消化し、その1517bpのEcoR I/Bal I断片をゲルを用いて精製し、上記のpKA881断片に連結して、プラスミドpKA882を作成した。
2.pKA882のDNAをSac Iで消化し、その付着末端をT4DNAポリメラーゼで処理することにより平滑にして、得られる断片を、配列CGGAT.CCGを有する合成BamH Iリンカーに連結した。3784bpおよび1885bpのBamH I断片を有するプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を同定し、pKA882Bと命名した。
3.pKA882BをBamH Iで消化し、断片の混合物を連結した。BamH Iで消化すると一本鎖の3783bpの断片を生じるプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を同定し、p35S/NOSと命名した。このプラスミドは、GUS遺伝子のコード配列が削除されている以外は、pBI221の本質的なDNA構造を有している。したがって、CaMVの第6605〜第7439番のヌクレオチドのあとには、
Figure 0004030582
が続く(前記の一重下線を付した塩基はXba I部位を表し、二重下線を付した塩基はBamH I部位を表す)。次いでこのリンカー配列にNOSポリアデニル化配列とpBI221の残りの部分が続く。
4.p35S/NOSのDNAをEcoR VおよびPst Iで消化し、その3037bpの断片を精製して、p35S En2のDNAをEcoR VおよびPst Iで消化することにより得た534bpの断片に連結した。EcoR VおよびPst Iで消化すると3031bpおよび534bpの断片を生じるプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を同定し、そのプラスミドをp35SEn/NOSと命名した。このプラスミドは、実施例7Aの工程5でp35S En2について記載した、35Sプロモーターのエンハンサー反復領域を含み、そのプロモーター配列は、特異なXba IおよびBamH I部位を含むリンカー配列によって、NOSポリアデニル化配列とは離れている。
実施例7C
非翻訳合成リーダーの構築
この実施例は、トウモロコシ・ストリーク・ウイルス(Maize Streak Virus, MSV)ゲノムを右方向へ転写したものの大部分である、5’末端の非翻訳リーダー部分を含有する配列を含むDNA断片を構築するのに用いる、分子操作を記載するものである。MSVゲノム配列は、Mullineauxら(1984)、およびHowell(1984)により発表されたものであり、その転写産物はFenollら(1988)に記載されたものである。154bpを含む全配列は、合成オリゴヌクレオチドのブロックを組み合わせることにより、3段階(A、BおよびC)に分けて構築した。
1.Aブロック
Figure 0004030582
を有する相補的オリゴヌクレオチドを合成し、標準的な手順によって精製した。これらのヌクレオチドを二本鎖構造にアニーリングすると、4塩基の一本鎖の付着末端(以下、「粘着末端」と称する)で、BamH Iにより生じるものに親和性があるもの(GATC)が分子の一方の末端に残り、Hind IIIにより生じる一本鎖末端に親和性があるもの(AGCT)が分子のもう一方の末端に残る。このようなアニーリングした分子を、BamH IおよびHind IIIで消化したプラスミドpBluescript SK(−)(以下、pBSKと呼ぶ。カリフォルニア州ラホラ所在のStratagene Cloning Systems製)に連結した。これらのオリゴヌクレオチドの配列は、それぞれのBamH IおよびHind III粘着末端で連結した場合に、それぞれの認識部位の配列が維持されるというようなものである。このオリゴヌクレオチド配列を含むプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を制限酵素分析によって同定し、そのプラスミドをpMSVAと命名した。
2.Bブロック:
Figure 0004030582
を有する相補的オリゴヌクレオチドを合成し、標準的な手順によって精製した。
下線した塩基は、制限酵素Sma IおよびXma Iの認識配列を表す。これらのヌクレオチドを二本鎖構造にアニーリングすると、4塩基の粘着末端で、Hind IIIにより生じるものに親和性のあるもの(AGCT)が分子の一方の末端に残り、Sal Iにより生じる粘着末端に親和性があるもの(TCGA)が分子のもう一方の末端に残る。これらのオリゴヌクレオチドの配列は、Hind III粘着末端に連結した場合に、そのHind III認識配列がこわれるというようなものである。
pMSV AのDNAをHind IIIおよびSal Iで消化し、上記のアニーリングしたオリゴヌクレオチドに連結した。この新しいオリゴヌクレオチドを含むプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を制限酵素地図作成によって同定し、pMSV ABと命名した。
3.Cブロック
Figure 0004030582
を有する相補的オリゴヌクレオチドを合成し、標準的な手順によって精製した。このオリゴヌクレオチドには、Nco I(CCATGG)、EcoR V(GATATC)、Hind III(AAGCTT)、およびBamH I(GGATCC)の認識部位(下線部)を含む塩基が組み込まれている。これらのヌクレオチドを二本鎖構造にアニーリングすると、4塩基の粘着末端で、Xma Iにより生じるものに親和性があるもの(CCGG)が分子の一方の末端に残り、Xho Iにより生じる粘着末端に親和性があるもの(TCGA)が分子のもう一方の末端に残る。このようなアニーリングした分子を、Xma IおよびXho Iで消化したpSMV ABのDNAに連結した。このオリゴヌクレオチド配列を含むプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を制限酵素分析によって同定し、DNA構造を配列解析によって確認した。このプラスミドを、pMSV CPLと命名した。これは、ヌクレオチドA、BおよびCのブロックを、ABCの配列順で含んでいる。また、これと共に、MSVコートタンパク質(「CP」)遺伝子の5’末端非翻訳リーダー配列(「L」)も含んでいる。これらは、Mullineauxら(1984)のMSV配列の第167〜第186番のヌクレオチド、および第188〜第317番のヌクレオチドに対応しており、BamH Iのリンカー配列GGATCCAGの5’末端、およびリンカー配列GATATCAAGCTTGGATCCC(配列番号60)の3’末端に隣接している。(註:野生種MSVの配列の塩基番号第187番に対応するA残基は、意図したわけではないが、クローニングの過程で削除された。)
4.Bgl II部位の挿入:pMSV CPLのDNAを、MSVゲノム配列の第277番の塩基に対応するSma I部位において消化し、そのDNAを、配列CAGATCTGを有するBgl IIリンカーに連結した。特異なBgl II部位をもとのSma I部位に有するプラスミドを担持した大腸菌形質転換体を同定し、DNA配列解析によって確認して、そのプラスミドをpCPL−Bglと命名した。
実施例7D
欠損のあるトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1(Adh1)のイントロン1の構築
出発物質は、カリフォルニア州スタンフォード所在のスタンフォード大学のV.Walbotから入手したプラスミドpVW119である。このプラスミドは、第119番から第672番まで[Dennisら(1984)の番号付けによる]のヌクレオチドの、イントロン1を含むトウモロコシAdh1.S遺伝子のDNA配列を含有し、Callisら(1987)に記載されているものである。pVW119において、Dennisら(1984)の第672番目の塩基に続く配列は、GACGGATCCである(下線した塩基は、BamH I認識部位を表す)。エクソン1の14塩基、およびエクソン2の9塩基の付いたイントロン1の全配列は、このプラスミドをBcl IおよびBamH Iで消化した後、556bpの断片上に得られる。
1.プラスミドpSG3525a(Pst)のDNAをBamH IおよびBcl Iで消化し、その3430bpの断片をアガロースゲルを用いて精製した。
[註:プラスミドpSG3525a(Pst)の構造は、この一連の構築工程の最終結果に直接関係するものではない。このプラスミドは関係のない工程で構築したもので、Bcl IおよびBamH Iの双方の制限酵素認識部位を有し、かつHind IIIおよびStu I部位を欠いていることから選んだものである。当業者には、この工程において他のプラスミドを代わりに用いても同様の結果が得られることがわかるであろう。]プラスミドpVW119のDNAをBamH IおよびBcl Iで消化し、ゲルを用いて精製した546bpの断片を、上記の3430bpの断片に連結した。BamH IおよびBcl Iで消化すると3430bpと546bpの断片を生じるプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpSG AdhA1と命名した。
2.pSG AdhA1のDNAをHind IIIで[これはDennisら(1984)の配列の下位鎖の第209番目の塩基と第210番目の塩基との間を切断する]、そしてStu Iで(これは第554番目の塩基と第555番目の塩基との間を切断する)消化した。T4DNAポリメラーゼ処理によって末端を平滑にし、次いで連結した。Hind IIIおよびStu I部位を欠いたプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定し、配列解析によってそのDNA構造を確認した。このプラスミドをpSG AdhA1デルタと命名した。この構築において、イントロン1の内部から、344bpのDNAを削除した。これらの塩基の欠損は、このイントロンのスプライシングに影響するものではない。機能的イントロン配列は、Bcl IおよびBamH Iで消化した後、213bpの断片上に得られる。
3.プラスミドpCPL−BglのDNA(実施例7Cの工程4)をBgl IIで消化し、線状化したDNAを、pSG AdhA1デルタに由来する、欠損のあるAdh1.Sイントロン配列を含む、213bpのBcl I/BamH I断片に連結した。(註:DNAをBgl II、Bcl I、およびBamH Iで消化することにより生じる粘着末端は親和性があるが、BamH IまたはBcl I粘着末端をBgl IIにより生じた粘着末端に連結すると、上記3つの酵素のいずれによっても開裂しない配列ができる。)Bgl II/Bcl I結合部がMSVのCPLリーダー配列の5’末端に最も近く、Bgl II/BamH I結合部がCPLの3’末端に最も近くなるような配向でBgl II部位に連結したイントロン配列を含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を、制限酵素地図作成によって同定した。この配向は、DNA配列解析によって確認した。このプラスミドをpCPL A1I1デルタと命名した。MSVリーダー/イントロン配列は、このプラスミドをBamH IおよびNco Iで消化し、その373bpの断片を精製することによって得ることができる。
実施例7E
促進された35Sプロモーター、MSVのCPL、および欠損のあるAdh1イントロン1に基づく植物発現ベクターの構築
1.プラスミドp35S En2/NOSのDNAをBamH Iで消化し、その3562bpの線状断片を、BamH Iで消化したpMSV CPLのDNAから調製した171bpの断片に連結した。この断片は、実施例7Cに記載したMSVのCPL全配列を含んでいる。これらの配列を、Nco I部位がNOSポリA配列の近くに位置するような配向で含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を、制限酵素地図作成によって同定した。このプラスミドをp35S En2CPL/NOSと命名した。これは、後で生じる転写産物がその5’非翻訳部分にMSV配列を含むように、MSVリーダー配列に直接隣接する、促進された35Sプロモーターを含んでいる。
2.プラスミドpKA882(実施例7Bの工程1を参照)のDNAを、Hind IIIおよびNco Iで消化し、その4778bpの長い断片を、p35SEnCPL/NOSに由来する、促進された35Sプロモーター配列およびMSVリーダー配列を含む、802bpのHind III/Nco I断片に連結した。Hind IIIおよびNco Iで消化すると上記の4778bpと802bpの断片を含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定し、pDAB310と命名した。このプラスミドにおいて、促進された35Sプロモーターは、GUS遺伝子の発現を制御するのに用いられる。転写産物の5’非翻訳リーダー部分は、MSVコートタンパク質遺伝子のリーダー配列を含んでいる。
3.プラスミドpDAB310のDNAをNco IおよびSac Iで消化した。3717bpの長い断片をアガロースゲルを用いて精製し、配列CGGTACCTCGAGTTAAC(配列番号61)および配列CATGGTTAACTCGAGGTACCGAGCT(配列番号62)を有する相補的合成オリゴヌクレオチドに連結した。これらのオリゴヌクレオチドは、二本鎖構造にアニーリングした場合、Sac Iにより分子の一方の末端に残る粘着末端と、Nco Iにより分子のもう一方の末端に残る粘着末端とに親和性のある粘着末端を有する分子を生じる。これらの二個の酵素の認識部位の配列の復元に加え、酵素Kpn I(GGTACC)、Xho I(CTCGAG)、およびHpa I(GTTAAC)についての新しい部位を形成する。これらの酵素の部位を含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定し、そのDNA構造を配列解析によって確認した。このプラスミドをpDAB1148と命名した。
4.プラスミドpDAB1148のDNAをBamH IおよびNco Iで消化し、その3577bpの長い断片を、BamH IおよびNco Iで消化したpCPLA1I1デルタ(実施例7Dの工程3)から精製した373bpの断片に連結した。BamH IおよびNco Iによってプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定し、そのプラスミドをpDAB303と命名した。このプラスミドは、次のDNA構造を有する:pUC19のPst I部位の最後のG残基の後の塩基(第435番目の塩基)から始めて、lacZ遺伝子のコード鎖に隣接する鎖を読むと、リンカー配列ATCTGCATGGGTG(配列番号63)、CaMVのDNAの第7093〜第7344番のヌクレオチド、リンカー配列CATCGATG、CaMVの第7093〜第7439番のヌクレオチド、リンカー配列GGGGACTCTAGAGGATCCAG(配列番号64)、MSVの第167〜第186番のヌクレオチド、MSVの第188〜第277番のヌクレオチド、1個のC残基に続いてAdh1.Sの第119〜第209番のヌクレオチド、トウモロコシAdh1.Sの第555〜第672番のヌクレオチド、リンカー配列GACGGATCTG、MSVの第278〜第317番のヌクレオチド、Hpa I、Xho I、Kpn I、およびSac Iの認識部位を含むポリリンカー配列GTTAACTCGAGGTACCGAGCTCGAATTTCCCC(配列番号65)、NOSの第1298〜第1554番のヌクレオチド、そして1個のG残基の後にpUC19配列の残りの部分(EcoR I部位を含む)が続く。MSVの第317番目のヌクレオチドと長いポリリンカー配列との間の結合部がNco I認識部位となることは、注目すべきである。
5.プラスミドpDAB303のDNAをNco IおよびSac Iで消化し、その3939bpの断片を、同様に消化したpKA882のDNAから調製したGUSコード領域を含む、1866bpの断片に連結した。適当なプラスミドを制限酵素地図作成によって同定し、pDAB305と命名した。このプラスミドは、GUS遺伝子の発現を制御するように配置された、pDAB303の促進されたプロモーター、MSVリーダー、およびAdh1イントロンを有している。
6.プラスミドpKA882のDNAをXba IおよびNco Iで消化し、その5687bpの断片を、配列CTAGAGGATC(配列番号66)および配列CATGGATCCT(配列番号67)を有する合成オリゴヌクレオチドをアニーリングしたものに連結した。これらのオリゴヌクレオチドは、アニーリングした場合、Xba IおよびNco Iに親和性のある粘着末端を有する二本鎖の構造を形成する。Sal I部位を欠いた組換えプラスミドを制限酵素地図作成によって同定し、DNA配列解析によって確認して、pDAB349と命名した。
7.プラスミドP35SEn/NOSのDNAをXba IおよびEcoR Iで消化し、その長い断片(3287bp)を、同様に消化したpDAB349に由来するGUSコード領域およびNOSポリアデニル化領域を含む2152bpの断片に連結した適当な構造を有するプラスミドを制限酵素地図作成によって同定し、pDAB313と命名した。
8.プラスミドpDAB313のDNAをXba IおよびSac Iで消化し、その3558bpの長い断片を、同様に切断したpKA882のDNAから調製した1889bpの断片に連結した。適当な構造を有するプラスミドを制限酵素地図作成によって同定し、pDAB348と命名した。
9.プラスミドpDAB348のDNAをBamH Iで消化し、その長い断片(5437bp)を、pSG AdhA1デルタ(実施例7Dの工程2)に由来する、欠損のあるADh1.Sのイントロン1を含む、213bpのBcl I/BamH I断片に連結した。適当な構造を有するプラスミドを制限酵素地図作成によって同定し、pDAB353と命名した。
実施例7F
出発物質は、プラスミドpIC35である。このプラスミドは、pIC19R[Marshら、Gene,32(1984)481]のNru IおよびHind III部位に、Hind III認識部位が保持されるような配向で連結された、pUC13 35S(−343)(この実施例の工程Cを参照)に由来する、845bpのSma I/Hind III断片を含んでいる。A.ツメファシエンスORF25/26配列の供給源は、プラスミドpIC1925である。このプラスミドは、pIC19H[Marshら、Gene,32(1984)481]のSma I部位に、pIC19HのBamH I部位がT−DNA断片のORF25末端に隣接するような配向で連結された、A.ツメファシエンスのpTi 15955T−DNA[Barkerら、Plant Molec.Biol.,2(1983)335]の第21728〜第22440番のヌクレオチドに含まれる、713bpのHinc II断片を含有している。
1.pIC 19R35/A:プラスミドpIC35のDNAをBamH Iで消化し、pIC1925のDNAをBamH IおよびBgl IIで消化することによって調製した738bpの断片に連結した。35Sプロモーター断片とORF25/26ポリA断片との間にBamH I部位が存在しているプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpIC 19R35/Aと命名した。(註:BamH IおよびBgl IIにより生じた親和性のある粘着末端の連結によって、いずれの酵素の認識部位でもない配列ができる。)
2.pIC35/A:プラスミドpIC 19R35/AのDNAをSma Iを用いてその特異部位において消化し、そのDNAを、配列CAGATCTGを有するBgl IIリンカーに連結した。(註:このBgl IIリンカーをつなげることによって、Bgl II認識部位に加え、Pst I認識部位であるCTGCAGもできる。)もとのSma I部位の位置に少なくとも二つのリンカーのコピーを有する(従って新たなBgl IIおよびPst Iの部位を有する)大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpIC35/Aと命名した。
3.pIC 20Rデルタ:プラスミドpIC 20R[Marshら、Gene,32(1984)481]のDNAをNru IおよびSma Iで消化し、その長い断片の平滑末端同士を連結した。Nru I、Sma I、Hind III、Sph I、Pst I、Sal I、Xba I、およびBamH Iの部位を欠いたプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpIC 20Rデルタと命名した。
4.pSG Bgl 3525(Pst):プラスミドpIC 20RデルタのDNAをBgl IIで消化し、pIC35/Aの1625bpのBgl II断片に連結した。35Sプロモーター/ORF25ポリA配列を含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。制限酵素地図作成により、これらの配列において、pIC 20Rデルタの特異なKpn IおよびXho Iの部位が、ORF 25ポリA配列の3’末端に位置するような配向であることがわかった。このプラスミドをpSG Bgl 3525(Pst)と命名した。
5.pSG 3525a(Pst):プラスミドpSG Bgl 3525(Pst)のDNAを、分子内の二つのBgl II部位のうち一つだけが開裂するような条件下において、Bgl IIで消化した。その4301bpの線状断片を、配列GATCGTGATCAC(配列番号68)(下線した塩基は、Bcl I認識配列を表す)を有するアダプター合成オリゴヌクレオチドに連結した。35Sプロモーターの5’にあった元のBgl II部位の位置にBcl I部位を有する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpSG 3525a(Pst)と命名した。
6.pDAB 218:プラスミドpIJ4104(実施例8を参照)のDNAをSma Iで消化し、その569bpの断片をアガロースゲルを用いて精製した。プラスミドpSG 3525a(Pst)(上記参照)のDNAを、35SプロモーターとORF 25ポリA配列との間にある特異なHinc IIの位置で消化して線状化し、その線状断片を569bpのbar遺伝子断片に連結した。bar遺伝子を、Bgl IIで消化すると4118bpと764bpの断片を生じるような配向で含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を、制限酵素地図作成によって同定した。このプラスミドをpDAB 218と命名した。
7.pDAB 219:プラスミドpDAB 218のDNAをBcl Iで消化し、4882bpの線状断片を、pKA882−2xBg(後記する工程10を参照)のDNAから調製した3133bpのBgl II断片に連結した。後者の断片は、35Sプロモーターの転写制御下に、NosポリA転写停止シグナルとともにGUSコード領域を含んでいる。GUSおよびPATコード領域を含む大腸菌形質転換体を同定し、制限酵素認識部位地図を作成すると、双方のコード領域が同じDNA鎖にコードされていることがわかった。このプラスミドをpDAB 219と命名した。
8.プラスミドpDAB 219のDNAを、プライマーとしての合成オリゴヌクレオチド:i)CTCGAGATCTAGATATCGATGAATTCCC(配列番号69)、および
Figure 0004030582
を用いるポリメラーゼ・チェイン・リアクション[PCR(Saikiら、Science,239(1988)487)]の鋳型として使用した。プライマーi)は、pDAB 219の第419〜第446番のヌクレオチドを表すものであり、Xho I(CTCGAG)、Bgl II(AGATCT)、Xba I(TCTAGA)、EcoR V(GATATC)、Cla I(ATCGAT)、およびEcoR I(GAATTC)の認識部位に対応する塩基を含んでいる。プライマーii)の一重下線を付した塩基は、BamH Iの認識配列を表し、二重下線を付した塩基はpDAB 219の第1138〜第1159番のヌクレオチド表すもので、ORF25ポリA断片(前記参照)の第21728〜第21749番のヌクレオチドに対応するものである。PCR増幅によって、760bpの生産物が得られた。
9.pKA882−Bg:pKA882のDNAをPst Iで消化し、その線状断片を、配列CAGATCTGTGCA(配列番号71)を有する合成アダプターに連結した。(註:アニーリングした場合、これらの分子は、Pst Iにより生じる粘着末端に親和性のある粘着末端を有する二本鎖の分子を形成する。そのような分子をPst Iで消化したDNAに連結すると、もはやPst Iでは開裂されない配列が生じ、新たなBgl II部位が導入される。)Pst Iによって開裂せず、特異なBgl II部位を有するプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpKA882−Bgと命名した。
10.pKA882−2xBg:pKA882−BgのDNAをEcoR Iで消化し、その線状断片を、配列AATTGAGATCTC(配列番号72)を有する合成アダプターに連結した。このアニーリングした分子をEcoR Iで消化したDNAに連結すると、もはやEcoR Iでは開裂しない配列が生じ、新たなBgl II部位が導入される。EcoR Iでは開裂せず、3027bpおよび2658bpのBgl II断片を生じるプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。このプラスミドをpKA882−2xBgと命名した。
11.PDAB305Bg:プラスミドpDAB305をEcoR Iで完全に消化し、線状化したDNAを、配列AATTGAGATCTC(配列番号73)を有する、キナーゼ処理した自己相補的オリゴヌクレオチドアダプターに連結した。このアダプターをEcoR Iにより生じた付着末端に連結することによって、プラスミドDNAを再度環状化し、新たなBgl II認識部位を導入し、そして元のEcoR I認識部位を壊した。得られるプラスミドをpDAB 305 Bgと命名した。
実施例8:ストレプトミセス・ヒグロスコピクス(Streptomyceshygroscopicus)のbar遺伝子を含む植物形質転換ベクターの構築
出発物質は、S.ヒグロスコピクスのbar遺伝子のコード領域を含み、M.J.Bibb(英国ノーウィック所在のJohn Innes Institute)から入手した、プラスミドpIJ4104[Whiteら、Nucl.Acid Res.,18(1990)1062]である。bar遺伝子は、酵素であるホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(phosphinothricin acetyl transferase,PAT)をコードしている。
pDAB219デルタ:プラスミドpDAB 219のDNAをBgl IIで消化し、その7252bpの断片をアガロースゲルを用いて精製して、実施例7F工程8のPCR生産物をBgl IIおよびBamH Iで消化することにより生じた747bpの断片に連結した。ORF 25ポリA断片の3’末端に位置する特異なBgl II部位を含むプラスミドを担持する大腸菌形質転換体を同定した。PATをコードする配列の3’末端のDNA構造を、DNA配列解析によって確認した。このプラスミドをpDAB 219デルタと命名した。
PDAB 219デルタのDNA配列は、以下の通りである:pIC20R[Marshら、Gene,32(1984)481]のlac Zコード鎖上のXba I部位の最後のA残基に続く塩基から始まって、リンカーTCCTGATCTGTGCAGGTCCCC(配列番号74)、次いでCaMVの第6605〜第7439番のヌクレオチド、次いでリンカー配列GGGGACTCTAGAGGATCCGGATCCGTCGACCATGGTC(配列番号75)、次いで3’に隣接する44bpの大腸菌ゲノムDNA[Jeffersonら(Proc.Natl Acad.Sci.,83(1986)8447)の第306〜第2152番のヌクレオチド]をもつGUSのコード領域の残りの部分がある。下線した塩基は、GUSタンパク質の最初の二個のアミノ酸のコドンを表し、そのうち二番目のアミノ酸は、元の大腸菌uidA遺伝子[Jeffersonら、(Proc.Natl.Acad.Sci.,83(1986)8447)]におけるロイシンから、pRAJ275[Jeffersonら、Plant Molec.Biol.,Reporter,5(1987)387]におけるバリンへと変わっている。これらの塩基に続いて、リンカー配列GGGGAATTGGAGAGCTCGAATTTCCCC(配列番号76)、次いでNosポリA配列[DePickerら、J.Molec.Appl.Genet.,1(1982)5561]の第1298〜第1554番の塩基が続く。リンカー配列GGGAATTGAGATCAGGATCTCGAGCTCGGG(配列番号77)の後には、CaMVの第6495〜第6972番の塩基、リンカーCATCGATG、CaMVの第7090〜第7443番の塩基が続く。これらの塩基の後には、リンカーCAAGCTTGGCTGC AGGTC(配列番号78)、次いでpIJ4104[Whiteら、Nucl.Acids Res.,18(1990)1062]のbarクローンの第20〜第579番のヌクレオチドに対応する塩基、リンカーCTGTGATAACC(配列番号79)、ORF25/26ポリAの第21728〜第22440番のヌクレオチド(1)、リンカーGGGAATTCATCGATATCTAGATCTCGAGCTCGGGGTACCGAGCTCGAATTC(配列番号80)、およびpIC20Rの残りの部分が続く。Bgl II認識部位(下線部)は、他の遺伝子を導入しうる特異な部位を表す。
トランスジェニック植物組織および植物の発現を行なうために、BtICP遺伝子を三種の異なるベクターにサプクローニングした。第一に、選択可能かつスクリーニング可能なマーカーを担持するプラスミドで同時形質転換を行なうために、ICP遺伝子をプラスミドpDAB305Bgにクローニングした。ICP遺伝子の下流に位置するBamH Iを、BamH I/Sst Iアダプターを挿入することによってSst I部位に修飾した。ICP遺伝子を担持する1854塩基対のNco I−Sst I断片を、高発現二重促進35Sプロモーター、およびノパリンシンターゼ(Nos)ポリA付加配列の制御下に挿入し、プラスミドpDAB910(図6)とした。第二に、MSD培養物のプロトプラストの形質転換とカナマイシン選択を行なうために、3150塩基対のBgl II断片として、促進した35S/Bt/Nosカセットを、pDAB910からpDAB199の特異なBgl II部位にサブクローニングした。このプラスミドpDAB199の調製は、Sukhapindaら(Plant Cell Reports 13(1993)63)に開示してあり、トウモロコシ(Zea maysl)のプロトプラストの形質転換と再生により、プラスミドpDAB911が生じたものである(図7)。第三に、タイプIIカルスの刺激およびバスタ(Basta)(登録商標)選択による形質転換に用いるために、同じ35SEn2/Bt/Nosカセットを、プラスミドpDAB219デルタの特異なBgl II部位にサブクローニングしてpDAB917(図8)とした。
実施例9:発光性飛翔昆虫(ホタル)ルシフェラーゼ(Luciferase)をコードする参考遺伝子の構造
異なるプロモーター変種により制御される遺伝子からのGUSタンパク質の生産は、しばしば、発光性飛翔昆虫ルシフェラーゼを生産する内部制御遺伝子を基準として比較された(DeWet et al.,Molec.Cell Biol.7(1987)725)。ルシフェラーゼ(LUC)コード領域を含むプラスミド(pT3/T7-1 LUC)は、CLONTECH(PaloAlto,CA)から購入し、コード領域は、標準法でその5'および3'末端で変更(modify)した。簡潔には、翻訳(translational)開始コドン(ATG)の周りの配列を変更し、第2の位置にNco Iサイト(CCATGG)、およびアラニンコドン(GCA)を含むようにした。3'末端で、ルシフェラーゼコード領域のストップコドンの42bp下流に位置するSsp I認識(recognition)のサイトを、T4DNAポリメラーゼを末端としたブラント(blunt)とし、結合して、Blg II認識配列をコードする合成オリゴヌクレオチドリンカー(linker)とした。これらの修正はNco IおよびBgl IIによる消化(digestion)が続く1702bpフラグメント上の無損傷のルシフェラーゼコード領域の単離を許容する。このフラグメントを、プラスミドpDAB305のGUS遺伝子(実施例7E、ステップ5を参照)を置換し、ルシフェラーゼコード領域が強化(enhanced)35sプロモーターから発現され、その結果プラスミドpDeLuxとなるようにした。一次転写産物の5'非翻訳リーダーは、変更したMSVリーダー/Adhイントロン配列を含む。
実施例10:細胞形質転換(トランスフォメーション)
未成熟トウモロコシ小胞子(microspores)由来の細胞懸濁培養物を開始植物材料として用いた。これらの小胞子由来培養物(MSD)をミッシェルら(Mitchell et al.)によるJ.Plant Physiol.,137(1991)530に記載されるように維持した。培養物は一倍体(ハプロイド:haploid)であり、ある細胞株(line)はハプロイド植物の再生が可能である。8〜20ヶ月日の古い細胞懸濁培養株をプロトプラスト単離法に用いた。プロトプラスト濃度は、エレクトロポレーション(electroporation)溶液[20mg/L KH2P04,115mg/L Nah2P04,444mg/L CaCl2,7.5g/L NaCl,36.4g/Lマンニトール,pH7.2(Fromm et al.,Nature,319(1986)791)]に対して4×106のプロトプラスト/mlとなるように調整した。プロトプラスト懸濁液を42℃で5分間熱衝撃を与え、その後、氷上に載置した。プラスミドpDAB911単独で、またはpDAB910をpDAB326と共に、プロトプラストトランスフォメーション試験に用いた。プラスミドの等モルDNA量(例えば、pDAB911の64μg、pDAB910の31.6μg、およびpDAB326の46μg)を用いた。無菌の1.0mMトリス(Tris)20〜40μl、pH8.0、1.9mM EDTA中のプラスミドDNAを、総量が0.5mlになるようにエレクトロポレーション溶液の含有する1mlポリスチレンエレクトロポレーションキュベットに入れた。単一電気パルス(400μF、300v/cm)をIBI Gene Zapperユニットから印加する直前に、1/2mlのプロトプラスト懸濁液をキュベットの中にビペットで添加した。直ぐにキュベットを10分間、氷上に載置した。プロトプラスト懸濁液の250μlの容量(約5×105プロトプラスト)を、60×15mmポリスチレンペトリプレート上のM1固体培養上に伸ばされたフィーダー細胞(300mgのMSD細胞、ライン34)上に載置されたフィルタ(Micron Separations,Inc.の47mmナイロン)の上に伸ばした。平板培養して一週間後、フィルターを100mg/Lの硫酸カナマイシンを含有する選択培地に移した。カナマイシン含有培地上で4〜6週間後、耐性カルス分離株(resistant callus isolaton)が観測され、選択された。上述したプラスミドを用いた合計4つのトランスフォーメーション試験から、400を超える分離株(isolations)を選択した。これらのカルス分離株を、さらなる分析のために十分組織が蓄積されるまで同一の培地上で成長させた。
これらの選択した分離株が変換され且つ発現された導入マーカー遺伝子かどうかを決定するため、カルス組織を、ジェファーソン(Jefferson)によりPlant Molec.Biol.Rep.,5(1987)387に開示された組織化学的(histochemical)技術を用いてβ−グルクロニダーゼ(GUS)活性を評価し、レイスら(Reiss et al.)のGene、30(1984)211に開示された技術を用いてネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼ活性を評価した。選択した分離株を、上述した通り、免疫ブロット(immunoblot)分析により、導入ICP遺伝子の発現について試験した。その結果は、表16に示す。
Figure 0004030582
合計4つの分離株は、ICPの検出可能な量を示した。2つの分離株を、pDAB911で変換し、それらのICP発現量は、抽出可能なタンパク質(図9)の合計の約0.1%に一致する。pDAB910およびpDAB326で同時変換から得た、他の2つの分離株もまた、抽出可能なタンパク質(データは図示せず)の合計の約0.1%でICPを発現した。一つの単離からのカルス組織(pDAB911で変換した)を、Heliothis virescens新生幼虫(neonate larvae)の3日間摂食試験(feeding assay)で使用した。その結果、十分なICPから生成されたカルス組織は幼虫の大部分を殺し、残りの成長を著しく抑制したことを示した。
Figure 0004030582
実施例11:細胞形質転換(トランスフォメーション)
パートA − 胚形成カルス培養株の樹立
胚形成カルス培養を、遺伝子型の未熟な胚、特に生体外(試験管内)操作で繁殖可能なものから開始した。代表的な2つの遺伝子型の培養を用いた:i)「BackcrossedB73」は、交配種B73x(b73xA188)由来のBC3同系繁殖体(inbred)であり、ii)「High II」は、B73xa188交配種由来の2つのS3系統を掛け合わせることによって形成した雑種である。適当な培養条件にさらした場合、これらの遺伝子型の両方からの未熟な胚は、繁殖力のある植物再生ができるカルス形成を一貫して高レベルで示した。
「High II」およびB73の2つのS3原種の種子を、湿らせられて且つpH6.0に調整した約4kgの乾燥土壌ミックス#3(マサチューセッツ州、スプリングフィールドのコンラッド・ファファード・インコーポレーティド(Conrad Fafard,Inc.,Springfield,MA))を含有するポットにそれぞれに播種した。この植物を16/8の光周期の下の温室で育成した。周囲日光を、高圧ナトリウムおよびメタルハライドランプの組み合わせで補い、上記ポットの上方2mの最低光度レベルが約1,500ft-candlesであるようにした。温室の温度を日中は28℃、および夜間は22℃から3℃以内に維持した。植物を、400mg/Lの20-20-20肥料(ペンシルバニア、フォゲルスヴィルのダブリュ・アール・グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace & Co.,Fogelsvill,PA))に、8mg/Lのキレート鉄(ノースカロライナ、グリーンスボロのチバ・ガイギー(CIBA-GEIGY,Greensboro,NC))を含有する溶液を必要なときに注いだ。
花粉の散らばり(pollen shed)および毛の出現(silk emergence)が植え付け後に50〜60日で始まった。雌株を、未受精の穂部(ear shoots)の皮(husks)および毛(silks)の先端の切断により花粉が適用可能となる日の前日に受粉した。翌日、毛が成長して全て同一の長さの厚い「ブラシ」を形成した後、花粉を雄穂(tassels)の上に紙袋をかぶせることによって収集し、慎重に毛(silks)に適用した。「戻し交雑(backcrossed)B73」胚は、B73植物を、BC2培養から再生した植物(後述するように)で受粉することで生成した。「High II」胚は、S3系統をかけ合わせることにより得られた。
発育した胚が約1.5〜2.0mm(受精後、10〜14日間)の長さに達した際、穂(ear)を切除し、表面を30分間、70%v/vエタノールに10分間浸漬し、続いて市販されている20%v/vブリーチ(1%の次亜塩素酸ナトリウム)に30分間浸漬することによって滅菌した。滅菌に続いて、蒸留水ですすいだ後、未熟な胚を無菌に隔離し、「開始(initiation)」培地に、胚軸(embryo axis)を培地に接触させて(胚盤側(scutellar-side)を培地から離して)配置した。「開始」培地は、以下の組成物からなる:N6基本塩類およびビタミン(Chu,Proc.Symp.Plant Tissue Calture(1978)、Peking Press pp.43-56)、20g/Lのサッカロース、2.9g/Lのプロリン(proline)、100mg/Lのカゼイン加水分解物、1mg/Lの2,4ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10ml/LのAgNO3、および2.5g/Lの、pH5.8に調整したゲルライト(gelrite)(カリフォルニア州、サンディエゴのケルト・インコーポレーティド(Kelco,Inc.,San Diego,CA))。
未熟な胚を、10〜30日間、28℃で暗所で培養した。この間、種々の型の形態学を表すカルス組織は、胚盤領域から増殖する。この間に産出したカルス組織を、3つの区分に分類した:i)如何なる明白な形態学的な組織を欠いている、軟質で、顆粒状で、半透明なカルス(非胚形成(nonembrogenic)として知られている)、ii)胚盤(scutellar-)様および鞘葉(coleoptile-)様構造を有する体細胞胚(somaticembryos)の群(しばしば、融合する)からなる小型で、小結節性(nodular)で、黄色乃至白色カルス((特)型として知られている)、およびiii)胚柄(suspensor)様の構造に、大多数の球顆状(globular)および細長い(elongated)体細胞胚を有する軟質カルス((監)型として知られている)。(監)型カルスは、脆い、胚形成培養株(cultures)を樹立するのに最も好適であった。しばしば、全体の胚盤がこの型の組織を持って、または、時々、この培養された形態学を示す小さいセクタのみを持って増殖した。次いで、選択的な二次培養を実行し、それによって、内在する未分化(subtending undifferentiated)、軟質組織に沿って、明確な球顆状(globular)で細長い(elongated)体細胞胚を有する組織のみを、新しい「開始」培地に移植した。この「開始」培地での2-3次培養後、胚を「維持(maintation)」培地に移植した。「維持」培地は、その中に690mg/Lのプロリン(proline)を含みAgNO3を含有しない点で「開始」培地とは異なる。(監)型胚の選択的強化(preferential enrichment)を8〜16週した後、良好に樹立された胚形成培養株が、ヘリウムブラスト(helium blasting)のために準備された。
パートB − ヘリウムブラストによる形質転換(トランスフォメーション)
ヘリウムブラストは、プラスミドDNAで被覆された、ミクロンサイズの微粒子を浸透性の(penetrating)速度まで加速することが必要である。用いた装置は米国特許No.5,141,131に記載されている。簡潔には、装置は、高圧ヘリウム源、懸濁状態のDNA被覆金微粒子のリザーバ、およびヘリウム源の出口と金懸濁液の入口との間を選択的に連結する多目的バルブとからなる。金微粒子は、選択可能で選別可能なマーカー遺伝子のコード配列を含むプラスミドDNA(pDAB917)で被覆されている。
選択可能なマーカー遺伝子は、酵素フォスヒノトリシン(phosphinothricin)アセチルトランスフェラーゼ(PAT)をコードし、除草剤Basta(商品名)への耐性を与えるバー(bar)である。選別可能なマーカー遺伝子は、β-グルクロニターゼ(GUS)をコードしたuidAであり、その活性は、組織化学的にモニターできる。両方の遺伝子を、Cauliflower Mosaic Virusからの、35s構成プロモーターにより操作される。この方法で、除草剤Basta(商品名)にさらすことにより、非変換組織のバックグラウンドから稀に変換細胞を選出でき、陽性組織が青色になる組織化学試験を用いてβ-グルクロニターゼ活性の存在が試験される。
プラスミドDNAは、変換実験で使用する前に、金微粒子の表面に吸着させた。金微粒子は約1.5〜3.0ミクロンの範囲の直径を有する球形である(ワイオミング州、ミルウォーキーのアルドリッヒ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI))。吸着は、300μLのDNA/金懸濁液(140μLのpDAB917、0.01Mのトリス(Tris)緩衝液、および1mMのEDTA)中に、74μLの2.5M塩化カルシウム、および30μLの0.1Mスペルミジン(spermidine)を添加することにより実施した。DNA被覆金微粒子は直ぐに渦をまき、その後、エッペンドルフ(Eppendorf)チューブの底に沈み、その結果、透明な液体が完全に引き出される。その後、DNA被覆金粒子を、1mLの100%のエタノール中に再懸濁する。続いて、懸濁液を、ヘリウムブラスト試験で使用するために、エタノールのmL当たり15mgDNA/金となるように希釈した。
5〜7日間の二次培養に続いて、約250mgの胚形成細胞組織を、「維持」培地の表面に、直接、薄い円形層として設けた。組織を使用前の数分間、層流フード(laminar flow hood)中に、カバーをしないでプレートをおくことにより、多少乾燥するのを許容した。ヘリウムブラストの調製において、カルスを104ミクロンステンレススチールスクリーンで覆った。その後、DNA被覆金微粒子をカルス組織に加速した。各カルス組織サンプルを、約1μLのDNA被覆金懸濁液を運ぶそれぞれのブラストで10〜15回ブラストした。
パートC − 遺伝子導入(トランスジェニック)組織、および植物再生
ブラスト後、胚組織を1〜2日間、前述した条件の下で培養させた。その後、各組織サンプルを、約60の均等断片(1-3mm直径)に分割し、30mg/LのBasta(商品名)を含有する新しい「維持」培地に移植した。3週間毎に、胚組織を非選択的に、新たなBasta(商品名)含有の「維持」培地に移植した(組織形態学に関係なく)。この除草剤の濃度で、成長がわずかに生じた。8〜16週間後、成長抑制組織のバックグランドから増殖するセクタが出現した。この組織を他の胚から単離し、Basta(商品名)含有の「維持」培地に別途保存し、選択的に10〜14日毎に二次培養した((監)型組織に限り)。この時点で、GUS発現の組織化学検査を後述の通り実行した。
全てのBasta(商品名)耐性カルス(GUS陽性またはGUS陰性にかかわらず)を選択的に「導入」培地に二次培養し、28℃で、低光度(125ft-candles)のもとで1週間、続いて冷却蛍光灯ランプで供給される高光度(325ft-candles)で1週間培養した。「導入」培地は、MS塩類およびビタミン(ムラシゲら(Murashige et al.)のPhsiol.Plant、15(1962)473-497)、30g/Lのサッカロース、100mg/Lのミオイノシトール(myo-inositol)、5mg/Lのベンジルアミノプリン、0.025mg/Lの2,4-D、2.5g/LのpH5.7に調整したゲルライト(gelrite)から構成される。この2週間の導入期間に続いて、カルスを非選択的に、「再生」培地に移植し、28℃で高光度で培養した。
「再生」培地は、MS塩類およびビタミン、30g/Lのサッカロース、および2.5g/Lの、pH5.7に調整したゲルライトから構成される。14〜21日毎に、カルスを、葉と根を分化して発現する組織とするように選択して、新たな「再生」培地に二次培養した。「導入」および「再生」培地の両方は、30mg/LのBasta(商品名)を含有している。苗木(plantlet)を約0.1kgの乾燥土壌ミックスを含む10cmのポットに移植し、次いで、よく湿らせ、約4日間、透明のプラスチックカップで覆った。3〜5葉段階で、植物をより大きなポットに移植し、上述したように成熟するまで成育した。同花受粉または同胞受粉を、遺伝子導入子孫を得るために、同一の培養株から再生されたまたは非変換種子由来の植物との交配で再生された植物で実施した。
実施例12:試験分野
実施例11に記載する手順および遺伝子導入子孫を用いて、四(4)遺伝子導入同系交配を、従来の培養技術から製造した。得られた同系交配を、4つの遺伝子導入雑種を育成するために用いた。
各四(4)つの遺伝子導入雑種からの種を、完全な乱塊法を用いて、単一のレーンの区画(single row plots)に移植した。立地は、インディアナ州、イリノイ州、ミネソタ州、およびアイオア州の調査拠点を含んでいる。対照区画(非遺伝子導入対照雑種)は、未変性(対照A)および人工的な寄生(infestation)(対照B)による虫害の量を測定するのに用いた。対照の第二世代のヨーロピアン・コーン・ボア(ECB)は、全ての拠点で評価した。第一世代のECBおよびオオタバコガの幼虫(corn earworn)は、インディアナ州およびイリノイ州調査拠点に限って評価した。全ての虫は、単一の出所から得た。各試験では、新生幼虫が2度(4〜6日おいて)群がった。第一世代のECB研究において、40〜80の幼虫を輪生発育段階の最中に(mid-whorl development stage)で植物に添加する一方で、第二世代のECB試験では、同数の幼虫を毛段階の最中(mid-silk stage)で添加した。植物の損害を、6週後に、実存する場合には柄(stalks)および穂苗条(ear shoots)を裂くことで決定した。ECB幼虫および穴(tunnel)を同型当たり、各10植物について記録した。オオタバコが幼虫の試験は、穂(ear)当たり約5〜10のオオタバコが幼虫の一齢幼虫を人工的に群がらせるように、同型当たり10植物に要求した。約3週間後、穂を、実存する幼虫数により評価した。
分散の複合分析を第一世代ECB試験(表18)について収集したデータについて実施した。人工的に外寄生させた対照は、柄当たり、平均の1つの穴であり、70%を超える外寄生量を有した。遺伝子導入系統は、ECB穴がほとんどなく(柄当たり≦0.06の穴)、7%より低い外寄生量を有した。対照および遺伝子導入系統間では、外寄生の植物の割合と同様に、柄当たりの幼虫および穴について顕著な相違(p<0.05)を示した。第一世代のECB対照における個々の遺伝子導入雑種間で、統計学上の相違は認められなかった。
Figure 0004030582
第二世代ECBにおいて、人工的に寄生させた対照は、柄当たり、平均で1〜3の穴であり、外寄生量は72〜100%の範囲に亘った(表19)。遺伝子導入雑種への損傷は、0〜23%の範囲(表19)の外寄生量と共に、ゼロからほんの僅かの範囲(柄当たり≦0.25穴)であった。穴長さについての測定値は、遺伝子導入系統で認められた穴の長さは、対照と比較して顕著に小さい(p<0.5)ことを示した(表19)。平均および平均標準誤差だけが、平均穴長測定値について算出した。遺伝子導入の多くの型において穴がなくてデータを欠如した結果になったので、他の統計学上の分析は、有効ではない。ミネソタ州の試験は例外として、これらのデータは、遺伝子導入雑種間の平均の穴長が、対照と同様およびより小さなものであることを示している。遺伝子導入系統は、ECBから損傷された穂が、対照より顕著に少ない(p<0.05)。一般に、顕著な相違(p<0.05)は、対照と遺伝子導入系統との間で認められた。統計学的に顕著な相違は、第二世代ECBに対する、個々の遺伝子導入雑種とそれぞれ対照との間では認められない。
Figure 0004030582
Figure 0004030582
人工的に外寄生させた対照は、穂(ear)当たり平均で約1匹のオオタバコが幼虫があり、40〜90%の外寄生の範囲であった。遺伝子導入雑種は、穂当たりのオオタバコが幼虫、および外寄生量の両方について、対照とは顕著に異なる(p<0.05)。遺伝子導入雑種間で統計学上の有意な相違は認められなかったが、雑種#1は、両方の拠点でオオタバコが幼虫からの損傷を示した(表20)。雑種2,3および4は虫からの損害がほとんどないことを示した。
Figure 0004030582
当業者が前述した発明の詳細を考慮すると、発明の実施における多くの改良および変形が実施できると考えられる。したがって、そのような改良および変形は、以下の請求項の範囲に含まれることを意味する。
実施例13:エレクトロポレーションにおける一時的発現による相対的プロモーター強度の決定
ブラック・メキシカン・スウィート(Black Mexican Sweet(BMS))培養(V.Walbot,Stanford University)を液体培地(Fromm et al.,PNAS USA 82(1985)351)に懸濁させて維持した。0.5%セルロース・オノズカRS、0.5%ヘミセルロース、0.02%ペクチナーゼ(Karlan Research Products,Santa Rosa,CA)を含有する4x容量のプロトプラスト単離溶液(Fromm et al.,Enzymol.153(1987)351)に細胞を懸濁し、ゆっくりと振とうすることで、4日経過した培養からプロトプラストを単離した。3.5時間にわたる消化の後に、細胞およびプロトプラストを遠心により回収した(208xg、25℃、5分)。その後、プロトプラスト単離溶液にやさしく再懸濁して2回洗浄した。プロトプラストの精製は、トウモロコシ洗浄溶液(Maize Wash Solution(shanin,Theor.Appl.Genet.69(1985)235)上に浮遊させることでおこなった。プロトプラストをエレクトロポレーション溶液(Fromm et al.,Enzymol.153(1987)351)で2回洗浄し、最終密度を4x106プロトプラスト/mlとした。エレクトロポレーションに先立って、プロトプラストを5分間、42℃のヒート・ショック処理し、つづいて使用するまで氷上に静置した。約2x106プロトプラストからなる分割量を適当なDNA混合液1ml容量中でエレクトロポレーションした。典型的なDNA混合物(1ml中2x106プロトプラストあたり)は、60μgの試験プラスミドDNAと4.5μgの参照用プラスミドDNAとを含む。エレクトロポレーションの条件は、1500μF、1cmのギャップを横切る200-400V、25msecのパルス時間(Promega Model 240/250、Madison、WI)とした。エレクトロポレーションの後に、プロトプラストを氷上に10分間静置し、つづいてプロトプラスト増殖培地(Fromm et al.,PNAS USA 82(1985)351)を含んだプラスチック製ペトリ皿(事前に1.2%SeaPlaqueアガロース;FMS BioProducts,Rockland,MEの薄層でコーティング)に2.5x105プロトプラスト/mlの密度でもって播種した。
4-メチル-アンベリフェリル(umbelliferyl)-グルクロニドを基材として用いたGUS活性の蛍光分析は、本質的にJafferson(Plant Molec.Biol.Reporter 5(1987)387)に記述されているようにした。また、ルシフェリンを基材として用いたルシフェラーゼ活性の分析は、DeWetらの方法(Molec.Cell.Biol.7(1987)725)、Owらの方法(Science 234(1986)856)、Owらの方法(PNAS USA 84(1987)4870)、およびHowellらの方法(Plant Molecular Biology Manual(1989)Ch.B8,1)による。いくつかの例においてはGUSおよびLUC遺伝子を別々のプラスミドに対して同時にエレクトロポレーションし、ほかではそれらの遺伝子を単一のプラスミドに導入した。
プロモーターの強度を比較した結果を以下に示す。
Figure 0004030582
これらのデータによれば、トウモロコシプロトプラストでの35Sエンハンサー・エレメントの重複による発現面での優位性は認められず、またMSV被覆タンパク質リーダー配列はそれ自身によって翻訳の増強(エンハンスメント)もまた与えられれないことを示している。トウモロコシのAdh1.Sイントロン1の欠失版が5’非翻訳リーダーのなかに位置している場合にある程度の発現エンハンスメントが観察される。しかし、エンハンスト35SプロモーターがAdh1.Sイントロン1の欠失版を含むMSVリーダーと結合した場合、非変性35Sプロモーターを上回る40倍に増大されたGUS発現が観察された。プロモーター/リーダー組み合わせの配列を配列識別番号43として記載した。
実施例14:イントロン6のクローニング
この実施例では、トウモロコシAdh1.S遺伝子のイントロン6のクローニングと、トウモロコシ条斑病ウイルス被覆タンパク質遺伝子(MSV/CPL、上記参照)由来の合成5’非翻訳リーダー配列への取り込みとについて説明する。
出発材料は、ベネットソン(J.Bennetson,Purdue University)から入手したプラスミドpB428である。これは、もしトウモロコシのゲノムDNAのab11.5kbp BamH IフラグメントがpBR322のBamH I部位に挿入されたならばクローンであり、またAdh1.S遺伝子を含む(Dennis et al.,Nuc.Acids Res.12(1984)3983)。イントロン6配列とブランキング・エクソン6および7の部分とを含む396bpフラグメントを、配列
TTCAGTGGATCCAACTTCCTAGCTGAAAAATGGG(配列識別番号82)のリバース・プライマーと、CGACCTGATCACCCCAGCAGATTCGAAGAAGG(配列識別番号81)を有するフォワード・プライマーとの各々100pmolを用いて10ngのpB428テンプレートDNAから増幅した。これらのプライマーは、Bcl Iの認識配列(TGATCA、フォワード・プライマーの下線部分)と、BamH Iの認識配列(GGATCC、リバース・プライマーの下線部分)とを含む。これらは、Dennisら(Nucl.Acids Res.12(1984)3983)のAdh1.S配列のヌクレオチド2162の直前にBc I部位を導入し、またヌクレオチド2534の直後にBamH I部位を導入するように設計される。予想の大きさが396bpである結果として得られるPCRフラグメントは、Adh1.Sエクソン6の20塩基、イントロン6のすべて、さらにエクソン7のすべてを含む(配列識別番号83)。
反応(最終容量100μl)は、テンプレートおよびプライマーに加えて、1 x PCR反応緩衝液(実施例2に示したように)、最終濃度が0.2mMであるdATP、dTTP、dGTP、およびdCTP、さらに5単位のTaqDNAポリメラーゼ(Perkin Elmer/Cetus)を含むものとした。温度サイクルは、94°(1分;94°(1分)、55°(30秒)、72°(30秒)を25サイクル、その後72°、10分の延長期間とした。適当な大きさのフラグメントをアガロース・ゲルから抽出し、制限酵素Bcl IおよびBamH Iでもって消化し、さらにpCPL-Bg(上記)のBgl II-消化DNAにリゲーションした。適当な制限酵素地図を持つプラスミドを同定し、pCPL-Adh6と命名した。
pCPL-ADh6の構造は、以下の通り(pBSKのベクター配列は含まれない。実施例7Cのステップ1を参照)。すなわち、BamH I認識部位を含むリンカー配列GGATCCAG、MSVのヌクレオチド167から186、MSVのヌクレオチド188から277、リンカー配列GATCA、トウモロコシAdh1.Sのヌクレオチド2162から22534、リンカー配列GGATCTG、さらに最後としてMSVのヌクレオチド278から317を有するもので、Nco I認識配列(配列識別番号84)が含まれる。pCPL A1I1△(実施例7Dのステップ3を参照)との類似性において、MSVリーダー/イントロン配列はBamH IおよびNco Iによる消化、および541bpフラグメントの精製によってこのプラスミドから得られる。したがって、このフラグメントは、実施例7および13に記載したプラスミドに使用されるAdh1.Sイントロン1フラグメントを含む類似のフラグメントと機能的に等価である。
配列識別番号1のヌクレオチドと配列識別番号2のアミノ酸とを有するBtからの殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列を表22に示す。
Figure 0004030582

Claims (10)

  1. 殺虫性結晶タンパク質(ICP)をコードする植物最適化ヌクレオチド配列を有するヌクレオチドであって、該植物最適化ヌクレオチド配列が、配列識別番号1であることを特徴とするヌクレオチド。
  2. 配列識別番号1に従ったヌクレオチド配列を有する、精製されたICP遺伝子。
  3. 前記IPC遺伝子がベクターpDAB917に挿入されていることを特徴とする請求項2に記載の精製されたICP遺伝子。
  4. 植物細胞内で発現する合成遺伝子構成物であって、
    5’から3’の配列内に、
    植物細胞で転写を開始するプロモーター配列と;
    翻訳エンハンサー配列と;
    配列識別番号1である、殺虫性結晶タンパク質(ICP)をコードする植物最適化ヌクレオチド遺伝子配列と;
    ポリアデニル化配列とを有し、
    前記プロモーター配列、翻訳エンハンサー配列、植物最適化ヌクレオチド配列、およびポリアデニル化配列は、操作可能なようにリンクしていることを特徴とする合成遺伝子構成物。
  5. 前記プロモーターは、誘導プロモーター、構成プロモーター、時間的調節プロモーター、発生的調節プロモーター、組織優先的プロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の合成遺伝子構成物。
  6. 前記プロモーターは、CaMV 35Sであることを特徴とする請求項4に記載の合成遺伝子構成物。
  7. 前記翻訳エンハンサー配列は、Adhl.Sのイントロンであることを特徴とする請求項4に記載の合成遺伝子構成物。
  8. 前記Adhl.Sのイントロンは、Adhl.Sのイントロン1またはイントロン6であることを特徴とする請求項7に記載の合成遺伝子構成物。
  9. 殺虫性結晶タンパク質(ICP)をコードする植物最適化ヌクレオチド配列によって植物の細胞が形質転換される遺伝子導入トウモロコシ植物であって、該植物最適化ヌクレオチド配列が配列識別番号1であることを特徴とする遺伝子導入トウモロコシ植物。
  10. 遺伝性の合成遺伝子をゲノムに持つ植物種子であって、前記合成遺伝子は、殺虫性結晶タンパク質(ICP)をコードする植物最適化ヌクレオチド配列を含み、該植物最適化ヌクレオチド配列は配列識別番号1であることを特徴とする植物種子。
JP51530097A 1995-10-13 1996-10-11 植物における鱗翅目制御のための修飾バチルス・サーリンジェンシス遺伝子 Expired - Fee Related JP4030582B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US540595P 1995-10-13 1995-10-13
US60/005,405 1995-10-13
PCT/US1996/016582 WO1997013402A1 (en) 1995-10-13 1996-10-11 Modified bacillus thuringiensis gene for lepidopteran control in plants

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000507808A JP2000507808A (ja) 2000-06-27
JP4030582B2 true JP4030582B2 (ja) 2008-01-09

Family

ID=21715689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP51530097A Expired - Fee Related JP4030582B2 (ja) 1995-10-13 1996-10-11 植物における鱗翅目制御のための修飾バチルス・サーリンジェンシス遺伝子

Country Status (13)

Country Link
US (1) US6166302A (ja)
EP (1) EP0861021B1 (ja)
JP (1) JP4030582B2 (ja)
CN (1) CN1176577C (ja)
AT (1) ATE443437T1 (ja)
AU (1) AU708256B2 (ja)
BR (1) BR9611000A (ja)
CA (1) CA2234656C (ja)
DE (1) DE69638032D1 (ja)
ES (1) ES2330168T3 (ja)
IL (1) IL124020A (ja)
RU (1) RU2224795C2 (ja)
WO (1) WO1997013402A1 (ja)

Families Citing this family (72)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2296067C (en) * 1997-07-09 2008-10-07 The University Of Queensland Nucleic acid sequence and method for selectively expressing a protein in a target cell or tissue
US5874288A (en) * 1997-07-31 1999-02-23 Mycogen Corporation Bacillus thuringiensis toxins with improved activity
JPH1175845A (ja) * 1997-09-01 1999-03-23 Norin Suisansyo Tohoku Nogyo Shikenjo トリプシンインヒビターの人工合成遺伝子
US6218188B1 (en) * 1997-11-12 2001-04-17 Mycogen Corporation Plant-optimized genes encoding pesticidal toxins
AUPP058797A0 (en) * 1997-11-28 1997-12-18 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Novel gene
US6060594A (en) 1997-12-18 2000-05-09 Ecogen, Inc. Nucleic acid segments encoding modified bacillus thuringiensis coleopteran-toxic crystal proteins
GR1008462B (el) * 1998-01-16 2015-04-08 Novartis Ag, Χρηση νεονικοτινοειδων στον ελεγχο ζιζανιων
KR20010074432A (ko) 1998-02-20 2001-08-04 돈 리사 로얄 잡종 종자 제조
DK1068342T3 (da) 1998-03-30 2009-11-02 Dow Agrosciences Llc Modifikation af fedtsyresammensætning i planter ved ekspression af en Aspergillus nidulans delta-9 CoA desaturase
EP2080805B1 (en) * 1998-08-19 2014-10-08 Monsanto Technology LLC Plant expression vectors
CN1324407A (zh) 1998-10-23 2001-11-28 麦考根公司 编码大约15kDa和大约45kDa的杀虫蛋白质的植物最优化的多核苷酸
NL1010976C2 (nl) * 1999-01-06 2000-07-07 Avebe Coop Verkoop Prod Het scheiden en winnen van componenten uit planten.
AR025097A1 (es) * 1999-08-11 2002-11-06 Dow Agrosciences Llc Plantas transgenicas expresando la toxina photorhabdus
US6501009B1 (en) 1999-08-19 2002-12-31 Monsanto Technology Llc Expression of Cry3B insecticidal protein in plants
US20040110184A1 (en) 2002-06-28 2004-06-10 Dow Agrosciences Llc Pesticidally active proteins and polynucleotides obtainable from Paenibacillus species
JP2006525028A (ja) * 2003-05-02 2006-11-09 ダウ・アグロサイエンシーズ・エルエルシー トウモロコシイベントtc1507およびそれを検出するための方法
BRPI0410544A (pt) * 2003-05-22 2006-06-20 Syngenta Participations Ag amido modificado usos, processos para a produção do mesmo
MXPA06012634A (es) 2004-04-30 2007-02-08 Dow Agrosciences Llc Nuevos genes con resistencia a los herbicidas.
KR20070085421A (ko) 2004-10-21 2007-08-27 벤간자 아이엔씨 식물들의 해충들 및 병원균들에 대한 내성을 제공하기 위한방법들 및 물질들
NZ567807A (en) 2005-10-28 2011-09-30 Dow Agrosciences Llc Novel herbicide (2,4-D and pyridyloxyacetate) resistance genes with aryloxyalkanoage dioxygenase activity
EP1984510B1 (en) 2006-02-17 2015-04-08 Monsanto Technology LLC Chimeric regulatory sequences comprising introns from dicotyledons for plant gene expression
CN100420751C (zh) * 2006-02-27 2008-09-24 浙江大学 一种杀虫基因及其用途
WO2008141154A2 (en) 2007-05-09 2008-11-20 Dow Agrosciences Llc Novel herbicide resistance genes
WO2009048966A2 (en) * 2007-10-08 2009-04-16 Monsanto Technology Llc Engineered dicotyledonous promoters capable of expressing in monocotyledonous plants
MX2010013674A (es) * 2008-06-11 2011-03-15 Pioneer Hi Bred Int Inc Star Gen de bacillus thuringiensis novedoso con actividad lepidoptera.
WO2010079032A1 (en) * 2008-12-17 2010-07-15 Basf Plant Science Gmbh Production of ketocarotenoids in plants
EP2199399A1 (en) * 2008-12-17 2010-06-23 BASF Plant Science GmbH Production of ketocarotenoids in plants
ES2717102T3 (es) 2009-03-19 2019-06-19 Dsm Ip Assets Bv Moléculas de ácido nucleico de ácido graso poliinsaturado sintasas, y polipéptidos, composiciones y métodos de preparación y usos de los mismos
KR20140014371A (ko) 2009-04-17 2014-02-06 다우 아그로사이언시즈 엘엘씨 살충성 dig-3 cry 독소
WO2011075588A1 (en) 2009-12-16 2011-06-23 Dow Agrosciences Llc COMBINED USE OF CRY1Ca AND CRY1Fa PROTEINS FOR INSECT RESISTANCE MANAGEMENT
US9234208B1 (en) * 2010-05-10 2016-01-12 Dow Agrosciences Llc DIG-13 insecticidal cry toxins
UA115302C2 (uk) 2010-06-24 2017-10-25 ДАУ АГРОСАЙЄНСІЗ ЕлЕлСі Спосіб зменшення вмісту насичених жирних кислот
UA112968C2 (uk) 2010-07-29 2016-11-25 ДАУ АГРОСАЙЄНСІЗ ЕлЕлСі Штам agrobacterium, модифікований для збільшення частоти трансформації рослин
WO2012030714A2 (en) 2010-08-30 2012-03-08 Agrigenetics, Inc. Activation tagging platform for maize, and resultant tagged population and plants
WO2012074868A2 (en) 2010-12-03 2012-06-07 Ms Technologies, Llc Optimized expression of glyphosate resistance encoding nucleic acid molecules in plant cells
AR087888A1 (es) 2011-09-14 2014-04-23 Dow Agrosciences Llc Plantas con caracteristicas relacionadas al estres y metodos para producirlas
US20140075593A1 (en) 2012-09-07 2014-03-13 Dow Agrosciences Llc Fluorescence activated cell sorting (facs) enrichment to generate plants
CA2926197A1 (en) 2013-10-04 2015-04-09 Dow Agrosciences Llc Zea mays metallothionein-like regulatory elements and uses thereof
BR102014025499A2 (pt) 2013-10-15 2015-09-29 Dow Agrosciences Llc elementos regulatórios de zea mays e uso dos mesmos
BR102014025574A2 (pt) 2013-10-15 2015-09-29 Dow Agrosciences Llc elementos regulatórios de zea mays e usos dos mesmos
TW201525136A (zh) 2013-11-26 2015-07-01 Dow Agrosciences Llc 利用破囊壺菌PUFA合成酶於油籽作物中生成ω-3長鏈多不飽和脂肪酸
CN105960460B (zh) 2013-12-06 2020-06-26 奥驰亚客户服务公司 在叶中具有改变量的一种或多种生物碱的烟草植物及使用此类植物的方法
TW201527316A (zh) 2013-12-31 2015-07-16 Dow Agrosciences Llc 新穎玉米泛素啓動子(五)
TW201527313A (zh) 2013-12-31 2015-07-16 Dow Agrosciences Llc 新穎玉米泛素啓動子(二)
TW201527312A (zh) 2013-12-31 2015-07-16 Dow Agrosciences Llc 新穎玉米泛素啓動子(一)
TW201527314A (zh) 2013-12-31 2015-07-16 Dow Agrosciences Llc 新穎玉米泛素啓動子(三)
BR102015000943A2 (pt) 2014-01-17 2016-06-07 Dow Agrosciences Llc expressão aumentada de proteína em planta
TW201538518A (zh) 2014-02-28 2015-10-16 Dow Agrosciences Llc 藉由嵌合基因調控元件所賦予之根部特異性表現
KR20170020760A (ko) 2014-06-20 2017-02-24 다우 아그로사이언시즈 엘엘씨 곤충 해충의 방제에 유용한 영양 살곤충 단백질
EP3164496A1 (en) 2014-07-02 2017-05-10 Altria Client Services LLC Tobacco having altered leaf properties and methods of making and using
US10626409B2 (en) 2014-07-08 2020-04-21 Altria Client Services Llc Genetic locus imparting a low anatabine trait in tobacco and methods of using
EP4268584A3 (en) 2014-10-06 2024-02-21 Altria Client Services LLC Genetic control of axillary bud growth in tobacco plants
BR112017013514A2 (pt) 2014-12-30 2018-01-02 Dow Agrosciences Llc toxinas cry1ca modificadas úteis para o controle de pragas de insetos
JP2018511333A (ja) 2015-04-15 2018-04-26 ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー 導入遺伝子発現のための植物プロモータ
WO2016168229A1 (en) 2015-04-15 2016-10-20 Dow Agrosciences Llc Plant promoter for transgene expression
WO2017030843A1 (en) 2015-08-17 2017-02-23 Dow Agrosciences Llc Engineered cry6a insecticidal proteins
TW201718861A (zh) 2015-09-22 2017-06-01 道禮責任有限公司 用於轉殖基因表現之植物啟動子及3’utr
TW201718862A (zh) 2015-09-22 2017-06-01 Dow Agrosciences Llc 用於轉殖基因表現之植物啟動子及3’utr
CA3002151A1 (en) 2015-10-22 2017-04-27 Dow Agrosciences Llc Plant promoter for transgene expression
US20170121726A1 (en) 2015-11-04 2017-05-04 Dow Agrosciences Llc Plant promoter for transgene expression
WO2017194683A1 (en) 2016-05-12 2017-11-16 Dsm Ip Assets B.V. Method of increasing omega-3 polyunsaturated fatty acids production in microalgae
CA3038972A1 (en) 2016-09-30 2018-04-05 Dow Agrosciences Llc Binary insecticidal cry toxins
WO2018067264A1 (en) 2016-10-03 2018-04-12 Dow Agrosciences Llc Plant promoter for transgene expression
US10519459B2 (en) 2016-10-03 2019-12-31 Dow Agrosciences Llc Plant promoter from Panicum virgatum
WO2018068000A1 (en) 2016-10-07 2018-04-12 Altria Client Services Llc Tobacco plants having increased nitrogen efficiency and methods of using such plants
EP3676383A4 (en) 2017-08-31 2021-09-08 Dow Agrosciences LLC COMPOSITIONS AND METHODS FOR EXPRESSION OF TRANSGENS USING REGULATORY ELEMENTS FROM AB CHLOROPHYLL BINDING GENES
JP7280245B2 (ja) 2017-09-01 2023-05-23 アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー タバコにおける改善された窒素利用効率に関する方法および組成物
WO2019125651A1 (en) 2017-12-19 2019-06-27 Pioneer Hi-Bred International, Inc. Insecticidal polypeptides and uses thereof
BR102018009263A8 (pt) * 2018-05-07 2023-01-31 Embrapa Pesquisa Agropecuaria Molécula de ácido nucleico cry1da códon-otimizada, construção de ácido nucleico, vetor, célula hospedeira, célula vegetal, planta transgênica, método para transformar uma célula, método para produzir uma planta transgênica, método de controle de pragas invertebradas de plantas de cultivo e usos da molécula de ácido nucleico
WO2019233349A1 (zh) 2018-06-04 2019-12-12 青岛清原化合物有限公司 突变型对羟苯基丙酮酸双氧化酶、其编码核酸以及应用
WO2023084416A1 (en) 2021-11-09 2023-05-19 Benson Hill, Inc. Promoter elements for improved polynucleotide expression in plants
WO2023111961A1 (en) 2021-12-15 2023-06-22 Benson Hill, Inc. Spatio-temporal promoters for polynucleotide expression in plants

Family Cites Families (56)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1983001176A1 (en) * 1981-10-01 1983-04-14 Int Plant Research Inst Process for the genetic modification of cereals with transformation vectors
SU1582990A3 (ru) * 1983-01-17 1990-07-30 Монсанто Компани (Фирма) Способ получени трасформированных клеток двудольных растений
US5034322A (en) * 1983-01-17 1991-07-23 Monsanto Company Chimeric genes suitable for expression in plant cells
JPH0714349B2 (ja) * 1983-01-17 1995-02-22 モンサント カンパニ− 植物細胞での発現に適したキメラ遺伝子
EP0131624B1 (en) * 1983-01-17 1992-09-16 Monsanto Company Plasmids for transforming plant cells
US5380831A (en) * 1986-04-04 1995-01-10 Mycogen Plant Science, Inc. Synthetic insecticidal crystal protein gene
BR8404834A (pt) * 1983-09-26 1985-08-13 Agrigenetics Res Ass Metodo para modificar geneticamente uma celula vegetal
US4889918A (en) * 1983-12-21 1989-12-26 Boehringer Mannheim Gmbh Protein tokin from bacillus thiringiensis which is toxic to coleoptera
DE3346138A1 (de) * 1983-12-21 1985-07-11 Boehringer Mannheim Gmbh, 6800 Mannheim Bacillus thuringiensis var. tenebrionis sowie ein insektizid wirkendes, hieraus erhaeltliches praeparat bzw. toxin sowie deren verwendung zur bekaempfung von coleoptera
US5231019A (en) * 1984-05-11 1993-07-27 Ciba-Geigy Corporation Transformation of hereditary material of plants
CA1301094C (en) * 1984-08-31 1992-05-19 Helen Riaboff Whiteley Bacillus thuringiensis crystal protein gene toxin segment
US4945050A (en) * 1984-11-13 1990-07-31 Cornell Research Foundation, Inc. Method for transporting substances into living cells and tissues and apparatus therefor
US5036006A (en) * 1984-11-13 1991-07-30 Cornell Research Foundation, Inc. Method for transporting substances into living cells and tissues and apparatus therefor
BR8600161A (pt) * 1985-01-18 1986-09-23 Plant Genetic Systems Nv Gene quimerico,vetores de plasmidio hibrido,intermediario,processo para controlar insetos em agricultura ou horticultura,composicao inseticida,processo para transformar celulas de plantas para expressar uma toxina de polipeptideo produzida por bacillus thuringiensis,planta,semente de planta,cultura de celulas e plasmidio
EP0192319B1 (en) * 1985-01-22 1992-07-15 Mycogen Corporation Cellular encapsulation of biological pesticides
US4797276A (en) * 1985-03-22 1989-01-10 Mycogen Corporation Control of cotton boll weevil, alfalfa weevil, and corn rootworm via contact with a strain of Bacillus thuringiensis
US4764372A (en) * 1985-03-22 1988-08-16 Mycogen Corporation Compositions containing bacillus thuringiensis toxin toxic to beetles of the order coleoptera, and uses thereof
US5182200A (en) * 1985-04-22 1993-01-26 Lubrizol Genetics, Inc. T-dna promoters
EP0202470B1 (en) * 1985-05-20 1992-06-03 Abbott Laboratories Cloning and expression of delta-endotoxin genes of bacillus thuringiensis in bacterial cells and products therefrom
EP0206613B1 (en) * 1985-06-14 1992-08-19 Repligen Corporation Activated bacillus thuringienses delta-endotoxin produced by an engineered hybrid gene
NZ216723A (en) * 1985-07-18 1988-11-29 Lubrizol Genetics Inc Production of insecticidal protein by genetic engineering methods
US4771131A (en) * 1985-08-16 1988-09-13 Mycogen Corporation Cloning and expression of Bacillus thuringiensis toxin gene encoding a protein toxic to beetles of the order Coleoptera
AU7360087A (en) * 1986-04-30 1987-11-24 Boyce Thompson Institute For Plant Research Inc. Electric field mediated dna transformation of plant cells and organelles
TR27832A (tr) * 1987-04-29 1995-08-31 Monsanto Co Zararli ucucu hasarata mukavim bitkiler.
EP0290395B1 (en) * 1987-05-05 1994-01-26 Sandoz Ag Plant tissue transformation
DE3856241T2 (de) * 1987-05-20 1999-03-25 Novartis Ag Verfahren zur Herstellug von transgene Zea mays-Pflanzen, die aus Protoplasten oder aus von Protopflasten erhaltenen Zellen regeneriert wurden
US4948734A (en) * 1987-08-12 1990-08-14 Mycogen Corporation Novel isolates of bacillus thuringiensis having activity against nematodes
NZ226442A (en) * 1987-10-13 1991-08-27 Lubrizol Genetics Inc Anti-coleopteran toxin and gene
WO1989004868A1 (en) * 1987-11-19 1989-06-01 Agracetus Production of proteins in plants
EP0325400B1 (en) * 1988-01-22 1994-04-13 Mycogen Corporation Novel hybrid bacillus thuringiensis gene, plasmid, and transformed pseudomonas fluorescens
BR8900881A (pt) * 1988-02-25 1989-10-17 Sandoz Ag Processos para a producao de uma proteina endotoxina toxica a insetos e composicao inseticida
US5055294A (en) * 1988-03-03 1991-10-08 Mycogen Corporation Chimeric bacillus thuringiensis crystal protein gene comprising hd-73 and berliner 1715 toxin genes, transformed and expressed in pseudomonas fluorescens
ATE126005T1 (de) * 1988-04-25 1995-08-15 Monsanto Co Insektenresistente salatpflanzen.
DE68922050T2 (de) * 1988-09-06 1995-08-31 Plant Genetic Systems Nv Pflanzen, die mit einer lepidopteralen DNS-Sequenz aus Bazillus thuringiensis transformiert werden.
NZ230375A (en) * 1988-09-09 1991-07-26 Lubrizol Genetics Inc Synthetic gene encoding b. thuringiensis insecticidal protein
EP0382990A1 (en) * 1989-02-15 1990-08-22 Plant Genetic Systems, N.V. Strains of bacillus thuringiensis
ATE206462T1 (de) * 1989-02-24 2001-10-15 Monsanto Technology Llc Synthetische pflanzengene und verfahren zu ihrer herstellung
CA2015951A1 (en) * 1989-05-18 1990-11-18 Mycogen Corporation Novel bacillus thuringiensis isolates active against lepidopteran pests, and genes encoding novel lepidopteran-active toxins
US5141131A (en) * 1989-06-30 1992-08-25 Dowelanco Method and apparatus for the acceleration of a propellable matter
US5177308A (en) * 1989-11-29 1993-01-05 Agracetus Insecticidal toxins in plants
IL96688A0 (en) * 1989-12-18 1991-09-16 Sandoz Ag Expression of delta-endotoxin proteins
US5187091A (en) * 1990-03-20 1993-02-16 Ecogen Inc. Bacillus thuringiensis cryiiic gene encoding toxic to coleopteran insects
TR26973A (tr) * 1990-04-16 1994-09-12 Ecogen Inc Bacillus thuringiensis cryie geni ve lepidoptera takimindan böceklere karsi zehirli protein.
EP0528819A1 (en) * 1990-04-18 1993-03-03 Plant Genetic Systems, N.V. Modified bacillus thuringiensis insecticidal-crystal protein genes and their expression in plant cells
WO1991016433A1 (en) * 1990-04-26 1991-10-31 Plant Genetic Systems N.V. New bacillus thuringiensis strains and their genes encoding insecticidal toxins
DK0558676T3 (da) * 1990-11-23 2000-09-25 Aventis Cropscience Nv Fremgangsmåde til transformering af enkimbladede planter
US5384253A (en) * 1990-12-28 1995-01-24 Dekalb Genetics Corporation Genetic transformation of maize cells by electroporation of cells pretreated with pectin degrading enzymes
US5286485A (en) * 1991-01-16 1994-02-15 Mycogen Corporation Process for controlling lepidopteran pests
US6294184B1 (en) * 1991-01-16 2001-09-25 Mycogen Corporation Process for controlling lepidopteron pests
US5186934A (en) * 1991-02-21 1993-02-16 Mycogen Corporation Bacillus thuringiensis gene encoding a coleopteran-active toxin
CA2059897A1 (en) * 1991-02-25 1992-08-26 Kenneth E. Narva Bacillus thuringiensis genes encoding novel coleopteran-active protein toxins
UA48104C2 (uk) * 1991-10-04 2002-08-15 Новартіс Аг Фрагмент днк, який містить послідовність,що кодує інсектицидний протеїн, оптимізовану для кукурудзи,фрагмент днк, який забезпечує направлену бажану для серцевини стебла експресію зв'язаного з нею структурного гена в рослині, фрагмент днк, який забезпечує специфічну для пилку експресію зв`язаного з нею структурного гена в рослині, рекомбінантна молекула днк, спосіб одержання оптимізованої для кукурудзи кодуючої послідовності інсектицидного протеїну, спосіб захисту рослин кукурудзи щонайменше від однієї комахи-шкідника
US5262324A (en) * 1991-11-06 1993-11-16 Mycogen Corporation Coleopteran-active Bacillus thuringiensis isolates and genes encoding coleopteran-active toxins
WO1993021335A2 (en) * 1992-04-15 1993-10-28 Plant Genetic Systems, N.V. Transformation of monocot cells
EP0582541A3 (en) * 1992-05-01 1995-04-19 Sandoz Ltd Process for the creation of Bacillus thuringiensis strains capable of conjugation.
US5262159A (en) * 1992-08-24 1993-11-16 Mycogen Corporation Use of Bacillus thuringiensis isolates for controlling pests in the family aphididae

Also Published As

Publication number Publication date
CN1176577C (zh) 2004-11-24
WO1997013402A1 (en) 1997-04-17
ES2330168T3 (es) 2009-12-04
EP0861021A1 (en) 1998-09-02
US6166302A (en) 2000-12-26
BR9611000A (pt) 1999-12-28
ATE443437T1 (de) 2009-10-15
JP2000507808A (ja) 2000-06-27
CA2234656C (en) 2008-01-08
EP0861021A4 (en) 2005-01-12
CN1199321A (zh) 1998-11-18
AU7446796A (en) 1997-04-30
CA2234656A1 (en) 1997-04-17
IL124020A (en) 2003-05-29
EP0861021B1 (en) 2009-09-23
AU708256B2 (en) 1999-07-29
MX9802778A (es) 1998-10-31
DE69638032D1 (de) 2009-11-05
RU2224795C2 (ru) 2004-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4030582B2 (ja) 植物における鱗翅目制御のための修飾バチルス・サーリンジェンシス遺伝子
US5500365A (en) Synthetic plant genes
US6720488B2 (en) Transgenic maize seed and method for controlling insect pests
US5689052A (en) Synthetic DNA sequences having enhanced expression in monocotyledonous plants and method for preparation thereof
CA2423480C (en) Nucleotide sequences mediating male fertility and method of using same
HU220358B (hu) Eljárás hibrid vetőmagok előállítására
JP2000116258A (ja) 二元性潜在性細胞毒性法によるハイブリッド種子の産生方法
CA2437318A1 (en) Nucleotide sequence mediating male fertility and method of using same
US6294712B1 (en) Nematode-resistant gene
US7119254B2 (en) Endoglucanase gene promoter upregulated by the root-knot nematode
JP5054267B2 (ja) 新規トキシン
AU6442500A (en) Male sterile plants
JPH07213185A (ja) 含硫アミノ酸含量の改良植物および改良方法
MXPA98002778A (en) Gene of bacillus thuringiensis modified for control of lepidopteros in plan
JP2005211001A (ja) 植物における導入遺伝子発現を向上させるためのオスモチン遺伝子の非翻訳領域の使用
IE83748B1 (en) Synthetic plant genes and method for preparation

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060912

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20061212

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20061212

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070209

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20070312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070918

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131026

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees