JPH09201404A - 光反応性有害物質除去材 - Google Patents

光反応性有害物質除去材

Info

Publication number
JPH09201404A
JPH09201404A JP8013883A JP1388396A JPH09201404A JP H09201404 A JPH09201404 A JP H09201404A JP 8013883 A JP8013883 A JP 8013883A JP 1388396 A JP1388396 A JP 1388396A JP H09201404 A JPH09201404 A JP H09201404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoreactive
semiconductor
harmful substance
acetaldehyde
gas adsorbent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8013883A
Other languages
English (en)
Inventor
Michihiko Sato
道彦 佐藤
Kazuchiyo Takaoka
和千代 高岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP8013883A priority Critical patent/JPH09201404A/ja
Publication of JPH09201404A publication Critical patent/JPH09201404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気体吸着剤が吸着した有害物質を光反応性半
導体が余すところなく分解し、悪臭等の発生状況等によ
り断続的に光反応性有害物質除去材に光照射しても、バ
ランスよく有害物質が除去できる光反応性有害物質除去
材を提供する。 【解決手段】 少なくとも光反応性半導体及び気体吸着
剤を少なくとも一方が通気性を有するシートに封入して
なる光反応性有害物質除去材に於て、光反応性半導体
(A)に対する気体吸着剤(B)の重量比(B/A)が
0.5〜1である有害物質除去材。また、少なくとも光
反応性半導体及び気体吸着剤を支持体形成成分と共に水
中で分散し、湿式抄造法で作製してなる光反応性有害物
質除去材に於て、光反応性半導体(A)に対する気体吸
着剤(B)の重量比(B/A)が0.2〜0.9である
有害物質除去材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体吸着剤により悪臭
等の有害物質を吸着すると共に光反応性半導体の光触媒
反応を利用して有害物質を分解する光反応性有害物質除
去材に関し、より詳しくは気体吸着剤が吸着した有害物
質を光照射時に光反応性半導体によって分解し、悪臭等
の有害物質の発生状況等により断続的に光反応性有害物
質除去材に光照射しても、バランスよく有害物質が除去
できる光反応性有害物質除去材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心の高まりに
伴い、工業排気及び排水等工業レベルでの有害物質の除
去だけでなく、日常生活に於ても悪臭除去の要求が増加
している。従来この様な低濃度の有害物質の除去には、
一般に活性炭や、シリカ、アルミナ、及びその他金属酸
化物等と複合化された吸着剤等が使用されている。この
様な吸着剤は、場合により造粒して粉体のまま使用した
り、特開昭49−16056号公報記載の如くシート状
に加工して使用することが提案されている。
【0003】ところが、この様な吸着剤を用いた悪臭除
去に於ては、初期の脱臭能は優れるものの、吸着剤に有
害物質が吸着されるに従って漸次吸収能力が低下して行
き、実用的吸着能力を喪失した場合には、吸着剤を含有
する脱臭材を取り替える必要があるし、それがため、吸
着能力が有効に作用する期間を見極める必要があるな
ど、実用上の数々の問題点があった。
【0004】また、吸着剤の種類により総吸着量が異な
るばかりでなく、被吸着物質の種類によって吸着剤の吸
着速度が異なることが知られており、工業用途等の特定
の有害物質の除去には吸着剤を特定することで対応でき
ても、生活空間の様に多種類の有害物質をバランスよく
除去するには難があった。また、特に活性炭の様な物理
吸着を主体とする吸着剤は温湿度の影響を受け易く、温
度上昇等によって一旦吸着した有害物質をそのままの形
で放出してしまう欠点があった。
【0005】これに対し、近年光触媒作用を利用した光
反応性半導体による有害物質の除去方法が注目を集めて
いる。光反応性半導体は上記吸着剤比して遥かに吸着能
に乏しく、特に初期の有害物質除去能に劣るものの、悪
臭物質の除去は光反応性半導体の活性線励起による光触
媒的分解作用によるため、光反応性半導体は悪臭物質の
分解除去に対して自己消費及び劣化を被らず、その能力
は光曝露されている限り基本的に低下しない。また、被
分解物質により分解速度に差があるものの、被酸化性で
ある限り被分解物質の種類を問わず分解するから、吸着
剤に比べて大きな利点を有する。
【0006】この様な光反応性半導体を含有する光反応
性有害物質除去材としては、例えば特開昭61−135
669号公報には、酸化亜鉛等の光反応性半導体に紫外
光を照射して、硫黄化合物を分解する方法が開示されて
いる。また、特公昭62−19240号公報には、汚染
物質を含む被処理水に、無機形成体表面に有機チタネー
トを付着させて焼成した酸化チタンの存在下、紫外線
(を含む光)を照射して汚染物質を酸化除去する水の浄
化方法が開示されている。更に、特開平1−21863
5号公報には、酸化チタン等の光触媒と活性炭、アルミ
ナ、シリカ等の吸着剤とからなる脱臭剤が開示されてい
る。
【0007】光反応性有害物質除去材に於ける分解能
は、光反応性半導体の有害物質との接触が多い程向上す
るから、光反応性半導体の有害物質との接触面積が広い
程、また両者の接触時間が長い程良い。そこで、吸着能
に乏しい光反応性半導体の近傍に吸着剤を配しておけ
ば、有害物質は光反応性半導体によって直接分解される
だけでなく、一旦吸着剤に吸着され、その後吸着剤から
脱離した有害物質も光反応性半導体によって分解される
ため、光反応性半導体単独よりも分解効率が向上する。
更に、この吸着剤併用効果は、一般家庭の様に悪臭等の
有害物質が連続的に発生しない状況にあって、例えば悪
臭が発生した時だけ光反応性半導体を含有する有害物質
除去材に光照射する場合に於て、吸着剤により光非照射
時にも悪臭が除去できる点にある。
【0008】とは云え、光反応性半導体に吸着剤を併用
する場合、一般に吸着剤を一定にして光反応性半導体を
増量すると、光照射時の分解能は向上するものの、光反
応性半導体が吸着剤を被覆してしまい、光非照射時には
同量の吸着剤を単独で使用した場合に比して有害物質の
除去効率が悪化する。逆に、光反応性半導体を一定にし
て吸着剤を増量すると、光非照射時には有害物質の除去
効率は向上するが、光反応性半導体が少ないために光照
射時の分解性が悪化する。
【0009】そこで、従来は吸着剤を光反応性半導体の
実質的な担体として用いたり、初期の有害物質除去能を
向上させるためもあり、従来光反応性半導体に対し吸着
剤を数等倍使用していた。例えば、特開平1−2186
35号公報に於ては、悪臭物質であるジメチルサルファ
イドを分解除去するに際し、酸化チタンを活性炭に対し
20〜30重量%の割合で混合使用している。
【0010】ところが、光反応性半導体と吸着剤とを上
記比率で用いた場合、悪臭が感じられなくなって尚光照
射を続行すれば、光照射時には光照射に伴う吸着剤の温
度上昇によって有害物質の吸着剤からの脱離が誘発して
も、光反応性半導体によって分解されるものの、悪臭等
の有害物質の発生状況等により断続的に光反応性半導体
を含有する光反応性有害物質除去材に光照射すると、光
照射中止直後に光反応性半導体は有害物質除去能を失う
が、吸着剤の温度は急には下降しないから、光反応性有
害物質除去材の吸着材が多いと、光照射を中止して暫く
すると異臭が漂うことがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、気体
吸着剤により悪臭等の有害物質を吸着すると共に光反応
性半導体の光触媒反応を利用して有害物質を分解する光
反応性有害物質除去材であって、気体吸着剤が吸着した
有害物質を光照射により光反応性半導体が余すところな
く分解し、悪臭等の発生状況等により断続的に光反応性
有害物質除去材に光照射しても、バランスよく有害物質
が除去できる光反応性有害物質除去材を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく検討した結果、少なくとも光反応性半導体及
び気体吸着剤を少なくとも一方が通気性を有するシート
に封入してなる光反応性有害物質除去材に於て、光反応
性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)の重量比(B
/A)を0.5〜1とすることで上記課題を解決した。
また、少なくとも光反応性半導体及び気体吸着剤を支持
体形成成分と共に水中で分散し、湿式抄造法によりシー
ト状に形成してなる光反応性有害物質除去材に於て、光
反応性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)の重量比
(B/A)を0.2〜0.9とすることで上記課題を解
決した。本発明は、これらの知見により達成されたもの
である。
【0013】以下に本発明の光反応性有害物質除去材に
係わる構成要素を詳細に説明する。本発明の光反応性有
害物質除去材は、何れの形態に於ても少なくとも光反応
性半導体及び気体吸着剤で構成され、光反応性有害物質
除去材の形態及び使用方法に応じ、光反応性半導体及び
気体吸着剤の比率を調整してなる。
【0014】本発明に係わる光反応性半導体は、その禁
止帯福が0.5〜5eV、より好ましくは1〜4eVで
ある光触媒作用を有する半導体である。本発明に係わる
この様な光反応性半導体としては、酸化亜鉛、酸化タン
グステン、酸化チタン、及び酸化セリウム等が挙げられ
るが、殊に酸化チタンは有害物質除去能力、構造安定
性、毒性のない点での取扱い上の安全性等生活空間にて
使用するには最も適しており、本発明に係わる光反応性
半導体として有利に用いられる。
【0015】光反応性半導体として有利に用いられる酸
化チタンは、白色顔料として用いられている汎用の二酸
化チタンの他、メタチタン酸、オルトチタン酸、含水酸
化チタン、水和酸化チタン、及び水酸化チタン等のチタ
ン酸化物やチタン水酸化物等が挙げられる。また、これ
らの酸化チタンの表面にPt、Au、Ag、Cu、P
d、Ni、Rh、Nb、Sn、及びRu等の金属、酸化
ルテニウム及び酸化ニッケル等の金属酸化物等で表面処
理されたものであっても良い。
【0016】光反応性半導体に於ける有害物質分解機構
は、光反応性半導体が活性光を受けるとその表面にフリ
ーラジカルを生成し、このフリーラジカルが光反応性半
導体の表面と接触した有害物質を攻撃して有害物を分解
する。この過程を充分に発揮させるには、光反応性半導
体の比表面積を大きくし、フリーラジカルの生成点を増
加させることが効果的である。加えて、比表面積を大き
くすると有害物との単位量当りの接触面積も増大するこ
とから、有害物を分解するためには、その比表面積が大
きいほど効果的である。
【0017】しかしながら、光反応性半導体の比表面積
を大きくしようとすると、光反応性半導体の製造安定性
が低下し、再現性ある性能が得られ難くなる。そこで、
本発明に係わる光反応性半導体の比表面積は10〜50
0m2/g程度が好ましく、更には100〜500m2/g
程度が良い。また、特に酸化チタンの場合は、比表面積
は50〜400m2/g程度が好ましく、更には100〜
400m2/g程度が良い。また、光反応性半導体の好ま
しい粒径は3〜120nm程度であり、更には3〜20
nm程度が好適である。
【0018】本発明の光反応性有害物質除去材に係わる
もう一方の必須構成要素は、気体吸着剤である。本発明
に係わる気体吸着剤は、少なくともその構造中に微細孔
或は微小間隙を有し、気体吸着能を有するものである。
本発明に係わる気体吸着剤の具体例としては、セピオラ
イト、パリゴルスカイト、フライポンタイト、アパタイ
ト(ヒドロキシアパタイト)、スメクタイト、ヘクトラ
イト、ハロイサイト、ゼオライト、アルミナ、シリカ、
マグネシア、活性白土、及びこれらの複合物、例えばフ
ライポンタイト−シリカ複合物、アルミナ−シリカ複合
物、マグネシア−シリカ複合物、マグネシア−アルミナ
複合物等が挙げられる。本発明に於て特に好ましい気体
吸着剤としては、アルミナ、シリカ、マグネシア、及び
これらの複合物である。
【0019】気体吸着剤の種類によって総吸着量が異な
るばかりでなく、被吸着物質の種類によって吸着剤の吸
着速度が異なることが知られている。例えば、活性炭は
シリカ等に比して比表面積大なる故に総吸着量は高く、
例えば特開平1−218635号公報等で用いている代
表的な気体吸着剤である活性炭は、窒素酸化物や硫黄酸
化物等の水溶性極性物質の吸着性に優れるが、生活空間
で悪臭として発生する可能性の高いタバコ臭の主成分で
あるアセトアルデヒド等の極性の低い物質は吸着性に劣
るため、気体吸着剤として活性炭の単独使用は好ましく
ないが、上記気体吸着剤を主体とし、活性炭を併用する
分には差し支えない。
【0020】本発明に係わる気体吸着剤は、比表面積が
50〜2000m2/g程度が好ましく用いられる。ま
た、気体吸着剤の粒径は、併用する光反応性半導体より
10倍程度大きいことが好ましい。本発明に係わる気体
吸着剤の好ましい粒径は100nm〜50μmである。
気体吸着剤はそのままの粒子形態で用いても良いが、特
に通気性及び光透過性シートの間に封入する場合は、粒
子を成形したペレット状や錠剤状に成形して使用しても
良い。
【0021】これら本発明に係わる光反応性半導体及び
気体吸着剤を、少なくとも一方が通気性を有するシート
に封入してなる光反応性有害物質除去材(以下、この形
態を封入型光反応性有害物質除去材と表記する)に於て
は、光反応性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)の
重量比(B/A)を0.5〜1の範囲に調整して用い
る。
【0022】封入型光反応性有害物質除去材に於ては、
光反応性半導体は少なくとも気体吸着剤と共に少なくと
も一方が通気性を有するシートに封入したもであり、上
述した様に、これらの重量比が小さくなると、光反応性
半導体が気体吸着剤の有効気体吸着部を被覆封鎖する部
分が増大し、重量比が0.5を下回ると、実質的に光非
照射時に於ける有害物質の除去効率が悪化する。また、
封入型光反応性有害物質除去材に於ては、通気性を有す
るシートに光反応性半導体が直接接触する部分が増大
し、シートの劣化が促進して好ましくない。
【0023】逆に、上記重量比が大きくなると、光非照
射時に於ける有害物質の除去効率は向上するが、光源と
して太陽光や白熱灯を用いると、光照射に伴って気体吸
着剤が加熱されることになり、その結果有害物質の気体
吸着剤からの脱離が誘発し、上記重量比が1を越えると
光照射で有害物質の脱離が分解に優先して、返って異臭
を感じる様になる。また、気体吸着剤が光反応性半導体
の受光を阻害して光照射時の有害物質分解能が低下す
る。本発明の封入型光反応性有害物質除去材に於ける更
に好ましい光反応性半導体(A)に対する気体吸着剤
(B)の重量比(B/A)は0.6〜0.9の範囲であ
る。
【0024】また、少なくとも光反応性半導体及び気体
吸着剤を支持体形成成分と共に水中で分散し、湿式抄造
法で作製してなる光反応性有害物質除去材(以下、抄造
型光反応性有害物質除去材と表記する)は、光反応性半
導体及び気体吸着剤を支持体形成成分と共に水中で分散
することにより、支持体形成成分の表面上に光反応性半
導体と気体吸着剤が付着した凝集体が得られ、光反応性
半導体の近傍に効率よく気体吸着剤を配置することがで
きる。
【0025】抄造型光反応性有害物質除去材に於ける光
反応性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)の重量比
(B/A)を0.2〜0.9の範囲にする。これらの重
量比が0.2より小さくなると、気体吸着剤の量が不足
するため光非照射時の有害物質の除去効率が悪化する。
逆に、上記重量比が0.9より大きくなると、気体吸着
剤が光反応性半導体の受光を阻害して光照射時の有害物
質分解能が低下するばかりか、上述した様に気体吸着剤
から脱離してくる有害物質を光照射で十分分解しきれな
い場合があって好ましくない。
【0026】封入型光反応性有害物質除去材に於ける光
反応性半導体に対する気体吸着剤の重量比と、抄造型光
反応性有害物質除去材に於けるそれとの最適重量比が異
なる理由は、抄造型光反応性有害物質除去材に於ては光
反応性半導体と気体吸着剤との間に支持体形成成分が介
在する部分があるためである。この様な部分では、有害
物質が気体吸着剤から光反応性半導体に効率よく移動で
きないばかりか、光源を光反応性有害物質除去材近くに
設置すると、気体吸着剤の温度上昇によって有害物質が
気体吸着剤から脱離し光照射で分解しきれない場合があ
る。これは全体として光反応性半導体に対する気体吸着
剤の混合比を小さくし、脱離する有害物質量を光照射で
十分分解できる量まで減少させることで解決できる。
【0027】このことは、本発明の光反応性有害物質除
去材に対する光源として、太陽光に比べ光反応性半導体
に対する活性線量の少ない、白熱灯等の家庭で一般的に
用いられる電灯を使用する場合に顕著である。本発明の
抄造型光反応性有害物質除去材に係わる更に好ましい光
反応性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)の重量比
(B/A)は0.2〜0.8の範囲である。
【0028】次に、本発明の光反応性有害物質除去材に
於けるその他の構成要素及び作製方法について、まず封
入型光反応性有害物質除去材に関して説明し、次に抄造
型光反応性有害物質除去材に関して説明する。本発明の
封入型光反応性有害物質除去材は、以上の少なくとも光
反応性半導体及び気体吸着剤を単に湿式または乾式でホ
モジナイザー、ボールミル、アトライター、ヘンチェル
ミキサー、及びハイブリダイザー等の装置により機械的
に混合、更に必要に応じ乾燥及び分級して、封入型光反
応性有害物質除去材に於ける封入物が形成できる。
【0029】この封入物は、上述した様に何れも粒子径
が非常に小さなものが好ましく、したがってこの封入物
が上記操作によっても造粒粒径を大きくすることができ
なければ、これを封入する通気性及び光透過性を有する
シートから離脱してしまう可能性がある。そこで、これ
らと共に担体を併用し、より大きな粒状体を形成させる
ことが好ましい。これにより、製造時及び使用時に光反
応性半導体の漏散が抑止される。本発明に係わる担体の
具体例としては、気体吸着性を有さない種類のシリカ及
びアルミナ等が挙げられる。担体を併用する場合も、上
記と同様の操作で混合すれば良い。
【0030】少なくとも光反応性半導体及び気体吸着剤
からなる封入物を少なくとも一方が通気性を有するシー
トに封入して、本発明の封入型光反応性有害物質除去材
が得られる。本発明に係わる通気性を有するシートとし
ては、織布、編物、不織布、及びネット等の他、ポリエ
チレンフィルム及びポリエステルフィルム等の汎用の熱
可塑性フィルムや薄板等の通気性に乏しいかまたは本質
的に通気性を有さないシートに微細な穴をあけて通気性
を発現させたシートが挙げられる。
【0031】本発明に係わる通気性を有するシートおけ
る通気度は、JIS L 1096に記載されている通気
性試験A法等にて測定できるが、本発明に係わる通気性
シートとして用いるに好ましい通気度は、JIS L 1
096にて測定した場合、5〜150cm3/cm2・Sが
良く、更には10〜100cm3/cm2・Sが好適であ
る。この通気度が5cm3/cm2・S未満では、シートの
通気性が不十分であるために、有害物がシート中に封入
されている光反応性半導体に充分に達することができ
ず、本来の有害物質除去能は発揮されない。逆に、通気
度が150cm3/cm2・Sを超えると、通気性は良好で
あるもののシートの空隙径が大きくなり、シート内まで
有害物が充分に流入される一方で、シート間の光反応性
半導体及び担体が脱落し易くなって好ましくない。
【0032】上述した様に、光反応性半導体による有害
物質の除去は、光反応性半導体の有害物質との接触だけ
でなく、光反応性半導体の活性光曝露が必要であるか
ら、少なくとも光反応性半導体及び気体吸着剤を封入す
るシートは、通気性及び光透過性が必要である。そこ
で、本発明の封入型光反応性有害物質除去材の少なくと
も一方は通気性シートを用いるが、この通気性シートが
光反応性半導体の活性光を透過させないかまたは透過量
が少ない様であれば、もう一方面は光反応性半導体に充
分な活性光が到達する様な光透過性シートを用いること
が望ましい。
【0033】本発明に好ましく用いられる光透過性シー
トとしては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル、三酢酸セ
ルロース等のアセチルセルロース、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、スチロール系樹脂、及びアクリル系樹脂等
からなるシート(フィルム)が挙げられる。
【0034】本発明の封入型光反応性有害物質除去材用
シートとして不織布を用いれば、通気性ばかりでなく一
定度の光透過性を確保することができる。更に不織布
は、上記封入物の封入加工及び光反応性有害物質除去材
形成後の加工も容易であり、本発明に好適に用いられ
る。
【0035】本発明に有利に用いられる不織布に使用す
る素材としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等の
オレフィン系、デクロン等のポリエステル系、ポリ酢酸
ビニル、スチレン酢酸ビニル共重合体、ナイロン等のポ
リアミド系、ポリアクリロニトリル、アクリラン、オー
ロン、ダイネル及びベレン等のアクリル系、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニル
エーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニ
ルアルコール系、ジエン系、ポリウレタン系等の繊維が
挙げられる。これらの繊維の形状は特に制限はなく、そ
の断面形状は略円形のみならず楕円形、三角形、星形、
T型、Y型、或は葉状等の所謂異型断面形状であっても
差し支えない。加えて、繊維表面に空隙を有するもの、
或は枝別れした構造を有するものでも良い。
【0036】また、不織布シートを形成した際の繊維間
結合強度及び腰等を適度に制御できる点で芯鞘構造を有
する繊維も好ましい。芯鞘構造を有する繊維とは、芯部
分がポリエステル、鞘部分がポリエステル共重合体から
なる繊維や、芯部分がポリエステル、鞘部分がポリオレ
フィンからなる繊維等がある。芯鞘構造の特徴は、芯部
分と鞘部分で軟化点が異なることにあるが、芯部分は加
工時の熱処理に於て繊維の形状を保持する必要から、2
30℃程度以上の軟化点を有することが好ましく、鞘部
分は繊維自身が互いに熱接着し充分な結合を形成させる
必要等から、90〜120℃程度の軟化点が好ましい。
このように芯鞘構造の繊維を用いると、高温熱処理加工
を行わずとも強度を保持できる。
【0037】本発明に係わる通気性を有するシートを構
成する成分としては、これまでの述べてきた構成要素の
他に、木材パルプ、麻パルプ、エスパルト、及び木綿繊
維等の天然繊維、レーヨン繊維及びアセテート繊維等の
再生及び半合成繊維、ガラス繊維及びアルミナ繊維等の
無機繊維等が挙げられる。これらの繊維は、上記熱可塑
性繊維群だけで構成された不織布が有する強度及び通気
度等の特性を悪化させない範囲で併用することが好まし
い。
【0038】本発明に係わる通気性を有するシートに用
いる不織布は、上記繊維を水に懸濁し、湿式抄紙法によ
りシート状にする湿式法、樹脂接着によるレジンボン
ド、針による交絡を利用したニードルパンチ、糸により
編み上げたステッチボンド、或は熱により接着したサー
マルボンドと呼ばれる所謂乾式法、高圧水をノズルから
噴射して交絡させるジェットボンド、直接紡糸しながら
シート化するスパンボンド、直接紡糸する際に霧吹き原
理を用いてフィブリル化された微小繊維を作りながらシ
ート化するメルトブローン等によって製造される。
【0039】これらの製造方法を適宜選択することで、
得られる不織布の厚み、空隙率、空隙の形状、及び開孔
径等の主に通気性に関係する物理特性だけでなく、柔軟
性、弾力性、及び毛羽立ち等の主に質感に関係する特性
をも変えることができる。これらの製造法の内、適度な
強度を得るためには、スパンボンドやジェットボンドが
好ましい。
【0040】本発明に用いる不織布に適度な力学強度を
付与するためには、三次元交絡処理を施すことが好まし
い。三次元交絡処理とは、不織布を単層或は複数積層し
て支持体に載置し、不織布に機械的処理を施して繊維を
三次元的に交絡させる方法である。具体的にはニードル
パンチ法及び水流交絡法が挙げられるが、交絡が均一に
行なわれ生産速度が速い点から水流交絡法が好ましい。
水流交絡法とは、不織布上方から水流を噴射し、不織布
を構成する繊維を三次元交絡させ、強度を発現させる方
法である。
【0041】三次元交絡を強固にかつ適正に行なうため
の条件として、水流を噴射するためのノズルの径は10
〜500μmが好ましい。ノズルの間隔は10〜150
0μmが好ましい。また、ノズルの形状は円形が好まし
く、所謂柱状の水流を噴射できるものが良い。不織布を
積載する支持体は、50〜200メッシュ程度の多孔質
のものが好ましい。これらのノズルは、抄造方向に対し
直交方向は加工を行なうシートの幅をカバーする範囲が
必要で、抄造方向に対しては、不織布の種類、目付量、
加工速度、及び水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範
囲でノズルヘッドの数を変えて用いることができる。加
工速度は毎分5〜200mの範囲が好ましい。水圧は1
0〜250kg/cm2の範囲が好ましく、更には50〜
250kg/cm2が好適である。
【0042】これらの条件に加え、水圧を加工初期から
終盤にかけて順次上げること、ノズル径やノズル間隔を
順次小さくすること、ノズルヘッドを回転運動させるこ
と、支持体を左右に振動させること、ノズルとウェブの
間にワイヤーを挿入して水流を散水化すること、或は扇
状の水流を用いることで、面質の向上が可能である。三
次元交絡方法は、片面のみだけでなく両面交絡を行なう
ことができる。また、交絡を行った後、更に不織布を積
層し交絡を行なっても良い。
【0043】本発明に用いる不織布に於ける厚み等は特
に限定されるものではないが、繊維径は1〜50μmの
範囲が好ましく、目付量は20〜100g/m2が好まし
い。繊維径が1μm未満の場合は空隙が小さくなり、従
って通気性に乏しくなるし、逆に50μmを超えると通
気度は大きくなるものの、シートの空隙が大きくなっ
て、封入した担体若しくは光反応性半導体等の粉落ちが
発生して好ましくない。また、目付量が20g/m2未満
の場合は、粉落ちが多くなるばかりか、不織布の強度が
不十分となって加工時や使用時の破損の原因となる。一
方、目付量が100g/m2を超えると、通気度が小さく
なるか、通気度を確保しようとすると空隙孔が大きくな
って粉落ちの原因となって好ましくない。
【0044】以上によって作製された不織布を含む、通
気性を有するシートに少なくとも光反応性半導体及び気
体吸着材を封入して、本発明の光反応性有害物質除去材
が得られるが、これらの封入物に熱接着性を有する熱可
塑性樹脂を併用して封入しても良い。熱可塑性樹脂を併
用すれば、加熱により熱可塑性樹脂を熱融着させてシー
ト間を強固に接着させることができるし、シート間によ
り多くの封入物を封入できるために非常に有効である。
【0045】本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、加熱
により溶融して通気性を有するシート間の結合効果を発
現させる樹脂で、エチレン酢酸ビニル共重合体またはこ
の変性ポリマー、エチレンアクリレート共重合体、アイ
オノマー、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル共重合体系、三
酢酸セルロース等のセルロース誘導体系、ポリメタクリ
ル酸エステル系、ポリビニルエーテル系、ポリウレタン
系、及びポリカーボネート系等の樹脂が挙げられる。こ
れらの樹脂は、深田寛著「ホットメルト接着の実際」高
分子刊行会(1979)に記載されている。
【0046】これらの熱可塑性樹脂は、シート間の接着
性を向上させるためにシートの接着部でのみ融着して使
用することが好ましい。この様にして使用することによ
り、封入された光反応性半導体の有効な表面積の実質的
な減少を抑止できる。熱可塑性樹脂の封入は、光反応性
半導体等の熱可塑性樹脂以外の封入物の総量が20g/
2以上封入する場合に併用するのが好ましく、光反応
性半導体等の熱可塑性樹脂以外の封入物100重量部に
対し1〜30重量部が好ましく、更に2〜20重量部が
好適である。
【0047】光反応性有害物質除去剤に所望により熱可
塑性樹脂を併用し、本発明に係わるシート間にこれら封
入物を封入するには、本発明に係わるシート上に封入物
を敷詰め、更に別のシートで覆ってシート間を接合すれ
ば良い。また、少なくとも一方のシートに波状或は袋状
の凹凸の加工を施し、凹部分(下方に凸)に封入物を充
填し、もう一方のシートを載置して凸部分を接合しても
良い。何れか一方のシートがより高い通気性を有し、他
方がより高い光透過性を有する場合は、担体として吸着
剤を用いることで有害物捕獲能は確保できるから、より
広域に光反応性半導体の活性光が当たる様、凹凸加工側
により高い光透過性を有するシートを配置する方が好ま
しい。
【0048】シート間の接合方法としては、接着剤によ
る接着、熱プレス及び熱エンボスロール等による熱融
着、及び縫合等が挙げられる。これらの接合方法は、部
分部分により二種以上の接合方法を組合わせて用いても
良く、また熱融着部或は接着部を縫合したり、可塑性樹
脂繊維で縫合した部分を熱融着したりして、同一部分を
二種以上の方法で接合しても良い。
【0049】この様な封入物を封入した接合の網の目の
間隔は、1〜50mm程度の範囲が好ましい。網の目の
形は、四角形、三角形、円形、楕円形、或はこれらの組
合わせ等多様なものが使用できる。接合部の幅は狭けれ
ば狭いほど単位面積当たりの通気性が確保でき、有害物
質除去効率が高くなるが、切断等の加工を考慮すれば一
定の幅が必要である。接合部の幅は、0.2〜20mm
程度が良く、特に0.5〜5mmの範囲が好適である。
また、必要に応じて一定間隔ごとに幅広の接合部を設け
ても良い。これらの方法により、通気性を確保しながら
封入物が封入できる。また、周辺部の接合部分が裂けて
も封入物の飛散を最少限に留めることができるし、接合
部分を裁断して任意の大きさで使用できる。
【0050】続いて、本発明の抄造型光反応性有害物質
除去材に於けるその他の構成要素及び作製方法について
説明する。本発明の抄造型光反応性有害物質除去材は、
少なくとも光反応性半導体及び気体吸着剤を支持体形成
成分と共に水中で分散し、湿式抄造法で作製してなる。
湿式抄造するに当たって、少なくとも光反応性半導体及
び気体吸着剤を支持体形成成分と共に水中で分散する意
図は、支持体形成成分の支持体形成までに少なくとも光
反応性半導体及び気体吸着剤を支持体形成成分で形成さ
れるマトリクスに均一に配置(分散)することにある。
【0051】少なくとも光反応性半導体及び気体吸着剤
を支持体形成成分と共に水中で分散する方法としては、
光反応性半導体、気体吸着剤、及び支持体形成成分を各
々単独で分散した後に混合する方法、光反応性半導体、
気体吸着剤、及び支持体形成成分を同時或は順次水中に
添加して分散する方法、少なくとも光反応性半導体と気
体吸着剤との水分散液を調製した後、この水分散液中に
予め分散させた或はそのまま支持体形成成分を添加して
分散する方法、気体吸着剤と支持体形成成分との水分散
液を調製した後、この水分散液中に予め分散させた或は
そのまま光反応性半導体を添加して分散する方法等が挙
げられる。
【0052】また、本発明に於ける上記光反応性半導
体、気体吸着剤、及び支持体形成成分の分散過程に於て
は、抄造時の歩留まり向上等の湿式抄造に適した分散マ
トリクスの形成、分散液の安定化、及び支持体の耐候的
或は機械的強度向上等のため、適宜凝集剤、結着剤、及
び界面活性剤(分散剤)等を添加しても良い。
【0053】本発明に係わる支持体形成成分としては繊
維状のものが好ましく、支持体形成成分同士、支持体形
成成分と光反応性半導体、及び支持体形成成分と気体吸
着剤が接着し、シート状構造体を形成してなおかつ強度
を発現するものが良い。本発明に係わる支持体形成成分
を構成するものとしては、上記封入型光反応性有害物質
除去材に於ける通気性を有するシートの構成成分を含
む、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸
ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリア
ミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリ
ビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアル
コール系樹脂、ジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂
等の熱可塑性合成樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹
脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱
硬化性合成樹脂の少なくとも1種類以上の樹脂からなる
繊維が挙げられる。
【0054】これらに加え、支持体としての強度を向上
させるため、上記の支持体形成成分の他に、各種木材パ
ルプ、楮、ミツマタ、藁、ケナフ、竹、リンター、バガ
ス、及びエスパルト等の靱皮繊維、フィブリル化した繊
維を用いても良い。更に、レーヨン等の再生繊維、アセ
テート等の半合成繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊
維、ステンレスウール等の金属繊維、炭素繊維、セラミ
ック繊維、及び各種ガラス繊維等を少量混合しても良
い。
【0055】本発明に用いられる凝集剤としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、及び
水酸化マグネシウム等の塩基性の金属水酸化物、アルミ
ナ、硫酸アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、及び
ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物、シリカ
及びジルコニア等の酸化物、アニオンまたはカチオン変
性ポリアクリルアミド、(メタ)アクリル酸含有共重合
体及びそのアルカリ性塩、アルギン酸、ポリビニルリン
酸及びそのアルカリ性塩、アンモニア、ジエチルアミン
及びエチレンジアミン等のアルキルアミン、エタノール
アミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0056】本発明に用いられる結着剤としては、天然
高分子物質として、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、
タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、カラー
ギーナン、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリ
ッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得ら
れるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クイン
スシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キ
サンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タ
マリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及
びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グ
ルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、
並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及び
ザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物、にか
わ、ゼラチン、カゼイン、及びコラーゲン等のタンパク
質等が挙げられる。
【0057】また、半天然物(半合成品)としては、ア
ルギン酸プロピレングリコールエステルの他に、ビスコ
ース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキ
シエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート等の繊維素誘導体の他、変性ガム並
びに加工澱粉等が挙げられる。
【0058】変性ガムとしてはカルボキシメチルグアー
ガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシ
エチルグアーガム等が挙げられる。また、加工澱粉とし
ては白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリデ
ィシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャー
ディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可
溶化澱粉の様な酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチの様
な酸化澱粉、変性及び無変性のアルファー化澱粉、リン
酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲ
ン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、
カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、ス
ルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベ
ンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルア
ミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒ
ドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカ
ルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミ
ド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチ
オン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン
性澱粉ビニルポリマ共重合体、澱粉ポリスチレンマレイ
ン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合
体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
【0059】合成品としては、ポリビニルアルコールの
他部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性
ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテ
ル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、
ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル
酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘
導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコ
ール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリド
ン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキ
シビニル重合物、スチレン/ブタジエン共重合物、スチ
レン/(メタ)アクリル酸共重合物、(メタ)アクリル
酸/(メタ)アクリレートエステル共重合物、スチレン
/マレイン酸共重合物、及びスチレン/クロトン酸共重
合物等が挙げられる。
【0060】本発明に用いる界面活性剤としては、非イ
オン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル、アセチレンアルコオール、及びポ
リオキシエチレン付加アセチレンアルコール(ここで云
うアセチレンアルコールとは、エチン原子団に接続する
少なくとも一方のアルキル基に水酸基が結合したもので
ある)等が挙げられる。
【0061】また、アニオン系界面活性剤として、脂肪
酸塩類、アビエチン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、
ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ
こはく酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アル
キルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポ
リオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシ
エチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−ア
ルキルスルホこはく酸モノアミド塩類、石油スルホン酸
塩類、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、ア
ルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリ
セリド硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステ
ル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
リン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合
体部分ケン化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合
体部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン
縮合物類等が挙げられる。
【0062】以上の他に、アルキルアミン塩類、第四級
アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン
塩類、ポリオキシエチレンポリアミン誘導体等のカチオ
ン系界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボ
ン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イ
ミダゾリン類等の両性界面活性剤が挙げられる。以上に
挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるもの
は、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ
オキシブチレン等のポリオキシアルキレンに差替えるこ
ともでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
【0063】
【作用】本発明は、少なくとも光反応性半導体及び支持
体形成成分からなり、気体吸着剤が吸着した有害物質を
光照射により光反応性半導体が余すところなく分解し、
悪臭等の発生状況等により断続的に光反応性有害物質除
去材に光照射しても、バランスよく有害物質が除去でき
る光反応性有害物質除去材である。本発明の光反応性有
害物質除去材は、個人で適度な大きさに切断し、有害物
質を除去したい場所に置き、太陽光や蛍光灯に曝露する
だけで容易に有害物質を除去することができるため、悪
臭の程度や設置場所に応じて手軽に効率よく使用でき
る。
【0064】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限
定されるものではない。
【0065】実施例1 繊度0.15デニール(d)、繊維長7.5mmのポリ
エチレンテレフタレート繊維(帝人製:PET繊維)1
00重量部を微量のポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステルと共に水中に投入し、パルパーにて繊維の束
がなくなるまで強攪拌を行った。次いで、水を加えてア
ジテーターにて緩やかに攪拌しながら、粘度調整剤であ
るアニオン変性ポリアクリルアミド水溶液を添加して増
粘させ、均一な繊維の分散液が形成されたとこで円網抄
紙機にて湿式抄造を行い、目付量60g/m2の不織布シ
ート(a)を得た。この不織布シート(a)の通気度を
JIS L 1096で規定される通気性試験A法にて測
定したところ、28cm3/cm2・Sであった。
【0066】次に、光反応性半導体(A)である酸化チ
タン(日本エアロジル製;P25S6)を100重量部
に対し、気体吸着剤(B)であるセピオライト(水澤化
学工業製;エードプラスSP)90重量部の割合(B/
A=0.9)で使用し、円筒型混合機で2時間混合し
た。この混合物を20g/m2となる様に上記で作製した
不織布シート(a)の上に満遍なく載せ、更にこの上に
もう一枚の不織布シート(a)を重ねて、150℃に加
熱した2本のエンボスロールで加圧して不織布シート
(a)同士を熱接着させ、封入タイプの光反応性有害物
質除去材(1)を得た。
【0067】この光反応性有害物質除去材(1)を12
cm×20cmの大きさに裁断し、2つの気密性のある
遮光性容器に入れ、一方には6wのブッラクランプを、
他方には6wの蛍光灯を約5cmの距離から照射できる
ようにした。これらの容器にアセトアルデヒド高濃度ガ
スを注入し、容器内のアセトアルデヒド濃度を30pp
mとなる様に調整した。アセトアルデヒドガス注入後、
気体吸着剤によるアセトアルデヒドの吸着が充分に平衡
に達した50分後に光源を点灯し光照射を開始した。容
器内のアセトアルデヒドガス濃度をFID検出器付きガ
スクロマトグラフ(以下GCと略記する)にて測定し
た。
【0068】その結果、光照射開始直前には約9ppm
残留していたアセトアルデヒドが、6wのブラックラン
プでは10分間の光照射により、また蛍光灯では20分
間の光照射により検出されなくなった。一方、GCに於
て各々アセトアルデヒドが検出されなくなった時点で光
照射を中止し、光反応性有害物質除去材を遮光したま
ま、5分後に双方の容器のアセトアルデヒドの存在をG
Cで調べたが、アセトアルデヒドは検出されなかった。
【0069】また、これら各々の容器に再びアセトアル
デヒド高濃度ガスを注入し、容器内の濃度を30ppm
となる様に調整し、先程と同様に50分後に光源を点灯
し光照射を開始したところ、先程と同様にほぼ同時間で
アセトアルデヒドが除去された。2回目のアセトアルデ
ヒド除去後に双方の容器を開放したところ、何れも容器
内に微かにアセトアルデヒド臭が認められたが、開放し
た容器の近くではアセトアルデヒドを含めて臭気は感じ
られず、良好な有害物質除去性を示した。
【0070】比較例1 実施例1に於て、気体吸着剤として用いたセピオライト
を同量の活性炭(クラレケミカル製;クラレコールG
W)に換えた以外は、実施例1と同様にして酸化チタン
と活性炭の混合物を調製し、実施例1と同封入量の光反
応性有害物質除去材(2)を作製した。この光反応性有
害物質除去材(2)を用いて、実施例1と同様にアセト
アルデヒドによる有害物質除去能を検討した。
【0071】活性炭はセピオライトに比して気体吸着量
が高いためか、光反応性有害物質除去材(2)は光反応
性有害物質除去材(1)に比して光照射開始前のアセト
アルデヒドの残留量が低く、その結果、6wのブラック
ランプでは8分間の光照射により、また蛍光灯では14
分間の光照射により検出されなくなった。
【0072】一方、GCに於て各々アセトアルデヒドが
検出されなくなった時点で光照射を中止し、光反応性有
害物質除去材を遮光したまま、5分後に双方の容器のア
セトアルデヒドの存在をGCで調べたところ、アセトア
ルデヒドは検出されなかったものの、アセトアルデヒド
の酸化生成物である酢酸を含むその他の臭気が発生し
て、良好な有害物質除去性を示さなかった。
【0073】実施例2 実施例1に於て、光反応性半導体である酸化チタン10
0重量部に対し、気体吸着剤であるセピオライトを3
0、50、70、及び110重量部の割合で使用した以
外は、実施例1と同様にして封入タイプの光反応性有害
物質除去材(3)〜(6)を作製した。これら光反応性
有害物質除去材(3)〜(6)を用いて、実施例1と同
様に有害物質除去能を検討した。得られた結果を表1に
示す。
【0074】
【表1】
【0075】試験方法等は全て実施例1に準拠するが、
表1に於て「照射直前」とは、30ppmとなる様にア
セトアルデヒドガス注入後、光源を点灯しないまま50
分後経過後のアセトアルデヒド濃度を表す。また、「除
去性1」とは、GCに於てアセトアルデヒドが検出され
なくなるまでの照射時間(2分刻みで30分まで)、ま
たは30分光照射しても検出される場合はその時の残存
アセトアルデヒド濃度(ppm;濃度を表す場合は数字
を括弧で括る)を表し、「除去性2」とは、2回のアセ
トアルデヒド注入後、GCに於てアセトアルデヒドが検
出されなくなった時点(または光照射30分後)で光照
射を中止し、光反応性有害物質除去材を遮光したまま、
5分後のアセトアルデヒド濃度(ppm)を表す。更
に、「異臭発生」とは、「除去性2」計測後ブラックラ
ンプを用いた容器を開放した場合の官能試験結果を、悪
臭が強い順に×>△>○>◎で表す。
【0076】上記光反応性有害物質除去材に於ては、単
位面積当たりの光反応性半導体及び気体吸着剤の総量が
一定であるため、光反応性半導体(A)に対する気体吸
着剤(B)の重量比(B/A)が増加するに従って気体
吸着剤の量が増加するから、表1からも明かな様に、光
照射直前の残存アセトアルデヒド濃度はB/Aの増加に
連れて減少するが、光照射を経た最終的有害物質除去能
は上記傾向と必ずしも一致せず、実施例1を含めた5種
類の光反応性有害物質除去材中では、B/Aが0.7
(本発明)の場合が最も早くアセトアルデヒドが除去さ
れた。
【0077】同様に、本発明の範囲にある光反応性有害
物質除去材(4)に於ても、光源に関係なく光照射開始
から30分以内にアセトアルデヒドを除去できた。ま
た、気体吸着剤による気体の吸着は吸着側に傾く平衡反
応で、気体の脱着平衡したまま気体吸着材の温度が上昇
すると、脱離側に平衡が移行することが知られており、
光照射を中断した瞬間から光反応性半導体は除去能を有
さなくなる一方、光照射に伴う発熱によって気体吸着剤
の温度は上昇したまま急激に常温に戻ることはなく、そ
の結果光照射後に光反応性有害物質除去材から悪臭が発
生する可能性があるが、光反応性有害物質除去材(5)
も含め、光反応性半導体(A)に対する気体吸着剤
(B)の重量比(B/A)が本発明内にあるものは、臭
気の脱着と分解がバランスするためか、少なくともGC
で一旦検出下限を下回った後は、アセトアルデヒドは勿
論その他の臭気も感ずる様なことはなく、実施例1と同
様に良好な有害物質除去性を示した。
【0078】これらに反し、B/Aが0.3である光反
応性有害物質除去材(3)(本発明外)では、気体吸着
剤が少ない上にその上を光反応性半導体が多く被覆して
いるためか、光照射前のアセトアルデヒド(吸着)除去
量は最少で、従って最もアセトアルデヒドが高濃度で光
照射が開始したことや、光反応性半導体の量は最も多い
とは云え、光反応性半導体で他のそれが被覆され、有効
活性粒子の割合が低下していることもあってか、アセト
アルデヒドの除去効率は良好ではなかった。
【0079】また、B/Aが1.1である光反応性有害
物質除去材(6)(本発明外)は、気体吸着剤量が多い
ため、光照射開始前のアセトアルデヒドの吸着量は多い
が、光反応性半導体の絶対量が少ないことや、気体吸着
剤の隠蔽により光反応性半導体の光触媒的有害物質分解
能が阻害されるためか、光照射時のアセトアルデヒド除
去能力は低下し、アセトアルデヒドの除去効率は良好で
はなかった。
【0080】また、光反応性有害物質除去材(6)に於
ては、光照射時は気体吸着剤からの脱離よりも光反応性
半導体による除去能が優っていたとしても、光照射終了
時点ではまだ気体吸着剤にはある程度アセトアルデヒド
を包含する気体が吸着残存しており、それが光照射終了
後も僅かづつ気体吸着剤から脱離するためか、少なくと
もブラックランプを用いた容器の方は、光照射終了直前
にはGC上ではアセトアルデヒドが確認できなくなるま
で減少したいたものが、5分後にはGCで確認できる濃
度に上昇し、更にアセトアルデヒドの酸化生成物である
酢酸を含むその他の臭気が発生して、良好な有害物質除
去性を示さなかった。
【0081】実施例3 実施例1に於て、気体吸着剤として用いたセピオライト
90重量部の内の20重量部を比較例1で用いた活性炭
に換えた以外は、実施例1と同様にして酸化チタン、セ
ピオライト、及び活性炭の混合物を調製し、実施例1と
同封入量の光反応性有害物質除去材(7)を作製した。
この光反応性有害物質除去材(7)を用いて、実施例1
と同様にアセトアルデヒドによる有害物質除去能を検討
した。
【0082】その結果、光照射開始直前には約7ppm
残留していたアセトアルデヒドが、6wのブラックラン
プでは8分間の光照射により、また蛍光灯では16分間
の光照射により検出されなくなった。実施例1と同様
に、GCに於て各々アセトアルデヒドが検出されなくな
った時点で光照射を中止し、光反応性有害物質除去材を
遮光したまま、5分後に双方の容器のアセトアルデヒド
の存在をGCで調べたところ、実施例1と同様にアセト
アルデヒドは検出されなかった。
【0083】また、これら各々の容器に実施例1と同様
に再びアセトアルデヒド高濃度ガスを注入し、50分後
に光源を点灯し光照射を開始したところ、先程と同様に
ほぼ同時間でアセトアルデヒドが除去された。2回目の
アセトアルデヒド除去後に双方の容器を開放したとこ
ろ、何れも容器内に微かにアセトアルデヒド臭が認めら
れたが、開放した容器の近くではアセトアルデヒドを含
めて臭気は感じられず、実施例1と同様に良好な有害物
質除去性を示した。
【0084】実施例4 光反応性半導体(A)である酸化チタン(石原産業製;
ST−31)100重量部、気体吸着剤(B)であるフ
ライポンタイト−シリカ複合粒子(水澤化学工業製;ミ
ズカナイトAP)70重量部、及び微細繊維(ダイセル
化学工業製;セリッシュKY−100S)2重量部を順
次水に添加し、ミキサーを用いて充分に分散混合した
後、ポリ塩化アルミニウム(水澤化学工業製;PAC)
水溶液を添加した。更に、これにアニオン変性ポリアク
リルアミドの水溶液を添加して凝集体を形成させ、凝集
体分散液(a)を得た。
【0085】一方、支持体形成成分として、繊度0.5
d、繊維長5mmのポリエステル繊維(帝人製;テピル
ス)と、繊度2d、繊維長5mmの芯鞘構造を有する低
融点熱融着性ポリエステル繊維(ユニチカ製;メルティ
ー#4080)とを等重量づつをヘキサグリセリルモノ
ラウレートと共に水中に投入し、パルパーにて繊維の束
がなくなるまで強攪拌を行った。次いで、水を加えてア
ジテーターにて緩やかに攪拌しながら粘度調整剤である
アニオン変性ポリアクリルアミド水溶液を添加して増粘
させ、支持体形成成分分散液(a)を得た。
【0086】光反応性半導体及び気体吸着剤の総量対支
持体形成成分が固形分重量比で2対8になる様に凝集体
分散液(a)及び支持体形成成分分散液(a)を混合
し、水で希釈しながら全固形分量が0.2重量%となる
様に調整した後、目付量が100g/m2となる様に円網
抄紙機にてシート化し、120℃にて乾燥して抄造タイ
プの光反応性有害物質除去材(8)を作製した。
【0087】この光反応性有害物質除去材(8)を、実
施例1と全く同様にしてアセトアルデヒドの除去能を測
定した。その結果、光照射開始直前に10ppm残留し
ていたアセトアルデヒドが、ブラックランプでは8分間
の光照射により、また蛍光灯では16分間の光照射によ
り検出されなくなった。
【0088】また、実施例1と同様に、容器内のアセト
アルデヒド濃度を再び30ppmとなる様に注入して調
整し、50分後に光源を点灯し光照射を開始したとこ
ろ、先程と同様にほぼ同時間でアセトアルデヒドが除去
された。2回目のアセトアルデヒド除去後に双方の容器
を開放したところ、何れも容器内に微かにアセトアルデ
ヒド臭が認められたが、開放した容器の近くではアセト
アルデヒドを含めて臭気は感じられず、実施例1と同様
に良好な有害物質除去性を示した。
【0089】実施例5 実施例4に於て、光反応性半導体である酸化チタン10
0重量部に対し、気体吸着剤であるフライポンタイト−
シリカ複合粒子を10、20、30、50、90、及び
110重量部の割合で各々混合し、更にこれらに微細繊
維2重量部を添加し、ミキサーを用いて充分に分散混合
した後、ポリ塩化アルミニウム水溶液とアニオン変性ポ
リアクリルアミド水溶液と順次を添加して凝集体を形成
させ、実施例4と同様にして凝集体水分散液(b)、
(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)を得た。
【0090】これら凝集体水分散液(b)〜(g)及び
支持体形成成分分散液(a)より、実施例4と同様に光
反応性半導体及び気体吸着剤の総量対支持体形成成分が
固形分重量比で各々2対8になる様に凝集体水分散液及
び支持体形成成分分散液を混合し、実施例4と同様にし
て目付量100g/m2の抄造タイプの光反応性有害物質
除去材(9)〜(14)を作製した。これら光反応性有
害物質除去材(9)〜(14)を用いて、実施例1と同
様に有害物質除去能を検討した。得られた結果を表2に
示す。尚、表2の評価は表1に準ずる。
【0091】
【表2】
【0092】上記抄造タイプの光反応性有害物質除去材
に於ても、単位面積当たりの光反応性半導体(A)及び
気体吸着剤(B)の総量が一定であり、かつ封入タイプ
の光反応性有害物質除去材とB/Aが同一であれば、抄
造タイプの光反応性有害物質除去材中の気体吸着剤の量
は同一であるから、表2からも明かな様に、光照射直前
の残存アセトアルデヒド濃度はB/Aの増加に連れて減
少し、かつ光反応性有害物質除去材の形態に関係なくほ
ぼ一定であった。
【0093】しかしながら、光照射を経た最終的有害物
質除去能は実施例2と同様に上記傾向と必ずしも一致せ
ず、実施例4を含めた6種類の光反応性有害物質除去材
中では、B/Aが0.5及び0.7(光反応性有害物質
除去材(8)及び(12);何れも本発明)の場合が最
も早くアセトアルデヒドが除去された。
【0094】また、抄造タイプの光反応性有害物質除去
材に於て、光反応性半導体(A)に対する気体吸着剤
(B)の重量比(B/A)が本発明内にある光反応性有
害物質除去材(10)、(11)、及び(13)は、光
反応性有害物質除去材(8)及び(12)より有害物質
除去能に劣ってはいたものの、何れも光源に関係なく3
0分以内にアセトアルデヒドは除去され、かつ少なくと
もGCで一旦検出下限を下回った後は、アセトアルデヒ
ドは勿論その他の臭気も感ずる様なことはなく、実施例
4と同様に良好な有害物質除去性を示した。
【0095】これらに反し、B/Aが0.1である光反
応性有害物質除去材(9)(本発明外)は、実施例2の
光反応性有害物質除去材(3)と同様に、気体吸着剤が
少ない上にその上を光反応性半導体が多く被覆している
ためか、光照射前のアセトアルデヒド(吸着)除去量は
最少で、従って最もアセトアルデヒドが高濃度で光照射
が開始したことや、光反応性半導体の量は最も多いとは
云え、光反応性半導体の有効活性粒子の割合が低下して
いることもあってか、アセトアルデヒドの除去効率は良
好ではなかった。
【0096】また、B/Aが1.1である光反応性有害
物質除去材(14)(本発明外)は、実施例2の光反応
性有害物質除去材(6)と同様に、気体吸着剤の量が多
いために光照射開始前のアセトアルデヒドの吸着量は多
いが、光反応性半導体の絶対量が少ないことや、気体吸
着剤の隠蔽により光反応性半導体の光触媒的有害物質分
解能が阻害されるためか、光照射時のアセトアルデヒド
除去能力は低下し、アセトアルデヒドの除去効率は良好
ではなかった。
【0097】また、光反応性有害物質除去材(14)に
於ては、光照射終了直前にはGC上ではアセトアルデヒ
ドが確認できなくなるまで減少したいたものが、5分後
にはGCで確認できる濃度に上昇し、更に実施例2の光
反応性有害物質除去材(6)の場合程ではなかったが、
やはりアセトアルデヒドの酸化生成物である酢酸を含む
その他の臭気が発生して、良好な有害物質除去性を示さ
なかった。
【0098】実施例6 光反応性半導体であるメタチタン酸(トーケムプロダク
ツ製)100重量部(固形分)をスラリー分で2倍量の
水に添加し、充分に分散した後に水酸化ナトリウム水溶
液でpH5に調整した。この分散液に、実施例1で用い
た気体吸着剤であるセピオライト60重量部を添加して
高速ミキサーにて分散し、セピオライトに酸化チタンを
担持させた。この水分散液に実施例4で用いたポリ塩化
アルミニウムを添加し、更にアニオン変性ポリアクリル
アミド水溶液を添加して凝集体水分散液(h)を得た。
【0099】実施例4と同様に、光反応性半導体及び気
体吸着剤総量対支持体形成成分が固形分重量比で2対8
になるように凝集体分散液(h)及び支持体形成成分分
散液(a)を混合し、実施例4と同様にして目付量10
0g/m2の光反応性有害物質除去材(15)を作製し
た。
【0100】この光反応性有害物質除去材(15)を実
施例4と同様にアセトアルデヒドの除去能を測定した。
その結果、光照射直前に17ppm残留していたアセト
アルデヒドが、ブラックランプでは14分間の光照射に
より、また蛍光灯では22分間の光照射により検出され
なくなった。
【0101】また、実施例4と同様に、容器内のアセト
アルデヒド濃度を再び30ppmとなる様に注入して調
整し、50分後に光源を点灯し光照射を開始したとこ
ろ、先程と同様にほぼ同時間でアセトアルデヒドが除去
された。2回目のアセトアルデヒド除去後に双方の容器
を開放したところ、何れも容器内に微かにアセトアルデ
ヒド臭が認められたが、開放した容器の近くではアセト
アルデヒドを含めて臭気は感じられず、実施例4と同様
に良好な有害物質除去性を示した。
【0102】
【発明の効果】以上の結果より明かな様に、本発明の光
反応性有害物質除去材は、光未照射時には気体吸着剤が
有害物質(気体)を吸着し、光照射時には気体吸着剤に
吸着された分を含めて光反応性半導体が有害物質を分解
することにより、悪臭等の空気中の有害物質を高効率で
低濃度化することができる。
【0103】また、光反応性有害物質除去材の形態に従
って光反応性半導体と気体吸着剤の比率を一定の範囲に
することにより、特に悪臭等の発生状況等により断続的
に光反応性有害物質除去材に光照射しても、バランスよ
く有害物質が除去できる秀逸な効果を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも光反応性半導体及び気体吸着
    剤を少なくとも一方が通気性を有するシートに封入して
    なる光反応性有害物質除去材に於て、光反応性半導体
    (A)に対する気体吸着剤(B)の重量比(B/A)が
    0.5〜1であることを特徴とする光反応性有害物質除
    去材。
  2. 【請求項2】 少なくとも光反応性半導体及び気体吸着
    剤を支持体形成成分と共に水中で分散し、湿式抄造法に
    よりシート状に形成してなる光反応性有害物質除去材に
    於て、光反応性半導体(A)に対する気体吸着剤(B)
    の重量比(B/A)が0.2〜0.9であることを特徴
    とする光反応性有害物質除去材。
JP8013883A 1996-01-30 1996-01-30 光反応性有害物質除去材 Pending JPH09201404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8013883A JPH09201404A (ja) 1996-01-30 1996-01-30 光反応性有害物質除去材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8013883A JPH09201404A (ja) 1996-01-30 1996-01-30 光反応性有害物質除去材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09201404A true JPH09201404A (ja) 1997-08-05

Family

ID=11845610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8013883A Pending JPH09201404A (ja) 1996-01-30 1996-01-30 光反応性有害物質除去材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09201404A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11290694A (ja) * 1998-04-10 1999-10-26 Maruo Calcium Co Ltd 光触媒体及びこれを含有してなる光触媒性組成物
JP2005305268A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Fuji Industrial Co Ltd レンジフードファン用脱臭材及びその脱臭材を具備するレンジフードファン
JP2008050316A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Kao Corp 皮膚外用剤

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11290694A (ja) * 1998-04-10 1999-10-26 Maruo Calcium Co Ltd 光触媒体及びこれを含有してなる光触媒性組成物
JP2005305268A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Fuji Industrial Co Ltd レンジフードファン用脱臭材及びその脱臭材を具備するレンジフードファン
JP2008050316A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Kao Corp 皮膚外用剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5670247A (en) Photoreactive noxious substance purging agent and photoreactive noxious substance purging material using the agent
JP2002028415A (ja) 空気清浄化フィルター
JP4030231B2 (ja) 空気清浄化フィルター
JP2000129595A (ja) 酸化チタン担持印刷シート
JPH09201404A (ja) 光反応性有害物質除去材
JP4030146B2 (ja) 光反応性有害物除去材
JPH08266902A (ja) 光触媒を用いた環境浄化材料およびその組成物
JPH11179213A (ja) 環境浄化素材およびそれを用いた環境浄化材料
JP2000279505A (ja) 脱臭性エレクトレットフィルターおよびその製造方法
JP4471409B2 (ja) 酸化チタン塗料組成物及びその製造方法並びに酸化チタン担持シート
JP4223122B2 (ja) 酸化チタン担持シート
JPH0928776A (ja) 有害物質除去材
JP2004041277A (ja) 脱臭フィルター
JP2003311111A (ja) 装着性空気清浄部材
JP2001025668A (ja) 光触媒コルゲートフィルター
JP2002095912A (ja) 脱臭フィルターの製法
JP2004041836A (ja) 空気清浄フィルター
JP2000262604A (ja) 脱臭剤および脱臭シート
JP3440467B2 (ja) 有害物質除去システム
JPH11262626A (ja) 脱臭剤および脱臭シート
JP2003088759A (ja) 低温酸化触媒フィルター
JPH08322923A (ja) 光反応性カプセル及びこれを用いた光反応性有害物除去材
JPH09220519A (ja) 酸化チタン含有積層シートの製造方法
JPH08229336A (ja) 光反応性有害物質除去材およびその製造方法
JP3343832B2 (ja) 光反応性有害物除去剤及びこれを用いた光反応性有害物除去材