JPH0928776A - 有害物質除去材 - Google Patents

有害物質除去材

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JPH0928776A
JPH0928776A JP7263744A JP26374495A JPH0928776A JP H0928776 A JPH0928776 A JP H0928776A JP 7263744 A JP7263744 A JP 7263744A JP 26374495 A JP26374495 A JP 26374495A JP H0928776 A JPH0928776 A JP H0928776A
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JP
Japan
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removing material
harmful substance
substance removing
photoreactive semiconductor
sheet member
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JP7263744A
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English (en)
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Seiji Shinohara
誠治 篠原
Kazuchiyo Takaoka
和千代 高岡
Yasuyuki Oku
恭行 奥
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、光反応性半導体の光触媒反
応を利用し、有害物質の分解し得る有害物質除去材に於
て、悪臭等の有害物質の光分解がより効率化された有害
物質除去材を提供することにある。 【解決手段】 少なくとも光反応性半導体及び担体を2
枚以上のシートで形成されるシート部材中に内包してな
る有害物質除去材に於て、有害物質除去材の少なくとも
一方の面のシート部材の通気度を10〜100cm3
cm2・Sにする。また、少なくとも光反応性半導体及
び支持体よりなる有害物質除去材に於て、有害物質除去
材自体の通気度を10〜300cm3/cm2・Sにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光反応性半導体の光触
媒反応を利用し、悪臭や細菌等の有害物質を分解し得る
有害物質除去材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心の高まりに
伴い、工業排気及び排水等工業レベルでの低濃度有害物
質の除去だけでなく、日常生活の中に於ても悪臭除去の
要求が増加している。そして、従来このような低濃度有
害物質の除去には、特に日常生活に於ける悪臭除去材と
しては一般的に活性炭や活性シリカ、活性アルミナ、及
び金属酸化物等の複合化された無機吸着剤等が使用され
ている。
【0003】これらは、冷蔵庫用脱臭材のように粉末の
まま用いたり、空気清浄器等ではフィルターに含有させ
て用いられており、これら吸着剤に有害物質を吸着させ
る方法がとられてきた。しかしながら、活性炭等の吸着
剤は大部分の有害物質に対して吸着作用しか示さず、一
定量の有害物質を吸収すると少なくとも吸着剤を交換し
なければならなかった。また、繰返し使用するために、
吸着剤を再生をするにしても高温を必要とするため、吸
着剤を含有する部材を構成する吸着剤以外の構成要素の
耐熱性に問題があり、安価で長期間使用できるものはな
かった。
【0004】これに対し、光反応性半導体を用いて有害
物質を除去する方法が注目を集めている。例えば特開昭
61−133125号公報には、光反応性半導体である
酸化チタンや酸化亜鉛の存在下で窒素酸化物を含む含酸
素気体に紫外光を照射する窒素酸化物含有含酸素気体の
脱硝処理法が開示されており、特開昭61−13566
9号公報には、光反応性半導体である金属酸化物に紫外
光を照射して、被酸化性硫黄化合物を分解する方法が開
示されている。
【0005】これら光反応性半導体による有害物質の除
去は、光反応性半導体の活性線励起による光触媒的酸化
作用によることが知られている。即ち、有害物質は活性
化された光反応性半導体との接触により酸化分解される
ものの、酸化酸素源は水や酸素分子であって光反応性半
導体自体は悪臭物質の分解で消費及び劣化を被らないた
め、吸着剤に比べて大きな利点を有する。
【0006】光反応性半導体の最も効果的な使用形態
は、より多くの光反応性半導体に活性光及び有害物質が
到達する形態で使用することであるから、少なくとも光
反応性半導体の形状は有害物質と接触して分解し得る有
効表面積の減ずることのない粒子状が好ましい。ところ
が、有害物質除去剤として実用性ある光反応性半導体の
一次粒径は、大きくとも100nm程度であって、一般
生活空間に於てこれらをそのままの状態で使用する訳に
はゆかず、有効表面積を少々犠牲にしても光反応性半導
体を取り扱うためには何らかの支持体に保持し、そこで
最も有効に活性光及び有害物質が到達する様にする必要
がある。
【0007】上記特開昭61−133125号公報や特
開昭61−135669号公報に於ては、光反応性半導
体である酸化チタンや酸化亜鉛は結着剤なしに金網に直
接担持しており、これらの有効表面積はそれほど減少し
ていないとしても、実用的取り扱い性は考慮されておら
ず、これら光反応性半導体は皆皮膜強度が劣るために金
網から粉落ちして取り扱い易い形態とは云えず、実質的
にこの光反応性半導体担持金網を有害物除去手段に適用
することはできない。
【0008】そこで、特開昭62−53657号公報に
は、特開昭61−135669号公報の技術を適用した
脱臭装置が開示されている。この脱臭装置は、送風ファ
ンと紫外線灯を取り囲む反応室とよりなり、反応室内に
は支持基板上に光反応性半導体含有層が設けられた案内
フィンが配置されている。この案内フィンに於ける光反
応性半導体は、含浸または塗布によって繊維層に物理的
に保持されており、構造的に強固になると共に光反応性
半導体の受光表面積が広くなり、それによって脱臭効率
が高められるとしている。
【0009】ところで、非常に微細な光反応性半導体粒
子を物理的に繊維組織に保持させるには、その粒径に見
合った繊維マトリクスが要求され、かつそのマトリクス
に光反応性半導体が納まって目を塞ぐ一方、この光反応
性半導体含有繊維層を支持する案内フィンは、通過する
被処理気体の流れを緩やかに曲げる様に散点状に配置さ
れ、案内フィンによる被処理気体の攪乱と誘導とを意図
しているため、光反応性半導体含有樹脂層には特に通気
性を必要としないことと相俟って、実用的通気性は有し
ていない。
【0010】また、特開平1−189322号公報に
は、吸着剤表面に臭気成分を分解する光触媒を附加する
か吸着材に光触媒を練込んだ脱臭剤と光触媒を励起させ
る光源とを配置した脱臭装置が開示されている。この脱
臭装置に用いる脱臭剤は、例えば予め成形した吸着材を
チタニアゾルに浸漬及び乾燥して形成しているが、脱臭
剤は気体吸着性を重視しているため、吸着材の形状はハ
ニカム状の他、スポンジ状、網状、同心円状、同心角
状、通風孔を抜いた円筒または平角の厚板状等が例示さ
れているものの、脱臭剤の通気性については除塵を考慮
していないことや形状依存性が高いこともあるためか、
特に考慮されていない。
【0011】一方、特開平1−156576号公報に
は、実質的に光反応性半導体系脱臭剤を含有する繊維の
表面をエッチングして脱臭剤を露出させた繊維からなる
不織布が開示されており、特にフィルター材に使用して
優れた脱臭力を発揮するとしている。また、特開平2−
119907号及び同2−119908号公報には、発
泡体の膜状部を除去した三次元網構造の組織体シート
に、二酸化チタン及び酸化亜鉛を主体とする少量含水混
成体を、特定の方法によって担持するフィルター材の製
造方法が開示されている。
【0012】これらは、光反応性半導体を繊維に強固に
保持したまま光反応性半導体の有効表面積を拡大する方
法や、光反応性半導体の有効表面積の減少を抑制しつつ
繊維や組織体シートにより強固に担持する方法は記載さ
れているものの、これらの何れにもフィルターとして最
も重要な特性の一つである通気性については、その通気
度制御法を含めて特定していない。
【0013】更に、特開平3−198858号公報に
は、少なくとも一方が通気性を有するシート間に、シリ
カ、アルミナ、及び特定金属の酸化物からなる特定組成
比のアルミノ珪酸塩を充填した消臭フィルターが開示さ
れている。この消臭フィルターに用いられる通気性シー
トは、専らその素材が記載されているだけで、フィルタ
ーとしての性能はむしろアルミノ珪酸塩の粒径を特定
し、肝心の通気性シートの通気度については実施例を含
めて記載されていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光反
応性半導体の光触媒反応を利用し、悪臭や細菌等の有害
物質を光で分解して除去することができる有害物質除去
材において、有害物質の光分解能が改善された有害物質
除去材を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、シート状に形成された部
材の間に少なくとも光反応性半導体及び担体を内包して
なる有害物質除去材に於て、光反応性半導体等を内包す
るシート部材の少なくとも一方の面のシート部材の通気
度を特定範囲にすることで、また少なくとも光反応性半
導体及び支持体よりなる有害物質除去材に於て、有害物
質除去材自体の通気度を特定範囲にすることで、何れの
場合も有害物質の少なくとも光反応性半導体との接触頻
度と接触時間とをバランスさせ、もって光反応性半導体
の性能を有効に発揮させることができる有害物質除去材
が得られることを見出し、本発明に到った。
【0016】即ち、本発明は、少なくとも光反応性半導
体及び担体を2枚以上のシートで形成されるシート部材
中に内包してなる有害物質除去材に於て、有害物質除去
材の少なくとも一方の面のシート部材の通気度が10〜
100cm3/cm2・Sであることを特徴とする有害物
質除去材である。
【0017】また、本発明は、支持体上に少なくとも光
反応性半導体を有する有害物質除去材であって、この有
害物質除去材自体の通気度が10〜300cm3/cm2
・Sであることを特徴とする有害物質除去材である。
【0018】特に、有害物質除去材自体に通気度が求め
られる有害物質除去材の場合には、有害物質除去材に孔
径0.5〜5mmの穿孔を1dm2当たり10個以上有
する有害物質除去材であり、有害物質除去材の支持体を
構成する繊維の50%以上の繊維径が10〜25μmの
範囲にある繊維群で構成した有害物質除去材である。
【0019】更に、本発明は、以上の有害物質除去材に
吸着剤及び微細繊維の少なくとも一方を併用した有害物
質除去材である。
【0020】以下、本発明の有害物質除去材である、少
なくとも光反応性半導体及び担体を2枚以上のシートで
形成されるシート部材中に内包してなる有害物質除去材
(以降、内包型有害物質除去材と記載する)、及び支持
体上に少なくとも光反応性半導体を有する有害物質除去
材(以降、一体型有害物質除去材と記載する)につい
て、有害物質除去材の構成要素及び上記通気度を達成す
るための方法を含めた有害物質除去材の製造法を具体的
に説明する。
【0021】本発明の内包型有害物質除去材は、少なく
とも光反応性半導体及び担体を2枚以上のシートで形成
されるシート部材中に内包(但し、1枚のシートを折返
して内包しても、2枚のシートで形成されるシート部材
中に内包したことと見なす)してなり、シート部材中の
光反応性半導体及び担体を有効に作用させる点から、2
枚以上のシートで形成されるシート部材の少なくとも一
方の面を通気度10〜100cm3/cm2・Sのシート
(以降、10〜100cm3/cm2・Sの通気度を有す
るシートを通気シートと記載する)で構成する。
【0022】また、本発明の一体型有害物質除去材は、
支持体上に少なくとも光反応性半導体を有して一体化し
てなり、支持体上の少なくとも光反応性半導体を有効に
作用される点から、一体化シートとしての通気度が10
〜300cm3/cm2・Sの範囲にある有害物質除去材
である。
【0023】そこで、先ず本発明の有害物質除去材に於
ける通気度範囲の意義及び実質的に或は有意に通気度を
決定するシート部材または支持体について説明する。本
発明における通気度の測定は、JIS L 1096に記
載される通気性試験A法を適用できるが、内包型有害物
質除去材に於て、少なくとも光反応性半導体及び担体を
内包するシート部材の全ての通気度が10cm3/cm2
・S未満の場合は、通気性が不十分であるために、悪臭
等の有害物質がシート部材中に内包されている光反応性
半導体や担体にまで十分達することができず、本来の有
害物質除去能は発揮されない。逆に、シート部材の全て
の通気度が100cm3/cm2・Sを越えると、シート
部材内部まで悪臭等の有害物質が十分に流入するが、シ
ート部材の空隙径が大きく、光反応性半導体及び担体が
シート部材から脱落し易くなって好ましくない。
【0024】しかしながら、本発明の内包型有害物質除
去材は、上述した様に少なくとも光反応性半導体及び担
体を内包する2枚以上のシートで形成されるシート部材
の少なくとも一方の面が10〜100cm3/cm2・S
なる通気度を有していれば良いから、他方の通気度は必
ずしも10〜100cm3/cm2・Sの範囲である必要
がないから、他方のシート部材の通気度は10cm3
cm2・S未満であっても良く、逆に光反応性半導体等
の脱離等の問題がない限りに於て、通気度が100cm
3/cm2・Sを上回っても良い。そこで、他方のシート
部材として例えば通気性は実質的に有さないが、光透過
性の極めて良好なプラスチックフィルムを用いても良
い。
【0025】また、一体型有害物質除去材に於ても、通
気度が低くなると除去材中への空気の拡散通過も阻害さ
れ、通気度が10cm3/cm2・S未満になると、事実
上悪臭等の有害物質が除去材表面の光反応性半導体には
有効に作用するものの、除去材内部までは到達し得ない
ため好ましくない。逆に、除去材の通気度が高くなる
と、除去材中への空気の拡散通過は向上し、かつ一体型
有害物質除去材は内包型有害物質除去材と異なり、少な
くも光反応性半導体を除去材を構成する支持体に保持さ
せるので、通気度が直接光反応性半導体の脱落と関係し
ないが、通気度が300cm3/cm2・Sを超えると、
悪臭等の有害物質は除去材内部まで充分に到達するもの
の、通気抵抗が低すぎるため光反応性半導体等に捕獲さ
れずに通過してしまい、有効に除去することができない
ため好ましくない。
【0026】本発明の内包型有害物質除去材に係わる通
気シートを包含するシート部材としては、不織布及び織
布等を用いることができ、更には本質的に通気性を有さ
ない汎用の可撓性プラスチックフィルムや紙及びこれら
に微細な穴をあけたものでも良い。また、一体型有害物
質除去材に於ける支持体も同様に、不織布、織布、各種
素材のフィルムや紙を用いることができる。一体型有害
物質除去材に於ては特に通気度の調整等のため、非通気
性フィルムだけでなく不織布等のある程度通気性を有す
るシートに於ても、光反応性半導体の支持体への保持に
前後して支持体に微細な穴をあけても良い。両者何れの
除去材に於ても、シート部材または支持体には、多孔性
であって通気度が制御し易く、加工が容易な点から不織
布が好適である。
【0027】本発明に係わるシート部材または支持体に
好適に用いられる不織布を構成する成分としては、ポリ
オレフィン系、ポリエステル系、ポリ酢酸ビニル系、ポ
リ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリスチレン
系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリアクリロ
ニトリル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリビニ
ルアルコール系、ウレタン系、フェノール系、尿素系、
メラミン系、アニリン系、エポキシ系等の合成樹脂を使
用することができる。
【0028】これらの合成樹脂は、本発明に係わるシー
ト部材または支持体が形成できれば樹脂の形状は特に制
限はないが、光反応性半導体等の保持性及び除去材とて
の通気性を比較的容易に制御できる繊維形状が好まし
い。繊維の構成は、単一型、芯鞘型複合繊維、並列型複
合繊維等のいかなる構成のものも使用できる。繊維の断
面形状も特に制限はなく、円形のみならず楕円形、三角
形、星形、T型、Y型、葉状等いわゆる異型断面形状の
ものでも良い。更に、表面に空隙をもつもの、あるいは
枝別れした構造を有するものも使用することができる。
また、必要に応じて以上の繊維を2種類以上混合して使
用することもできる。通気度を低くするために捲縮性繊
維を用いても良い。
【0029】本発明の有害物質除去材に用いる不織布の
通気度は、同じ素材の繊維を用いても繊維径及び目付け
等により異なる。更に、出来上がった有害物質除去材の
強度等をも考慮すれば、内包型有害物質除去材に用いる
不織布に於ける繊維の繊維径は1〜50μmの範囲が好
ましく、目付けは30〜100g/m2が好ましい。繊
維径が1μm未満や50μmを越える場合は、通気性を
本発明の範囲内に制御することが困難になり、更に繊維
径50μmを超えると、内包物である光反応性半導体等
の粉落ちが発生する。また、目付けが30g/m2未満
の場合は、強度が不十分となって加工及び使用時に破損
する可能性が高くなり、逆に目付けが100g/m2
超えると、強度としては充分であるものの通気度が小さ
くなり、通気度を向上させるとシートの繊維間隙が広く
なって粉落ちの原因となる。
【0030】一方、一体型有害物質除去材の不織布型支
持体に於ける繊維の繊維径は、10〜25μmの範囲が
好ましい。支持体に用いる繊維径が10μm未満の場合
は、支持体繊維空隙が詰まって通気性に乏しくなること
もあるが、通気性を確保しつつ支持体としての強度が出
せない。逆に、繊維径が25μmを超えると、通気度は
大きくなるものの、光反応性半導体が保持され難く、光
反応性半導体等の粉落ちが発生し易くなる。また、目付
けは支持体だけでは、内包型有害物質除去材に用いる不
織布と同様に30〜100g/m2の範囲が好ましい。
【0031】内包型と一体型との繊維径の好適範囲の上
記の差は、光反応性半導体または光反応性半導体を担持
した担体を、これら繊維またはこれらからなるシートに
直接保持するか否かの差である。尚、本発明に係わる通
気度が達成される範囲内に於て、繊維径が上記好適範囲
未満の繊維や超えた繊維を、好適範囲の繊維と混合した
り、併用することに問題はないのは言うまでもないが、
繊維径が公的範囲にある繊維は少なくとも50%以上用
いることが好ましい。
【0032】次に、本発明の有害物質除去材の上記以外
の構成要素について説明する。本発明に係わる光反応性
半導体とは、0.5〜5eV、より好ましくは1〜3.
5eVの禁止帯幅を有する、光触媒反応を生じる半導体
であって、光反応性半導体で生成したOHラジカルによ
り有害物質が分解される。この様な光反応性半導体の形
状としては、粒子状のものが好ましく、比表面積が10
〜500m2/gの粒子を適宜選択して用いる。
【0033】この様な光反応性半導体としては、特開平
2−273514号公報に開示されているものを用いる
ことができ、その具体例としては酸化亜鉛、三酸化タン
グステン、酸化チタン、及び酸化セリウム等の金属酸化
物が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンは、構造
安定性、光反応半導体としての能力、取り扱い上の安全
性等を考慮した場合、生活空間等で用いるには特に好ま
しい光反応性半導体である。酸化チタンとしては、二酸
化チタンの他に、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メ
タチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン等を使用す
ることが可能であり、その結晶型については特に制限は
ない。また、酸化チタンの表面に白金、金、銀、銅、パ
ラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属、酸化ルテニ
ウム、酸化ニッケル等の金属酸化物を被覆したものであ
っても良い。
【0034】本発明の有害物質除去材に於ける光反応性
半導体の含有量は、多ければ多い程基本的には悪臭等の
有害物質の除去に有効である。しかしながら、一体型有
害物質除去材に於ては、光反応性半導体の含有量が多く
なるにつれて支持体からの脱離が多くなり、また光反応
性半導体を保持すると共に通気性を発現する支持体の細
孔が光反応性半導体によってより塞がれるため、通気度
の制御が困難になるので、その含有量は2〜30g/m
2の範囲が好ましい。
【0035】本発明の内包型有害物質除去材の必須構成
成分である担体は、光反応性半導体を担持させるための
ものであり、光反応性半導体の除去材に於ける歩留まり
を向上させ、かつ片寄りを抑止することができる。ま
た、光反応性半導体は悪臭等の有害物質だけでなく、光
反応性半導体と接触する有機合成樹脂等の被酸化成分を
劣化・変色させるが、光反応性半導体を担体に担持させ
ることで、シート部材や支持体等との直接接触を減少さ
せることができ、有害物質除去材としての劣化をある程
度低減することができる。一方、一体型有害物質除去材
に於て、担体は必須構成成分ではないが、光反応性半導
体と併用することに何等問題はない。
【0036】本発明に係わる担体の具体例としては、活
性炭、活性白土、ゼオライト、セピオライト、ハロイサ
イト、ヒドロキシアパタイト、三二酸化鉄等の鉄系酸化
物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、
ジルコニア、複合フィロ珪酸塩、シリカ−酸化亜鉛複合
物、シリカ−酸化マグネシウム複合物、酸化マグネシウ
ム−酸化亜鉛複合物、シリカ−アルミナ−酸化亜鉛複合
物、或はこれらの混合物等が挙げられる。これらの中
で、担体自体が悪臭物質に対する吸着能を有する活性炭
及びゼオライト、また光触媒作用を有する三二酸化鉄
は、担体としての機能だけでなく、本発明の有害物質除
去材に有効な機能をも利用でき、より好ましい担体であ
る。
【0037】担体の形状としては、粒子状、盤状、ペレ
ット状、及びピル状等が挙げられるが、光反応性半導体
をより多く担持でき、かつ光反応性半導体の脱離のより
少ない粒子状が最も好ましい。本発明に好適に用いられ
る担体の粒径は、内包型有害物質除去材用には1μm〜
2mm程度で、一体型有害物質除去材用には50nm〜
50μm程度が良い。また、担体の比表面積は50〜2
000m2/gが好ましいが、特に活性炭の場合には5
00〜1500m2/gが好ましい。
【0038】光反応性半導体は担体と一緒に、粒子状、
ペレット状、またはピル状等にして使用する方法、或は
単なる混合等の方法で複合化して用いる方法がある。後
者の方法としては、光反応性半導体と担体との単なる混
合の他に、担体の表面を光反応性半導体で覆う方法があ
る。担体表面を光反応性半導体で覆う方法の利点は、光
反応性半導体が担体表面に露出し、光反応性半導体に光
が当たり易い様な形態となっている点にある。
【0039】内包型有害物質除去材に於て、光反応性半
導体及び担体は、シート部材中の内包量が多ければ多い
程悪臭等の有害物質の除去に有効である。しかしなが
ら、その内包量が多くなると、シート部材間の接着が不
充分となるので、内包量は5〜100g/m2の範囲が
好ましい。また、一体型有害物質除去材に於ては、光反
応性半導体に担体を併用した場合でも、光反応性半導体
及び担体の総含有量は高々50g/m2程度までであ
る。また、有害物質除去材中の光反応性半導体と担体と
の含有比は、一体型に於ても担体を併用するならば、両
有害物質除去材共光反応性半導体10重量部に対して担
体1〜100重量部程度が適当である。
【0040】本発明の有害物質除去材、特に一体型有害
物質除去材には、更に微細繊維を併用しても良い。本発
明に用いる微細繊維とは、その1本の繊維が部分的に、
もしくは全体的に径1μm以下にフィブリル化された繊
維である。微細繊維は以下の各種方法で得られる繊維等
を挙げることができる。 1)合成高分子液をこの高分子に対し貧溶媒となる溶媒
中に剪断力をかけながら流下させ、繊維状フィブリルを
沈澱させる方法(フィブリッド法、特公昭35−118
51号公報)。 2)合成モノマーを重合させながら剪断をかけフィブリ
ルを析出させる方法(重合剪断法、特公昭47−218
98号公報)。 3)二種以上の非相溶性高分子を混合し、溶融押出しま
たは紡糸し、切断後機械的な手段で繊維状にフィブリル
化する方法(スブリット法、特公昭35−9651号公
報)。 4)二種以上の非相溶性高分子を混合し、溶融押出しま
たは紡糸し、切断後溶剤に浸漬して一方の高分子を溶解
し、繊維状にフィブリル化する方法(ポリマーブレンド
溶解法、米国特許第3,382,305号明細書)。 5)合成高分子を溶媒の沸点以上でかつ高圧側から低圧
側へ爆発的に噴出させた後、繊維状にフィブリル化する
方法(フラッシュ紡糸法、特公昭36−16460号公
報)。 6)ポリエステル系高分子に該ポリエステルに非相溶の
アルカリ可溶性成分を配合し、成形後アルカリにより減
量加工後叩解し、繊維状にフィブリル化する方法(アル
カリ減量叩解法、特開昭56−315号公報)。 7)セルロース繊維及びアラミド系繊維等の高結晶性、
高配向性繊維を適当な繊維長に切断後、水中に分散さ
せ、ホモジナイザー、叩解機、或はサンドミル等を用い
てフィブリル化する方法(特開昭56−100801
号、同59−92011号公報、米国特許第4,76
1,203号明細書)。
【0041】微細繊維の具体例としては、セルロース繊
維を均質化装置で微細にフィブリル化したもの(セリッ
シュ−100S及びセリッシュ−110S)、同じくア
ラミド系繊維を微細にフィブリル化したもの(セリッシ
ュ−400S)、同じくアクリル系繊維を微細にフィブ
リル化したもの(セリッシュ−410S)、同じくポリ
エチレン系繊維を微細にフィブリル化したもの(セリッ
シュ−420S)、同じくポリプロピレン系繊維を微細
にフィブリル化したもの(セリッシュ−430S)、以
上ダイセル化学工業製、アクリロニトリルホモポリマー
からなるフィブリル繊維(カシミロンFCA、旭化成工
業製)をリファイナー等により叩解したもの等が挙げら
れる。
【0042】本発明に用いる微細繊維としては、更にバ
クテリアセルロース離解物も使用できる。バクテリアセ
ルロース離解物とは、微生物により生産されるセルロー
ス及び/或いはセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含
むもの及び/或いはβ−1,3、β−1,2等のグルカ
ンを含むものを機械的に解繊して得られるもので、これ
らの詳細は特公平6−72394号公報に記載されてい
る。
【0043】上記微細繊維は、通常の繊維に比べて繊維
径が非常に細く、このために比表面積が著しく増大し
て、光反応性半導体の保持力を高めている。更に、この
微細繊維は径が1μm以下、すなわちサブミクロンのオ
ーダー程度にまで解繊されているので、光反応性半導体
と凝集する過程で微細繊維が凝集内に取り込まれると、
強く相互作用して大きくかつ安定なフロックを形成する
ことができる。これらの凝集体は有害物質除去材マトリ
クス中に捕獲され、良好な風合いを発現しつつ高い有害
物質除去能を有する除去材を形成することができる。
【0044】本発明の有害物質除去材に微細繊維を併用
する場合、微細繊維の含有量は光反応性半導体及び担体
の総使用量によって決定する。即ち、光反応性半導体と
吸着剤との総量に対する微細繊維の使用量は、0.2か
ら50重量%程度が好ましく、更には0.5から10重
量%程度が好適である。微細繊維は、上述した様に光反
応性半導体を除去材マトリクスに保持させる効果を有す
るものの、光反応性半導体と直接接触していると分解劣
化を被り、また、配合量が多くなると通気度が低下する
ことからも、光反応性半導体及びまたは担体が有害物質
除去材から脱離しない範囲の最少量の併用が好ましい。
【0045】上記微細繊維中バクテリアセルロース離解
物は、最も揃って解繊されているため、光反応性半導体
及び担体等の粉体の保持量を高めることができる。しか
しながら、バクテリアセルロース離解物を包含するセル
ロース繊維は、アラミド系繊維等に比して光反応性半導
体により劣化を被り易く、有害物質除去材としての形態
を永続的に保持できなくなるため、少なくともセルロー
ス系微細繊維含有量は10重量%以下が好ましい。光反
応性半導体保持量を微細繊維によって向上させる場合
は、アラミド系繊維の使用が好適である。
【0046】本発明の有害物質除去材を構成する成分と
しては、これまで述べてきた構成要素の他に、木材パル
プ、麻パルプ、エスパルト、及び木綿繊維等の天然繊
維、レーヨン繊維及びアセテート繊維等の再生及び半合
成繊維、活性炭繊維、ガラス繊維、及びアルミナ繊維等
の無機繊維等が挙げられる。
【0047】活性炭繊維としては、繊維長が0.5〜5
0mm程度、繊維径は0.5〜100μm程度で特に1
0μm程度のものが好ましい。活性炭繊維長が3mmよ
り短い場合ではシートからの脱離が起き易く、15mm
より長い場合ではシートの均一性が失われるので、3m
m以上15mm以下がより好ましい。活性炭繊維は粉体
活性炭の代替として利用できるが、一般的に吸着速度が
粉体状のもより100から1000倍程度も速く、特に
フィルター材としては適した材料である。
【0048】更に、本発明の内包型有害物質除去材及び
一体型有害物質除去材の製造法をこれらの製造過程で併
用する試剤の説明も含めてこの順に説明する。本発明の
内包型有害物質除去材は、少なくとも光反応性半導体及
び担体を2枚以上のシートで形成されるシート部材中に
内包してなり、その少なくとも一方の面のシート部材の
通気度が10〜100cm3/cm2・Sである有害物質
除去材である。本発明に係わる通気シートとしては、有
害物質除去材の片面だけに用いても良いし、両面に用い
ても良い。光反応性半導体の有害物除去能を効果的に発
揮させるには、更にシートの少なくとも一方が光透過性
を有する方が好ましい。
【0049】本発明の内包型有害物質除去材に於けるシ
ート部材として好適なシートである不織布は、上述した
繊維を水性液に懸濁し、湿式抄紙法によりシート状にす
る湿式法、樹脂接着によるレジンボンド、針による交絡
を利用したニードルパンチ、糸により編み上げたステッ
チボンド、或は熱により接着したサーマルボンドと呼ば
れる所謂乾式法、高圧水をノズルから噴射して交絡させ
るジェットボンド、直接紡糸しながらシート化するスパ
ンボンド、直接紡糸する際に霧吹き原理を用いてフィブ
リル化された微小繊維を作りながらシート化するメルト
ブローン等によって製造される。
【0050】これらの製造法を適宜選択することによ
り、得られる不織布の厚み、空隙率、空隙の形状、及び
開孔径等の主に通気性に関係する物理的性質だけでな
く、柔軟性、弾力性、及び毛羽立ち等の主に質感に関係
する特性をも変化させることができる。これらの製造法
の内、適度な強度を得るためには、スパンボンドやジェ
ットボンドが好ましい。
【0051】有害物質除去材に用いる不織布に適度な力
学強度を付与するためには、三次元交絡処理を施すこと
が好ましい。三次元交絡処理とは、不織布を単層或は複
数積層して支持体に載置し、不織布に機械的処理を施し
て繊維を三次元交絡させる方法である。具体的にはニー
ドルパンチ法及びジェットボンド法が挙げられるが、交
絡が均一に行なわれ生産速度が速い点からジェットボン
ド法が好ましい。ジェットボンド法とは、不織布上方か
ら水流を噴射し、不織布を構成する繊維を三次元交絡さ
せ、強度を発現させる方法である。
【0052】三次元交絡を強固にかつ適正に行なうため
の条件として、水流を噴射するためのノズルの径は10
〜500μmが好ましい。ノズルの間隔は10〜150
0μmが好ましい。また、ノズルの形状は円形が好まし
く、所謂柱状の水流を噴射できるものが良い。不織布を
積載する支持体は、50〜200メッシュ程度の多孔質
のものが好ましい。これらのノズルは、抄造方向に対し
直交方向は加工を行なうシートの幅をカバーする範囲が
必要で、抄造方向に対しては、不織布の種類、目付け、
加工速度、及び水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範
囲でノズルヘッドの数を変えて用いることができる。加
工速度は毎分5〜200mの範囲が好ましい。水圧は1
0〜250kg/cm2の範囲が好ましく、更には50
〜250kg/cm2が好適である。
【0053】これらの条件に加え、水圧を加工初期から
終盤にかけて順次上げること、ノズル径やノズル間隔を
順次小さくすること、ノズルヘッドを回転運動させるこ
と、支持体を左右に振動させること、ノズルとウェブの
間にワイヤーを挿入して水流を散水化すること、或は扇
状の水流を用いることで、面質の向上が可能である。三
次元交絡方法は、片面のみだけでなく両面交絡を行なう
ことができる。また、交絡を行った後、更に不織布を積
層し交絡を行なっても良い。
【0054】以上によって作製された不織布を含む、少
なくも一方が通気性を有する2枚以上のシート部材中に
少なくとも光反応性半導体及び担体を封入して、本発明
の光反応性有害物除去材が得られるが、これらの内包物
に熱接着性を有する熱可塑性樹脂を併用しても良い。熱
可塑性樹脂を併用すれば、加熱により熱可塑性樹脂を熱
融着させてシート間を強固に接着させることができる
し、シート間により多くの封入物を封入できるため有効
である。
【0055】本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、加熱
により溶融して通気性を有するシート間の結合効果を発
現させる樹脂で、エチレン酢酸ビニル共重合体またはこ
の変性物、エチレンアクリレート共重合体、アイオノマ
ー、ポリアミド系、ナイロン系、ポリエステル系、ポリ
エチレン系、ポリプロピレン系、酢酸ビニル共重合体
系、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体系、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル系、ポリビニルエーテル
系、ポリウレタン系、及びポリカーボネート系等の樹脂
が挙げられる。これらの樹脂は、深田寛著「ホットメル
ト接着の実際」高分子刊行会(1979)に記載されて
いる。
【0056】これらの熱可塑性樹脂は、シート間の接着
性を向上させるためにシートの接着部でのみ融着して使
用することが好ましい。この様にして使用することによ
り、封入された光反応性半導体の有効な表面積の実質的
な減少を抑止できる。熱可塑性樹脂の内包は、光反応性
半導体等の熱可塑性樹脂以外の内包物の総量が20g/
2以上内包する場合に併用するのが好ましく、光反応
性半導体等の熱可塑性樹脂以外の内包物100重量部に
対し1〜30重量部が好ましく、更に2〜20重量部が
好適である。
【0057】光反応性半導体及び担体に所望により熱可
塑性樹脂を併用し、本発明に係わるシート間にこれら内
包物を封入するには、本発明に係わるシート上に内包物
を敷詰め、更に別のシートで覆ってシート間を接合すれ
ば良い。また、少なくとも一方のシートに波状或は袋状
の凹凸の加工を施し、凹部分(下方に凸)に封入物を充
填し、もう一方のシートを載置して凸部分を接合しても
良い。何れか一方のシートがより高い通気性を有し、他
方がより高い光透過性を有する場合は、担体として吸着
剤を用いることで有害物捕獲能は確保できるから、より
広域に光反応性半導体の活性光が当たる様、凹凸加工側
により高い光透過性を有するシートを配置する方が好ま
しい。
【0058】シート間の接合方法としては、接着剤によ
る接着、熱プレス及び熱エンボスロール等による熱融
着、及び縫合等が挙げられる。これらの接合方法は、部
分部分により二種以上の接合方法を組合わせて用いても
良く、また熱融着部或は接着部を縫合したり、可塑性樹
脂繊維で縫合した部分を熱融着したりして、同一部分を
二種以上の方法で接合しても良い。
【0059】この様な内包物を封入した接合の網の目の
間隔は、1〜50mm程度の範囲が好ましい。網の目の
形は、四角形、三角形、円形、楕円形、或はこれらの組
合わせ等多様なものが使用できる。接合部の幅は狭けれ
ば狭いほど単位面積当たりの通気性が確保でき、有害物
質除去効率が高くなるが、切断等の加工を考慮すれば一
定の幅が必要である。接合部の幅は、0.1〜50mm
程度が良く、特に0.5〜5mmの範囲が好適である。
また、必要に応じて一定間隔ごとに幅広の接合部を設け
ても良い。これらの方法により、通気性を確保しながら
封入物が封入できる。また、周辺部の接合部分が裂けて
も封入物の飛散を最少限に留めることができるし、接合
部分を裁断して任意の大きさで使用できる。
【0060】一方、本発明の一体型有害物質除去材は、
少なくとも光反応性半導体を支持体上に積層(以下、積
層一体型と記載する)するか、また支持体を形成する成
分と少なくとも光反応性半導体とを混合し、光反応性半
導体を含有するシートを抄造(以下、抄造一体型と記載
する)して得られる。
【0061】積層一体型有害物質除去材の製造法として
は、先ず光反応性半導体を水を主成分とする水性液中に
分散させる。有害物質除去材に光反応性半導体と共に担
体または微細繊維等を併用する場合は、攪拌している水
性液中に担体及び微細繊維等を予め混合しておいて同時
に添加して分散させても良いが、より好ましくは先ず担
体を分散させ、この分散液に光反応性半導体を散布投入
して担体に光反応性半導体を吸着担持させる。更に、こ
の液に微細繊維を添加して複合凝集体を形成させる。こ
の時、微細繊維は予め水性液中で分散させておく方が好
ましい。
【0062】また、これらの複合凝集体の水分散液を形
成させるには、単に混合するだけでも良いが、適当な凝
集剤を用いて凝集状態を調整しても良い。本発明に用い
られる凝集剤としては、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウ
ム、水酸化バリウム、及び水酸化マグネシウム等の塩基
性水酸化物、アルミナ、シリカ、及びジルコニア等の無
機含水酸化物、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウ
ム、アニオンまたはカチオン変性ポリアクリルアミド、
アクリル酸またはメタクリル酸含有共重合物、アルギン
酸及びポリビニルリン酸及びそれらのアルカリ性塩、ア
クリロイルモルホリン重合物等が挙げられる。これらの
凝集剤は、単独または二種以上を組合わせて用いて良
い。
【0063】これらの凝集剤は、予め支持体以外の有害
物質除去材構成成分を混合した分散液中に撹拌しながら
添加しても良いし、光反応性半導体分散液に添加して予
め光反応性半導体を凝集させた後、その他の成分を同時
または順次加えて凝集体を形成させても良いし、担体分
散液に添加して予め担体を凝集させた後、その他の成分
を同時または順次加えて凝集体を形成させても良い。形
成された複合凝集体の大きさにより、少なくとも光反応
性半導体が支持体に保持される度合、有害物質除去材の
均一性、及びその加工性に影響を与えるため、用いる凝
集剤により添加量及び添加方法等を適宜検討する必要が
ある。
【0064】以上で作製した複合凝集体の水性液を支持
体に塗設して積層一体型有害物質除去材が得られる。本
発明に係わる支持体は、シート状のものであれば形状に
は特に制限はなく、予めエクストルージョン法、インフ
レーション法、及び延伸法等により溶融成形したシート
状のものや、上述した不織布製造法等により抄造された
不織布等が挙げられる。本発明の内包型有害物質除去材
に係わる通気シートと異なり、積層一体型有害物質除去
材に用いる支持体は必ずしも積層前から通気性を有さな
くても良いが、勿論通気性や光透過性を有しても良い。
また、これら支持体の素材も特に制限はないが、光反応
性半導体の保持性や後加工性等から、少なくとも熱可塑
性樹脂を主成分として構成されたものが良い。支持体に
用いる熱可塑性樹脂は、内包型で用いた不織布シートを
構成する上述した素材(繊維)を用いることができる。
【0065】光反応性半導体に所望により担体、微細繊
維、及び凝集剤を含有する複合凝集体の支持体への塗設
方法としては、凝集体水性液への支持体の浸漬による含
浸及びコーターによる塗布が挙げられる。含浸及び塗布
の方法としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲー
トロールサイズプレス、及びフィルムトランファー方式
のサイズプレス等や、ロールコーター、エアードクター
コーター、ロッド(バー)コーター、ブレードコータ
ー、スプレーコーター、及びカーテンコーターを用いた
方法等が挙げられる。
【0066】含浸及び塗布等の複合凝集体の塗設に際し
ては、グロー放電処理、火焔処理、プラズマ処理、電子
線照射処理、紫外線照射処理、及びオゾン処理等によ
り、支持体表面を処理した後に塗設することも好ましい
方法である。これら表面処理は二種以上の方法を組合わ
せて用いても良く、支持体の一方の面と他方の面で異な
る処理を施しても良い。複合凝集体の塗設は支持体の一
方の面だけでも差支えないので、表面処理は塗設面だけ
行なっても良い。
【0067】また、抄造一体型有害物質除去材は、上記
で作製した複合凝集体と支持体形成成分とを混合し、光
反応性半導体を含有するシートを形成して得られる。本
発明で云う支持体形成成分とは、凝集体水分散液をシー
ト化し、抄造一体型有害物質除去材とした時、その形態
を保持するために必要な成分である。支持体形成成分と
しては繊維状のものが好ましく、支持体形成性及び後加
工性から繊維の素材としては熱可塑性樹脂が良い。熱可
塑性樹脂繊維としては、内包型有害物質除去材や積層一
体型有害物質除去材で用いた不織布シートを構成する熱
可塑性繊維を全て用いることができる。更に、有害物質
除去材の強度を向上させるため、アニリン樹脂、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、及びメラミン樹脂
等の熱硬化性合成樹脂等を少量混合して用いても良い。
【0068】上記の複合凝集体水性液とこれら支持体形
成成分を混合し、所望により更に公知の粘度調整剤(増
粘剤)を添加して混合液の粘度を調整した後、円網抄紙
機等を用いて公知の湿式抄造法にてシート化し、乾燥す
ることで抄造一体型有害物質除去材を得ることができ
る。支持体形成成分は、複合凝集体水性液にそのまま添
加しても良いが、好ましくは予め水性液に分散させたも
のを混合する。支持体形成成分の分散に際しては、界面
活性剤を併用しても良い。
【0069】光反応性半導体等を支持体形成成分により
強固に保持させるため、更に少なくとも自己皮膜形成性
の結着剤を少量併用することもできる。本発明に用いら
れる結着剤としては、澱粉、天然ガム類、キトサン、ア
ルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリド
ン、アクリル系エマルション、スチレン系エマルショ
ン、ポリ塩化ビニルエマルション、及びポリ塩化ビニリ
デンエマルション等の合成樹脂エマルション、NBR及
びSBR等の各種ラテックス等が挙げられる。
【0070】この様にして得られた積層一体型及び抄造
一体型の有害物質除去材は、その通気度が本発明の10
〜300cm3/cm2・Sの範囲にあれば、そのまま用
いることもできるが、インフレーション法等により溶融
成形したシート状の支持体に光反応性半導体含有層を設
けたもの等は、そのままでは本発明の通気度が得られな
い。そこで、本発明に於ては、孔開け機、パンチング装
置、及びニードルパンチ等を用いて細孔を穿孔して通気
度を確保しても良い。更に、これらの方法は、本質的に
通気性を有する不織布等であっても、通気性の調整に用
いても良い。
【0071】孔開け機等を用いて一体型有害物質除去材
い穿孔を設ける場合、孔径が大きくなると、例え通気度
が本発明の範囲にあっても、気体は選択的にその孔を通
り抜けてしまい、悪臭等の有害物質の除去能は著しく低
下する。そこで、穿孔の孔径は0.5〜5mmの範囲が
良く、更には0.5〜3mmが好適である。また、有効
に悪臭等の有害物質を除去するためには、1dm2(1
00cm2)当たり10個以上孔があることが望まし
く、除去材総面積に対して穿孔面積は50%以下が好ま
しい。全体として、好ましい穿孔は、径は小さくして穿
孔数は多くし、穿孔間隔は均一な程良い。また、この方
法は、積層一体型有害物質除去材に於ては、光反応性半
導体を積層する前に予め支持体に施しておいても良い。
【0072】
【作用】本発明の有害物質除去材は、シート状に形成さ
れた部材の間に少なくとも光反応性半導体及び担体を内
包してなる有害物質除去材であって、光反応性半導体等
を内包するシート部材の少なくとも一方の面のシート部
材の通気度を10〜100cm3/cm2・Sにすること
で、また少なくとも光反応性半導体及び支持体よりなる
有害物質除去材であって、有害物質除去材自体の通気度
を10〜300cm3/cm2・Sにすることで、何れの
場合も有害物質の少なくとも光反応性半導体との接触頻
度と接触時間とをバランスさせ、かつ光反応性半導体等
を効果的にシート部材中または支持体に保持させて、も
って長期間光反応性半導体の性能を有効に発揮させるこ
とができる。
【0073】本発明の有害物質除去材、特に一体型有害
物質除去材は、空気清浄機及び脱臭機等のフィルターと
して使用することが可能で、空気循環される場合に於て
は特に好適である。有害物質除去材に吸着能の高い活性
炭等の担体を用いれば、例えば喫煙室の仕切りにも好適
である。
【0074】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、無論これらに限定されるものではない。
【0075】シート部材製造例1 繊度0.15デニール(d)(繊維径約4μm)、繊維
長15mmのポリエチレンテレフタレート繊維100重
量部をノニオン系界面活性剤と共に水中に投入し、パル
パーにて繊維の束がなくなるまで強攪拌した。これに水
を加え、アジテーターにて緩やかに攪拌しながら粘度調
整剤である高分子ポリアクリルアミドの0.1%水溶液
を添加し、均一に分散した繊維の懸濁液(スラリー)を
得た。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造を行な
ってウェブ1を得た。このウェブ1を100メッシュの
ワイヤー上に積載し、100kg/cm2の高圧柱状水
流にて処理した後、110℃で乾燥してシート部材1を
得た。このシート部材1の目付けは70g/m2であ
り、この時の通気度を測定した結果、55cm3/cm2
・Sであった。
【0076】シート部材製造例2 シート部材製造例1に於て、ポリエチレンテレフタレー
ト繊維として繊度3d(繊維径約22μm)、繊維長2
0mmのものを用いた以外は全てシート部材製造例1と
同様にして、目付け70g/m2 のシート部材2を製造
した。このシート部材2の通気度をシート部材製造例1
と同様に測定した結果、250cm3/cm2・Sであっ
た。
【0077】シート部材製造例3 シート部材製造例1に於て、ポリエチレンテレフタレー
ト繊維として繊度3d(繊維径約22μm)のものを1
0重量部と繊度0.15d(繊維径約4μm)のものを
90重量部用いた以外は全てシート部材製造例1と同様
にして、目付け70g/m2 のシート部材3を製造し
た。このシート部材3の通気度をシート部材製造例1と
同様に測定した結果、75cm3/cm2・Sであった。
【0078】シート部材製造例4 シート部材製造例1で用いたポリエチレンテレフタレー
ト繊維60重量部と、芯鞘構造を有する低融点熱融着性
繊維(ユニチカ製;メルティ#4080、鞘部:ポリエ
チレンテレフタレート共重合体 芯部:ポリエチレンテ
レフタレート)40重量部とを用い、シート部材製造例
1と同様の方法で抄造を行なってウェブ4を得た。この
ウェブ4を110℃のシリンダードライヤーで乾燥し、
目付け70g/m2のシート部材4を製造した。このシ
ート部材4の通気度をシート部材製造例1と同様に測定
した結果、7cm3/cm2・Sであった。
【0079】実施例1 担体である20〜42メッシュの顆粒状活性炭(クラレ
ケミカル製;ケラレコールGW)80重量部と、光反応
性半導体である酸化チタン(石原産業製;ST−31)
を20重量部とを円筒型混合機で2時間混合し、複合体
1を得た。シート部材製造例1で得られたシート部材1
上に、この複合体1を20g/m2となる様に均一に載
せ、更にこの上にもう一枚シート部材1を重ね、250
℃に加熱した2本のエンボスロールで加圧して、有害物
質除去材1を得た。
【0080】実施例2 白色の担体である20〜40メッシュの複合フィロ珪酸
塩(水澤化学工業製;ミズカナイト)80重量部と、実
施例1で用いた光反応性半導体20重量部とを円筒型混
合機で2時間混合し、複合体2を得た。シート部材製造
例1で得られたシート部材1上にこの複合体2を20g
/m2となる様に均一に載せ、更にこの上にもう一枚シ
ート部材1を重ね、実施例1と同様にして250℃に加
熱した2本のエンボスロールで加圧して、有害物質除去
材2を得た。
【0081】実施例3 実施例1で用いた担体80重量部と酸化チタン20重量
部とに、熱可塑性樹脂である酢酸ビニル樹脂粉末30重
量部を併用し、円筒型混合機で2時間混合し、更に70
℃で2分間処理して複合体3とした。シート部材製造例
1で得られたシート部材1上にこの複合体3を50g/
2となる様に均一に載せ、更にこの上にシート部材1
を1枚重ね、実施例1と同様にして250℃に加熱した
2本のエンボスロールで加圧して、有害物質除去材3を
得た。
【0082】実施例4 シート部材製造例1で得られたシート部材1上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2 となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材製造例4で作製したシー
ト部材4を1枚重ね、実施例1と同様にして250℃に
加熱した2本のエンボスロールで加圧して、有害物質除
去材4を得た。
【0083】実施例5 シート部材製造例3で得られたシート部材3上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材製造例1で作製したシー
ト部材1を重ね、実施例1と同様にして250℃に加熱
した2本のエンボスロールで加圧して、有害物質除去材
5を得た。
【0084】実施例6 シート部材製造例3で得られたシート部材3上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材3を1枚重ね、実施例1
と同様にして250℃に加熱した2本のエンボスロール
で加圧して、有害物質除去材6を得た。
【0085】比較例1 シート部材製造例2で得られたシート部材2上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材2を1枚重ね、実施例1
と同様にして250℃に加熱した2本のエンボスロール
で加圧して、有害物質除去材7を得た。
【0086】比較例2 シート部材製造例2で得られたシート部材2上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材製造例4で作製したシー
ト部材4を重ね、実施例1と同様にして250℃に加熱
した2本のエンボスロールで加圧して、有害物質除去材
8を得た。
【0087】比較例3 シート部材製造例4で得られたシート部材4上に実施例
1で調製した複合体1を20g/m2となる様に均一に
載せ、更にこの上にシート部材4を1枚重ね、実施例1
と同様にして250℃に加熱した2本のエンボスロール
で加圧して、有害物質除去材9を得た。
【0088】実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた
有害物質除去材1〜9について、その脱臭性、抗菌性、
及び粉体保持性を下記試験方法にて評価した。これらの
結果をまとめて表1及び表2に示す。
【0089】〔性能試験方法〕 (1)脱臭性 A)紫外線光照射による脱臭性 得られた上記有害物質除去材を10cm×20cmの大
きさに切断し、6Wのブラックランプを備えた5.6リ
ットルの密閉容器の底部に置いた。この容器中に、煙草
の臭いの主成分とされているアセトアルデヒドの飽和気
体を4ml注入し(濃度約500ppm)、有害物質除
去材の上方約20cmから6Wのブラックランプで有害
物質除去材に紫外線光を照射した。30分後のアセトア
ルデヒド濃度をガスクロマトグラフィーで定量した。更
に、容器中にアセトアルデヒド飽和気体4mlを注入
し、紫外線光を照射30分後のアセトアルデヒド濃度を
定量する操作を引き続き3回繰り返した。
【0090】B)紫外線光を照射しないときの脱臭性 前記Aの方法に於て、アセトアルデヒド濃度定量中紫外
線光を照射せず、暗所でアセトアルデヒド飽和気体の注
入及び容器内のガス採取を行ない、同条件でアセトアル
デヒド濃度を定量した。
【0091】(2)抗菌性 得られた上記有害物質除去材を10cm×10cmの大
きさに切断し、これを7万個/mlの濃度の緑膿菌水溶
液に浸し、有害物質除去材の上方約20cmから6Wブ
ラックランプで有害物質除去材に4時間紫外線光を照射
した。照射4時間後に緑膿菌液の生菌数を標準寒天培地
を用いた混釈平板培養法(35℃、48時間培養)によ
り測定し、濃度を換算した。当初の緑膿菌濃度に対する
紫外線光照射4時間後の緑膿菌濃度を、紫外線光照射に
よる緑膿菌濃度の減少割合として表わす。
【0092】(3)粉体保持性 得られた上記有害物質除去材を90cm×180cmの
カーテン状に加工し、カーテンとして30日間使用した
ときの粉体の保持性を観察した。 ○:粉落ちなし △:若干量の粉落ちあり ×:粉落ち多い
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】以上、表1及び表2からも明かな様に、双
方の面を構成するシート部材が10〜100cm3/c
2・Sの範囲にある有害物質除去材No.1、2、
3、5、及び6については、適度な通気性を有するた
め、光照射時の有害物質除去能に優れ、また、粉体の保
持性にも優れている。また、一方は10〜100cm3
/cm2・Sの範囲の部材であるが、もう一方が10c
3/cm2・S未満のシート部材である有害物質除去材
No.4につては、一方の面において通気性がかくほさ
れているため有害物質の吸着及び光触媒能の双方に影響
を及ぼすようなことはなく、また、粉落ちも確認されな
かった。双方が100cm3/cm2・Sを越える通気度
を有するシート部材を使用した有害物質除去材No.7
については通気度が高いため有害物質除去能には優れて
いるが、空隙が大きいため、粉落ちが多く実用には適さ
ない。一方が10cm3/cm2・S未満のシート部材
で、もう一方が100cm3/cm2・Sを越える通気度
を有するシート部材である有害物質除去材No.8で
は、一方の通気性が高いため、良好な有害物質除去能を
示すが、一方の面の空隙が大きいため有害物質除去材N
o.7よりは少ないものの粉落ちが多く実用には適さな
い。双方が10cm3/cm2・S未満のシート部材であ
る有害物質除去材No.9は、通気性が乏しいため有害
物質除去材が劣る結果となった。
【0096】実施例7 光反応性半導体である酸化チタン(石原産業製;メタチ
タン酸)61重量部と粉末活性炭(クラレケミカル製;
PW−W5)30.5重量部とを、微細繊維(ダイセル
化学工業製;セリッシュKY−100S)8.5重量部
を分散した水性液中に加え、ミキサーで混合した後にポ
リ塩化アルミニウム(水澤化学工業製;PAC)を対粉
体比で0.4重量%加えて凝集させた後、高分子ポリア
クリルアミド水溶液を加えて強固に凝集させ、凝集体水
分散液Aを作製した。
【0097】支持体形成成分として、繊度1d(繊維径
約12μm)、繊維長5mmのポリエステル繊維(帝人
製;テピルス)40重量部と、繊度2d(繊維径約18
μm)、繊維長5mmの芯鞘構造を有する低融点熱融着
性ポリエステル繊維(ユニチカ製;メルティー#408
0)60重量部とを水に添加して均一に分散させ、支持
体形成成分分散液Aとした。
【0098】凝集体水分散液A対支持体形成成分分散液
Aを15対85の割合で混合し、全固形分が0.2重量
%となる様に水を加えて調製した後、円網抄紙機により
ウェブ化し、120℃で乾燥して、目付け80g/m2
の有害物質除去材10を作製した。この有害物質除去材
10の通気度は55cm3/cm2・Sであった。
【0099】実施例8 支持体形成成分として、繊度3d(繊維径約22μ
m)、繊維長5mmのポリエステル繊維(帝人製;テル
ピス)40重量部と、実施例7で用いた低融点熱融着性
ポリエステル繊維(ユニチカ製;メルティー#408
0)60重量部とを水に添加して均一に分散させ、支持
体形成成分分散液Bとした。
【0100】凝集体水分散液A対支持体形成成分分散液
Bを15対85の割合で混合し、全固形分が0.2重量
%となる様に水を加えて調製した後、実施例7と同様に
して目付け80g/m2の有害物質除去材11を作製し
た。この有害物質除去材11の通気度は160cm3
cm2・Sであった。
【0101】比較例4 実施例7に於て、光反応性半導体である酸化チタンを実
施例1で用いたST−31(石原産業製)とした以外は
実施例1と同様にして、凝集体水分散液Bを調製した。
【0102】支持体形成成分として、繊度0.5d(繊
維径約8μm)、繊維長5mmのポリエステル繊維(帝
人製;テルピス)60重量部と、実施例7で用いた低融
点熱融着性ポリエステル繊維(ユニチカ製;メルティー
#4080)40重量部とを水に添加して均一に分散さ
せ、支持体形成成分分散液Cとした。
【0103】凝集体水分散液B対支持体形成成分分散液
Cを15対85の割合で混合し、全固形分が0.2重量
%となる様に水を加えて調製した後、実施例7と同様に
して目付け80g/m2の有害物質除去材12を作製し
た。この有害物質除去材12の通気度は5cm3/cm2
・Sであった。
【0104】実施例9 支持体形成成分として、繊度1d(繊維径約12μ
m)、繊維長5のポリエステル繊維(帝人製;テピル
ス)40重量部と、実施例7で用いた低融点熱融着製ポ
リエステル繊維(メルティー#4080、ユニチカ製)
40重量部と、繊度2d(繊維径約18μm)、繊維長
5mmの捲縮繊維20重量部を水に添加し、均一に分散
させ、支持体形成成分分散液Dとした。
【0105】凝集体水分散液B対支持体形成成分分散液
Dを15対85の割合で混合し、全固形分が0.2重量
%となるように水を加えて調製した後、実施例7と同様
にして目付け80g/m2の有害物質除去材13を作製
した。この有害物質除去材13の通気度は110cm3
/cm2・Sであった。
【0106】実施例10 伸興社製のパンチングユニットを用い、比較例4で作製
した有害物質除去材12に3mmφの孔を1dm2当た
り120個開け、有害物質除去材14を作製した。この
時の有害物質除去材14の通気度は290cm3/cm2
・Sであった。
【0107】比較例5 比較例4で作製した有害物質除去材12に、実施例10
と同様にして15mmφの孔を1dm2当たり25個開
け、有害物質除去材15を作製した。この時の有害物質
除去材15の通気度は500cm3/cm2・Sであっ
た。
【0108】実施例7〜10及び比較例4〜5で得られ
た有害物質除去材10〜15について、その脱臭性を下
記試験方法にて評価した。これらの結果を表3に示す。
【0109】A)紫外線光照射による脱臭性 得られた上記有害物質除去材を215mm×325mm
の大きさに切断し、10Wのブラックランプを備えた簡
易脱臭器にセットし167リットルの密閉容器の底部に
おいた。この簡易脱臭器のファン能力は、230リット
ル/分である。この容器中に煙草の臭いの主成分とされ
ているアセトアルデヒド飽和気体を16ml注入し(濃
度約100ppm)、有害物質除去材に紫外線光を照射
した。30分後のアセトアルデヒド濃度をガスクロマト
グラフィーで定量した。更に、容器中にアセトアルデヒ
ド飽和気体16mlを注入し、紫外線光を照射して30
分後のアセトアルデヒド濃度を定量する操作を引き続き
3回繰り返した。
【0110】B)紫外線光を照射しない時の脱臭性 前記Aの方法において、紫外線光を照射せず暗所で行っ
た以外は同様にして、アセトアルデヒド濃度を定量し
た。
【0111】
【表3】
【0112】表3から明かな様に、通気度が10〜30
0cm3/cm2・Sである有害物質除去材10、11、
12、及び14については、有害物質及び悪臭等の吸着
能、光触媒効果ともに優れた効果を示した。有害物質除
去材13は通気度が5cm3/cm2・Sと低く、悪臭であ
るアセトアルデヒドは除去材表面のみにしか吸着しない
ためか、吸着能が劣る結果となった。また、光透過性も
悪く、除去材表面に吸着した有害物質は光反応性半導体
により分解されるが、内部は吸着も少ないためか光触媒
能もあまり発揮されなかった。これとは逆に、有害物質
除去材15は通気度が500cm3/cm2・Sと高く、
悪臭は有害物質除去材を通過してしまうためか、除去能
は低かった。
【0113】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、特
定部位に適度の通気性を有する有害物除去材を用いるこ
とにより、悪臭や細菌等の有害物質を効果的に取込み、
光でより効率的に分解して除去することができ、長期間
に渡り、光反応性半導体及び吸着反応等の性能を有効に
発揮できる有害物質除去材を提供することができる。
【0114】本発明の有害物質除去材の内、内包型有害
物質除去材は、病院等のベッドの仕切用カーテンやシー
ツ、寝たきり老人用シーツ、及びペット用のシーツやカ
ーテン、或は室内、自動車、及び列車等のロールカーテ
ン等の美感が要求される分野に特に好適である。担体が
吸着能の高い活性炭等の場合には、例えば喫煙室の仕切
りに好適である。また、一体型有害物質除去材は、従来
の空気清浄機用のフィルターとしては勿論、このフィル
ターに光反応性半導体の活性光を照射できる光照射手段
を配した光反応型の空気清浄機に好適であり、更にはカ
レンダー用の基材、台所の流しの三角コーナー等の家庭
用ゴミ袋等にも有効に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 35/02 B01D 53/36 ZABJ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも光反応性半導体及び担体を2
    枚以上のシートで形成されるシート部材中に内包してな
    る有害物質除去材に於て、有害物質除去材の少なくとも
    一方の面のシート部材の通気度が10〜100cm3
    cm2・Sであることを特徴とする有害物質除去材。
  2. 【請求項2】 支持体上に少なくとも光反応性半導体を
    有する有害物質除去材に於て、有害物質除去材の通気度
    が10〜300cm3/cm2・Sであることを特徴とす
    る有害物質除去材。
  3. 【請求項3】 有害物質除去材が孔径0.5〜5mmの
    穿孔を1dm2当たり10個以上有する請求項2記載の
    有害物質除去材。
  4. 【請求項4】 支持体を構成する繊維の50%以上の繊
    維径が10〜25μmの範囲にある請求項2または3記
    載の有害物質除去材。
  5. 【請求項5】 有害物質除去材に更に吸着剤及び微細繊
    維の少なくとも一方を含有する請求項1から4の何れか
    に記載の有害物質除去材。
JP7263744A 1995-05-12 1995-10-12 有害物質除去材 Pending JPH0928776A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11276906A (ja) * 1998-03-30 1999-10-12 Nitto Denko Corp 通気性光触媒シ−ト及びその使用方法
JPH11290694A (ja) * 1998-04-10 1999-10-26 Maruo Calcium Co Ltd 光触媒体及びこれを含有してなる光触媒性組成物
JP2004202329A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Matsushita Electric Works Ltd 機能性材料及びその製造方法
CN114904384A (zh) * 2021-06-04 2022-08-16 浙江施维康生物医学材料有限公司 一种含生物酶的空气净化剂及其制备方法
CN115243731A (zh) * 2020-03-13 2022-10-25 株式会社理光 抗病原体结构、用于生产抗病原体结构的方法、用于生产抗病原体结构的设备和液体组合物

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