JP4030146B2 - 光反応性有害物除去材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光反応を用いて悪臭、大気汚染物質等の有害物を除去することのできる、光反応性有害物除去材に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境問題に対する関心の高まりに伴い悪臭や大気汚染物質等の日常生活における有害物の除去の要求が増えて来ており、悪臭や大気汚染物質等除去装置を組み込んだ空気清浄機の開発が盛んに行われている。
一般的な空気清浄方法としては、活性炭等の吸着剤を用い、これらに有害物を吸着させる方法がとられてきた。しかし、これらの吸着剤では吸着作用しか示さないため、多くの有害物を均等に除去したり、ppb領域の極低濃度の有害物を効率よく除去し、なおかつ長期に渡って効果を持続させることは実質的に不可能であった。
【0003】
このような吸着剤だけを用いた脱臭シート等は多数知られている。例えば、特開昭61−119269号公報には、簡便で低いコストで脱臭シートを作製できる方法が記載されている。
しかし、この方法では、脱臭剤は活性炭等の吸着剤しか使用できず、先にも述べたように吸着飽和による能力の低下や、低濃度大気汚染物質に対する吸着能等の問題が多い。
【0004】
近年、これらの問題を解決するために、吸着剤と有害物の分解触媒である光反応性半導体が組み合わせれた材料が開発され出した。例えば、特開平1−189322号公報には、ハニカム状活性炭に光反応性半導体である酸化チタンを付加し、ハニカム状活性炭表面を光反応性とすることが提案されている。その製造方法は、ゾル状の酸化チタン水溶液に焼成したハニカム状活性炭を浸漬させるとあるが、ハニカム状であるので空気清浄機用のフィルター部材等には適している。しかし、焼成ハニカム状活性炭は特殊であり、そのコストは高く、簡便な光反応性のフィルター部材とは言えない。また、ゾル状の酸化チタンは、それ自身では強い皮膜を形成し得ない一方、ハニカム状活性炭へのゾル状の酸化チタン水溶液付与は単に浸漬して乾燥するだけなので、活性炭表面に酸化チタンを付加しても脱離し易いという問題があった。
【0005】
また、特開平3−233100号公報では、酸化チタンと活性炭の混合物に300nm以上の波長の光を照射することが記載されている。実際的な使用方法では、ガラス管の外周面に接着剤を塗布し、その上にサブミクロンオーダーに粉砕した酸化チタン、活性炭及び酸化鉄混合粉をまぶすようにして付着させて使用することが記載されている。
しかし、このようにして構成された光反応性半導体を含む空気浄化装置は、トンネル内などに固定されており、大規模な装置としては適しているが、ガラス管を基材としているために柔軟性に欠け、フィルターへの加工や取り扱いが難しいことや、接着剤の影響で光反応性半導体の有効表面積が減少してしまうという問題があった。
【0006】
一方、久永らは電気化学協会誌、60巻、107ページ、1992年発行においてセラミックペーパーに保持された酸化チタンを利用して有機ハロゲン化合物の光分解を行っている。この酸化チタンを保持したシートは500℃から800℃で焼成されており、作製が煩雑である他にこのような高温に酸化チタンを曝した場合、粒子の結晶が成長して、酸化チタンの比表面積を減少させ光反応性を低下させてしまう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような問題点を解決して、高い光反応性を維持しながら、従来の方法とは全く異なった、空気清浄機等のフィルター部材にも利用できる光反応性有害物除去材を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこれらの問題を検討した結果、少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに、光反応性半導体が担持されている光反応性有害物除去材、またシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに、光反応性半導体と担体が担持されている光反応性有害物除去材により上記問題を解決した。該通気性シートのかさ密度は0.02g / cm 3 〜0.1g / cm 3 である。
【0009】
また、少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに光反応性半導体を担持するに当たり、金属酸化物複合高分子エマルジョンを用いて光反応性半導体を担持することにより、光反応性半導体の光反応性を大きく損なうことなく、強固に通気性シートに担持できることを見いだした。
【0010】
また、少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに光反応性半導体が担持されている光反応性有害物除去材か、該シート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに、光反応性半導体と担体が担持されている光反応性有害物除去材か、または該シート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに光反応性半導体を金属酸化物複合高分子エマルジョンを用いて担持させた光反応性有害物除去材かの何れかの形態の光反応性有害物除去材において、少なくとも一方の通気性シートがエレクトレットシートである光反応性有害物除去材は、高性能の空気清浄機用のフィルター部材となることを見いだした。
【0011】
また、該シート間内包体の少なくとも一方の通気性シートの吸着剤内包面と反対面にエレクトレットシートを張り合わせた光反応性有害物除去材は、高性能の空気清浄機用のフィルター部材となることを見いだした。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光反応性有害物除去材について、まずその構成要素とその製造方法を説明し、次にこれら構成要素から光反応性有害物除去材を製造する方法について説明する。
本発明の光反応性有害物除去材は、少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体(但し、1枚の通気性シートを折り返して用いても、2枚の通気性シート間に内包したことと見なす。)の少なくとも一方の通気性シートに、光反応性半導体が担持されている光反応性有害物除去材である。
【0013】
通気性の尺度を表すために一定風量下での圧力損失を目安にする方法があり、本発明においては風量5cm3/cm2/secの時に、シート間の吸着剤が脱落しない範囲で10mmAq以下の圧力損失を示すシートが好ましい。
圧力損失が10mmAqを上回ると、シートの通気性が不十分であるために、シートを通過する風量が制限され、ファン容量への負荷が大きくなるなど空気清浄機用のフィルターとしては適さなくなる。また、一定のシート強度を保持し、かつ通気性を確保したい場合には、密度の粗なシートを作製する必要がある。このようなシートの密度に関してはかさ密度という概念が適応できて、本発明に用いる通気性シートのかさ密度は0.02g / cm 3 〜0.1g / cm 3 である。
【0014】
本発明に係わる吸着剤を内包するシートとしては、織布、不織布、ネット、及びスポンジ等の他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエステルフィルムの様な汎用の熱可塑性フィルムや薄板等が挙げられる。これらの内、フィルムや薄板等の通気性に乏しいシートは、微細な穴をあけて通気性を向上させても良い。これらの内、特に不織布等を用いれば、比較的均一な通気性を確保することができるばかりか、内包加工及び光反応性有害物除去材形成後の加工も容易であるため、優位に使用される。
【0015】
通気性シートとして有利に用いられる不織布に使用する繊維としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系、デクロン等のポリエステル系、ポリ酢酸ビニル、スチレン酢酸ビニル共重合体、ナイロン等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、アクリラン、オーロン、ダイネル及びベレン等のアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール系、ジエン系、ポリウレタン系等の繊維が挙げられる。これらの繊維の形状は特に制限はなく、その断面形状は略円形のみならず楕円形、三角形、星形、T型、Y型、あるいは葉状等のいわゆる異型断面形状であっても差し支えない。加えて、繊維表面に空隙を有するもの、あるいは枝別れした構造を有するものでも良い。
【0016】
また、シートを形成した際の繊維間結合強度や腰等を適度に制御できる点で、芯鞘構造を有する繊維も好ましい。芯鞘構造を有する繊維とは、芯部分がポリエステル、鞘部分がポリエステル共重合体からなる繊維や、芯部分がポリエステル、鞘部分がポリオレフィンからなる繊維等がある。芯鞘構造の特徴は、芯部分と鞘部分で軟化点が異なることにあるが、芯部分は加工時の熱処理において繊維の形状を保持する必要から、230℃程度以上の軟化点を有することが好ましく、鞘部分は繊維自身が互いに熱接着し充分な結合を形成させる必要等から、90〜120℃程度の軟化点が好ましい。このように芯鞘構造の繊維を用いると、高温熱処理加工を行わずとも強度を保持できる。
【0017】
本発明に係わる通気性シートとして好ましい不織布を構成する成分としては、これまでの述べてきた構成要素の他に、木材パルプ、麻パルプ、エスパルト、及び木綿繊維等の天然繊維、レーヨン繊維及びアセテート繊維等の再生及び半合成繊維、ガラス繊維及びアルミナ繊維等の無機繊維等が挙げられる。これらの繊維は、上記熱可塑性繊維群だけで構成された不織布が有する強度及び通気度等の特性を悪化させない範囲で併用することが好ましい。
【0018】
本発明の光反応性有害物除去材を壁材や天井材、壁紙、及びカーテン等に用いて生活空間における有害物除去に供するのであれば、少なくとも光反応性有害物除去材に用いる通気性シートは難燃性であることが望ましい。
本発明に係わる通気性シートに難燃性を付与する繊維としては、繊維分子自体が本質的に難燃性のアラミド繊維、本質的に不燃性の金属繊維、セラミック繊維、ロックウール繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チッ化珪素繊維、炭化珪素繊維、炭素繊維、及びポリ塩化ビニルの他に、汎用繊維中に難燃剤を化学的に組込んだり物理的に配合した繊維等が挙げられるが、汎用繊維で構成された不織布を難燃剤で処理したものでも良い。
これらの内、加工性や材料価格の面から、ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系、及びレーヨン系等の汎用繊維中に、リン系、ハロゲン系、及び無機系等の公知の難燃剤を化学的に組込んだり物理的に配合した繊維から構成された不織布、あるいは汎用繊維の不織布を難燃剤で処理したものが好ましい。
【0019】
更に、本発明に係わる通気性シートを構成する繊維としては、活性炭素繊維も好適である。活性炭素繊維は、吸着速度が一般の粉体状活性炭もより100から1000倍も速く、単位量当りの吸着量も10倍程度有する。本発明で好ましく用いられる活性炭素繊維は、繊維長が0.5から50mm程度、繊維径は1から100μm程度で、特に10μm程度のものが好ましい。
【0020】
本発明に係わる通気性シートとして用いる不織布は、上記繊維を水に懸濁し、湿式抄紙法によりシート状にする湿式法、樹脂接着によるレジンボンド、針による交絡を利用したニードルパンチ、糸で縫いつけてウェブを綴じたり、糸を用いずにウェブを構成する繊維同士でウェブを綴じるステッチボンド、あるいは熱により接着したサーマルボンドと呼ばれるいわゆる乾式法、高圧水をノズルから噴射して交絡させる水流交絡、直接紡糸しながらシート化するスパンボンド、直接紡糸する際に高温のジェット空気を噴出させ、紡糸された繊維を延伸及び切断してシート化するメルトブロー等によって製造される。
【0021】
本発明の光反応性有害物除去材に係わる通気性シートとして用いる不織布に適度な力学強度を付与するために、三次元交絡処理を施しても良い。
三次元交絡処理とは、不織布を単層あるいは複数積層して支持体に載置し、不織布に機械的処理を施して繊維を三次元交絡させる方法である。具体的にはニードルパンチ法及び水流交絡法が挙げられる。
【0022】
本発明に係わる通気性シートとして用いる不織布における繊維径は1〜50μmの範囲が好ましく、目付量は20〜100g/m2が好ましい。繊維径が1μm未満の場合は空隙が小さくなり、従って通気性に乏しくなるし、逆に50μmを超えると通気度は大きくなるものの、通気性シートの空隙が大きくなり、内包した吸着剤等の粉落ちが発生して好ましくない。また、目付量が20g/m2未満の場合は、粉落ちが多くなるばかりか、不織布の強度が不十分となって加工時や使用時の破損の原因となる。一方、目付量が100g/m2を超えると、通気度が小さくなるか、通気度を確保しようとすると空隙孔が大きくなって粉落ちの原因となって好ましくない。
【0023】
本発明の光反応性有害物除去材の少なくとも一方の通気性シートは、光反応性半導体が担持されたものである。
本発明に係わる光反応性半導体とは、0.5〜5eV、好ましくは1〜4eVの禁止帯幅を有する、光触媒反応をもたらす半導体である。本発明に係わるこのような光反応性半導体としては、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化チタン、及び酸化セリウム等の金属酸化物粒子が挙げられるが、殊に酸化チタンはその構造安定性、光反応性有害物除去能、更には取扱い上の安全性等から生活空間において使用するには最も適しており、本発明に係わる光反応性半導体として有利に用いられる。
【0024】
光反応性半導体として有利に用いられる酸化チタンは、白色顔料として用いる汎用の二酸化チタンの他、メタチタン酸、オルトチタン酸、含水酸化チタン、水和酸化チタン、及び水酸化チタン等のチタン酸化物やチタン水酸化物等が挙げられる。
これらの酸化チタンは、四塩化チタンや硫酸チタン、あるいは酸化硫酸チタンを原料として、気相燃焼法、加水分解法、あるいは加熱分解法等によって工業的に製造される。これらの中でも、10nm以下の大きさを中心とするアナターゼ構造を持つ微粒子酸化チタンは、優れた光反応性半導体である。
更に、これらの製造方法の他に有機チタネートを用いる方法があり、この方法は均一性が高く透明性のある光反応性膜が得られる。
また、これらの酸化チタンの表面に、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ni、Rh、Nb、Sn、Cr及びRu等の金属を担持あるいはドーピングさせたり、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、酸化マンガン、及び酸化鉄等の他の金属酸化物を担持させても良い。
【0025】
光反応性半導体における有害物分解機構は、光反応性半導体が活性光を受けるとその表面にフリーラジカルを生成し、このフリーラジカルが光反応性半導体の表面と接触した有害物を攻撃して有害物を分解する。この過程を充分に発揮させるには、光反応性半導体の比表面積を大きくし、フリーラジカルの生成点を増加させることが効果的である。加えて、比表面積を大きくすると、光反応性半導体の単位量当りの有害物との接触面積も増大することから、有害物を分解するためには、その比表面積が大きいほど効果的である。
しかし、光反応性半導体の比表面積を大きくしていくと、光反応性半導体自体安定性が低下するし、凝集力が強くなって分散が困難になり、実質的に有害物の接触の向上が図れない。そこで、本発明に係わる光反応性半導体の比表面積は50〜500m2/g程度が好ましく、更には100〜500m2/g程度が良い。また、特に酸化チタンの場合は、比表面積は50〜400m2/g程度が好ましく、更には150〜350m2/g程度が良い。
【0026】
光反応性有害物除去材における光反応性半導体の使用量は、1〜50g/m2が好ましく、更には2〜30g/m2が良い。光反応性半導体の使用量が1g/m2を下回ると、実質的に有害物の分解効果が期待できず、逆に光反応性半導体の使用量が50g/m2を上回ると、通気性シートに保持することができなくなり、光反応性半導体の漏散の原因となる。光反応性半導体の絶対量は、傾向的には高い程有害物の分解効果が期待できるから、ハンドリング性等のその他特性を満足する範囲で光反応性半導体含有量を増加させることが望ましい。
【0027】
ところで、本発明に好ましく用いられる比表面積の大きな光反応性半導体は上記の様に粒子径が非常に小さく、また単独での皮膜成形性に乏しいため、通気性シートに保持しても、使用中に光反応性半導体が落剥する可能性がある。
そこで、光反応性半導体と共に担体を併用し、より大きな粒状体として通気性シートに担持させることが好ましい。これにより、製造時及び使用時に光反応性半導体の漏散を抑止されると共に、光反応性半導体単独凝集体に比して光反応性半導体表面の活性点の失活を相当低く抑えられるため、優位である。
【0028】
本発明に係わる担体の具体例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、活性白土、ゼオライト、セピオライト、ハロイサイト、ハイドロアパタイト、酸化亜鉛、シリカ−アルミナ複合物、シリカ−酸化亜鉛複合物、シリカ−マグネシア複合物、酸化亜鉛−マグネシア複合物、シリカ−アルミナ−酸化亜鉛複合物、シリカ−アルミナ−マグネシア複合物、及び木片や椰子殻等の各種素材より調製した活性炭等が挙げられる。
【0029】
これらの内、活性白土、ゼオライト、セピオライト、及び活性炭の様に担体それ自体が吸着能を有する場合には、全ての担体に光反応性半導体を担持させる必要はなく、担持品と非担持品とを一緒にまたは別々に使用しても良い。また、それ自体で触媒作用を有する鉄系金属化合物、例えば三二酸化鉄等は、それらに上記の光反応性半導体を担持させても良く、それらと既に光反応性半導体を担持させた担体粒子とを混合して用いることもできる。更に、担体によっては、特に特定の化学的または物理的特性を有する物質、例えば酸性物質や塩基性物質、を優先的に吸着するので、使用条件等により担体群から最適種を選定し、場合によっては組合わせて用いることが好ましい。
【0030】
本発明に係わる担体は、比表面積が50〜2000m2/g程度が好ましく用いられるが、活性炭の場合は特に500〜1500m2/g程度が好ましい。一方、担体の粒径は、本発明の目的からはある程度のサイズ、少なくとも併用する光反応性半導体より10倍程度以上大きいことが好ましい。本発明に係わる担体の好ましい粒径は100nm〜50μmであり、特に活性炭の場合は50nm〜10μmである。担体はそのままの粒子状で用いても良いが、粒子を成形したペレット状や錠剤状の担体を使用しても良い。
【0031】
本発明の光反応性有害物除去材において光反応性半導体と共に担体を併用する場合の使用量は、光反応性半導体と担体の混合比によって決定する。すなわち、光反応性半導体と担体の混合比は1:30〜10:1、より好ましくは1:10〜5:1程度で用いられる。
光反応性半導体の絶対量を一定として光反応性半導体に対して担体の混合比が高すぎると、通気性シートにこれらを保持することが困難になり、逆に混合比が低すぎると、光反応性半導体同士が凝集して有害物除去能が低下する可能性があるばかりか、経時での粉落ちの原因となる。
【0032】
少なくとも以上の通気性シート及び光反応性半導体を用い、通気性シートに光反応性を付与することができる。光反応性半導体の通気性シートへの担持方法は後に詳述するが、例えば特開平1−189322号公報に記載されているようにゾル状の酸化チタン分散液に含浸するのも一つの方法である。
しなしながら、繊維と光反応性半導体の間に強い相互作用がないと、通気性シートから光反応性半導体が脱離してしまうために使用には耐えない。光反応性半導体の皮膜強度を向上させるには、焼結による粒子の成長と脱水反応によってその向上を図る方法が一般的であるが、焼結に必要な温度は300℃以上であり、有機性繊維からなる通気性シートにおいては耐えられる温度ではない。この改良方法として、コロイダルシリカや板状粘土鉱物等の無機性バインダーと混合して含浸させる方法がある。
【0033】
無機性バインダーと光反応性半導体の混合液によって通気性シートに光反応性を付与することは、本発明には重要な技術的要素である。しかし、形成された光反応性膜は耐水性がなく、結露等の問題がある場所には使用できないし、膜強度も十分ではない。そこで、耐水性及び膜強度の向上を図り得るものとして、以下の金属酸化物複合高分子エマルジョンをバインダーとして用いると耐水性の付与が期待できる。
【0034】
金属酸化物複合高分子エマルジョンとは、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の高分子エマルジョンの表面に、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等が複合されたもので、光反応性である例えば酸化チタンと混合し成膜化した際に、高分子粒子と酸化チタンの直接的な接触を押さえて、膜の安定化を図り得るものである。
このような金属酸化物複合高分子エマルジョンの作製方法には2種類あって、一つはコロイダルシリカやコロイダルアルミナを予め水中にて分散しておき、この酸化物と反応する例えば3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート等のモノマーを構成要素として有するアクリル樹脂やアクリル樹脂をグラフトしたポリエステル等を合成することによって得られる。更に別な方法では、金属アルコキシドの状態で、水中に分散する高分子エマルジョン中に予め分散させて、その後水と反応して金属酸化物とする方法である。両者はその性質によって使い分けることができる。
【0035】
以上の、少なくとも2枚の通気性シートの間には、吸着剤を内包する。本発明に係わる吸着剤としては、椰子殻活性炭、添着活性炭、活性白土、ゼオライト、シリカアルミナ亜鉛塩、及び酸化亜鉛複合物等が挙げられる。一般的に、吸着剤としては比表面積の高い材料が適しているが、その比表面積は150から1500m2/g程度、好ましくは200から1200m2/g程度である。
【0036】
内包させる吸着剤の量は、少なすぎると吸着効果が減少し、多すぎると光反応性有害物除去材としての通気性に支障が出てくるので、10から350g/m2程度、好ましくは80から250g/m2程度である。
また、吸着剤は微粉砕されたものでは通気性シートから脱離する可能性があるので、その形態は粒状が好ましい。粒径は10から120メッシュ程度なら作製可能であるが、あまり大きな粒子では圧等が加えられると破砕する場合があるので、30から80メッシュ程度が好ましい。
【0037】
次に、以上の構成要素からの光反応性有害物除去材の製造法を説明する。
本発明に係わる光反応性半導体と所望により担体とを、更に所望により金属酸化物複合高分子エマルジョンを用いて担持した通気性シートは、以上によって作製された通気性シートに、光反応性半導体と所望により担体とが、更に所望により金属酸化物複合高分子エマルジョンを用いて担持したもの(以下、後担持と略記する)の他、通気性シートを形成する成分と光反応性半導体を含有する本発明に係わるシート担持成分とを混合し、光反応性半導体を担持する通気性シートを形成して(以下、同時担持と略記する)も得られる。
【0038】
光反応性半導体を含み、所望により担体及び金属酸化物複合高分子エマルジョンを含有する水性塗液を通気性シートに塗設して光反応性有害物除去材が得られる。
通気性シートへの塗設方法としては、水性塗液に通気性シートを浸漬する含浸及びコーターによる塗布が挙げられる。本発明に係わる含浸及び塗布の方法として、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、及びフィルムトランファー方式のサイズプレス等や、ロールコーター、エアドクターコーター、ロッド(バー)コーター、ブレードコーター、スプレーコーター、及びカーテンコーターを用いた方法等が挙げられる。
【0039】
含浸及び塗布等の光反応性半導体の塗設に際しては、グロー放電処理、火焔処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、及びオゾン処理等により、支持体表面を処理した後に塗設することも好ましい方法である。これら表面処理は二種以上の方法を組み合わせて用いても良く、通気性シートの一方の面と他方の面で異なる処理を施しても良い。塗設は通気性シートの一方の面だけでも差し支えないので、表面処理は塗設面だけ行なっても良い。
【0040】
本発明に係わる光反応性半導体が担持された通気性シートの同時担持による形成方法としては、シート形成成分に光反応性半導体と所望により担体、及び所望により金属酸化物複合高分子エマルジョンを通気性シートを形成する過程で担持しても得られる。本発明で云うシート形成成分とは、光反応性半導体を担持した通気性シートとした時、その形態を保持するために必要な成分である。シート形成成分としては繊維状のものが好ましく、支持体形成性及び後加工性から繊維の素材としては熱可塑性樹脂が良い。
【0041】
熱可塑性樹脂繊維としては、後担持で用いた通気性シートを構成する熱可塑性繊維を全て用いることができる。更に、光反応性有害物除去材としての強度を向上させるため、アニリン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、及びメラミン樹脂等の熱硬化性合成樹脂や、木材パルプ、藁、ケナフ、リンター、バガス、及びエスパルト等の植物繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊維、金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維、及び各種ガラス繊維等を少量混合して用いても良い。
【0042】
上記の原料液に、所望により更に公知の粘度調整剤(増粘剤)を添加して粘度を調整した後、抄紙機等を用いて公知の湿式抄造法にてシート化し、乾燥することで光反応性半導体を担持された通気性シートを得ることができる。シート形成成分は、予め水性液に分散させたものを光反応性半導体、所望により担体、及び金属酸化物複合高分子エマルジョンと混合することが好ましい。シート形成成分の分散に際しては、界面活性剤を併用しても良い。
【0043】
光反応性半導体等をシート形成成分により強固に保持させるため、更に少なくとも自己皮膜形成性の結着剤を少量併用することもできる。本発明に用いられる結着剤としては、澱粉、天然ガム類、キトサン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、アクリル系エマルション、スチレン系エマルション、ポリ塩化ビニルエマルション、及びポリ塩化ビニリデンエマルション等の合成樹脂エマルション、NBR及びSBR等の各種ラテックス等が挙げられる。
【0044】
本発明の光反応性有害物除去材は、少なくとも一方に光反応性半導体が担持された通気性シートを用い、少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包して得られる。
少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包するに当たっては、通気性シート自体が熱または光や圧力によって接着するものであれば、それらにより通気性シート同士を接着させて内包しても良いが、吸着剤と共に熱接着性を有する熱可塑性樹脂を併用すれば、加熱により熱可塑性樹脂を熱融着させて通気性シート間を強固に接着させることができるし、通気性シート間により多くの内包物を内包できるために非常に有効である。
【0045】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、加熱により溶融して通気性シート間の結合効果を発現させる樹脂で、エチレン酢酸ビニル共重合体またはこの変性ポリマー、エチレンアクリレート共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル共重合体系、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリビニルエーテル系、ポリウレタン系、及びポリカーボネート系等の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、深田寛著「ホットメルト接着の実際」高分子刊行会(1979)に記載されている。
【0046】
これらの熱可塑性樹脂は、通気性シート間の接着性を向上させるために通気性シートの接着部でのみ融着して使用することが好ましい。この様にして使用することにより、内包された吸着剤等の内包物の有効な表面積の実質的な減少を抑止できる。熱可塑性樹脂の内包は、吸着剤等の熱可塑性樹脂以外の内包物の総量が20g/m2以上内包する場合に併用するのが好ましく、吸着剤等の熱可塑性樹脂以外の内包物100重量部に対し1〜30重量部が好ましく、更に2〜20重量部が好適である。
【0047】
吸着剤に所望により熱可塑性樹脂を併用し、本発明に係わる通気性シート間にこれら内包物を封入するには、通気性シート上に内包物を敷き詰め、更に別の通気性シートで覆って通気性シート間を接合すれば良い。また、少なくとも一方の通気性シートに波状あるいは袋状の凹凸の加工を施し、凹部分(下方に凸)に内包物を充填し、もう一方の通気性シートを載置して凸部分を接合しても良い。何れか一方の通気性シートに凹凸加工を施す場合には、より広域に光反応性半導体が配置されるように、凹凸加工側に光反応性半導体を担持した通気性シートを配置する方が好ましい。
【0048】
通気性シート間の接合方法としては、接着剤による接着、熱プレス及び熱エンボスロール等による熱融着、及び縫合等が挙げられる。これらの接合方法は、部分部分により二種以上の接合方法を組み合わせて用いても良い。また、熱融着部あるいは接着部を縫合したり、熱可塑性樹脂繊維で縫合した部分を熱融着したりして、同一部分を二種以上の方法で接合しても良い。
【0049】
この様な内包物を内包する際の接合は、全面接合しても良いし、網の目上に間隔をあけて接合しても良い。網の目に接合するのであれば、その間隔は1〜50mm程度の範囲が好ましい。網の目の形は、四角形、三角形、円形、楕円形、あるいはこれらの組み合わせ等多様なものが使用できる。これらの方法により、通気性を確保しながら内包物が内包できる。また、周辺部の接合部分が裂けても内包物の飛散を最少限に留めることができるし、接合部分を裁断して任意の大きさで使用できる。
【0050】
以上のようにして作製された光反応性有害物除去材において、吸着剤等の内包物を内包する少なくとも2枚の通気性シートは、少なくとも一方の通気性シートが光反応性半導体を担持したものであれば良いから、2枚以上の通気性シートの1枚だけが光反応性半導体を担持した通気性シートであっても良いし、2枚以上の全部または全部ではない何枚かが少なくとも光反応性半導体を担持した通気性シートであっても良い。光反応性半導体を担持した通気性シートを2枚以上用いる場合は、光反応性半導体等の担持量やシートの製造方法が異なったシートを組み合わせて用いても構わない。
また、光反応性半導体を担持した通気性シートとして、上記のようにシートの片面だけに後担持したシートを用いる場合には、内包物側に光反応性半導体担持面を向けても良いが、その逆の方が好ましい。
【0051】
本発明の以上の光反応性有害物除去材は、吸着特性と光反応性の双方の効果を持ち、これのみでフィルター部材としても使用できる。しかし、フィルター部材として空気清浄機に用いるには除塵性能も要求される場合が多く、この要求を満たすためにエレクトレットを付与しても良い。
エレクトレットとは、絶縁性かつ異方性高分子を強電界中で凝固させて、その表面電荷を存続させるもので、通常のエレクトレットシートは矩形断面や円形断面のポリプロピレンやポリカーボネイト繊維をランダムにかつ穏やかに充填したものである。
電荷密度としては10-2から10-4C/m2程度好ましくは10-3C/m2のオーダー程度で使用され、フィルム状で帯電した後、繊維化してからシート化する方法や、予めシートとしておいて帯電させる方法がある。
【0052】
エレクトレットシートは、空気中を浮遊する花粉、煙草の煙の粒子、ディーゼル車の排ガス煙等帯電している粒子を表面に電気的に引き寄せて除去する。
この除去性能を向上させるため、空気中の浮遊粒子を電界中で予め帯電させる方法等もある。
【0053】
本発明では、エレクトレットシートを先に述べた光反応性有害物除去材と張り合わせて空気清浄機用のフィルター部材として用いることができる他、エレクトレットシートを本発明の光反応性有害物除去材に係わる一方の通気性シートとしても構わない。エレクトレットシートを光反応性有害物除去材と張り合わせる場合は、除去材の片面だけでも差し支えないし、その両面に張り合わせても良い。また、光反応性有害物除去材に用いる少なくとも一方の通気性シートとしてエレクトレットシートを用いる場合には、光反応性有害物除去材の作製時に加熱行程が含まれると、エレクトレットシートの電荷密度が低下するので、繊維の軟化点以下で加工する必要があるし、光反応性半導体等を担持しない方が好ましい。
【0054】
エレクトレットの機能を付与された光反応性有害物除去材は、そのままフラットな形状で使用することもできるが、吸着剤やエレクトレットシートの寿命を延ばすため、プリーツ状に加工して使用しても良い。
【0055】
以上、本発明によって得られる光反応性有害物除去材は、従来の吸着剤単独の脱臭シートに比べて光反応性が付与されているため、悪臭等の有害物を除去するための寿命が延びる他に、低濃度の大気汚染物質も除去することができる。更に、エレクトレットの性能を付与することによって、低コストで優れた性能の空気清浄機用の除塵及び脱臭フィルター部材として利用できる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
【0057】
実施例1
光反応性有害物除去材(A)の作製
光反応性有害物除去材(A)を、(1)通気性シート(a)の作製、(2)光反応性半導体を担持したシート(a′)の作製、(3)吸着剤の内包、の順で作製した。
(1)通気性シート(a)の作製
長さ38mm、繊度3デニール、長さ51mm、繊度6デニールの2種のポリエステル繊維と、長さ51mm、繊度3デニールのビスコースレーヨン繊維を5:3:2の重量比で解繊混合してウエッブを作製し、次に熱可塑性のバインダーであるアクリル系エマルジョン中に含浸し、繊維間強度を持たせて目付量約50g/m2、かさ密度0.05g/cm3の通気性シート(a)を作製した。
【0058】
(2)光反応性半導体を担持したシート(a′)の作製
クニミネ工業製スメクトンSAを水中で分散し、これに石原産業製メタチタン酸中和物スラリーを固形分比で1:2となるように混合した。この混合液に、上記で作製した通気性シート(a)を含浸させ、ヤンキードラムにて乾燥させて光反応性半導体を担持した通気性シート(a′)を得た。
【0059】
(3)吸着剤の内包
吸着剤として32から60メッシュの粒径を持つ武田薬品工業製添着活性炭を用い、熱可塑性樹脂である50メッシュの住友精化製粒状エチレン−酢酸ビニル樹脂を4:1となるように混合して、上記通気性シート(a)と光反応性半導体を担持して光反応性を付与した通気性シート(a′)の間に150g/m2となるように内包し、光反応性有害物除去材(A)を得た。
【0060】
実施例2
光反応性有害物除去材(B)の作製
(1)通気性シート(b)の作製
長さ15mm、繊度3デニールのビスコースレーヨン繊維とパルプを9:1の重量比で混合し、繊維分散液を得た。この繊維分散液を用い、抄造法により目付量30g/m2のウエッブを得た。このウエッブを水流交絡法によって繊維間強度を向上させ、かさ密度0.09g/cm3の通気性シート(b)を得た。
【0061】
(2)光反応性半導体を担持したシート(b′)の作製
日産化学工業製コロイダルシリカと光反応性半導体として石原産業製メタチタン酸中和物スラリー及び担体としてミズカナイトを固形分重量比1:1:1で混合し、この水溶液を通気性シート(b)に含浸させて光反応性半導体を担持した通気性シート(b′)を得た。
【0062】
(3)吸着剤の内包
吸着剤である40から60メッシュの水澤化学製ミズカナイトと、熱可塑性樹脂である50メッシュのエチレン−酢酸ビニル樹脂粒子を4:1で混合し、上記通気性シート(b)と光反応性半導体を担持した通気性シート(b′)との間に、180g/m2となるように内包させて光反応性有害物除去材(B)を作製した。
【0063】
実施例3
光反応性有害物除去材(C)の作製
実施例1で作製した通気性シート(a)を使用し、光反応性半導体の担持方法は実施例1と変え、以下の手順で光反応性半導体を担持したシート(a″)を作製した。
(1)金属酸化物複合高分子エマルジョンの作製
予めコロイダルシリカを水中に分散しておき、これにメチルメタクリレート、ブチルメクリレート、ブチルアクリレート、及び3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを重量比3:2:3:2:0.2となるように混合し、窒素置換後過硫酸カリウムを添加して60℃で8時間乳化重合を行い、金属酸化物複合高分子エマルジョンを作製した。
【0064】
(2)光反応性半導体を担持したシート(a″)の作製
作製した金属酸化物複合高分子エマルジョンと光反応性半導体として堺化学製メタチタン酸中和物スラリーを重量比1:1となるように混合し、通気性シート(a)に含浸させて光反応性半導体を担持した通気性シート(a″)を得た。
【0065】
(3)吸着剤の内包
光反応性半導体を担持した通気性シートとして(a′)の代わりに(a″)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反応性有害物除去材(C)を作製した。
【0066】
比較例1
実施例1で用いた吸着剤である添着活性炭と熱可塑性樹脂である粒状エチレン−酢酸ビニル樹脂を4:1となるように混合して、実施例1で作製した2枚の通気性シート(a)の間に150g/m2となるように内包し、実施例1と同様にして添着活性炭を内包した光反応性を有さない有害物除去材(D)を作製した。
【0067】
比較例2
実施例2で用いた吸着剤であるミズカナイトと熱可塑性樹脂である粒状エチレン−酢酸ビニル樹脂を4:1となるように混合して、実施例2で作製した2枚の通気性シート(b)の間に180g/m2となるように内包し、実施例2と同様にしてミズカナイトを内包した光反応性を有さない有害物除去材(E)を作製した。
【0068】
実施例4
フィルター部材(あ)の作製
実施例1で作製した光反応性有害物除去材(A)と住友3M製エレクトレットシートを同時にプリーツ加工を施し、縦横幅30cm長の空気清浄機用フィルターとした。使用したシート面積は0.8m2であった。
【0069】
実施例5
フィルター部材(い)の作製
実施例2で作製した光反応性有害物除去材(B)と三井石油化学製エレクトレットを同時にプリーツ加工を施し、縦横30cm長の空気清浄機用フィルターとした。使用したシート面積は0.8m2であった。
【0070】
実施例6
実施例3で作製した光反応性有害物除去材(C)における通気性シート(a)の代わりに住友3M製エレクトレットシートを用いた他は、実施例3と同様にして光反応性有害物除去材(F)を作製した。
この光反応性有害物除去材(F)にプリーツ加工を施し、縦横30cm長の空気清浄機用のフィルター部材(う)を作製した。使用した光反応性有害物除去材の面積は0.8m2であった。
【0071】
実施例1〜3及び6で作製した光反応性有害物除去材(A)〜(C)及び(F)、及び比較例1及び2で作製した有害物除去材(D)及び(E)の気相ホルムアルデヒドの除去効果をみるため、各除去材を10cm角に切り取り、5.6リットルの攪拌機付きの容器中でホルムアルデヒドの除去効果の測定を行った。ホルムアルデヒドは計30ppmとなるように10分間隔で飽和ガスで56μlずつ3回注入した。また、6wのブラックランプを励起光源として使用した。
【0072】
30分後のブランク(容器内にはいずれの除去剤も入れていない)のホルムアリデヒド濃度は30ppmであった。しかし、光反応性有害物除去材(A)〜(C)及び(F)のいずれの場合も0ppmであった。これに対し、有害物除去剤(D)では12ppm、有害物除去剤(E)では25ppmであった。
この結果、光反応性有害物除去材(A)〜(C)及び(F)はどれも優秀な脱臭効果を有することが判った。
【0073】
次に、実施例4〜6で作製した光反応性有害物除去材(C)、(B)、及び(F)を用いたフィルター部材(あ)〜(う)を30wのシロッコファン及び6wブラックランプ2本を組み合わせて室内での脱臭除塵効果を調べた。
まず、新築の約12畳マンションの一室に設置したところ、ファン未稼働時で室内のホルムアルデヒド濃度が25ppbであったものが、いずれのフィルター部材を用いた場合でも稼働時間2時間で3ppbまで低下した。
次に、ファン未稼働時に煙草を1本吸ったところ、10分後の室内の浮遊粉塵量は、スチレン粒子換算で0.2mg/m3程度であったが、フィルター部材(あ)(い)または(う)を用いた場合にいずれも稼働時では0.02mg/m3以下になり、非常に効果的に除塵及び有害物の除去を行っていることが判った。
【0074】
【発明の効果】
以上の結果からも明らかなように、本発明による光反応性有害物除去材は低コストで良好な有害物除去性能を有する他に、エレクトレットと組み合わせることによって優秀なフィルター部材としても用いることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートに、光反応性半導体が担持され、かつ、該通気性シートのかさ密度が0.02g / cm 3 〜0.1g / cm 3 であることを特徴とする光反応性有害物除去材。
  2. 金属酸化物複合高分子エマルジョンを用いて光反応性半導体が担持されていることを特徴とする請求項1記載の光反応性有害物除去材。
  3. 少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートがエレクトレットシートであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の光反応性有害物除去材。
  4. 少なくとも2枚の通気性シートの間に吸着剤を内包したシート間内包体の少なくとも一方の通気性シートの吸着剤内包面と反対面にエレクトレットシートが張り合わされていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光反応性有害物除去材。
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